電気分野と共通の必須基礎区分です。問題1が省エネ法(12欄・50点)、問題2がエネルギー情勢・政策とエネルギー概論(10欄・50点)、問題3がエネルギー管理技術の基礎(20欄・100点)です。
省エネ法
問題1 非化石燃料の範囲・基本方針・中長期計画・連鎖化事業・指定区分
令和8年4月1日時点の省エネ法について、本則・施行令・施行規則の条文と照らす12欄です。定義(第2条)、基本方針(第3条・第4条)、中長期計画と定期報告(第15条・第16条)、連鎖化事業(第19条)、認定管理統括事業者(第31条)、機械器具(第149条)、工場等の指定(第7条〜第14条)の順に並んでいます。
標準解答 1ア・2ア・3イ・4オ・5キ・6イ・7ア・8ア・9カ・10ア・11ア・12ア
本社3,100 kLは事務所でも第一種エネルギー管理指定工場等に当たり、機械工場19,000 kLのエネルギー管理者は1名です。
空欄1 ア
①だけが適切です。施行規則第2条は化石燃料に当たる石油製品と石炭製品を列挙しており、廃油、廃タイヤ、廃プラスチックは含まれないので、燃料として使えば非化石燃料です。②は誤りで、施行規則第3条は燃料の用途を「燃焼及び燃料電池による発電」と定めています。燃焼を伴わない燃料電池に使う水素も非化石燃料です。③も誤りです。非化石電気は化石燃料由来の電気に代えて使う電気を指し、購入した電気を加熱に使っても、その全量が非化石電気になるわけではありません。
空欄2 ア
第3条第2項は、基本方針を「エネルギー需給の長期見通し、電気その他のエネルギーの需給を取り巻く環境、エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換に関する技術水準その他の事情」を勘案して定めるとしています。国際基準、予算、利害関係は条文にありません。
空欄3 イ
第4条の努力義務の主語は「エネルギーを使用する者」で、規模や業種を問いません。特定事業者に限った規定ではなく、エネルギーを供給する者や燃料を調達する者でもありません。
空欄4 オ
①と③が適切です。①第15条は、第1項でエネルギーの使用の合理化の中長期計画、第2項で非化石エネルギーへの転換の中長期計画を定めています。②は誤りです。施行規則第35条第2項で毎年度の提出を省けるのは合理化の計画だけで、ベンチマーク指標の目指すべき水準の達成などの要件を過去2年度以上続けて満たすことが条件です。非化石転換の計画は「内容に変更がない」ときの別の規定(同条第3項)で、どちらの計画も提出そのものが不要になるわけではありません。③両規定とも、計画を最後に提出した日から5年を超えない範囲で事業者が定める期間の終期が属する年度の7月末日までに提出すればよいとしています。
空欄5 キ
①〜③のすべてが定期報告の項目です。施行規則第37条は、エネルギーを消費する設備の新設、改造または撤去の状況と稼働状況(第3号)、判断基準の遵守状況(第5号)、エネルギーの使用に伴って発生する二酸化炭素の排出量(第10号)を報告事項に挙げています。
空欄6 イ
第19条第1項の連鎖化事業は、定型的な約款に基づき「特定の商標、商号その他の表示」を使用させ、販売や役務提供の方法を指定し、継続的に経営指導を行う事業です。コンビニエンスストアなどのフランチャイズチェーンが典型で、雇用形態、設備、店舗は定義の語句ではありません。
空欄7 ア
第31条第1項は、完全子会社などの密接関係者と「一体的に」エネルギーの使用の合理化または非化石エネルギーへの転換を推進する場合に、認定管理統括事業者の認定を受けられるとしています。組織の統合や分離は要件ではなく、別々に取り組むなら認定の対象になりません。
空欄8 ア
第149条第2項によれば、判断の基準となるべき事項は、エネルギー消費性能等が最も優れているもの(トップランナー)の性能と、「技術開発の将来の見通し」その他の事情を勘案して定めます。競争力、生産コスト、製造能力は条文にありません。
空欄9 カ
②と③が該当します。施行令が挙げる特定エネルギー消費機器には変圧器(定格一次電圧が600 Vを超え7,000 V以下の交流用など)が、特定熱損失防止建築材料には断熱材、サッシ、複層ガラスが含まれます。熱交換器はどちらにも含まれません。
空欄10 ア
⑤だけが算入対象です。ボイラ燃料の木材は燃焼に使う非化石燃料で、エネルギー使用量に入ります。⑥は②の都市ガスで自ら発生させた蒸気です。施行令第2条第2項は、他人から供給されない熱のうち燃料を熱源とするものを除くので、燃料と二重に数えません。⑦河川水の熱は施行令第1条の「自然界に存する熱」に当たり、法のエネルギーから除かれます。ヒートポンプを動かす電気は④として算入済みです。
空欄11 ア
工場等の指定は用途によらず使用量で決まります。本社は専ら事務所ですが、3,100 kLで3,000 kL以上なので第一種エネルギー管理指定工場等です(第10条、施行令第3条)。事業者全体は19,000+3,100=22,100 kLで、1,500 kL以上の特定事業者です。事務所である本社は、エネルギー管理者ではなくエネルギー管理員を選任します(第11条第1項第1号、第12条)。
空欄12 ア
機械工場は19,000 kLで第一種エネルギー管理指定工場等です。施行令第4条第2号によると、コークス製造業・電気供給業・ガス供給業・熱供給業以外の工場等のエネルギー管理者の数は、2万 kL未満が1人、2万 kL以上5万 kL未満が2人、5万 kL以上10万 kL未満が3人、10万 kL以上が4人です。19,000 kLなので1名です。
公式問題で問題1を見る
エネルギー概論
問題2 SI基本単位・揚水発電の位置エネルギー・ウィーンの変位則・メタネーション
単位の定義、位置エネルギーと運動エネルギーの等置、変位則の比例計算、反応式の係数の4つで解ける10欄です。数値の欄は有効数字2桁で解答群と照らします。
標準解答 1エ・2イ・3イ・4ア・5ア・6エ・7エ・8イ・9ア・10エ
位置エネルギーは7.0×10⁶ J、同じ運動エネルギーを持つ水の速度は約118 m/s、地球表面のピーク波長は約10 μmです。
空欄1 エ
SIの基本単位は、長さ(m)、質量(kg)、時間(s)、電流(A)、熱力学温度(K)、光度(cd)、物質量(mol)の7つです。電圧(V)、電気量(C)、電気抵抗(Ω)は基本単位を組み合わせた組立単位です。
空欄2 イ
水1 m³の質量は1,000 kgなので、E=mgh=1,000×9.8×714=6.997×10⁶ J≒7.0×10⁶ Jです。3.5×10⁶は1/2を掛けた値、7.0×10⁷は桁を一つ誤った値です。
空欄3 イ
mgh=mv²/2より、v=√(2gh)=√(2×9.8×714)=√13,994≒118 m/sで、1.2×10²です。質量は両辺で消えるので、水の量によらず同じ速度になります。
空欄4 ア
分光放射輝度が最大となる波長は熱力学温度に反比例し、λmax×T≒2,898 μm·Kで一定です。高温の物体ほどピーク波長が短くなります。
空欄5 ア
この関係をウィーンの変位則と呼びます。ステファン・ボルツマンの法則は全放射エネルギーがT⁴に比例する法則、プランクの法則は波長ごとの分布そのもの、キルヒホッフの法則は放射率と吸収率が等しいという法則です。
空欄6 エ
反比例なので、λ=0.5 μm×6,000/300=10 μmです。地球からの放射は赤外域にあり、水蒸気や二酸化炭素がこれを吸収することが温室効果につながります。
空欄7 エ
CO₂+4H₂→CH₄+2H₂Oです。炭素1原子に水素原子4個が結合してメタンになり、酸素原子2個は水2分子に移るので、水素分子は合計4 mol必要です。
空欄8 イ
再生可能エネルギー由来の電力で水を電気分解して作る水素は、グリーン水素と呼ばれます。グレー水素は化石燃料から作り、製造時の二酸化炭素をそのまま大気へ出す水素です。イエロー水素は資料によって指す電源が分かれ、再生可能エネルギー由来を表す標準的な呼び方ではありません。
空欄9 ア
CCUSは二酸化炭素の回収・有効利用・貯留(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)の略です。HVACは暖房・換気・空調設備、IGCCは石炭ガス化複合発電、LCEMは空調システムのライフサイクルエネルギーマネジメントを指し、いずれも二酸化炭素の貯留ではありません。
空欄10 エ
化石燃料から製造し、発生した二酸化炭素をCCUSで回収・貯留して大気への排出を抑えた水素はブルー水素です。回収しなければグレー水素です。
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エネルギー管理技術の基礎
問題3 判断基準の取組事項・理想気体・カルノー効率・空気比・伝熱・蒸気・電気設備の計算
工場等判断基準の文言(全ての事業者が取り組むべき9項目、熱利用設備、受電端力率、流体機械)と、熱と電気の基礎計算を交互に並べた20欄です。計算はどれも1〜2行で終わるので、単位をそろえてから解答群の数値と照らします。
標準解答 1ウ・2イ・3ウ・4エ・5ウ・6イ・7オ・8エ・9ウ・10イ・11イ・12ウ・13イ・14ウ・15ウ・16ア・17オ・18ウ・19エ・20ウ
計算欄は、カルノー効率40%、空気比1.1、熱流束640 W/m²、発電端熱効率39.6%、消費電力600 W、コンデンサ容量79.9 kvarです。
空欄1 ウ
判断基準の「I-1 全ての事業者が取り組むべき事項」は、取組方針の策定、管理体制の整備、責任者等の配置等、資金・人材の確保、従業員への周知・教育、取組方針の遵守状況の確認等、取組方針の精査等、文書管理による状況把握、情報の開示の9項目です。②は管理体制の整備です。FEMS、エネルギー使用設備、管理標準は項目名ではありません。
空欄2 イ
⑥は取組方針の遵守状況の確認等です。周知は⑤の項目名に使われており、進捗と理解は項目名にありません。
空欄3 ウ
⑧は文書管理による状況把握です。FEMSは状況把握の手段にはなりますが、判断基準の項目名ではありません。内部監査と目標達成も項目名にありません。
空欄4 エ
圧力一定ではV/Tが一定です。25℃=298 Kから1 K上がると、体積は1/298≒1/300だけ増えます。1/273は0℃を基準にした場合の値です。
空欄5 ウ
η=1−TL/TH=1−(27+273)/(227+273)=1−300/500=0.40で、40%です。摂氏のまま1−27/227とすると約88%になり誤ります。
空欄6 イ
完全燃焼の乾き排ガスでは、空気比m≒21/(21−O₂)=21/(21−2.1)=1.11で、約1.1です。過剰空気中の酸素が燃焼に使われずに排ガスへ残ると考えた近似式です。
空欄7 オ
熱流束はq=λΔT/δ=0.2×(880−80)/0.25=640 W/m²です。厚さ250 mmを0.25 mに直してから代入します。
空欄8 エ
放射エネルギーは絶対温度の4乗に比例するので、(600/400)⁴=1.5⁴=5.06≒5.1倍です。2乗とすると2.3、比のままだと1.5になります。
空欄9 ウ
湿り蒸気の比エンタルピーはh=h′+x(h″−h′)=505+0.9×(2,706−505)=505+1,981=2,486 kJ/kg≒2.49×10³ kJ/kgです。
空欄10 イ
判断基準は、ボイラー、冷凍機、ヒートポンプ等の熱利用設備を設置する場合に、小型化し分散配置することまたは蓄熱設備を設けることで合理化が図れるときは、その方法を採用するよう求めています。負荷の近くに小型の機器を置けば、配管の熱損失と部分負荷運転による効率低下を抑えられます。
空欄11 イ
エアコンディショナーのトップランナー基準は、通年エネルギー消費効率(APF)で評価します。冷房期間と暖房期間を通じて、外気温度ごとの発生時間と負荷の変化を考慮した指標です。成績係数(COP)は定格条件1点での効率で、季節の変化を含みません。
空欄12 ウ
入熱は50,000 L×40 MJ/L=2.0×10⁶ MJ、出力は220 MWh×3,600 MJ/MWh=7.92×10⁵ MJです。熱効率は7.92×10⁵/(2.0×10⁶)=0.396で、39.6%です。
空欄13 イ
インピーダンスはZ=√(6²+8²)=10 Ω、電流はI=100/10=10 Aです。電力を消費するのは抵抗だけなので、P=I²R=10²×6=600 Wです。皮相電力1,000 VAやリアクタンスの無効電力800 varと取り違えないようにします。
空欄14 ウ
判断基準は受電端の力率を95%以上とすることを基準とし、目標及び措置部分で98%以上を目標としています。
空欄15 ウ
30分の上限は1,800 kWhで、9時20分までに1,300 kWh使っているので、残り10分に使えるのは500 kWhです。500 kWh÷(10/60) h=3,000 kWです。
空欄16 ア
変圧器の効率は、負荷電流の2乗に比例する負荷損(銅損)と、負荷によらず一定の無負荷損(鉄損)が等しくなる負荷で最大になります。
空欄17 オ
皮相電力はS=√3VI=1.73×400×185=128.0 kVAです。無効電力はQ=√(S²−P²)=√(128.0²−100²)=79.9 kvarで、力率を100%にするにはこの分をすべてコンデンサで補償します。
空欄18 ウ
判断基準は、ポンプ、ファン、ブロワー、コンプレッサー等の流体機械について、使用端圧力及び吐出量の見直しを行い、運転台数の選択や回転数の変更に関する管理標準を設定して、電動機の負荷を減らすよう求めています。必要以上の圧力と吐出量を下げることが出発点です。
空欄19 エ
ファラデーの法則では、析出量はm=(Q/F)×(M/z)です。同じ電気量なら、1 mol当たりの質量Mを反応電子数zで割った値に比例します。
空欄20 ウ
点光源の真下の照度はE=I/r²で、距離の2乗に反比例します(逆2乗の法則)。
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