法及び関係法令の解答・解説(27問)
貸金業法の定義・登録と届出・主任者・返済能力調査と総量規制・書面交付・帳簿・債権譲渡・監督と、利息制限法・出資法の金利規制を扱う27問です。届出の期限(あらかじめ・2週間・30日)や、利息制限法の元本額の合算のように、数字と適用範囲を入れ替えた肢を条文と施行規則で確かめます。
貸金業法の定義
問1 貸金業・個人信用情報・住宅資金貸付契約・紛争解決手続
貸金業法2条の定義を一語ずつ確かめる問題です。貸金業の要件は「業として」行うことで、営利目的は要件ではありません。住宅資金貸付契約には住宅の改良資金も含まれます。
正答 1
適切なのはbの1個で、正答は①です。
aは不適切。貸金業は、金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介で「業として」行うものをいいます(2条1項)。営利の目的は定義の要件ではありません。
bは適切。個人信用情報には、氏名・住所のほか、生年月日、電話番号、勤務先、運転免許証等の交付を受けている場合のその番号なども含まれます(41条の35第1項、施行規則30条の13第1項)。
cは不適切。住宅資金貸付契約には、住宅の建設・購入の資金だけでなく、住宅の改良に必要な資金の貸付けに係る契約も含まれます(2条17項)。
dは不適切。紛争解決手続は、貸金業務関連紛争を訴訟手続によらずに解決を図る手続です。裁判上の和解による手続ではありません。
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登録申請書の記載事項
問2 主任者の記載事項・重要な使用人・電話番号・代理店
登録申請書の記載事項(4条1項)と、施行規則が定める「政令で定める使用人」や連絡先、営業所等の範囲を確かめる問題です。主任者については氏名と登録番号を記載し、住所は記載事項ではありません。
正答 3
適切なのはbとcで、正答は③です。
aは不適切。営業所等ごとに置かれる貸金業務取扱主任者については、氏名と登録番号を記載します(4条1項6号)。住所は記載事項ではありません。
bは適切。貸付けの業務に従事する使用人が50人以上いる支店では、支店長の権限を代行できる地位の者は、名称にかかわらず重要な使用人として記載が必要です。
cは適切。広告や勧誘で表示等をする電話番号は、場所を特定するものと、それに係る着信課金サービス・統一番号サービスの番号に限られます。
dは不適切。代理店は、委任を受けて貸付けの業務を代理した者が業務を営む施設・設備ですが、銀行などの現金自動設備は代理店に含まれません。
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変更の届出と開始等の届出
問3 営業所の所在地・業務の種類・廃業・役員の法令違反
登録事項の変更は原則として変更の日から2週間以内に届け出ますが、営業所等の名称・所在地と、広告等に表示する電話番号などは、あらかじめ届け出なければなりません(8条1項)。廃業の届出は30日以内です。
正答 4
①は不適切。営業所の名称・所在地の変更は、変更しようとするときに、あらかじめ届け出なければなりません(8条1項)。
②は不適切。業務の種類や方法の変更は、変更があった日から2週間以内に届け出る事項で、あらかじめ届け出る事項ではありません(8条1項、4条1項8号)。
③は不適切。貸金業を廃止した場合の届出期限は、その日から30日以内です(10条1項5号)。
④は適切。役員又は使用人に業務に関する法令違反行為があったことを知った場合は、その日から2週間以内に届け出なければなりません(24条の6の2第4号、施行規則26条の25)。
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業務の委託
問4 委託業務の的確な遂行を確保するための措置
施行規則10条の5は、業務を第三者に委託する場合に講じるべき措置として、能力のある者への委託、受託者の監督、苦情処理、受託者が業務を行えない場合の対応、契約の変更・解除などを定めています。
正答 4
4つの記述はすべて適切で、正答は④です。
aは適切。業務を的確・公正・効率的に遂行できる能力をもつ者に委託するための措置です(施行規則10条の5第1号)。
bは適切。受託者の業務の実施状況を定期的に又は必要に応じて確認し、改善させるなど、必要かつ適切な監督を行うための措置です(同条2号)。
cは適切。受託者が業務を適切に行えない場合に、他の適切な第三者に速やかに委託するなど、資金需要者等の保護に支障が生じることを防ぐ措置です(同条4号)。
dは適切。必要がある場合に、委託契約の変更や解除をするなどの措置を講じるための措置です(同条5号)。
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金融ADR制度
問5 手続実施基本契約・指定紛争解決機関の公表・和解案の受諾勧告・履行状況の調査
指定紛争解決機関(日本貸金業協会)が存在する場合、貸金業者は協会員かどうかにかかわらず、その機関と手続実施基本契約を締結する措置を講じなければなりません。和解案の受諾勧告は拒否できます。
正答 3
適切なのはbとdで、正答は③です。
aは不適切。指定紛争解決機関が存在する場合は、協会に加入していなくても、手続実施基本契約を締結する措置を講じます(12条の2の2第1項1号)。苦情処理措置・紛争解決措置で代えるのは、指定紛争解決機関が存在しない場合です。
bは適切。手続実施基本契約を結んだ貸金業者は、契約の相手方となった指定紛争解決機関の名称などを公表する義務を負います(12条の2の2第2項)。
cは不適切。紛争解決委員は和解案の受諾を勧告できますが、加入貸金業者がこれを拒否できないわけではありません。受諾義務が生じるのは、一定の場合の特別調停案です。
dは適切。指定紛争解決機関は、資金需要者等の申出があるときは、和解で定められた義務の履行状況を調査し、履行を勧告できます(施行規則30条の22)。
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貸金業務取扱主任者の設置
問6 常勤主任者の欠員・必要人数・兼務・現金自動設備
貸金業務取扱主任者は、営業所等ごとに、貸金業の業務に従事する者50人に1人以上の割合で、常時勤務する者を置きます。予見し難い事由で不足したときに限り、2週間以内に補充すれば足ります。
正答 1
適切なのはbの1個で、正答は①です。
aは不適切。定年退職は予見できる事由なので、退職までに後任を置く必要があります。2週間以内の補充が認められるのは、予見し難い事由で不足した場合です(12条の3第3項)。
bは適切。従事者が110人なら、50人に1人以上の割合で3人以上の主任者を置かなければなりません(施行規則10条の7)。
cは不適切。主任者は営業所等ごとに常時勤務する者でなければならず、他の営業所の主任者に30日間兼務させる仕組みはありません。失踪のような予見し難い事由なら、2週間以内に新たな主任者を置きます。
dは不適切。同じ敷地内に現金自動設備を設けても、乙営業所の従事者は40人のままなので、主任者は1人以上で足ります。
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禁止行為と業務規制
問7 暴力団員等の使用禁止・保証料の確認・生命保険契約・虚偽告知
暴力団員等の使用禁止(12条の5)、保証料の事前確認(12条の8)、生命保険契約の制限(12条の7)、禁止行為(12条の6)を区別します。虚偽告知は行政処分だけでなく刑事罰の対象です。
正答 2
適切なのはaとdで、正答は②です。
aは適切。暴力団員等を業務に従事させることも、業務の補助者として使うことも禁止されています(12条の5)。
bは不適切。保証業者と保証契約を結ぶ場合の保証料に係る契約の有無と額の確認は、保証契約を締結するまでに、あらかじめ行わなければなりません(12条の8)。締結後に遅滞なく確認するのではありません。
cは不適切。自殺を保険事故としてはならない制限の対象から、住宅資金貸付契約は除かれています(12条の7)。
dは適切。資金需要者等に虚偽のことを告げる行為(12条の6第1号)は、1年以下の懲役(現在は拘禁刑)若しくは300万円以下の罰金の対象です(48条1号の2)。
次回受験での注意 2025年6月1日施行の刑法等改正で、懲役と禁錮は拘禁刑に一本化され、貸金業法の罰則も「拘禁刑」に改められました。この問の正答は変わりません。
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返済能力の調査
問8 媒介と信用情報・資力書面の要否・転職直後の書面・記録の保存期間
13条の返済能力調査では、個人顧客との契約で指定信用情報機関の信用情報を使い、一定の場合は源泉徴収票などの資力書面の提出を受けます。調査の記録は、最終の返済期日(債権消滅日)まで保存します。
正答 4
①は不適切。他の貸金業者が貸し手となる金銭の貸借の媒介の契約は、信用情報の使用義務の対象から除かれています(13条2項、施行規則10条の16、1条の2の3第5号)。
②は不適切。資力書面が必要になるのは、その貸金業者からの借入れの合計額が50万円を超える場合などです(13条3項)。初めての50万円の貸付けでは、他社借入れがなければ不要です。
③は不適切。給与の支払明細書は直近2か月分以上が原則です。転職後の勤務先で2か月分以上の給与を受けていない場合は、勤務先の変更を確認したうえで、変更前の源泉徴収票などを使うことができます(施行規則10条の17)。1か月分の明細書だけで足りるわけではありません。
④は適切。返済能力の調査に関する記録は、契約に定めた最終の返済期日(債権が消滅したときはその日)まで保存します(施行規則10条の18第2項1号)。
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保証契約と返済能力の調査
問9 保証人の資力書面・保証契約の前書面・法人保証人の調査・信用情報の使用
返済能力の調査は、顧客だけでなく保証人となろうとする者についても行います(13条1項)。個人の保証人には信用情報の使用が必要ですが、資力書面の提出義務は個人顧客(主たる債務者)についてのものです。
正答 4
①は不適切。資力書面の提出・提供を受ける義務は、資金需要者である個人顧客についてのもので(13条3項)、保証人となろうとする者には適用されません。
②は不適切。保証契約の締結までに交付するのは、保証契約の内容を説明する書面です(16条の2第3項)。貸付けに係る契約の内容を明らかにする書面は、保証契約の締結後に交付します(17条)。
③は不適切。返済能力の調査は顧客等(保証人となろうとする者を含む)について行うもので、法人の保証人も対象です(13条1項)。
④は適切。個人である保証人となろうとする者についても、指定信用情報機関の信用情報を使って返済能力を調査しなければなりません(13条2項)。
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総量規制の例外
問10 例外契約と除外契約の区別
総量規制(13条の2第2項)には、そもそも借入残高に算入しない「除外」契約(施行規則10条の21)と、基準額を超えても貸付けができる「例外」契約(10条の23)があります。緊急の医療費の貸付けは例外契約です。
正答 3
例外契約に該当するのは③で、正答は③です。
①は該当しない。自動車の所有権を貸金業者が取得するなどした自動車購入資金の貸付けは、除外契約(施行規則10条の21)です。
②は該当しない。金融機関からの貸付けまでのつなぎ資金の貸付けが例外契約になるのは、返済期間が1か月を超えないものに限られます。
③は該当する。個人顧客や生計を一にする親族の緊急に必要な医療費を支払うための貸付けで、返済能力を超えないものは例外契約です(施行規則10条の23第1項2号)。
④は該当しない。顧客に一方的に有利な借換えとして例外になるには、1か月の負担が既存債務を上回らないことに加え、将来支払う返済金額の合計額も既存債務を上回らないことが必要です(同項1号)。
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貸付条件等の掲示と標識
問11 掲示事項・主な返済の例・標識の掲示・現金自動設備
貸付条件等の掲示(14条)は、利率・返済の方式・返済期間と回数・主任者の氏名などを顧客の見やすい場所に掲示するものです。商号や登録番号は、公衆の見やすい場所に掲示する標識(23条)に記載します。
正答 2
①は不適切。商号・名称・氏名と登録番号は、14条の貸付条件等の掲示事項ではありません。これらは23条の標識で示します。
②は適切。金銭の貸付けの掲示事項には、賠償額の予定の割合や担保に関する事項とともに「主な返済の例」が含まれます(施行規則11条3項1号ハ)。
③は不適切。標識は、顧客ではなく「公衆」の見やすい場所に掲示しなければなりません(23条)。
④は不適切。現金自動設備も営業所等に当たるので、標識の掲示が必要です。
次回受験での注意 2024年4月1日施行の改正で、貸付条件等(主任者の氏名を除く)と標識の事項(商号、登録番号など)について、インターネットで公衆の閲覧に供する義務が加わりました(14条2項、23条2項。事業規模が著しく小さい場合などを除く)。営業所等ごとの掲示義務は変わらず、この問の正答も変わりません。
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マンスリーステートメント
問12 承諾の取得・承諾の撤回・契約締結時書面の簡素化・受取証書の簡素化
極度方式貸付けでは、相手方の承諾を得てマンスリーステートメント(一定期間の取引状況の書面)を交付する場合に、個々の契約締結時書面や受取証書を簡素化した書面で代えることができます。
正答 3
適切なのはa・b・dの3個で、正答は③です。
aは適切。監督指針は、マンスリーステートメントが交付されることと個別書面の記載事項が簡素化されることを示したうえで、あらかじめ書面又は電磁的方法で承諾を得ているかに留意するとしています。
bは適切。監督指針は、承諾の撤回の申出があった場合に、他の方法による書面交付の適用開始時期などを適切に説明しているかに留意するとしています。
cは不適切。マンスリーステートメントを交付するときは、契約締結時書面に代えて、記載事項を簡素化した書面を交付することが「できる」とされています(17条6項)。マンスリーステートメントそのものを契約締結時書面の代わりに交付しなければならないわけではありません。
dは適切。極度方式保証契約の保証人から弁済を受けた場合も、承諾を得てマンスリーステートメントを交付するときは、受取証書に代えて受領年月日・受領金額などを記載した書面を交付できます(18条3項)。
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帳簿
問13 備付けの場所・保存期間・交渉の経過の記録
帳簿(19条)は営業所等ごとに備え、貸付けの契約ごとに、最終の返済期日(債権消滅日)から少なくとも10年間保存します。監督指針は、交渉の経過の記録の範囲と内容を具体的に示しています。
正答 4
適切なのはcとdで、正答は④です。
aは不適切。帳簿は、主たる営業所だけでなく、営業所又は事務所ごとに備えなければなりません(19条)。
bは不適切。帳簿は、貸付けの契約ごとに、その契約に定めた最終の返済期日(債権が消滅したときはその日)から少なくとも10年間保存します(施行規則17条1項)。債務者との全取引の終了日が基準ではありません。
cは適切。交渉の経過の記録は、債権の回収や契約条件の変更(変更に至らなかったものを除く)など、契約締結以降の債権に関する交渉の経過の記録とされています。
dは適切。監督指針は、交渉内容として記録する事項に、催告書などの書面の内容を含むとしています。
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債権譲渡等の規制
問14 譲受人への通知・債務者への書面・保証契約の前書面・取立て委託先の違反
貸金業者が債権を他人に譲渡するときは、譲受人に貸金業法の規制が及ぶ旨を通知し(24条1項)、譲受人には行為規制が準用されます(同条2項)。取立て制限者への委託について、知らなかったことに相当の理由を証明できなければ処分の対象になります。
正答 3
①は不適切。通知は、債権を「他人」に譲渡するときに必要で、譲受人が貸金業者でない場合に限られません(24条1項)。
②は不適切。債権の内容を明らかにする書面を債務者に交付するのは、準用規定により義務を負う譲受人です(24条2項)。譲渡人である貸金業者ではありません。
③は適切。債権の譲受人が保証契約を結ぼうとする場合は、16条の2第3項が準用され、保証契約の締結までに保証契約の内容を説明する書面を交付しなければなりません(24条2項)。
④は不適切。取立ての委託先が取立て制限者で、21条1項に違反する取立てをした場合、委託先が取立て制限者と知らなかったことに相当の理由を証明できなければ、登録取消しや業務停止の対象になります(24条の6の4第1項)。知ることができたのなら処分の対象です。
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指定信用情報機関への情報提供
問15 極度方式貸付け・住宅資金貸付契約・勤務先・本人確認書類の番号
加入貸金業者は、個人顧客との貸付けに係る契約を締結したときは、遅滞なく個人信用情報を加入指定信用情報機関に提供します(41条の36)。対象外となるのは極度方式基本契約など施行規則が定める契約に限られます。
正答 2
適切なのはaとcで、正答は②です。
aは適切。極度方式基本契約に基づく個々の極度方式貸付けに係る契約を締結したときも、遅滞なく個人信用情報を提供しなければなりません(41条の36第1項)。
bは不適切。住宅資金貸付契約は、個人信用情報の提供の対象から除かれていません(施行規則1条の2の3)。
cは適切。勤務先の商号・名称は、個人信用情報の項目の一つです(施行規則30条の13第1項5号)。
dは不適切。個人信用情報に含まれる本人確認書類の番号は、旅券、在留カード、特別永住者証明書などのものに限られ、健康保険証の記号番号は含まれません(同項7号)。
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利息制限法の元本額の特則
問16 既存の債務がある場合と同時の複数貸付け
営業的金銭消費貸借では、既存債務の残元本と新たな貸付けの元本を合計した額で上限利率を判断し(利息制限法5条1号)、同時に複数の貸付けをした場合はその元本の合計額で判断します(同条2号)。特則が及ぶのは新たな貸付けの利息です。
正答 2
適切なのはbとdの2個で、正答は②です。
aは不適切。第二契約は残元本95万円と9万円の合計104万円で判断するので、上限は年15%です。しかし第一契約は締結時の元本95万円で年18%が上限なので、年18%の約定は有効です。
bは適切。残元本9万円と5万円の合計14万円で判断し、上限は年18%なので、第二契約の年20%の約定は18%を超える部分が無効です。
cは不適切。残元本5万円と3万円の合計8万円は10万円未満なので、上限は年20%で、第二契約の年20%の約定は有効です。
dは適切。残元本45万円に、同時に貸し付けた5万円と50万円を加えた100万円で判断するので、上限は年15%になり、第二契約・第三契約ともに15%を超える部分が無効です。
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みなし利息
問17 カード発行手数料・振込手数料・再度の口座振替費用・書面の再発行手数料
利息制限法では、契約の締結や債務の弁済の費用も原則として利息とみなされます(3条、6条)。例外は、公租公課、公的手続の費用、ATMの利用料(一定額まで)、債務者の要請による再発行手数料や再度の口座振替手続の費用などです。
正答 1
適切なのはaとbで、正答は①です。
aは適切。契約締結時に交付するカードの発行手数料は、再発行の手数料ではないので、利息とみなされます。
bは適切。貸付金を顧客の口座に振り込む際の手数料は、契約の締結・債務の弁済の費用として利息とみなされます。
cは不適切。弁済期に弁済できなかったために顧客の要請で行う再度の口座振替手続の費用は、みなし利息から除かれています(利息制限法6条2項、同法施行令)。
dは不適切。顧客の紛失による書面の再発行手数料も、みなし利息から除かれています。
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登録の拒否事由
問18 執行猶予期間の満了・貸付け業務の経験・禁錮以上の刑・純資産額
登録拒否事由(6条1項)では、禁錮以上の刑(現在は拘禁刑以上)に処せられ執行を終えてから5年を経過しない者、常務に従事する役員の貸付け業務経験、純資産額5,000万円以上などの要件を確かめます。
正答 1
①は適切でない。刑の全部の執行猶予の期間を取り消されることなく満了すると、刑の言渡しは効力を失います(刑法27条)。刑に処せられた者に当たらなくなるので、5年を待たずに拒否事由ではなくなります。
②は適切。常務に従事する役員のうちに、貸付けの業務に3年以上従事した者がいない場合は、登録拒否事由に当たります(6条1項15号、施行規則5条の7)。
③は適切。禁錮以上の刑であれば罪名を問わないので、道路交通法違反の懲役刑でも、執行を終えてから5年を経過しない者は拒否事由に当たります(6条1項4号)。
④は適切。純資産額が5,000万円に満たない場合は、登録拒否事由に当たります(6条1項14号、施行令3条の2)。
次回受験での注意 2025年6月1日施行の刑法等改正で、懲役と禁錮は拘禁刑に一本化され、貸金業法の罰則も「拘禁刑」に改められました。この問の正答は変わりません。
公式問題で問18を見る
システムリスク管理態勢
問19 サイバーセキュリティ事案・統括役員・重要情報の洗い出し・システム監査
監督指針のシステムリスク管理態勢では、資金需要者等の重要情報を網羅的に洗い出すよう求め、その範囲には通常の業務で使わないシステム領域のデータも含めるとしています。
正答 3
①は適切。サイバーセキュリティ事案は、サイバー攻撃によってサイバーセキュリティが脅かされる事案として定義されています。
②は適切。経営陣がシステムリスクの重要性を認識し、システムの統括管理を担う役員を置いているかに留意するとされています。
③は適切でない。重要情報の洗い出しでは、普段の業務で使わないシステム領域にあるデータも対象に含めるとされています。それを除くとした点が誤りです。
④は適切。システム部門から独立した内部監査部門による定期的なシステム監査を求め、外部監査の方が実効的な場合は外部監査で代えてもよいとされています。
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基準額超過極度方式基本契約の調査
問20 1か月ごとの調査・3か月ごとの調査・資力書面・調査不要の場合
極度方式基本契約では、1か月ごとの期間の貸付合計額が5万円を超え、かつ期間末日の残高が10万円を超える場合と、3か月以内の期間ごとに、基準額超過に当たるかを調査します(13条の3)。新たな貸付けを停止している場合は定期調査が不要です。
正答 4
①は適切。1か月ごとの調査が必要になるのは、期間内の貸付合計額が5万円を超え、かつ期間末日の残高が10万円を超える場合です(施行規則10条の24)。残高5万円なら不要です。
②は適切。3か月以内の期間の末日の残高が10万円を超えるときは、定期的な調査をしなければなりません(13条の3第2項、施行規則10条の25)。
③は適切。極度額50万円と他社の残高60万円の合計(極度方式個人顧客合算額)が100万円を超えるので、既に受けている場合を除き資力書面の提出・提供を受けます(13条の3第3項)。
④は適切でない。定期調査が不要になるのは、新たな極度方式貸付けを停止する措置を講じている場合です(施行規則10条の25第3項2号)。極度額の減額だけでは、調査を省略できません。
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極度方式基本契約の契約締結前書面
問21 前書面の記載事項
極度方式基本契約を締結しようとするときは、極度額や利率、返済の方式などを記載した書面を事前に交付します(16条の2第2項)。顧客の氏名・住所は、契約締結時書面の記載事項です。
正答 1
記載事項に該当しないのは①で、正答は①です。
①は該当しない。契約の相手方となろうとする個人顧客の氏名・住所は、契約締結前の書面の記載事項ではありません。
②は該当する。各回の返済期日と返済金額の設定の方式は、記載事項です(施行規則12条の2)。
③は該当する。返済の方法と返済を受ける場所は、記載事項です。
④は該当する。返済の方式は、法律が定める記載事項です(16条の2第2項)。
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極度方式の契約締結時書面
問22 個別契約に係る書面の記載省略
利息制限法の上限を超えない極度方式貸付けでは、個別の契約締結時書面の一部の記載事項を省略したり、簡略化したりできます(施行規則13条)。ただし貸付けの利率は省略できません。
正答 3
①は適切。利息が利息制限法の上限を超えない極度方式貸付けでは、個別契約の書面で登録番号の記載を省略できます。
②は適切。利息の計算の方法を基本契約の書面に記載していれば、個別契約の書面では省略できます。
③は適切でない。貸付けの利率は、個別契約の書面で記載を省略できる事項に含まれていません。
④は適切。各回の返済期日と返済金額は、次回の返済期日と返済金額で代えることができます。
公式問題で問22を見る
契約締結時書面の再交付
問23 重要な事項の変更と相手方の利益になる変更
契約締結時書面の重要な事項を変更したときは、変更後の書面を再交付します(17条1項後段)。利率や賠償額の予定などは相手方の利益となる変更なら再交付不要ですが、返済の方式や返済の方法・場所などは利益になる変更でも再交付が必要です。
正答 2
①は適切。利息の計算の方法の変更は、相手方の利益となる場合を除き、再交付が必要です(施行規則13条)。
②は適切でない。返済の方法と返済を受ける場所の変更は、相手方の利益となる変更であっても、変更後の書面を再交付しなければなりません。
③は適切。債務者が負担すべき元本・利息以外の金銭に関する事項の変更も、相手方の利益となる場合を除き、再交付が必要です。
④は適切。期限の利益の喪失の定めの変更も、相手方の利益となる場合を除き、再交付が必要です。
公式問題で問23を見る
受取証書
問24 交付の時期・口座払込み・契約番号による代替・記載事項
受取証書(18条)は、弁済を受けたときに、その都度、直ちに交付します。口座への払込みによる弁済では、請求があった場合に限り交付すれば足ります。
正答 1
①は適切でない。受取証書は、弁済を受けたときに、その都度、直ちに交付しなければなりません(18条1項)。遅滞なく交付すれば足りるわけではありません。
②は適切。預金・貯金口座への払込みによる弁済の場合は、弁済をした者の請求があったときに限り交付すればよいとされています(18条2項)。
③は適切。契約番号などで契約を明示することで、登録番号と債務者の商号・名称・氏名の記載に代えることができます。
④は適切。受取証書には、受領金額とその利息・賠償金・元本への充当額のほか、貸付けの金額などを記載します(18条1項)。
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取立て行為の規制
問25 催告書面の記載事項・弁護士介入後の直接要求・催告書面の送付方法・求償権の取立て
取立て行為の規制(21条)は、貸付けの契約に基づく債権の取立てに広く及びます。保証契約に基づく求償権も「貸付けの契約に基づく債権」に当たるので、他社が貸し付けた債権の保証による求償権の取立てにも適用されます。
正答 4
①は適切。取立ての委託を受けた者が送る催告書面には、書面を送付する者の氏名を記載しなければなりません(21条2項)。
②は適切。弁護士から債務処理の委託を受けた旨の書面通知を受けた後、正当な理由なく債務者に直接弁済を要求し、拒まれたのに更に要求することは禁止されています(21条1項9号)。
③は適切。催告書面は、封をするなど債務者の借入れの事実が第三者に明らかにならない方法で送付しなければなりません。
④は適切でない。監督指針は、貸金業者以外の者が貸し付けた債権について保証契約に基づく求償権の取立てをする場合も、21条が適用されることに留意するとしています。適用されないとした点が誤りです。
公式問題で問25を見る
貸金業者に対する監督
問26 立入検査・名義貸し・休止・業務改善命令
登録行政庁の監督には、報告徴求・立入検査(24条の6の10)、業務改善命令(24条の6の3)、登録取消し・業務停止(24条の6の4、6の5)などがあります。立入検査は必要があると認めるときに行うもので、定期の実施は義務付けられていません。
正答 1
①は適切でない。立入検査は、資金需要者等の利益の保護のために必要と認めるときに行えるもので(24条の6の10第3項)、3年ごとに行う義務はありません。
②は適切。自己の名義で無登録の者に貸金業を営ませた(名義貸し)場合は、登録を取り消さなければなりません。
③は適切。正当な理由なく引き続き6か月以上貸金業を休止した場合は、登録を取り消すことができます。
④は適切。資金需要者等の保護のため必要なときは、業務の方法の変更など業務運営の改善に必要な措置を命ずることができます(24条の6の3)。
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金利の規制
問27 媒介手数料の更新時の受領・媒介手数料の上限・利息制限法超過・出資法の上限
利息の上限は、利息制限法(15〜20%、超過部分は無効)と出資法(年20%超は刑事罰)の二段階です。貸金業法は、利息制限法の上限を超える利息の契約を行政処分の対象としています。
正答 4
①は適切。媒介手数料を受領した契約が更新されたときに、新たな手数料を受領し又は要求することは禁止されています(12条の8第10項)。
②は適切。媒介手数料は貸借の金額の5%(期間1年未満なら期間に応じた割合)が上限で、超える手数料の契約・受領は刑事罰の対象です(出資法4条1項)。
③は適切。利息制限法1条の金額を超える利息の契約を締結することは貸金業法で禁止され(12条の8第1項)、行政処分の対象になります。
④は適切でない。業として貸し付ける場合に刑事罰の対象となるのは、年20%を超える利息の契約です(出資法5条2項)。年20%ちょうどは刑事罰の対象になりません(元本100万円なら利息制限法の上限15%を超える部分は無効です)。
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貸付け・債権管理の実務の解答・解説(15問)
民法の行為能力・時効・担保物権・保証・弁済・相続・代理・債務引受・相殺・契約・請負・不当利得と、破産法、犯罪収益移転防止法を扱う15問です。2020年施行の改正民法で変わった時効・保証・債務引受の規定と、旧来の判例知識を混同しないようにします。
行為能力
問28 処分を許された財産・営業の許可・成年後見人・成年被後見人の行為
未成年者・成年被後見人の行為能力の制限と、法定代理人の権限を確かめる問題です。成年被後見人の行為は、成年後見人の同意を得ていても取り消すことができます。
正答 3
①は不適切。法定代理人が目的を定めないで処分を許した財産も、未成年者が自由に処分できます(民法5条3項)。
②は不適切。営業を許された未成年者が成年者と同一の行為能力をもつのは、その営業に関してだけです(6条1項)。許された営業以外の行為は、未成年者の行為として取り消せます。
③は適切。後見開始の審判を受けた者は成年被後見人となり、成年後見人が付されます。家庭裁判所は法人を成年後見人に選任することもできます(843条4項)。
④は不適切。成年被後見人の行為は、日常生活に関する行為を除き、成年後見人の同意を得ていても取り消すことができます(9条)。
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消滅時効
問29 時効利益の事前放棄・民事調停・再度の催告・協議を行う旨の合意
2020年施行の改正民法は、時効の中断・停止を「更新」と「完成猶予」に整理しました。民事調停や催告、協議を行う旨の合意は、いずれも完成猶予の事由です。
正答 2
①は不適切。時効の利益は、あらかじめ放棄することができません(146条)。
②は適切。民事調停が不調で終わった場合は、終了の時から6か月を経過するまで時効は完成しません(147条1項3号)。
③は不適切。催告によって完成が猶予されている間にされた再度の催告は、完成猶予の効力をもちません(150条2項)。
④は不適切。協議を行う旨の書面による合意は、時効の完成猶予の事由です(151条)。時効が新たに進行を始める更新の事由ではありません。
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質権と抵当権
問30 質権の成立・転質・抵当権と果実・利息の範囲
質権は目的物の引渡しで効力を生じる要物契約です。抵当権は、被担保債権の不履行後に生じた果実に及び、利息は満期となった最後の2年分に限って優先弁済を受けます。
正答 1
①は適切。質権の設定は、債権者に目的物を引き渡すことによって効力を生じます(344条)。
②は不適切。質権者は、その権利の存続期間内であれば、自己の責任で転質をすることができ、設定者の承諾は不要です(348条)。
③は不適切。抵当権は、被担保債権に不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の果実にも及びます(371条)。
④は不適切。抵当権者が利息などの定期金について抵当権を行使できるのは、満期となった最後の2年分に限られます(375条1項)。
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保証
問31 保証債務の範囲・主たる債務の加重・時効の効力・期限の利益喪失の通知
保証債務は主たる債務に付従しますが、保証契約後の主たる債務の加重は保証人に及びません。2020年の改正で、個人保証人への情報提供義務(期限の利益喪失の通知など)が新設されました。
正答 4
①は不適切。保証人は、保証債務についてのみ違約金や損害賠償の額を約定することができます(447条2項)。
②は不適切。主たる債務の目的・態様が軽減されたときは保証人の負担も軽減されますが、加重されても保証人の負担は加重されません(448条2項)。
③は不適切。主たる債務者への履行の請求などによる時効の完成猶予や更新は、保証人にも効力が及びます(457条1項)。
④は適切。主たる債務者が期限の利益を喪失したときは、債権者は、個人の保証人に対し、喪失を知った時から2か月以内に通知しなければなりません(458条の3)。
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弁済
問32 受領権者の外観を有する者・第三者弁済の禁止・充当の順序・口頭の提供
受領権者としての外観を有する者への弁済は、弁済者が善意かつ無過失のときに限り有効です。当事者が第三者の弁済を禁止したときは、正当な利益を有する第三者も弁済できません。
正答 2
①は不適切。受領権者としての外観を有する者に対する弁済が有効になるのは、弁済をした者が善意で、かつ過失がなかったときに限られます(478条)。
②は適切。当事者が第三者の弁済を禁止し、又は制限する意思表示をしたときは、正当な利益を有する第三者でも弁済できません(474条4項)。
③は不適切。費用・利息・元本の順に充当する規定(489条)は、充当の順序について合意があればその合意が優先します(490条)。
④は不適切。債権者があらかじめ受領を拒んでいるときは、弁済の準備をしたことを通知して受領を催告すれば足ります(493条ただし書、口頭の提供)。
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相続
問33 胎児の相続能力・配偶者と直系尊属の相続分・限定承認・可分債務の承継
胎児は相続については既に生まれたものとみなされます。限定承認は共同相続人の全員でしなければならず、金銭債務は遺産分割で承継者を決めても、債権者は法定相続分に応じた請求ができます。
正答 4
①は不適切。胎児は、相続については既に生まれたものとみなされるので、生きて生まれればAの相続人になります(886条)。
②は不適切。配偶者と直系尊属が相続人のときの法定相続分は、配偶者3分の2、直系尊属3分の1です(900条2号)。
③は不適切。限定承認は共同相続人の全員が共同してしなければならず、Bが単純承認した後はC・Dだけで限定承認できません(923条)。
④は適切。相続債務の承継者を遺産分割協議で決めても、債権者は、承認しない限り各相続人に法定相続分に応じた弁済を請求できます(902条の2)。
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破産法
問34 財団不足の扱い・免責許可の申立て・裁量免責・復権
破産手続の費用が不足するときは、申立ての却下ではなく破産手続廃止となります。免責不許可事由があっても、裁判所は一切の事情を考慮して免責を許可できます(裁量免責)。
正答 4
①は不適切。破産財団で手続費用を支弁できないときは、破産手続開始の決定と同時に破産手続廃止の決定をします(破産法216条)。申立てが却下されるのは、費用の予納がないときなどです。
②は不適切。免責許可の申立ては、破産手続開始の申立てがあった日から、破産手続開始の決定が確定した日以後1か月を経過する日までの間にできます(248条1項)。債務者が自ら破産手続開始を申し立てた場合は、原則として免責許可の申立てをしたものとみなされます(同条4項)。
③は不適切。浪費や賭博は免責不許可事由ですが、裁判所は一切の事情を考慮して、免責を許可することができます(252条2項)。
④は適切。免責許可の決定が確定したときは、破産者は復権します(255条1項1号)。
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犯罪収益移転防止法
問35 上場会社の担当者の確認・本人確認書類・疑わしい取引の届出・記録の保存
取引時確認では、法人の場合も実際に取引を行う代表者等(担当者)の本人特定事項を確認します。確認記録は、取引に係る契約が終了した日などから7年間保存します。
正答 1
①は適切。上場会社などとの取引では、会社の取引時確認に代えて、実際に取引の任に当たっている担当者の本人特定事項を確認します(犯罪収益移転防止法4条4項・5項)。
②は不適切。公共料金の領収証書は、本人確認書類と併せて現住居を確認するための補完書類で、それだけでは本人特定事項の確認になりません。
③は不適切。疑わしい取引の届出先は行政庁で(8条1項)、指定信用情報機関に届け出るものではありません。
④は不適切。確認記録は、取引時確認を行った日からではなく、特定取引に係る契約が終了した日などから7年間保存します(6条2項)。
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代理
問36 代理行為の瑕疵・双方代理・無権代理人の相手方の催告権と取消権
代理行為の瑕疵は代理人について判断し、双方代理は本人の許諾がなければ無権代理となります。無権代理の相手方は催告権をもちますが、取消権は契約時に代理権がないことを知らなかった場合に限られます。
正答 4
①は適切。意思表示の効力が詐欺などによって影響を受けるかどうかは、原則として代理人について決します(101条1項)。
②は適切。本人の事前の許諾なく同一の法律行為について当事者双方の代理人となった行為は、無権代理行為とみなされます(108条1項)。
③は適切。無権代理の相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて追認するかどうかを催告できます(114条)。
④は適切でない。相手方が取消権を行使できるのは、契約の時に代理権がないことを知らなかった場合に限られます(115条)。
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無効と取消し
問37 取消権者・取消しの効果・無効行為の追認・法定追認
取り消すことができる行為は、追認をすることができる時以後に一定の行為をすると、追認したものとみなされます(法定追認)。それより前の権利の譲渡は法定追認になりません。
正答 4
①は適切。行為能力の制限による取消しは、制限行為能力者やその代理人・承継人・同意権者に限りできます(120条1項)。
②は適切。取消しがあると、その行為は最初から無効だったものとして扱われます(121条)。
③は適切。無効な行為は追認しても効力を生じませんが、無効と知って追認したときは新たな行為をしたものとみなされます(119条)。
④は適切でない。法定追認は、追認をすることができる時以後に権利の譲渡などをした場合に生じます(125条)。それより前の譲渡では追認したものとみなされません。
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債務引受
問38 併存的債務引受の効果と成立・免責的債務引受の効果・求償権
併存的債務引受は、債権者と引受人の契約、又は債務者と引受人の契約(債権者の承諾が必要)でできます。三者間の契約は必須ではありません。
正答 2
①は適切。併存的債務引受の引受人は、債務者と連帯して同一内容の債務を負担します(470条1項)。
②は適切でない。併存的債務引受は、債権者と引受人の契約(470条2項)や、債務者と引受人の契約に債権者が承諾すること(同条3項)でも成立します。
③は適切。免責的債務引受の引受人は債務者と同一内容の債務を負担し、債務者は債務を免れます(472条1項)。
④は適切。免責的債務引受では、引受人は元の債務者に求償できません(472条の3)。
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相殺
問39 不法行為債権と相殺・同時履行の抗弁付き債権・差押え後の取得・遡及効
悪意による不法行為に基づく損害賠償債務の債務者(加害者)は、その債務を受働債権として相殺できませんが、被害者が損害賠償債権を自働債権として相殺することは禁じられていません(509条)。
正答 1
①は適切でない。相殺が禁止されるのは加害者からの相殺です(509条)。被害者であるAが損害賠償債権を自働債権として、自らの代金債務と相殺することはできます。
②は適切。同時履行の抗弁権が付いた債権を自働債権として相殺することはできません。
③は適切。差押え後に他人から取得した債権では、相殺をもって差押債権者に対抗できません(511条)。
④は適切。相殺の効力は、双方の債務が相殺できる状態(相殺適状)になった時にさかのぼって生じます(506条2項)。
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契約の通則
問40 申込者の死亡・危険負担・契約上の地位の移転・解除と原状回復
2020年の改正で、契約上の地位の移転が明文化されました(539条の2)。地位の移転には、契約の相手方の承諾が必要で、通知だけでは足りません。
正答 3
①は適切。申込者が発信後に死亡した場合、効力を有しない旨の意思表示をしていたとき、又は相手方が承諾の発信までにその事実を知ったときは、申込みは効力を有しません(526条)。
②は適切。当事者双方の責めに帰することができない事由で履行不能になったときは、債権者は反対給付の履行を拒むことができます(536条1項)。
③は適切でない。契約上の地位の移転は、契約の相手方がその譲渡を承諾したときに生じます(539条の2)。通知だけでは移転しません。
④は適切。解除をすると各当事者は原状回復義務を負いますが、第三者の権利を害することはできません(545条1項)。
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請負
問41 成立・報酬の支払時期・注文者の指図による不適合・解除
請負の報酬は、目的物の引渡しを要する場合は引渡しと同時に支払います。仕事の完成前にいつでも解除できるのは注文者で、損害を賠償する必要があります(641条)。
正答 4
①は適切。請負は、仕事の完成と報酬の支払を約することで効力を生じます(632条)。
②は適切。目的物の引渡しを要する請負の報酬は、引渡しと同時に支払います(633条)。
③は適切。注文者の材料や指図による不適合は、請負人が不適当と知りながら告げなかった場合を除き、追完請求などの理由にできません(636条)。
④は適切でない。仕事の完成前にいつでも解除できるのは注文者で、請負人が損害を受けたときは賠償しなければなりません(641条)。請負人にこの解除権はありません。
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不当利得と不法行為
問42 共同不法行為・損害賠償請求権の時効・善意の受益者の返還義務・期限前の弁済
不当利得の返還の範囲は、受益者が善意か悪意かで異なります。善意の受益者は現に利益が存する限度で返還すれば足り、悪意の受益者は利息を付して返還します。
正答 3
①は適切。共同不法行為者は、各自が連帯して損害賠償責任を負います(719条1項)。
②は適切。生命・身体の侵害を除き、不法行為による損害賠償請求権は、損害及び加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年で時効により消滅します(724条)。
③は適切でない。善意の受益者の返還義務は、利益の存する限度にとどまります(703条)。利息を付して返還するのは悪意の受益者です(704条)。
④は適切。期限前に弁済した給付の返還は請求できませんが、錯誤による給付であれば、債権者はこれによって得た利益を返還しなければなりません(706条)。
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