問1 一部共用部分の規約と規約敷地
一部共用部分の管理を全員の規約と一部の区分所有者の規約で分ける方法、一部共用部分に関する全員の規約の決議要件、特定の区分所有者に有利な専用使用権の設定、分割で建物が所在しなくなった土地を確かめます。
正解 2
一部共用部分に関する事項で全員の利害に関係しないものを全員の規約で定めるときは、その一部共用部分を共用する区分所有者の4分の1を超える者か議決権の4分の1を超える者が反対すれば決議できません(31条2項)。4分の3以上の賛成とする2が誤りです。
1 ○
全員の利害に関係する大規模修繕は全員の規約で、全員の利害に関係しない日常の管理や使用方法は、それぞれを共用する区分所有者の規約で定められます(30条2項)。
2 ×
全員の規約で定める場合の要件は、一部共用部分を共用する区分所有者の4分の1を超える者、または議決権の4分の1を超える者が反対しないことです(31条2項)。4分の3以上の賛成が必要なわけではありません。
3 ○
特定の区分所有者に特に有利な条件で排他的な使用権を設定することは、他の区分所有者全員の権利に特別の影響を及ぼすため、その承諾が必要とされています(31条1項後段)。
4 ○
建物が所在する土地の一部が分割で建物の所在しない土地になったときは、規約で建物の敷地と定められたものとみなされ(5条2項)、分離処分の禁止が及びます。
令和8年度 2026年4月1日現在の30条2項、31条2項、5条2項も同じ内容です。規約の設定・変更の決議は、出席者の各4分の3以上で決める形になりました(31条1項)。
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問2 外壁タイルの落下と損害賠償責任
賃貸中の住戸の外壁タイルが落ちて通行人が負傷した場合について、区分所有者全員の責任の性質、賃借人の責任、施工不良が原因の場合、建物の基本的な安全性を欠く場合の設計者らの責任を確かめます。
正解 1
共用部分の工作物責任を負う区分所有者全員の債務は不可分債務とされ、持分の範囲の分割債務にはなりません。分割債権として請求するとする1が誤りです。
1 ×
共用部分の設置・保存の瑕疵による損害は、所有者である区分所有者全員が賠償責任を負い(民法717条1項)、その債務は不可分債務として各自が全額について責任を負うと解されています。
2 ○
工作物責任を負う占有者は、損害の発生を防ぐ立場にある者です。共用部分の維持管理に関与できない賃借人Cは占有者に当たらず、賠償責任を負いません。
3 ○
原因が工事業者の施工不良でも、被害者に対しては占有者・所有者が責任を負い、その後に施工業者へ求償することになります(717条3項)。
4 ○
建物としての基本的な安全性を欠くことが原因なら、設計者、施工者、工事監理者は、特段の事情がない限り不法行為責任を負います(最判平成19年7月6日)。
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問3 議案の要領を通知する趣旨
出題当時の区分所有法35条5項について、招集通知に示す事項、議案の要領の通知が必要な決議、議案の要領を通知する趣旨を空欄補充で確かめます。
正解 1
(ア)は会議の目的たる事項、(イ)は規約の改正、(ウ)は議案の要領、(エ)は総会に出席しない組合員で、1が適切です。
1 ○
通常は会議の目的たる事項を示せば足りますが、規約の改正など一定の重要な決議では議案の要領も通知します(出題時の35条5項)。総会に出席しない組合員も書面で議決権を行使できるようにする趣旨です。
2 ×
(ウ)は議決権行使の手続ではなく議案の要領で、(エ)も利害関係人ではありません。
3 ×
(ア)は議題(会議の目的たる事項)ですが、(ウ)に入るのは議案の要領です。
4 ×
(ア)に議案の要領を入れると趣旨が通りません。管理者の選任も議案の要領の通知が必要な決議ではありませんでした。
令和8年度 2026年4月1日施行の改正で、招集通知にはすべての議題について議案の要領を示すことになりました(35条1項)。現行法の招集通知の説明としては当てはまらないため、出題時の規定で解いた正解として読んでください。
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問4 区分所有者が管理者を務める場合
区分所有者Aが管理者である場合について、事務を第三者に委任できる場合、費用の前払請求、敷地が共有でない場合の権限、過失なく受けた損害の賠償請求を確かめます。
正解 1
管理者は、委任者の許諾を得たとき、またはやむを得ない事由があるときに、事務を第三者に委任できます(区分所有法28条、民法644条の2第1項)。やむを得ない事由がある場合に限るとする1が誤りです。
1 ×
管理者には委任の規定が準用され(28条)、復受任者の選任は、委任者の許諾を得たときか、やむを得ない事由があるときにできます(民法644条の2第1項)。
2 ○
事務の処理に費用が必要なときは、前払いを請求できます(民法649条)。
3 ○
敷地が区分所有者の共有か準共有に属しないときは、管理者の権限は敷地に及びません(21条、26条1項)。
4 ○
職務を行うため自己の過失なく損害を受けたときは、その賠償を請求できます(民法650条3項)。
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問5 規約の保管と閲覧
法人でない管理組合の規約について、保管する者、保管場所の掲示と閲覧請求、住戸を譲渡した元区分所有者の閲覧請求権、電磁的記録の規約の閲覧方法を確かめます。
正解 4
アからエはいずれも正しく、正解は4です。
ア ○
管理者がいれば管理者が、いなければ建物を使用している区分所有者かその代理人で規約か集会の決議で定めた者が保管します(33条1項)。
イ ○
保管場所は建物内の見やすい場所に掲示し(出題時の33条3項)、利害関係人の閲覧請求は正当な理由がなければ拒めません(同条2項)。
ウ ○
住戸を譲渡して移転登記も済ませた者は、規約について法律上の利害関係を失っているため、閲覧を請求できる利害関係人に当たらないと解されています。
エ ○
電磁的記録の規約は、記録された情報の内容を法務省令で定める方法(紙面や出力装置の映像面への表示)で表示したものを閲覧させます(33条2項)。
令和8年度 2026年4月1日施行の改正で、電磁的記録の規約は請求者の承諾を得て電磁的方法で提供できるようになり(33条3項)、保管場所の掲示は33条4項に移りました。
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問6 管理組合法人の解散事由
管理組合法人が解散する事由として、建物の全部滅失、分譲業者による全区分所有権の買取り、破産手続開始の決定、集会の特別決議が当たるかを確かめます。
正解 2
解散事由に当たるのはアとエの二つで、正解は2です。
ア ○
建物の全部の滅失は解散事由です(55条1項1号)。
イ ×
一人がすべての区分所有権を取得しても、建物に専有部分がなくなるわけではなく(55条1項2号に当たらない)、解散事由になりません。
ウ ×
破産手続開始の決定は解散事由として挙げられていません。存立中の管理組合法人は、債務超過を理由に破産手続を開始されることもありません(47条10項で破産法16条2項を準用)。
エ ○
区分所有者及び議決権の各4分の3以上の集会の決議は解散事由です(出題時の55条1項3号・2項)。
令和8年度 2026年4月1日施行の改正で、解散の決議は区分所有者と議決権の各過半数が出席した集会で、出席者の各4分の3以上で決める形になりました(55条2項)。
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問7 配偶者居住権者の立場
住戸の所有者が死亡し、配偶者Bが配偶者居住権に基づいて住み続ける場合について、集会での意見陳述、規約の効力の範囲、固定資産税の負担、共同の利益に反する行為への対応を確かめます。
正解 4
管理組合が集会の決議だけで配偶者居住権を消滅させることはできません。消滅させられるとする4が誤りです。
1 ○
区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項に利害関係があれば、集会に出席して意見を述べられます(44条1項)。
2 ○
占有者が規約や集会決議に基づく義務を負うのは、建物・敷地・附属施設の使用方法に関する事項に限られます(46条2項)。
3 ○
配偶者居住権者は居住建物の通常の必要費を負担し(民法1034条1項)、固定資産税もこれに当たるため、納付したCはBに求償できます。
4 ×
共同の利益に反する行為への対応は、行為の停止請求や訴えによる措置(57条、60条)などで行います。集会の決議で配偶者居住権そのものを消滅させる制度はありません。
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問8 義務違反者に対する措置
共同の利益に反する行為をした者への措置について、訴えによらなければならない請求、占有者への停止請求、使用禁止請求の決議を規約で省けるか、競売の申立ての期限を確かめます。
正解 4
競売の請求を認める判決に基づく競売の申立ては、判決確定の日から6か月を経過するとできなくなります(59条3項)。4が正しい記述です。
1 ×
行為の停止の請求は訴えによらずにもできます(57条1項)。訴えが必要なのは、使用禁止、競売、占有者への引渡しの各請求です(58条〜60条)。
2 ×
占有者が共同の利益に反する行為をした場合も、行為の停止を請求できます(57条4項)。
3 ×
使用禁止の請求には、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の集会の決議が必要で(出題時の58条2項)、規約で省くことはできません。
4 ○
競売の申立ては、判決が確定した日から6か月を過ぎるとできません(59条3項)。
令和8年度 2026年4月1日施行の改正で、使用禁止や競売の請求の決議は、区分所有者と議決権の各過半数が出席した集会で、出席者の各4分の3以上で決める形になりました(58条2項、59条2項)。
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問9 建物の滅失と敷地の分割・復旧
政令で定める災害に当たらない地震でマンションが滅失した場合について、全部滅失後の敷地の分割請求、大規模滅失で復旧に反対した者の買取請求、小規模滅失の復旧に関する規約、専有部分の単独復旧を確かめます。
正解 1
出題当時は、全部滅失後の敷地は民法の共有として分割請求でき、大規模滅失で復旧に反対した者は決議賛成者の全部または一部に買取りを請求できました。アとイの組合せの1が正しい選択です。
ア ○
政令で定める災害でない場合、出題当時は被災マンション法の分割請求の制限が適用されず、各共有者は敷地の分割を請求できました(民法256条1項)。
イ ○
大規模滅失の復旧決議に反対した者は、決議賛成者の全部または一部に対し、建物と敷地に関する権利を時価で買い取るよう請求できます(出題時の61条7項)。
ウ ×
小規模滅失の復旧に関する規定は、規約で別段の定めができます(61条4項)。区分所有者単独での共用部分の復旧を認めない規約も設定できます。
エ ×
復旧の決議で単独の復旧ができなくなるのは共用部分です(61条1項ただし書)。自己の専有部分は単独で復旧できます。
令和8年度 2026年4月1日施行の改正で、建物が滅失した場合は災害の種類を問わず、滅失の日から1か月を経過した後5年間は、原則として敷地の分割を請求できなくなりました(77条1項)。現行法では肢アが当てはまらないため、この問は出題時の規定で解いた正解として読んでください。
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問10 団地内の建物の建替え承認決議
団地管理組合の集会で行う建替え承認決議について、議決権の割合、必要な賛成、説明会の要否、建替え決議に反対した区分所有者の議決権の扱いを確かめます。
正解 3
建替え承認決議の集会では、会日の2か月前までに設計の概要などを通知しますが、説明会の開催は求められていません。説明会が必要とする3が誤りです。
1 ○
建替え承認決議の議決権は、規約に別段の定めがあっても、特定建物の所在する土地の持分の割合によります(69条2項)。
2 ○
出題当時の建替え承認決議は、団地管理組合の集会で議決権の4分の3以上の多数で行いました(69条1項)。
3 ×
1か月前までの説明会が求められるのは建替え決議の集会です(62条)。建替え承認決議の集会では、2か月前までに議案の要領と設計の概要を通知します(69条4項)。
4 ○
建替え決議が成立した特定建物の区分所有者は、建替えに反対していても、建替え承認決議では賛成の議決権を行使したものとみなされます(69条3項)。
令和8年度 2026年4月1日施行の改正で、建替え承認決議は議決権の過半数を有する団地建物所有者が出席した集会で、出席者の議決権の4分の3以上で行う形になり、耐震性不足などの建物では3分の2以上に下がります(69条1項・8項)。
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問11 被災マンションの建物敷地売却決議
政令で定める災害で大規模一部滅失したマンションの建物と敷地の売却決議について、決議要件、招集通知の期間、敷地利用権が賃借権の場合の承諾、専有部分の賃借権の帰すうを確かめます。
正解 3
売却決議があっても、敷地利用権が土地の賃借権であれば、その譲渡には借地権設定者の承諾(または裁判所の許可)が必要です。承諾なしに売却できるとする3が誤りです。
1 ○
区分所有者、議決権、敷地利用権の持分の価格の各5分の4以上の売却決議で、建物と敷地利用権を売却できました(出題時の被災マンション法9条1項)。
2 ○
売却決議の集会の招集通知は会日の2か月前までに発し、この期間は規約で伸ばせても縮められませんでした(出題時の被災マンション法の規定)。
3 ×
売却決議は区分所有者間の意思決定で、土地の賃借権の譲渡に必要な借地権設定者の承諾(民法612条)まで不要になるわけではありません。
4 ○
売却決議があっても、専有部分の賃借権が当然に消滅するわけではありません。
令和8年度 2026年4月1日施行の改正で、建物と敷地の売却は災害の場合に限らず、区分所有法64条の6の建物敷地売却決議(区分所有者、議決権、敷地利用権の持分の価格の各5分の4以上)で行えるようになりました。招集通知は会日の2か月前までに発します(64条の6第3項で62条6項を準用)。
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