憲法の解答・解説(6問)
人権、統治、国会、内閣、法令形式を最高裁判例と憲法条文から整理します。判例の判断を一般化し過ぎず、事案と審査基準を対応させる必要があります。
表現の自由と名誉毀損
問3 公務員の職務上の行動に対する論評(長崎教師批判ビラ事件)
示された判断基準は、公務員の地位における行動への批判・論評について、公益目的と前提事実の主要部分の真実性が証明され、人身攻撃など論評の域を逸脱しない限り違法性を欠くとしたものです(最判平成元年12月21日)。
公式正解 5
想定されている事例は5です。
1:妥当でない。駅構内で許諾なく演説し退去要求に応じなかった事例は、施設の管理権との関係が問題になったもの(吉祥寺駅構内ビラ配布事件、最判昭和59年12月18日)で、論評による名誉毀損の基準とは関係ありません。
2:妥当でない。宗教団体の会長に関する事実を批判的に報じた事例は、私人の私生活上の行状も公共の利害に関する事実に当たりうるとした月刊ペン事件(最判昭和56年4月16日)に近く、公務員の行動への論評を対象とした基準ではありません。
3:妥当でない。小説のモデルとされた者が私生活上の事実の公表を理由に出版差止めを求めた事例は、プライバシーの侵害が問題になったもの(石に泳ぐ魚事件、最判平成14年9月24日)です。
4:妥当でない。新聞記者が公務員から外交上の機密を聞き出して起訴された事例は、取材の自由の限界が問題になった外務省秘密漏洩事件(最決昭和53年5月31日)です。
5:妥当。公立小学校の教員の対応を市民がビラで厳しく批判し、名誉毀損による損害賠償と謝罪広告を求められた事例は、この判断基準を示した長崎教師批判ビラ事件そのものです。
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職業の自由
問4 要指導医薬品の対面販売義務と職業活動の自由(最判令和3年3月18日)
最高裁は、要指導医薬品について薬剤師による対面での情報提供と指導を求める規定は、職業活動の態様を規制するにとどまり、立法府の合理的裁量の範囲を超えないとして合憲としました(最判令和3年3月18日)。
公式正解 2
判決の趣旨として妥当なのは2です。
1:妥当でない。判例は、憲法22条1項は職業選択の自由とともに職業活動の自由も保障しているとしています。職業選択の自由のみを保障するとはしていません。
2:妥当。規制の目的・必要性・内容と、制限される職業の自由の性質・内容・程度を比較考量するのは第一次的には立法府の権限と責務で、その判断が合理的裁量の範囲にとどまる限り裁判所は尊重するとしています。
3:妥当でない。判決は、対面販売の義務付けは販売方法の制限にすぎず、インターネット販売を主とする事業者にとっても職業選択の自由そのものの制限には当たらないとしました。許可制と同様の厳格な審査はしていません。
4:妥当でない。判決は、より制限的でない他の手段では目的を達成できないことまで求める審査はしていません。規制の目的を国民の生命・健康の保護と捉えたうえで、立法府の判断が合理的裁量の範囲を超えるとはいえないとしています。
5:妥当でない。本件規制は、医薬品の適正な使用を確保して国民の生命・健康を守るためのもので、社会経済の調和的発展を目的とする積極的な経済政策とは位置付けられていません。
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適正手続
問5 第三者所有物没収・接見交通・迅速な裁判・不利益供述強要の禁止・二重処罰
憲法38条1項の不利益供述強要の禁止は、純然たる刑事手続に限らず、実質上刑事責任追及の資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に持つ手続にも及びます(川崎民商事件、最大判昭和47年11月22日)。
公式正解 4
1:妥当でない。第三者所有物没収事件(最大判昭和37年11月28日)は、所有者に告知・弁解・防御の機会を与えずに没収することは憲法31条・29条に反するとし、没収の言渡しを受けた被告人もその違憲を主張できるとしました。
2:妥当でない。判例は、憲法34条前段は弁護人から援助を受ける機会を持つことを実質的に保障しており、接見交通権はその趣旨にのっとるものとしています(最大判平成11年3月24日)。捜査との合理的な調整は認めつつも、接見の機会の保障を否定してはいません。
3:妥当でない。高田事件(最大判昭和47年12月20日)は、迅速な裁判の保障に明らかに反する異常な事態が生じたときは、具体的な規定がなくても免訴によって審理を打ち切るという非常救済手段をとれるとしました。
4:妥当。川崎民商事件は、税務調査のような手続でも、刑事責任の追及に使う資料の収集に直接結びつく作用を一般に持つものには、憲法38条1項の保障が及ぶとしました。
5:妥当でない。判例は、追徴税(加算税)は納税義務違反の発生を防止するための行政上の措置で、刑罰と併科しても二重処罰に当たらないとしています(最大判昭和33年4月30日)。
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内閣の権限
問6 条約の締結・法律にかわる政令・参議院の緊急集会・内閣総理大臣が欠けたとき・予備費
内閣総理大臣が欠けたとき内閣は総辞職しなければならず(憲法70条)、総辞職した内閣は新たな内閣総理大臣が任命されるまで引き続き職務を行います(71条)。
公式正解 4
1:妥当でない。条約の締結には、事前に、時宜によっては事後に国会の承認を経ることが必要です(73条3号)。承認なしに締結できる例外は定められていません。
2:妥当でない。憲法上、法律にかわる効力を持つ政令(緊急命令)を制定する権限は内閣に認められていません。政令は憲法・法律を実施するためのもので、法律の委任がなければ罰則も設けられません(73条6号)。
3:妥当でない。衆議院の解散中に参議院の緊急集会を求めるのは内閣です(54条2項ただし書)。いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求で内閣が召集を決定するのは臨時会です(53条)。
4:妥当。内閣総理大臣が欠けたときは総辞職し(70条)、新たな内閣総理大臣が任命されるまで引き続き職務を行います(71条)。
5:妥当でない。予備費は、予見し難い予算の不足に充てるため国会の議決に基づいて設けるものです(87条1項)。内閣が自らの判断で設けることはできません。
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裁判の公開
問7 法廷でのカメラ取材・過料の裁判・証人の遮へい措置・傍聴人のメモ・裁判官の懲戒
証人尋問で証人と傍聴人の間に遮へい措置をとっても審理の公開は失われず、憲法82条1項・37条1項に違反しないとされています(最判平成17年4月14日)。
公式正解 3
1:妥当でない。判例は、公判廷での写真撮影などを裁判所の許可にかからせ、開廷中の撮影を制限しても憲法に違反しないとしています(北海タイムス事件、最大決昭和33年2月17日)。
2:妥当でない。過料を科する作用は実質的には行政処分の性質を持つ非訟事件の裁判で、公開法廷での対審・判決によらなくても憲法82条・32条に違反しないとされています(最大決昭和41年12月27日)。
3:妥当。遮へい措置やビデオリンク方式による証人尋問は、裁判の公開に関する憲法の規定に違反しないとされています(最判平成17年4月14日)。
4:妥当でない。レペタ事件(最大判平成元年3月8日)は、傍聴人がメモを取る行為は故なく妨げられてはならないとしつつ、権利として保障されているものではないとしました。
5:妥当でない。裁判官の懲戒の裁判は純然たる訴訟事件についての裁判ではなく、憲法82条1項の公開の原則は適用されないとされています(最大決平成10年12月1日)。
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司法権の限界
問41 地方議会議員の出席停止の懲罰と司法審査(最大判令和2年11月25日・宇賀裁判官補足意見)
この判決は、地方議会議員に対する出席停止の懲罰も司法審査の対象になるとして、昭和35年の判例を変更しました。補足意見は、司法権に対する外在的制約は憲法上の根拠がある場合に厳格に限られると述べています。
公式正解 ア10・イ7・ウ20・エ5
空欄は「法律上」「外在的」「憲法上」「自律性」で、公式正解はア10・イ7・ウ20・エ5です。
ア(10 法律上):裁判所法3条1項の「法律上の争訟」は、当事者間の具体的な権利義務・法律関係の存否に関する紛争で、法令の適用により終局的に解決できるものをいいます。
イ(7 外在的):法律上の争訟に当たるのに司法審査の対象外とすることは、司法権に対する外在的な制約として、例外的にしか認められないとしています。
ウ(20 憲法上):その例外を正当化するには憲法上の根拠が必要で、厳格に限定されるべきだとしています。
エ(5 自律性):憲法は国権の最高機関である国会の自律性を尊重して55条・51条の規定を置いていますが、地方議会にはこれに当たる規定がなく、自律性の点で国会と同視していないと述べています。
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行政法の解答・解説(22問)
行政手続、不服申立て、行政訴訟、国家賠償、地方自治、情報公開を一続きの手続として解きます。処分性、原告適格、出訴期間、執行停止など隣接概念の取り違えが主な失点源です。
公法上の権利の一身専属性
問8 朝日訴訟・じん肺の労災保険給付・被爆者の健康管理手当
朝日訴訟判決は、生活保護を受ける地位は一身専属で相続できないとしました。その前提として、保護を受けるのは反射的利益ではなく法的権利(保護受給権)だとしています。
公式正解 2
Aはア、Bはエ、Cはカで、正解は2です。
空欄A(ア):朝日訴訟判決(最大判昭和42年5月24日)は、生活保護法による保護は国の恩恵や反射的利益ではなく、保護受給権とも呼ぶべき法的権利であるとしたうえで、その一身専属性を認めました。
空欄B(エ):じん肺の労災保険給付を請求する権利(最判平成29年4月6日)と被爆者の健康管理手当の受給権(最判平成29年12月18日)について、最高裁はいずれも一身専属性を否定し、相続人による訴訟の承継を認めました。
空欄C(カ):平成29年12月18日判決は、被爆者援護法の給付が国家補償的配慮を基礎としていることも、受給権が一身専属的でない理由の一つとしています。
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行政契約
問9 行政手続法と行政契約・物品調達の手続・給水拒否の正当の理由・公害防止協定・随意契約の効力
随意契約の制限に違反した契約も、無効としなければ法令の趣旨を没却する特別の事情がない限り私法上有効です(最判昭和62年5月19日)。給水契約は、適正かつ合理的な供給計画で対応できない申込みであれば拒めます(最判平成11年1月21日)。
公式正解 4
妥当なのはウとオで、正解は4です。
ア:妥当でない。行政手続法には、行政契約の定義規定も締結手続の規定もありません。
イ:妥当でない。地方公共団体の契約は一般競争入札が原則で、指名競争入札・随意契約・せり売りは政令で定める場合に限られるなど、地方自治法234条に特別な手続が定められています。
ウ:妥当。水道事業者は正当の理由がなければ給水契約の申込みを拒めませんが(水道法15条1項)、判例は、適正かつ合理的な供給計画によっては対応できない申込みであれば正当の理由があるとしています(最判平成11年1月21日)。
エ:妥当でない。判例は、町と事業者が結んだ公害防止協定のうち産業廃棄物処分場の使用期限の定めについて、法的拘束力を認めています(最判平成21年7月10日)。
オ:妥当。随意契約の制限に違反して締結された契約も、それを無効としなければ法令の趣旨を没却する特別の事情がない限り、私法上は有効です(最判昭和62年5月19日)。
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行政調査
問10 所持品検査・自動車検問・行政手続法の適用除外・質問検査権と犯則調査・調査拒否への罰則
調査に応じない者に刑罰を科すには、調査の根拠規定とは別に、罰則を定める法律の明文の規定が必要です(罪刑法定主義)。
公式正解 5
1:妥当でない。警察官職務執行法には所持品検査の明文規定はありません。判例は、職務質問に付随して、必要性・緊急性などを考慮し具体的状況のもとで相当と認められる限度で、承諾のない所持品検査も許容されるとしています(最判昭和53年6月20日)。
2:妥当でない。判例は、交通取締りのための自動車検問は、走行の外観上の不審な点の有無にかかわりなく短時分の停止を求めるものでも、任意の協力を求める形で、利用者の自由を不当に制約しない方法・態様で行われる限り適法としています(最決昭和55年9月22日)。
3:妥当でない。行政手続法は行政調査の手続を定めておらず、情報収集を直接の目的とする処分や行政指導は同法の適用除外です(3条1項14号)。事前通知は国税通則法など個別法の定めによります。
4:妥当でない。国税通則法74条の8は、質問検査権を犯罪捜査のための権限と解釈することを禁じていますが、判例は、調査で得た資料が後に犯則事件の証拠として利用されることが想定できても、直ちに違法となるわけではないとしています(最決平成16年1月20日)。
5:妥当。調査を拒んだ者を処罰するには、刑罰を科すことについて法律に明文の根拠が必要です。
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申請に対する処分
問11 標準処理期間・形式上の要件・理由の提示・情報の提供・公聴会
標準処理期間を定めることは努力義務ですが、定めたときは公にしておくことが義務です(行政手続法6条)。
公式正解 1
1:妥当。行政庁は標準処理期間を定めるよう努め、定めたときは事務所に備え付けるなどの方法で公にしておかなければなりません(6条)。
2:妥当でない。形式上の要件に適合しない申請については、速やかに補正を求めるか、申請により求められた許認可等を拒否しなければなりません(7条)。拒否もできます。
3:妥当でない。理由の提示が義務付けられるのは、許認可等を拒否する処分をする場合です(8条1項)。申請どおりの処分をするときに理由を示す努力義務はありません。
4:妥当でない。行政庁は、申請者の求めに応じて審査の進行状況と処分の時期の見通しを示すよう努めなければなりません(9条1項)。標準処理期間を過ぎたときに書面で通知する義務はありません。
5:妥当でない。申請者以外の者の利害を考慮すべき処分では、必要に応じ公聴会の開催などにより申請者以外の者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければなりません(10条)。義務ではなく、対象に申請者本人は含まれません。
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不利益処分
問12 申請拒否処分・第三者の意見・弁明の機会の付与・聴聞に関する処分の不服申立て・聴聞の主宰者
弁明の機会の付与は、聴聞を必要とする場合に当たらない不利益処分について行い、行政庁が口頭を認めたときを除き、弁明書の提出によって行います(行政手続法13条1項2号・29条1項)。
公式正解 3
1:妥当でない。申請により求められた許認可等を拒否する処分は、不利益処分の定義から除かれています(2条4号ロ)。意見陳述の手続は要りません。
2:妥当でない。不利益処分の手続には、処分がされないことで権利を害されるおそれのある第三者の意見を聴く努力義務の規定はありません。
3:妥当。聴聞によるべき場合(13条1項1号)に当たらないときは弁明の機会の付与を行い(同項2号)、弁明は口頭が認められたときを除き弁明書の提出で行います(29条1項)。
4:妥当でない。聴聞の節の規定に基づく処分又はその不作為については、審査請求をすることができません(27条)。
5:妥当でない。聴聞を主宰することができない者は、当事者・参加人やその配偶者・親族などとして法律自体に列挙されています(19条2項)。政令に委任してはいません。
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届出
問13 届出の定義と申請の除外・事前に限らないこと・自己の期待する効果・届出の効力
行政手続法の届出は、申請に該当するものを除き、法令で直接通知が義務付けられているものをいい、自己の期待する法律上の効果のために通知すべきものも含みます(2条7号)。
公式正解 1
1:妥当。届出の定義には「申請に該当するものを除く」という限定が付いています(2条7号)。
2:妥当でない。届出の定義に、事前になされるものに限るという限定はありません。事後の届出も含まれます。
3:妥当でない。届出には、自己の期待する一定の法律上の効果を発生させるために通知すべきこととされているものが含まれます(2条7号)。除かれてはいません。
4:妥当でない。届出をすべき義務が履行されたとされるのは、記載事項に不備がないなど法令に定められた形式上の要件に適合している届出が、提出先の事務所に到達したときです(37条)。
5:妥当でない。必要な書類が添付されていない届出は形式上の要件に適合しないので、到達しても届出義務を履行したことにはなりません(37条)。
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行政不服審査法
問14 再調査の請求・審理員意見書・処分の求め・行政指導の中止の求め・条例に基づく処分の諮問先
審理員は審理手続を終結したら遅滞なく審理員意見書を作り、速やかに事件記録とともに審査庁に提出します(行政不服審査法42条)。
公式正解 2
1:妥当でない。再調査の請求ができるのは、処分庁以外の行政庁に審査請求ができる場合で、かつ法律に再調査の請求ができる旨の定めがあるときに限られます(5条1項)。
2:妥当。審理員は、審理手続を終結したときは遅滞なく審理員意見書を作成し(42条1項)、速やかに事件記録とともに審査庁に提出しなければなりません(同条2項)。
3:妥当でない。是正のための処分がされていないと考える者が処分を求める手続は、行政手続法の「処分等の求め」(36条の3)で、行政不服審査法の審査請求ではありません。
4:妥当でない。違法な行政指導の中止を求める手続は、行政手続法の「行政指導の中止等の求め」(36条の2)です。行政指導は処分ではないので、審査請求の対象になりません。
5:妥当でない。条例に根拠がある処分にも行政不服審査法は適用されますが、地方公共団体の機関がした処分の審査請求では、その地方公共団体に置かれる機関(81条)に諮問します。総務省の行政不服審査会ではありません。
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審理員
問15 審理員の指名・物件の提出要求と留置き・検証・審理関係人への質問・審理手続の併合と分離
審理員は、申立てがなくても職権で物件の提出を求め、提出された物件を留め置くことができます(行政不服審査法33条)。検証や質問も職権で行えます。
公式正解 2
1:妥当でない。審理員は、審査庁に所属する職員のうちから指名されます(9条1項)。処分に関与した者などは審理員になれません(同条2項)。
2:妥当。審理員は、申立てにより又は職権で物件の所持人に提出を求めることができ、提出された物件を留め置くことができます(33条)。
3:妥当でない。検証は、審査請求人・参加人の申立てによるほか、職権でもできます(35条1項)。
4:妥当でない。審理関係人への質問も、申立てによるほか職権でできます(36条)。
5:妥当でない。審理員は、数個の審査請求の審理手続を併合することも、併合した審理手続を分離することもできます(39条)。
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教示
問16 口頭でする処分・執行停止の教示・利害関係人への教示・教示をしなかった場合・再審査請求の教示
教示の義務は、不服申立てができる処分を書面でする場合に課されます。処分を口頭でする場合は、教示は要りません(行政不服審査法82条1項ただし書)。
公式正解 1
1:妥当でない。処分を口頭でする場合は、教示の義務はありません(82条1項ただし書)。
2:妥当。教示すべきなのは、不服申立てができる旨、不服申立てをすべき行政庁、不服申立期間です(82条1項)。執行停止を申し立てられる旨の教示は求められていません。
3:妥当。利害関係人から教示を求められたときは教示しなければならず、書面による教示を求められたときは書面で教示します(82条2項・3項)。
4:妥当。必要な教示をしなかったときは、処分に不服がある者は処分庁に不服申立書を提出できます(83条1項)。
5:妥当。再審査請求ができる裁決をする場合は、裁決書に再審査請求ができる旨、すべき行政庁、期間を記載して教示しなければなりません(50条3項)。
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行政事件訴訟法
問17 法定外抗告訴訟・不作為の違法確認判決の効力・法令に基づく申請・仮処分の排除・当事者訴訟の出訴期間
行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為には民事保全法の仮処分ができません(行政事件訴訟法44条)。逆に、これに当たらない行為には仮処分の余地があります。
公式正解 4
1:妥当でない。抗告訴訟は「行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟」と定義され(3条1項)、法定されたもの以外の抗告訴訟(無名抗告訴訟)も排除されていないと解されています。
2:妥当でない。不作為の違法確認の認容判決が確定すると、行政庁は申請に対して何らかの応答をしなければなりませんが、申請どおりの処分をする義務までは生じません。
3:妥当でない。不作為の違法確認の訴えは、法令に基づく申請に対する不作為を対象とし(3条5項)、その申請をした者に限り提起できます(37条)。
4:妥当。仮処分が排除されるのは「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」についてなので(44条)、これに当たらない行為には民事保全法の仮処分をする余地があります。
5:妥当でない。行政事件訴訟法は当事者訴訟の具体的な出訴期間を定めておらず、個別の法令に出訴期間の定めがある場合に、正当な理由があれば期間経過後も提起できるとしているだけです(40条1項)。
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処分性
問18 公共施設管理者の同意・用途地域の指定・土地区画整理事業計画・水道料金改定条例・保育所廃止条例
開発行為に関係がある公共施設の管理者が同意を拒む行為は、抗告訴訟の対象となる処分に当たらないとされています(最判平成7年3月23日)。
公式正解 1
1:妥当でない。判例は、公共施設の管理者が開発行為への同意を拒否しても、開発行為を行おうとする者の権利ないし法的地位が侵害されるものではないとして、処分性を否定しました(最判平成7年3月23日)。
2:妥当。用途地域の指定は、不特定多数の者に対する一般的抽象的な効果を生じさせるにすぎず、処分に当たらないとされています(最判昭和57年4月22日)。
3:妥当。土地区画整理事業計画の決定は、施行地区内の宅地所有者等の法的地位に直接的な影響を及ぼすとして処分性が認められました(最大判平成20年9月10日)。
4:妥当。水道料金を一般的に改定する条例の制定は、限られた特定の者にのみ適用されるものではなく、処分に当たらないとされています(最判平成18年7月14日)。
5:妥当。特定の保育所を廃止する条例の制定行為は、行政庁の処分と実質的に同視できるとして処分性が認められました(最判平成21年11月26日)。
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無効等確認訴訟
問19 無効原因がない場合の判決・原告適格・審査請求前置・執行停止・補充性
審査請求前置の定め(行政事件訴訟法8条1項ただし書)は取消訴訟についてのもので、無効等確認の訴えには準用されません。
公式正解 3
1:妥当でない。無効原因となる瑕疵がないときは、請求に理由がないとして棄却されます。訴えが不適法として却下されるわけではありません。
2:妥当でない。無効等確認の訴えは、処分に続く処分で損害を受けるおそれのある者など法律上の利益を有する者で、現在の法律関係に関する訴えでは目的を達成できない者に限り提起できます(36条)。原告適格の制約があります。
3:妥当。取消訴訟に審査請求前置が定められていても、無効等確認の訴えには準用されないので、裁決を経ずに提起できます。
4:妥当でない。執行停止の規定(25条〜29条)は無効等確認の訴えにも準用されます(38条3項)。
5:妥当でない。処分の無効を前提とする現在の法律関係に関する訴えで目的を達成できる場合は、無効等確認の訴えは提起できません(36条)。
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国家賠償法1条
問20 無罪判決と公訴提起・指定確認検査機関・公立学校の教育活動・過大な更正・パトカー追跡
指定確認検査機関がした建築確認は、建築主事が置かれた地方公共団体の事務とされ、その地方公共団体が国家賠償法1条1項の責任を負う立場にあります(最決平成17年6月24日)。
公式正解 2
1:妥当でない。無罪判決が確定しても、公訴提起の時点で証拠資料を総合勘案して合理的な判断過程により有罪と認められる嫌疑があれば、公訴提起は違法になりません(最判昭和53年10月20日)。
2:妥当。指定確認検査機関の確認事務は、確認権限を持つ建築主事が置かれた地方公共団体の事務であり、その地方公共団体が損害賠償責任を負うとされています(最決平成17年6月24日)。
3:妥当でない。公立学校の教職員の教育活動も、国家賠償法1条1項の「公権力の行使」に含まれます(最判昭和62年2月6日)。
4:妥当でない。所得金額を過大に認定した更正も、税務署長が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くさず漫然と更正したといえる事情がなければ、国家賠償法上違法にはなりません(最判平成5年3月11日)。
5:妥当でない。逃走車両の追跡は、職務目的の遂行に不必要であるか、追跡の開始・継続・方法が不相当である場合に限り違法となります(最判昭和61年2月27日)。
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国家賠償法2条
問21 供用関連瑕疵・違法性の総合判断・差止めと損害賠償の違法性・国営空港
営造物が第三者に危害を及ぼす供用関連瑕疵の判断は、侵害行為の態様と程度、被害の内容、公共性、被害防止措置などを総合的に考察して決めます(大阪空港訴訟・国道43号線訴訟)。
公式正解 3
妥当なのはイとウで、正解は3です。
ア:妥当でない。国道43号線訴訟(最判平成7年7月7日)は道路の供用関連瑕疵を認めましたが、道路管理者の回避可能性を瑕疵の積極的要件とはしていません。
イ:妥当。供用が第三者に対する違法な侵害となるかは、侵害行為の開始とその後の経過、被害防止措置の有無・内容・効果なども含めた諸要素を総合的に考察して決するとされています。
ウ:妥当。国道43号線訴訟は、差止請求と損害賠償請求で考慮する要素はほぼ共通するものの、施設の供用の差止めと金銭賠償では請求の内容が違うので、違法性の判断に差異が生じても不合理ではないとしました。
エ:妥当でない。大阪空港訴訟(最大判昭和56年12月16日)は、国営空港についても、利用者以外の第三者に危害を及ぼす場合を含む営造物の設置・管理の瑕疵の法理を適用しています。
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条例と罰則
問22 条例に基づく過料・条例の効力の範囲・過料の上限・規則と罰金・総務大臣との協議
条例には、2年以下の拘禁刑、100万円以下の罰金などの刑罰か、5万円以下の過料を定めることができます(地方自治法14条3項)。規則で定められるのは5万円以下の過料だけです(15条2項)。
公式正解 3
1:妥当でない。条例に基づく過料は、普通地方公共団体の長が行政処分として科します(149条3号・255条の3)。非訟事件手続法で裁判所が科すのは、国の法律に基づく過料です。
2:妥当でない。条例は地方公共団体の区域内で効力を持つ属地的なもので、区域内にいる住民以外の者も条例違反として処罰の対象になります。
3:妥当。条例で定める過料の上限は5万円とされています(14条3項)。
4:妥当でない。規則で定められる罰則は5万円以下の過料に限られ(15条2項)、罰金を定めることはできません。
5:妥当でない。条例で罰金を定める場合に、総務大臣と協議しなければならないという規定はありません。
令和8年度試験での注意 2025年6月1日の改正刑法の施行で、条例で定められる刑のうち懲役・禁錮は拘禁刑に改められました(地方自治法14条3項)。過料の上限5万円は変わらないので、この問の正誤は変わりません。
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住民監査請求と住民訴訟
問23 訴訟中の転出・財務会計行為時の住所・監査請求前置・請求権者・怠る事実と出訴期間
住民訴訟を起こせるのは自ら住民監査請求をした住民で、監査の結果や勧告に不服があるときは、その通知があった日から30日以内に提起します(地方自治法242条の2第1項・2項1号)。
公式正解 5
1:妥当でない。住民訴訟の原告は訴訟の係属中も住民であることが必要で、転出すると原告適格を失い、訴えは不適法になります。
2:妥当でない。住民訴訟を起こすのに、財務会計行為が行われた時点で住民であったことは必要ありません。監査請求と訴えの提起の時点で住民であればよいとされています。
3:妥当でない。住民訴訟を提起できるのは、自ら住民監査請求をした住民に限られます(242条の2第1項)。他の住民の監査請求を利用することはできません。
4:妥当でない。住民監査請求ができるのはその地方公共団体の住民です(242条1項)。利害関係があっても住民でない者は請求できません。
5:妥当。違法に公金の賦課・徴収を怠る事実も住民監査請求の対象で、監査結果や勧告に不服があれば、通知があった日から30日以内に住民訴訟を提起できます(242条の2第2項1号)。
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都道府県の事務
問24 条例による事務処理の特例・自治事務の定義・法定受託事務の審査請求・関与の法定主義・上乗せ条例
都道府県は条例で定めれば、知事の権限に属する事務の一部を市町村に処理させることができます(地方自治法252条の17の2第1項)。
公式正解 1
1:妥当。条例による事務処理の特例の制度です(252条の17の2第1項)。市町村が処理することとされた事務は、その市町村長が管理・執行します。
2:妥当でない。自治事務は、地方公共団体が処理する事務のうち法定受託事務以外のものをいいます(2条8項)。法律が自治事務と定めている場合に限られません。
3:妥当でない。都道府県知事の法定受託事務に係る処分の審査請求は、原則として、その事務を定める法律・政令を所管する各大臣にします(255条の2第1項1号)。すべて総務大臣にするわけではありません。
4:妥当でない。地方公共団体は、法律又はこれに基づく政令によらなければ国の関与を受けません(245条の2、関与の法定主義)。法定受託事務も同じです。
5:妥当でない。条例は法令に違反しない限りで制定できるので(14条1項)、法律が定める処分の基準に上乗せできるかは、その法律の趣旨によります。自治事務であれば当然にできるわけではありません。
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国家行政組織法
問25 国の行政機関の範囲・省・委員会・庁・分担管理・各省大臣の任命
国家行政組織法は、内閣府とデジタル庁以外の国の行政機関の組織の基準を定めます。国の行政機関は省・委員会・庁で、その設置・廃止は法律で定めます(1条・3条2項)。
公式正解 5
アは内閣府、イは委員会、ウは法律、エは分担管理、オは内閣総理大臣で、正解は5です。
ア(内閣府):国家行政組織法の対象は、内閣の統轄の下にある行政機関のうち、内閣府とデジタル庁を除いたものです(1条)。内閣府は内閣府設置法、デジタル庁はデジタル庁設置法で組織が定められています。
イ(委員会):国の行政機関は省・委員会・庁で、委員会と庁は省の外局として置かれます(3条2項・3項)。
ウ(法律):国の行政機関の設置と廃止は、別に法律で定めます(3条2項)。
エ(分担管理):各省大臣は、内閣法にいう主任の大臣として行政事務を分担管理します(5条1項)。
オ(内閣総理大臣):各省大臣は、国務大臣の中から内閣総理大臣が命じます(5条3項)。
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外国人住民
問26 事務監査請求・住民監査請求・公の施設の利用・選挙権・住民基本台帳
公の施設の利用について不当な差別的取扱いが禁じられる「住民」には、日本国籍を持たない住民も含まれます(地方自治法244条3項)。
公式正解 3
1:妥当でない。事務監査請求などの直接請求は、日本国民である住民で選挙権を持つ者に認められます(地方自治法12条2項・75条1項)。
2:妥当でない。住民監査請求は、国籍や選挙権の有無を問わず、その地方公共団体の住民であれば一人でもできます(242条1項)。
3:妥当。普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて不当な差別的取扱いをしてはならず(244条3項)、外国人住民もこの住民に含まれます。
4:妥当でない。地方公共団体の長や議員の選挙権は日本国民である住民に限られます(11条・18条)。判例も、法律で定住外国人に選挙権を与えることは憲法上禁止されていないとしつつ、現行法上は認められていないとしています(最判平成7年2月28日)。
5:妥当でない。2012年7月から、中長期在留者などの外国人住民も住民基本台帳法の対象となり、住民票が作成されています(30条の45)。
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情報公開法
問42 開示決定等の性質と理由の提示・審査請求と情報公開・個人情報保護審査会
行政文書の開示決定等は申請に対する処分なので、不開示決定には理由の提示が必要です。不開示決定への審査請求では原則として情報公開・個人情報保護審査会に諮問し、審査会は対象文書を直接見て審理できます。
公式正解 ア19・イ11・ウ6・エ3
空欄は「行政文書」「申請に対する処分」「理由」「情報公開・個人情報保護審査会」で、公式正解はア19・イ11・ウ6・エ3です。
ア(19 行政文書):行政機関情報公開法の開示請求の対象は、行政機関が保有する行政文書です(3条)。
イ(11 申請に対する処分):開示請求は法令に基づく申請で、開示決定等は行政手続法上の申請に対する処分に当たります。
ウ(6 理由):申請を拒否する処分には理由の提示が必要なので(行政手続法8条1項)、不開示決定や部分開示決定では理由を示します。判例は、審査請求の段階で当初と異なる理由を主張することも許されるとしています。
エ(3 情報公開・個人情報保護審査会):裁決をすべき行政機関の長は原則として情報公開・個人情報保護審査会に諮問し(19条1項)、審査会は諮問庁に対象文書の提示を求めることができます(情報公開・個人情報保護審査会設置法9条1項)。
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国家補償の谷間
問43 予防接種の副反応被害と損失補償・国家賠償による救済(最判昭和51年9月30日)
公務員に過失のない違法行為による被害は国家賠償の対象外で、財産権以外の被害は損失補償の対象外と考えられるため、救済の空白(国家補償の谷間)が生じます。予防接種の副反応被害がその典型です。
公式正解 ア4・イ15・ウ20・エ11
空欄は「無過失」「財産権」「勿論」「推定」で、公式正解はア4・イ15・ウ20・エ11です。
ア(4 無過失):国家賠償法1条1項は公務員の故意又は過失を要件とするので、無過失の違法行為による被害は救済されません。
イ(15 財産権):憲法29条3項は財産権の制約に対する補償の規定なので、生命・身体などの被害には直接及ばないと考えられてきました。
ウ(20 勿論):財産権より重要な生命・身体の被害は当然に29条3項の補償の対象になると考える解釈が、勿論解釈です。
エ(11 推定):最高裁昭和51年9月30日判決は、重篤な副反応が生じた場合、担当医師が予見しえたのに過誤により予見しなかったものと推定し、実質的に国側に無過失の立証責任を負わせました。
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行政事件訴訟法
問44 違反建築物の是正命令を求める非申請型義務付け訴訟
建築基準法9条の是正命令は隣人が申請できる仕組みになっていないので、是正命令を求めるには非申請型の義務付け訴訟を使います。重大な損害を生ずるおそれと、他に適当な方法がないことが訴訟要件です(行政事件訴訟法37条の2第1項)。
公式正解例あり
公式正解例は「B市を被告として重大な損害が生じるおそれがあると主張し、是正命令の義務付け訴訟を提起する。」です。
被告:是正命令をすべき行政庁はB市長ですが、抗告訴訟は行政庁の所属する公共団体を被告とするので、B市を被告とします(行政事件訴訟法38条1項・11条1項)。
訴訟要件:Xらの申入れは法令に基づく申請ではないので、非申請型の義務付け訴訟になります。一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、その損害を避けるため他に適当な方法がないことが必要です(37条の2第1項)。
原告適格:処分の相手方以外の者でも、義務付けを求めるにつき法律上の利益を有する者は提起できます(37条の2第3項・4項)。建物の倒壊や延焼で生命・身体や財産に被害を受けるおそれのある隣地の居住者は、これに当たると考えられます。
書き方:40字程度で、「B市を被告として」「重大な損害を生ずるおそれ」「是正命令の義務付け訴訟を提起する」の3点を入れます。
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民法の解答・解説(11問)
代理、物権、債権、家族法を、当事者関係と時間の順序から解きほぐします。原則と例外、対抗要件、第三者保護を一つのルールとして扱うと誤ります。
通謀虚偽表示
問27 仮装譲渡地上の建物の賃借人・悪意者からの転得者・抵当権者・差押債権者・債権の譲受人
民法94条2項の第三者は、虚偽表示の当事者以外の者で、その表示の目的について法律上の利害関係を持つに至った者をいいます。仮装譲渡された土地の上の建物を借りた者は、これに当たりません。
公式正解 1
1:妥当でない。仮装譲受人が土地上に建てた建物の賃借人は、土地そのものについて法律上の利害関係を持つ第三者に当たらないとされています(最判昭和57年6月8日)。Aは虚偽表示の無効をCに対抗できます。
2:妥当。悪意の第三者からさらに譲り受けた善意の転得者も94条2項の第三者に当たり、Aは無効を対抗できません(最判昭和45年7月24日)。
3:妥当。仮装譲受人から抵当権の設定を受けた善意の債権者は、94条2項の第三者に当たります。
4:妥当。仮装譲受人の債権者で、目的物を差し押さえた善意の者も94条2項の第三者に当たります(最判昭和48年6月28日)。
5:妥当。仮装譲渡された債権を譲り受けた善意の者は94条2項の第三者に当たり、Aは無効を対抗できません。
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占有権
問28 即時取得の推定・所有の意思の推定と他主占有事情・善意占有者の果実取得・占有回収の訴え・指図による占有移転
占有者は所有の意思をもって占有するものと推定されますが(民法186条1項)、相手方は他主占有権原か他主占有事情のどちらかを証明すれば、この推定を覆せます(最判昭和58年3月24日)。
公式正解 2
1:妥当。即時取得の要件のうち、平穏・公然・善意は186条1項で推定され、無過失も188条により推定されます(最判昭和41年6月9日)。
2:妥当でない。所有の意思の推定は、他主占有権原の証明だけでなく、他主占有事情の証明によっても覆ります。他主占有事情が証明されれば、Bの所有の意思は認められません。
3:妥当。善意の占有者は占有物から生じる果実を取得できます(189条1項)。本権の訴えで敗訴したときは、訴えの提起の時から悪意の占有者とみなされます(同条2項)。
4:妥当。占有回収の訴えは、他人のために占有する受寄者などの占有者も提起できます(197条・200条1項)。
5:妥当。代理人によって占有する場合に、本人がその代理人に以後第三者のために占有するよう命じ、第三者が承諾したときは、第三者が占有権を取得します(184条、指図による占有移転)。
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根抵当権
問29 元本確定請求・被担保債権の範囲の変更・極度額の減額請求・優先弁済の範囲・確定前の債権譲渡
根抵当権者は、確定した元本と利息・損害金の全部について、極度額を限度として優先弁済を受けます(民法398条の3第1項)。最後の2年分という制限はない一方、極度額を超えることもできません。
公式正解 4
明らかに誤っているのは4です。
1:正しい。元本確定期日の定めがなければ、設定者Aは設定から3年経過後に確定を請求でき(398条の19第1項)、根抵当権者Bはいつでも確定を請求できます(同条2項)。
2:正しい。元本確定前の被担保債権の範囲の変更には後順位抵当権者Cの承諾は不要ですが(398条の4第2項)、確定前に登記しないと変更しなかったものとみなされます(同条3項)。
3:正しい。元本確定後、設定者は、極度額を現に存する債務の額と以後2年間に生ずべき利息・損害金を加えた額まで減額するよう請求できます(398条の21第1項)。
4:誤り。根抵当権の優先弁済は極度額が限度です(398条の3第1項)。確定した元本が極度額に満たなくても、利息・損害金を加えて極度額を超える部分まで優先弁済を受けることはできません。
5:正しい。元本確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使できません(398条の7第1項)。
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債務不履行と危険負担
問30 不確定期限と履行遅滞・原始的不能・履行補助者の過失・危険負担・受領遅滞後の滅失
債権者が受領を拒んだ後に当事者双方の責めに帰することができない事由で履行不能になったときは、債権者の責めに帰すべき事由によるものとみなされます(民法413条の2第2項)。
公式正解 5
1:誤り。不確定期限のある債務は、期限到来後に履行の請求を受けた時か期限の到来を知った時のいずれか早い時から遅滞になります(412条2項)。Cの死亡後にBから請求があれば、Aがその死亡を知らなくても遅滞の責任が生じます。
2:誤り。契約成立時に履行が不能であっても、それを理由に損害賠償の請求は妨げられません(412条の2第2項)。原始的不能だから当然に責任を負わないわけではありません。
3:誤り。改正民法では、債務者の帰責事由は契約と取引上の社会通念に照らして判断されます(415条1項ただし書)。履行補助者に過失があれば当然にAが責任を負う、という扱いではありません。
4:誤り。双方の責めに帰することができない事由で引渡しが不能になったときは、買主Bは代金の支払を拒むことができます(536条1項)。契約を解除することもできます(542条1項1号)。
5:正しい。Bの受領拒絶後に双方の責めに帰することができない事由で甲が滅失したときは、Bの責めに帰すべき事由によるものとみなされます(413条の2第2項)。Bは解除できず(543条)、代金の支払も拒めません(536条2項・567条2項)。
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契約の解除
問31 履行拒絶・不可抗力による滅失・賃貸借の無催告解除・他人物売買の使用利益・軽微な不履行
催告による解除は、催告期間を経過した時の不履行が契約と取引上の社会通念に照らして軽微であるときはできません(民法541条ただし書)。
公式正解 5
1:妥当でない。債務者が債務全部の履行を拒絶する意思を明確に示したときは、催告をせずに直ちに解除できます(542条1項2号)。
2:妥当でない。改正民法では、解除に債務者の帰責事由は要りません。目的物が不可抗力で滅失して履行不能になれば、買主は無催告で解除できます(542条1項1号)。
3:妥当でない。判例は、賃借人の用法違反などが著しい背信行為に当たり契約関係の継続を著しく困難にするときは、催告をせずに解除できるとしています(最判昭和27年4月25日)。
4:妥当でない。判例は、他人物売買が解除された場合でも、買主は売主に対して目的物の使用利益を返還する義務を負うとしています(最判昭和51年2月13日)。
5:妥当。代金の一部不払いで催告をしても、期間経過時の不足額が軽微であれば、売主の解除が制限されることがあります(541条ただし書)。
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賃貸人の地位の移転
問32 合意による移転・対抗要件・地位の留保・賃借権の譲渡と転貸・敷金の承継
不動産の譲渡に伴って賃貸人の地位が移転しても、賃借権の譲渡や転貸に賃貸人の承諾が必要なことは変わりません(民法612条1項)。
公式正解 4
1:正しい。不動産の譲渡人と譲受人の合意で、賃借人の承諾なしに賃貸人の地位を譲受人に移転できます(605条の3)。
2:正しい。賃貸人の地位の移転は、賃貸物である不動産の所有権移転登記をしなければ賃借人に対抗できません(605条の2第3項)。
3:正しい。譲渡人と譲受人が賃貸人の地位を譲渡人に留保し、譲受人が譲渡人に賃貸する合意をしたときは、賃貸人の地位は譲受人に移転しません(605条の2第2項)。
4:誤り。賃借権の譲渡も賃借物の転貸も、賃貸人の承諾がなければできません(612条1項)。新賃貸人Cの承諾は転貸にも必要です。
5:正しい。賃貸人の地位が移転したときは、敷金の返還債務は譲受人Cに承継されます(605条の2第4項)。
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法定利率
問33 利息の利率の基準時・法定利率の変動と既存の債権・遅延損害金・不法行為・中間利息控除
法定利率は3年ごとに見直される変動制ですが、ある債権に適用される利率は、利息が生じた最初の時点の法定利率で固定され、その後の変動の影響を受けません(民法404条1項)。
公式正解 2
1:妥当。利率の定めがないときは、利息が生じた最初の時点の法定利率によります(404条1項)。消費貸借では借主が金銭を受け取った日から利息が生じるので(589条2項)、その日の法定利率が適用されます。
2:妥当でない。法定利率が後に変動しても、すでに適用された利率は変わりません。最初の時点の法定利率で固定されます。
3:妥当。遅延損害金は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点の法定利率で定め、約定利率が法定利率を超えるときだけ約定利率によります(419条1項)。
4:妥当。不法行為による損害賠償債務は不法行為の時から遅滞になるので、遅延損害金は不法行為時の法定利率で計算します(419条1項)。
5:妥当。将来の逸失利益から中間利息を控除するときは、損害賠償請求権が生じた時点の法定利率を用います(417条の2第1項、722条1項)。
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不法行為
問34 未成年者の責任能力・一時的な責任無能力・野生動物からの避難・暴漢からの避難・正当防衛と賠償請求
他人の不法行為に対し、自己や第三者の権利を守るためやむを得ず加害行為をした者は賠償責任を負いません(民法720条1項、正当防衛)。被害者は、不法行為をした者に賠償を請求できます。
公式正解 5
1:妥当でない。未成年者が責任を負うのは、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能があるときです(712条)。道徳上の善悪を判断できる能力では足りません。
2:妥当でない。精神上の障害で責任弁識能力を欠く状態にあった者も、故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは責任を負います(713条ただし書)。
3:妥当でない。正当防衛は他人の不法行為に対するもので、野生の熊の襲撃は不法行為ではありません。熊は他人の物でもないので、物から生じた危難についての緊急避難(720条2項)にも当たりません。
4:妥当でない。民法の緊急避難は、他人の物から生じた急迫の危難を避けるためにその物を損傷する場合です(720条2項)。暴漢という他人の不法行為から逃れるために第三者の窓を割る場合は、正当防衛(同条1項)の問題です。
5:妥当。暴漢から逃れるため窓を割った者は正当防衛として責任を負いませんが、窓の所有者は、不法行為をした暴漢に損害賠償を請求できます(720条1項ただし書)。
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相続
問35 祭祀財産・慰謝料請求権の相続・預貯金債権・遺産分割前の処分・遺産分割の時期
系譜・祭具・墳墓は相続財産とは別に扱われ、被相続人の指定がなければ慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継します(民法897条1項)。
公式正解 1
1:妥当。祭祀財産は、被相続人の指定した者がいればその者が、いなければ慣習に従って祭祀を主宰すべき者が承継します(897条1項)。
2:妥当でない。判例は、不法行為による慰謝料請求権も、被害者が請求の意思を表明しなくても当然に相続されるとしています(最大判昭和42年11月1日)。
3:妥当でない。預貯金債権は相続開始と同時に当然に分割されるものではなく、遺産分割の対象になります(最大決平成28年12月19日)。
4:妥当でない。遺産分割前に処分された財産も、共同相続人全員の同意(処分した相続人の同意は不要)があれば、遺産分割時に遺産として存在するものとみなせます(906条の2)。
5:妥当でない。共同相続人は、遺言で禁じられた場合などを除き、いつでも協議で遺産を分割できます(907条1項)。相続開始後3か月の経過は要件ではありません。
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無権代理と相続
問45 本人が無権代理人を相続した場合の追認拒絶
本人が無権代理人を相続した場合、本人は本人の資格で追認を拒絶しても信義則に反しないので、無権代理行為は当然には有効になりません(最判昭和37年4月20日)。
公式正解例あり
公式正解例は「無権代理人を相続した本人が無権代理行為の追認を拒絶しても信義に反しないため、認められる。」です。
考え方:無権代理人が本人を相続した場合と違い、本人が無権代理人を相続した場合は、本人はもともと追認を拒絶できる立場にあったので、相続後に拒絶しても信義則に反しないとされています(最判昭和37年4月20日)。
当てはめ:Aは本人の資格で追認を拒絶でき、売主として本件売買契約を履行するよう求めるCの請求を拒めます。
補足:Aは無権代理人Bの責任(民法117条)も相続します。Cが117条の要件を満たすときは、Aは相続人として損害賠償などの責任を免れないとされています(最判昭和48年7月3日)。
書き方:40字程度で、「本人が無権代理人を相続」「追認を拒絶しても信義に反しない」「認められる」の3点を入れます。
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賃借権と妨害排除
問46 引渡し前で対抗要件のない土地賃借人による妨害排除(債権者代位)
対抗要件を備えていない賃借人は賃借権に基づく妨害排除請求(民法605条の4)ができず、引渡し前で占有もないので占有訴権も使えません。そこで、賃貸人Bの所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使します。
公式正解例あり
公式正解例は「Aは、Cに対し、Bの所有権に基づく妨害排除請求権を代位して、塀の撤去及び損害賠償を請求することができる。」です(損害賠償を含めない例も示されています)。
使えない手段:不動産賃借人が占有を妨害する第三者に妨害の停止を請求できるのは、賃借権の登記など対抗要件を備えた場合です(605条の4)。甲土地の賃借権は未登記で、引渡し前なので借地上の建物の登記もなく、占有もしていません。
代位行使:賃借人Aは、賃貸人Bに対して甲土地を使用収益させるよう求める権利を持っています。この権利を保全するため、Bが行使しないBの所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使できます(423条、判例)。
内容:Cに対して塀の撤去を求めます。工事の開始が妨げられたことによる損害について、賃借権の侵害を理由に損害賠償を請求することも考えられます。
書き方:40字程度で、「Bの所有権に基づく妨害排除請求権」「代位して」「塀の撤去を請求」の3点を入れます。
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商法・会社法の解答・解説(5問)
交互計算、会社設立、株主総会、監査役、株券制度の機関と手続を確認します。株主総会・取締役会・監査役会の権限主体を入れ替えた肢に注意が必要です。
営業譲渡
問36 商号の譲渡・商号続用者の責任と免責の通知・譲受人への弁済・債務引受けの広告・詐害営業譲渡
譲渡人が残存債権者を害することを知って営業を譲渡したときは、残存債権者は譲受人に対して、承継した財産の価額を限度として債務の履行を請求できます(商法18条の2第1項)。
公式正解 5
1:誤り。商号の譲渡は登記をしなければ第三者に対抗できないだけで(商法15条2項)、登記が効力発生の要件ではありません。
2:誤り。商号を続用する譲受人が責任を免れるのは、遅滞なく責任を負わない旨を登記した場合か、譲受人と譲渡人の双方から第三者に通知した場合です(17条2項)。乙だけの通知では足りません。
3:誤り。譲受人にした弁済が有効になるのは、弁済者が善意で、かつ重大な過失がないときです(17条4項)。過失の有無を問わないわけではありません。
4:誤り。商号を続用しない譲受人が債務引受けの広告をしたときは、譲受人も弁済の責任を負います(18条1項)。譲渡人の責任は、広告の日から2年以内に請求などをしない債権者に対して消滅するだけで(同条2項)、直ちに消えるわけではありません。
5:正しい。甲と乙が残存債権者を害することを知って営業を譲渡した場合、丙は乙に対し、承継した財産の価額を限度として履行を請求できます(18条の2第1項)。
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設立と発行可能株式総数
問37 発起設立と募集設立での定め方・変更の要件・4分の1の制限
発起設立では発起人全員の同意で、募集設立では創立総会の決議で、発行可能株式総数を定めたり変更したりします(会社法37条・96条・98条)。
公式正解 3
誤っているのはイとウで、正解は3です。
ア:正しい。発起設立で発行可能株式総数を定款に定めていないときは、発起人全員の同意で定款を変更して定めを設けなければなりません(37条1項)。
イ:誤り。定款に定めがある場合に発起設立で発行可能株式総数を変更するにも、発起人全員の同意が必要です(37条2項)。過半数では足りません。
ウ:誤り。募集設立で定款に定めがないときは、創立総会の決議によって定めを設けます(98条)。発起人全員の同意によるのではありません。
エ:正しい。募集設立では創立総会の決議で定款を変更できるので(96条)、発行可能株式総数も変更できます。
オ:正しい。設立時発行株式の総数は、公開会社でない場合を除き、発行可能株式総数の4分の1を下ることができません(37条3項)。
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特別支配株主の株式売渡請求
問38 請求の相手方・対象会社の承認・取得の時期・差止請求・無効の訴え
特別支配株主が株式売渡請求をするには、対象会社に通知して承認を受けます。承認は取締役会設置会社では取締役会の決議で行い、株主総会の承認は要りません(会社法179条の3)。
公式正解 2
1:正しい。総株主の議決権の10分の9以上を持つ特別支配株主は、対象会社の他の株主全員に、その株式の全部を売り渡すよう請求できます(179条1項)。
2:誤り。特別支配株主は対象会社に所定の事項を通知して承認を受けなければなりませんが、承認するのは取締役(取締役会設置会社では取締役会)で、株主総会ではありません(179条の3)。
3:正しい。特別支配株主は、取得日に売渡株式の全部を取得します(179条の9第1項)。
4:正しい。株式売渡請求が法令に違反し、売渡株主が不利益を受けるおそれがあるときは、売渡株主は取得をやめるよう請求できます(179条の7第1項)。
5:正しい。売渡株式の取得の無効は、取得日から6か月以内(公開会社でない場合は1年以内)に、訴えをもってのみ主張できます(846条の2第1項)。
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株主総会
問39 招集請求・議題の提案・議案の提出・総会検査役・取締役等の説明義務
株主総会の招集手続や決議の方法を調査させる検査役の選任は、総株主の議決権の100分の1以上を持つ株主が裁判所に申し立てます(会社法306条1項)。
公式正解 4
1:正しい。総株主の議決権の100分の3以上を6か月前から引き続き持つ株主は、取締役に対し、目的事項と招集の理由を示して招集を請求できます(297条1項)。
2:正しい。取締役会設置会社では、総株主の議決権の100分の1以上又は300個以上を6か月前から持つ株主が、総会の8週間前までに議題の提案を請求できます(303条2項)。
3:正しい。株主は総会で議案を提出できます。ただし、法令・定款に違反する議案と、実質的に同じ議案が10分の1以上の賛成を得られずに否決されてから3年を経過していないものは提出できません(304条)。
4:誤り。総会検査役の選任の申立ては、取締役ではなく裁判所に対して行います(306条1項)。公開会社では6か月前からの保有が要件です(同条2項)。
5:正しい。取締役・会計参与・監査役・執行役は株主から求められた事項について説明義務を負いますが、目的事項に関しない場合や株主共同の利益を著しく害する場合などは説明を拒めます(314条)。
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会計参与
問40 大会社と会計参与・会計監査人との関係・選任・資格・取締役会への出席
会計参与はどの株式会社でも定款で任意に置ける機関で、株主総会で選任され、公認会計士・監査法人・税理士・税理士法人でなければなりません(会社法326条2項・329条1項・333条1項)。
公式正解 4
正しいのはウとエで、正解は4です。
ア:誤り。会計参与は任意設置の機関で(326条2項)、公開会社である大会社も置くことができます。
イ:誤り。公開会社でない大会社は会計監査人を置かなければならず(328条2項)、会計参与で代えることはできません。
ウ:正しい。会計参与は役員として、株主総会の決議で選任します(329条1項)。
エ:正しい。会計参与は、公認会計士・監査法人又は税理士・税理士法人でなければなりません(333条1項)。
オ:誤り。会計参与が出席しなければならないのは、計算書類などを承認する取締役会です(376条1項)。すべての取締役会に出席する義務はありません。
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基礎知識の解答・解説(11問)
政治・経済・社会、情報通信、個人情報保護を制度の目的と最新用語から判断します。印象で選ばず、制度主体、年代、定義を一つずつ照合することが得点につながります。
ロシア・旧ソ連の外交
問47 クリミア戦争・ロシア革命・独ソ不可侵条約・キューバ危機・マルタ会談
1989年12月、地中海のマルタ島でブッシュ米大統領とゴルバチョフ・ソ連最高指導者が会談し、東西冷戦の終結を宣言しました。
公式正解 5
1:妥当でない。1853年にロシアがオスマン帝国と始めたのはクリミア戦争で、イギリス・フランスがオスマン帝国側に参戦しました。
2:妥当でない。1917年にロシアで起きたのはロシア革命(二月革命・十月革命)で、名誉革命は1688年のイギリスの革命です。「平和に関する布告」は無併合・無賠償・民族自決による講和を呼びかけました。
3:妥当でない。ソ連が独ソ不可侵条約を結んでポーランドに侵攻したのは1939年ですが、日ソ中立条約は1941年の締結です。スウェーデンは占領されていません。
4:妥当でない。1962年のキューバ危機では、アメリカは海上封鎖で対抗し、ソ連がミサイルの撤去に応じたため戦争にはなりませんでした。
5:妥当。1980年代前半の新冷戦の後、ゴルバチョフは新思考外交を進め、1989年のマルタ会談で米ソ首脳が冷戦の終結を宣言しました。
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ヨーロッパの国際組織
問48 EFTAとEEC・EU・欧州評議会・西欧同盟・欧州経済領域
欧州評議会(Council of Europe)は1949年に設立された人権・民主主義・法の支配のための国際機関で、EUの機関とは別の組織です。
公式正解 5
妥当なのはウとオで、正解は5です。
ア:妥当でない。1960年にイギリスが中心となって設立したのは欧州自由貿易連合(EFTA)です。欧州経済共同体(EEC)は1958年に発足しました。
イ:妥当でない。欧州連合(EU)は、1993年のマーストリヒト条約の発効で発足した地域統合の組織で、国際連合の下部組織ではありません。
ウ:妥当。欧州評議会は、人権保障、民主主義、法の支配の実現を目的とする国際機関で、欧州人権条約を採択しました。
エ:妥当でない。西欧同盟(WEU)は1948年のブリュッセル条約に基づく西欧諸国の集団防衛の枠組みで、アメリカは参加していません。アメリカと欧州の集団防衛は北大西洋条約機構(NATO)です。
オ:妥当。欧州経済領域(EEA)は、EFTA加盟国(スイスを除く)がEUに加盟しないまま単一市場に参加するための枠組みです。
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軍縮
問49 非武装・非核の憲法・対人地雷禁止条約・核拡散防止条約・ノーベル平和賞・INF全廃条約
核拡散防止条約(NPT)は、アメリカ・ロシア・イギリス・フランス・中国の5か国を核兵器国として保有を認め、それ以外の国の保有を禁じています。
公式正解 4
妥当でないのはウとエで、正解は4です。
ア:妥当。コスタリカは常備軍の廃止を憲法に定め、フィリピンは1987年憲法で非核政策を定めています。
イ:妥当。対人地雷禁止条約(オタワ条約)は、対人地雷の使用、開発、生産、貯蔵、移譲を全面的に禁止しています。
ウ:妥当でない。NPTは5か国を核兵器国として保有を認めており、すべての国の保有を禁止してはいません。5か国もNPTを批准しています。
エ:妥当でない。佐藤栄作がノーベル平和賞を受賞したのは1974年で、非核三原則の表明などが評価されました。2004年ではありません。
オ:妥当。INF全廃条約は1987年に米ソ間で結ばれ、アメリカの離脱表明を受けて2019年に失効しました。
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郵便局
問50 郵便局とコンビニの数・信書便事業者・物販・保険の取扱い・ATMの硬貨手数料
郵便局は全国に約2万4千か所あり、民営化後は物販や他社の保険商品の取扱いなど業務を広げています。
公式正解 1
妥当でないのはアとウで、正解は1です。
ア:妥当でない。郵便局は約2万4千か所ですが、全国のコンビニエンスストアは5万店を超えており、郵便局の方が少ないです。
イ:妥当。信書の全国一般の送達を行う一般信書便事業の許可を受けた民間事業者はなく、民間の参入は特定信書便事業にとどまっています。
ウ:妥当でない。郵便局では、地域の特産品などの物販も行われています。
エ:妥当。郵便局では、かんぽ生命の保険のほか、提携する民間保険会社のがん保険なども取り扱っています。
オ:妥当。ゆうちょ銀行のATMでは、2022年1月から硬貨を伴う預入れ・払戻しに硬貨預払料金がかかります。
令和8年度試験での注意 郵便局やコンビニの店舗数、手数料の額は年ごとに変わります。令和8年度試験で問われたときは、最新の公表値で確かめます。
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GDPの国際比較
問51 名目GDPの上位6か国と1人当たりGDP(2022年4月のIMF推計)
2022年4月のIMF推計では、名目GDPの上位6か国はアメリカ、中国、日本、ドイツ、インド、イギリスの順でした。人口の多い中国とインドは、1人当たりGDPでは下位になります。
公式正解 3
アメリカ・中国・日本・ドイツ・インド・イギリスの順で、正解は3です。
上位3か国:アメリカが1位、中国が2位、日本が3位でした。
4〜6位:ドイツ、インド、イギリスの順で、インドはこの時点でイギリスを上回っていました。
1人当たりGDP:問題文のとおり、1人当たりで並べ直すと中国とインドが最下位の2か国になり、人口規模の違いが表れます。
消去法:1位をアメリカ、2位を中国、3位を日本とする組合せは3だけです。
令和8年度試験での注意 2023年の実績でドイツが日本を上回るなど、上位国の順位は入れ替わっています。令和8年度試験で問われたときは、最新のIMFの統計で確かめます。
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森林・林業
問52 森林率・国有林の割合・木材価格・森林環境税・木材自給率
日本の森林率は約3分の2で、中国(約2割)より高い水準です。森林環境税は国税として創設され、2024年度から課税が始まりました。
公式正解 2
妥当なのはアとエで、正解は2です。
ア:妥当。日本の森林率は約67%で、約23%の中国より高くなっています。
イ:妥当でない。国有林は森林面積の約3割で、残りの約7割が民有林です。
ウ:妥当でない。木材価格は長く低迷しており、21世紀に入ってから上昇が続いたわけではありません。2021年には輸入材の不足で一時的に急騰しました(ウッドショック)。
エ:妥当。森林整備の財源として森林環境税(国税)が創設され、2024年度から個人住民税と併せて1人年額1,000円が課されています。
オ:妥当でない。木材自給率は2002年の約19%を底に上昇傾向にあり、近年は4割程度まで回復しています。
令和8年度試験での注意 森林環境税は2024年度から課税されています。木材自給率や価格は年ごとに変わるので、令和8年度試験では最新の森林・林業白書で確かめます。
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アメリカの平等と差別
問53 ワシントン大行進・女性大統領・ミネアポリス事件・反リンチ法・初の黒人女性最高裁判事
2016年の大統領選挙でヒラリー・クリントンは敗れ、2017年に就任したのはドナルド・トランプです。女性のアメリカ大統領はまだ誕生していません。
公式正解 2
1:妥当。キング牧師は1963年のワシントン大行進を指導し、「私には夢がある」の演説を行いました。
2:妥当でない。ヒラリー・クリントンは2016年の大統領選挙で敗れ、大統領には就任していません。
3:妥当。2020年にミネアポリスで黒人男性ジョージ・フロイドが警察官に殺害され、人種差別への抗議運動が全米に広がりました。
4:妥当。リンチを連邦法上の憎悪犯罪とするエメット・ティル反リンチ法が2022年に成立しました。
5:妥当。2022年にケタンジ・ブラウン・ジャクソンが黒人女性として初めて連邦最高裁判所判事に就任しました。
令和8年度試験での注意 2026年4月1日の時点でも女性のアメリカ大統領は誕生しておらず、この問の正誤は変わりません。
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地球環境問題
問54 ラムサール条約・国連環境計画・気候変動枠組条約・京都議定書・パリ協定
1972年の国連人間環境会議を受けて国連環境計画(UNEP)が設立され、1992年の地球サミットでは気候変動枠組条約が採択されました。その締約国会議で、1997年に京都議定書、2015年にパリ協定が採択されています。
公式正解 4
アはラムサール条約、イは国連環境計画、ウは気候変動枠組条約、エは京都議定書、オはパリ協定で、正解は4です。
ア(ラムサール条約):1971年に、水鳥の生息地として国際的に重要な湿地を保全するための条約がイランのラムサールで採択されました。
イ(国連環境計画):1972年の国連人間環境会議(ストックホルム)を受けて、環境問題に取り組む国連の機関としてUNEPが設立されました。
ウ(気候変動枠組条約):1992年の地球サミットで、生物多様性条約とともに採択されました。
エ・オ:1997年のCOP3で京都議定書が、2015年のCOP21でパリ協定が採択されました。
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人工知能
問55 音声認識・画像認識・ビッグデータ・ディープラーニング・帰納的推論
ディープラーニングは、コンピュータが大量のデータから特徴やルールを自ら見つけ出す機械学習の手法で、個別の事例から一般的な法則を導く帰納的推論に近い働きをします。
公式正解 1
Ⅰはア(音声認識)、Ⅱはウ(画像認識)、Ⅲはオ(ビッグデータ)、Ⅳはキ(ディープラーニング)、Ⅴはケ(帰納的推論)で、正解は1です。
Ⅰ(音声認識):文字起こしサービスは、話し言葉をテキストに変える音声認識技術の応用です。
Ⅱ(画像認識):顔認証などの生体認証は、画像認識技術の応用です。声紋鑑定やDNA鑑定は、AIの代表的な機能の例として当てはまりません。
Ⅲ(ビッグデータ):AIの発展の背景には、予測に使う大量のデータ(ビッグデータ)が集められるようになったことがあります。
Ⅳ・Ⅴ(ディープラーニング・帰納的推論):コンピュータ自身がデータから特徴を発見する技術がディープラーニングで、個別のデータから一般的なルールを導く点で帰納的推論に当たります。
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情報通信の用語
問56 オプトイン・プラットフォーム事業者・デジタルトランスフォーメーション・テレワーク・ベース・レジストリ
ベース・レジストリは、公的機関が登録・公開し、さまざまな場面で参照される人・法人・土地・建物などの基本データを指します。ブラウザのお気に入り登録のことではありません。
公式正解 1
妥当なのはアとイで、正解は1です。
ア:妥当。本人の情報を利用する前に本人の同意を得る仕組みをオプトインといいます。
イ:妥当。インターネット上で情報発信やサービス提供の基盤(場)を提供する事業者をプラットフォーム事業者といいます。
ウ:妥当でない。デジタルトランスフォーメーション(DX)は、デジタル技術で業務や社会の仕組みを変革することで、政治体制の専制主義化とは関係ありません。
エ:妥当でない。テレワークは、情報通信技術を活用して場所や時間にとらわれずに働く働き方のことです。テレビ電話の情報システムそのものを指す言葉ではありません。
オ:妥当でない。ベース・レジストリは公的な基本データの台帳のことで、利用者が好みのウェブページをブラウザに登録すること(ブックマーク)ではありません。
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個人情報保護制度
問57 制度整備の順序・委員会と地方公共団体・個人番号カード・意見具申・認定個人情報保護団体
認定個人情報保護団体に関することは、個人情報保護委員会の所掌事務です。個人情報保護の制度は、国より先に一部の地方公共団体が条例で整備しました。
公式正解 5
1:誤り。個人情報保護も情報公開と同じく、一部の地方公共団体が条例で先に制度を整え、国の法律(1988年の行政機関個人情報保護法など)は後から整備されました。
2:誤り。個人情報保護委員会が地方公共団体に是正命令を発出しなければならないという規定はありません。委員会が地方公共団体に対して行えるのは、資料の提出要求や実地調査、指導・助言、勧告などです。
3:誤り。個人番号カードは、番号利用法(マイナンバー法)に基づき市町村長が交付します。個人情報保護法に基づいて都道府県が交付しているのではありません。
4:誤り。地方公共団体を指揮監督するよう内閣総理大臣に求める意見具申の権限は、個人情報保護法に定められていません。
5:正しい。認定個人情報保護団体に関することは、個人情報保護委員会の所掌事務です(現行法132条3号)。
令和8年度試験での注意 2023年4月から個人情報保護法が地方公共団体にも直接適用され、地方公共団体ごとの条例による規律は原則としてなくなりました。認定個人情報保護団体に関する事務を委員会がつかさどる点(5)は変わりません。
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