2023年11月12日実施・全60問・公式正解照合

令和5年度 行政書士試験 解答・解説

令和5年度行政書士試験の全60問について公式正解を載せ、問題が公開されている54問は各肢・空欄・記述式の判断根拠まで解説しています。問題1・6・56・58〜60は、試験研究センターが著作権の関係で問題を公開していないため、正解だけを示します。

令和5年度の受験者は46,991人、合格者は6,571人で、合格率は14.0%でした(行政書士試験研究センター「試験結果分析」)。

令和7年度(2025年)全60問の解答・解説 →

令和6年度(2024年)全60問の正解と56問の解説 →

公開 ・更新 ・作成 資格Hub(運営 Boson)・正答の照合方法

正答一覧(全54問)

基礎法学

問題正答論点
問25権利能力なき社団・営利法人・一般法人・公益法人・NPO法人

憲法

問題正答論点
問32間接的・付随的な制約という判断枠組み
問43請願権・立法行為と国家賠償・裁判を受ける権利・刑事補償・裁判の公開
問53比例代表議員の党籍変更・資格争訟・閣僚の罷免・国民審査・裁判官の懲戒
問72予算の公布・増額修正・法律と予算の不一致・皇室財産・決算
問41ア6・イ18・ウ13・エ8北方ジャーナル事件(最大判昭和61年6月11日)

行政法

問題正答論点
問83違法行為の転換・解職の無効と後任者の行為・違法性の承継・取消しの遡及効・理由附記
問93社会保障給付・未決勾留と安全配慮義務・取締法規違反の契約・租税と信義則
問103マクリーン事件判決の判断枠組み
問112法令の定義・不利益処分の除外・行政指導の範囲・明確化原則・行政指導指針
問125調書の閲覧・文書等の閲覧・期日での陳述・陳述書の提出・不出頭
問131努力義務と法的義務の区別
問142不作為についての審査請求
問153取消裁決の効果・拘束力・事実上の行為・処分の変更・拒否処分の取消し
問164処分庁経由・口頭の審査請求・取下げ・補正と却下・口頭意見陳述
問172除却命令と代執行の戒告をめぐる訴訟
問182出訴期間・執行停止・第三者効の準用
問193還付通知の拒否・2項道路の一括指定・労災就学援護費・続柄の記載・用途地域
問205道路の設置・管理の瑕疵をめぐる判例
問211代位責任説と自己責任説(最判令和2年7月14日の補足意見)
問221区域・境界変更・市の要件・境界争論
問234直接請求の請求権者・対象・署名の異議・解散請求の要件
問244連携協約・協議会・機関等の共同設置・事務の代替執行・職員の派遣
問253新潟空港・大阪空港・厚木基地・成田新法・成田新幹線
問265行政手続法・行政不服審査法・公文書管理法・行政代執行法・情報公開法
問42ア5・イ18・ウ12・エ3公営住宅の明渡請求と信頼関係の法理(最判昭和59年12月13日)
問43ア14・イ6・ウ19・エ9出訴期間経過後の争い方
問44例あり出席停止の懲罰を回避するための差止訴訟と仮の差止め

民法

問題正答論点
問274債権の消滅時効と生命・身体の侵害の特則
問282時効完成前後の第三者・背信的悪意者・再度の時効取得・抵当権の消滅
問295目的物の特定・対抗要件・処分権限・動産先取特権・所有権留保
問305相対的効力と絶対的効力
問315差押えと相殺・時効消滅した債権・相殺制限の特約・不法行為債権
問324弁済の提供・無催告解除・受領遅滞中の滅失損傷
問334使用貸借・賃貸借・請負・委任・寄託の解除
問344養育費・生命保険金・遺族年金・ヤミ金融の貸付金・建て替えまでの居住利益
問353成年被後見人の遺言・カーボン複写・共同遺言・受遺者の先死亡・撤回の方式
問45例あり焼失した建物の火災保険金に対する優先弁済
問46例あり雨漏りがある住宅の注文者がとれる修補以外の手段

商法・会社法

問題正答論点
問365非顕名の代理・受任者の権限・隔地者間の申込み・諾否通知・物品保管
問375選任の方法・監査等委員の人数・発起人の就任・設立時取締役の職務
問382発行可能種類株式総数・複数議決権・拒否権・役員選任権・議決権制限
問393利益相反取引の任務懈怠推定・競業取引の損害額推定・責任限定契約・自己のための取引
問405設置義務・役員の範囲・選任と再任・計算書類との関わり・報告義務

基礎知識

問題正答論点
問472G7サミットの参加国・議長国・歴史
問485日本のテロ対策の条約・法律・組織
問4931960年代以降の東南アジア
問505日本の法人課税
問511日本の金融政策(2023年時点)
問522日本における平等と差別
問534日本の社会保障と社会福祉
問544RPA・ガバメントクラウド・eLTAX・LGWAN・オープンデータ
問554情報セキュリティの用語
問571モザイク・アプローチ・GDPRと死者の情報・機微情報・公的部門の規律

令和7年度 全60問の解答解説PDF

解説を全60問・288肢そろえた92ページのPDFです。 買い切りで、購入後すぐダウンロードできます。

収録した全問を試験実施団体の公表問題・正答と照合しています。照合の手順を見る →

1,980円
表紙と紙面の見本を見る →

この年度の出題構成

全54問のうち22問、41%が行政法です。問題数の構成比であり、配点や合格基準の比率ではありません。

次に多いのが民法の11問で、上位2分野で61%を占めます。

論点は47件で、複数問にまたがるのは行政不服審査法(3問)、地方自治法(3問)、行政事件訴訟法(2問)です。同じ論点でも問われ方が変わるので、解説は問ごとに分けています。

読み取れた48問の正答番号は5が12件、1が5件です。正答の分布は次の問題の答えを予測する根拠にはなりません。見直しは問題の条件と選択肢の根拠から行ってください。

分野出題数割合この年に問われた論点
行政法22問41%行政行為の瑕疵、行政上の法律関係、裁量審査、行政手続法、聴聞、行政不服審査法、行政代執行・抗告訴訟、行政事件訴訟法
民法11問20%消滅時効、取得時効と登記、集合動産譲渡担保、連帯債務、相殺、受領遅滞と危険の移転、契約の解除、損益相殺
基礎知識10問19%政治、テロ対策、国際、財政・税制、金融、人権、社会保障、行政のデジタル化
憲法5問9%表現の自由、国務請求権、罷免・解職、財政
商法・会社法5問9%商行為、設立時取締役、種類株式、役員等の責任、会計参与と会計監査人
基礎法学1問2%法人
正答番号12345
件数510111012

集計は当サイトが公開している全54問・256件の解説から作成しました。問題と正答は試験実施団体の公表資料と照合しています。

全問に共通する注意

令和8年度試験での注意 解説は令和5年度試験の基準日(2023年4月1日)の法令で書いています。2026年4月1日までの改正や情勢の変化で確認が必要な問(問47・問51・問53)には各問に注意を付けました。それ以外の問は、2026年4月1日現在の法令・判例で解いても正誤が変わりません。

基礎法学の解答・解説(1問)

法令用語と裁判制度の基礎を、定義と制度趣旨から判定します。似た法律用語を日常語の感覚だけで選ぶと失点しやすい分野です。

法人

問2 権利能力なき社団・営利法人・一般法人・公益法人・NPO法人

法人の分類は、利益を構成員に分配するかどうか(営利・非営利)と、公益性の認定を受けているかで整理します。一般社団法人も収益事業はでき、禁じられているのは剰余金の分配です。

公式正解 5

妥当なのはエとオで、正解は5です。

ア:妥当でない。法人でない社団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができます(民事訴訟法29条)。権利能力なき社団にも当事者能力が認められます。

イ:妥当でない。合名会社は会社法上の会社で、利益を社員に分配する営利法人です。行政書士法人などの士業法人を同列に非営利法人とする記述は成り立ちません。

ウ:妥当でない。一般社団法人・一般財団法人は剰余金や残余財産を構成員に分配できない非営利法人ですが、収益事業を行うこと自体は禁じられていません。

エ:妥当。公益社団法人・公益財団法人は、公益目的事業を主たる目的とする一般社団法人・一般財団法人のうち、行政庁(内閣総理大臣又は都道府県知事)の公益認定を受けたものです(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律2条・4条)。

オ:妥当。特定非営利活動法人は、保健・医療・福祉の増進などの特定非営利活動を主たる目的とし、所轄庁(都道府県知事又は指定都市の長)の認証を受けて設立されます(特定非営利活動促進法2条・10条)。

公式問題で問2を見る

正答一覧へ戻る ↑

憲法の解答・解説(5問)

人権、統治、国会、内閣、法令形式を最高裁判例と憲法条文から整理します。判例の判断を一般化し過ぎず、事案と審査基準を対応させる必要があります。

表現の自由

問3 間接的・付随的な制約という判断枠組み

最高裁が「間接的、付随的な制約」と述べたのは、意見表明の内容ではなく、行動の手段方法がもたらす弊害を防ぐ規制です。戸別訪問の禁止と裁判官の積極的な政治運動の禁止がこれに当たります。

公式正解 2

妥当なのはアとウで、正解は2です。

ア:妥当。戸別訪問の禁止は、意見表明そのものではなく、その手段方法がもたらす弊害の防止をねらいとするもので、間接的、付随的な制約にすぎないとされました(最判昭和56年6月15日)。

イ:妥当でない。わいせつ文書の頒布の処罰は、表現の内容に着目した規制です。判例は、芸術的価値があっても処罰の対象から外れるわけではないとしましたが、間接的、付随的な制約という枠組みで説明してはいません。

ウ:妥当。裁判官の積極的な政治運動の禁止は、意見表明そのものではなく行動のもたらす弊害の防止をねらいとし、間接的、付随的な制約にすぎないとされました(寺西判事補事件、最大決平成10年12月1日)。

エ:妥当でない。未決勾留者の新聞閲読の制限について、判例は、規律・秩序の維持に放置できない程度の障害が生ずる相当の蓋然性がある場合に、必要かつ合理的な範囲で認められるとしました(最大判昭和58年6月22日)。間接的、付随的な制約とは位置づけていません。

公式問題で問3を見る

国務請求権

問4 請願権・立法行為と国家賠償・裁判を受ける権利・刑事補償・裁判の公開

裁判を受ける権利には、裁判所の裁判によらなければ刑罰を科されないという自由権的な側面があります。請願権は受理を求める権利で、内容の審理・判定まで求める権利ではありません。

公式正解 3

1:妥当でない。請願を受けた官公署は請願を受理し誠実に処理しなければなりませんが(請願法5条)、請願の内容を審理・判定する法的義務まで負うわけではありません。

2:妥当でない。判例は、立法の内容又は立法不作為が憲法上の権利を違法に侵害することが明白な場合などには、国会議員の立法行為も国家賠償法上違法と評価されうるとしています(最大判平成17年9月14日)。立法不作為に限られません。

3:妥当。憲法32条は、刑事事件では裁判所の裁判によらなければ刑罰を科されないことを保障しており、この点で国家からの自由という自由権的な側面を持っています(37条1項も参照)。

4:妥当でない。少年審判の不処分決定は、刑事補償法1条1項にいう「無罪の裁判」に当たらないとするのが判例です(最決平成3年3月29日)。

5:妥当でない。純然たる訴訟事件について、公開の法廷における対審・判決によらずに終局的な判断をすることは、憲法82条・32条に反するとされています(最大決昭和35年7月6日)。

公式問題で問4を見る

罷免・解職

問5 比例代表議員の党籍変更・資格争訟・閣僚の罷免・国民審査・裁判官の懲戒

内閣の意思決定は、慣例上閣議の全員一致で行われます。反対する大臣がいれば、内閣総理大臣はその大臣を罷免して閣議決定を行えます(憲法68条2項)。

公式正解 3

1:妥当でない。比例代表選出議員が当選を失うのは、同じ選挙で名簿を届け出た他の政党などに所属することになった場合です(公職選挙法99条の2)。除名や離党で政党に所属しなくなっただけでは失職しません。

2:妥当でない。議員の資格争訟の裁判は各議院が行うもので(憲法55条)、国会全体の権能ではありません。議席を失わせるには出席議員の3分の2以上の多数による議決が必要です。

3:妥当。閣議は慣例上全員一致で決定されるので、衆議院の解散に反対する大臣がいる場合、内閣総理大臣は任意に国務大臣を罷免し(68条2項)、内閣として決定を行うことになります。

4:妥当でない。最高裁判所の裁判官の国民審査は、任命後初めて行われる衆議院議員総選挙の際に行われ(79条2項)、判事として審査を受けた者が長官に任命されても、改めて長官として審査に付されることはありません。

5:妥当でない。裁判官の懲戒は戒告又は1万円以下の過料に限られ(裁判官分限法2条)、懲戒による免職はありません。罷免は弾劾裁判などによります。

公式問題で問5を見る

財政

問7 予算の公布・増額修正・法律と予算の不一致・皇室財産・決算

国会法は、予算の増額修正があることを前提に、内閣に意見を述べる機会を与える規定を置いています。予算の公布は天皇の国事行為ではありません。

公式正解 2

1:妥当でない。天皇の国事行為として憲法7条1号が挙げるのは、憲法改正、法律、政令及び条約の公布で、予算の公布は含まれません。

2:妥当。予算の増額修正については内閣の予算提出権を侵すとする見解もありますが、国会法57条の3は、予算の増額修正などの際に内閣に意見を述べる機会を与えると定めており、増額修正を予定しています。

3:妥当でない。予算が成立しても、支出の根拠となる法律が制定されていなければ、内閣は予算を執行できません。法律と予算の不一致は、法律の制定などで解消するしかありません。

4:妥当でない。皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基づかなければなりません(憲法8条)。

5:妥当でない。決算は、まず会計検査院が検査し、内閣が次の年度にその検査報告とともに国会に提出します(90条1項)。国会の承認を得てから会計検査院に提出するという順序ではありません。

公式問題で問7を見る

表現の自由

問41 北方ジャーナル事件(最大判昭和61年6月11日)

公職の候補者に対する評価・批判の出版物を事前に差し止めた事件で、事前抑制は原則として許されず、厳格かつ明確な要件のもとでのみ例外的に許されるとした判決です。

公式正解 ア6・イ18・ウ13・エ8

空欄は「公の批判」「明確」「公共の利害」「公益」で、公式正解はア6・イ18・ウ13・エ8です。

ア(6 公の批判):事前抑制は表現物が自由市場に出る前に抑止するので、その内容が読者に届かず、公の批判の機会を減らすと述べています。

イ(18 明確):事前抑制は、憲法21条の趣旨に照らし、厳格かつ明確な要件のもとでのみ許容されうるとしました。

ウ(13 公共の利害):公務員や公職選挙の候補者に対する評価・批判は、一般に公共の利害に関する事項であるとしています。

エ(8 公益):表現内容が真実でなく、又は専ら公益を図る目的のものでないことが明白で、かつ重大で著しく回復困難な損害のおそれがあるときに限り、例外的に事前差止めが許されるとしました。

公式問題で問41を見る

正答一覧へ戻る ↑

行政法の解答・解説(22問)

行政手続、不服申立て、行政訴訟、国家賠償、地方自治、情報公開を一続きの手続として解きます。処分性、原告適格、出訴期間、執行停止など隣接概念の取り違えが主な失点源です。

行政行為の瑕疵

問8 違法行為の転換・解職の無効と後任者の行為・違法性の承継・取消しの遡及効・理由附記

理由附記の不備は、後の審査請求の裁決で処分の根拠が示されても治癒されません。理由附記が恣意の抑制と不服申立ての便宜のための制度だからです。

公式正解 3

妥当なのはイとオで、正解は3です。

ア:妥当でない。判例は、違法な行政行為でも別の行政行為として要件を満たすなら、その行為として扱う違法行為の転換を認めることがあります(最大判昭和29年7月19日)。当然に許されないわけではありません。

イ:妥当。判例は、解職請求を可とする投票が後に無効とされても、それまでの間に後任の長がした行政処分は当然に無効となるものではないとしています。

ウ:妥当でない。判例は、建築確認の取消訴訟で先行する安全認定の違法を主張することを認めた例があります(最判平成21年12月17日)。違法性の承継が一切許されないわけではありません。

エ:妥当でない。職権取消しも、原則として行為の時にさかのぼって効力を失わせます。遡及効の有無で争訟取消しと職権取消しを分ける考え方は取られていません。

オ:妥当。更正処分の理由附記の不備は、その後の審査請求に対する裁決で処分の具体的根拠が明らかにされても、治癒されないとされています(最判昭和47年12月5日)。

公式問題で問8を見る

行政上の法律関係

問9 社会保障給付・未決勾留と安全配慮義務・取締法規違反の契約・租税と信義則

国は、未決勾留中の被勾留者に対して信義則上の安全配慮義務を負わないとされました。取締法規に違反した売買契約も、それだけで無効になるわけではありません。

公式正解 3

妥当なのはイとウで、正解は3です。

ア:妥当でない。労災保険の給付決定など、社会保障給付の多くは行政処分によって行われます。もっぱら契約によるという記述は成り立ちません。

イ:妥当。未決勾留による拘禁関係は、当事者の合意ではなく勾留の裁判と法令によって成立するので、国は被勾留者に対して信義則上の安全配慮義務を負わないとされました(最判平成28年4月21日)。

ウ:妥当。食品衛生法上の営業許可は取締りのための規定で、許可を受けずにした売買契約もそれだけで無効にはならないとされています(最判昭和35年3月18日)。

エ:妥当でない。判例は、租税法律関係でも、納税者間の平等・公平という要請を犠牲にしてもなお納税者の信頼を保護しなければ正義に反する特別の事情がある場合には、信義則の適用がありうるとしています(最判昭和62年10月30日)。

公式問題で問9を見る

裁量審査

問10 マクリーン事件判決の判断枠組み

マクリーン事件判決は、在留期間の更新について法務大臣に広い裁量を認め、判断が全く事実の基礎を欠くか、社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかな場合に限って違法になるとしました。

公式正解 3

妥当なのはイとエで、正解は3です。

ア:妥当でない。判決は、法務大臣が国内の政治・経済・社会の諸事情や国際情勢、外交関係なども斟酌して判断できるとしています。それらの考慮が他事考慮に当たるとはしていません。

イ:妥当。判断が全く事実の基礎を欠く場合、又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くことなどにより社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかな場合に限り、裁量権の逸脱・濫用として違法になるとしました。

ウ:妥当でない。判決は、上陸拒否事由や退去強制事由に準ずる事由がなければ不許可にできないという考え方を取っていません。更新を適当と認める相当の理由の判断は、法務大臣の広い裁量に委ねられています。

エ:妥当。出入国管理政策や外交政策を非難する政治活動を斟酌して更新を不許可としても、裁量権の逸脱・濫用には当たらないとされました。

オ:妥当でない。判決は、政治活動の自由に関する憲法の保障は、我が国の政治的意思決定などに影響を及ぼす活動を除き、外国人にも及ぶとしています。そもそも保障が及ばないという記述は誤りです。

公式問題で問10を見る

行政手続法

問11 法令の定義・不利益処分の除外・行政指導の範囲・明確化原則・行政指導指針

名あて人の同意を前提にする処分は、権利を制限する内容でも、不利益処分の定義から外れます(行政手続法2条4号ハ)。

公式正解 2

1:妥当でない。行政手続法の「法令」には、法律、法律に基づく命令(告示を含む)、条例及び地方公共団体の執行機関の規則が含まれます(2条1号)。

2:妥当。名あて人となる者の同意があることを前提とする処分は、相手方の権利を制限する内容でも、不利益処分には当たりません(2条4号ハ)。

3:妥当でない。行政指導は、特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言などで、処分に該当しないものをいいます(2条6号)。不特定の者への一般的な情報提供は含まれません。

4:妥当でない。行政指導の趣旨・内容と責任者を明確に示す義務(35条1項)は、すべての行政指導に及びます。法令違反の是正を求めるものに限られません。

5:妥当でない。行政指導指針は、同一の行政目的のため一定の条件に該当する複数の者に行政指導をしようとするときに定めるもので(36条)、根拠規定が法律に置かれている行政指導に限られません。

公式問題で問11を見る

聴聞

問12 調書の閲覧・文書等の閲覧・期日での陳述・陳述書の提出・不出頭

当事者が正当な理由なく聴聞の期日に出頭せず、陳述書なども提出しないときは、主宰者は改めて意見陳述の機会を与えることなく、聴聞を終結できます(行政手続法23条1項)。

公式正解 5

1:正しい。当事者又は参加人は、聴聞の審理の経過を記載した調書と、主宰者の報告書の閲覧を求めることができ(行政手続法24条4項)、聴聞の終結後も閲覧できます。

2:正しい。当事者等は、聴聞の通知があった時から聴聞が終結する時までの間、調査結果の調書などの資料の閲覧を求めることができます(18条1項)。

3:正しい。当事者や参加人は、期日に出頭して意見を述べ、証拠書類等を出すことができ、主宰者が許可すれば行政庁の職員に質問もできます(20条2項)。

4:正しい。当事者又は参加人は、期日への出頭に代えて、主宰者に陳述書と証拠書類等を提出できます(21条1項)。

5:誤り。正当な理由なく出頭せず陳述書等も提出しない場合、主宰者は改めて機会を与えることなく聴聞を終結できます(23条1項)。機会を与える義務はありません。

公式問題で問12を見る

行政手続法

問13 努力義務と法的義務の区別

公聴会の開催、処分基準の設定・公表、標準処理期間の設定は努力義務です。審査基準の設定・公表と、定めた標準処理期間の公表は法的義務です。

公式正解 1

努力義務はアとウで、正解は1です。

ア:努力義務。申請者以外の者の利害を考慮すべきことが許認可の要件とされているときは、必要に応じ公聴会の開催などの方法で意見を聴く機会を設けるよう努めなければなりません(行政手続法10条)。

イ:法的義務。行政庁は審査基準を定めるものとし、行政上特別の支障があるときを除き、公にしておかなければなりません(5条1項・3項)。

ウ:努力義務。処分基準は、定め、かつ、公にしておくよう努めなければならないとされています(12条1項)。

エ:法的義務。標準処理期間を定めること自体は努力義務ですが、定めたときは公にしておかなければなりません(6条)。

公式問題で問13を見る

行政不服審査法

問14 不作為についての審査請求

不作為についての審査請求ができるのは、法令に基づき処分を申請した者だけです。上級行政庁である審査庁は、理由があれば不作為庁に一定の処分をすべき旨を命じます。

公式正解 2

1:妥当でない。不作為についての審査請求ができるのは、法令に基づき行政庁に処分の申請をした者です(行政不服審査法3条)。法律上の利益を有するだけの第三者はできません。

2:妥当。審査庁が不作為庁の上級行政庁であるときは、裁決で不作為が違法又は不当である旨を宣言するとともに、不作為庁に対し、その処分をすべき旨を命じます(49条3項1号)。

3:妥当でない。不作為についての審査請求に、申請から一定期間の経過を待たなければならないという規定はありません。相当の期間内に処分がされないことが前提です。

4:妥当でない。行政不服審査法には、裁決までの仮の救済として審査庁が一定の処分をする仕組みはありません。

5:妥当でない。不作為についての審査請求でも、原則として審理員を指名して審理手続を行います(9条1項)。審理手続を省いて裁決しなければならないという規定はありません。

公式問題で問14を見る

行政不服審査法

問15 取消裁決の効果・拘束力・事実上の行為・処分の変更・拒否処分の取消し

事実上の行為についての審査請求に理由があるとき、処分庁である審査庁は、違法又は不当である旨を宣言し、自らその行為を撤廃し又は変更します(行政不服審査法47条)。

公式正解 3

1:妥当でない。処分を取り消す裁決があれば、処分は裁決によって効力を失います(形成力)。処分庁が改めて取り消す必要はありません。

2:妥当でない。裁決は関係行政庁を拘束するので(52条1項)、同じ事実を根拠に同じ処分を繰り返すことは許されません。

3:妥当。審査庁が処分庁であるときは、裁決で事実上の行為が違法又は不当である旨を宣言するとともに、その行為の全部若しくは一部を撤廃し、又は変更します(47条2号)。

4:妥当でない。裁決で処分を変更できるのは、審査庁が処分庁の上級行政庁又は処分庁である場合に限られます(46条1項ただし書)。審査請求人の不利益に変更できない点(48条)は正しい記述です。

5:妥当でない。拒否処分を取り消す裁決は、許認可処分とみなされるわけではありません。処分庁である審査庁は、一定の処分をすべきと認めるときは自ら当該処分をします(46条2項2号)。

公式問題で問15を見る

行政不服審査法

問16 処分庁経由・口頭の審査請求・取下げ・補正と却下・口頭意見陳述

審査請求書に形式上の不備があれば、審査庁はまず補正を命じ、補正されないときや補正できないことが明らかなときは、審理員による審理手続を経ずに却下できます(行政不服審査法23条・24条)。

公式正解 4

1:正しい。審査庁が処分庁以外の行政庁である場合でも、審査請求書を処分庁に提出し、処分庁を経由して審査請求することが認められています(行政不服審査法21条1項)。

2:正しい。審査請求は書面でするのが原則ですが、他の法律(条例に基づく処分は条例)に口頭ですることができる旨の定めがあるときは、口頭でできます(19条1項)。

3:正しい。審査請求人は、裁決があるまでは、いつでも書面で審査請求を取り下げることができます(27条)。理由の制限はありません。

4:誤り。不備が補正されないとき、又は不適法で補正できないことが明らかなときは、審査庁は審理員を指名せず、審理手続を経ないで裁決で却下できます(24条)。

5:正しい。申立てがあれば審理員は原則として口頭意見陳述の機会を与え(31条1項)、申立人は審理員の許可を得て補佐人とともに出頭できます(31条3項)。

公式問題で問16を見る

行政代執行・抗告訴訟

問17 除却命令と代執行の戒告をめぐる訴訟

代執行の戒告は処分として取消訴訟の対象になります。ただし、先行する除却命令の違法を戒告の取消訴訟で主張することは、原則としてできません。

公式正解 2

妥当なのはアとエで、正解は2です。

ア:妥当。戒告と代執行令書による通知には処分性が認められるので、Xは除却命令の無効確認訴訟とあわせて、戒告等の取消訴訟も提起できます。

イ:妥当でない。除却命令と戒告はそれぞれ独立した効果を持つ処分で、除却命令の違法は戒告の取消訴訟では原則として主張できません(違法性の承継の否定)。除却命令の違法は、その無効確認訴訟などで争います。

ウ:妥当でない。取消訴訟の出訴期間は、処分があったことを知った日から6か月です(行政事件訴訟法14条1項)。通知書を受け取ってから約8か月が過ぎているので、却下されます。

エ:妥当。代執行が完了すれば戒告等の効果は消滅し、取消しを求める訴えの利益がなくなるので、訴えは却下されます。

公式問題で問17を見る

行政事件訴訟法

問18 出訴期間・執行停止・第三者効の準用

出訴期間(14条)は取消訴訟以外の抗告訴訟に準用されず、執行停止(25条)は無効等確認訴訟には準用されますが、当事者訴訟には準用されません。第三者効(32条)も義務付け訴訟・差止訴訟には準用されません。

公式正解 2

アが正しく、イとウが誤りなので、正解は2です。

ア:正しい。出訴期間を定める14条は、無効等確認訴訟にも、不作為の違法確認訴訟・義務付け訴訟・差止訴訟にも準用されていません(38条)。無効な処分はいつでも争えるという訴訟の性質によります。

イ:誤り。25条は義務付け訴訟・差止訴訟に準用されない点は正しいのですが、当事者訴訟にも準用されていません(41条)。義務付け・差止めには、別に仮の義務付け・仮の差止め(37条の5)があります。

ウ:誤り。取消判決の第三者効を定める32条1項は、義務付け訴訟・差止訴訟には準用されていません(38条)。無効等確認訴訟に準用されるのも、執行停止の決定に関する32条2項だけです(38条3項)。

公式問題で問18を見る

処分性

問19 還付通知の拒否・2項道路の一括指定・労災就学援護費・続柄の記載・用途地域

処分性は、行政庁の行為が国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているかで判断します。労災就学援護費は、支給決定によって初めて具体的な請求権が生じるので、決定に処分性があります。

公式正解 3

1:妥当でない。登録免許税の過誤納付について、還付通知をすべき旨の請求に対する登記機関の拒否通知は、簡易迅速に還付を受ける手続上の地位を否定する法的効果を持つので、処分に当たるとされました(最判平成17年4月14日)。

2:妥当でない。告示による2項道路の一括指定も、個別の土地について具体的な私権制限を生じさせるので、処分に当たるとされました(最判平成14年1月17日)。

3:妥当。労災就学援護費は、労働基準監督署長の支給決定によって初めて具体的な支給請求権を取得するので、支給・不支給の決定は処分に当たるとされました(最判平成15年9月4日)。

4:妥当でない。住民票への続柄の記載は、それ自体で国民の権利義務を新たに生じさせたり範囲を確定したりする法的効果を持たないので、処分に当たらないとされました(最判平成11年1月21日)。

5:妥当でない。用途地域の指定は、区域内の不特定多数の者に対する一般的・抽象的な制限にすぎず、処分に当たらないとされました(最判昭和57年4月22日)。

公式問題で問19を見る

国家賠償法2条

問20 道路の設置・管理の瑕疵をめぐる判例

道路の管理の瑕疵は、営造物が通常有すべき安全性を欠いているかで判断します。小動物の侵入防止のために多額の費用をかけることまでは求められないとしたキツネ事故の判決が、この問の正解です。

公式正解 5

1:妥当でない。防護柵の設置に多額の費用がかかり、予算措置に困ることが推察できても、それだけで道路管理者が賠償責任を免れるものではないとされました(高知落石事件、最判昭和45年8月20日)。

2:妥当でない。工事標識板などが倒れたのが夜間の事故直前で、時間的に原状に戻して安全を保つことが不可能だった場合には、道路管理に瑕疵はなかったとされました(最判昭和50年6月26日)。

3:妥当でない。防護柵が通常の通行時の転落防止という目的からみて安全性を欠いていないなら、幼児の通常予測できない行動による事故について、設置管理者は責任を負わないとされました(最判昭和53年7月4日)。

4:妥当でない。道路が周辺住民に一定の利益を与えていても、騒音・排気ガスなどの被害が受忍限度を超えていれば、道路の供用は違法になりうるとされました(国道43号線訴訟、最判平成7年7月7日)。

5:妥当。高速道路でキツネとの衝突を避けようとした自損事故について、侵入防止対策が全国で広く採られていたとはいえず、動物注意の標識も設置されていたなどの事情の下では、設置・管理の瑕疵はないとされました(最判平成22年3月2日)。

公式問題で問20を見る

国家賠償法1条

問21 代位責任説と自己責任説(最判令和2年7月14日の補足意見)

代位責任説は公務員個人の責任を国が肩代わりするという考え方なので、加害公務員の特定や故意・過失(有責性)が必要になります。自己責任説は国自身の責任と捉えます。

公式正解 1

空欄は「代位責任」「自己責任」「有責性」「組織的」で、正解は1です。

ア(代位責任):公務員の不法行為責任を国又は公共団体が代わって負うと考える説です。加害公務員や加害行為が特定できない場合には、責任を生じさせにくくなります。

イ(自己責任):国又は公共団体自身の責任と捉える説で、加害公務員を特定できなくても責任が生じうると説明されます。

ウ(有責性):代位責任説では、加害公務員個人に故意・過失という有責性があることが前提になります。

エ(組織的):公務員の過失を個々の公務員ではなく組織としての注意義務違反として捉える「組織的過失」の考え方が裁判例で支配的になり、個々の公務員の有責性を問題にする必要が薄れたと述べています。

公式問題で問21を見る

地方自治法

問22 区域・境界変更・市の要件・境界争論

普通地方公共団体の区域は「従来の区域」によります(地方自治法5条1項)。境界争論は、裁判所ではなく自治紛争処理委員の調停に付します。

公式正解 1

正しいのは1です。

1:正しい。普通地方公共団体の区域は従来の区域によるとされ(地方自治法5条1項)、同法施行時の区域が基準になります。

2:誤り。市町村の境界変更は、関係市町村の申請を受けて都道府県知事が都道府県議会の議決を経て定め、その後直ちに総務大臣に届け出る手続です(7条1項)。国会の承認は要りません。

3:誤り。都道府県の境界変更は法律で定めるのが原則です(6条1項)。協定を結んで総務大臣に届け出れば成立するという仕組みではありません。

4:誤り。市となるべき要件として、地方自治法自体が人口5万以上などを定めています(8条1項1号)。都道府県の条例で定めるのは、都市的施設などの要件です。

5:誤り。市町村の境界に関する争論は、都道府県知事が自治紛争処理委員の調停に付すことができます(9条1項)。裁判所の調停ではありません。

公式問題で問22を見る

地方自治法

問23 直接請求の請求権者・対象・署名の異議・解散請求の要件

議会の解散請求には有権者の3分の1以上の連署が必要ですが、有権者が40万人を超える団体では必要数を緩和する特例があります。解散の住民投票は過半数の同意で成立し、ここには特例がありません。

公式正解 4

正しいのは4です。

1:誤り。事務監査請求ができるのは、日本国民たる住民で選挙権を有する者で、その総数の50分の1以上の連署が必要です(地方自治法75条1項)。

2:誤り。条例の制定改廃請求の対象から除かれるのは、地方税の賦課徴収や分担金・使用料・手数料の徴収に関する条例です(74条1項)。法定受託事務に関する条例も請求の対象になります。

3:誤り。署名簿の署名に関する異議は、市町村の選挙管理委員会に申し出ます(74条の2第4項)。総務大臣ではありません。

4:正しい。議会の解散請求には選挙権を有する者の総数の3分の1以上の連署が必要ですが、総数が40万を超える部分は6分の1、80万を超える部分は8分の1として計算する特例があります(76条1項)。

5:誤り。解散の住民投票で過半数の同意があれば議会は解散します(78条)。有権者数による緩和の特例はありません。

公式問題で問23を見る

地方自治法

問24 連携協約・協議会・機関等の共同設置・事務の代替執行・職員の派遣

事務の代替執行は、他の団体の事務を「その団体の名において」管理・執行する制度です。受託した団体が自己の事務として処理するのは事務の委託です。

公式正解 4

1:正しい。連携協約は、他の普通地方公共団体と連携して事務を処理するための基本的な方針と役割分担を定める協約です(地方自治法252条の2第1項)。

2:正しい。協議会は、事務の一部の共同管理・執行、管理・執行の連絡調整、広域的な計画の共同作成のため、協議により規約を定めて設けます(252条の2の2第1項)。

3:正しい。協議により規約を定め、議会事務局、附属機関、長の内部組織などを共同して置くことができます(252条の7第1項)。

4:誤り。事務の代替執行は、他の普通地方公共団体の求めに応じて、その事務の一部を当該他の団体の名において管理・執行するもので(252条の16の2第1項)、事務の帰属は求めた団体に残ります。受託した団体の事務として処理するのは事務の委託(252条の14)です。

5:正しい。長や委員会は、事務処理のため特別の必要があると認めるとき、他の普通地方公共団体の長や委員会に職員の派遣を求めることができます(252条の17第1項)。

公式問題で問24を見る

空港をめぐる判例

問25 新潟空港・大阪空港・厚木基地・成田新法・成田新幹線

厚木基地の自衛隊機運航差止訴訟では、防衛大臣の権限行使を対象とする法定抗告訴訟(差止訴訟)として適法とされました。大阪空港訴訟の民事差止めは不適法とされています。

公式正解 3

1:妥当でない。新潟空港訴訟では、騒音によって社会通念上著しい障害を受ける周辺住民に、定期航空運送事業免許の取消しを求める原告適格が認められました。

2:妥当でない。大阪空港訴訟では、国営空港の夜間の供用差止めを求める民事上の請求は、航空行政権の行使の取消変更等を必然的に包含するので不適法とされました。

3:妥当。厚木基地訴訟では、自衛隊機の運航に関する防衛大臣の権限行使を処分とみて、差止訴訟として適法とされました(本案は、裁量権の逸脱・濫用がないとして請求棄却)。

4:妥当でない。成田新法訴訟では、31条の保障が行政手続にも及びうるとしつつ、常に告知・弁解・防御の機会を与えることが必要とはいえないとして、同法を合憲としました。

5:妥当でない。成田新幹線訴訟では、工事実施計画の認可は行政機関相互の行為で処分に当たらないとして、訴えが却下されました。周辺住民の原告適格が認められたわけではありません。

公式問題で問25を見る

地方公共団体への法律の適用

問26 行政手続法・行政不服審査法・公文書管理法・行政代執行法・情報公開法

行政機関情報公開法は、地方公共団体に情報公開の施策を策定・実施する努力義務を課しています(25条)。地方公共団体の情報公開は、各団体の条例で行います。

公式正解 5

1:妥当でない。地方公共団体の機関がする処分のうち、根拠が条例又は規則に置かれているものは、行政手続法の適用除外です(3条3項)。

2:妥当でない。地方公共団体には、執行機関の附属機関として行政不服審査会等を置くのが原則ですが、事件ごとに置くこともできます(行政不服審査法81条1項・2項)。常設が義務付けられているわけではありません。

3:妥当でない。公文書管理法は、地方公共団体に、文書の適正な管理に関する施策の策定・実施に努める義務を課しているだけで(34条)、条例の制定を義務付けていません。

4:妥当でない。行政代執行法は、条例により直接命ぜられた行為も代執行の対象とし(2条)、同法がそのまま適用されます。各団体が別に条例で定めなければならないわけではありません。

5:妥当。地方公共団体は、法の趣旨にのっとり、その保有する情報の公開に関する施策を策定し、実施するよう努めなければなりません(行政機関情報公開法25条)。

公式問題で問26を見る

公営住宅の使用関係

問42 公営住宅の明渡請求と信頼関係の法理(最判昭和59年12月13日)

公営住宅の使用関係には公法的な一面があるものの、入居後の法律関係は基本的に私人間の賃貸借と同じで、民法・借家法と信頼関係の法理が適用されるとした判決です。

公式正解 ア5・イ18・ウ12・エ3

空欄は「社会福祉」「公の営造物」「賃貸借関係」「信頼関係」で、公式正解はア5・イ18・ウ12・エ3です。

ア(5 社会福祉):公営住宅法1条は、低額所得者に低廉な家賃で住宅を賃貸し、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的としています。

イ(18 公の営造物):公営住宅の使用関係には、公の営造物の利用関係として公法的な一面があることを否定できないとしました。

ウ(12 賃貸借関係):使用許可の後の事業主体と入居者との法律関係は、基本的には私人間の家屋の賃貸借関係と異ならないとしています。

エ(3 信頼関係):民法・借家法が適用され、信頼関係の法理も及ぶので、明渡請求事由に当たっても信頼関係を破壊するとは認め難い特段の事情があれば、明渡しを請求できないとしました。

公式問題で問42を見る

無効の処分を争う訴訟

問43 出訴期間経過後の争い方

出訴期間が過ぎても、処分が無効であれば、無効確認の訴えや、私法上の法律関係に関する訴訟(争点訴訟)で争えます。判例は、無効といえるには重大かつ明白な瑕疵が必要としています。

公式正解 ア14・イ6・ウ19・エ9

空欄は「無効」「無効確認の訴え」「争点訴訟」「重大かつ明白」で、公式正解はア14・イ6・ウ19・エ9です。

ア(14 無効):処分が無効であれば、取消訴訟の出訴期間が経過した後でも、別の訴えで争うことができます。

イ(6 無効確認の訴え):法定抗告訴訟としては、処分の無効等確認の訴え(行政事件訴訟法3条4項)がこれに当たります。

ウ(19 争点訴訟):私法上の法律関係に関する訴訟で処分の効力の有無が争われるものを争点訴訟といい、行政事件訴訟法の一部が準用されます(45条)。

エ(9 重大かつ明白):判例は、処分が無効であるためには、原則として瑕疵が重大かつ明白でなければならないとしています。

公式問題で問43を見る

行政事件訴訟法

問44 出席停止の懲罰を回避するための差止訴訟と仮の差止め

地方議会の議員に対する出席停止の懲罰は司法審査の対象になります(最大判令和2年11月25日)。まだ議決されていない懲罰を止めるには、差止訴訟と仮の差止めを使います。

公式正解例あり

公式正解例は「Y市に対して、出席停止の懲罰の差止訴訟を提起するとともに、仮の差止めを申し立てる。」です。

相手方:処分をする行政庁はY市議会ですが、抗告訴訟は処分をする行政庁の所属する公共団体を被告とするので、Y市に対して提起します(行政事件訴訟法11条1項1号・38条1項)。

手段:懲罰の議決はまだされていないので、取消訴訟ではなく、処分がされようとしている段階で使える差止訴訟(3条7項・37条の4)を提起します。

仮の救済:次の会期まで1か月程度しかないので、本案判決を待たずに処分を止める仮の差止め(37条の5第2項)をあわせて申し立てます。償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があることが要件です。

書き方:40字程度で、「Y市に対して」「差止訴訟を提起」「仮の差止めを申し立てる」の3点を入れます。

公式問題で問44を見る

正答一覧へ戻る ↑

民法の解答・解説(11問)

代理、物権、債権、家族法を、当事者関係と時間の順序から解きほぐします。原則と例外、対抗要件、第三者保護を一つのルールとして扱うと誤ります。

消滅時効

問27 債権の消滅時効と生命・身体の侵害の特則

2020年施行の改正民法で、債権は「知った時から5年・行使できる時から10年」に統一されました。生命・身体の侵害による損害賠償請求権は、不法行為でも債務不履行でも、主観的起算点から5年・客観的起算点から20年です。

公式正解 4

1:正しい。債権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき、時効によって消滅します(民法166条1項1号)。

2:正しい。権利を行使することができる時から10年間行使しないときも、時効によって消滅します(166条1項2号)。

3:正しい。人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権は、客観的起算点からの期間が20年になります(167条)。

4:誤り。生命・身体を害する不法行為の損害賠償請求権は、被害者側が損害と加害者を知った時から5年で時効にかかります(724条の2)。3年ではありません。

5:正しい。債権・所有権以外の財産権(地上権など)は、行使できる時から20年で時効により消滅します(166条2項)。

公式問題で問27を見る

取得時効と登記

問28 時効完成前後の第三者・背信的悪意者・再度の時効取得・抵当権の消滅

時効取得者は、時効完成後の第三者とは対抗関係に立ちますが、その第三者が背信的悪意者であれば、登記なくして所有権の取得を対抗できます。

公式正解 2

1:妥当。時効完成前に原所有者から譲り受けた者は時効取得の当事者と同じ立場にあり、時効取得者は登記なくして対抗できます。

2:妥当でない。時効完成後の譲受人が背信的悪意者に当たる場合には、時効取得者は登記なくして所有権の取得を対抗できます(最判平成18年1月17日)。

3:妥当。時効完成後の第三者が登記した後、時効取得者がさらに時効に必要な期間占有を続けたときは、その第三者に対して登記なくして時効取得を対抗できます(最判昭和36年7月20日)。

4:妥当。時効完成後に抵当権の設定登記がされても、その後引き続き時効に必要な期間占有したときは、抵当権の存在を容認していたなどの特段の事情がない限り、時効取得の結果として抵当権は消滅します(最判平成24年3月16日)。

5:妥当。時効完成後の第三者には登記なくして対抗できず、時効の起算点を任意に選んで、第三者の登記の後に時効が完成したと主張することも許されません(最判昭和35年7月27日)。

公式問題で問28を見る

集合動産譲渡担保

問29 目的物の特定・対抗要件・処分権限・動産先取特権・所有権留保

集合動産譲渡担保の目的物に、売主が所有権を留保した商品が含まれている場合、代金が支払われるまで所有権は売主にあるので、譲渡担保権者はその商品について譲渡担保権を主張できません。

公式正解 5

1:妥当。種類、所在場所、量的範囲を指定して目的物の範囲が特定されれば、構成部分が変動する集合動産も一個の集合物として譲渡担保の目的にでき、占有改定による引渡しで対抗要件を備えます(最判昭和62年11月10日)。

2:妥当。集合物としての同一性が損なわれない限り、設定後に搬入された商品にも譲渡担保権の効力が及びます。

3:妥当。設定者は、通常の営業の範囲内であれば、在庫商品を処分する権限を有します(最判平成18年7月20日)。

4:妥当。占有改定による引渡しを受けた譲渡担保権者は民法333条の第三取得者に当たり、売主の動産売買先取特権はその商品に行使できなくなるとされています(最判昭和62年11月10日)。

5:妥当でない。所有権留保の特約がある商品は、代金の完済までは所有権が売主Dに留保されているので、譲渡担保権者AはDに対し、その商品について譲渡担保権を主張できません(最判平成30年12月7日)。

公式問題で問29を見る

連帯債務

問30 相対的効力と絶対的効力

2020年施行の改正民法で、連帯債務者の一人に対する履行の請求と免除は、他の連帯債務者に効力を生じない相対的効力事由になりました。弁済・代物弁済・相殺・更改・混同は他の債務者にも効力が及びます。

公式正解 5

効力を生じないのはエとオで、正解は5です。

ア:効力が生じる。連帯債務者の一人と債権者との間に混同があったときは、その連帯債務者は弁済をしたものとみなされます(民法440条)。

イ:効力が生じる。代物弁済は弁済と同じく債務を消滅させるので、他の連帯債務者の債務も消滅します。

ウ:効力が生じる。連帯債務者の一人が債権者に対する債権で相殺を援用したときは、債権はすべての連帯債務者の利益のために消滅します(439条1項)。

エ:効力が生じない。履行の請求は、改正前は絶対的効力事由でしたが、現在は他の連帯債務者に効力を生じません(441条)。

オ:効力が生じない。債務の免除も、他の連帯債務者に効力を生じない事由です(441条)。

公式問題で問30を見る

相殺

問31 差押えと相殺・時効消滅した債権・相殺制限の特約・不法行為債権

人の生命又は身体の侵害による損害賠償債務を負う者は、故意か過失かを問わず、その債務を受働債権として相殺することができません(民法509条2号)。

公式正解 5

1:正しい。差押え後に取得した債権でも、差押え前の原因に基づいて生じたものであれば、第三債務者は相殺を差押債権者に対抗できます。ただし、差押え後に他人の債権を取得した場合は除かれます(民法511条2項)。

2:正しい。時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は相殺できます(508条)。

3:正しい。相殺を禁止・制限する意思表示は、第三者がこれを知り、又は重大な過失によって知らなかったときに限り、その第三者に対抗できます(505条2項)。

4:正しい。悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務の債務者は、相殺をもって債権者に対抗できません(509条1号)。

5:誤り。人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務の債務者は、相殺をもって債権者に対抗できません(509条2号)。過失による場合も含まれます。

公式問題で問31を見る

受領遅滞と危険の移転

問32 弁済の提供・無催告解除・受領遅滞中の滅失損傷

買主が受領を拒んでいる間に、当事者双方の責めに帰することができない事由で目的物が滅失したときは、買主はその滅失を理由に代金の支払を拒めず、解除もできません。

公式正解 4

1:妥当でない。債権者があらかじめ受領を拒んでいるときは、弁済の準備をしたことを通知して受領を催告する口頭の提供で足ります(民法493条ただし書)。現実の提供までは要りません。

2:妥当でない。債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したときは、催告をしないで直ちに解除できます(542条1項2号)。

3:妥当でない。買主が受領を拒んだ後に当事者双方の責めに帰することができない事由で目的物が損傷したときは、買主は修補などの履行の追完を請求できません(567条2項)。

4:妥当。受領遅滞中の滅失は買主の責めに帰すべき事由によるものとみなされ(413条の2第2項)、買主は代金の支払を拒むことができません(567条2項・536条2項)。

5:妥当でない。債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は契約を解除できません(543条)。受領遅滞中の滅失はこれに当たります。

公式問題で問32を見る

契約の解除

問33 使用貸借・賃貸借・請負・委任・寄託の解除

請負の注文者が損害を賠償していつでも解除できるのは、請負人が仕事を完成しない間に限られます。無報酬の受寄者でも、書面による寄託なら、催告をしてからでないと解除できません。

公式正解 4

妥当でないのはウとオで、正解は4です。

ア:妥当。使用貸借の借主は、期間や目的の定めの有無にかかわらず、いつでも契約を解除できます(民法598条3項)。

イ:妥当。賃借物の全部が滅失その他の事由で使用・収益できなくなったときは、賃貸借は終了します(616条の2)。

ウ:妥当でない。注文者がいつでも損害を賠償して解除できるのは、請負人が仕事を完成しない間です(641条)。完成後は解除できません。

エ:妥当。委任は、委任者と受任者のいずれからも、いつでも解除できます(651条1項)。

オ:妥当でない。書面による寄託の無報酬の受寄者や有償の受寄者は、寄託物を受け取るべき時期を過ぎても引き渡されないときは、相当の期間を定めて催告し、その期間内に引渡しがなければ解除できます(657条の2第3項)。直ちに解除できるわけではありません。

公式問題で問33を見る

損益相殺

問34 養育費・生命保険金・遺族年金・ヤミ金融の貸付金・建て替えまでの居住利益

ヤミ金融業者が反倫理的な不法行為の手段として交付した貸付金は、不法原因給付の趣旨から、借主の損害賠償額から控除されません。

公式正解 4

1:妥当でない。幼児が死亡した場合に親が支出を免れた養育費は、幼児の逸失利益から控除されないとされています(最判昭和53年10月20日)。

2:妥当でない。生命保険金は払い込んだ保険料の対価として支払われるもので、損害の填補を目的とするものではないので、損害賠償額から控除されません(最判昭和39年9月25日)。

3:妥当でない。遺族年金のうち支給を受けることが確定したものは、退職年金受給者の逸失利益の損害賠償額から控除されます(最大判平成5年3月24日)。遺族年金が一切控除されないわけではありません。

4:妥当。反倫理的な行為に該当する不法行為の手段として交付された貸付金に相当する利益は、損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として控除することは許されないとされました(最判平成20年6月10日)。

5:妥当でない。建物に重大な瑕疵があって社会経済的な価値がないと評価される場合、建て替えまで居住していた利益を損害賠償額から控除することはできないとされました(最判平成22年6月17日)。

公式問題で問34を見る

遺言

問35 成年被後見人の遺言・カーボン複写・共同遺言・受遺者の先死亡・撤回の方式

カーボン紙による複写でも自書の要件を満たし、夫婦が同一の証書でする共同遺言は禁止されています。撤回は、遺言の方式に従えば、元の遺言と別の方式でもかまいません。

公式正解 3

妥当なのはイとウで、正解は3です。

ア:妥当でない。成年被後見人も、事理弁識能力を一時回復した時に、医師2人以上の立会いの下で遺言をすることができます(民法973条1項)。

イ:妥当。カーボン紙を用いた複写の方法で記載しても、自書の要件に欠けるものではないとされています(最判平成5年10月19日)。

ウ:妥当。遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができません(975条)。

エ:妥当でない。遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、遺贈は効力を生じません(994条1項)。受遺者の相続人が地位を承継することはありません。

オ:妥当でない。遺言の撤回は遺言の方式に従ってすればよく(1022条)、公正証書遺言を自筆証書遺言で撤回することもできます。

公式問題で問35を見る

抵当権の物上代位

問45 焼失した建物の火災保険金に対する優先弁済

抵当権者は、目的物の滅失によって所有者が受けるべき金銭(火災保険金)にも物上代位で権利を行使できます。ただし、払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければなりません。

公式正解例あり

公式正解例は「物上代位により、Cによる保険金の払渡し前に、Aが保険金債権を差し押さえなければならない。」です。

法的手段:抵当権には、目的物の売却・賃貸・滅失・損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても行使できる物上代位性があります(民法372条・304条1項)。火災保険金請求権も対象になるとされています。

要件:物上代位をするには、その金銭の払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければなりません(304条1項ただし書)。保険会社Cが保険金をBに支払ってしまうと、物上代位はできなくなります。

誰が:差押えは抵当権者A自身がしなければならないとされています。

書き方:40字程度で、「物上代位により」「Cの払渡し前に」「Aが保険金債権を差し押さえる」の3点を入れます。

公式問題で問45を見る

請負の契約不適合責任

問46 雨漏りがある住宅の注文者がとれる修補以外の手段

請負には売買の契約不適合責任の規定が準用されます。注文者は、修補(追完)請求のほか、報酬減額請求、損害賠償請求、契約の解除ができます。

公式正解例あり

公式正解例は「契約不適合責任を根拠に、報酬減額請求、損害賠償請求、契約の解除を主張することができる。」です(「請負人の担保責任を根拠に」とする例も示されています)。

根拠:請負には有償契約として売買の規定が準用され(民法559条)、仕事の目的物が契約の内容に適合しないときは、注文者は売主の契約不適合責任の規定に従って権利を行使できます。

報酬減額請求:相当の期間を定めて追完を催告し、その期間内に追完がないときなどは、不適合の程度に応じて報酬の減額を請求できます(563条)。

損害賠償請求と解除:債務不履行の一般規定による損害賠償請求(564条・415条)と契約の解除(564条・541条・542条)もできます。建物などの請負の解除を制限した旧規定は2020年の改正で削除されました。

期間:注文者は不適合を知った時から1年以内に通知すればよく(637条1項)、本問では直ちに通知しています。Bの材料と設計による不適合なので、636条の制限も問題になりません。

公式問題で問46を見る

正答一覧へ戻る ↑

商法・会社法の解答・解説(5問)

交互計算、会社設立、株主総会、監査役、株券制度の機関と手続を確認します。株主総会・取締役会・監査役会の権限主体を入れ替えた肢に注意が必要です。

商行為

問36 非顕名の代理・受任者の権限・隔地者間の申込み・諾否通知・物品保管

商人が申込みとともに受け取った物品は、申込みを拒絶したときでも保管しなければなりませんが、その費用は申込者が負担します(商法510条)。

公式正解 5

1:正しい。商行為の代理人が本人のためにすることを示さなくても、その行為は本人に効力を生じます。相手方が代理を知らなかったときは、代理人に履行を請求することもできます(商法504条)。

2:正しい。商行為の受任者は、委任の本旨に反しない範囲内で、委任を受けていない行為をすることができます(505条)。

3:正しい。商人である隔地者の間で承諾期間を定めずに申込みを受けた者が、相当の期間内に承諾の通知を発しなかったときは、申込みは効力を失います(508条1項)。

4:正しい。平常取引をする者から営業の部類に属する契約の申込みを受けた商人は、遅滞なく諾否の通知を発しなければならず、怠ると承諾したものとみなされます(509条)。

5:誤り。物品の保管は、申込みを拒絶したときでも必要ですが、申込者の費用で行います(510条本文)。申込みを受けた商人の費用ではありません。

公式問題で問36を見る

設立時取締役

問37 選任の方法・監査等委員の人数・発起人の就任・設立時取締役の職務

設立時取締役の主な職務は、出資の履行や設立手続が法令・定款に違反していないかを調査することです。設立の業務を執行するのは発起人です。

公式正解 5

誤っているのはエとオで、正解は5です。

ア:正しい。発起設立では、発起人は出資の履行が完了した後、遅滞なく設立時取締役を選任します(会社法38条1項)。定款で定めた者は、出資の履行完了の時に選任されたものとみなされます(38条4項)。

イ:正しい。募集設立では、設立時取締役の選任は創立総会の決議によって行います(88条1項)。

ウ:正しい。監査等委員会設置会社を設立する場合、設立時監査等委員となる設立時取締役は3人以上必要です(39条3項)。

エ:誤り。募集設立でも、発起人が設立時取締役に就任することは禁じられていません。

オ:誤り。設立時取締役は、選任後遅滞なく、出資の履行の完了などを調査しなければなりませんが(46条1項・93条1項)、発起人と共同して設立の業務を執行する義務を負うわけではありません。

公式問題で問37を見る

種類株式

問38 発行可能種類株式総数・複数議決権・拒否権・役員選任権・議決権制限

会社法の種類株式は、議決権を制限する方向(無議決権株式など)は認めますが、1株に2個以上の議決権を与える種類株式は認めていません。

公式正解 2

1:正しい。種類株式を発行するには、種類ごとの発行可能種類株式総数を定款に定めます(会社法108条2項)。

2:誤り。株主は1株につき1個の議決権を有するのが原則で(308条1項)、1株に2個以上の議決権を与える種類株式は認められていません。単元株式数を種類ごとに変えることで、実質的に近い効果を得る方法があるにとどまります。

3:正しい。株主総会や取締役会の決議事項について、その種類株主総会の決議も必要とする拒否権付種類株式を発行できます(108条1項8号)。

4:正しい。公開会社でも指名委員会等設置会社でもない会社は、種類株主総会で取締役又は監査役を選任する種類株式を発行できます(108条1項ただし書・9号)。

5:正しい。株主総会の決議事項の全部について議決権を有しない種類株式も発行できます(108条1項3号)。

公式問題で問38を見る

役員等の責任

問39 利益相反取引の任務懈怠推定・競業取引の損害額推定・責任限定契約・自己のための取引

監査等委員会の承認による任務懈怠の推定の排除は、監査等委員でない取締役の利益相反取引に限られます。監査等委員である取締役には及びません。

公式正解 3

1:正しい。利益相反取引によって会社に損害が生じたときは、承認の有無にかかわらず、その取引をした取締役・執行役は任務を怠ったものと推定されます(会社法423条3項)。

2:正しい。競業取引の制限に違反した取引によって取締役・執行役又は第三者が得た利益の額は、損害額と推定されます(423条2項)。

3:誤り。監査等委員会の承認を受けた場合に任務懈怠の推定が働かないのは、監査等委員である取締役以外の取締役の利益相反取引です(423条4項)。監査等委員であるかどうかにかかわらないとする記述は誤りです。

4:正しい。非業務執行取締役等は、定款の定めに基づき、善意で重大な過失がないときの責任の限度を定める責任限定契約を会社と締結できます(427条1項)。

5:正しい。自己のために会社と直接取引をした取締役・執行役は、任務を怠ったことが責めに帰することができない事由によることを理由に、責任を免れることはできません(428条1項)。

公式問題で問39を見る

会計参与と会計監査人

問40 設置義務・役員の範囲・選任と再任・計算書類との関わり・報告義務

会計参与も、職務を行う際に取締役の不正の行為や法令・定款違反の重大な事実を発見したときは、遅滞なく株主(監査役設置会社では監査役)に報告しなければなりません。

公式正解 5

1:正しい。大会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社には会計監査人の設置が義務付けられ(会社法327条5項・328条)、会計参与はいずれの会社でも任意の機関です(326条2項)。

2:正しい。役員は取締役、会計参与、監査役をいい(329条1項)、会計監査人は役員に含まれません。

3:正しい。会計参与は任期ごとに株主総会で選任しますが、会計監査人は定時株主総会で別段の決議がなければ再任されたものとみなされます(338条2項)。

4:正しい。会計参与は取締役・執行役と共同して計算書類等を作成し(374条1項・6項)、会計監査人は計算書類等を監査します(396条1項)。

5:誤り。会計監査人の報告義務(397条1項)に加え、会計参与にも取締役の不正の行為などを発見したときの報告義務があります(375条1項)。

公式問題で問40を見る

正答一覧へ戻る ↑

基礎知識の解答・解説(10問)

政治・経済・社会、情報通信、個人情報保護を制度の目的と最新用語から判断します。印象で選ばず、制度主体、年代、定義を一つずつ照合することが得点につながります。

政治

問47 G7サミットの参加国・議長国・歴史

G7サミットの議長国は1月から12月までの1年間を務め、準備会合や閣僚会合を主催します。EUの首脳も参加しており、2023年の議長国は日本(広島サミット)でした。

公式正解 2

1:妥当でない。G7サミットには、7か国の首脳に加えて、EUの欧州理事会議長と欧州委員会委員長も参加しています。

2:妥当。議長国の任期は1月から12月までの1年間で、事務レベルの準備会合や関係閣僚会合を通じてサミットの準備と議事進行を担います。

3:妥当でない。2023年の議長国は日本で、広島で開催されました。日本が議長国を務めたのは、ほかに東京(1979年・1986年・1993年)、九州・沖縄(2000年)、北海道洞爺湖(2008年)、伊勢志摩(2016年)です。

4:妥当でない。1975年にフランスのランブイエで開かれた第1回サミットに、日本は最初から参加しています。

5:妥当でない。スイスのダボスで開かれるのは世界経済フォーラムの年次総会です。G7サミットの開催地は議長国の国内で、毎年変わります。

令和8年度試験での注意 G7の議長国は毎年交代し、2024年はイタリア、2025年はカナダでした。令和8年度試験で時事を問われたときは、その年の議長国と開催地を確かめます。

公式問題で問47を見る

テロ対策

問48 日本のテロ対策の条約・法律・組織

安倍元首相の銃撃事件の後、警察庁は警護の体制や要領を見直しましたが、内閣府に「テロ対策庁」は設置されていません。

公式正解 5

1:妥当。航空機内で行われた犯罪その他ある種の行為に関する条約(東京条約)は、日本が1970年に締結した、テロ防止関連条約の中で最も古いものです。

2:妥当。2001年の米国同時多発テロを受けて、同年にテロ対策特別措置法が制定され、自衛隊がインド洋で補給活動を行いました。

3:妥当。サイバーセキュリティ基本法に基づき、2015年9月にサイバーセキュリティ戦略が閣議決定されました。

4:妥当。国際組織犯罪防止条約の締結に向けた2017年の組織犯罪処罰法の改正で、いわゆるテロ等準備罪が新設されました。

5:妥当でない。2022年の事件をきっかけに警護体制の見直しは行われましたが、内閣府に「テロ対策庁」という組織は設置されていません。

公式問題で問48を見る

国際

問49 1960年代以降の東南アジア

ベトナムが1986年に始めた市場開放政策はドイモイ(刷新)です。1993年の総選挙を経て王制が復活したのはカンボジアです。

公式正解 3

妥当でないのはイとウで、正解は3です。

ア:妥当。ASEANは1967年のバンコク宣言で、インドネシア・マレーシア・フィリピン・シンガポール・タイの5か国により発足しました。

イ:妥当でない。ベトナムが1986年から進めたのはドイモイ(刷新)政策です。ペレストロイカは、同じころソ連で行われた改革の名称です。

ウ:妥当でない。1993年の総選挙を経て王制が復活し、シハヌークが国王に復位したのはカンボジアです。ラオスは1975年に王制を廃止し、現在も人民民主共和国です。

エ:妥当。1997年のアジア通貨危機で国民の不満が高まり、インドネシアでは1998年にスハルト政権が倒れました。

オ:妥当。ミャンマーでは2021年2月に国軍がクーデターを起こし、全権を掌握しました。

公式問題で問49を見る

財政・税制

問50 日本の法人課税

法人事業税の外形標準課税と、OECDのBEPSプロジェクトへの参加が正しい記述です。法人税の税率は比例税率で、地方法人課税の偏在是正のために一部が国税化されています。

公式正解 5

妥当なのはウとエで、正解は5です。

ア:妥当でない。法人税は所得に課税しますが、税率は所得の大きさに応じて上がる累進税率ではなく、比例税率です(中小法人の軽減税率はあります)。

イ:妥当でない。子育てを社会全体で支える財源として、法人税率を引き上げて充てるという改正は行われていません。

ウ:妥当。資本金1億円超の法人などには、所得割に加えて、付加価値割・資本割からなる外形標準課税が導入されています。

エ:妥当。OECDは多国籍企業の課税逃れに対処するためBEPSプロジェクトを立ち上げ、日本も参加しています。

オ:妥当でない。地域間の税収の偏りを是正するため、法人住民税の一部を国税の地方法人税とし(2014年)、法人事業税の一部を特別法人事業税とする(2019年)改革が行われています。

公式問題で問50を見る

金融

問51 日本の金融政策(2023年時点)

日本銀行は2013年に消費者物価の前年比上昇率2%の物価安定目標を掲げ、大規模な金融緩和を続けてきました。

公式正解 1

1:妥当。日本銀行は2013年1月に、消費者物価指数の前年比上昇率2%の物価安定目標を導入し、その実現をめざして金融緩和を進めてきました。

2:妥当でない。日本銀行は2016年にマイナス金利政策を導入しています。

3:妥当でない。日本銀行が地方銀行だけに都市銀行より低い金利で貸し付けるという独自の支援策はありません。

4:妥当でない。2024年7月に新しい日本銀行券が発行されましたが、デジタル通貨の導入は同時に行われていません。

5:妥当でない。2022年に進んだのは円安で、政府・日本銀行は円買いの為替介入を行いました。金利を決めるのは政府ではなく日本銀行です。

令和8年度試験での注意 日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を解除し、その後も政策金利を引き上げています。令和8年度試験で金融政策を問われたときは、その時点の政策で判断します。

公式問題で問51を見る

人権

問52 日本における平等と差別

日本は1985年に男女雇用機会均等法を制定し、同じ年に女性差別撤廃条約を批准しました。条約の批准に合わせて国内法を整えた経緯です。

公式正解 2

1:妥当。1969年に始まった同和対策の特別措置は2002年3月で終わり、その後2016年に部落差別解消推進法が制定されました。

2:妥当でない。日本は1985年に女性差別撤廃条約を批准しており、男女雇用機会均等法の制定は批准に向けた国内法整備の一つでした。

3:妥当。熊本地方裁判所は2001年に、ハンセン病の隔離政策について国の責任を認め、元患者への損害賠償を命じました。国は控訴しませんでした。

4:妥当。2016年に制定されたヘイトスピーチ解消法は、禁止規定や罰則を置かない理念法です。

5:妥当。障害者差別解消法は2021年に改正され、事業者による合理的配慮の提供が努力義務から義務になりました(2024年4月施行)。

公式問題で問52を見る

社会保障

問53 日本の社会保障と社会福祉

後期高齢者医療制度は、75歳以上の人を対象に2008年4月に始まりました。社会保障の財源は税だけでなく社会保険料にも大きく依存しています。

公式正解 4

1:妥当でない。社会保障の財源は、社会保険料と公費(税など)で、全額が租税でまかなわれているわけではありません。

2:妥当でない。「ゆりかごから墓場まで」は、第二次世界大戦後のイギリスの福祉国家を表す標語で、ベヴァリッジ報告を基礎としています。

3:妥当でない。生活保護には、生活扶助、教育扶助、住宅扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助の8種類があります。

4:妥当。2008年4月に、75歳以上の高齢者などを対象とする後期高齢者医療制度が始まりました。

5:妥当でない。児童手当は、児童本人ではなく、児童を養育している父母などに支給されます。

令和8年度試験での注意 児童手当は2024年10月から高校生年代まで支給対象が広がり、所得制限も撤廃されました。支給を受けるのが児童本人ではなく養育者である点は変わらないので、肢5は今も誤りです。

公式問題で問53を見る

行政のデジタル化

問54 RPA・ガバメントクラウド・eLTAX・LGWAN・オープンデータ

ガバメントクラウドは、国だけでなく地方公共団体も使う共通のクラウド基盤です。地方公共団体のオープンデータ化は禁止どころか推進されています。

公式正解 4

妥当でないのはイとオで、正解は4です。

ア:妥当。RPAはソフトウェアのロボットで定型的な事務作業を自動化するもので、人手不足の解消や職員の負担軽減が期待されています。

イ:妥当でない。ガバメントクラウドは、地方公共団体の基幹業務システムの標準化でも利用が予定されており、地方公共団体が使えない基盤ではありません。

ウ:妥当。eLTAXは地方税共同機構が運営する地方税のポータルシステムで、国税の電子申告は別のe-Taxで行います。

エ:妥当。LGWANは、地方公共団体の間を結ぶ閉域の行政専用ネットワークで、メールや掲示板などの連絡手段にも使われています。

オ:妥当でない。官民データ活用推進基本法は、国と地方公共団体に、保有するデータを国民が容易に利用できるようにする措置を講ずることを求めており、オープンデータ化は推進されています。

公式問題で問54を見る

情報通信

問55 情報セキュリティの用語

ファームウェアは、機器に組み込まれてハードウェアを制御するソフトウェアです。悪性のプログラムを指す言葉ではありません。

公式正解 4

1:妥当。リスクウェアは、それ自体は悪意を持たなくても、インストール・実行するとシステムに危険をもたらす可能性のあるソフトウェアをいいます。

2:妥当。ランサムウェアは、データを暗号化して使えない状態にし、復元と引換えに金銭(身代金)を要求する不正なプログラムです。

3:妥当。フリースウェアは、無料トライアルなどを入口に、解約方法を分かりにくくしたまま高額な定期購入へ誘導するアプリをいいます。

4:妥当でない。ファームウェアは、家電やネットワーク機器などに組み込まれ、ハードウェアを動かすための基本的な制御を行うソフトウェアです。

5:妥当。クリッパー・マルウェアは、クリップボードの内容を盗み見て書き換えるマルウェアで、暗号資産の送金先アドレスをすり替えるものが多く見られます。

公式問題で問55を見る

個人情報

問57 モザイク・アプローチ・GDPRと死者の情報・機微情報・公的部門の規律

GDPRは死者の個人データには適用されず、その扱いは加盟国の判断に委ねられています。2021年改正で法律は一つになりましたが、公的部門と民間部門の規律はまったく同じではありません。

公式正解 1

妥当なのはアとイで、正解は1です。

ア:妥当。単独では問題のない情報でも、ほかの情報と照合すれば不開示情報が分かってしまうかを検討する考え方は、モザイク・アプローチと呼ばれます。

イ:妥当。GDPRは死者の個人データには適用されないとし、その取扱いは加盟国が定めることができるとしています(前文27項)。

ウ:妥当でない。取扱いに特に配慮を要する情報の範囲は国によって異なり、日本の要配慮個人情報と諸外国の機微情報(センシティブ情報)の内容は同じではありません。

エ:妥当でない。2021年改正で行政機関個人情報保護法などは個人情報保護法に統合されましたが、行政機関等には民間事業者とは別の章で規律が置かれており、まったく同一になったわけではありません。

公式問題で問57を見る

正答一覧へ戻る ↑

出典と照合

出典は一般財団法人行政書士試験研究センター「令和5年度行政書士試験問題・正解」です。問題本文と選択肢は転載していません。正解は公式の正解と照合しています。

問題本文が公開されていない問題の公式正解:問1(基礎法学)は1、問6(憲法)は2、問56(基礎知識)は5、問58(文章理解)は2、問59(文章理解)は1、問60(文章理解)は1です。

解説は資格Hubが法令・判例で確かめて作成したもので、試験実施団体とは関係ありません。

試験研究センターの過去問題ページを開く →