憲法の解答・解説(5問)
人権、統治、国会、内閣、法令形式を最高裁判例と憲法条文から整理します。判例の判断を一般化し過ぎず、事案と審査基準を対応させる必要があります。
在監者の人権
問3 未決拘禁者の新聞閲読の制限(よど号ハイジャック記事抹消事件)
最高裁は、未決勾留による拘禁の目的(逃亡・罪証隠滅の防止)と、施設内の規律・秩序の維持という二つの観点から、閲読の自由の制限が許される範囲を示しました。制限には、障害が生じる相当の蓋然性と、必要かつ合理的な範囲という二つの要件が求められます。
公式正解 1
アは「居住」、イは「身体」、ウは「合理」、エは「隔離」、オは「蓋然」で、正解は1です。
ア(居住):未決勾留は、被疑者・被告人の居住を刑事施設内に限定するものです。
イ(身体):勾留された者は、その限度で身体的行動の自由を制限されます。
ウ(合理):逃亡や罪証隠滅の防止の目的のために、必要かつ合理的な範囲で他の行為の自由も制限されます。閲読制限の程度も、障害の防止に必要かつ合理的な範囲にとどめなければなりません。
エ(隔離):刑事施設は、多数の被拘禁者を外部から隔離して収容する施設です。
オ(蓋然):閲読を許すと、規律と秩序の維持に放置できない程度の障害が生じる相当の蓋然性があると認められることが必要です(最大判昭和58年6月22日)。
令和8年度試験での注意 判決の「監獄」は、2007年に施行された刑事収容施設法で刑事施設・留置施設などに改められました。判決の考え方は現在も引用され、この問の正解は変わりません。
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表現の自由
問4 内容規制・内容中立規制・事前抑制・明確性の理論
表現の自由の規制は、内容規制と内容中立規制に分けて審査の厳しさを考えます。事前抑制は原則として許されず、漠然不明確・過度に広汎な法文については、限定解釈によって合憲とした判例がある点が問われています。
公式正解 5
妥当でないのは5です。
肢1:妥当。内容規制は、表現が伝えるメッセージを理由とする規制で、煽動文書や国家機密の公表の禁止がその例です。
肢2:妥当。営利的表現や憎悪表現など、価値が低いとされる表現については、通常の内容規制より緩やかな審査で規制が許される場合があると説かれています。
肢3:妥当。内容中立規制は、表現の時・場所・方法に着目する規制で、騒音の制限や選挙運動の制限がその例です。
肢4:妥当。検閲は絶対的に禁止されます(税関検査事件、最大判昭和59年12月12日)。一方、裁判所による事前差止めは、厳格かつ明確な要件の下で許される場合があります(北方ジャーナル事件、最大判昭和61年6月11日)。
肢5:妥当でない。判例は、文言が広すぎる刑罰法規でも、規制の対象を限定して解釈することで合憲としています(徳島市公安条例事件、最大判昭和50年9月10日。広島市暴走族追放条例事件、最判平成19年9月18日)。
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衆議院の解散
問6 解散の運用・統治行為論・違憲状態での解散・天皇の国事行為
衆議院の解散は、憲法7条の天皇の国事行為(内閣の助言と承認)を根拠に、内閣が実質的な解散権をもつと運用されています。解散の司法審査(苫米地事件)や、国事行為の形式性をめぐる学説の論理を確かめる問題です。
公式正解 5
肢1:妥当でない。実際の運用では解散による総選挙がほとんどで、任期満了による総選挙は1976年の1回だけです。
肢2:妥当でない。苫米地事件(最大判昭和35年6月8日)は、衆議院の解散は極めて政治性の高い国家統治の基本に関する行為で、司法審査の権限の外にあるとしました。「一見極めて明白に違憲無効」の例外を付けたのは、条約の合憲性を扱った砂川事件の判断です。
肢3:妥当でない。最高裁が投票価値の不均衡を違憲状態と判断した後、是正が完了しないまま衆議院が解散された例はあります。
肢4:妥当でない。天皇の国事行為には常に内閣の助言と承認が必要で(憲法3条・7条)、総選挙の施行の公示も例外ではありません。
肢5:妥当。国事行為が形式的儀礼的なものにすぎないなら、助言と承認の権能から当然に内閣の実質的解散権を導くことはできない、という7条説への批判の論理です。
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違憲主張の適格
問7 第三者所有物没収事件の法廷意見(最大判昭和37年11月28日)
所有者である第三者に告知・弁解・防御の機会を与えないまま、その物を没収することは、適正手続(憲法31条・29条)に反するとされました。被告人がこの違憲を理由に上告できるかが争点で、法廷意見はこれを肯定しています。
公式正解 4
法廷意見の見解はア・イ・ウで、正解は4です。
ア:正しい。第三者の所有物の没収には、その第三者にも告知、弁解、防御の機会を与えることが必要で、これを欠く没収は適正な法律手続によらない財産権の侵害です。
イ:正しい。没収は被告人に対する附加刑なので、第三者の所有物に関する場合でも、被告人は没収の違憲を理由に上告できるとしました。
ウ:正しい。被告人は占有を奪われて使用・収益できなくなり、第三者から賠償請求を受ける危険もあるので、利害関係があり上告で救済を求められるとしました。
エ:誤り。被告人は現実の具体的不利益を受けていないので違憲判断は抽象的審査になる、という主張は少数意見の立場です。
オ:誤り。判決の効力は第三者に及ばないので第三者の所有権は侵害されていない、という主張も少数意見の立場です。
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労働組合の統制権
問41 地方議会選挙と組合員の立候補(三井美唄労組事件、最大判昭和43年12月4日)
最高裁は、労働組合が統一候補を決めて選挙運動を進め、他の組合員に立候補を思いとどまるよう勧告・説得することは統制権の行使として許されるとしました。一方、勧告に従わず立候補した組合員を処分することは、立候補の自由を侵し許されないと判断しています。
公式正解 ア20・イ8・ウ17・エ1
空欄は「使用者」「政治活動」「利益代表」「統制」で、公式正解はア20・イ8・ウ17・エ1です。
ア(20 使用者):労働組合の結成が保障されるのは、経済的弱者である労働者が、強者である使用者と対等の立場で交渉できるようにするためです。
イ(8 政治活動):組合は、目的を達成する手段として、必要な政治活動や社会活動を行うことを妨げられません。
ウ(17 利益代表):組合員の生活向上のために、その利益代表を議会に送り込む選挙活動も、組合の活動として許されます。
エ(1 統制):統一候補以外の組合員に立候補を思いとどまるよう勧告・説得することは、妥当な範囲の統制権の行使です。
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行政法の解答・解説(22問)
行政手続、不服申立て、行政訴訟、国家賠償、地方自治、情報公開を一続きの手続として解きます。処分性、原告適格、出訴期間、執行停止など隣接概念の取り違えが主な失点源です。
行政上の公表
問8 O-157食中毒原因の公表と法律の根拠(大阪地判平成14年3月15日)
判決は、情報提供としての公表は国民の権利を制限し義務を課すものではない非権力的事実行為なので、直接の法律上の根拠がなくても、所管事務の範囲内で行う限り直ちに違法にはならないとしました。侵害留保説を前提とした論理です。
公式正解 5
判決の内容に明らかに反しているのは5です。
肢1:反していない。権利を制限し義務を課す行為にだけ法律の根拠を求める侵害留保説を前提にしています。
肢2:反していない。判決は、所管事務とまったくかけ離れた事項を公表すれば、それだけで違法の問題が生じうると述べています。
肢3:反していない。判決は、本件公表を行政行為ではない非権力的事実行為と位置付けています。
肢4:反していない。判決は、原因の公表について直接定めた法律の規定がないことを認めたうえで、食品衛生法の目的から所管事務の範囲内にあるとしています。
肢5:明らかに反している。判決は、本件公表は権利の制限や義務を課す効果をもたないので、直接の法律上の根拠がなくても直ちに違法にはならないとしています。事実上の不利益を理由に法律の根拠を必要とする立場はとっていません。
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行政行為の効力と瑕疵
問9 外観上一見明白説・到達主義・課税処分の無効・撤回の根拠・裁決の不可変更力
処分が無効となる「重大かつ明白な瑕疵」の明白性の判断方法、処分の効力発生時期、課税処分の無効の例外、撤回に法律の根拠が要るか、裁決の不可変更力をまとめて確かめる問題です。
公式正解 1
肢1:妥当。瑕疵が明白かどうかは、処分の外形上、客観的に誤認が一見看取できるかで判断されます(最判昭和36年3月7日)。
肢2:妥当でない。処分の効力は、意思表示が相手方に到達した時、つまり相手方が現実に了知し又は了知できる状態に置かれた時に生じます(最判昭和29年8月24日)。
肢3:妥当でない。課税要件の根幹に関わる重大な過誤があり、不服申立期間の徒過による不利益を甘受させることが著しく不当な例外的事情がある場合には、明白性を問わず無効になりうるとされています(最判昭和48年4月26日)。
肢4:妥当でない。授益的処分の撤回は、撤回そのものについて法令の根拠規定がなくても、公益上の必要が高いときは許されます(菊田医師事件、最判昭和63年6月17日)。
肢5:妥当でない。訴願を認容する裁決は、争訟を裁断する行為として不可変更力をもち、裁決庁が自ら取り消すことはできません(最判昭和29年1月21日)。
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地方公共団体の契約
問10 契約締結の方法と議会の議決(地方自治法234条・96条)
地方公共団体の契約は、一般競争入札を原則とし、指名競争入札・随意契約・せり売りは政令で定める場合に限られます。締結方法の細目は政令で定め、議会の議決が必要な契約は条例で定める基準によります。
公式正解 2
肢1:妥当でない。契約の締結方法は、一般競争入札・指名競争入札・随意契約・せり売りの4種類に限られ、条例で別の方法を定めることはできません(234条1項)。
肢2:妥当。指名競争入札、随意契約、せり売りは、政令で定める場合に該当するときに限って使うことができます(234条2項)。
肢3:妥当でない。予定価格の範囲内で最高・最低の価格の者を相手方とするのが原則ですが、総合評価方式など政令の定めによる例外が認められています(234条3項ただし書)。
肢4:妥当でない。随意契約の手続その他契約の締結方法に関し必要な事項は、政令で定めます(234条6項)。
肢5:妥当でない。政令の基準に従って条例で定める契約の締結には議会の議決が必要ですが(96条1項5号)、指名競争入札による場合に限られるわけではありません。
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行政手続法の定義
問11 不利益処分・行政機関・処分基準・申請・届出
行政手続法2条の定義規定から、不利益処分(申請拒否処分は含まない)、行政機関(地方公共団体の機関も含む)、申請(自己に対する利益処分を求める行為)、届出(諾否の応答を要しない通知)を区別します。
公式正解 3
肢1:誤り。申請を拒否する処分は不利益処分から除かれています(2条4号ロ)。
肢2:誤り。行政機関には、地方公共団体の機関(議会を除く)も含まれます(2条5号ロ)。
肢3:正しい。処分基準は、不利益処分をするかどうか、どのような不利益処分とするかを法令の定めに従って判断するための基準です(2条8号ハ)。
肢4:誤り。申請は、申請者自身に利益を与える処分を求める行為です(2条3号)。第三者への利益付与を求める行為は含まれません。
肢5:誤り。届出は、法令により直接に通知が義務付けられている行為で、行政庁の諾否の応答を予定しないものです(2条7号)。
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聴聞と弁明の機会の付与
問12 代理人・対象となる処分・審理の方式・参加人・文書閲覧
不利益処分の事前手続には、許認可の取消しなど重い処分の聴聞と、それ以外の弁明の機会の付与があります。代理人の選任はどちらでもできますが、参加人や文書閲覧権は聴聞だけの制度です。
公式正解 1
肢1:正しい。聴聞でも弁明の機会の付与でも、当事者は代理人を選任できます(16条、31条による準用)。
肢2:誤り。聴聞は許認可等の取消しなど重い不利益処分で行い(13条1項1号)、弁明の機会の付与はそれ以外の不利益処分で行います。申請の拒否処分は不利益処分に当たらず、どちらの手続も不要です。
肢3:誤り。弁明は書面(弁明書)で行うのが原則で、口頭で弁明できるのは行政庁が認めたときに限られます(29条1項)。当事者の求めで口頭の機会が義務付けられるわけではありません。
肢4:誤り。聴聞では、利害関係人が主宰者の許可を得て参加人として参加できます(17条)。参加の制度がないのは弁明の機会の付与です。
肢5:誤り。処分の原因となる事実を証する資料の閲覧請求権は、聴聞の当事者等にだけ認められています(18条)。
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申請に対する処分
問13 形式上の要件の不備・拒否処分の手続・行政指導・標準処理期間
行政手続法は、申請が到達したら遅滞なく審査を始める義務を定め、形式不備の申請には補正か拒否で応じるとしています。申請拒否は不利益処分ではないので弁明の機会は不要で、標準処理期間の経過で拒否が擬制されることもありません。
公式正解 3
ア:誤り。期間外の申請など形式上の要件に適合しない申請に対しては、速やかに補正を求めるか、許認可等を拒否しなければなりません(7条)。応答せずに書類を返戻する扱いは認められていません。
イ:正しい。必要な書類が添付されていない申請に対しては、相当の期間を定めて補正を求めるか、許認可等を拒否します(7条)。
ウ:誤り。申請を拒否する処分は不利益処分に当たらないので、弁明の機会を与える義務はありません。拒否処分の際は理由を示します(8条)。
エ:正しい。申請の取下げや変更を求める行政指導も、申請者が従わない意思を示したのに続けて権利の行使を妨げるようなことがない限り、直ちに違法ではありません(33条)。
オ:誤り。標準処理期間を過ぎても、拒否処分がされたとみなす規定はありません。不作為の違法確認訴訟や不作為についての審査請求で争います。
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行政不服審査法
問14 地位の承継・審査請求期間の計算・不作為の範囲・参加人・総代
行政不服審査法の審理手続から、審査請求人の地位の承継、期間の計算方法、不作為についての審査請求ができる者、参加人の権利、総代の仕組みを確かめる問題です。
公式正解 1
正しいのはアとエで、正解は1です。
ア:正しい。処分に係る権利の譲受人は、審査庁の許可を得れば、審査請求人の地位を承継できます(15条6項)。
イ:誤り。審査請求期間は、処分があったことを知った日又は処分があった日の「翌日」から起算します(18条1項・2項)。初日は算入しません。
ウ:誤り。不作為についての審査請求ができるのは、法令にもとづき処分の申請をした者に限られます(3条)。是正の処分を求める仕組みは、行政手続法の処分等の求め(36条の3)です。
エ:正しい。参加人は、審査請求人と同様に口頭意見陳述を申し立てることができ(31条1項)、証拠書類や証拠物を提出できます(32条1項)。
オ:誤り。総代が互選されたときは、共同審査請求人は総代を通じてのみ審査請求に関する行為ができます(11条4項)。
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再審査請求
問15 請求の根拠・棄却裁決・再審査庁・対象・請求期間
再審査請求は、法律に定めがある場合に限り、審査請求の裁決に不服がある者が行う2段階目の不服申立てです。原裁決と原処分のどちらも対象にでき、期間は原裁決を基準に数えます。
公式正解 2
肢1:誤り。再審査請求は、法律に再審査請求ができる旨の定めがある場合に限って認められます(6条1項)。処分庁の同意で認められるものではありません。
肢2:正しい。原裁決が違法・不当でも、原処分が違法でも不当でもないときは、再審査庁は再審査請求を棄却します(64条4項)。
肢3:誤り。再審査請求の請求先は、法律に定める行政庁です(6条2項)。行政不服審査会は、審査庁の諮問を受けて答申する機関です。
肢4:誤り。再審査請求は、原裁決と原処分のどちらを対象としてもできます(6条2項)。
肢5:誤り。再審査請求期間は、原裁決があったことを知った日の翌日から1月、原裁決があった日の翌日から1年で、原裁決を基準に数えます(62条)。
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不作為についての審査請求
問16 却下・棄却・違法の宣言と審査庁の措置
不作為についての審査請求の裁決は、不適法なら却下、理由がなければ棄却、理由があれば不作為の違法・不当を宣言します。宣言の後の措置は、審査庁が上級行政庁か不作為庁自身かで異なります。
公式正解 3
正しいのはイとウで、正解は3です。
ア:誤り。申請から相当の期間が経過しないうちにされた審査請求は不適法で、却下されます(49条1項)。
イ:正しい。理由がない審査請求は、裁決で棄却されます(49条2項)。
ウ:正しい。理由がある場合は、裁決で当該不作為が違法又は不当である旨を宣言します(49条3項)。
エ:誤り。宣言とあわせて、上級行政庁である審査庁は不作為庁に処分をすべき旨を命じ、不作為庁である審査庁は自ら処分をします(49条3項各号)。上級行政庁でない審査庁による勧告の規定はありません。
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狭義の訴えの利益
問17 保安林指定解除・土地改良事業・建築確認・開発許可
処分の取消訴訟では、処分後の事情の変化で取消しの実益がなくなると訴えの利益が失われます。工事の完了で失われる場合(建築確認)と、失われない場合(土地改良事業、市街化調整区域の開発許可)を判例ごとに区別します。
公式正解 4
ア:誤り。代替施設の設置で洪水や渇水の危険が解消し、保安林存続の必要性がなくなったときは、指定解除処分の取消しを求める訴えの利益は失われます(長沼ナイキ基地事件、最判昭和57年9月9日)。
イ:正しい。工事と換地処分が完了し原状回復が社会通念上不可能でも、事情判決の余地があるので、事業施行認可の取消しを求める訴えの利益は失われません(最判平成4年1月24日)。
ウ:誤り。建築工事が完了すると、建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われます(最判昭和59年10月26日)。
エ:正しい。市街化調整区域の開発許可は、工事完了・検査済証交付の後も、予定建築物以外の建築を制限する効果が残るので、訴えの利益は失われません(最判平成27年12月14日)。
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出訴期間
問18 取消訴訟の出訴期間と審査請求を経た場合
出訴期間が定められているのは取消訴訟(処分・裁決の取消しの訴え)で、主観的には知った日から6か月、客観的には処分・裁決の日から1年です。不作為の違法確認、義務付け、差止めの訴えには出訴期間の定めがありません。
公式正解 2
肢1:誤り。取消訴訟は、処分又は裁決があったことを知った日から6か月(14条1項)、処分又は裁決の日から1年(同条2項)を経過すると、正当な理由がない限り提起できません。
肢2:正しい。審査請求をした者の取消訴訟は、裁決があったことを知った日から6か月、裁決の日から1年が出訴期間です(14条3項)。
肢3:誤り。不作為の違法確認の訴えには出訴期間の定めがなく、不作為が続く限り提起できます。
肢4:誤り。義務付けの訴えには出訴期間の定めがありません(拒否処分の取消訴訟などを併合する場合は、その訴訟の出訴期間に服します)。
肢5:誤り。差止めの訴えにも出訴期間の定めはありません。
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義務付け訴訟
問19 併合提起・判決の効力・仮の義務付け・訴訟要件
申請型義務付け訴訟は、拒否処分の取消訴訟又は無効等確認訴訟との併合提起が必要です。義務付け判決には取消判決の拘束力の規定が準用されますが、第三者効の規定は準用されていません。
公式正解 3
肢1:誤り。拒否処分がされた場合の申請型義務付け訴訟は、その取消訴訟か無効等確認訴訟を併合して提起します(37条の3第3項2号)。
肢2:誤り。行政庁が義務付け判決に従わない場合でも、裁判所が行政庁に代わって処分をする制度はありません。
肢3:正しい。義務付け訴訟には、取消判決の拘束力(33条)が準用されますが(38条1項)、第三者効(32条)は準用されていません。
肢4:誤り。仮の義務付けは、義務付けの訴えが提起されていることが前提で、単独では申し立てられません(37条の5第1項)。
肢5:誤り。「重大な損害を生ずるおそれ」は非申請型の要件です(37条の2第1項)。申請型にはこの要件はありません。
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国家賠償法1条
問20 加害公務員の不特定・職務行為基準説・公務員個人の責任・外形標準説
国家賠償法1条の責任は、公務員に代わって国や公共団体が負う代位責任とされます。加害公務員を特定できない場合、取消判決と国賠法上の違法の関係、公務員個人の責任、「職務を行うについて」の判断方法を判例で確かめます。
公式正解 4
ア:誤り。一連の職務行為のいずれかに故意・過失による違法な行為がなければ損害は生じなかったと認められ、いずれも同一の行政主体の公務員の行為であれば、加害者を特定できなくても行政主体は責任を免れません(最判昭和57年4月1日)。
イ:正しい。更正処分が取り消されても、税務署長が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くさず漫然と処分したと認め得る事情がなければ、国賠法上違法とはされません(最判平成5年3月11日)。
ウ:誤り。公務員個人は被害者に対して直接責任を負いませんが(最判昭和30年4月19日)、公務員個人を被告とする訴えは請求棄却となるもので、不適法として却下されるわけではありません。
エ:正しい。自己の利益を図る意図でも、客観的に職務執行の外形を備える行為であれば「職務を行うについて」に当たります(外形標準説、最判昭和31年11月30日)。
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国家賠償と違法性の判断
問21 規制権限の不行使・指定確認検査機関・認定遅延・裁判官の裁判・無罪判決
国家賠償法上の違法は、処分が客観的に違法かどうかだけでなく、公務員が職務上尽くすべき注意義務を尽くしたかで判断されます。各判例が「直ちに違法」とはしていない点に注目します。
公式正解 5
肢1:妥当でない。宅建業者への監督権限の不行使は、権限の趣旨・目的に照らして著しく不合理と認められるときに限り違法となります(最判平成元年11月24日)。宅建業法は個々の取引関係者の損害の防止を直接の目的とするものではないとされました。
肢2:妥当でない。指定確認検査機関の建築確認は、建築主事による確認と同じく地方公共団体の事務とされ、公権力の行使に当たることを前提に、その地方公共団体を被告とすることが認められています(最決平成17年6月24日)。
肢3:妥当でない。認定申請への応答が遅れても直ちに違法とはならず、処分庁が通常期待される努力で遅延を解消できたのにそれを尽くさなかった場合に違法とされます(最判平成3年4月26日)。
肢4:妥当でない。裁判官の裁判も、付与された権限の趣旨に明らかに背いて行使したと認め得る特別の事情があれば、国賠法上違法となりえます(最判昭和57年3月12日)。
肢5:妥当。無罪判決が確定しても、それだけで逮捕・勾留や公訴提起が違法になるわけではありません(芦別事件、最判昭和53年10月20日)。
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住民
問22 住民の範囲・選挙権・役務の提供と負担・条例制定改廃請求・住民基本台帳
地方自治法は、市町村の区域内に住所を有する者を市町村と都道府県の住民とし、役務の提供を受ける権利と負担を分任する義務を定めています。選挙権や直接請求権は日本国民である住民に限られ、条例制定改廃請求には対象外の事項があります。
公式正解 1
正しいのはアとウで、正解は1です。
ア:正しい。市町村の区域内に住所を有する者は、当該市町村と、これを包括する都道府県の住民です(10条1項)。
イ:誤り。普通地方公共団体の選挙に参与する権利をもつのは、日本国民である住民です(11条)。
ウ:正しい。住民は、役務の提供をひとしく受ける権利をもち、その負担を分任する義務を負います(10条2項)。
エ:誤り。地方税の賦課徴収や分担金・使用料・手数料の徴収に関する条例は、制定改廃請求の対象から除かれています(12条1項、74条1項)。
オ:誤り。住民たる地位に関する正確な記録(住民基本台帳)を整備する義務を負うのは市町村です(13条の2)。
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自治事務と法定受託事務
問23 自治事務の定義・条例の限界・関与の法定主義・自治紛争処理委員・是正の勧告
自治事務は、地方公共団体の事務のうち法定受託事務以外のものと定義されます。国や都道府県の関与は、自治事務・法定受託事務を問わず法律又は政令の根拠が必要です(関与の法定主義)。
公式正解 5
肢1:誤り。自治事務は、法定受託事務以外の事務として控除的に定義されます(2条8項)。法律で自治事務と特に定められていなくても自治事務になります。
肢2:誤り。条例は法令に違反しない限りで制定できるので、法律が定める処分の要件を条例で変更することはできません(14条1項)。
肢3:誤り。関与は、自治事務でも法定受託事務でも、法律又はこれにもとづく政令によらなければ受けません(245条の2)。
肢4:誤り。自治紛争処理委員は、事件ごとに総務大臣又は都道府県知事が任命する非常勤の委員で、常設の常勤職ではありません(251条)。
肢5:正しい。都道府県知事は、市町村の自治事務の処理が法令に違反し、又は著しく適正を欠き明らかに公益を害していると認めるときは、是正又は改善の措置を勧告できます(245条の6)。
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住民訴訟
問24 訴訟の承継・原告適格の基準時・監査請求の請求者・権利放棄の議決・弁護士報酬
住民訴訟は、住民監査請求を経た住民が提起する客観訴訟です。一人でも監査請求でき、勝訴した原告は弁護士報酬の範囲内で相当額の支払を請求できます。原告が死亡しても相続人は訴訟を承継しません。
公式正解 5
肢1:妥当でない。住民訴訟の原告が死亡すると、訴訟は承継されずに終了します(最判昭和55年2月22日)。
肢2:妥当でない。原告は訴え提起の時に住民であれば足り、対象となる財務会計行為の時点で住民である必要はありません。
肢3:妥当でない。住民監査請求は、住民であれば一人でもできます(242条1項)。連署が必要なのは事務監査請求などの直接請求です。
肢4:妥当でない。議会による権利放棄の議決は、裁量権の逸脱・濫用に当たらない限り有効とされ(最判平成24年4月20日)、請求権が裁判で確定した後に議決すること自体が禁じられているわけではありません。
肢5:妥当。住民訴訟で勝訴(一部勝訴を含む)した原告は、弁護士報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払を地方公共団体に請求できます(242条の3第3項)。
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情報公開をめぐる判例
問25 理由の差替え・不保有の立証責任・書証提出と訴えの利益・国賠法上の違法・法律上の争訟
情報公開の非開示決定をめぐる取消訴訟と国家賠償の判例から、理由の差替えの可否、文書保有の立証責任の所在、訴えの利益、国が提起する訴えの法律上の争訟性を確かめる問題です。
公式正解 1
肢1:妥当。非公開決定の取消訴訟で、被告が決定に付した理由と別の理由を主張することは許されます(逗子市情報公開条例事件、最判平成11年11月19日)。
肢2:妥当でない。行政機関が文書を保有していたことの主張立証責任は、開示請求者が負います(沖縄密約情報公開訴訟、最判平成26年7月14日)。
肢3:妥当でない。対象文書が書証として提出されても、非公開決定の取消しを求める訴えの利益は消滅しません(最判平成14年2月28日)。
肢4:妥当でない。取り消すべき瑕疵があっても、公務員が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くさず漫然と決定したと認め得る事情がなければ、国賠法上は違法とされません。
肢5:妥当でない。国が建物の所有者として有する固有の利益の侵害を理由とする公開決定の取消訴訟は、法律上の争訟に当たります(那覇市情報公開事件、最判平成13年7月13日)。
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運転免許
問26 公安委員会の権限・訴えの利益・附款・許可と特許・国との関係
運転免許は、一般的な禁止を特定の場合に解除する講学上の「許可」です。免許の権限は合議制機関である都道府県公安委員会にあり、有効期間の記載は附款の「期限」に当たります。
公式正解 1
肢1:正しい。都道府県公安委員会は合議制の機関で、運転免許の権限は委員長ではなく公安委員会が有します(道路交通法84条)。
肢2:誤り。免許停止期間が終わっても、処分の日から無違反・無処分で1年を経過するまでは処分歴が不利益に扱われるため、違反点数の効力が残る間は訴えの利益は失われません(最判昭和55年11月25日参照)。
肢3:誤り。「何年何月何日まで有効」という記載は、将来確実に到来する事実にかからせる附款なので「期限」です。「条件」は発生が不確実な事実にかからせるものです。
肢4:誤り。運転免許は、危険防止のための一般的な禁止を解除するもので、講学上の「許可」に当たります。「特許」は、本来もたない特別な権利を設定する行為です。
肢5:誤り。都道府県公安委員会は都道府県の機関で、国家公安委員会の地方支分部局ではありません。内閣総理大臣が閣議にかけた方針で免許事務を指揮監督する仕組みはありません。
公式問題で問26を見る
行政指導
問42 行政指導の定義・行政指導指針・意見公募手続・医療法上の勧告の処分性
行政手続法の定義では、行政指導は、所掌事務の範囲内で特定の者に作為・不作為を求める指導、勧告、助言などで、処分に当たらないものです。複数の者に共通する行政指導指針は意見公募手続の対象となり、医療法上の病院開設中止勧告には処分性が認められました。
公式正解 ア4・イ9・ウ16・エ6
空欄は「所掌事務」「勧告」「指針」「意見公募」で、公式正解はア4・イ9・ウ16・エ6です。
ア(4 所掌事務):行政指導は、行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内で行うものです(2条6号)。
イ(9 勧告):行政指導の例として、指導、勧告、助言が挙げられています。医療法にもとづく病院開設中止の勧告には処分性が認められました(最判平成17年7月15日)。
ウ(16 指針):同一の行政目的のために複数の者に行う行政指導に共通する内容が、行政指導指針です(2条8号ニ)。
エ(6 意見公募):行政指導指針は命令等に含まれ、定める際は意見公募手続をとります(39条)。
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議員に対する懲罰と司法審査
問43 厳重注意処分の公表と国家賠償(最判平成31年2月14日)
議員が名誉毀損を理由に国家賠償を求める訴えは、私法上の権利利益の侵害を理由とするので法律上の争訟に当たります。ただし、議会の内部規律の問題にとどまる限り、請求の当否は議会の自律的な判断を尊重して判断するとされました。
公式正解 ア11・イ18・ウ5・エ10
空欄は「私法上の権利利益」「法律上の争訟」「地方自治の本旨」「議会の内部規律」で、公式正解はア11・イ18・ウ5・エ10です。
ア(11 私法上の権利利益):名誉の毀損を理由とする国家賠償請求は、私法上の権利利益の侵害を理由とするものです。
イ(18 法律上の争訟):法令の適用による終局的解決に適するので、裁判所法3条1項の法律上の争訟に当たり、訴えは適法です。
ウ(5 地方自治の本旨):地方議会は、憲法の定める地方自治の本旨にもとづき、自律的な法規範をもちます。
エ(10 議会の内部規律):議員への懲罰などの措置が内部規律の問題にとどまるなら、裁判所は議会の自律的判断を前提に請求の当否を判断します。
令和8年度試験での注意 2020年11月25日の最高裁大法廷判決は、議員に対する出席停止の懲罰を司法審査の対象とし、昭和35年の判例を変更しました。本問の判決が示した、内部規律の問題にとどまる措置を議会の自律的判断に委ねる考え方は維持されており、この問の正解は変わりません。
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換地処分の効力を争う訴訟
問44 出訴期間経過後の無効等確認訴訟と被告
取消訴訟の出訴期間が過ぎた後に処分の効力を争うには、無効等確認の訴え(行政事件訴訟法3条4項)を使います。換地処分をしたのは土地区画整理組合なので、組合が被告となります(11条2項)。換地のやり直しを求めるには、当事者訴訟などでは目的を達成できないことも要件となります(36条)。
公式正解例あり
公式正解例は「本件組合を被告として、本件換地処分を対象とする無効の確認を求める訴えを提起する。」です。
訴訟の種類:取消訴訟の出訴期間(14条)が経過しているので、期間制限のない無効等確認の訴えを選びます。
対象:問題は換地の配分の違法なので、対象は本件換地処分です。設立認可や事業計画ではありません。
被告:処分をした行政庁が国又は公共団体に所属しない場合は、その行政庁が被告になります(11条2項)。換地処分をしたのは本件組合なので、組合を被告とします。
書き方:40字程度で、「本件組合を被告」「本件換地処分」「無効確認の訴え」の3点を入れます。
公式問題で問44を見る
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民法の解答・解説(11問)
代理、物権、債権、家族法を、当事者関係と時間の順序から解きほぐします。原則と例外、対抗要件、第三者保護を一つのルールとして扱うと誤ります。
制限行為能力者
問27 後見の開始・保佐人と補助人の権限・催告の効果・詐術
制限行為能力者制度では、保護者の権限(同意権・代理権)と、相手方を保護する仕組み(催告権、詐術による取消権の喪失)を区別して押さえます。被保佐人本人への催告に応答がないときは、取り消したものとみなされます。
公式正解 4
肢1:正しい。未成年者に親権を行う者がないときのほか、親権者が管理権をもたないときも、後見が開始します(838条1号)。
肢2:正しい。保佐人は13条1項の行為について同意権をもち、家庭裁判所の審判があれば特定の法律行為の代理権ももちます(876条の4)。
肢3:正しい。家庭裁判所は、補助人の同意を要する旨の審判(17条1項)と、補助人に代理権を付与する審判(876条の9)をすることができます。
肢4:誤り。被保佐人本人に保佐人の追認を得るよう催告し、期間内に追認を得た旨の通知がないときは、その行為を取り消したものとみなされます(20条4項)。追認の擬制ではありません。
肢5:正しい。制限行為能力者であることを黙っていただけでも、他の言動と相まって相手方を誤信させ、又は誤信を強めたときは詐術に当たります(最判昭和44年2月13日)。
公式問題で問27を見る
占有改定
問28 即時取得・留置権・先取特権・質権・譲渡担保
占有改定は、現実の物の移動を伴わない引渡しの方法です。即時取得と質権の設定では認められず、動産先取特権の追及力が失われる引渡しや、動産譲渡担保の対抗要件としては認められる、という違いを整理します。
公式正解 4
妥当でないのはウとオで、正解は4です。
ア:妥当。即時取得には一般外観上従来の占有状態に変更を生じる占有の取得が必要で、占有改定では足りません(最判昭和35年2月11日)。
イ:妥当。留置権は物を手元にとどめて弁済を促す権利なので、債務者を占有代理人とする占有では成立しないと解されています。
ウ:妥当でない。動産先取特権は、目的物が第三取得者に引き渡されると行使できなくなりますが(333条)、この引渡しには占有改定も含まれます(大判大正6年7月26日)。
エ:妥当。質権者は、設定者に自己に代わって質物を占有させることができないので(345条)、占有改定による質権設定は認められません。
オ:妥当でない。動産譲渡担保の対抗要件としての引渡しには、占有改定も含まれます(最判昭和30年6月2日)。
令和8年度試験での注意 2025年5月に成立した譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律(公布から2年6か月以内に施行。2026年4月1日時点では未施行)では、占有改定で対抗要件を備えた動産譲渡担保は、後に登記などで対抗要件を備えた譲渡担保に劣後するルールが設けられます。占有改定が対抗要件となること自体は変わらず、この問の正解も変わりません。
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根抵当権
問29 被担保債権の範囲・範囲の変更・確定期日の変更・債権譲渡と債務引受・極度額減額請求
根抵当権は、極度額の範囲で不特定の債権を担保する抵当権です。元本確定前は債権の範囲や確定期日を後順位抵当権者の承諾なしに変更できますが、登記の期限があります。確定前の債権譲渡や債務引受には随伴性がありません。
公式正解 3
肢1:誤り。利息等を最後の2年分に限るのは普通抵当権の規定です(375条)。根抵当権は、確定した元本と利息・損害金の全部を極度額まで担保します(398条の3第1項)。
肢2:誤り。元本確定前の被担保債権の範囲の変更に、後順位抵当権者その他の第三者の承諾は不要です(398条の4第2項)。確定前に登記しなければ、変更しなかったものとみなされます(同条3項)。
肢3:正しい。元本確定期日は当事者の合意で変更でき、変更後の期日は変更の日から5年以内でなければなりません(398条の6第1項・3項)。変更前の期日より前に登記しないと、変更前の期日に確定します(同条4項)。
肢4:誤り。元本確定前に債権を譲り受けた者は根抵当権を行使できず(398条の7第1項)、免責的債務引受を含む債務の引受けがあった場合も、根抵当権者は引受人の債務について根抵当権を行使できません(同条2項・3項)。
肢5:誤り。元本確定後、設定者は、現に存する債務額と以後2年間に生ずべき利息等を加えた額まで極度額の減額を請求できます(398条の21)。
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選択債権
問30 選択権の帰属・撤回・不能による特定・第三者の選択
選択債権では、特約がなければ選択権は債務者にあります。選択の意思表示は相手方の承諾なしに撤回できず、選択権者の過失で一方が不能になったときは残りのものに特定します(2020年改正後の410条)。
公式正解 3
肢1:誤り。特約がない場合、選択権は債務者Aに属します(406条)。
肢2:誤り。選択の意思表示は、相手方の承諾を得なければ撤回できません(407条2項)。
肢3:正しい。選択権者Aの過失で甲建物の給付が不能になったときは、債権は残る乙建物について存在します(410条)。
肢4:誤り。第三者が選択する場合、その意思表示は債権者又は債務者のどちらか一方に対してすれば足ります(409条1項)。
肢5:誤り。第三者が選択できず、又は選択を望まないときは、選択権は債務者Aに移転します(409条2項)。
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債務引受
問31 併存的債務引受と免責的債務引受の成立要件・求償権
2020年施行の改正民法は債務引受を明文化しました。併存的債務引受と免責的債務引受のそれぞれについて、誰と誰の契約で成立し、いつ効力が生じるかを区別します。免責的債務引受の引受人は債務者に求償できません。
公式正解 5
肢1:正しい。併存的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約でできます(470条2項)。
肢2:正しい。債務者と引受人との契約による併存的債務引受は、債権者が引受人に承諾した時に効力を生じます(470条3項)。
肢3:正しい。債権者と引受人との契約による免責的債務引受は、債権者が債務者にその契約をした旨を通知した時に効力を生じます(472条2項)。
肢4:正しい。債務者と引受人が契約し、債権者が引受人に承諾することでも、免責的債務引受ができます(472条3項)。
肢5:誤り。免責的債務引受の引受人は、債務者に対して求償権を取得しません(472条の3)。
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同時履行の抗弁権
問32 取消し後の原状回復・造作買取・敷金・請負報酬・履行の提供
同時履行の抗弁権は、双務契約の対価的な債務の間で認められます。造作代金や敷金の返還と建物の明渡しは同時履行の関係に立たず、一度履行の提供を受けても、提供が続かなければ抗弁権は失われません。
公式正解 5
肢1:妥当でない。詐欺を理由に契約が取り消された場合の当事者双方の原状回復義務は、同時履行の関係に立つとされています(最判昭和47年9月7日)。
肢2:妥当でない。造作買取代金債権は造作に関して生じた債権で建物に関して生じたものではないので、建物の明渡しを拒むことはできません(最判昭和29年7月22日)。
肢3:妥当でない。敷金の返還は賃貸物の返還を受けた後に生じるので、明渡しが先履行です(622条の2第1項1号、最判昭和49年9月2日)。
肢4:妥当でない。目的物の引渡しを要する請負では、報酬は引渡しと同時に支払うものとされ(633条)、引渡しと報酬支払が同時履行の関係に立ちます。
肢5:妥当。相手方から一度履行の提供があっても、その提供が継続されなければ、同時履行の抗弁権は失われません(最判昭和34年5月14日)。
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借地権の対抗と賃貸人の地位の移転
問33 地位の移転・他人名義の建物登記・登記と賃料請求・必要費と敷金の承継
借地上の建物に借地人名義の登記があれば、借地権を土地の譲受人に対抗できます。対抗力のある賃貸借では賃貸人の地位は譲受人に移り、費用償還債務や敷金返還債務も承継されます(2020年改正後の605条の2)。
公式正解 2
妥当でないのは2です。
肢1:妥当。対抗要件を備えた賃貸借の目的不動産が譲渡されると、賃貸人の地位は原則として譲受人に移転します(605条の2第1項)。
肢2:妥当でない。借地上の建物の登記は借地人本人の名義でなければならず、同居の家族名義の登記では借地権を対抗できません(最大判昭和41年4月27日、最判昭和47年6月22日)。
肢3:妥当。賃貸人たる地位の移転は、所有権移転登記をしなければ賃借人に対抗できないので、登記前は賃料を請求できません(605条の2第3項)。
肢4:妥当。賃借人は賃貸人が負担すべき必要費を支出したとき直ちに償還を請求でき(608条1項)、賃貸人の地位が移転すれば、費用償還債務は譲受人が承継します(605条の2第4項)。
肢5:妥当。敷金返還債務も譲受人が承継し(605条の2第4項)、賃借人は明渡し後に返還を請求できます(622条の2第1項1号)。
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医療契約と医師の義務
問34 医療水準・医療慣行・説明義務・転送義務・添付文書の確認
医師の注意義務の基準は診療当時の臨床医学の実践における医療水準で、医療機関の特性などを考慮して判断され、医療慣行とは必ずしも一致しません。説明義務や転送義務、添付文書の確認についての最高裁判例を確かめます。
公式正解 2
肢1:妥当でない。医療水準は、医療機関の性格、所在地域の医療環境の特性などを考慮して決めるべきで、全国一律の基準ではありません(最判平成7年6月9日)。
肢2:妥当。医療水準は、平均的な医師が実際に行っている医療慣行と同じとは限らず、慣行に従ったことだけで注意義務を尽くしたとはいえません(最判平成8年1月23日)。
肢3:妥当でない。医療水準として未確立の療法でも、患者が強い関心をもっていることを医師が知っていたなど一定の事情があれば、説明義務を負う場合があります(最判平成13年11月27日)。
肢4:妥当でない。重大で緊急性のある病気の可能性が高いと認識できたときは、病名を特定できなくても、適切な医療機関へ転送する義務を負います(最判平成15年11月11日)。
肢5:妥当でない。向精神薬を用いる精神科医は、最新の添付文書を確認し、必要に応じて文献を参照するなど、可能な限り最新の情報を収集する義務を負います(最判平成14年11月8日)。
公式問題で問34を見る
特別養子
問35 成立の方法・養親の要件・本人の同意・実親との関係・離縁
特別養子縁組は、家庭裁判所の審判で成立し、実方の血族との親族関係が終了する縁組です。2020年4月施行の改正で、養子となる者の年齢の上限が原則15歳未満に引き上げられ、15歳以上の者には本人の同意が必要になりました。
公式正解 4
ア:誤り。特別養子縁組は、養親となる者の請求にもとづく家庭裁判所の審判で成立します(817条の2)。合意の届出で成立するのは普通養子です。
イ:正しい。養親は配偶者のある者で、夫婦がともに養親となり(817条の3)、一方が25歳以上であれば、他方は20歳以上で足ります(817条の4)。
ウ:誤り。特別養子となる者の同意が必要なのは、その者が15歳に達している場合です(817条の5第3項)。すべての縁組の要件ではありません。
エ:正しい。縁組の成立で実方の父母や血族との親族関係は原則として終了し(817条の9)、特別養子は実父母の相続人になりません。
オ:誤り。離縁が認められるのは、養親による虐待・悪意の遺棄など養子の利益を著しく害する事由があり、かつ、実父母が相当の監護をできる場合です(817条の10)。二つの要件を「または」とした点が誤りです。
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第三者による詐欺
問45 相手方の悪意・有過失と取消し(民法96条2項)
AはCにだまされて契約しましたが、契約の相手方はBです。第三者による詐欺の場合、相手方Bがその事実を知り、又は知ることができたときに限り、Aは取り消すことができます(96条2項、2020年改正で「知ることができた」が加わりました)。
公式正解例あり
公式正解例は「Bが詐欺の事実を知り又は知ることができたときに限り、Aは、契約を取り消すことができる。」です。
当てはめ:詐欺をしたのは契約の相手方Bではなく第三者Cなので、96条2項の第三者による詐欺の問題です。
要件:相手方Bが、Cの詐欺の事実について悪意又は有過失であるときに限り、Aは取り消せます。
期間:取消権は追認できる時から5年、行為の時から20年で消滅します(126条)。だまされたと知ったのは売買から1年後なので、期間の点は問題になりません。
書き方:40字程度で、「Bが詐欺の事実を知り又は知ることができたとき」「に限り」「取り消すことができる」をまとめます。
公式問題で問45を見る
背信的悪意者からの転得者
問46 背信的悪意者の意義とCが無権利者でない理由(最判平成8年10月29日)
背信的悪意者は、信義則上、登記の欠缺を主張する正当な利益を有しない第三者とされ、177条の「第三者」から除かれます。ただしA・C間の売買そのものは有効なので、Cは無権利者ではなく、Cから譲り受けたDは、D自身が背信的悪意者でない限り登記によりBに対抗できます。
公式正解例あり
公式正解例は「背信的悪意者は、信義則上登記の欠缺を主張する正当な利益を有しない者であって、AC間の売買は有効であるから。」です。
背信的悪意者の意義:単なる悪意者ではなく、もっぱらBを害する目的があるなど、信義則上登記がないことを主張する正当な利益をもたない者です。
Cが無権利者でない理由:背信的悪意者であることは、Bとの関係で登記の欠缺を主張できないというにとどまり、A・C間の売買の効力自体を否定するものではありません。
Dの地位:Dは無権利者からの譲受人ではないので、D自身がBとの関係で背信的悪意者と評価されない限り、登記を備えたDが優先します。
書き方:「背信的悪意者は、」に続けて、意義(信義則上登記の欠缺を主張する正当な利益を有しない者)と、A・C間の売買が有効であることを40字程度で書きます。
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商法・会社法の解答・解説(5問)
交互計算、会社設立、株主総会、監査役、株券制度の機関と手続を確認します。株主総会・取締役会・監査役会の権限主体を入れ替えた肢に注意が必要です。
高価品の特則
問36 高価品の意味・明告の効果・運送人の悪意・重過失・不法行為責任
運送品が高価品の場合、荷送人が種類と価額を通知しなければ、運送人は損害賠償責任を負いません(商法577条1項)。ただし運送人が高価品と知っていたときや、故意・重過失による損害のときは免責されません。
公式正解 2
誤っているのはアとエで、正解は2です。
ア:誤り。高価品とは、容積や重量の割に著しく高価な物品をいいます(最判昭和45年4月21日)。運送賃と比べて判断するものではありません。
イ:正しい。荷送人が運送を委託する際に種類と価額を通知しなければ、運送人は高価品の滅失・損傷・延着について責任を負いません(577条1項)。
ウ:正しい。運送契約の締結の当時、運送人が高価品であることを知っていたときは、免責されません(577条2項1号)。
エ:誤り。運送人の故意だけでなく、重大な過失によって損害が生じたときも免責されません(577条2項2号)。
オ:正しい。高価品の特則は、運送人の不法行為による損害賠償責任にも準用されます(587条)。
公式問題で問36を見る
株式会社の設立
問37 発起人の引受け・定款の認証と設立無効・現物出資の検査役・不成立の責任・払込金保管証明
株式会社の設立には発起設立と募集設立があり、規定がどちらに適用されるかで正誤が分かれます。設立の瑕疵は設立無効の訴えで争い、払込金保管証明は募集設立だけの制度です。
公式正解 1
正しいのはアとウで、正解は1です。
ア:正しい。発起設立でも募集設立でも、各発起人は設立時発行株式を1株以上引き受けなければなりません(25条2項)。
イ:誤り。公証人の認証を欠く定款による設立は設立無効の訴え(828条1項1号)で争います。設立の取消しの訴え(832条)は持分会社の制度です。
ウ:正しい。弁護士・公認会計士・税理士などの証明(不動産は不動産鑑定士の鑑定評価も)を受けた現物出資財産等は、検査役の調査が不要です(33条10項3号)。
エ:誤り。会社が成立しなかったときに連帯して責任を負い、設立費用を負担するのは発起人です(56条)。設立時役員等は含まれません。
オ:誤り。払込金保管証明書の交付を請求できるのは募集設立の場合です(64条1項)。発起設立では不要です。
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自己株式の取得
問38 取得請求権付株式・取得条項付株式・事業の譲受け・市場取引・財源規制
自己株式の取得は、株式の内容として定める場合(取得請求権付株式・取得条項付株式)や、事業の譲受けに伴う場合、株主との合意による場合などに認められます。株主との合意による有償取得には分配可能額による財源規制がかかります。
公式正解 5
肢1:正しい。株主が会社に取得を請求できる株式(取得請求権付株式)を定めることができます(107条1項2号、108条1項5号)。
肢2:正しい。一定の事由の発生を条件に会社が取得できる株式(取得条項付株式)を定めることができます(107条1項3号、108条1項6号)。
肢3:正しい。他の会社の事業の全部を譲り受ける場合に、その会社が有する自社株式を取得することができます(155条10号)。
肢4:正しい。取締役会設置会社は、市場取引等による自己株式の取得を取締役会決議で定められる旨を定款で定めることができます(165条2項)。
肢5:誤り。株主との合意による有償取得で交付する金銭等の帳簿価額は、効力発生日の分配可能額を超えてはなりません(461条1項)。
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株主総会
問39 基準日・基準日後の株主・代理行使・延期と続行・書面投票と出席
株主総会の議決権行使者は基準日で定められます。延期・続行の決議があった場合は同じ総会の継続として扱われ、新たな招集手続や基準日の設定は不要です。
公式正解 4
肢1:正しい。会社は基準日を定めて、基準日株主を議決権を行使できる者と定めることができます(124条1項)。
肢2:正しい。基準日株主の権利を害しない範囲で、基準日後に株式を取得した者の全部又は一部を議決権行使者と定めることができます(124条4項)。
肢3:正しい。株主は代理人によって議決権を行使でき、代理権の授与は株主総会ごとにしなければなりません(310条1項・2項)。
肢4:誤り。延期・続行の決議があった場合、招集手続に関する規定は適用されません(317条)。同じ総会として扱われるので、新たな基準日を定める必要はありません。
肢5:正しい。議決権行使書面を送った株主が総会に出席して議決権を行使したときは、書面による行使は効力を失うと解されています。
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公開会社かつ大会社
問40 譲渡制限株式・発行可能株式総数・招集通知・会計監査人・取締役の資格
公開会社は、発行する株式の全部に譲渡制限を付けていない会社なので、一部の種類株式に譲渡制限を付けることはできます。大会社には会計監査人の設置が義務付けられています。
公式正解 1
肢1:誤り。公開会社は、全部の株式に譲渡制限を付けていない会社をいいます(2条5号)。一部の種類の株式を譲渡制限株式とすることはできます。
肢2:正しい。公開会社では、発行可能株式総数を発行済株式総数の4倍以内にしなければなりません(37条3項、113条3項)。
肢3:正しい。公開会社は取締役会設置会社で(327条1項1号)、株主総会の招集通知は書面でしなければなりません(299条2項2号。株主の承諾があれば電磁的方法も可能です)。
肢4:正しい。大会社は会計監査人を置かなければなりません(328条)。
肢5:正しい。公開会社では、取締役の資格を株主に限る定款の定めは置けません(331条2項)。
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基礎知識の解答・解説(11問)
政治・経済・社会、情報通信、個人情報保護を制度の目的と最新用語から判断します。印象で選ばず、制度主体、年代、定義を一つずつ照合することが得点につながります。
普通選挙の歴史
問47 アメリカ・ドイツ・日本・スイス・イギリスの選挙権拡大
普通選挙の実現時期は国ごとに大きく異なります。男子普通選挙と男女普通選挙の時期を分けて、日本(1925年・1945年)、イギリス(1918年・1928年)、アメリカ(1920年に女性参政権)、スイス(1971年に連邦レベルの女性参政権)を整理します。
公式正解 3
肢1:妥当でない。アメリカで女性参政権が憲法で保障されたのは1920年(憲法修正19条)です。南北戦争の勝敗とも関係しません。
肢2:妥当でない。ドイツ帝国では1871年から帝国議会の選挙で男子普通選挙が行われていました。男女普通選挙はワイマール共和国の成立期(1919年)に実現しました。
肢3:妥当。日本では1925年の普通選挙法で男子普通選挙が実現し、女性参政権を含む男女普通選挙は1945年の選挙法改正で実現しました。
肢4:妥当でない。スイスでも1971年に連邦レベルで女性参政権が認められています。
肢5:妥当でない。イギリスの19世紀の三次の選挙法改正は男性の選挙権拡大で、男子普通選挙は1918年、男女平等の普通選挙は1928年に実現しました。
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フランス人権宣言
問48 前文・人間の平等・国民主権・権力分立
1789年の人権宣言(人及び市民の権利宣言)は、人は生まれながらに自由で平等であること、主権の淵源は国民にあること、権利の保障と権力分立のない社会は憲法をもたないことなどを宣言しました。
公式正解 2
肢1:妥当でない。人権宣言は、身分にかかわらない個人の普遍的な権利としての人権を宣言したものです。
肢2:妥当。前文は、人の権利についての無知・忘却・軽視が、公共の不幸と政府の腐敗の唯一の原因であるとしています。
肢3:妥当でない。第1条は、人は自由で権利において平等なものとして生まれ、生存するとしています。
肢4:妥当でない。第3条は、あらゆる主権の原理は本質的に国民に存するとしています。
肢5:妥当でない。第16条は、権利の保障が確保されず権力の分立が定められていない社会は、憲法をもつものではないとしています。公の武力について述べた条文ではありません。
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バブル経済
問49 プラザ合意後の円高不況から平成不況まで
1985年のプラザ合意後の急速な円高で輸出産業が打撃を受け(円高不況)、日本銀行の低金利政策の下で資金が株式や土地に流れてバブルが生じました。1989年以降の金融引締めや地価税の導入などで株価・地価が下落し、平成不況に入りました。
公式正解 3
Ⅰは円高、Ⅱは輸出、Ⅲは低金利政策、Ⅳは金融引締め、Ⅴは地価税で、正解は3です。
Ⅰ(円高):プラザ合意でドル高是正が協調して進められ、急速な円高になりました。
Ⅱ(輸出):輸出に依存していた日本経済は大きな打撃を受け、工場の海外移転と産業の空洞化が懸念されました。
Ⅲ(低金利政策):円高不況への対応として公定歩合が引き下げられ、低金利で調達された資金が株式や土地の購入に向かいました。
Ⅳ(金融引締め):日本銀行は1989年から公定歩合を引き上げて金融引締めに転じ、1990年には不動産融資の総量規制も行われました。
Ⅴ(地価税):土地の保有に課税する地価税が1992年に導入されました。売上税は1987年に法案が提出されたものの廃案となった税です。
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国債
問50 建設国債と特例国債の始まり・バブル期・復興債・発行額
日本の国債は、1965年度の補正予算で戦後初の特例国債(歳入補填債)が発行され、1966年度から建設国債の発行が続いています。バブル期には特例国債の発行がない年度がありましたが、建設国債は毎年度発行されています。
公式正解 5
妥当なのはエとオで、正解は5です。
ア:妥当でない。建設国債の発行が始まったのは1966年度です。1964年の東京オリンピックに向けた財源としての発行ではありません。
イ:妥当でない。特例国債が初めて発行されたのは、不況による税収不足を補った1965年度です。1975年度以降は継続的に発行されました。
ウ:妥当でない。1990〜93年度には特例国債の発行がありませんでしたが、建設国債は発行されており、国債を発行しなかった年度はありません。
エ:妥当。東日本大震災の復旧・復興事業の財源として、2011年度から復興債が発行されています。
オ:妥当。出題時点では、2014年度の消費税率引上げ後も新規国債発行額は毎年度30兆円を超えていました。
令和8年度試験での注意 新規国債発行額は、2025年度当初予算で28.6兆円となり、当初予算としては17年ぶりに30兆円を下回りました(2026年度予算案は29.6兆円)。オは出題時点の事実として正しく、この問の正解は変わりませんが、統計問題は最新の数値で確かめてください。
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子ども・子育て政策
問51 児童手当・児童扶養手当・就学援助・子ども医療費・幼保無償化
子育て支援の現金給付と無償化の制度について、支給対象と実施主体を確かめる問題です。児童手当の受給者は保護者で、子どもの医療費助成は市町村などが独自に行い、幼保無償化の0〜2歳児は住民税非課税世帯に限られます。
公式正解 3
妥当なのはイとウで、正解は3です。
ア:妥当でない。児童手当を受け取るのは子どもを養育する保護者で、出題時の支給対象は中学校修了までの子どもでした。
イ:妥当。児童扶養手当は、2010年から父子家庭も対象となり、ひとり親家庭の生活の安定と自立の促進を目的としています。
ウ:妥当。就学援助は、経済的理由で就学が困難な児童生徒の保護者に市町村が学用品費などを援助する制度で、生活保護世帯以外の準要保護者も対象になり、基準は市町村ごとに異なります。
エ:妥当でない。子どもの医療費の自己負担分の助成は、地方公共団体が独自に行う制度で、対象年齢や所得制限は自治体ごとに異なります。国費ですべての子どもを無償にする制度はありません。
オ:妥当でない。2019年10月からの幼児教育・保育の無償化で、3〜5歳児は所得に関係なく無償となりましたが、0〜2歳児は住民税非課税世帯に限られます。
令和8年度試験での注意 児童手当は2024年10月から支給対象が高校生年代まで延長され、所得制限も撤廃されました。受給者が子ども本人ではなく保護者である点は変わらず、アは引き続き誤りです。この問の正解は変わりません。
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新しい消費の形態
問52 サブスクリプション・シェアリングエコノミー・民泊
定額で一定期間サービスを利用できる仕組みはサブスクリプション、個人の資産を貸し借りする仕組みはシェアリングエコノミー、単発の仕事をネット経由で請け負う働き方はギグエコノミーです。用語と内容の組合せを確かめます。
公式正解 3
妥当なのはイとウで、正解は3です。
ア:妥当でない。定額料金で映画やドラマが見放題になるサービスは、サブスクリプションの例です。ギグエコノミーは、インターネットを通じて単発の仕事を請け負う働き方を指します。
イ:妥当。服や車など個人の資産を相互に利用し合う消費形態は、シェアリングエコノミーと呼ばれます。
ウ:妥当。住宅の空き部屋などを旅行者に有償で提供する宿泊サービスは民泊と呼ばれ、2018年には住宅宿泊事業法が施行されました。
エ:妥当でない。詰替え用商品の購入は、容器ごみを減らす環境配慮型の消費です。定額制のサブスクリプションには当たりません。
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地域再生・地域活性化
問53 地方創生・アートによる地域再生・地域おこし協力隊・空き店舗の活用・エリアマネジメント
地域おこし協力隊は、都市地域から過疎地域などに移住した人が地域協力活動に従事する制度です。エリアマネジメントは、住民・事業主・地権者など民間が主体となって地域の価値を高める取組みを指します。
公式正解 4
妥当でないのはウとオで、正解は4です。
ア:妥当。まち・ひと・しごと創生は、地方に仕事をつくり、地方への新しい人の流れをつくることなどを目的としていました。
イ:妥当。中山間地域や離島で芸術祭などを開き、交流人口を増やす取組みが行われています。
ウ:妥当でない。地域おこし協力隊は、都市地域から過疎地域などの条件不利地域へ住民票を移した人が、地域の活性化に取り組む制度です。人の流れの向きが逆です。
エ:妥当。空き店舗を起業の拠点やチャレンジショップとして活用する取組みが行われています。
オ:妥当でない。エリアマネジメントは、住民・事業主・地権者などが主体となって地域の環境や価値を維持・向上させる取組みで、民間の力を活かすことが前提です。
令和8年度試験での注意 まち・ひと・しごと創生総合戦略は2022年にデジタル田園都市国家構想総合戦略へ改められ、2025年6月には地方創生2.0基本構想が閣議決定されました。地域おこし協力隊とエリアマネジメントの説明が誤りである点は変わらず、この問の正解も変わりません。
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日本の人口動態
問54 死因順位・初婚年齢・ベビーブーム・自然減・母の年齢
人口動態統計の主な傾向を確かめる問題です。死因の第1位は1981年以降、悪性新生物(腫瘍)で、出生した子の母の年齢は2000年代から30〜34歳が最も多くなっています。
公式正解 3
妥当なのはイとエで、正解は3です。
ア:妥当でない。死因の第1位は悪性新生物(腫瘍)で、心疾患は第2位です。出題時点では老衰が第3位、脳血管疾患が第4位でした。
イ:妥当。平均初婚年齢は長く上昇してきましたが、出題時点の10年ほどは夫31歳前後、妻29歳台でほぼ横ばいでした。
ウ:妥当でない。第1次ベビーブーム世代(団塊の世代)は第2次ベビーブームをもたらしましたが、第2次ベビーブーム世代は次のベビーブームをもたらしていません。
エ:妥当。出生数が死亡数を下回る自然減は2005年に始まり、その幅は年々拡大しています。
オ:妥当でない。出生した子の母の年齢は、2000年代以降は30代前半(30〜34歳)が最も多く、30年間一貫して20代が最多だったわけではありません。
令和8年度試験での注意 2023年・2024年の人口動態統計でも、死因の第1位は悪性新生物(腫瘍)、出生した子の母の年齢は30〜34歳が最も多く、自然減は拡大を続けています。この問の正解は変わりません。
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インターネット関連の略語
問55 BCC・SMTP・SSL・HTTP・URL
電子メールやWebで使われる略語の正式名称と意味を確かめる問題です。SMTPはメールの送信、HTTPはWebページのやり取りに使う通信プロトコルです。
公式正解 3
妥当なのはイとエで、正解は3です。
ア:妥当でない。BCCはBlind Carbon Copyの略で、ほかの受信者にアドレスを知らせずにメールの写しを送る機能です。
イ:妥当。SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)は、電子メールの送信に使う通信プロトコルです。
ウ:妥当でない。SSLはSecure Sockets Layerの略で、通信を暗号化する仕組みです。現在は後継のTLSが使われています。
エ:妥当。HTTP(Hypertext Transfer Protocol)は、WebサーバーとWebブラウザなどの間で情報をやり取りする通信プロトコルです。
オ:妥当でない。URLはUniform Resource Locatorの略で、インターネット上の情報資源の所在を示す記述方式です。
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行政機関の個人情報保護
問56 事案の移送・不開示情報・存否応答拒否・教示・却下前の通知
出題時の行政機関個人情報保護法は、開示請求に対し、不開示情報を除いて開示する義務を定めつつ、他の行政機関への事案の移送や、存否を明らかにしない拒否などの仕組みを設けていました。
公式正解 2
肢1:誤り。他の行政機関から提供された情報であるときは、協議の上で事案を移送することができます(出題時21条)。いったん却下しなければならないわけではありません。
肢2:正しい。犯罪の予防や捜査など公共の安全と秩序の維持に支障が生じるおそれについて、行政機関の長の判断に相当の理由がある情報は、不開示情報とされています(出題時14条5号)。
肢3:誤り。存否を答えるだけで不開示情報を開示することになるときは、存否を明らかにしないで開示請求を拒否できます(出題時17条)。
肢4:誤り。個人識別符号が含まれていないことを理由に、情報公開法による請求を教示する義務の規定はありません。
肢5:誤り。開示できない情報が含まれる場合に、却下の前に取下げを通知する義務の規定はありません。
令和8年度試験での注意 2022年4月1日、行政機関個人情報保護法は個人情報保護法に統合されました。不開示情報は同法78条1項(肢2は5号)、存否応答拒否は81条、事案の移送は85条に引き継がれ、この問の正誤は変わりません。
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個人情報保護法
問57 委託・公衆衛生の例外・事業承継・公的機関への協力・利用目的の変更
民間事業者の個人データの取扱いについて、第三者提供の制限と例外(法令の定める事務への協力、公衆衛生のための提供など)、事業承継の扱い、利用目的を変更した場合の通知・公表義務を確かめる問題です。
公式正解 5
肢1:誤り。個人データの取扱いは、全部を委託することもできます。委託する事業者には、委託先に対する必要かつ適切な監督が求められます。
肢2:誤り。公衆衛生の向上のための第三者提供が同意なしに許されるのは、本人の同意を得ることが困難であるときに限られます。
肢3:誤り。合併などの事業承継に伴って個人データを提供する場合は、第三者提供に当たらず、本人の同意は不要です。
肢4:誤り。地方公共団体などの法令の定める事務に協力する必要があり、本人の同意を得るとその遂行に支障を及ぼすおそれがあるときは、同意なしに提供できます。
肢5:正しい。利用目的を変更した場合は、変更された利用目的を本人に通知し、又は公表しなければなりません。
令和8年度試験での注意 その後の改正で条文番号が変わり、利用目的の変更の通知・公表は21条3項、委託先の監督は25条、第三者提供の制限と事業承継などの例外は27条に置かれています。この問の正誤は変わりません。
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