理論 全18問の解説
第1問・静電気
誘電体を半分引き出した平行板コンデンサ
誘電体を横方向へ半分だけ引き出した状態は、真空部分と誘電体部分を並列につないだ二つのコンデンサとして扱う。厚さ方向に誘電体が重なる直列モデルではない。
公式正答(4) 5:3
図1では極板間の全体が比誘電率5の誘電体で満たされている。極板面積は l² なので、静電容量 C₁ は
C1=5ε0dl2
となる。図2では、面積 l²/2 の真空部分と、同じ面積の誘電体部分に同一電圧が加わる。この二部分は並列であるから、容量を加えればよい。
C2=ε0dl2/2+5ε0dl2/2=3ε0dl2
したがって C₁:C₂=5:3。正しい選択肢は(4)である。
第2問・静電気
一直線上の二つの点電荷による合力
P点の正電荷はA点の電荷から右向き、B点の電荷から左向きの斥力を受ける。B方向への合力は、距離1 mと2 mで生じる二つのクーロン力の差である。
公式正答(3) 2.5×10⁻⁶ C
真空中のクーロン定数を k=1/(4πε₀) とする。Aから受ける力を正方向に取れば、P点の電荷Qに働く合力は
F=k(3×10−7)Q(121−221)
である。ε₀=8.85×10⁻¹² F/m から k=8.99×10⁹ N·m²/C² として、F=5×10⁻³ Nを代入する。
Q=(8.99×109)(3×10−7)(3/4)5×10−3=2.47×10−6 C
最も近い値は2.5×10⁻⁶ Cであり、選択肢は(3)となる。
第3問・磁気
巻数と磁束から自己インダクタンスを求める
自己インダクタンスは、コイル全体の鎖交磁束を電流で割った量である。1ターン当たりの磁束ではなく、巻数を掛けた NΦ を用いる。
公式正答(3) 3 H
漏れ磁束を無視できるので、1000ターンのすべてに6×10⁻⁴ Wbが鎖交する。したがって
L=INΦ=0.21000×6×10−4=3 H
となり、正しい選択肢は(3)である。
第4問・磁気
同心円弧導線が中心につくる磁界
中心Oへ向かう直線部分では、電流要素とOへの方向が平行になるため磁界は生じない。二つの4分の1円弧がつくる磁界だけを、向きを考えて差し引く。
公式正答(5) 2.0 A/m
半径r、中心角θの円弧電流が中心につくる磁界の強さは H=Iθ/(4πr) である。ここではθ=π/2なので各円弧の大きさは I/(8r) となる。内側と外側の円弧では電流の回り方が逆であり、磁界も反対向きである。
H=816(0.51−11)=2.0 A/m
よって選択肢(5)が正しい。
第5問・直流回路
直列抵抗と並列抵抗の消費電力比較
R₁は、R₂とR₃の並列回路全体と直列につながっている。三抵抗を単純な並列と見なさず、並列部分の端子電圧を基準に電力を比較する。
公式正答(1) P₁>P₂>P₃
R₂∥R₃=4×8/(4+8)=8/3 Ωである。並列部分の電圧をvとすれば、R₁を流れる電流は並列部分へ流れ込む全電流に等しく、I₁=v/(8/3)=3v/8となる。
P1=5(83v)2=6445v2,P2=4v2,P3=8v2
係数を比べると45/64>1/4>1/8であるから、P₁>P₂>P₃。正しい選択肢は(1)である。
第6問・直流回路
二つの負荷条件から電池の起電力を求める
端子につないだ抵抗だけでなく、電池内部の抵抗にも同じ電流が流れる。二つの測定条件で起電力Eは変わらないため、E=I(R+r)を等置する。
公式正答(2) 7.20 V
E=3(2.25+r)=2(3.45+r)
この式からr=0.15 Ωを得る。どちらかの条件へ戻して
E=3(2.25+0.15)=7.20 V
となる。もう一方でも2(3.45+0.15)=7.20 Vとなり、選択肢(2)に一致する。
第7問・直流回路
分流電流が等しくなる未知抵抗
R₁の先でR₂とRₓが並列に分かれる。Rₓの電流を、並列合成抵抗と分圧を使ってE、R₁、R₂、Rₓの式に直せば、二条件を直接比較できる。
公式正答(2) 2.4 Ω
R₂とRₓの並列合成抵抗はR₂Rₓ/(R₂+Rₓ)である。並列部の電圧をRₓで割って整理すると、Rₓを流れる電流は
I=R1(R2+Rx)+R2RxER2
となる。条件1と条件2でこの値が等しいので
90(6+Rx)+6Rx6=70(3+Rx)+3Rx3
を解く。6(210+73Rₓ)=3(540+96Rₓ)から150Rₓ=360、したがってRₓ=2.4 Ωである。正しい選択肢は(2)となる。
第8問・交流回路
周波数によるRLC並列枝の電流変化
10 Hzではコンデンサとコイルのサセプタンスが等しく逆符号となり、並列枝はR₂だけに見える。10 MHzではコンデンサがほぼ短絡となるため、電源電流はR₁だけで決まる。
公式正答(5) 0.4
10 Hzの角周波数はω=20π rad/sである。C=1/(100π) F、L=1/(4π) Hを用いると
ωC=0.2 S,ωL1=0.2 S
となり、容量性と誘導性の電流が打ち消し合う。並列枝の等価インピーダンスはR₂=30 Ωだから、R₁を流れる電流はI₁₀Hz=V/(20+30)=V/50である。
10 MHzではコンデンサのリアクタンスがほぼ0 Ω、コイルのリアクタンスは非常に大きい。並列枝はほぼ短絡なのでI₁₀MHz≃V/20となる。
I10MHzI10Hz=V/20V/50=0.4
よって選択肢(5)である。
第9問・交流回路
直列抵抗追加前後の電流から未知抵抗を求める
電圧と電流から分かるのは抵抗値そのものではなく、Rと誘導性リアクタンスXを合わせたインピーダンスの大きさである。抵抗追加前後の二つの二乗式を引けばXを消去できる。
公式正答(5) 8.1 Ω
図1では|Z₁|=100/10=10 Ω、図2では|Z₂|=100/5=20 Ωである。したがって
R2+X2=102,(R+11)2+X2=202
後式から前式を引くと、22R+121=300となる。
R=22179=8.14 Ω
最も近い8.1 Ω、すなわち選択肢(5)が答えである。
第10問・過渡現象
抵抗を2倍にしたRL直列回路の過渡応答
RL直列回路の最終電流はV/R、立ち上がりの速さは時定数L/Rで決まる。抵抗を2倍にすると、最終値も時定数も元の半分になる。
公式正答(4) 選択肢(4)の波形
スイッチを閉じた後のコイル電流は iL(t)=(V/R){1-exp(-Rt/L)} である。R=1 Ωのときの最終値が図2の3 Aなら、R=2 Ωにしたときの最終値はその半分の1.5 Aとなる。
同時に時定数τ=L/Rも半分になるため、電流は元の点線より早く1.5 Aへ近づく。最終値が低く、初期の立ち上がりが速い実線を選ぶので、答えは(4)である。
第11問・半導体
可変容量・定電圧・レーザダイオードのバイアス
三つのダイオードは、利用しているpn接合の状態が異なる。接合容量と降伏現象は逆方向、発光のためのキャリア注入は順方向で使う。
公式正答(2) (ア)逆方向・(イ)逆方向・(ウ)順方向
可変容量ダイオードは逆方向電圧によって空乏層幅を変え、接合容量を制御する。定電圧ダイオードも逆方向電圧を増して降伏領域で動作させる。一方、レーザダイオードは順方向電圧で電子と正孔を注入し、再結合による発光を得る。
したがって(ア)逆方向、(イ)逆方向、(ウ)順方向の組合せであり、選択肢(2)が正しい。
第12問・静電気
平行板電極間の電子に働く力
端効果を無視した平行板電極の電界は一様で、その強さは電位差を極板間隔で割ったV/dである。電子に働く力の大きさは電気量eと電界の積になる。
公式正答(1) F=eV/d
E=dV,F=eE=deV
力の向きは電子が負電荷であるため電界と逆、すなわち陽極側である。式の選択では大きさを問われているので、正しいのは(1)となる。電子の質量mは加速度を求めるときに必要だが、本問の力には現れない。
第13問・電子回路
水晶振動子と水晶発振回路
水晶振動子は圧電効果による鋭い共振を利用し、LC回路より安定した周波数基準をつくる。ただし、LC発振回路のコンデンサだけを水晶へ置き換えたもの、と単純には説明できない。
公式正答(3) 誤りは(3)
水晶片を電極で挟んだ構造、直列共振と並列共振が近接する等価回路、高い周波数安定度、周波数シンセサイザの基準源としての利用はいずれも正しい。
水晶発振回路では、水晶振動子を帰還回路の周波数選択素子として用いる。LC発振回路のコンデンサを水晶振動子に置き換えるだけの回路ではないため、誤っている記述は(3)である。
第14問・電気計測
方形波を整流形電圧計で測る
整流形電圧計は波形の平均値に応答し、その指示を正弦波の実効値になるよう1.11倍している。正弦波以外を測ると、波形率の違いがそのまま指示誤差になる。
公式正答(4) 4.44 V
図の電圧は1周期20 msのうち10 msだけ8 V、残り10 msは0 Vである。全波整流後の平均値は
Vav=8×2010=4.0 V
整流形電圧計は正弦波の波形率π/(2√2)≃1.11を掛けて目盛っているので、指示値は
となる。方形波そのものの実効値5.66 Vを答えるのではなく、計器の指示を求める点が要点であり、選択肢は(4)である。
第15問・三相交流
平衡三相RLC負荷の線電流と有効電力
各相でコイルとコンデンサのリアクタンスがともに20 Ωとなるため、並列アドミタンスの虚数成分は相殺される。各相は10 Ωの抵抗だけを接続した状態と等価になる。
公式正答(3・3) (a)11.5 A・(b)4.0 kW
L枝のアドミタンスは1/(j20)、C枝は1/(-j20)であり、和は0である。負荷はY結線なので相電圧は線間電圧200 Vの1/√3、線電流は相電流に等しい。
したがって(a)は11.5 Aで選択肢(3)。有効電力を消費するのは抵抗だけであり、三相分を合計すると
P=310(200/3)2=4000 W=4.0 kW よって(b)も選択肢(3)である。
第16問・直流回路
抵抗の接続変更とブリッジ回路の入力電流
図1から電源電圧と抵抗Rを先に確定し、その同じ値を図2へ持ち込む。図2は平衡ブリッジではないため、b点とc点の電位を別々の未知数として節点方程式を立てる。
公式正答(3・4) (a)80 Ω・(b)4.2 A
図1の上下の枝はいずれも16+4=20 Ωである。中央のRを流れる0.5 Aを除くと、上下二枝に流れる合計は4.0 A。各枝2.0 Aなので電源電圧はE=20×2.0=40 Vである。したがってR=40/0.5=80 Ωとなり、(a)は選択肢(3)。
図2でd点を0 V、a点を40 Vとし、b点、c点の電位をVb、Vcとする。b点とc点の電流収支は
16Vb−40+4Vb+80Vb−Vc=0
4Vc−40+16Vc+80Vc−Vb=0
である。連立するとVb=80/9 V、Vc=280/9 V。電源から流れ出す電流はa点に接続する二枝の和なので
I3=1640−Vb+440−Vc=625=4.17 A
最も近い4.2 A、すなわち(b)は選択肢(4)である。
第17問・静電気
直列・並列配置された複合誘電体コンデンサ
コンデンサAでは誘電体が電界方向に重なるため電束密度Dが共通になり、電界は比誘電率に反比例する。コンデンサBでは三領域に同じ電圧Vが加わるため、容量を並列加算する。
公式正答(5・4) (a)Eₐ₁>Eₐ₂>Eₐ₃、最大9V/(5d)・(b)1.20倍
Aの各層ではDが等しく、E=D/(εrε₀)である。電圧降下の合計がVになることから
V=ε0D(2d/6+3d/3+6d/2)=ε0D185d
したがってD/ε₀=18V/(5d)。各電界はEₐ₁=9V/(5d)、Eₐ₂=6V/(5d)、Eₐ₃=3V/(5d)となる。(a)はEₐ₁>Eₐ₂>Eₐ₃で最大9V/(5d)の選択肢(5)である。
蓄積エネルギーは同じ電圧なら容量に比例する。Aは三層の直列配置なので
CA=(d/6)/2+(d/3)/3+(d/2)/6ε0S=518dε0S
Bは面積S/6、S/3、S/2の三領域の並列配置である。
CB=dε0S(2⋅61+3⋅31+6⋅21)=313dε0S
WAWB=CACB=5465=1.204
よって(b)は1.20倍の選択肢(4)となる。
第18問・ディジタル回路
NANDによる論理反転とマルチバイブレータ
図1はCMOSインバータであり、入力を反転して出力する。NANDは二入力を同じ信号へ束ねるか、一方を1へ固定するとNOTとして働く。
公式正答(5・2) (a)(イ)(ハ)・(b)性質Ⅰ=(ニ)、性質Ⅱ=(ヘ)
NANDの二入力を同じ入力へ接続した(イ)は、Y=¬(A·A)=¬Aとなる。一方を0へ固定した(ロ)は常にY=1となり、反転器にはならない。一方を1へ固定した(ハ)はY=¬(A·1)=¬Aである。したがって図1と同じ真理値表になるのは(イ)と(ハ)で、(a)は選択肢(5)。
(ニ)は外部入力を持たず、帰還とRCの充放電によって状態を自動的に反転し続ける非安定マルチバイブレータである。連続パルスを発生する性質Ⅰに対応する。(ヘ)は二入力でセットとリセットを与える双安定回路で、0または1を保持する性質Ⅱに対応する。
したがって(b)は性質Ⅰ=(ニ)、性質Ⅱ=(ヘ)の選択肢(2)である。