2025年10月5日実施・大気関係6科目・全75問・公式正解照合
公害防止管理者試験
令和7年度 大気関係の解答・解説
令和7年度公害防止管理者試験の大気関係6科目・全75問について、公式正解と判断の根拠、燃焼・集じん・拡散の計算過程をこのページに載せています。法令とJISは、試験が指定する2025年4月1日現在の内容で解説しました。問題本文は転載していないため、各問の「公式問題で…を見る」から産業環境管理協会の問題PDFを開き、問番号を合わせて読んでください。
令和7年度は全区分で受験者19,845人、合格者7,175人、合格率36.2%でした。大気関係の区分別の合格率は下の表のとおりです(令和7年度公害防止管理者等国家試験結果)。
令和8年度(2026年10月4日実施)全18科目の正解(速報)と自己採点 →
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公害総論の解答・解説(15問)
科目1。環境基本法・公害防止組織法などの法令と、大気・水質・騒音・廃棄物・化学物質の現状を問う科目です。全13区分に共通する科目です。
環境基本法
問1 環境基本法第1条の目的
目的規定は「何を定めるか」「施策をどう進めるか」「何に役立てるか」の三段で読むと、6つの語句の位置が決まる。
正答 ②(基本理念/基本となる事項/総合的かつ計画的/健康で文化的/生活の確保/人類の福祉)
前半で法律が定めるものは二つある。環境保全の基本理念と、環境保全施策の基本となる事項で、国・地方公共団体・事業者・国民の責務はその間に置かれている。最初の空欄がc、施策に続く空欄がfになる。
後半は、施策を総合的かつ計画的に推進し、現在と将来の国民の生活の確保に寄与し、あわせて人類の福祉に貢献するという流れである。「健康で文化的な」が「生活の確保」を修飾するのでe→dの順になり、最後の貢献先がbの人類の福祉になる。
c・f・a・e・d・bの順に並ぶのは②だけである。③はdとbを入れ替えており、「人類の福祉に寄与」「生活の確保に貢献」という条文にない結び方になる。①④⑤は、基本理念と基本となる事項の順序が逆である。
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環境基本法
問2 環境保全施策の基本方針(第14条)
第14条は、環境保全施策を進めるときに確保すべき事項を三つの号で並べた条文である。空欄には条文の語をそのまま当てはめる。
正答 ②(施策の策定/自然的構成要素/多様性の確保/豊かな触れ合い)
冒頭は「施策の策定及び実施」で、施策をつくる段階と実施する段階の両方が基本理念に従うことを示している。bの「措置」はこの位置に入らない。
第一号は、大気・水・土壌などを環境の「自然的構成要素」と呼び、それが良好な状態に保たれることを求める。第二号は生態系と生物の両方について「多様性の確保」を掲げるので、二つの空欄に同じdが入る。第三号は人と自然との「豊かな触れ合い」である。
eの「調和」は第三号の文言に当たらない。a・c・d・fの組合せは②である。第14条は、環境基本法の基本的施策の章(第二章)の冒頭に置かれ、環境基準や環境影響評価などの個別の施策はこの方針の下に並んでいる。
公式問題で公害総論 問2を見る
環境基準
問3 環境基準の地域類型指定(第16条)
環境基準の類型を地域に当てはめる事務は、広域の地域・水域なら政府、それ以外は原則として都道府県知事が行う。市の区域の騒音だけは市長が担う。
正答 ④(騒音の類型指定は市の区域なら市長、それ以外は都道府県知事)
第16条第2項第二号は、イとロの二つに分かれる。イは、航空機騒音と新幹線鉄道騒音を除く騒音の類型を当てはめる地域のうち市に属するもので、指定するのはその市の長である。ロはそれ以外の地域・水域で、その地域・水域が属する都道府県の知事が指定する。
問題文はイに都道府県知事、ロに市の長を置いており、主体が入れ替わっている。誤りを含む組合せはfとgの④である。
ほかの下線部は条文どおりである。第1項の環境基準は、大気・水質・土壌・騒音の4つについて定められ、振動や悪臭の環境基準はない。第3項は、常に科学的な判断を加えて必要な改定をすることを求め、第4項は、政府が公害の防止に関する施策を総合的かつ有効適切に講じて基準の確保に努めることを定める。
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有害大気汚染物質
問4 ベンゼン等の環境基準の達成期間
ベンゼン等は長く吸い続けると健康を損なうおそれがある物質で、環境基準の達成期間もその性質に合わせて書かれている。
正答 ②(継続的に/将来にわたって/未然に)
この告示は、ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタンの4物質の環境基準を定めている。達成期間の項は、継続的に摂取されると健康を損なうおそれがある物質であることを前提に置くので、最初の空欄はbの「継続的に」である。
続く部分は、将来にわたって健康被害が未然に防止されるようにすることを旨として、基準の維持または早期達成に努めると定める。二つ目がe、三つ目がdで、b・e・dの②が正しい。
cの「原則として」は、二酸化窒素の環境基準の達成期間(原則として7年以内)などで使われる語で、この告示の文言ではない。aの「長期に」も意味は近いが、条文の語ではない。
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公害防止組織法
問5 公害防止主任管理者の選任期限
選任すべき事由が発生してから、公害防止統括者は30日以内、公害防止主任管理者と公害防止管理者は60日以内に選任する。選任後の届出はどれも30日以内である。
正答 ③(主任管理者・管理者の選任期限は60日以内)
特定事業者が選任しなければならない者は三つある。工場の公害防止業務を統括する公害防止統括者、技術的事項を管理する公害防止管理者、大規模な工場で両者の間に立つ公害防止主任管理者である。選任の期限は、統括者が事由の発生から30日以内、主任管理者と管理者が60日以内である。③は主任管理者の選任期限を30日としており、誤りである。
選任した後は、統括者・主任管理者・管理者のいずれも、選任した日から30日以内に特定工場の所在地を管轄する都道府県知事へ届け出る。①②⑤は正しい。
常時使用する従業員が20人以下の特定事業者は、公害防止統括者を選任しなくてよい(④)。この場合も、公害防止管理者の選任は必要である。
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大気汚染の状況
問6 一般環境大気測定局の年平均濃度
一般環境大気測定局の年平均値は、二酸化硫黄が0.001 ppm前後、二酸化窒素が0.01 ppm弱、一酸化炭素が0.2 ppm前後で、桁が一つずつ違う。
正答 ①(SO₂<NO₂<CO)
令和4年度の常時監視結果では、一般局の年平均値は二酸化硫黄が0.001 ppm、二酸化窒素が0.008 ppm、一酸化炭素が0.2 ppm程度である。低い順はSO₂<NO₂<COで、①が正しい。
単位をppmにそろえると一酸化炭素が最も高いのは意外に見えるが、環境基準の値も一酸化炭素は1日平均10 ppm以下で、二酸化硫黄(1日平均0.04 ppm以下)や二酸化窒素(1日平均0.04〜0.06 ppmのゾーン内またはそれ以下)より二桁以上大きい。環境基準の桁と実際の濃度の桁をあわせて覚えると、順序を取り違えにくい。
二酸化硫黄は、燃料の低硫黄化と排煙脱硫の普及で長期にわたって下がってきた。二酸化窒素も緩やかな低下が続いている。
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温室効果ガス
問7 代替フロン等の排出量の順位
2022年度の我が国の排出量(CO₂換算)は、選択肢の3ガスの中ではPFCsが最も多く、SF₆、NF₃の順に少なくなる。
正答 ④(PFCs>SF₆>NF₃)
代替フロン等4ガス(HFCs、PFCs、SF₆、NF₃)の排出量は、冷媒として使われるHFCsが大半を占め、残りをPFCs、SF₆、NF₃が分け合っている。選択肢の3ガスでは、PFCsが最も多く、SF₆が続き、NF₃が最も少ない。正しい順序は④である。
PFCsとNF₃は半導体や液晶の製造工程で、SF₆は電力機器の絶縁ガスや半導体製造などで使われる。NF₃は、2015年から温室効果ガスの算定・報告の対象に加わったガスである。
この問は、量の大きいHFCsを選択肢から外している。4ガスの中で最大のHFCsと混同せず、残る3ガスの大小を比べることが求められている。
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光化学オキシダント
問8 光化学オキシダントの環境基準達成率
光化学オキシダントは、環境基準をほとんどの測定局で達成できていない物質である。達成率を一般局1%、自排局0.5%とした⑤が誤りである。
正答 ⑤(達成率の数値が公表値と合わない)
光化学オキシダントは、窒素酸化物と揮発性有機化合物が日射を受けて反応し生成する酸化性物質の総称で、その90%以上をオゾンが占める。パーオキシアセチルナイトレート(PAN)も光化学オキシダントに含まれる。①②③は正しい。
測定方法には、オゾンが紫外線を吸収する性質を使う紫外線吸収法と、エチレンとの反応で生じる光を測る化学発光法がある(④)。
環境基準は1時間値0.06 ppm以下で、昼間の1時間値が一度でも超えると未達成と評価される。このため達成局はほとんどなく、令和4年度の達成率は一般局で0.1%程度、自動車排出ガス測定局で0%にとどまった。1%、0.5%という数値は公表値と合わない(⑤)。
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自動車排出ガス
問9 自動車の移動発生源対策
燃料対策として進められたのは、軽油中の硫黄分の低減である。軽油の窒素分を対象にした対策はない。
正答 ②(低減してきたのは軽油中の硫黄分)
軽油の硫黄分は、排出ガス後処理装置(酸化触媒、DPF、尿素SCRなど)の性能を保つために段階的に引き下げられ、2007年からは10 ppm以下になっている。硫黄分が多いと触媒が被毒し、硫酸塩の粒子も増えるためである。②の「窒素分の低減」は誤りである。
①はディーゼル重量車の排出ガス規制の段階的な強化、③は自動車NOx・PM法による窒素酸化物と粒子状物質の総量削減である。④の自動車税のグリーン化は、排出ガス性能や燃費のよい車の税を軽くし、古い車の税を重くする制度である。⑤の交通流の分散・円滑化も、渋滞を減らして排出量を抑える対策として行われてきた。
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水質環境基準
問10 公共用水域の水質の現状
公共用水域の健康項目で、選択肢の5項目のうち超過地点が最も多いのはひ素である。六価クロムの超過はほとんどない。
正答 ⑤(超過地点が最も多いのはひ素)
令和4年度の公共用水域水質測定結果では、健康項目の環境基準達成率は全体で99%を超える(①)。超過は河川に多く、ひ素、ふっ素、ほう素などで見られる(②)。ひ素やふっ素は、温泉や鉱山、地質に由来する自然的要因による超過が多い。
BODまたはCODの環境基準達成率は、河川で90%台と高く、湖沼は50%前後と最も低い(③)。湖沼は水が滞留して汚濁物質がたまりやすく、植物プランクトンが作る有機物も加わるためである。
カドミウム、鉛、六価クロム、ひ素、総水銀のうち、超過地点が最も多いのはひ素である。六価クロムとした⑤は誤りである。全シアンの超過地点はなかった(④)。
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地下水質
問11 地下水の環境基準超過率の順位
地下水の概況調査で超過率が最も高い項目は硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素、2番目はひ素である。近年はこの順位が続いている。
正答 ④(硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素、次いでひ素)
令和4年度の地下水質測定結果(概況調査)では、環境基準の超過率は硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素が最も高く、ひ素が2番目である。④が正しい。
硝酸性窒素は、農地への過剰な施肥、家畜排せつ物、生活排水が主な原因で、農業地域の地下水で超過が目立つ。ひ素とふっ素は、地層に由来する自然的要因による超過が多い。
トリクロロエチレンなどの揮発性有機化合物は、工場・事業場による汚染が判明した地域の調査では超過が見つかるが、地域の全体像を見る概況調査での超過率は低い。鉛の超過率も低く、上位2項目に入らない。
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騒音・振動
問12 騒音苦情の割合と騒音の評価量
騒音の苦情は典型7公害の苦情件数の3割を超える。航空機騒音は時間帯補正等価騒音レベル(Lden)、在来鉄道の新設・大規模改良は等価騒音レベル(LAeq)で評価する。
正答 ③(30/時間帯補正等価騒音レベル/等価騒音レベル)
令和4年度の公害苦情調査では、騒音の苦情は典型7公害の苦情件数の3割を超えている。最初の空欄は30である。
航空機騒音の環境基準は、2013年度から評価指標を時間帯補正等価騒音レベル(Lden)に改めた。1日ごとにLdenを求め、全測定日の値をパワー平均する。夕方と夜間の騒音に重みを付けて加えるので、時間帯による感じ方の違いを反映できる。以前使われていた加重等価平均感覚騒音レベル(WECPNL)は、現在の評価量ではない。
在来鉄道の新設・大規模改良の指針は、等価騒音レベル(LAeq)を評価量とし、新設では昼間60 dB以下、夜間55 dB以下を目安とする。騒音レベルの最大値を使うのは新幹線鉄道騒音の環境基準などである。組合せは③である。
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産業廃棄物
問13 産業廃棄物の業種別・種類別排出量
業種別の排出量が最も多いのは電気・ガス・熱供給・水道業で、建設業は上位に入るが首位ではない。
正答 ②(業種別で最も多いのは電気・ガス・熱供給・水道業)
令和3年度の産業廃棄物の総排出量は約3億7,600万トンで、前年度より約200万トン増えた(①)。業種別では電気・ガス・熱供給・水道業が最も多く、農業・林業、建設業が続き、上位3業種で全体の約7割を占める。②は誤りである。
種類別では汚泥が4割強で最も多く、動物のふん尿、がれき類が続く(③)。汚泥は上下水道や工場の排水処理から大量に出るが、脱水や焼却で減量されるので、再生利用率は低い。
再生利用率が高いのは、がれき類、動物のふん尿、金属くずなどである(④)。不法投棄の新規判明件数は、2017〜2021年度に毎年100件台で推移し、200件を下回っている(⑤)。
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ダイオキシン類
問14 ダイオキシン類の異性体と毒性等価係数
塩素の数と位置の組合せで数えると、PCDDの異性体は75種類、PCDFは135種類で、PCDFの方が多い。③は大小が逆である。
正答 ③(異性体はPCDDが75種類、PCDFが135種類)
PCDDとPCDFは、二つのベンゼン環を酸素でつないだ骨格に塩素が1〜8個付いた化合物である。PCDDは2個の酸素で二つの環をつなぐ対称性の高い骨格なので、置換位置の区別が少なく75種類にとどまる。PCDFは1個の酸素と炭素どうしの結合でつながる骨格で対称性が低く、135種類になる。
ダイオキシン類対策特別措置法は、PCDD、PCDF、コプラナーPCBの3群をダイオキシン類と定義している(②)。毒性等価係数(TEF)は、最も毒性の強い2,3,7,8-TeCDDを1として各異性体の毒性を表した係数で、濃度にTEFを掛けて合計した値が毒性等量(TEQ)になる(④)。
ダイオキシン類は廃棄物の焼却などの燃焼過程から主に出るが、焚き火、火災、火山活動でも生成する(①)。2,3,7,8-TeCDDは水に溶けにくく、蒸気圧がきわめて低いので、常温ではほとんど気化しない(⑤)。
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ライフサイクルアセスメント
問15 LCAのインベントリ分析の入出力
インベントリ分析のインプットは資源やエネルギーなどの投入である。製品や排出物はアウトプット側に入るので、③は入力と出力が逆になっている。
正答 ③(製品・排出物はアウトプット側)
LCAは、製品システムのライフサイクル全体について、投入と産出、潜在的な環境影響をまとめて評価する手法である(①)。ISO 14040・14044(JIS Q 14040・14044)は、目的及び調査範囲の設定、インベントリ分析、影響評価、解釈の4段階で進める枠組みを定めている(②)。
第二段階のインベントリ分析では、原材料、エネルギー、水などの投入をインプット、製品、副産物、大気・水域への排出物、廃棄物をアウトプットとして集計する。③は、インプットのデータを製品・排出物に関するものとしており、誤りである。
第三段階のライフサイクル影響評価では、集計した結果を地球温暖化、資源消費、酸性化などの影響領域に割り当てて定量化する(④)。第四段階の解釈で、目的に照らしてインベントリ分析と影響評価の結果を単独または総合して評価する(⑤)。
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大気概論の解答・解説(10問)
科目2。大気汚染防止法の規制、環境基準と大気汚染の状況、大気中の化学反応と健康影響を問う科目です。大気関係第1〜4種、特定粉じん関係、一般粉じん関係で受験します。
二酸化窒素の環境基準
問1 二酸化窒素の環境基準と達成期間
日平均値が0.06 ppmを超える地域では、0.06 ppmの達成期間は原則として7年以内である。5年以内とした③が誤りである。
正答 ③(0.06 ppmを超える地域の達成期間は原則7年以内)
二酸化窒素の環境基準は、1時間値の1日平均値が0.04〜0.06 ppmのゾーン内またはそれ以下であることと定められている(②)。工業専用地域、車道など、一般公衆が通常生活していない地域や場所には適用しない(①)。
0.06 ppmを超える地域では、まず0.06 ppmの達成に努め、その達成期間は原則として7年以内とされている。ゾーン内にある地域では、原則としてゾーン内で現状程度の水準を維持し、これを大きく上回らないよう努める(④)。
環境基準を維持・達成するために、個別発生源の排出規制に加えて各種の施策を総合的に講じることも告示に定められている(⑤)。長期的評価では、年間98%値(1日平均値の低い方から98%目の値)をこの基準と比べる。
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大気汚染防止法
問2 ばい煙発生施設の設置の届出と実施の制限
ばい煙発生施設の設置の届出が受理されてから60日を経過するまでは、施設を設置できない。30日とした④が誤りである。
正答 ④(設置できるのは受理の日から60日経過後)
大気汚染防止法第10条は、設置や構造等の変更の届出をした者に、受理の日から60日を経過するまで設置・変更を禁じている。都道府県知事が届出の内容を審査し、排出基準に適合しないと認めるときに計画の変更などを命じられる期間(第9条)と対応した制限である。知事は、届出の内容が相当と認めるときは、この期間を短縮できる。
ばい煙発生施設は、ばい煙を発生・排出する施設のうち政令で定めるもの(①)、ばい煙処理施設は発生したばい煙を処理する施設とその附属施設である(②)。設置しようとする者は、都道府県知事(政令で定める市では市長)に届け出る(③)。
届出をした者から施設を譲り受けた者や借り受けた者は、届出者の地位を承継し、承継の日から30日以内にその旨を届け出る(⑤)。
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揮発性有機化合物
問3 VOC施策の実施の指針(第17条の3)
大気汚染防止法第17条の3は、法による「排出の規制」と事業者の自主的な取組を組み合わせると定める。規制の側には「飛散」の語が入らない。
正答 ③(条文は「排出の規制」)
VOCの法規制は、塗装・印刷・洗浄・貯蔵などの一定規模以上の施設について、排出口から出るVOCの濃度に排出基準を課すものである。排出口を通らずに作業場などから漏れ出す「飛散」は排出基準の対象にしていないので、条文は規制の側を「排出の規制」とし、飛散を含む抑制は事業者の自主的な取組とあわせて進める形にしている。下線部③の「排出及び飛散の規制」は条文と異なる。
法規制と自主的取組を適切に組み合わせる考え方は「ベストミックス」と呼ばれ、2004年の法改正でVOCの規制が導入されたときに採られた。施策全体が目指すのは、排出と飛散の抑制を効果的に進めることである。
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一般粉じん発生施設
問4 一般粉じん発生施設の規模要件
破砕機・摩砕機が一般粉じん発生施設になるのは、原動機の定格出力が75 kW以上のものである。50 kWは規模要件に届かない。
正答 ④(破砕機・摩砕機は定格出力75 kW以上が対象)
一般粉じん発生施設は大気汚染防止法施行令別表第2に5種類が定められ、それぞれに規模要件がある。コークス炉は原料処理能力が1日50トン以上、鉱物・土石の堆積場は面積1,000 m²以上、ベルトコンベア・バケットコンベアはベルト幅75 cm以上またはバケットの内容積0.03 m³以上、破砕機・摩砕機は定格出力75 kW以上、ふるいは15 kW以上である。
①②③⑤は、いずれも規模要件の下限ちょうどの値で、一般粉じん発生施設に該当する。④の50 kWの破砕機・摩砕機だけが75 kWに届かず、該当しない。
公害防止組織法でも、一般粉じん発生施設の範囲は大気汚染防止法の定めを引いている。数値が近い「75」が、コンベアのベルト幅(cm)と破砕機の出力(kW)の両方に出てくる点を整理しておくとよい。
公式問題で大気概論 問4を見る
大気環境基準の達成状況
問5 長期的評価で未達成局がある物質
令和4年度に長期的評価で環境基準を達成できなかった測定局があったのは、選択肢の中では二酸化硫黄である。
正答 ①(二酸化硫黄)
長期的評価は、二酸化硫黄・浮遊粒子状物質・一酸化炭素では、1日平均値の高い方から2%を除いた値(年間2%除外値)を環境基準と比べ、基準を超える日が2日以上連続した局も未達成とする。二酸化窒素は、1日平均値の低い方から98%目に当たる値(年間98%値)で判定する。
令和4年度は、二酸化窒素、浮遊粒子状物質、一酸化炭素の長期的評価が、すべての有効測定局で達成された。ベンゼンも全地点で環境基準を下回った。二酸化硫黄では、長期的評価で未達成の測定局がわずかに残り、①が該当する。
短期的評価(1時間値や1日平均値が基準を超えたかどうか)と長期的評価は別に集計される。問題文がどちらの評価を問うているかを先に確かめる。
公式問題で大気概論 問5を見る
大気中の化学反応
問6 OHラジカルと反応しない大気成分
対流圏でOHラジカルと反応するには、引き抜かれる水素原子や、OHが付加できる二重結合などが必要である。水素を持たないCFC-12は反応しない。
正答 ④(CFC-12)
OHラジカルは対流圏の主要な酸化剤で、多くの物質の大気中での寿命を決めている。二酸化硫黄は酸化されて硫酸(硫酸塩粒子)になり、一酸化炭素は二酸化炭素になる。トルエンは芳香環へのOHの付加などから分解が進む。HCFC-141b(CH₃CCl₂F)は分子に水素を持ち、OHによる水素の引き抜きで対流圏でも一部が分解する。
CFC-12(CCl₂F₂)は炭素に塩素とふっ素だけが結合し、水素も二重結合もないので、OHとほとんど反応しない。対流圏で分解されずに成層圏まで上昇し、強い紫外線で光分解して塩素原子を放出し、オゾン層を破壊する。④が正しい。
HCFCがCFCの代替として使われた理由も同じで、分子に水素を持たせて対流圏で分解しやすくし、成層圏に届く量を減らしている。
公式問題で大気概論 問6を見る
温室効果ガス
問7 産業革命前と比べた温室効果ガス濃度
1750年と比べた2022年の濃度の比は、メタンが約2.6倍で最も大きく、二酸化炭素が約1.5倍、一酸化二窒素が約1.2倍である。
正答 ⑤(CH₄>CO₂>N₂O)
WMO温室効果ガス年報第19号によると、2022年の世界平均濃度は二酸化炭素417.9 ppm、メタン1,923 ppb、一酸化二窒素335.8 ppbで、1750年比はそれぞれ150%、264%、124%である。大きい順にCH₄>CO₂>N₂Oとなり、⑤が正しい。
濃度の絶対値では二酸化炭素が桁違いに大きいが、この問は1750年からの増え方の比を問うている。メタンは化石燃料の採掘、家畜、水田、廃棄物などの人為起源の排出が多く、比では最も大きく増えている。
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固定発生源の排出量
問8 業種別の大気汚染物質排出量
選択肢の5業種のうち、電気業、鉄鋼業、窯業・土石製品製造業、石油製品・石炭製品製造業は、硫黄酸化物・窒素酸化物・ばいじんのいずれかで上位3位に入る。パルプ・紙・紙加工品製造業だけは、どの物質でも3位以内に入らない。
正答 ②(パルプ・紙・紙加工品製造業)
大気汚染物質排出量総合調査は、ばい煙発生施設を持つ工場・事業場の排出量を業種別に集計する調査である。令和2年度実績では、②のパルプ・紙・紙加工品製造業だけが、3物質のどれでも上位3位に入らなかった。
電気業は燃料の使用量が多く、3物質とも排出量が大きい。鉄鋼業は焼結炉やコークス炉、窯業・土石製品製造業はセメントキルンなど、大きな高温の焼成工程を持つ。パルプ・紙製造業もボイラーで多くの燃料を使うが、排出量の順位では上位の業種に及ばない。
公式問題で大気概論 問8を見る
揮発性有機化合物
問9 VOCの排出抑制制度
VOCの排出抑制は、排出基準による規制と事業者の自主的な取組の組合せで進めてきた。総量規制は行われていない。
正答 ③(VOCに総量規制は行われていない)
VOCは、光化学オキシダントの原因物質であり(①)、浮遊粒子状物質やPM2.5の二次生成粒子の原因物質でもある(②)。固定発生源には、塗装、印刷、接着、洗浄、化学品の製造、燃料の貯蔵・出荷などの施設がある(④)。
大気汚染防止法は、一定規模以上のVOC排出施設に排出口濃度の排出基準を課し、それ以外は業界団体などの自主的取組に委ねた。地域全体の排出量に上限を設ける総量規制は導入されていないので、③は誤りである。
固定発生源からのVOC排出量は、2010年度までに2000年度比で3割程度削減する目標を達成し、その後も削減が続いた。2019年度は2000年度の半分以下になっている(⑤)。
公式問題で大気概論 問9を見る
粒子状物質の健康影響
問10 粒子状物質の沈着とクリアランス
肺胞には線毛がない。肺胞領域に沈着した粒子は、肺胞マクロファージの貪食などでゆっくり除かれるので、④が誤りである。
正答 ④(肺胞には線毛がない)
線毛運動による排出(粘液線毛クリアランス)が働くのは、気管から細気管支までの気道である。粘液に捕らえた粒子を線毛が咽頭側へ運び、数時間から1日程度で除く。肺胞領域には線毛も粘液層もなく、マクロファージの貪食やリンパ系への移行によって、数か月以上かけて除かれる。
粒子の生体影響は、濃度だけでなく、沈着する部位を左右する粒径と、硫酸塩・硝酸塩・元素状炭素・有機物などの化学組成にも左右される(①②)。口呼吸では鼻腔でのろ過を通らないが、0.05〜2 μm程度の粒子は慣性衝突も沈降も拡散も起こりにくいので、気管気管支領域への沈着率が低い(③)。
PM2.5には、1年平均値15 μg/m³以下かつ1日平均値35 μg/m³以下の環境基準がある。これとは別に、1日平均値が70 μg/m³を超えると見込まれる日に注意喚起を行うための暫定的な指針値が示されている(⑤)。
公式問題で大気概論 問10を見る
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大気特論の解答・解説(15問)
科目3。燃料と燃焼計算、燃焼装置、排煙脱硫・脱硝、排ガスの採取と自動計測を問う科目です。大気関係第1〜4種で受験します。
気体燃料の発熱量
問1 高発熱量と低発熱量の差
高発熱量と低発熱量の差は、燃焼で生じる水蒸気の凝縮潜熱である。燃料1 m³Nから生じる水の量が同じなら、差も等しくなる。
正答 ④(エタンとジメチルエーテル)
高発熱量は生成した水蒸気が凝縮したときの潜熱を含み、低発熱量は含まない。差は燃料1 mol(1 m³N)当たりに生じるH₂Oの量に比例するので、各燃料の水素原子の数を比べればよい。水素は1 mol、メタンは2 mol、エタンは3 mol、プロパンは4 mol、ジメチルエーテルは3 molのH₂Oを生じる。
C2H6+3.5O2→2CO2+3H2O
(CH3)2O+3O2→2CO2+3H2O
エタンとジメチルエーテルはどちらも水素原子を6個持ち、1 m³N当たり3 m³NのH₂Oを生じるので、差が等しい(④)。差の大きさは、H₂O 1 m³N当たりの凝縮潜熱(約2 MJ)の3倍になる。ほかの組合せは水素原子の数が異なる。
公式問題で大気特論 問1を見る
石炭の性状
問2 石炭化度と粘結性の指標
石炭化が進むと固定炭素の割合が増え、着火温度は上がる。コークス用炭の粘結性は膨張度で推定する。
正答 ④(増加/上昇/膨張度)
石炭は、褐炭、亜瀝青炭、瀝青炭、無煙炭の順に石炭化が進む。揮発分が抜けて炭素の割合が高まるので、固定炭素は増加し、揮発分は減る。揮発分が少ないほど燃えにくくなり、乾燥した石炭の着火温度は上昇する。
コークスの製造で最も重視されるのは、加熱すると軟化・溶融して粒子どうしが固まる粘結性である。粘結性は、るつぼ膨張試験の膨張度などで推定する。燃料比(固定炭素÷揮発分)は石炭化の程度や燃えやすさを表す指標で、粘結性の推定には使わない。増加・上昇・膨張度の④が正しい。
公式問題で大気特論 問2を見る
燃焼計算
問3 プロパン燃焼の空気比と酸素濃度
乾き燃焼排ガス中のCO₂濃度から空気比を逆算し、その空気比で排ガスに残る酸素の割合を求める。
正答 ⑤(空気比1.15、O₂濃度2.96%)
プロパン1 m³Nを燃やすと、理論酸素量は5 m³N、生じるCO₂は3 m³Nである。空気比をmとすると、乾き排ガスはCO₂が3、余剰O₂が5(m−1)、N₂が18.8m(5m×3.76)で、合計は23.8m−2 m³Nになる。生成したH₂Oは乾き排ガスに含めない。
C3H8+5O2→3CO2+4H2O
23.8m−23=0.1182
23.8m−2=25.38⇒m≈1.15
O2=25.385×(1.15−1)×100≈2.96 %
空気比1.15、O₂濃度2.96%の⑤が正しい。空気比1のときのCO₂濃度は3÷21.8で約13.8%になる。11.82%がこれより低いことからも、空気過剰の燃焼であることが分かる。
公式問題で大気特論 問3を見る
燃焼計算
問4 酸素富化空気で湿り排ガス量を10%減らす
水素の燃焼では、湿り排ガスは生成水、余剰酸素、窒素からなる。酸素濃度で変わるのは窒素の量だけなので、排ガス量の式から酸素濃度を逆算できる。
正答 ①(23.8%)
水素1 m³Nの理論酸素量は0.5 m³Nで、空気比1.1では供給する酸素が0.55 m³N、余剰の酸素が0.05 m³N、生じるH₂Oが1 m³Nである。酸素濃度xの酸化剤を使うと、一緒に入る窒素は0.55(1−x)/x m³Nになる。
V(x)=1.05+0.55x1−x
V(0.21)=1.05+0.55×0.210.79≈3.119
V(x)=0.9×3.119=2.807
x1−x≈3.195⇒x≈0.238
酸素濃度を23.8%にすれば、湿り排ガス量が10%減る(①)。21%から3ポイント足らず上げるだけで1割減るのは、排ガスの大部分を占める窒素が大きく減るためである。排ガス量が減ると排ガスが持ち去る熱が少なくなり、熱効率が上がる。
公式問題で大気特論 問4を見る
バーナー
問5 油圧式バーナーの油量調節範囲
油圧式バーナーの油量調節範囲は、戻り油形の方が広い。非戻り油形は噴射圧力で油量を変えるので、調節範囲が狭い。
正答 ③(非戻り油形の油量調節範囲は狭い)
油圧式(圧力噴霧式)バーナーは、加圧した油をノズルから噴き出して微粒化する。非戻り油形は油量を噴射圧力で変えるが、圧力を下げると微粒化が悪くなるので、油量調節範囲は狭い。戻り油形は、噴射圧力を保ったまま一部の油を戻して噴射量を変えられるので、調節範囲が広い。③は大小が逆である。
部分予混合形バーナーには、燃料の噴流が空気を吸い込む方式と、空気の流れが燃料を吸い込む方式がある(①)。拡散燃焼形は燃料と空気を別々に出して火炎の中で混ぜるので、逆火の心配が少ない(②)。
高圧気流式は、圧縮空気や蒸気で油を微粒化する。微粒化がよく調節範囲も広いが、噴霧媒体の噴出に伴う燃焼騒音が大きい(④)。回転式は、高速で回るカップから油を遠心力で飛ばすので、噴霧角度が高圧気流式より大きい(⑤)。
公式問題で大気特論 問5を見る
流動層燃焼
問6 気泡流動層と循環流動層
気泡流動層は、粒子が層内にとどまる低いガス流速で運転する。循環流動層は流速を上げて粒子を炉の上部まで運び、サイクロンで戻して循環させる。
正答 ④(気泡流動層は循環流動層より低い流速で運転)
流動層燃焼は、石炭と石灰石・砂などの粒子を下から吹き込む空気で浮遊流動させ、その中で燃焼させる方式である(①)。燃料は数mm程度に粗く砕いたものを使い、微粉炭ほど細かくする必要はない(②)。
層の温度を800〜900 ℃程度の比較的低い温度に保てるので、サーマルNOxの生成が抑えられ、層内の石灰石で炉内脱硫もできる(③)。
気泡流動層のガス流速は、粒子が層の中で気泡とともに動く程度に抑える。循環流動層はそれより高い流速で運転し、炉の上部まで運ばれた粒子を高温サイクロンで捕集して炉へ戻す(⑤)。④は二つの方式の流速の大小が逆である。
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低温腐食
問7 低温腐食の防止対策
低温腐食は、排ガス中の硫酸蒸気が伝熱面で凝縮して起こる。伝熱面の温度は酸露点より高く保つ必要があり、②は逆である。
正答 ②(伝熱面温度は酸露点より高く保つ)
燃料中の硫黄は燃焼でSO₂になり、その一部がSO₃に酸化される。SO₃は水蒸気と結び付いて硫酸蒸気になり、伝熱面の温度が酸露点を下回ると硫酸として凝縮して、空気予熱器やエコノマイザーを腐食させる。酸露点は水の露点よりかなり高く、150 ℃前後になることもある。
対策は、SO₃を減らすか、凝縮させないかのどちらかである。硫黄分の少ない燃料(①)や、理論空気量に近い低空気比での燃焼(⑤)はSO₃の生成を減らす。酸化マグネシウム粉末などを吹き込むと、SO₃を中和して硫酸塩として除ける(④)。熱交換器内のガスの流れを一様にすると、局所的に温度が下がる部分ができにくい(③)。
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排煙脱硫
問8 排煙脱硫プロセスと副生物
酸化吸収法は希硫酸を吸収液に使い、吸収したSO₂を液中で酸化して石こうなどとして回収する。活性炭と硫黄回収の組合せは、乾式の活性炭吸着法のものである。
正答 ⑤(酸化吸収法の吸収液は希硫酸)
石灰スラリー吸収法は炭酸カルシウムでSO₂を吸収し、酸化して石こうとして回収する(①)。水酸化マグネシウムスラリー吸収法は、吸収で生じた亜硫酸マグネシウムを酸化して硫酸マグネシウムにし、排水として処理する(②)。アンモニア水を使うアルカリ溶液吸収法は、硫酸アンモニウム(硫安)を回収できる(③)。
ダブルアルカリ法は、水酸化ナトリウムなどのナトリウム塩溶液でSO₂を吸収し、その液を別の槽で石灰と反応させて石こうを取り出し、ナトリウム塩を再生する(④)。
酸化吸収法は、希硫酸を吸収液とし、触媒で亜硫酸を硫酸に酸化したあと、石灰石を加えて石こうとして回収する。活性炭を使うのは乾式の活性炭吸着法で、吸着したSO₂を脱着させて硫黄や硫酸として回収する。⑤はプロセス名と吸着剤の組合せが誤りである。
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排煙脱硫
問9 石灰スラリー吸収法の運転トラブル
吸収液のpHが下がると、SO₂が吸収されにくくなって脱硫率が落ちる。pHの上昇を脱硫率低下の要因とした②が誤りである。
正答 ②(脱硫率を下げるのは吸収液のpH低下)
SO₂は水に溶けると酸性を示すので、吸収液のアルカリ性が保たれているほど吸収が進む。石灰石の供給不足や溶解の遅れでpHが下がると、脱硫率が低下する。pHが高すぎるとスケールの付着など別のトラブルの原因になるが、脱硫率はむしろ上がる方向に働く。
ガス流路に固形物が付着すると通風抵抗が増え、圧力損失が大きくなる(①)。流量調節弁がスラリーで閉塞すれば吸収液の流量が下がる(③)。排ガス中のスート(すす)が増えると、石こうに混ざって副生物の品質が落ちる(④)。設計温度を超える排ガスが入ると、ゴムライニングや樹脂などの材料が損傷する(⑤)。
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窒素酸化物の抑制
問10 NOx抑制方式と抑制効果
二段燃焼は、燃焼域を空気不足にして酸素濃度を下げ、火炎温度も下げる方法である。サーマルNOとフューエルNOの両方に効果がある。
正答 ③(二段燃焼はサーマルNO・フューエルNOとも抑制)
サーマルNOは空気中の窒素が高温で酸化されて生じ、火炎温度、高温域での滞留時間、酸素濃度に左右される。フューエルNOは燃料中の窒素化合物から生じ、主に燃焼域の酸素濃度に左右され、温度の影響は小さい。
二段燃焼は、一段目を理論空気量より少ない空気で燃やし、残りの空気を後から加える。一段目では酸素が少ないので燃料中の窒素がN₂に変わりやすく、燃焼が二段に分かれるので火炎温度も下がる。両方のNOに効く③が正しい。
燃焼室熱負荷の低減、空気予熱温度の低下、排ガス再循環、エマルション燃料は、いずれも主に火炎温度を下げる方法で、サーマルNOには効くがフューエルNOへの効果は小さい。①はフューエルNOにも効果ありとしている点、②⑤は抑制理由を酸素濃度の低下としている点、④はサーマルNOに効果なしとしている点が誤りである。
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排煙脱硝
問11 排煙脱硝技術
アンモニア接触還元法は、触媒層に排ガスとアンモニアを通す乾式の方法で、我が国の排煙脱硝の大部分を占める。湿式とした①が誤りである。
正答 ①(アンモニア接触還元法は乾式)
アンモニア接触還元法(選択触媒還元法、SCR)は、300〜400 ℃程度の排ガスにアンモニアを注入し、酸化チタン系などの触媒上でNOを窒素と水に還元する。吸収液を使わないので乾式に分類される。
4NO+4NH3+O2→4N2+6H2O
反応式のとおり、NOとアンモニアは1:1のモル比で反応する(②)。無触媒還元法は触媒を使わず、1,000 ℃前後の高温域にアンモニアを吹き込む方法で、水素を一緒に加えると反応温度を下げられる(③)。還元剤に尿素を使う方式も実用化されている(④)。活性炭法は、SO₂の吸着とアンモニアによるNOの還元を同じ活性炭層で行う同時脱硫・脱硝技術である(⑤)。
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燃料ガスの分析
問12 燃料ガス分析のガスクロマトグラフ法
燃料ガス・天然ガスの分析方法を定めたJISで、ガスクロマトグラフ法の対象になるのは水素や炭化水素などである。アンモニアは別の化学分析法で定量する。
正答 ②(アンモニア)
ガスクロマトグラフ法は、カラムで成分を分離し、熱伝導度検出器や水素炎イオン化検出器で検出する方法である。水素、酸素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素などの無機ガスから、プロピレンのような低級炭化水素、トルエンやナフタレンのような芳香族炭化水素まで、気化する成分をまとめて分析できる。①③④⑤は対象成分である。
アンモニアは極性が強く、カラムに吸着しやすい。燃料ガスの分析方法を定めたJIS(JIS K 2301)では、アンモニアはガスクロマトグラフ法とは別の化学分析法で定量する成分として扱われている。②が誤りである。
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排ガス試料採取
問13 円形ダクトの試料ガス採取位置
JIS K 0095は、ダクトの屈曲部や断面形状が急に変わる部分を避け、流れが整った直管部に採取位置を置くよう求めている。
正答 ③(ア○・イ×・ウ×・エ○)
屈曲部や拡大部の近くでは流速分布が偏り、ガスの成分や粒子の濃度も断面内で不均一になりやすい。JIS K 0095は、測定位置として、屈曲部分や断面形状が急激に変化する部分を避け、排ガスの流れが比較的一様に整流され、作業が安全かつ容易な場所を選ぶとしている。
図の候補では、曲がりの手前にある鉛直の直管部(ア)と、拡大部を過ぎた後の直管部(エ)が採取位置として適切である。曲がりの途中(イ)と、断面が広がる拡大部(ウ)は流れが乱れているので採取位置にできない。○・×・×・○の③が正しい。
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二酸化硫黄の自動計測
問14 SO₂自動計測器の方式と妨害成分
各方式の妨害成分は、SO₂のどの性質を測るかで決まる。紫外線吸収方式で妨害になるのは、紫外域に吸収を持つ二酸化窒素である。
正答 ③(紫外線吸収方式の妨害成分は二酸化窒素)
溶液導電率方式は、SO₂を吸収液に溶かしたときの導電率の変化を測るので、液に溶けて導電率を変えるアンモニアや塩化水素などが妨害する(①)。赤外線吸収方式は赤外域の吸収を測るので、同じ波長域に吸収を持つ水分が妨害する(②)。
紫外線吸収方式は紫外域でのSO₂の吸収を測る。この波長域に吸収を持つ二酸化窒素が妨害成分で、一酸化窒素との組合せとした③は誤りである。
紫外線蛍光方式は、紫外線で励起したSO₂が出す蛍光を測るので、同じように蛍光を出す芳香族などの炭化水素が妨害する(④)。干渉分光方式は赤外のスペクトルを干渉計で測るので、二酸化炭素など赤外域に吸収を持つ共存成分が影響する(⑤)。
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窒素酸化物の自動計測
問15 化学発光分析計の原理と構成
化学発光分析計は、NOとオゾンの反応で生じる光を光学フィルターで選び、光電子増倍管などで測る。プリズムや回折格子で分光する構成ではない。
正答 ⑤(測光部にプリズム・回折格子は使わない)
NOとオゾンが反応すると励起状態のNO₂ができ、基底状態に戻るときに600 nmより長い波長の光を出す(①)。発光の強さはNOの濃度に比例する。オゾンは空気中の酸素から無声放電や紫外線照射で発生させる(③)。
NO+O3→NO2∗+O2
NO2∗→NO2+hν
NO₂は直接発光しないので、NOxとして測るときはNO₂−NOコンバーターでNO₂をNOに変えてから測定する(②)。共存するCO₂は、励起状態のNO₂からエネルギーを奪って発光を弱める(消光)ので、誤差の原因になる(④)。
測光部は、光学フィルター、光電子増倍管などの光電変換素子、増幅回路から成る。発光は特定の反応から生じるので、波長を細かく分ける必要がなく、プリズムや回折格子は使わない。⑤が誤りである。
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ばいじん・粉じん特論の解答・解説(15問)
科目4。ダストの性質、集じん装置の原理と計算、石綿とダスト濃度の測定を問う科目です。大気関係第1〜4種、特定粉じん関係で受験します。
ダストの特性
問1 ダストの凝集性とかさ密度
粒子が小さいほど、重さに比べて付着力・凝集力が強く働き、凝集しやすくなる。③は逆である。
正答 ③(粒子径が小さいほど凝集しやすい)
粒子どうしの付着力(ファンデルワールス力など)は粒子径にほぼ比例するが、重力や慣性力は粒子径の3乗に比例する。粒子が小さくなるほど付着力が相対的に勝つので、凝集しやすくなる。
ρb=(1−ε)ρp=(1−0.5)ρp=0.5ρp
空隙率0.5の堆積層のかさ密度は粒子密度の1/2である(①)。空気力学的粒子径は粒子密度の平方根に比例するので、密度が2倍になると√2倍になる(②)。見掛け電気抵抗率が高いダストは電荷を逃がしにくく、静電気による付着力が大きくなる(④)。水分や硫酸分を取り込むと液体の橋渡しによる付着力が働き、凝集しやすくなる(⑤)。
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集じん装置の比較
問2 集じん装置の圧力損失
ベンチュリスクラバーは、スロート部の高速のガスで液を微粒化して粒子を捕集するので、圧力損失が集じん装置の中で最も大きい。
正答 ④(ベンチュリスクラバー)
実用範囲の圧力損失は、おおよそ重力沈降室が0.05〜0.1 kPa、ルーバー形慣性力集じん装置が0.3〜0.7 kPa、サイクロンが0.5〜1.5 kPa、バグフィルターが1〜2 kPa、ベンチュリスクラバーが3〜8 kPaである。最も大きいのはベンチュリスクラバーで、④が正しい。
ベンチュリスクラバーは、スロート部のガス速度を60〜90 m/s程度まで上げ、水滴と粒子の速度差を大きくして慣性衝突で捕集する。サブミクロンの粒子まで捕集できる代わりに、送風機の動力が大きくなる。
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流通形式集じん装置
問3 流動状態と集じん率の曲線
層流では集じん率がwA/Qに比例して1に達する。断面ごとに濃度が均一な乱流では指数関数的に1へ近づき、装置全体が完全に混ざる乱流では最も低い曲線になる。
正答 ①(ア=層流、イ=断面内均一の乱流、ウ=完全混合の乱流)
層流では、粒子がガスと混ざらずに分離速度wで集じん面へ移動するので、集じん率はwA/Qに比例し、wA/Q=1で100%になる。図の直線(ア)がこれに当たる。
ηA=QwA(≤1)
ηB=1−exp(−QwA)
ηC=1+wA/QwA/Q
流れ方向の断面ごとに濃度が均一な乱流では、入口から出口へ進むにつれて濃度が指数関数的に下がり、ドイッチェの式と同じ形になる(イ)。装置内のすべてで濃度が均一な場合は、全体が出口と同じ低い濃度のまま集じんされるので、効率が最も低い(ウ)。wA/Q=2.5では(イ)が約0.92、(ウ)が約0.71で、図の曲線と一致する。(A)(B)(C)の順の①が正しい。
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遠心力集じん
問4 遠心力集じん装置の遠心効果
遠心効果は、遠心力が重力の何倍かを表す値で、円周方向速度の2乗を回転半径と重力加速度の積で割って求める。
正答 ④(約5.4×10²)
Z=rgvθ2
Z=(7.5×10−2)×9.8202≈5.4×102
遠心効果は約540で、④が正しい。粒子は重力の約540倍の力で外壁へ押し付けられる。回転半径を小さくするか、入口の速度を上げると遠心効果は大きくなり、より細かい粒子まで分離できる。小形のサイクロンを並べるマルチサイクロンは、この性質を使っている。
重力加速度で割らずにv²/rだけを計算すると約5.3×10³になり、⑤を選んでしまう。遠心効果は加速度どうしの比なので、単位が消える形になっているかを確かめる。
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電気集じん
問5 コロナ放電と粒子の荷電
負コロナは正コロナより火花放電に移りにくく、高い電圧で安定して運転できる。産業用の電気集じん装置が負コロナを使うのはこのためで、「約1/2」とした①が誤りである。
正答 ①(負コロナの火花電圧は正コロナより高い)
電界荷電は、電気力線に沿って移動するイオンが粒子に衝突して付着する荷電で(②)、飽和帯電量は粒子径の2乗と電界強度に比例する(③⑤)。拡散荷電は、イオンの熱運動による衝突で起こる荷電で、帯電量はほぼ粒子径に比例する(④)。
qfield∝Edp2,qdiffusion∝dp
粒子径がおよそ1 μmより大きい粒子では電界荷電が、0.2 μm程度より小さい粒子では拡散荷電が支配的になる。その中間の粒子は両方の荷電が働くが、帯電量が小さく、電気集じん装置で捕集しにくい粒径域になる。
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電気集じん
問6 一段式と二段式の電気集じん装置
二段式は荷電部と集じん部を分けた電気集じん装置で、空気清浄やミストの捕集に使われる。付着性の高いダストを二段式が特に苦手とする記述は誤りである。
正答 ⑤(二段式は付着性の高い粒子の捕集にも使われる)
一段式は、放電極と集じん極の間で荷電と捕集を同時に行う。集じん極上の粒子にも電界がかかり続け、はがれた粒子も再び荷電されるので、再飛散を抑えやすい(①)。大容量の産業用として最も広く使われている(②)。一方、見掛け電気抵抗率が異常に高いダストが集じん極にたまると、ダスト層の中で放電が起こる逆電離を避けにくい(③)。
二段式は、前段の荷電部で粒子を帯電させ、後段の集じん部では放電させずに電界だけで捕集する。集じん部の電極間隔を小さくできるので小形化しやすい(④)。空気清浄用のほか、オイルミストのような付着性の高い粒子の捕集にも用いられる。⑤の「付着性の高いダストの集じんが困難」は誤りである。
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障害物形式集じん
問7 障害物形式集じん装置の集じん率
障害物の表面積が大きく、装置が長く、障害物1個の捕集効率が高いほど、集じん率は1に近づく。指数の分子にA・L・ηtが入る式が正しい。
正答 ②(A・L・ηtが指数の分子、Vが分母の式)
障害物形式の集じん装置(充塡層や繊維層など)では、ガスが少し進むごとに、その時点の濃度に比例した割合で粒子が捕集される。捕集の度合いは、単位体積当たりの障害物の表面積A/V、装置長さL、障害物1個当たりの捕集効率ηtの積で決まる。これを装置の長さ方向に積分すると、出口濃度は入口濃度に対して指数関数的に下がる。
η=1−exp(−VcALηt)
A、L、ηtのどれかを大きくすると指数の絶対値が大きくなって集じん率が上がる。表面積が同じまま体積Vだけを大きくすると、障害物がまばらになって集じん率は下がる。この関係を満たすのは②だけである。①④はAが分母に、③④はηtが分母に、⑤はVが分子に入っている。
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洗浄集じん
問8 充塡層式の洗浄集じん装置
洗浄集じん装置は、貯水式、加圧水式、充塡層式、回転式に分けられる。充塡層式に当たるのは流動層スクラバーである。
正答 ⑤(流動層スクラバー)
充塡層式は、塔内に充塡物の層を作り、その表面の液膜や液滴にガスを接触させて粒子を捕集する。流動層スクラバーは、プラスチックなどの軽い球を充塡物とし、ガスの流れで球を浮遊・運動させながら液と接触させる方式で、充塡物が詰まりにくい。⑤が正しい。
スプレー塔、ベンチュリスクラバー、ジェットスクラバー、サイクロンスクラバーは、いずれも加圧した水を噴霧・噴射して液滴を作る加圧水式である。ベンチュリスクラバーはスロート部の高速のガスで液を微粒化し、ジェットスクラバーは液の噴射でガスを吸い込む。サイクロンスクラバーは旋回するガスに液を噴霧する。
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ろ過集じん
問9 空隙率の変化とダスト層の圧力損失
ダスト負荷(単位面積当たりのダスト質量)が同じでも、空隙率が変わるとダスト層の厚さも変わる。この点を入れて比を取ると約0.35倍になる。
正答 ②(約0.35倍)
コゼニー・カルマンの式では、ダスト層の圧力損失は(1−ε)²/ε³と層の厚さLに比例する。ダスト負荷mが同じなら、L=m/{ρp(1−ε)}なので、Lは1/(1−ε)に比例する。両方を合わせると、圧力損失は(1−ε)/ε³に比例する。
Δp∝ε3(1−ε)2L
L=ρp(1−ε)m
Δp∝ε31−ε
Δp0.8Δp0.9=0.2/0.5120.1/0.729≈0.35
空隙率0.9の層の圧力損失は約0.35倍になり、②が正しい。層の厚さの変化を入れずに(1−ε)²/ε³だけで比を取ると約0.18になり、①を選んでしまう。
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ろ過集じん
問10 湿りガスを扱うバグフィルターの結露対策
湿りガスを扱うバグフィルターでは、処理ガス温度を露点より十分高く保ち、ろ布での結露を防ぐ。露点程度に保つとした③が誤りである。
正答 ③(処理ガス温度は露点より十分高く保つ)
ガスの温度が露点まで下がると、ろ布やダスト層で水分が凝縮し、ダストが固まって目詰まりや払い落としの不良が起こる(①)。そのため、ダクトやバグフィルター本体の保温、ホッパー部の加温ヒーターの取り付けを行う(②)。冬季は外気で冷やされやすいので熱風を送り、処理ガス温度を露点より十分高く保つ。③の「露点温度程度」では結露を防げない。
運転の開始前と停止後には、10分程度空気だけを通す運転を行い、装置内の湿ったガスを入れ替える(④)。燃焼ガスを含む場合は、硫酸などの酸露点が水の露点より高いので、酸露点を十分に上回る温度に保つ(⑤)。
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石綿
問11 クリソタイルの組成と性質
クリソタイル(白石綿)はマグネシウムを主成分とする蛇紋石族の石綿で、角閃石族のアモサイトやクロシドライトより密度が低く、酸に弱い。
正答 ④(マグネシウム/低く/劣って)
クリソタイルの化学組成はおおむねMg₃Si₂O₅(OH)₄で、けい素とマグネシウムからなる層状けい酸塩の層が丸まって繊維になっている。アモサイト(茶石綿)やクロシドライト(青石綿)は、鉄を多く含む角閃石族の石綿である。
密度は、クリソタイルが約2.5 g/cm³で、アモサイトやクロシドライトの約3.4 g/cm³より低い。酸に触れるとマグネシウムが溶け出すので、耐酸性は角閃石族の石綿より劣る。マグネシウム・低く・劣っての④が正しい。
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石綿の計数
問12 石綿繊維の計数規則
繊維が交差しているときは、全体を1本とせず、交差している繊維をそれぞれ数える。③が誤りである。
正答 ③(交差した繊維は1本ずつ数える)
アスベストモニタリングマニュアルの計数規則では、単繊維は1本(①)、1本の繊維から枝分かれした繊維は枝分かれを含めて全体を1本(②)と数える。数本の繊維が交差している場合は、それぞれを別の繊維として数えるので、③の「全体を1本」は誤りである。
繊維がからまって本数を正確に読み取れない場合は数えない(④)。計数視野の境界にかかる繊維は、両端が視野内にあれば1本、片方の端だけが視野内にあれば1/2本と数える(⑤)。境界にかかる繊維を半分ずつ数えることで、視野の取り方による偏りを抑えている。
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ダスト濃度の測定
問13 非等速吸引によるダスト濃度の誤差
吸引速度が速すぎると、慣性の大きい粒子が流線についてこられず、ダスト濃度は真の値より小さく出る。粒子が大きいほど差は大きい。
正答 ②(小さく/小さく/大きく)
吸引速度が排ガスの流速より大きいと、ノズルの周りのガスまで吸い込まれる。ガスは流線に沿ってノズルに入るが、大きな粒子は慣性でまっすぐ進むので、余分に吸ったガスに見合う粒子が入らない。そのため測定濃度は真の濃度より小さくなる。逆に吸引速度が小さいと、ノズルの前でそれるガスから粒子が飛び込み、測定濃度は大きくなる。
等速で吸引しても、ノズルが流れに対して傾いていると、開口に向かってくる粒子が減るので、測定濃度は真の濃度より小さくなる。
非等速吸引による誤差は、慣性の大きい粗い粒子ほど大きく、ガスにほぼ追従する微小な粒子では小さい。小さく・小さく・大きくの②が正しい。
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排ガス流速の測定
問14 ピトー管の動圧から排ガス流速を求める
ピトー管で測る動圧は流速の2乗に比例する。密度が同じなら、流速は動圧の平方根に比例する。
正答 ③(約10.7 m/s)
pd=21ρv2⇒v2=v1pd1pd2 動圧の比60/46≒1.30の平方根は約1.14で、流速は9.4×1.14≒10.7 m/sになる(③)。動圧の比をそのまま掛けると約12.3 m/sになり、平方根を取り忘れた④を選んでしまう。
実際の測定ではピトー管係数を掛けるが、同じピトー管の測定値どうしで比を取る場合は係数が打ち消し合う。排ガスの温度や組成が変わって密度が違う場合は、密度を求め直してから流速を計算する。
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ダスト濃度の測定
問15 ダスト捕集用ろ過材の特徴
ふっ素樹脂ろ紙は薬品に強いが、ろ過抵抗が大きい。①の「ろ過抵抗が小さい」は誤りである。
正答 ①(ふっ素樹脂ろ紙はろ過抵抗が大きい)
ダスト捕集器のろ過材は、排ガスの温度、共存するガス、ろ過抵抗を見て選ぶ。ふっ素樹脂ろ紙は、酸性ガスと反応しにくく吸湿性も低いが、緻密な膜の構造なのでろ過抵抗が大きく、大流量の吸引には向かない。
シリカ繊維ろ紙は耐熱性に優れるが、加熱したときの質量の減少(加熱減量)が大きいので、あらかじめ加熱処理して使う(②)。メンブレンろ紙は耐熱性が低く、主に一般空気中の粉じんの測定に使う(③)。
ガラス繊維ろ紙は耐熱性が高く強度も大きい(④)。ただしアルカリ成分を含むので、SO₃などの酸性ガスと反応して質量が増え、大きな誤差を生じることがある(⑤)。
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大気有害物質特論の解答・解説(10問)
科目5。カドミウムやふっ素化合物などの性質、吸収・吸着による処理、排ガスの分析方法を問う科目です。大気関係第1種・第2種で受験します。
カドミウム
問1 カドミウムの性質と閃亜鉛鉱中の形態
閃亜鉛鉱(ZnS)に含まれるカドミウムは、硫化物の形で存在する。硫酸カドミウムとした③が誤りである。
正答 ③(閃亜鉛鉱中のカドミウムは硫化物)
カドミウムは亜鉛と同じ12族の元素で性質が似ているので、亜鉛の硫化鉱物である閃亜鉛鉱の結晶の中で、亜鉛の一部と置き換わって硫化物として含まれる。亜鉛の製錬で副産物として回収され、製錬工程からの排出が大気汚染の原因になってきた。
カドミウムは銀白色の金属で、沸点は約767 ℃と、亜鉛(約907 ℃)や銅(約2,560 ℃)より低い(①)。そのため高温の製錬工程で揮発しやすく、酸化カドミウムのフュームとして排ガスに出る。塩化カドミウムや酸化カドミウムは毒性が強い(②)。
硫化カドミウムは黄色の顔料(カドミウムイエロー)に使われる(④)。カドミウムは中性子をよく吸収するので、中性子遮断ガラスの副原料には硫化カドミウムや炭酸カドミウムが使われる(⑤)。
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有害物質の発生源
問2 製品と製造時に発生する有害物質
水蒸気活性化法は、高温の水蒸気で炭化物に細孔を作る方法である。塩素は使わず、発生もしない。
正答 ③(水蒸気活性化法では塩素は発生しない)
活性炭は、木材、やし殻、石炭などを炭化したあと、細孔を発達させる賦活(活性化)を行って作る。水蒸気活性化法は800〜1,000 ℃程度の水蒸気と炭素を反応させる方法で、塩素を含む原料を使わない。③が誤りである。
ガラス繊維の製造では、原料にほたる石などのふっ素化合物を使うことがあり、溶融時にふっ化けい素が出る(①)。過りん酸石灰は、ふっ素を含むりん鉱石を硫酸で分解して作るので、ふっ化水素や四ふっ化けい素が発生し、これを水に吸収するとヘキサフルオロけい酸ができる(②)。
クロロホルムはメタンなどの塩素化で作り、副生物として塩化水素が出る(④)。リサージは一酸化鉛(PbO)で、製造工程から鉛を含むダストが出る(⑤)。
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ガス吸収
問3 ガス吸収装置の方式
塔の底からガスを液中に吹き込んで気泡にする方式は、気泡塔の説明である。スプレー塔は、塔内に液を噴霧してガスと接触させる。
正答 ①(説明は気泡塔のもの)
スプレー塔は、空塔の上部や側面のノズルから吸収液を噴霧し、上昇するガスと液滴を接触させる装置である。構造が簡単で圧力損失が小さく、固形物を含むガスでも詰まりにくいが、液滴の表面だけで吸収するので、溶けにくいガスの吸収効率は高くない。①の説明は気泡塔のもので、組合せが誤りである。
段塔は塔内の棚段の上でガスと液を接触させる(②)。サイクロンスクラバーは、旋回しながら上昇するガスに中心の管から液を噴霧する(③)。ベンチュリスクラバーはスロート部で液を噴霧し、高速のガスで微粒化する(④)。ぬれ壁塔は、管の内壁を流れ落ちる液膜とガスを接触させる(⑤)。
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ガス吸着
問4 ガス吸着の用語と破過点
破過点は、充塡層出口の濃度が上がり始めて、許容できる濃度(破過濃度)に達した時点をいう。入口濃度に達するのは、吸着層が飽和した時点である。
正答 ⑤(破過点は出口濃度が許容値に達した点)
吸着剤の充塡層にガスを流し続けると、吸着が進んでいる領域(吸着帯)が入口から出口へ移動する。吸着帯の先端が出口に届くと出口の濃度が上がり始め、あらかじめ決めた許容濃度に達した時点が破過点になる。実際の装置は、破過点に達する前に吸着剤の再生や交換を行う。⑤は飽和の説明で、破過点の定義としては誤りである。
吸着等温線は、一定温度での平衡濃度と平衡吸着量の関係を表す(①)。ラングミュアーの式は単分子層の吸着を仮定した等温式である(②)。脱着は、吸着された物質が離れて気相に戻ること(③)、破過曲線は出口濃度の時間変化を表す曲線である(④)。
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ふっ素化合物
問5 ふっ化水素の吸収とふっ素化合物の性質
ふっ化水素は水にきわめてよく溶けるので、水への吸収ではガス側の境膜抵抗が吸収速度を支配する。液側とした②が誤りである。
正答 ②(ガス側境膜抵抗が吸収速度を支配する)
ガス吸収の総括抵抗は、ガス側境膜抵抗と液側境膜抵抗の和で表される。溶解度の大きいガス(ふっ化水素、塩化水素、アンモニアなど)は液側の抵抗が小さく、ガス側の抵抗が支配的になる。溶解度の小さいガス(酸素、二酸化炭素など)では、逆に液側の抵抗が支配的になる。
ふっ化水素の水溶液(ふっ化水素酸)は電離度が小さい弱酸だが、ガラスや金属を侵す強い腐食性を持つ(①)。ヘキサフルオロけい酸(H₂SiF₆)の水溶液は強酸である(③)。四ふっ化けい素は水と反応してヘキサフルオロけい酸と二酸化けい素を生じ、析出した二酸化けい素が充塡物やノズルを閉塞させる(④)。
3SiF4+2H2O→2H2SiF6+SiO2
ふっ化水素を含む洗浄水は、水酸化カルシウムで中和すると、水に溶けにくいふっ化カルシウムとして除ける(⑤)。
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特定物質
問6 刺激臭のある特定物質
一酸化炭素は無色・無臭の気体である。においで漏洩に気付けないことが、一酸化炭素中毒の危険を大きくしている。
正答 ②(一酸化炭素は無臭)
大気汚染防止法の特定物質は、物の合成・分解などの化学的処理に伴って発生し、事故で大量に出ると人の健康や生活環境に被害を生じるおそれがある28物質である。アンモニア、ホルムアルデヒド、二酸化硫黄、塩素は常温で気体で、いずれも強い刺激臭を持つ(①③④⑤)。
一酸化炭素も特定物質の一つで常温では気体だが、色もにおいもない。血液中のヘモグロビンと強く結び付いて酸素の運搬を妨げるので、刺激に気付かないまま中毒に至る。②が誤りである。
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特定物質の漏洩対策
問7 漏洩時に炭酸ナトリウムで中和できない物質
炭酸ナトリウムで中和処理できるのは、ふっ化水素、塩化水素、硫酸のような酸である。フェノールは酸性がきわめて弱く、中和による処理の対象にならない。
正答 ③(フェノール)
炭酸ナトリウムは弱アルカリで、酸と反応して塩と二酸化炭素を生じる。ふっ化水素、塩化水素、硫酸のほか、水と反応して硫酸と塩化水素を生じるクロルスルホン酸も、漏洩したときは炭酸ナトリウムなどのアルカリで中和できる(①②④⑤)。
フェノールはベンゼン環にヒドロキシ基が付いた化合物で、水溶液はごく弱い酸性を示すにすぎない。漏洩時の処理として炭酸ナトリウムによる中和は用いられず、流出を止めて回収し、残りを吸着材などで除く。③が正しい。
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ふっ素化合物の分析
問8 排ガス中のふっ素化合物の分析(JIS K 0105)
ふっ化物イオン標準液は、ふっ化ナトリウムを水に溶かして調製する。ふっ化水素酸を使うとした③が誤りである。
正答 ③(標準液はふっ化ナトリウムから調製)
JIS K 0105は、排ガス中のガス状の無機ふっ素化合物を吸収液に捕集し、ふっ化物イオンとして定量する方法である(①)。吸収液には0.1 mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を使う(②)。
標準液の原料には、純度が高く、乾燥して正確に量り取れるふっ化ナトリウムを使う。ふっ化水素酸は揮発しやすく腐食性も強いので、濃度を正確に決める標準液の調製には向かない。
アルミニウム(Ⅲ)や鉄(Ⅲ)はふっ化物イオンと錯体を作って定量値を下げるので、影響があるときは水蒸気蒸留でふっ化物イオンを分離する(④)。定量は、標準液で作った検量線で行う(⑤)。
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塩素の分析
問9 排ガス中の塩素分析方法の定量下限
排ガス中の塩素分析方法(JIS K 0106)では、定量範囲の下限値はABTS吸光光度法が最も小さく、PCP吸光光度法、イオンクロマトグラフ法の順に大きくなる。
正答 ①(ABTS吸光光度法<PCP吸光光度法<IC法)
ABTS吸光光度法は、塩素がABTSを酸化して生じる発色を測る方法で、発色の感度が高く、最も低い濃度まで定量できる。PCP吸光光度法も発色反応を使う吸光光度法で、定量範囲の下限値はABTS法に次いで小さい。
イオンクロマトグラフ法は、吸収液に捕集した塩素をイオンとして分離・定量する方法で、3法の中で定量範囲の下限値が最も大きい。ABTS<PCP<ICの①が正しい。測る濃度の範囲に合わせて方法を選べるように、規格は複数の方法を並べている。
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カドミウムの分析
問10 ICP質量分析法によるカドミウムの定量
ICP質量分析法は、イオンを質量/荷電数比(m/z)ごとに分けて数える。下線部④の「質量数」は誤りである。
正答 ④(測定するのは質量/荷電数比のイオンカウント)
ICP質量分析法では、試料溶液をネブライザーで霧にしてアルゴンの誘導結合プラズマに導き、元素をイオン化する。生じたイオンを四重極などの質量分析部でm/zごとに分け、検出器でイオンの数を数える。質量分析部が分けているのは、イオンの質量そのものではなくm/zである。
プラズマ中ではほとんどの元素が1価のイオンになるので、m/zの値は質量数とほぼ同じになる。ただし、2価のイオンや多原子イオンが同じm/zに重なる干渉があるので、規格はm/zで書いている。
試料溶液に内標準物質を加え、カドミウムとのイオンカウントの比を取るのは、試料導入の効率やプラズマの状態の変動を補正するためである(①②③⑤)。
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大規模大気特論の解答・解説(10問)
科目6。大気拡散の理論と拡散計算、発電所・ごみ焼却施設などの大規模な排煙処理を問う科目です。大気関係第1種・第3種で受験します。
乱流拡散
問1 乱流拡散係数の大きさ
乱流拡散係数は、分子拡散係数よりはるかに大きい。10²〜10³倍という桁では足りないので、④が誤りである。
正答 ④(乱流拡散係数は分子拡散係数より何桁も大きい)
乱流拡散は、大気中の大小さまざまな渦が不規則に動くことで、煙が周りの空気と混ざりながら広がる現象である(①)。拡散の速さは乱れの強さと変動の周期で決まる(②)。
空気中の気体の分子拡散係数は10⁻⁵ m²/s程度と小さい。大気の乱流拡散係数は大気安定度や高さで大きく変わるが、分子拡散係数より何桁も大きく、10⁵倍以上になることも珍しくない。
大気の乱れには、短い周期から数時間以上の長い周期までの変動が含まれる(⑤)。平均化時間を長く取るほど長周期の変動が拡散として取り込まれるので、乱流拡散係数は平均化時間によって変わる(③)。
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大気の乱れ
問2 自由対流と強制対流の乱れ
自由対流の乱れは地表面の加熱で生じ、風速に比例して強まるものではない。風速とともに強まるのは強制対流の乱れである。
正答 ③(風速に比例して強まるのは強制対流の乱れ)
自由対流は、日射で暖められた地表面の上の空気が浮力で上昇する熱対流である(①)。乱れの強さは地表面から供給される熱の量で決まり、風が弱く晴れた日中に最も発達する。風速に比例して増大するとした③は誤りである。
強制対流は、地表面の凹凸(粗度)によって風速が高さとともに変わることから生じる機械的な乱れで(②)、乱れは風速に比例して強くなる。強制対流が卓越する強風下では大気がよく混ざり、安定度は中立に近づいて、気温減率は乾燥断熱減率(約0.98 ℃/100 m)に近づく(④)。強制対流で作られる中立層の厚さは一般に数百m以下である(⑤)。
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拡散幅
問3 拡散幅と濃度の平均化時間
パスキルの水平拡散幅σyは、平均化時間3分程度に相当するとされる。30分相当とした②が誤りである。
正答 ②(パスキルのσyは平均化時間3分相当)
風向は短い時間でも揺らぎ、長い時間で見ると煙流は左右に蛇行する。平均化時間を長く取るほど蛇行が平均に含まれ、水平拡散幅σyは大きくなる(①)。パスキル・ギフォードの拡散幅は短時間の観測をもとにしており、平均化時間3分程度の値とされている。
SO₂やNOxの濃度予測では、環境基準の評価に合わせて1時間値を求めるので、平均化時間1時間に相当する拡散幅に補正して使う(③)。補正には、σyが平均化時間の0.2乗程度に比例するという経験則が使われる。
σy,t=σy,3min(3mint)0.2
予測値と実測値は、平均化時間を長く取るほど短時間の変動が打ち消し合い、一致しやすくなる(④)。爆発性ガスのような危険物の漏洩では、数秒から数分の短い時間の濃度が問題になる(⑤)。
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プルーム拡散式
問4 煙流中心軸直下の地上濃度
煙流中心軸直下の地上濃度は、y=0、z=0とおき、地表面での反射を表す二つの指数項が等しくなることを使って求める。
正答 ③(約6 ppm)
z=0では、実際の煙源による項と、地表面での反射を表す鏡像の項が同じ値になり、和は2exp(−He²/2σz²)になる。He=200 m、σz=200 mなので、指数の中は−1/2で、exp(−1/2)=0.61を使う。y=0なので、水平方向の指数項は1である。
C=πuσyσzQexp(−2σz2He2)×106
C=π×1.3×250×2002×0.61×106
C=2.04×1051.22×106≈6 ppm
地上濃度は約6 ppmで、③が正しい。反射の項の係数2と分母の2πの2が約分されて、Q/(πuσyσz)の形になる。分母のπuσyσzは約2.04×10⁵ m³/sで、排出量2 m³/sとの比に10⁶を掛けてppmに直している。
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大気拡散モデル
問5 解析解モデルとパフモデル
拡散方程式を条件付きで数学的に解いた式が解析解で、それに排出量や風速などを与えて濃度を出す方式が解析解モデルである。パフモデルはその一つである。
正答 ④(対象物質排出量/解析解/パフ)
拡散係数が一定、風向・風速が一定などの仮定を置くと、拡散の微分方程式を数式の形で解ける。この解析解に、対象物質の排出量、風速、拡散幅、煙源の高さなどの値を代入すれば、濃度分布が求まる。こうした方式を解析解モデルと呼ぶ。
正規形プルームモデルとパフモデルは、どちらも解析解モデルである。プルームモデルは、風がある定常状態で連続して出る煙を扱う。パフモデルは、風が弱い場合や時間変化を扱うために、排出を短い塊(パフ)の連続として扱う。必須のパラメーターは排出量で、物質の密度ではない。排出量・解析解・パフの④が正しい。
これに対して、拡散方程式を空間の格子に区切って数値的に解く方式は数値解モデルで、格子モデルなどがこれに当たる。
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長期平均濃度
問6 長期平均濃度の予測と風向の扱い
中立時の拡散幅から求めた煙の幅は、発生源から見て10°程度で、16方位の1方位分(22.5°)より狭い。30°程度とした①が誤りである。
正答 ①(中立時の煙の幅は10°程度)
長期平均濃度は、風向・風速・安定度の出現頻度で重みを付けて、1時間値の濃度を足し合わせて求める。風向データは16方位で記録されることが多く、そのまま計算すると、煙の幅が1方位の角度幅22.5°より狭いので、各方位の代表方向の線上だけで濃度が高くなる(②)。
この偏りを和らげるために、風向の出現確率を32方位などに補間・分散させる方法(③)、記録された方位の±11.25°の範囲に乱数で風向を割り振る方法(④)、1方位の角度幅で濃度を一様にならす横風方向一様分布式(⑤)が使われる。
こうした工夫が必要になるのは、中立時の煙の幅が発生源から見て10°程度と、1方位の幅より狭いからである。①のように30°程度あれば1方位の幅を超え、代表方向に濃度が集中する問題は起こらない。
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硫黄酸化物対策
問7 大規模設備のSOx対策
セメントキルンでは、原料の石灰石がSO₂を吸収するので、排ガス中のSO₂は少ない。活性炭による乾式吸着プロセスを主に使うとした①が誤りである。
正答 ①(セメントキルンでは原料の石灰石がSO₂を吸収する)
セメント製造では原料の大部分が石灰石で、キルンやプレヒーターの中で生じた酸化カルシウムが、燃料や原料に由来するSO₂と反応して硫酸カルシウムになり、クリンカーに取り込まれる。製造工程そのものが脱硫の働きを持つので、一般に専用の排煙脱硫装置を必要としない。
ごみ焼却設備では、消石灰などのアルカリ剤をSO₂や塩化水素と反応させ、生成物をばいじんとともに回収する(②)。鉄鋼の焼結炉では、湿式の脱硫法に加え、活性コークスを使う乾式脱硫の導入例もある(③)。
製油所の水素化精製装置で出る酸性ガスは、アミン吸収などで硫化水素を除いてから燃料ガスに使い、除いた硫化水素は硫黄回収装置で硫黄にする(④)。石炭火力発電所の脱硫は、安価な石灰石を使う湿式石灰石こう法が一般的である(⑤)。
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火力発電所の排煙処理
問8 低低温形電気集じん装置を使う排煙処理の構成
低低温形の電気集じん装置は、GGHの熱回収器で排ガスを90 ℃前後まで冷やした後に置く。脱硝装置は高温の排ガスが必要なので、最も上流に置く。
正答 ⑤(脱硝→GGH熱回収→電気集じん→脱硫→GGH再加熱)
アンモニア接触還元法の脱硝装置は、触媒が働く300〜400 ℃程度の温度が必要なので、ボイラー出口のすぐ後に置き、その後に空気予熱器が続く。次にGGHの熱回収器で、排ガスを酸露点以下の90 ℃前後まで冷やす。
低温にすると、ダストの見掛け電気抵抗率が下がって逆電離が起こりにくくなり、ガスの体積も減るので、電気集じん装置の性能が上がる。冷却で凝縮したSO₃はダストに付着して一緒に除かれ、下流の腐食も抑えられる。
その後に湿式の脱硫装置を置き、最後にGGHの再加熱器で、回収した熱を使って排ガスを温め直し、白煙を抑えて煙突から出す。脱硝→GGH熱回収→電気集じん→脱硫→GGH再加熱の⑤が正しい。
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ごみ焼却の排ガス
問9 都市ごみ焼却で発生する有害物質の濃度
濃度の単位と桁で見分ける。ppmで表される80〜200はガス状の窒素酸化物、g/m³Nはばいじん、ng-TEQ/m³Nはダイオキシン類である。
正答 ④(NOx/ばいじん/ダイオキシン類)
ppmは気体の体積比なので、ガス状物質の窒素酸化物が(ア)に入る。g/m³Nは1 m³N当たりのグラム数で、焼却炉の出口で数g/m³Nに達する粒子状のばいじんが(イ)に当たる。ng-TEQ/m³Nは毒性等量で表すダイオキシン類の単位で、(ウ)に入る。
ごみ焼却では、ごみに含まれる塩素から塩化水素が多く出る。窒素酸化物は、ごみ中の窒素分から生じるフューエルNOxが主体である。NOx・ばいじん・ダイオキシン類の④が正しい。
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ごみ焼却の排ガス処理
問10 ごみ焼却施設の排ガス処理
ごみ焼却施設の塩化水素・硫黄酸化物の処理は、消石灰などを吹き込んでバグフィルターで集める乾式法が主流である。湿式法を主流とした②が誤りである。
正答 ②(塩化水素・SOxの処理は乾式法が主流)
乾式法は、排ガスに消石灰などのアルカリの粉末を吹き込み、塩化水素や硫黄酸化物と反応させて、生成した塩をバグフィルターでばいじんと一緒に捕集する。排水が出ず設備も簡単なので、多くの施設で採用されている。湿式法は除去率が高く、厳しい排出目標を持つ大規模施設などで使われるが、排水の処理が必要になる。
窒素酸化物は、燃焼制御や、無触媒脱硝・触媒脱硝などの乾式法で抑える(①)。ダイオキシン類発生防止等ガイドラインの制定以降は、200 ℃以下の低温で運転するバグフィルターが集じん設備の主流になった(③)。
カドミウムや鉛は焼却の過程で揮発したあと冷却で凝縮し、ばいじんに付着するので、集じんで除ける(④)。水銀やダイオキシン類は、バグフィルターの運転温度を下げる、活性炭を吹き込んでバグフィルターで集める、活性炭の充塡塔に通すといった方法で除く(⑤)。
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