憲法の解答・解説(5問)
人権、統治、国会、内閣、法令形式を最高裁判例と憲法条文から整理します。判例の判断を一般化し過ぎず、事案と審査基準を対応させる必要があります。
予防接種被害と国家補償
問3 生命・身体の特別犠牲と損失補償・国家賠償の憲法解釈
予防接種の副反応被害は、過失がなければ国家賠償で救済されず、財産権ではないので損失補償の条文も直接は使えない「国家補償の谷間」の問題です。肢4は、判例が採った過失推定の考え方と食い違います。
公式正解 4
肢1:主張された例。生命・身体の特別犠牲を財産権の特別犠牲より不利に扱う理由はないとして、憲法29条3項を類推適用する裁判例があります。
肢2:主張された例。違法でも無過失の被害は国家賠償と損失補償の谷間に当たるので、立法で解決すべきだとする見解があります。
肢3:主張された例。公共の利益のために生命・身体に特別な犠牲を受けた者は、憲法13条などを根拠に損失補償を請求できるとする学説があります。
肢4:妥当でない。最高裁は、予防接種の禁忌者を識別するための予診が尽くされたかなどを問題にし、一定の場合に過失を推定する判断をしています(最判昭和51年9月30日、最判平成3年4月19日)。過失の認定が原理的に不可能だとはしていません。
肢5:主張された例。財産権の侵害に補償がされる以上、それより重要な生命・身体の侵害も当然補償されるべきだとする勿論解釈の主張があります。
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捜査とプライバシー
問4 容ぼうの撮影・GPS捜査・電話傍受・自動速度監視装置
捜査とプライバシーの判例では、何が保護されるか(容ぼう、私的領域)と、どのような要件で許されるか(必要性、緊急性、相当性、令状)を対で押さえます。
公式正解 2
肢1:妥当でない。何人も、その承諾なしにみだりに容ぼう・姿態を撮影されない自由を有するとされています(京都府学連事件、最大判昭和44年12月24日)。
肢2:妥当。GPS捜査事件(最大判平成29年3月15日)は、憲法35条が保障する対象には、住居・書類・所持品と同視できる私的領域に侵入されない権利も含まれるとしました。
肢3:妥当でない。電話傍受が許されるのは、重大な犯罪の嫌疑があり、他の方法では重要かつ必要な証拠を得ることが著しく困難な場合などに限られます(最決平成11年12月16日)。
肢4:妥当でない。自動速度監視装置による撮影は、近くにいる同乗者の容ぼうが写り込むことになっても憲法に違反しないとされています(最判昭和61年2月14日)。
肢5:妥当でない。GPS端末を秘かに装着する捜査は、個人の行動を継続的・網羅的に把握するもので、私的領域に侵入する強制の処分に当たるとされました(最大判平成29年3月15日)。
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政教分離
問5 市有地の神社への無償提供と憲法89条(空知太神社事件)
空知太神社事件(最大判平成22年1月20日)は、国公有地の無償提供が憲法89条に違反するかどうかについて、施設の性格、経緯、一般人の評価などから総合的に判断しました。肢3の記述は、別の判決(津地鎮祭事件)の言い回しです。
公式正解 3
肢1:考慮された要素。国公有地を宗教的施設の敷地として無償で提供する行為は、一般に宗教団体等への便宜の供与として憲法89条との抵触が問題となるとしています。
肢2:考慮された要素。宗教的施設でも、歴史的・文化財的な保護の対象や観光資源など、文化的・社会的な価値に着目して国公有地に置かれる場合があり得るとしています。
肢3:妥当でない。国民の宗教意識の雑居性や、神社神道が積極的な布教をほとんど行わないという特色は、津地鎮祭事件(最大判昭和52年7月13日)が述べた事情です。空知太神社事件で考慮要素とされたものではありません。
肢4:考慮された要素。明治初期以来、社寺の敷地が国公有地とされた経緯があり、無償提供の状態が解消されないまま残る例もあるとしています。
肢5:考慮された要素。神社を管理する氏子集団は、宗教的行事等を行うことを主たる目的とする宗教団体で、憲法89条の「宗教上の組織若しくは団体」に当たるとしています。
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国会の地位
問6 唯一の立法機関の意味(国会中心立法・国会単独立法)
「唯一の立法機関」は、国会以外の機関が立法できないという国会中心立法の原則と、法律は国会の議決だけで成立するという国会単独立法の原則の二つの意味に分けて説明されます。
公式正解 4
アに「国会が立法権を独占し」、イに「法律は国会の議決のみで成立すること」が入り、正解は4です。
ア:国会中心立法の原則は、憲法が定める例外(議院規則、最高裁判所規則など)を除き、国会が立法権を独占することを意味します。
イ:国会単独立法の原則は、法律は国会の議決のみで成立し、他の機関の関与を要しないことを意味します。
他の組合せ:内閣の法案提出権の否定、国権の最高機関性、天皇の公布、立法権の委任の禁止は、いずれもこの二原則の内容ではありません。委任立法も、個別具体的な委任であれば許されると解されています。
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裁判員制度の合憲性
問41 裁判員制度と刑事裁判の諸原則(最大判平成23年11月16日)
最高裁は、裁判員制度の下の裁判体も、身分保障のある裁判官と公平な手続で選任された裁判員で構成され、憲法が定める刑事裁判の諸原則の保障は裁判官の判断に委ねられているとして、合憲と判断しました。
公式正解 ア20・イ13・ウ19・エ16
空欄は「刑事裁判」「裁判所」「法令の適用」「評決」で、公式正解はア20・イ13・ウ19・エ16です。
ア(20 刑事裁判):問題は、裁判員が加わる裁判体が、刑事裁判に関する様々な憲法上の要請に適合しているかにあるとしています。
イ(13 裁判所):裁判員制度の下の裁判体が、憲法上の「裁判所」といい得るものかが問われ、公平な裁判所での適正な裁判が制度的に保障されているとしました。
ウ(19 法令の適用):裁判員は、事実認定、法令の適用、刑の量定について意見を述べます。
エ(16 評決):裁判員の権限は、評議で意見を述べ、評決を行うことにあるとしています。
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行政法の解答・解説(22問)
行政手続、不服申立て、行政訴訟、国家賠償、地方自治、情報公開を一続きの手続として解きます。処分性、原告適格、出訴期間、執行停止など隣接概念の取り違えが主な失点源です。
法の一般原則
問8 施策の変更と信頼保護・租税法と信義則・権利濫用・地方公共団体の債権の時効・安全配慮義務
行政上の法律関係にも、信義則や権利濫用の禁止といった法の一般原則が及ぶ場合があります。各肢は、判例が適用を認めた限度を超えて一般化していないかを確かめます。
公式正解 4
肢1:妥当でない。地方公共団体の施策は社会情勢の変動に応じて変更できるのが原則です。違法となるのは、代償的措置を講じないまま施策を変更し、信頼して活動に入った者に損害を与えた場合です(最判昭和56年1月27日)。
肢2:妥当でない。租税法律関係でも、納税者の平等・公平の要請を犠牲にしてもなお保護しなければ正義に反するような特別の事情がある場合には、信義則の法理の適用が考えられるとされています(最判昭和62年10月30日)。
肢3:妥当でない。児童遊園の設置認可処分が個室付浴場の営業を阻止するための行政権の著しい濫用に当たる場合は、違法とされました(最判昭和53年5月26日)。
肢4:妥当。地方自治法236条2項が普通地方公共団体の金銭債権の時効消滅に援用を要しないとした趣旨から、地方公共団体に対する債権の消滅時効の主張が信義則に反し許されない場合は極めて限定されるとしています(最判平成19年2月6日)。
肢5:妥当でない。国は国家公務員に対して安全配慮義務を負い、その違反があれば損害賠償義務を負います(最判昭和50年2月25日)。法定の補償で足りるわけではありません。
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行政裁量
問9 教科書検定・懲戒処分の審査・水俣病認定・老齢加算の廃止・学校施設の目的外使用
裁量の有無と広さは、判断の性質(専門技術的か、政策的か、事実の確認か)で変わります。水俣病の認定のように客観的事実を確認する判断には、裁量が認められません。
公式正解 1
妥当なのはアとウで、正解は1です。
ア:妥当。教科書検定の審査は学術的・教育的な専門技術的判断なので、文部大臣の合理的な裁量に委ねられるとされています(最判平成5年3月16日)。
イ:妥当でない。懲戒処分の司法審査では、裁判所は懲戒権者の事実認定に拘束されず、処分が社会観念上著しく妥当を欠き裁量権を濫用したかを判断します(神戸税関事件、最判昭和52年12月20日)。
ウ:妥当。水俣病の認定は、罹患の有無という客観的事実を確認する行為で、処分行政庁の裁量に委ねられる性質のものではないとされています(最判平成25年4月16日)。
エ:妥当でない。老齢加算の廃止を伴う保護基準の改定には、厚生労働大臣に専門技術的かつ政策的な見地からの裁量権が認められるとされています(最判平成24年2月28日)。
オ:妥当でない。学校施設の目的外使用の許可は管理者の裁量に委ねられ、学校教育上の支障がなくても、当然に許可しなければならないわけではないとされています(最判平成18年2月7日)。
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委任命令の限界
問10 退職一時金の利子・幼年者との接見・医薬品の郵便等販売・児童扶養手当・刀剣類の登録
委任命令が法律の委任の範囲内かどうかは、授権規定の文言だけでなく、法律全体の趣旨や立法過程の議論も含めて判断されます。被勾留者と幼年者との接見を一律に禁じた規則は、委任の範囲を超えるとされました。
公式正解 2
肢1:妥当でない。退職一時金に付する利子の利率を政令に委任した規定は、憲法41条に違反しないとされています。
肢2:妥当。監獄法施行規則が被勾留者と14歳未満の幼年者との接見を原則として許さないとしたのは、法の委任の範囲を超え無効とされました(最判平成3年7月9日)。
肢3:妥当でない。医薬品の郵便等販売を規制する省令が委任の範囲内かを判断するに当たり、最高裁は根拠規定以外の諸規定や立法過程の議論も考慮しています(最判平成25年1月11日)。
肢4:妥当でない。児童扶養手当法施行令が支給対象から「父から認知された児童」を除いた括弧書きは、法の委任の趣旨に反し違法・無効とされました(最判平成14年1月31日)。
肢5:妥当でない。銃砲刀剣類登録規則が登録の対象を日本刀に限ったことは、法の委任の趣旨を逸脱するものではないとされました(最判平成2年2月1日)。
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意見公募手続
問11 案の公示・同一命令の特例・根拠規定削除に伴う廃止・定めない場合の公示・実施しない場合の公示
意見公募手続は、命令等の案を公示して広く意見を求める手続です(行政手続法39条)。適用除外の場合と、手続後や省略した場合の公示事項が問われます。
公式正解 1
肢1:正しい。命令等制定機関は、命令等を定めようとするときは、案と関連資料をあらかじめ公示し、広く一般の意見を求めなければなりません(39条1項)。
肢2:誤り。他の行政機関が既に意見公募手続を経て定めた命令等と実質的に同じものを定めるときは、改めて意見公募手続をする必要はありません(39条4項)。
肢3:誤り。根拠となる法令の規定の削除に伴い当然必要とされる命令等の廃止をしようとするときも、意見公募手続は不要です(39条4項)。
肢4:誤り。意見公募手続を実施した後に命令等を定めないこととしたときも、その旨や案の題名などを速やかに公示しなければなりません(43条4項)。
肢5:誤り。意見公募手続を実施しないで命令等を定めたときは、題名と趣旨に加え、手続を実施しなかった理由も公示しなければなりません(43条5項)。
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理由の提示
問12 許認可をする処分と第三者・形式不備による拒否・差し迫った必要がある不利益処分・非開示決定・旅券発給拒否
理由の提示は、申請を拒否する処分(行政手続法8条)と不利益処分(14条)に求められます。判例は、根拠規定を示すだけでは足りないとしています。
公式正解 3
肢1:妥当でない。行政手続法が理由の提示を求めるのは申請を拒否する処分の場合で、申請どおりに許認可をする処分について、利害関係人から求められて理由を示す義務は定められていません。
肢2:妥当でない。形式上の要件に適合しないことを理由に申請を拒否する場合も、原則として理由を示さなければなりません(8条1項)。
肢3:妥当。理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、処分後相当の期間内に理由を示せば足ります。名宛人の所在が判明しないときなど示すことが困難な場合は除かれます(14条1項ただし書・2項)。
肢4:妥当でない。公文書の非開示決定の理由付記は、根拠規定を示すだけでは足りず、どの非開示事由に当たるかを了知しうるものでなければなりません(最判平成4年12月10日)。
肢5:妥当でない。旅券の発給拒否通知書の理由は、申請者が事前に了知しうる事情があっても、根拠規定を示すだけでは足りないとされています(最判昭和60年1月22日)。
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行政指導
問13 不利益取扱いの禁止・権限を示す際の明示と書面交付・行政指導の求め・地方公共団体の機関の行政指導
地方公共団体の機関がする行政指導には、根拠が法律にあっても、行政手続法の行政指導の規定は適用されません(3条3項)。地方公共団体は、条例などで独自に定めます。
公式正解 3
正しいのはイとウで、正解は3です。
ア:誤り。相手方が行政指導に従わなかったことを理由とする不利益な取扱いの禁止(32条2項)は、根拠規定が法律に置かれている行政指導に限られません。
イ:正しい。許認可等の権限を行使し得る旨を示すときは、根拠となる法令の条項、要件、理由を示さなければならず、口頭の行政指導について書面の交付を求められたときは、行政上特別の支障がない限り交付しなければなりません(35条2項・3項)。
ウ:正しい。法令違反の是正のための行政指導を求める申出(36条の3)を受けた行政機関は、必要な調査をして必要があれば行政指導をしますが、申出に対して諾否を応答する義務はありません。
エ:誤り。地方公共団体の機関がする行政指導は、根拠となる規定が法律にあっても、行政手続法の行政指導の規定の適用が除外されています(3条3項)。
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審査請求と執行停止
問14 義務的執行停止の要件・執行停止の取消し・審理員の意見書・再調査の請求・処分庁以外の審査庁
審査請求では執行不停止が原則で、重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは執行停止をしなければなりません。ただし、公共の福祉への重大な影響や、本案に理由がないとみえる場合は除かれます(行政不服審査法25条4項)。
公式正解 3
肢1:誤り。本案について理由がないとみえるときは、審査庁は執行停止をする義務を負いません(25条4項ただし書)。
肢2:誤り。執行停止をした後に、公共の福祉に重大な影響を及ぼすことが明らかになったときなど事情が変更したときは、執行停止を取り消すことができます(26条)。
肢3:正しい。審理員は執行停止をすべき旨の意見書を審査庁に提出でき(40条)、提出を受けた審査庁は速やかに執行停止をするかどうかを決定しなければなりません(25条7項)。
肢4:誤り。再調査の請求にも執行停止の規定が準用されるので(61条)、請求人は執行停止を申し立てることができます。
肢5:誤り。処分庁でも上級行政庁でもない審査庁も、審査請求人の申立てにより、処分庁の意見を聴いたうえで執行停止をすることができます(25条3項)。
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再調査の請求
問15 審査請求との関係・並行の可否・不作為・審査会への報告・口頭意見陳述
再調査の請求は、処分庁が簡易に見直す手続で、法律に定めがある場合にだけ認められます。審査請求をしたときは再調査の請求はできず、再調査の請求をしたときは原則としてその決定を経てから審査請求をします(行政不服審査法5条)。
公式正解 1
肢1:正しい。法律に再調査の請求ができる旨の規定があっても、審査請求をしたときは、再調査の請求をすることができません(5条1項ただし書)。
肢2:誤り。再調査の請求をしたときは、原則としてその決定を経た後でなければ審査請求をすることができず(5条2項)、並行してすることはできません。
肢3:誤り。不作為については審査請求ができるだけで(3条)、再調査の請求の対象ではありません。
肢4:誤り。再調査の請求では審理員による審理や審査会への諮問は行われず、決定後に審査会へ報告する手続もありません。
肢5:誤り。再調査の請求でも、申立てがあれば、口頭で意見を述べる機会を与えなければなりません(61条による31条の準用)。
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審査請求
問16 無効確認の審査請求・審査請求書・不利益変更の禁止・答申と異なる裁決の理由・執行停止の申立人
審査請求の手続は、書面主義、不利益変更の禁止、裁決書の記載事項の順に確かめます。行政不服審査法には、無効確認を求める審査請求の規定はありません。
公式正解 2
誤っているのはアとエで、正解は2です。
ア:誤り。審査請求期間の経過後に処分の無効確認を求める審査請求ができる旨の規定はありません。
イ:正しい。審査請求は審査請求書の提出によるのが原則で、口頭でできるのは他の法律や条例にその定めがある場合だけです(19条1項)。
ウ:正しい。処分を変更する裁決をする場合でも、審査請求人の不利益に変更することはできません(48条)。
エ:誤り。裁決書の主文が審理員意見書や審査会の答申書と異なる内容である場合は、異なることとなった理由を示さなければなりません(50条1項4号)。
オ:正しい。執行停止の申立ては、審査請求人がすることができるものです(25条2項・3項)。
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行政事件訴訟法の要件
問17 執行停止・無効等確認訴訟・非申請型義務付け訴訟の条文
条文の空欄補充は、執行停止と非申請型義務付けが「重大な損害」、無効等確認訴訟の予防的訴えの要件が「損害」と、言葉の違いを押さえると解けます。
公式正解 3
アは重大な損害、イは損害、ウは現在の法律関係、エは重大な損害、オは損害で、正解は3です。
ア:執行停止は、処分の執行などにより生ずる「重大な損害」を避けるため緊急の必要があるときにできます(25条2項)。
イ・ウ:無効等確認訴訟を提起できるのは、続く処分により「損害」を受けるおそれのある者などで、処分の効力の有無を前提とする「現在の法律関係」に関する訴えでは目的を達せられない者に限られます(36条)。
エ・オ:非申請型義務付け訴訟は、一定の処分がされないことにより「重大な損害」を生ずるおそれがあり、かつ、その「損害」を避けるため他に適当な方法がないときに限り提起できます(37条の2第1項)。
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取消訴訟の要件
問18 被告適格・管轄・国等に所属しない行政庁・第三者の訴訟参加・審査請求との関係
取消訴訟の被告は、処分をした行政庁が所属する国又は公共団体です(行政事件訴訟法11条1項)。行政庁が国等に所属しない場合だけ、その行政庁が被告になります。
公式正解 4
肢1:誤り。処分をした行政庁が国又は公共団体に所属する場合は、その国又は公共団体を被告とします(11条1項)。
肢2:誤り。管轄は、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所又は処分をした行政庁の所在地を管轄する裁判所です(12条1項)。原告の普通裁判籍ではありません。
肢3:誤り。行政庁が国又は公共団体に所属しない場合は、その行政庁を被告とします(11条2項)。法務大臣ではありません。
肢4:正しい。訴訟の結果により権利を害される第三者の訴訟参加は、当事者や第三者の申立てによるほか、職権でも決定できます(22条1項)。
肢5:誤り。審査請求ができる場合でも、直ちに取消訴訟を提起できるのが原則です(自由選択主義、8条1項)。審査請求前置は、法律に定めがある場合に限られます。
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原告適格
問19 特急料金の認可・史跡指定の解除・景品表示法の認定・定期航空運送事業の免許・都市計画事業の認可
原告適格は、処分の根拠法令が、個々人の個別的利益を一般的公益に吸収解消させずに保護しているかで判断されます(行政事件訴訟法9条2項)。肯定例と否定例を判例名と結び付けて覚えます。
公式正解 4
肢1:妥当でない。特別急行料金の改定認可について、沿線に住み特急を利用する者の原告適格は否定されました(近鉄特急事件、最判平成元年4月13日)。
肢2:妥当でない。史跡指定解除処分について、学術研究者の原告適格は否定されました(伊場遺跡事件、最判平成元年6月20日)。
肢3:妥当でない。景品表示法の公正競争規約の認定について、一般消費者の不服申立適格は否定されました(主婦連ジュース事件、最判昭和53年3月14日)。
肢4:妥当。航空機の騒音で社会通念上著しい障害を受ける空港周辺の住民には、定期航空運送事業免許の取消しを求める原告適格が認められました(新潟空港事件、最判平成元年2月17日)。
肢5:妥当でない。都市計画事業の事業地の周辺に住み、騒音・振動等で健康や生活環境に著しい被害を直接受けるおそれのある者には、原告適格が認められました(小田急事件、最大判平成17年12月7日)。
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国家賠償と失火責任法
問20 公務員の失火と国家賠償法4条(最判昭和53年7月17日)
失火責任法は民法709条の特則なので、国家賠償法4条の「民法」に含まれ、公務員の失火による国家賠償責任にも適用されます。その結果、公務員に重大な過失があることが必要になります。
公式正解 1
アは「の特則」、イは「含まれる」、ウは「排除すべき」、エは「適用」、オは「必要とする」で、正解は1です。
ア:失火責任法は、失火者の責任条件について民法709条の特則を定めた法律です。
イ・ウ:そのため国家賠償法4条の「民法」に含まれ、公務員の失火による国等の責任についてだけ失火責任法の適用を排除すべき合理的理由もないとしています。
エ・オ:公権力の行使に当たる公務員の失火による国等の責任には、国家賠償法4条により失火責任法が適用され、公務員に重大な過失があることを必要とします。
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規制権限の不行使
問21 石綿の局所排気装置・炭鉱のじん肺・宅建業者の免許更新・水俣病
規制権限の不行使は、権限を定めた法令の趣旨・目的に照らし、その不行使が著しく合理性を欠くと認められるときに違法になります。石綿、じん肺、水俣病では違法が認められ、宅建業法の免許更新では否定されました。
公式正解 1
妥当なのはアとイで、正解は1です。
ア:妥当。労働大臣が省令制定権限を行使して局所排気装置の設置を義務付けなかったことは、一定の時点以降、違法とされました(泉南アスベスト訴訟、最判平成26年10月9日)。
イ:妥当。通商産業大臣が鉱山保安法に基づく粉じん対策の権限を行使しなかったことは、一定の時点以降、違法とされました(筑豊じん肺訴訟、最判平成16年4月27日)。
ウ:妥当でない。知事が宅建業者の免許を更新し、監督権限を行使しなかったことは、個々の取引関係者との関係で直ちに違法となるものではないとされました(最判平成元年11月24日)。
エ:妥当でない。水俣病の被害拡大について、国が水質二法に基づく規制権限を行使しなかったことは、一定の時点以降、違法とされました(関西水俣病訴訟、最判平成16年10月15日)。
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公の施設
問22 設置の条例・長以外の機関の処分の審査請求・重要な施設の廃止・住民に準ずる者の平等利用
公の施設の設置と管理は条例で定めます(地方自治法244条の2第1項)。重要な施設の廃止などは議会の特別多数議決によるもので、総務大臣の関与はありません。
公式正解 2
妥当なのはアとエで、正解は2です。
ア:妥当。公の施設の設置とその管理に関する事項は、法律又は政令に特別の定めがあるものを除き、条例で定めなければなりません(244条の2第1項)。
イ:妥当でない。長以外の機関(指定管理者を含む)がした公の施設を利用する権利に関する処分の審査請求は、普通地方公共団体の長に対してします(244条の4)。
ウ:妥当でない。条例で定める特に重要な公の施設の廃止や長期の独占的な利用は、議会で出席議員の3分の2以上の同意が必要で(244条の2第2項)、総務大臣の承認は要りません。
エ:妥当。住民の利用について不当な差別的取扱いをしてはならないという原則は、住民に準ずる地位にある者にも及ぶとされています(244条3項、最判平成18年7月14日)。
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地方公共団体の法令
問23 地方特別法の住民投票・条例の罰則・規則の罰則・条例案の提出権・条例制定改廃請求の対象
条例には刑罰を定めることができますが(地方自治法14条3項)、長の規則で定められるのは5万円以下の過料だけです(15条2項)。条例の制定改廃請求からは、地方税や手数料などの徴収に関する事項が除かれます。
公式正解 5
肢1:誤り。一の地方公共団体のみに適用される特別法は、その地方公共団体の住民の投票で過半数の同意を得なければ、国会が制定できません(憲法95条)。議会の同意ではありません。
肢2:誤り。条例には、法令に特別の定めがあるものを除き、違反者に刑罰を科す規定を設けることができ(14条3項)、個別の法律の委任は要りません。
肢3:誤り。長の規則で定められる罰則は5万円以下の過料に限られ(15条2項)、条例の委任があっても刑罰は定められません。
肢4:誤り。長も議会に議案を提出できるので(149条1号)、条例案を提出できます。
肢5:正しい。選挙権を有する者は、その総数の50分の1以上の連署で条例の制定改廃を請求できますが、地方税の賦課徴収、分担金・使用料・手数料の徴収に関するものは除かれます(74条1項)。
令和8年度試験での注意 2025年6月1日の改正刑法の施行で、条例で定められる刑のうち懲役・禁錮は拘禁刑に改められました(地方自治法14条3項)。条例で刑罰を定めるのに個別の法律の委任が要らない点は同じで、この問の正誤は変わりません。
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長と議会の関係
問24 不信任議決と解散・違法な議決の再議・臨時会の招集・専決処分・議会の自主解散
長と議会の対立の調整手段は、不信任議決と解散(地方自治法178条)、再議(176条)、専決処分(179条)です。違法な議決の再議は、長の義務とされています。
公式正解 5
正しいのはウとオで、正解は5です。
ア:誤り。解散後に初めて招集された議会で再び不信任が議決されたときは、長はその職を失います(178条2項)。再度の解散はできません。
イ:誤り。議会の議決が法令に違反すると認めるときは、長は理由を示して再議に付さなければなりません(176条4項)。裁量ではありません。
ウ:正しい。議長が議会運営委員会の議決を経て臨時会の招集を請求し、長が法定の期間内に招集しないときは、議長が招集できます(101条5項)。
エ:誤り。議会が成立していても、議決すべき事件を議決しないときは、長は専決処分ができます(179条1項)。
オ:正しい。地方自治法には議会の自主解散の規定はありませんが、地方公共団体の議会の解散に関する特例法が自主解散を認めています。
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通達の処分性
問25 墓地埋葬通達事件(最判昭和43年12月24日)
通達は行政組織内部の命令で、原則として国民を拘束する法規の性質を持ちません。そのため、通達の取消しを求める訴えは、処分性がないとして不適法とされました。
公式正解 3
肢1:妥当でない。通達は、原則として法規の性質をもつものではなく、上級行政機関が下級行政機関や職員に職務権限の行使を指揮するために発する行政組織内部の命令です。
肢2:妥当でない。判決は、法令の解釈や取扱いに関する通達で国民の権利義務に重大な関わりをもつものであっても、法規の性質をもつことになるわけではないとしています。
肢3:妥当。行政機関が通達の趣旨に反する処分をしても、そのことを理由に処分の効力が左右されるものではなく、本件通達も同様だとしています。
肢4:妥当でない。本件通達は、墓地の経営者に対して新たに埋葬の受忍義務を課すものではないとされました。
肢5:妥当でない。本件通達は取消訴訟の対象となる行政処分に当たらないので、訴えは不適法として却下されるべきものとされました。棄却ではありません。
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公立学校と判例
問26 原級留置・退学処分の裁量・校庭開放と営造物責任・小学校廃止条例の処分性・体罰事故の求償
公立学校の判例は、教育上の裁量、営造物の設置管理の瑕疵、条例の処分性、費用負担者間の求償と、行政法の主要論点にまたがります。
公式正解 2
妥当なのはアとエで、正解は2です。
ア:妥当。必修科目を履修しない学生に対する原級留置処分や退学処分の判断は、校長の合理的な教育的裁量に委ねられるとされています(剣道実技拒否事件、最判平成8年3月8日)。ただし、その裁量にも限界があります。
イ:妥当でない。校庭を開放した場合の設置管理者の責任は、施設が通常有すべき安全性を欠いていたかで判断され、開放された校庭の利用者が負傷したというだけで責任が否定されるわけではありません。
ウ:妥当でない。区立小学校を廃止する条例の制定は、保護者に特定の小学校で教育を受けさせる権利を認めたものではないとして、処分性が否定されました(最判平成14年4月25日)。
エ:妥当。市立中学校の教員の体罰事故で給与を負担する県が賠償した場合、県は国家賠償法3条2項に基づき、賠償額の全額を市に求償できるとされました(最判平成21年10月23日)。
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感染症法の改正と行政上の制裁
問42 入院措置の性質・行政刑罰と秩序罰
入院措置は、義務を命じる手順を踏まずに直接身体に実力を加えるので、講学上は即時強制とされることが多い措置です。制裁は、刑罰を科す行政刑罰か、過料を科す秩序罰かで手続が異なります。
公式正解 ア6・イ1・ウ12・エ2
空欄は「即時強制」「罰金」「行政刑罰」「過料」で、公式正解はア6・イ1・ウ12・エ2です。
ア(6 即時強制):入院措置は、相手方に義務を課さずに直接実力を加える即時強制に当たるとされますが、直接強制とする説もあります。
イ(1 罰金):当初の政府案は、懲役や100万円以下の罰金を科すものでした。
ウ(12 行政刑罰):懲役や罰金は刑法に刑名のある刑罰なので、行政刑罰に当たり、刑法総則と刑事訴訟法が適用されます。
エ(2 過料):修正後の法律は過料を科すこととし、これは行政上の秩序罰に当たります。
令和8年度試験での注意 2025年6月1日の改正刑法の施行で懲役は拘禁刑に改められました。行政刑罰と秩序罰(過料)の区別は変わらず、この問の解答も変わりません。
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不利益処分の理由の提示
問43 処分基準と理由の提示の程度(最判平成23年6月7日)
理由の提示は、行政庁の判断の慎重と合理性を担保して恣意を抑え、名宛人の不服申立てに便宜を与えるためのものです。処分基準が公にされている場合は、その適用関係まで示さなければならないとされました。
公式正解 ア9・イ17・ウ13・エ6
空欄は「慎重」「不服の申立て」「処分基準」「意見公募」で、公式正解はア9・イ17・ウ13・エ6です。
ア(9 慎重):理由の提示は、行政庁の判断の慎重と合理性を担保して、その恣意を抑制する趣旨です。
イ(17 不服の申立て):処分の理由を名宛人に知らせて、不服の申立てに便宜を与える趣旨もあります。
ウ(13 処分基準):どの程度の理由を示すべきかは、処分基準の存否・内容・公表の有無などを総合考慮して決めるとし、建築士の懲戒処分では処分基準の適用関係も示す必要があるとしました。
エ(6 意見公募):本件の処分基準は、意見公募の手続を経るなど適正を担保すべき手厚い手続を経て定められ、公にされていました。
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行政指導の中止の求め
問44 法令違反の是正を求める勧告と行政手続法36条の2
学校教育法15条1項の勧告は、相手方に法的義務を課すものではないので、行政手続法上の行政指導に当たります。法令違反の是正を求める行政指導で根拠が法律にあるものについては、相手方は中止などを求めることができます(36条の2)。
公式正解例あり
公式正解例は「行政指導に該当し、文部科学大臣に対し、行政指導の中止を求めることができる。」です。
該当性:勧告は、行政機関が所掌事務の範囲内で行政目的を達成するために特定の者に一定の作為を求めるもので、処分に当たらないので行政指導です(2条6号)。
手段:法令違反の是正を求める行政指導で、根拠となる規定が法律に置かれているものの相手方は、要件に適合しないと思うときは、行政指導をした行政機関に中止その他必要な措置を求めることができます(36条の2第1項)。
例外:行政指導が弁明その他意見陳述のための手続を経てされたものであるときは求められませんが、問題文はその手続がなかったとしています。
書き方:40字程度で、「行政指導」「文部科学大臣に対し」「中止を求める」の3点を入れます。
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民法の解答・解説(11問)
代理、物権、債権、家族法を、当事者関係と時間の順序から解きほぐします。原則と例外、対抗要件、第三者保護を一つのルールとして扱うと誤ります。
意思表示の到達
問27 到達の妨害と不在配達・公示による意思表示・承諾の効力発生時期・申込者の行為能力の制限・受領能力
2020年4月施行の改正民法で、承諾の発信主義は廃止され、意思表示は到達で効力を生じることに統一されました。公示による意思表示は、表意者に過失があると到達の効力が生じません。
公式正解 2
肢1:妥当でない。内容証明郵便が不在で留置期間の経過により返送された場合でも、受取人が内容を十分に推知でき、容易に受領できたときは、遅くとも留置期間の満了時に到達したものと認められるとされています(最判平成10年6月11日)。
肢2:妥当。相手方の所在を知ることができないときは公示の方法で意思表示ができ、官報掲載などから2週間を経過した時に到達したとみなされますが、表意者に過失があったときは到達の効力を生じません(98条)。
肢3:妥当でない。改正民法では承諾についても到達主義がとられ、承諾の通知が到達した時に契約が成立します(97条1項)。
肢4:妥当でない。申込者が申込み後に行為能力の制限を受け、相手方が承諾の通知を発するまでにその事実を知ったときは、申込みは効力を有しません(526条)。契約を取り消すという扱いではありません。
肢5:妥当でない。意思表示を対抗できないのは、相手方が意思能力を有しなかったときと、未成年者又は成年被後見人であったときです(98条の2)。被保佐人・被補助人は含まれません。
公式問題で問27を見る
不在者と失踪宣告
問28 権限の定めのない管理人・財産管理の処分・管理人の改任・失踪宣告の効果・権利能力
普通失踪の宣告を受けた者は、7年の期間が満了した時に死亡したものとみなされます(民法31条)。宣告の時ではありません。
公式正解 4
肢1:正しい。権限の定めのない管理人は、保存行為と、財産の性質を変えない範囲内での利用・改良行為をすることができます(28条・103条)。
肢2:正しい。不在者が管理人を置かなかったときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、財産の管理について必要な処分を命ずることができます(25条1項)。
肢3:正しい。不在者が管理人を置いた場合でも、不在者の生死が明らかでないときは、家庭裁判所は利害関係人又は検察官の請求により管理人を改任できます(26条)。
肢4:誤り。生死が7年間明らかでないときは失踪の宣告ができますが、死亡したものとみなされるのは7年の期間が満了した時です(30条1項・31条)。
肢5:正しい。失踪の宣告は従来の住所を中心とする法律関係について死亡と同じ扱いをする制度で、本人が生存している場合の権利能力まで奪うものではありません。
公式問題で問28を見る
物権的請求権
問29 登記名義人の建物収去義務・未登記建物の譲渡・工場抵当の動産・抵当権に基づく妨害排除・所有権留保と撤去義務
所有権留保の買主が代金を払い終えていない動産が他人の土地を占拠している場合、留保所有権者が撤去義務を負うのは、残債務の弁済期が経過した後です(最判平成21年3月10日)。
公式正解 5
肢1:妥当。自らの意思で建物の登記をしたBは、建物を譲渡しても登記名義を保有する限り、土地所有者に対して建物収去・土地明渡しの義務を免れません(最判平成6年2月8日)。
肢2:妥当。未登記の建物を譲渡した者は、建物の所有者ではなくなるので、土地所有者に対して建物収去・土地明渡しの義務を負いません。
肢3:妥当。工場抵当法により抵当権の目的とされた動産が無断で搬出された場合、第三者が即時取得しない限り、抵当権者は工場への返還を請求できます(最判昭和57年3月12日)。
肢4:妥当。競売手続を妨害する目的の賃借権に基づく占有で、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ優先弁済請求権の行使が困難となるときは、抵当権者は賃借人に妨害排除を請求できます(最判平成17年3月10日)。
肢5:妥当でない。留保所有権者は、残債務の弁済期が到来するまでは、特段の事情がない限り撤去義務を負わず、弁済期の経過後に撤去義務を免れないとされています(最判平成21年3月10日)。弁済期の前後を問わないわけではありません。
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留置権
問30 注意義務・承諾のない使用・不法占有中の有益費・売買代金債権と転得者・二重譲渡と損害賠償請求権
留置権は、物に関して生じた債権の弁済まで、その物を留置できる権利です。占有が不法行為によって始まった場合は成立しません(民法295条2項)。
公式正解 3
肢1:妥当でない。留置権者は善良な管理者の注意をもって留置物を占有しなければならず(298条1項)、善管注意は自己の財産に対するのと同一の注意より重い注意です。
肢2:妥当でない。債務者の承諾なく留置物を使用したときは、債務者は留置権の消滅を請求することができます(298条3項)。直ちに消滅するわけではありません。
肢3:妥当。賃貸借が解除された後、占有権原がないことを知りながら有益費を支出した場合は、295条2項の類推適用により、留置権を主張できないとされています(判例)。
肢4:妥当でない。売主Aは、売買代金債権を被担保債権として、転得者Cに対しても留置権を主張できるとされています(最判昭和47年11月16日)。
肢5:妥当でない。二重譲渡で履行不能になったことによる損害賠償請求権は、建物に関して生じた債権とはいえず、留置権は成立しないとされています(最判昭和43年11月21日)。
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金銭債務の不履行
問31 損害の証明・弁護士費用・不可抗力・不確定期限・期限の定めのない債務
金銭債務の不履行による損害賠償は、法定利率(約定利率が高ければ約定利率)で計算した額に限られ、損害の証明は要らず、不可抗力でも免れません(民法419条)。遅滞の始期は期限の種類で異なります(412条)。
公式正解 3
妥当でないのはイとエで、正解は3です。
ア:妥当。金銭債務の不履行による損害賠償は、債権者が損害を証明しなくても請求できます(419条2項)。
イ:妥当でない。金銭債務の不履行による損害賠償の額は法定利率又は約定利率による額に限られるので、弁護士費用などの取立費用を債務不履行による損害として請求することはできないとされています(判例)。
ウ:妥当。金銭債務の不履行については、債務者は不可抗力をもって抗弁とすることができないので(419条3項)、災害による振込障害でも遅延損害金を請求できます。
エ:妥当でない。不確定期限のある債務は、期限到来後に履行の請求を受けた時か、期限の到来を知った時のいずれか早い時から遅滞になります(412条2項)。Bが死亡を知らず請求も受けていなければ遅滞にならず、遅延損害金は請求できません。
オ:妥当。期限の定めのない債務は、履行の請求を受けた時から遅滞になるので(412条3項)、請求から2か月分の遅延損害金を請求できます。
公式問題で問31を見る
債権者代位権
問32 取消権の代位・被保全債権の期限・動産の引渡し・債務者の処分権限・相手方の履行
2020年改正で、債権者代位権が行使されても、債務者は被代位権利を自ら取り立てたり処分したりでき、相手方も債務者に履行できることが明文化されました(民法423条の5)。
公式正解 5
肢1:誤り。債務者の取消権も、一身専属権でない限り代位行使の対象になります。
肢2:誤り。被保全債権の期限が到来しない間は、保存行為を除き、被代位権利を行使することができません(423条2項)。
肢3:誤り。被代位権利が金銭の支払や動産の引渡しを目的とするときは、相手方に対し自己への支払や引渡しを求めることができます(423条の3)。
肢4:誤り。債権者が代位行使をしても、債務者は被代位権利について自ら取立てその他の処分をすることを妨げられません(423条の5前段)。訴訟告知をしても同じです。
肢5:正しい。債権者が代位行使した場合でも、相手方は債務者に対して履行することを妨げられません(423条の5後段)。
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売買と契約不適合
問33 危険負担・追完と損害賠償・代金減額の催告・買主の帰責事由・通知期間
改正民法の契約不適合責任では、代金減額請求は原則として追完の催告を経てからで、買主に帰責事由があると請求できません(民法563条)。期間制限は「通知」で守れます(566条)。
公式正解 4
誤っているのはア・ウ・エ・オの四つで、正解は4です。
ア:誤り。当事者双方の責めに帰することができない震災で建物が滅失したときは、買主は代金の支払を拒むことができます(536条1項)。
イ:正しい。履行の追完や代金減額の請求は、債務不履行による損害賠償の請求を妨げません(564条)。
ウ:誤り。代金減額請求は、相当の期間を定めて履行の追完を催告し、期間内に追完がないときにできるのが原則です(563条1項)。追完が合理的に期待できるのに、催告なしで直ちに減額を請求することはできません。
エ:誤り。不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、代金の減額を請求できません(563条3項)。
オ:誤り。種類又は品質の不適合については、知った時から1年以内に不適合の事実を売主に通知すればよく(566条)、その期間内に請求権を行使する必要はありません。
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不法行為と判例
問34 因果関係の証明・身体的特徴と減額・未成年者の過失相殺・名誉の意義・医療水準
医療水準は、医療機関の性格、所在地域の医療環境の特性などの諸事情を考慮して判断すべきで、すべての医療機関について一律に解するのは相当でないとされています(最判平成7年6月9日)。
公式正解 5
肢1:妥当。訴訟上の因果関係の立証は、自然科学的な証明ではなく、高度の蓋然性の証明で足り、通常人が疑いを差し挟まない程度の確信を持てればよいとされています(ルンバール事件、最判昭和50年10月24日)。
肢2:妥当。被害者の身体的特徴が疾患に当たらない場合は、特段の事情がない限り、損害賠償の額を定めるに当たって斟酌できません(最判平成8年10月29日)。
肢3:妥当。過失相殺で未成年者の過失を斟酌するには、事理を弁識するに足る知能が備わっていれば足ります(最大判昭和39年6月24日)。
肢4:妥当。不法行為で保護される名誉は、人格的価値について社会から受ける客観的な評価で、名誉毀損はその社会的評価を低下させる行為をいいます(判例)。
肢5:妥当でない。医療水準は、医療機関の性格や所在地域の医療環境の特性などを考慮して判断され、どの医療機関でも一律に判断されるわけではありません(最判平成7年6月9日)。
公式問題で問34を見る
配偶者の居住の保護
問35 特定財産承継遺言と登記・同居相続人の使用・遺贈による配偶者居住権・審判による取得・登記の申請
2019年・2020年施行の相続法改正で、法定相続分を超える部分は登記がなければ第三者に対抗できないこと(民法899条の2)、配偶者居住権(1028条以下)の制度ができました。
公式正解 4
正しいのはウとエで、正解は4です。
ア:誤り。相続させる旨の遺言による承継でも、法定相続分を超える部分は、登記がなければ第三者に対抗できません(899条の2第1項)。BはEに対し、C持分に当たる4分の1を登記なしに主張できません。
イ:誤り。被相続人と同居していた相続人は、遺産分割までは無償で使用する使用貸借が推認されるなどとされ(判例)、配偶者には配偶者短期居住権もあります(1037条)。C・Dが当然に明渡しや使用利益の返還を求められるわけではありません。
ウ:正しい。遺贈により配偶者居住権を取得でき、存続期間は原則として終身ですが(1028条1項2号・1030条)、被相続人が相続開始時に建物を配偶者以外の者と共有していたときは取得できません(1028条1項ただし書)。
エ:正しい。配偶者が取得を希望し、建物所有者の不利益を考慮してもなお配偶者の生活維持のために特に必要があると認めるときは、家庭裁判所は審判で配偶者居住権を与えることができます(1029条2号)。
オ:誤り。建物の所有者は配偶者に設定の登記を備えさせる義務を負い(1031条1項)、登記は所有者と配偶者の共同申請によります。配偶者が単独で登記することはできません。
公式問題で問35を見る
譲渡制限特約と債務者の履行拒絶
問45 悪意・重過失の譲受人に対する履行拒絶(民法466条3項)
改正民法では、譲渡制限の意思表示があっても債権譲渡は有効です。債務者は、譲受人が特約を知り、又は重大な過失で知らなかった場合に限って履行を拒むことができます(466条2項・3項)。
公式正解例あり
公式正解例は「Cが、本件代金債権の譲渡禁止特約につき、知り、又は重大過失により知らなかった場合」です。
前提:譲渡制限特約があっても本件代金債権の譲渡は有効で、Cは債権者になります(466条2項)。
拒絶できる場合:譲受人Cが譲渡制限特約を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、Bは履行を拒み、譲渡人Aに対する弁済などで対抗できます(466条3項)。
補足:BがCに対しても履行しないときは、Cは相当の期間を定めてAへの履行を催告でき、期間内に履行がなければBは拒絶できなくなります(466条4項)。問題文は弁済や供託がないとしています。
書き方:40字程度で、「Cが」「譲渡禁止特約を知り、又は重大な過失で知らなかった」場合とまとめます。
公式問題で問45を見る
土地工作物責任
問46 賃借人(占有者)と所有者の責任の順序(民法717条1項)
土地の工作物の設置・保存の瑕疵による損害は、まず占有者が責任を負い、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者が無過失でも責任を負います(民法717条1項)。
公式正解例あり
公式正解例は「甲の占有者Bが責任を負い、Bが損害発生防止のために必要な注意をしたときは所有者Aが負う。」です。
一次的な責任:建物の外壁は土地の工作物に当たり、その瑕疵による損害は、占有者である賃借人Bが賠償責任を負います(717条1項本文)。
二次的な責任:Bが損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者Aが責任を負います。所有者の責任は無過失責任です(717条1項ただし書)。
求償:損害の原因について他に責任を負う者がいるときは、賠償した占有者や所有者はその者に求償できます(717条3項)。
書き方:40字程度で、「占有者Bが負う」「必要な注意をしたときは所有者Aが負う」と場合分けします。
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商法・会社法の解答・解説(5問)
交互計算、会社設立、株主総会、監査役、株券制度の機関と手続を確認します。株主総会・取締役会・監査役会の権限主体を入れ替えた肢に注意が必要です。
商行為
問36 絶対的商行為と営業的商行為の区別
投機購買・投機売却(商法501条)は一回限りでも商行為になる絶対的商行為で、投機貸借や作業の請負など502条の行為は、営業として行うときに限り商行為になります。
公式正解 3
営業として行わなければ商行為にならないのはウとエで、正解は3です。
ア:利益を得て売る意思で時計を買い入れる行為は、投機購買として絶対的商行為です(501条1号)。
イ:買い入れた木材を加工して製作した机を売る行為も、投機購買とその実行行為として絶対的商行為に当たります(501条1号)。
ウ:報酬を受ける意思で結婚式のビデオ撮影を引き受ける行為は、撮影に関する行為として502条6号の営業的商行為に当たり、営業として行わなければ商行為になりません。
エ:賃貸して利益を得る意思でDVDを買い入れる行為は、投機貸借として502条1号の営業的商行為で、営業として行わなければ商行為になりません。
オ:取得予定の時計を利益を得て転売する意思で売る行為は、投機売却として絶対的商行為です(501条2号)。
公式問題で問36を見る
設立に関する責任
問37 現物出資財産等の価額不足・出資の仮装・任務懈怠責任・第三者に対する責任・連帯責任
発起人等が第三者に対して責任を負うのは、職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときです(会社法53条2項)。役員等の第三者責任(429条)と同じ構造です。
公式正解 4
肢1:正しい。現物出資財産等の価額が定款の価額に著しく不足するときは、検査役の調査を経た場合や注意を怠らなかったことを証明した場合を除き、発起人と設立時取締役は連帯して不足額を支払う義務を負います(52条1項・2項)。
肢2:正しい。出資の払込みや給付を仮装した発起人は、払込みを仮装した金銭の全額の支払、又は給付を仮装した財産の全部の給付をする義務を負います(52条の2第1項)。
肢3:正しい。発起人、設立時取締役、設立時監査役は、任務を怠ったときは会社に対して損害賠償責任を負います(53条1項)。
肢4:誤り。第三者に対する責任が生じるのは、職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときです(53条2項)。軽過失では責任を負いません。
肢5:正しい。複数の者が損害賠償責任を負うときは、連帯債務者となります(54条)。
公式問題で問37を見る
株式の質入れ
問38 株主名簿への記載の意味・記載の請求・譲渡制限株式・剰余金配当の受領・議決権
株券不発行会社の株式の質入れは、当事者の合意で効力を生じ、株主名簿への記載は会社その他の第三者への対抗要件です(会社法147条1項)。
公式正解 4
肢1:誤り。株主名簿への質権者の記載は、会社その他の第三者に対抗するための要件で(147条1項)、質権の効力発生要件ではありません。
肢2:誤り。質権者の氏名等の株主名簿への記載は、質権設定者が単独で株式会社に請求できます(148条)。
肢3:誤り。譲渡制限株式に質権を設定することについて、会社の承認は要りません。
肢4:正しい。登録株式質権者は、質権の目的である株式に対して交付される金銭の剰余金の配当を受領し、債権の弁済期が到来していれば自己の債権の弁済に充てることができます(154条)。
肢5:誤り。議決権は株主(質権設定者)が行使するもので、登録株式質権者が自ら行使するわけではありません。
公式問題で問38を見る
社外役員の設置
問39 社外監査役の不設置の理由説明・監査役会・社外取締役の設置義務・監査等委員会・指名委員会等
2021年3月施行の改正会社法で、公開会社かつ大会社である監査役会設置会社で有価証券報告書を提出する会社は、社外取締役を1人以上置くことが義務付けられました(会社法327条の2)。人数は「過半数」ではありません。
公式正解 1
誤っているのはアとウで、正解は1です。
ア:誤り。社外監査役を置いていない場合に、置くことが相当でない理由を株主総会で説明させる規定はありません。
イ:正しい。監査役会設置会社では、監査役を3人以上置き、そのうち半数以上は社外監査役でなければなりません(335条3項)。
ウ:誤り。公開会社かつ大会社である監査役会設置会社で有価証券報告書の提出義務がある会社は、社外取締役を置かなければなりませんが(327条の2)、3人以上・過半数とする定めはありません。
エ:正しい。監査等委員会設置会社では、監査等委員である取締役を3人以上置き、その過半数は社外取締役でなければなりません(331条6項)。
オ:正しい。指名委員会等設置会社の指名・監査・報酬の各委員会は、取締役の中から選んだ3人以上の委員で構成し、委員の過半数を社外取締役としなければなりません(400条1項・3項)。
公式問題で問39を見る
剰余金の配当
問40 準備金の計上・現物配当の制限・純資産額300万円・決定機関・分配可能額
剰余金の配当は分配可能額の範囲内でしかできず(会社法461条)、純資産額が300万円を下回る会社は配当できません(458条)。
公式正解 1
正しいのはアとウで、正解は1です。
ア:正しい。剰余金の配当をするときは、準備金の合計額が資本金の4分の1に達するまで、配当により減少する剰余金の額の10分の1を資本準備金又は利益準備金として計上しなければなりません(445条4項、会社計算規則22条)。
イ:誤り。配当財産にできないのは当該株式会社の株式等で、子会社や親会社の株式等を配当財産とすることは禁止されていません(454条1項1号)。
ウ:正しい。株式会社の純資産額が300万円を下回る場合は、剰余金の配当をすることができません(458条)。
エ:誤り。会計監査人設置会社で取締役の任期が1年以内であるなどの要件を満たす会社は、定款で剰余金の配当の決定を取締役会の権限とすることができます(459条1項)。
オ:誤り。当期純利益を計上していても、分配可能額を超えて剰余金の配当をすることはできません(461条1項)。
公式問題で問40を見る
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基礎知識の解答・解説(11問)
政治・経済・社会、情報通信、個人情報保護を制度の目的と最新用語から判断します。印象で選ばず、制度主体、年代、定義を一つずつ照合することが得点につながります。
オリンピックと政治
問47 ベルリン・ロンドン・東京・モスクワ・サラエボの各大会
オリンピックと国際政治の問は、大会の年と、当時の政権・戦争・冷戦の出来事を結び付けて判断します。
公式正解 4
肢1:妥当でない。1936年のベルリン大会は、1933年にナチスが政権を握った後に開催されました。
肢2:妥当でない。1948年のロンドン大会には、敗戦国の日本とドイツは招かれず参加していません。
肢3:妥当でない。1964年の東京大会にはソ連が参加しました。中華人民共和国は当時IOCから離脱していて参加していません。
肢4:妥当。1980年のモスクワ大会は、ソ連のアフガニスタン侵攻に反発した米国がボイコットし、日本も不参加となりました。
肢5:妥当でない。1984年のサラエボ冬季大会は、ユーゴスラビア時代に開催されたもので、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争(1992年〜1995年)より前です。
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新型コロナ対策と政治
問48 特措法の改正・緊急経済対策・緊急事態宣言・ワクチン接種・まん延防止等重点措置
2020年から2021年の新型コロナ対策は、法改正の時期と内容(対象への追加、まん延防止等重点措置と過料)を順に確かめます。
公式正解 2
肢1:妥当でない。2020年3月には、新型インフルエンザ等対策特別措置法を改正して新型コロナウイルス感染症を対象に加えました。新規の法律を制定したわけではありません。
肢2:妥当。2020年4月に「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」が閣議決定され、雇用と事業の継続や、生活に困る世帯・個人への支援などが盛り込まれました。
肢3:妥当でない。緊急事態宣言の下での措置は外出自粛の要請で、外出に都道府県知事の許可が必要とされたわけではありません。
肢4:妥当でない。医療従事者へのワクチン接種が始まったのは2021年2月で、首相や大臣の優先接種が2020年12月に終わったという事実はありません。
肢5:妥当でない。2021年2月の特措法改正で導入されたまん延防止等重点措置では、営業時間の変更などの命令と、命令違反に対する過料も制度化されました。
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公的役職の任命
問49 内閣法制局長官・日本銀行総裁・検事総長・NHK経営委員・日本学術会議会員
国会の同意が必要な人事(国会同意人事)は、日本銀行総裁やNHK経営委員などです。内閣法制局長官や検事総長は、国会の同意なしに内閣が任命します。
公式正解 2
誤っているのはアとウで、正解は2です。
ア:誤り。内閣法制局長官は、内閣が任命します(内閣法制局設置法2条)。両議院の同意は要りません。
イ:正しい。日本銀行総裁は、両議院の同意を得て内閣が任命します(日本銀行法23条1項)。
ウ:誤り。検事総長は内閣が任命し、天皇が認証します(検察庁法15条)。最高裁判所の推薦に基づくものではありません。
エ:正しい。NHKの経営委員は、両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命します(放送法31条1項)。
オ:正しい。出題時の日本学術会議法では、会員は日本学術会議の推薦に基づいて内閣総理大臣が任命していました。
令和8年度試験での注意 2026年10月1日、日本学術会議は新しい日本学術会議法(令和7年法律第70号)で国の機関から特殊法人に移行し、内閣総理大臣による会員の任命はなくなりました。令和8年度試験の法令基準日(2026年4月1日)の時点では旧制度でした。
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ふるさと納税
問50 制度の仕組み・対象税目・地方交付税による補填・返礼品・指定制度
ふるさと納税は、選んだ自治体への「寄附」で、寄附額のうち2,000円を超える部分が所得税と個人住民税から控除される仕組みです。住民税を他の自治体に納める制度ではありません。
公式正解 1
誤っているのはアとイで、正解は1です。
ア:誤り。ふるさと納税は、自治体への寄附について寄附金控除を受ける仕組みで、住民税を居住地以外の自治体に納める制度ではありません。
イ:誤り。控除の対象は所得税と個人住民税で、固定資産税は対象ではありません。
ウ:正しい。地方交付税の交付団体では、ふるさと納税による住民税の減収分の一部(75%)が地方交付税の算定を通じて補填されます。
エ:正しい。返礼品を贈ることは認められていて、出題当時、全国の9割以上の市町村が返礼品を提供していました。
オ:正しい。返礼品競争の過熱を受けて、2019年6月から国が対象の自治体を指定する制度が導入されました。
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国際収支
問51 旅行・無償資金協力・仕送り・配当と利子・海外株式の購入
国際収支は、経常収支(貿易・サービス収支、第一次所得収支、第二次所得収支)、資本移転等収支、金融収支に分かれます。仕送りのような対価を伴わない移転は、第二次所得収支です。
公式正解 3
肢1:正しい。海外のホテルへの宿泊料は旅行サービスの支払で、経常収支(サービス収支)のマイナスです。
肢2:正しい。社会資本整備のための無償資金協力は、資本移転等収支のマイナスとして計上されます。
肢3:誤り。海外にいる子どもへの仕送りは第二次所得収支の支払で、経常収支のマイナスとして計上されます。
肢4:正しい。海外投資から受け取る配当や利子は第一次所得収支の受取で、経常収支のプラスです。
肢5:正しい。日本企業が海外企業の株式を購入すると対外資産が増え、金融収支のプラスとして計上されます。
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エネルギー政策
問52 一次エネルギーの構成・輸入先・長期戦略・世界の消費量・原油価格
日本の一次エネルギーは8割以上を化石燃料に頼り、原油は大部分を中東から輸入しますが、LNG(液化天然ガス)は豪州や東南アジアなどからの輸入が中心です。
公式正解 2
妥当なのはアとウで、正解は2です。
ア:妥当。2010年代後半の日本は一次エネルギーの8割以上を化石燃料に依存しており、再生可能エネルギーは3割に満たない水準でした。
イ:妥当でない。原油は大半を中東から輸入していますが、天然ガスはオーストラリアやマレーシアなど中東以外からの輸入が大半です。
ウ:妥当。2019年6月、政府はパリ協定に基づく長期戦略をまとめ、2050年までに温室効果ガスを80%削減して脱炭素社会を目指すとしました。
エ:妥当でない。世界最大のエネルギー消費国は中国で、米国がそれに続きます。
オ:妥当でない。2020年前半は、新型コロナウイルス感染症の拡大による需要の減少で、原油価格は急落しました。
令和8年度試験での注意 2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする(カーボンニュートラル)目標を表明しました。ウは出題時の長期戦略についての記述です。
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先住民族
問53 アイヌ施策推進法・国立アイヌ民族博物館・国連宣言・カナダの謝罪・マオリとアボリジニ
マオリはニュージーランドの先住民族、アボリジニはオーストラリアの先住民族です。肢5は国名を入れ替えています。
公式正解 5
肢1:妥当。2019年制定のアイヌ施策推進法で、アイヌが先住民族であることが法律に明記されました。
肢2:妥当。2020年に開設された国立アイヌ民族博物館は、アイヌ文化に特化した日本初の国立博物館です。
肢3:妥当。国連総会は2007年に先住民族の権利に関する宣言を採択し、2014年には先住民族世界会議が開かれました。
肢4:妥当。カナダでは、先住民族の子どもを寄宿学校に強制入学させた同化政策について、2008年に首相が公式に謝罪しました。
肢5:妥当でない。マオリはニュージーランド、アボリジニはオーストラリアの先住民族です。
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ジェンダーとセクシュアリティ
問54 LGBT・女子大学の受入れ・米国の同性婚・パートナーシップ制度・台湾の同性婚
日本では同性婚は法制化されていませんが、2015年の東京都渋谷区・世田谷区を皮切りに、パートナーシップ制度を導入する自治体が増えています。
公式正解 4
肢1:妥当。LGBTは、性的少数者を表す4つの英語(Lesbian、Gay、Bisexual、Transgender)の頭文字をとった語です。
肢2:妥当。お茶の水女子大学などは、戸籍上は男性でも性自認が女性の学生(トランスジェンダー女性)の受入れを始めています。
肢3:妥当。米国連邦最高裁は2015年、同性婚は合衆国憲法の下の権利で、州は同性婚を認めなければならないと判断しました。
肢4:妥当でない。条例や要綱に基づき同性カップルの関係を証明するパートナーシップ制度を導入している自治体は、多数あります。
肢5:妥当。台湾では2019年、アジアで初めて同性婚が法制化されました。
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顔認識と顔認証
問55 顔データの利用と個人情報保護・プライバシー
顔認識は撮影画像から顔を検出して性別や年齢、表情などを識別すること、顔認証は登録データとの照合で本人確認をすることです。顔データは生体情報として個人情報保護法の規制を受ける場合があります。
公式正解 3
Ⅰは表情、Ⅱは本人確認、Ⅲは生体情報、Ⅳは個人情報保護法、Ⅴはプライバシーで、正解は3です。
Ⅰ(ア 表情):顔認識システムは、検出した顔の性別や年齢、表情などを識別します。
Ⅱ(エ 本人確認):顔認証システムは、事前に登録したデータとの照合で本人確認を行います。
Ⅲ・Ⅳ(オ 生体情報・キ 個人情報保護法):顔データは生体情報で、犯罪歴との照合などは個人情報保護法の要配慮個人情報に関わる問題になり得ます。
Ⅴ(コ プライバシー):米国のいくつかの州では、プライバシー保護の観点から顔の形状を含む生体データの収集に事前の同意を求めています。
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自動運転のレベル
問56 レベル1〜5の運転主体
レベル1・2は運転者が安全運転の主体で、レベル3以上でシステムが主体になります。ただしレベル3では、システムが作動を続けられないときは運転者が適切に対応する必要があります。
公式正解 3
肢1:妥当。レベル1は、縦方向か横方向のいずれかの車両運動制御についてシステムが運転を支援し、安全運転の主体は運転者です。
肢2:妥当。レベル2は、縦・横両方向の車両運動制御をシステムが行いますが、安全運転の主体は運転者です。
肢3:妥当でない。レベル3は、限定された条件の下でシステムが全ての運転タスクを行いますが、作動継続が困難な場合は運転者が適切に対応することが求められ、人の介入を排除するものではありません。
肢4:妥当。レベル4は、限定された領域でシステムが全ての運転タスクを行う無人の自動運転で、システムが安全運転の主体です。
肢5:妥当。レベル5は、領域の限定なくシステムが全ての運転タスクを行い、システムが安全運転の主体です。
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行政機関の個人情報保護
問57 利用停止請求・部分開示・裁量的開示・第三者の意見書・電磁的記録の開示方法
出題時は行政機関個人情報保護法の規定で、2022年4月からは個人情報保護法に統合されています。開示の手続(部分開示、裁量的開示、第三者への意見書提出の機会)の要件を条文の言葉で確かめます。
公式正解 5
肢1:誤り。利用停止請求があった場合に、すべての事案で一時的に利用を停止する仕組みはありません。行政機関の長は、請求に理由があると認めるときに利用停止をします。
肢2:誤り。不開示情報を容易に区分して除くことができるときは、その部分を除いて開示しなければならず、関係機関の同意は要件ではありません。
肢3:誤り。不開示情報が含まれていても、個人の権利利益を保護するため特に必要があると認めるときは、開示することができます(裁量的開示)。
肢4:誤り。第三者に関する情報が含まれているときは、第三者に意見書を提出する機会を与えることができるにとどまり、聴聞の機会の付与は求められていません。
肢5:正しい。電磁的記録に記録された保有個人情報の開示は、記録の種別や情報化の進み具合などを考えて行政機関が定める方法で行います。
令和8年度試験での注意 2022年4月1日、行政機関個人情報保護法は個人情報保護法に統合されました。電磁的記録の開示方法などの規定は同法87条1項などに引き継がれ、この問の正誤は変わりません。
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