2023年11月26日実施・基礎30問・適性15問・公式正答照合

技術士第一次試験
令和5年度 基礎・適性の解答・解説

令和5年度の基礎科目30問と適性科目15問について、公式正答と解き方をこのページに載せています。問題本文は転載していないため、日本技術士会の公式問題PDFを開き、問題番号を合わせて読んでください。部門別の専門科目は扱いません。令和6・7年度の45問もそれぞれ別のページで解説しています。

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試験の形式と令和5年度の結果

基礎科目科学技術全般の基礎知識。1群〜5群の各6問から3問ずつ、計15問を選んで解答(1時間・15点満点)
適性科目技術士法第4章(技術士等の義務)の遵守に関する適性。15問すべてに解答(1時間・15点満点)
専門科目受験する技術部門の基礎知識と専門知識(2時間・50点満点)。このページでは扱いません
令和5年度の結果受験申込者22,717名、受験者16,631名、合格者6,601名、受験者に対する合格率39.7%
令和8年度2026年11月22日(日)実施

出典:令和5年度技術士第一次試験統計、令和5年度技術士第一次試験の正答、令和8年度技術士第一次試験の実施について(いずれも日本技術士会)

基礎科目は本番では各群3問だけを選びますが、ここでは30問すべてを解説しています。得意な群と避ける群を見極める練習に使えます。

正答一覧(全45問)

日本技術士会の正答表と照合しています。問題番号を選ぶと解説へ移動します。

基礎科目 1群 設計・計画

問題正答論点
I-1-1⑤鉄鋼とCFRPの比強度と価格
I-1-2④細い針金の座屈
I-1-3③引張試験と材料の性質
I-1-4④2/3多数決冗長系の信頼度
I-1-5①フェールセーフなど信頼性設計の用語
I-1-6②相関係数の性質

基礎科目 2群 情報・論理

問題正答論点
I-2-1①パスワードと認証の安全性
I-2-2④ユークリッドの互除法の流れ図
I-2-3⑤ISBN-13のチェックディジット
I-2-4①データ圧縮の原理
I-2-5①排他的論理和の性質
I-2-6④3つの集合の包除原理

基礎科目 3群 解析

問題正答論点
I-3-1④下三角行列の逆行列
I-3-2②4分の1円上の重積分
I-3-3①数値計算の誤差
I-3-4⑤引張荷重を受ける棒の伸び
I-3-5②変速機を介した円盤の加速トルク
I-3-6③導線網の合成抵抗

基礎科目 4群 材料・化学・バイオ

問題正答論点
I-4-1③同位体と陽子・中性子・電子の数
I-4-2⑤コロイドの性質
I-4-3③鉄の結晶構造と相変態
I-4-4①金属の腐食と不働態
I-4-5③タンパク質と酵素
I-4-6⑤PCR法の原理

基礎科目 5群 環境・エネルギー・技術

問題正答論点
I-5-1③生物多様性国家戦略2023-2030と4つの危機
I-5-2⑤大気汚染物質の特徴
I-5-3①日本のエネルギー事情
I-5-4②天然ガスを液化したときの体積
I-5-5①労働安全と消費者安全の制度の年代
I-5-6⑤科学と技術の関わり

適性科目

問題正答論点
II-1③技術士法第4章の義務と責務
II-2③秘密情報の漏えい対策
II-3②公益通報者保護法
II-4②産業財産権の範囲
II-5①技術士に求められる資質能力
II-6③製造物責任法の適用範囲
II-7②科学者の行動規範
II-8②リスクマネジメントプロセス(JIS Q 31000)
II-9④過去の事故・事件の教訓
II-10③事業継続ガイドライン
II-11②エシックス・テスト
II-12④安全保障貿易管理
II-13⑤インフラ長寿命化計画(第二期行動計画)
II-14③ISO/IEC Guide 51とALARP
II-15③典型7公害

令和7年度 基礎・適性45問の解説集PDF

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基礎科目 1群 設計・計画の解答・解説(6問)

設計・計画

I-1-1 鉄鋼とCFRPの比強度と価格

比強度は強度を密度で割った値で、同じ強度を保ちながらどれだけ軽くできるかを表す。比強度当たりの価格は、kg当たりの価格を比強度で割って比べる。

正答 ⑤(強度を密度・CFRP・10)

比強度はCFRPが鉄鋼の約25倍と高い。比強度当たりの価格はCFRPが約12,800、鉄鋼が約1,185で、CFRPは鉄鋼の約10倍になる。ア強度を密度、イCFRP、ウ10の⑤が正答である。

比強度当たりの価格は、kg当たりの価格に密度を掛けて強度で割っても求められる。鉄鋼は60×7,900÷400、CFRPは16,000×1,600÷2,000で、どちらで計算しても比は約10.8になる。CFRPは材料の価格が高いが、軽量化で燃料消費や輸送コストを下げられる用途では採算が合う場合がある。密度を強度で割った値は比強度の逆数なので、大小関係が逆になる。

公式問題でI-1-1を見る

設計・計画

I-1-2 細い針金の座屈

細長い部材に圧縮荷重を加えると、荷重が小さいうちは真直ぐなまま縮むが、ある限界値を超えると横にたわむ曲げ変形が急に生じる。この現象が座屈である。

正答 ④(小・越す・曲げ・座屈)

荷重がきわめて小さいときは純圧縮のままで、限界値(座屈荷重)を越すと曲げ変形を生じて横にたわみ始める。ア小、イ越す、ウ曲げ、エ座屈の④が正答となる。

座屈荷重はオイラーの式で表される。下端を固定し上端を自由にした長柱では、曲げ剛性EI、長さLに対して次の値になる。

ねじれ変形は軸回りのトルクで生じる変形で、軸方向の圧縮荷重で起こるものではない。共振は外力の振動数が固有振動数と一致して振幅が大きくなる現象で、静的な圧縮荷重による不安定とは別の現象である。

公式問題でI-1-2を見る

設計・計画

I-1-3 引張試験と材料の性質

引張試験では荷重と伸びの関係を線図にする。荷重を除くと元に戻る性質が弾性、戻らずに変形が残る性質が塑性である。

正答 ③(伸び・弾性・塑性・引張強さ)

ア伸び、イ弾性、ウ塑性、エ引張強さの③が正答となる。

引張強さは、荷重-伸び線図の最大荷重を試験片のもとの断面積で割った公称応力である。延性は破断するまでに大きく伸びる性質を指し、き裂を生じずに変形が残る性質そのものは塑性という。疲労限度は、繰り返し応力を何回加えても疲労破壊しない応力の上限で、1回の引張試験の最大荷重とは別の値である。ひずみは伸びをもとの長さで割った量で、ひずみを使うときは応力-ひずみ線図として描く。

公式問題でI-1-3を見る

設計・計画

I-1-4 2/3多数決冗長系の信頼度

3個のうち2個以上が正常なら系が動作するので、ちょうど2個が正常な確率と3個とも正常な確率を足す。

正答 ④(0.75以上0.8未満)

系の信頼度は0.784で、0.75以上0.8未満の④が正答となる。選択スイッチの信頼度は1として扱っている。

要素単体の0.7より高いが、3個の並列冗長(1個以上正常なら動作)の1−0.3³=0.973よりは低い。多数決系は、故障した1個の誤った出力を多数決で取り除けるが、2個が故障すると系が止まる。要素の信頼度が0.5を超えるときは単体より信頼度が上がり、0.5を下回ると逆に下がる点も押さえておくとよい。

公式問題でI-1-4を見る

設計・計画

I-1-5 フェールセーフなど信頼性設計の用語

いずれもJIS Z 8115(ディペンダビリティ用語)で定義される用語である。故障時の安全、機能の段階的な縮退、人の誤操作への備え、故障があっても動き続ける能力を区別する。

正答 ①(フェールセーフ・フェールソフト・フールプルーフ・フォールトトレランス)

アはフェールセーフ、イはフェールソフト、ウはフールプルーフ、エはフォールトトレランスで、①が正答となる。

フェールセーフの例は、故障すると停止信号を示す鉄道信号や、停電時にブレーキがかかるエレベーターである。フェールソフトは、一部が故障しても優先度の高い機能から残して運転を続ける設計である。フールプルーフは、ふたを閉めないと回らない洗濯機のように、誤った操作をしても危険が生じないようにする工夫である。フォールトマスキングは、フォールトの影響を多数決などで隠して出力に現れないようにする手法で、フォールトトレランスのための手段の一つにあたる。

公式問題でI-1-5を見る

設計・計画

I-1-6 相関係数の性質

相関係数rは、2つの変数の直線的な関係の強さを−1から1の範囲で表す指標である。独立性や因果関係までは表さない。

正答 ②

相関係数が1に近いほど、散布図の点は右上がりの直線の近くに集まる。②が最も適切である。

rは−1≦r≦1の範囲をとり、すべての点が一直線上に並べば±1になるので、端を含まない①は誤りである。r=0は直線的な関係がないことを示すだけで、y=x²のような曲線の関係があってもrが0になることがあり、独立とは限らないので③も誤りである。単回帰分析の決定係数は相関係数の2乗で、絶対値ではないから④も誤りである。相関は因果関係を示さず、絶対値の大きさによって因果関係が変わることもないので⑤も誤りである。

公式問題でI-1-6を見る

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基礎科目 2群 情報・論理の解答・解説(6問)

情報・論理

I-2-1 パスワードと認証の安全性

現在の考え方では、十分に複雑で他のサービスと使い回さないパスワードなら定期的な変更は必須ではなく、流出が疑われたときに変更する。

正答 ①

①が最も適切である。総務省や内閣サイバーセキュリティセンターの啓発資料も、定期的な変更より、複雑で使い回さないことと、流出時に速やかに変更することを重視している。

PINコードは、試行回数の制限や端末との組合せで総当たりを防ぐ仕組みと一緒に使われており、使うべきではないとする②は誤りである。生体認証も偽造した指紋などで突破された例があり、本人がいなければ必ず失敗するとはいえないので③も誤りである。知識・所持・生体のうち異なる要素を組み合わせる二要素認証は、同じ種類の要素を二度確かめる二段階認証より安全で、④は逆を述べている。WEPは暗号の脆弱性が知られており、WPA2やWPA3に対応した機器へ切り替える必要があるので⑤も誤りである。

公式問題でI-2-1を見る

情報・論理

I-2-2 ユークリッドの互除法の流れ図

余りRが0でない間は、AにB、BにRを入れ直して割り算を繰り返す。Rが0になったときの除数Bが最大公約数である。

正答 ④(R≠0・R=0・B)

ア(ループに戻る側)はR≠0、イ(出力へ進む側)はR=0、ウは最後の除数Bとなり、④が正答である。

例えばA=48、B=18では、48÷18の余りは12、18÷12の余りは6、12÷6の余りは0となり、最後に割った数の6が最大公約数である。Rが0になった時点のAは最後の割り算の被除数(例では12)で、最大公約数ではない。Rを出力すると常に0が出てしまう。割り算のたびに余りは除数より小さくなるので、この繰返しは必ず有限回で終わる。

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情報・論理

I-2-3 ISBN-13のチェックディジット

ISBN-13は、奇数桁に1、偶数桁に3の重みを掛けた和が10の倍数になるように、最後の1桁を決めている。

正答 ⑤(9)

91+Xが10で割り切れるのはX=9のときなので、⑤が正答となる。

重み1の桁(9、8、1、3、4、9)の合計34と、重み3の桁(7、4、0、3、1、4)の合計19の3倍の57に分けて計算すると確かめやすい。重みの1と3はどちらも10と互いに素なので、1桁だけの読み違いは必ず検出できる。重みを交互に変えるのは、隣り合う2桁を入れ替える誤りの多くも検出するためである。

公式問題でI-2-3を見る

情報・論理

I-2-4 データ圧縮の原理

情報源の統計を事前に知らなくても、データを読み進めながら規則性を学ぶユニバーサル符号化(LZ方式など)で圧縮できる。

正答 ①

情報源の知識がなければ圧縮できないとする①が最も不適切である。

ZIPなどで使われるLZ77やLZ78は、すでに現れた文字列を辞書として記録し、同じ並びの繰返しを短い参照に置き換える。記号の生起確率をあらかじめ知る必要はない。②はシャノンの情報源符号化定理のとおりで、可逆圧縮の平均符号長は情報源のエントロピーを下回れない。③の非可逆圧縮は人が気付きにくい情報を捨てて圧縮率を高める方式で、④の可逆圧縮はテキストやプログラムのように1ビットの欠落も許されないデータに使う。⑤のJPEGとMPEGも代表例として正しい。

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情報・論理

I-2-5 排他的論理和の性質

同じビット列と排他的論理和を2回とると元に戻り、自分自身との排他的論理和は0になる。計算の前に式を簡単にする。

正答 ①(00000000)

Cはすべてのビットが0の00000000となり、①が正答である。

ビットごとに見ると、b⊕b=0とa⊕0=aから(a⊕b)⊕b=aが成り立つので、AやBの具体的な値を使わずに求まる。実際に計算しても、A⊕B=11110000、これとBの排他的論理和が01011101でAに戻り、さらにAとの排他的論理和が00000000となる。この性質は、同じ鍵で2回排他的論理和をとると元に戻る暗号や、RAIDのパリティの計算に使われている。

公式問題でI-2-5を見る

情報・論理

I-2-6 3つの集合の包除原理

A∪B∪Cの要素数は包除原理で求め、その補集合の400個を足すと全体集合の要素数になる。

正答 ④(890)

全体集合の要素数は890で、④が正答となる。

3つの集合の要素数を単純に足すと、2つに属する要素を2回、3つに属する要素を3回数えてしまう。2つずつの積集合を引くと3つに属する要素が0回になるので、最後にA∩B∩Cを1回足し戻す。積集合を引かずに600+400=1,000とした⑤は、この重複を取り除いていない。

公式問題でI-2-6を見る

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基礎科目 3群 解析の解答・解説(6問)

解析

I-3-1 下三角行列の逆行列

対角成分が1の下三角行列の逆行列も、対角成分が1の下三角行列になる。積が単位行列になる条件から成分を決める。

正答 ④

積の3行1列目はb−ac+(ac−b)=0、3行2列目はc−c=0となり、単位行列になる。④が正答である。

逆行列の(3,1)成分をxとおくと、b+c×(−a)+x=0からx=ac−bと求まる。(2,1)成分と(3,2)成分は符号を反転した値になるが、(3,1)成分は単純な符号反転の−bにならない点が間違えやすい。①は(3,1)成分がac+bで、積の3行1列目が2bになる。②⑤は符号を反転していない。③は上三角行列で、下三角行列の逆行列にはならない。

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解析

I-3-2 4分の1円上の重積分

積分領域は半径1の4分の1円である。yについて先に積分すると、xについての1変数の積分になる。

正答 ②(1/3)

値は1/3で、②が正答である。

極座標x=r cosθ、y=r sinθを使うと、dxdy=r drdθなので次のように同じ値が得られる。

π/4は被積分関数を1としたときの値で、領域の面積にあたる。xを掛けて積分すると、角度の積分が1になるためπは残らない。

公式問題でI-3-2を見る

解析

I-3-3 数値計算の誤差

計算機は有限の桁数で計算するため、数学的に等しい式でも、式の形や計算の順序によって丸め誤差の現れ方が変わる。

正答 ①

数学的に等価なら結果も等しくなるとする①が最も不適切である。

例えばxが小さいとき、1−cos xをそのまま計算すると、ほぼ等しい2数の引き算で有効桁が失われる。等価な2sin²(x/2)に変形すれば桁落ちを避けられる。②の桁落ちと、③の情報落ち(大きな数に小さな数を足すと小さな数の下位の桁が失われる)は、どちらも代表的な誤差である。④のとおり、連立方程式はガウスの消去法やLU分解で、逆行列を求めずに解くのが普通である。⑤の有限要素法も、要素を細かくすると一般に近似誤差が小さくなる。

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解析

I-3-4 引張荷重を受ける棒の伸び

フックの法則から、伸びは荷重と長さに比例し、ヤング率と断面積に反比例する。単位をそろえて計算する。

正答 ⑤(0.20 mm)

伸びは0.20 mmで、⑤が正答である。

断面積120 mm²は1.2×10⁻⁴ m²、ヤング率200 GPaは2.0×10¹¹ Paである。応力は2,000 N÷120 mm²≒16.7 MPa、ひずみはこれを200 GPaで割った約8.3×10⁻⁵で、長さ2,400 mmを掛けても0.20 mmになる。mm²をm²に直すときの10⁻⁶を落とすと、桁を誤りやすい。

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解析

I-3-5 変速機を介した円盤の加速トルク

出力軸の円盤を一定の角加速度で増速するトルクを求め、変速機の減速比に応じてモータ側のトルクに換算する。

正答 ②

モータ出力軸のトルクは出力軸側の1/n倍となり、②が正答である。

回転速度の比が1:1/nなので、変速機は回転をn分の1に減速し、そのぶんトルクをn倍にする。動力伝達効率が1なら入力と出力の動力は等しい。モータ側から見た円盤の等価慣性モーメントはI/n²だが、モータ軸の角加速度は出力軸のn倍なので、トルクは(I/n²)×n×(ω₂−ω₁)/T=(1/n)I(ω₂−ω₁)/Tとなり、同じ結果になる。①は等価慣性モーメントだけを使い、モータ軸の角加速度を出力軸と同じにしてしまった値である。

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解析

I-3-6 導線網の合成抵抗

対称性から電位が等しい点を見つけると、電流が流れない導線を除いて回路を簡単にできる。

正答 ③(Rc<Ra<Rb)

(c)は上下の頂点が同じ電位になるので中央の導線に電流は流れず、2rの経路2本の並列でRc=rとなる。

(a)はAの電位を1、Bの電位を0とおき、各節点で流れ込む電流と流れ出る電流が等しい式を立てる。上辺中央の節点の電位は4/7、左下の節点の電位は5/7となり、Aから流れ出る電流は合計5/(7r)なので、Ra=7r/5である。(b)の2×2の格子も同じ方法で解くとRb=3r/2となる。

③が正答である。導線の本数が増えると並列の経路も増えるが、AとBの間の距離も延びるため、合成抵抗が必ず小さくなるとは限らない。

公式問題でI-3-6を見る

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基礎科目 4群 材料・化学・バイオの解答・解説(6問)

材料・化学・バイオ

I-4-1 同位体と陽子・中性子・電子の数

元素記号の左上が質量数、左下が原子番号(陽子の数)である。中性子の数は質量数から原子番号を引いて求め、電荷のない原子の電子の数は陽子の数に等しい。

正答 ③

³⁵Clと³⁷Clはどちらも原子番号17なので、電子の数は17で等しい。③が正答である。

中性子の数は、⁴⁰Caが40−20=20、⁴⁰Arが40−18=22、³⁵Clが18、³⁷Clが20で、①②はどちらも等しくない。原子番号が同じで質量数が異なる³⁵Clと³⁷Clは同位体で、同じ元素からなる性質の異なる単体(ダイヤモンドと黒鉛など)を指す同素体ではないので⑤は誤りである。⁴⁰Caと⁴⁰Arは質量数が同じで原子番号が異なる別の元素なので、同位体ではなく④も誤りである。

公式問題でI-4-1を見る

材料・化学・バイオ

I-4-2 コロイドの性質

流動性のあるコロイドがゾル、流動性を失って固まったものがゲルである。

正答 ⑤

流動性のない固体状態のコロイドをゾルとした⑤が最も不適切で、これはゲルの説明である。

ゼラチンの水溶液は温かいと流動性のあるゾルで、冷やすと固まってゲルになる。①の凝析は、疎水コロイドの表面の電荷が電解質のイオンで打ち消されて沈殿する現象で、親水コロイドを多量の電解質で沈殿させる塩析と区別する。②の透析、③のチンダル現象、④の電気泳動は、いずれも定義のとおりである。

公式問題でI-4-2を見る

材料・化学・バイオ

I-4-3 鉄の結晶構造と相変態

常温の純鉄α-Feは体心立方構造の強磁性体で、約912℃でγ-Fe(面心立方構造)に変わる。面心立方は原子の詰まり方が密なので体積が減る。

正答 ③(体心立方・強磁性・コバルト・収縮)

ア体心立方、イ強磁性、ウコバルト、エ収縮の③が正答となる。

常温で強磁性を示す金属は鉄、コバルト、ニッケルである。クロムは反強磁性で、強磁性体には含めない。原子の充填率は体心立方が約68%、面心立方が約74%で、α→γ変態では原子がより密に並ぶため収縮する。鋼の焼入れは、この変態を利用して組織を変える処理である。なお、α-Feは約770℃のキュリー点を超えると強磁性を失う。

公式問題でI-4-3を見る

材料・化学・バイオ

I-4-4 金属の腐食と不働態

アルミニウムやステンレス鋼は、表面にできる緻密な酸化皮膜が内部を守る不働態によって腐食しにくくなる。

正答 ①

アルミニウムが酸化物皮膜を形成して不働態化するとした①が適切である。

ステンレス鋼は、クロムを10.5%以上含み、炭素を1.2%以下とした合金鋼と定義され、銅の含有量で定義されるものではないから②は誤りである。腐食は化学反応なので温度が上がるとおおむね速くなり、③も誤りである。孔食、すきま腐食、応力腐食割れのように局所的に進む腐食があり、④も誤りである。力学的な作用で表面が減るのは摩耗やエロージョンで、腐食は環境との化学的・電気化学的な反応による劣化であるから⑤も誤りである。

公式問題でI-4-4を見る

材料・化学・バイオ

I-4-5 タンパク質と酵素

タンパク質はアミノ酸がペプチド結合でつながった高分子で、酵素の主成分である。アミラーゼはデンプンを分解する酵素である。

正答 ③(アミノ酸・ペプチド・酵素・デンプン)

アアミノ酸、イペプチド、ウ酵素、エデンプンの③が正答となる。

ペプチド結合は、一方のアミノ酸のカルボキシ基と他方のアミノ基から水がとれてできるアミド結合である。グルコースがつながった高分子はデンプンやセルロースなどの多糖で、タンパク質ではない。抗体もタンパク質だが、生体内の化学反応を促進する触媒は酵素である。アミラーゼはデンプンのα-1,4グリコシド結合を加水分解するが、β-1,4結合でつながるセルロースは分解できない。

公式問題でI-4-5を見る

材料・化学・バイオ

I-4-6 PCR法の原理

PCRは、加熱して2本鎖を1本鎖にほどく熱変性、プライマーの結合(アニーリング)、DNAポリメラーゼによる伸長の3段階を繰り返し、目的の配列を指数関数的に増やす方法である。

正答 ⑤

熱変性は、加熱によって2本鎖DNAの塩基間の水素結合を切り、1本鎖に解離させる工程である。⑤が最も適切である。

アニーリングの温度が低すぎると、配列が完全には一致しない場所にもプライマーが結合しやすくなる。温度を上げすぎるとプライマーが結合しにくくなるので、①は向きが逆である。伸長反応の時間は増幅する配列が長いほど長くとるので、②も逆である。増幅されたDNAの両端はプライマーそのものなので、プライマーの塩基配列を含み、③は誤りである。熱変性で95℃前後に加熱するため、好熱菌由来のTaqポリメラーゼのような耐熱性の高い酵素を使い、④も誤りである。

公式問題でI-4-6を見る

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基礎科目 5群 環境・エネルギー・技術の解答・解説(6問)

環境・エネルギー・技術

I-5-1 生物多様性国家戦略2023-2030と4つの危機

国家戦略は、日本の生物多様性の4つの危機として、開発や乱獲、自然に対する働きかけの縮小、外来種や化学物質、気候変動を挙げている。

正答 ③

里地里山の生き物の生息・生育地が減った原因として、農地やため池などの利用拡大を挙げた③が最も不適切である。

里地里山では、農地やため池、雑木林などへの人の働きかけが減ったこと(第2の危機)で、手入れによって保たれてきた環境が失われてきた。②は開発による第1の危機、④は外来種による第3の危機、⑤は気候変動による第4の危機の記述にあたる。①の固有種の比率の高さも、国家戦略が示す日本の生物多様性の特徴である。

公式問題でI-5-1を見る

環境・エネルギー・技術

I-5-2 大気汚染物質の特徴

PM2.5は粒径2.5μm以下の微小粒子状物質で、粒径10μm以下の浮遊粒子状物質(SPM)より小さい粒子を指す。

正答 ⑤

PM2.5の説明として、肺胞に最も付着しやすい粒径2.5μm付近の粒子とした⑤が最も不適切である。

PM2.5は、粒径2.5μmの粒子を50%の割合で分離できる分粒装置で大きい粒子を除いた後に採取される微小な粒子の総称で、2.5μm付近の大きさに限るものではない。粒子が小さいため肺の奥まで入りやすく、呼吸器系や循環器系への影響が心配されている。①の二酸化硫黄、②の二酸化窒素、③の一酸化炭素、④の光化学オキシダントは、いずれも発生源と健康影響の説明として正しい。

公式問題でI-5-2を見る

環境・エネルギー・技術

I-5-3 日本のエネルギー事情

エネルギー白書などの統計から、導入量の推移と国内生産品の比率、燃料の輸入先の構成を読み分ける。

正答 ①

①が最も不適切である。太陽光発電の導入量は増え続けたが、太陽電池の国内出荷量に占める国内生産品の割合は、海外で生産された製品の増加により低下してきた。

②の原油の中東依存度は9割を超え、サウジアラビアとアラブ首長国連邦が上位を占める。③のLNGは中東以外からの輸入が8割を超え、2012年度以降はオーストラリアが最大の輸入先である。④の風力、⑤の地熱(資源量は米国、インドネシアに次ぐ世界第3位)も白書の記述に沿っている。原油とLNGで中東への依存度が大きく違う点は、エネルギー安全保障の論点として出題されやすい。

公式問題でI-5-3を見る

環境・エネルギー・技術

I-5-4 天然ガスを液化したときの体積

0℃、1気圧の理想気体1 molの体積は22.4 Lである。メタンのモル質量16 g/molから気体の密度を求め、LNGの密度と比べる。

正答 ②(1/600)

体積は約600分の1になり、②が正答である。

質量が同じなら、体積の比は密度の逆比になる。1 m³のLNGは425 kgで、これを0℃、1気圧のメタンにすると425÷0.714≒595 m³になる。実際の天然ガスもおおむね600分の1に体積が減るため、液化してタンカーで運ぶ。

公式問題でI-5-4を見る

環境・エネルギー・技術

I-5-5 労働安全と消費者安全の制度の年代

工場法(1911年)、第1回全国安全週間(1928年)、工業標準化法(1949年)、労働安全衛生法(1972年)、製造物責任法(1994年)の順である。

正答 ①(ウ−エ−オ−ア−イ)

ウ−エ−オ−ア−イの①が正答となる。

工場法は1911年に制定され、1916年に施行された。全国安全週間は1928年に始まり、現在も毎年7月に実施されている。工業標準化法は戦後の1949年に制定され、2019年に産業標準化法へ改められた。労働安全衛生法は、労働基準法の安全衛生の規定を独立させて1972年に制定された。製造物責任法は1994年に制定され、1995年に施行された。

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環境・エネルギー・技術

I-5-6 科学と技術の関わり

技術が先に生まれ、後から科学的な理解が追いつく例もある。ジェンナーの種痘は、ウイルスの存在が示される約100年前に始まった。

正答 ⑤

ウイルスの発見の後にワクチン接種が始まったとした⑤が不適切である。ジェンナーの種痘は1796年で、ウイルスの存在が示されたのは19世紀末である。

①は17世紀初めの望遠鏡の発明の後、ガリレオの観測を経てホイヘンスが土星の環を確認した。②は1920年代の量子力学の成立の後、1947年に点接触型トランジスタが発明された。③はヘルツが1888年に電磁波の存在を確かめた後、1930年代にレーダーが実用化された。④は1938年の核分裂の発見の後、1950年代に原子力発電が始まった。

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適性科目の解答・解説(15問)

技術士法

II-1 技術士法第4章の義務と責務

秘密保持義務(第45条)と公益確保の責務(第45条の2)の関係が問われている。公衆の安全に関わる場面では、公益の確保が優先される。

正答 ③(×・○・×・×)

ア×、イ○、ウ×、エ×の③が正答となる。

アについて、依頼者から得た情報を基に自ら調べて得た情報も、業務に関して知り得た秘密にあたり、守秘の対象になる。イは、情報を意図的に隠すことの弊害を認識し、不利な情報でも公開に努めるという考え方で正しい。ウは、組織に働きかけても改善されない場合に守秘義務を優先するとした点が誤りで、技術士等には公共の安全、環境の保全その他の公益を害することのないよう努める責務(第45条の2)がある。エは、依頼者の主張で安全性に懸念が生じるなら、その可能性を説明すべきで、発言しなくてよいとするのは誤りである。

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情報管理

II-2 秘密情報の漏えい対策

経済産業省の「秘密情報の保護ハンドブック」は、漏えい対策の目的として、接近の制御、持出し困難化、視認性の確保、秘密情報に対する認識向上、信頼関係の維持・向上を示している。

正答 ③

複数人での作業を避けて単独作業にするとした③が不適切である。

ハンドブックは、視認性を確保して漏えいを思いとどまらせる対策として、秘密情報を扱う作業を複数人で行うことを挙げている。単独作業はかえって不正な持出しを見つけにくくする。①のアクセス権の設定は接近の制御、②の秘密である旨の表示は認識向上、④の印刷や複製の制限は持出し困難化、⑤の座席配置やレイアウトの工夫は視認性の確保にあたる。

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公益通報

II-3 公益通報者保護法

公益通報者保護法の通報者には公務員も含まれる。公務員を解雇などの不利益な取扱いから守る仕組みは、国家公務員法や地方公務員法の規定によって適用される。

正答 ②

公務員を通報の主体の適用範囲から除外したとする②が不適切である。

公務員も公益通報者として保護され、解雇の無効などの規定に代えて、国家公務員法・地方公務員法の定めにより不利益な取扱いを受けないようにされる。①の対象法律は、法律の別表と政令で定める、国民の生命、身体、財産などの保護に関わる法律である。③の解雇の無効と不利益な取扱いの禁止、④の不利益な取扱いの例、⑤の損害賠償請求の制限(2022年施行の改正で新設)は、いずれも正しい。2025年にも改正法が成立し、通報を理由とする解雇や懲戒に刑事罰を設けるなどの見直しが行われた。

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知的財産

II-4 産業財産権の範囲

産業財産権は特許権、実用新案権、意匠権、商標権の4つで、特許庁への出願と登録によって権利が生じる。著作権は知的財産権に含まれるが、産業財産権ではない。

正答 ②(○・○・○・○・×)

ア〜エが○、オが×の②が正答となる。

著作権は、創作した時点で登録なしに発生し、文化庁が所管する著作権法で保護される。産業財産権の存続期間は、特許権が出願から20年、実用新案権が出願から10年、意匠権が出願から25年、商標権が登録から10年(更新できる)である。回路配置利用権や育成者権も知的財産権に含まれるが、4つの産業財産権には入らない。

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技術士の資質能力

II-5 技術士に求められる資質能力

2023年1月に改訂された「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」は、8つの項目で構成されている。

正答 ①(0)

専門的学識、問題解決、マネジメント、評価、コミュニケーション、リーダーシップ、技術者倫理、継続研さんの8項目は、すべて改訂後の資質能力に挙げられている。誤ったものは0で、①が正答となる。

改訂では、IEAのGA&PC第4版を踏まえ、SDGsや多様性・包摂性、データ・情報技術の活用などへの対応が各項目の説明に加わった。項目の名称だけでなく、説明文の内容が問われることもあるので、改訂のねらいと合わせて確認しておくとよい。

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製造物責任

II-6 製造物責任法の適用範囲

製造物責任法の製造物は、製造又は加工された動産である。不動産、無体物、修理などのサービスは対象外だが、引き渡した時点で動産だったものは、後に不動産に組み込まれても対象となり得る。

正答 ③(×・○・○・○・×)

ア×、イ○、ウ○、エ○、オ×の③が正答となる。

アについて、エスカレータのように建物に組み込まれる製品も、製造業者が引き渡した時点で動産であれば製造物にあたるので、いかなる場合も適用されないとするのは誤りである。イのソフトウエアは単体では無体物だが、組み込んだ製品の欠陥と評価されることがある。ウの原子力損害は、原子力損害の賠償に関する法律で製造物責任法の適用が除外されている。エの修理・修繕・整備は、製造又は加工にあたらない。オについて、製造物責任の制度は国ごとに内容が異なり、輸出先や生産地の法律に従う必要がある。

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研究倫理

II-7 科学者の行動規範

日本学術会議の声明「科学者の行動規範」は、研究の公正さとともに、社会への科学的助言のあり方を定めている。

正答 ②(○・×・○・○)

ア○、イ×、ウ○、エ○の②が正答となる。

イは、市民との対話や政策立案者への科学的助言の提供までは正しいが、意見の相違を多数決で統一するとした部分が誤りである。行動規範は、科学者の合意に基づく助言を目指しつつ、意見の相違があるときはそれを分かりやすく説明することを求めている。アの研究データの記録保存と不正行為の禁止、ウの不確実性や見解の多様性の説明、エの助言と異なる政策決定が行われた場合の社会への説明の要請は、いずれも規範の内容に沿っている。

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リスクマネジメント

II-8 リスクマネジメントプロセス(JIS Q 31000)

JIS Q 31000では、リスクアセスメントをリスク特定、リスク分析、リスク評価の3段階とし、その結果を受けてリスク対応を行う。

正答 ②(特定・分析・評価・対応)

ア特定、イ分析、ウ評価、エ対応の②が正答となる。

リスク特定でリスクを発見して記述し、リスク分析で起こりやすさと結果の大きさを理解し、リスク評価で基準と比べて対応の要否と優先順位を決める。リスク対応では、回避、低減、共有、保有などの選択肢から措置を選ぶ。コミュニケーション及び協議、モニタリング及びレビュー、記録作成及び報告の3つが、プロセス全体を取り囲む構成になっている。

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事故の教訓

II-9 過去の事故・事件の教訓

2006年のエレベーター事故は、扉が開いたままかごが動いて利用者が挟まれた事故で、ケーブルの破断でかごが落下した事故ではない。

正答 ④

事実と異なるのは④である。

2006年6月、東京都港区の公共住宅で、扉が開いたままエレベーターのかごが上昇し、降りようとした高校生が挟まれて亡くなった。調査では、ブレーキの異常と保守点検の不備が指摘された。この事故を受けて2009年に建築基準法施行令が改正され、新設のエレベーターに戸開走行保護装置の設置が義務づけられた。①の乳製品による集団食中毒、②の回転ドアの事故、③の福知山線の脱線事故、⑤の笹子トンネルの天井板崩落事故の記述は、いずれも事故調査や検証の内容に沿っている。

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事業継続

II-10 事業継続ガイドライン

内閣府の事業継続ガイドラインは、経営者の関与、平時からの見直しと改善、地域との共生を重視している。災害時でも法令や条例は守らなければならない。

正答 ③(○・×・○・○)

ア○、イ×、ウ○、エ○の③が正答となる。

イは、被災時は平常時と状況が異なるとして法令や条例の遵守を不要とした点が誤りである。ガイドラインは、緊急時であっても法令・規制を遵守することを前提に事業継続の取組を求めている。アの経営者のリーダーシップ、ウの経営者が率先した定期的な見直しと継続的な改善、エの地域の救援・復旧への積極的な取組は、いずれもガイドラインの記述に沿っている。

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技術者倫理

II-11 エシックス・テスト

倫理的な判断を点検する方法として、普遍化可能性、可逆性、美徳、世評、専門家の各テストがよく使われる。

正答 ②(普遍化可能性・可逆性・美徳・世評)

ア普遍化可能性、イ可逆性、ウ美徳、エ世評の②が正答となる。

普遍化可能性テストは、皆が同じ行為をしても社会が成り立つかを問う。可逆性テストは、自分が影響を受ける側に立っても同じ判断をするかを問うもので、黄金律テストとも呼ばれる。美徳テストは、その選択を繰り返す自分が人からどう見られるかを考え、世評テストは、新聞などで報道されたときにどう受け止められるかを考える。危害テストは、行為による危害の大きさを他の選択肢と比べる方法である。

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安全保障貿易

II-12 安全保障貿易管理

外為法では、国内であっても非居住者に規制対象の技術を提供する場合は許可が必要で、いわゆる「みなし輸出」として管理される。

正答 ④

国内で非居住者に技術を提供する場合でも、提供する技術が外国為替令別表に該当するかを確認しなければならない。確認は不要とした④が不適切である。

技術の提供は、国境を越えるかどうかではなく、居住者から非居住者への提供かどうかで規制される。来日したばかりの海外企業の社員や海外から訪れた研究者に、国内で設計図を見せたり技術指導をしたりする場合も対象になる。2022年5月からは、外国政府などの強い影響を受けている居住者への提供も管理の対象に加わった。①のリスト規制、②のキャッチオール規制、③の技術の定義は正しい。⑤の特許出願のための必要最小限の技術提供は、許可を要しない例外として定められている。

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インフラ維持管理

II-13 インフラ長寿命化計画(第二期行動計画)

国土交通省インフラ長寿命化計画(行動計画)の第二期(2021年6月)は、具体的な取組を7つに整理している。

正答 ⑤(技術継承の取組)

7つの取組は、個別施設計画の策定・充実、点検・診断/修繕・更新等、予算管理、体制の構築、新技術の開発・導入、情報基盤の整備と活用、基準類等の充実である。含まれないのは技術継承の取組で、⑤が正答となる。

第二期では、損傷が軽いうちに補修する予防保全への転換、新技術やデータの活用による効率化、施設の集約・再編による規模の適正化が重視されている。選択肢はどれも行政計画にありそうな語句なので、7つの取組の名称をそのまま覚えておくと判断しやすい。

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製品安全

II-14 ISO/IEC Guide 51とALARP

ALARPは、リスクを合理的に実行可能な限り低くする考え方である。低減をやめてよいのは、更なる低減が実際的に不可能な場合か、費用が得られる改善に比べて著しく釣り合わない場合である。

正答 ③

当初計画した事業予算に収まらないことを理由にリスクを許容可能とした③が不適切である。

ALARPでは、リスク低減の費用と効果を比べ、費用が効果に対して著しく大きいときに限って、残ったリスクを許容する。予算の都合だけで許容することは認められない。①の反復プロセスと残留リスクの文書化、②のALARPの原理、④のスリーステップメソッド(本質的安全設計、安全防護・付加保護方策、使用上の情報)の順序、⑤の警告表示の要件は、いずれもGuide 51の考え方に沿っている。

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環境

II-15 典型7公害

環境基本法第2条第3項は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下、悪臭の7つによって人の健康や生活環境に被害が生じることを公害と定めている。

正答 ③(廃棄物投棄)

廃棄物投棄は典型7公害に含まれず、③が正答となる。

不法投棄などの廃棄物の問題は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律で規制されている。典型7公害のうち、騒音・振動・悪臭は感覚公害と呼ばれ、苦情の件数が多い。地盤の沈下は、地下水のくみ上げすぎなどで起こる。水質の汚濁には、水の状態や水底の底質が悪くなることも含まれる。

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出典と照合

出典は公益社団法人日本技術士会が公表した令和5年度技術士第一次試験の基礎科目・適性科目の問題と正答です。問題本文と図は転載していません。解説は資格Hubが法令、公的資料、計算で確かめて書いたもので、試験実施団体とは関係ありません。

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