2024年8月18日実施・全17問

令和6年度上期 電験三種
電力の解答・解説

発電、変電、送配電、電気材料を扱います。 公式問題を開きながら、全問の考え方と途中式を無料で確認できます。

公式問題・正答

問題本文と公式図は転載していません。次の公式PDFを開き、問番号を合わせて解説を読んでください。本文中の説明図は資格Hubが独自に作成したものです。

令和6年度上期 電力の公式問題PDF →

令和6年度上期 4科目の公式正答PDF →

電力 全17問の解説

第1問・水力発電

水力発電所の記述の誤り

ペルトン水車を急停止させるときは、デフレクタで噴流をそらしてランナへの水を直ちに断ち、ニードル弁はゆっくり閉じる。ニードル弁で噴流を急に止めると、水圧管に水撃作用(ウォータハンマ)が生じる。

公式正答(3) (3)が誤り

各選択肢の判断理由

  • (1) 衝動水車にはペルトン水車などがある:正しい

    正しい。

  • (2) ニードル弁で出力に応じて流量を調整する:正しい

    通常運転時の流量調整として正しい。

  • (3) ニードル弁で噴流を急速に止め、デフレクタで遮断する:誤り

    ニードル弁を急閉すると水撃作用が起きる。この記述が誤り。

  • (4) 小水力発電は流れ込み式・水路式が多い:正しい

    正しい。

  • (5) クロスフロー水車は低流量でも効率低下が小さい:正しい

    正しい。

第2問・水力発電

揚水発電所の電動機入力と発電機出力

揚水時は総落差に損失水頭を足した全揚程で、ポンプ効率と電動機効率で割る。発電時は総落差から損失水頭を引いた有効落差で、水車効率と発電機効率を掛ける。

公式正答(4) 電動機入力241 MW・発電機出力159 MW

各選択肢の判断理由

  • (1) 235・163:誤り

    揚水・発電とも損失水頭を考えていない。

  • (2) 235・159:誤り

    揚水入力で損失水頭を足していない。

  • (3) 241・163:誤り

    発電機出力で損失水頭を引いていない。

  • (4) 241・159:正しい

    全揚程205 m、有効落差195 mで計算した値。

  • (5) 229・167:誤り

    揚水と発電で損失水頭の足し引きが逆。

第3問・火力発電

コンバインドサイクル発電の記述の誤り

ガスタービンは吸い込む空気の密度で出力が変わるため、外気温が高いと最大出力が下がる。コンバインドサイクル発電は汽力発電より外気温の影響を受けやすい。

公式正答(4) (4)が誤り

各選択肢の判断理由

  • (1) 始動・停止時間が短い:正しい

    正しい。

  • (2) 負荷変化への追従性が高い:正しい

    正しい。

  • (3) 熱効率が高い:正しい

    正しい。

  • (4) 外気温の最大出力への影響が小さい:誤り

    外気温の影響は大きい。この記述が誤り。

  • (5) 温排水量が少ない:正しい

    蒸気タービンの出力分が小さいので、復水器の温排水も少ない。正しい。

第4問・原子力発電

ウラン1 gの質量欠損に相当する石炭の量

質量欠損はウラン1 g(1×10⁻³ kg)の0.09 %で、発生エネルギーはE=mc²で求める。石炭の発熱量で割ると重量になる。

公式正答(4) 3,200 kg

各選択肢の判断理由

  • (1) 32:誤り

    正しい値の1/100。

  • (2) 320:誤り

    正しい値の1/10で、質量欠損を0.009 %とした値に当たる。

  • (3) 1,600:誤り

    E=mc²に1/2を掛けた値に当たる。

  • (4) 3,200:正しい

    8.1×10⁷÷25,000≒3,240 kg。

  • (5) 6,400:誤り

    正しい値の2倍。

第5問・発電

燃料電池の記述の誤り

燃料電池は水素と酸素の電気化学反応で直接電気を取り出す装置で、出力は直流である。交流にするにはインバータが要る。

公式正答(1) (1)が誤り

各選択肢の判断理由

  • (1) 燃料を外部から供給し、直接交流電力を発生する:誤り

    発生するのは直流。この記述が誤り。

  • (2) 電解質でりん酸形・溶融炭酸塩形・固体高分子形などに分類:正しい

    正しい。

  • (3) 水の電気分解と逆の反応を利用する:正しい

    正しい。

  • (4) 排熱を空調や給湯に活用できる:正しい

    コージェネレーションとして正しい。

  • (5) 天然ガスやメタノールを改質した水素を燃料にできる:正しい

    正しい。

第6問・変電

ガス絶縁開閉装置(GIS)の特徴

GISは金属容器に機器を収め、絶縁と消弧にすぐれたSF₆ガスを封入する。導体を支えるスペーサにはエポキシ樹脂を使う。密閉構造なので汚損の影響を受けず信頼性が高いが、内部事故のときは容器を開ける必要があり復旧に時間がかかる。

公式正答(2) SF₆ガス・エポキシ樹脂・高い・長い

各選択肢の判断理由

  • (1) SF₆・エポキシ樹脂・低い・短い:誤り

    (ウ)(エ)が逆。

  • (2) SF₆・エポキシ樹脂・高い・長い:正しい

    4空欄とも正しい。

  • (3) 窒素・磁器がいし・低い・長い:誤り

    封入するのはSF₆ガス、スペーサはエポキシ樹脂。

  • (4) 窒素・エポキシ樹脂・高い・短い:誤り

    (ア)と(エ)が違う。

  • (5) SF₆・磁器がいし・高い・短い:誤り

    (イ)と(エ)が違う。

第7問・配電

配電線路の電圧維持の対策の誤り

電圧降下は線路の抵抗とリアクタンスに比例するので、こう長を延ばすと大きくなる。電圧の維持には逆効果である。

公式正答(4) (4)が誤り

各選択肢の判断理由

  • (1) 負荷時タップ切換変圧器などで送り出し電圧を調整する:正しい

    正しい。

  • (2) 力率改善用コンデンサを設置する:正しい

    無効電流が減って電圧降下が小さくなる。正しい。

  • (3) 太い配電線に張り替える:正しい

    抵抗が小さくなる。正しい。

  • (4) 配電線のこう長を延長する:誤り

    電圧降下が大きくなる。この記述が誤り。

  • (5) 柱上変圧器を負荷の中心に設置する:正しい

    低圧線のこう長が短くなる。正しい。

第8問・送電

架空送電線の振動の記述の誤り

ギャロッピングは、着氷雪で断面が非対称になった電線に風が当たり、揚力で大きく振動する現象で、断面積の大きい多導体で起きやすい。

公式正答(3) (3)が誤り

各選択肢の判断理由

  • (1) 上下配列にオフセットを設けて接触を防ぐ:正しい

    スリートジャンプなどの対策として正しい。

  • (2) 微風振動とダンパによる抑制:正しい

    正しい。

  • (3) ギャロッピングは多導体では発生しにくい:誤り

    多導体の方が発生しやすい。この記述が誤り。

  • (4) 多導体のサブスパン振動:正しい

    正しい。

  • (5) 氷雪の脱落で電線がはね上がるスリートジャンプ:正しい

    正しい。

第9問・送電

過電圧に対する絶縁設計の記述の誤り

絶縁協調は、避雷器などの保護装置の性能と機器の絶縁強度を協調させ、系統全体として安全で経済的な絶縁設計を行うことである。外部過電圧そのものを小さくすることではない。

公式正答(1) (1)が誤り

各選択肢の判断理由

  • (1) 絶縁協調は外部過電圧そのものを低減すること:誤り

    保護装置と絶縁強度の協調を図ることで、この記述が誤り。

  • (2) 避雷器は過電圧を制限し、続流を遮断して自復する:正しい

    正しい。

  • (3) 架空送電線は外部過電圧に十分耐えるとは限らない:正しい

    直撃雷すべてに耐える設計は経済的でないため、正しい。

  • (4) 内部過電圧には十分耐えるよう設計する:正しい

    正しい。

  • (5) 発変電所の機器は避雷器の制限電圧に基づいて保護レベルを決める:正しい

    正しい。

第10問・地中送電

マーレーループ法による故障点の標定

マーレーループ法はホイートストンブリッジの原理を使う。故障したケーブルAと健全なケーブルBの導体どうしを遠端で接続してループを作り、ブリッジが平衡する目盛aから故障点までの距離を求める。

公式正答(4) ホイートストン・導体・aL/500・十分低い

故障点の地絡抵抗が十分低いほど検流計に流れる電流が確保でき、標定精度がよくなる。

各選択肢の判断理由

  • (1) ホイートストン・遮へい層・aL/500・十分低い:誤り

    接続するのはケーブルの導体どうし。

  • (2) シェーリング・導体・2L−aL/500・十分高い:誤り

    シェーリングブリッジは誘電正接の測定に使う。式と地絡抵抗の条件も違う。

  • (3) シェーリング・遮へい層・2L−aL/500・十分高い:誤り

    4空欄とも違う。

  • (4) ホイートストン・導体・aL/500・十分低い:正しい

    4空欄とも正しい。

  • (5) ホイートストン・導体・aL/500・十分高い:誤り

    地絡抵抗が高いと平衡点が分かりにくくなる。

第11問・送電

交流三相方式の記述の誤り

同じ線間電圧・電力・距離・損失で送るとき、三相3線式の電線総重量は単相2線式の3/4で済む。三相方式の利点の一つである。

公式正答(2) (2)が誤り

各選択肢の判断理由

  • (1) Y結線+中性線で線間電圧と相電圧の両方を使える:正しい

    正しい。

  • (2) 電線総重量は三相3線式でも単相2線式と同等:誤り

    三相3線式は単相2線式の75 %。この記述が誤り。

  • (3) 回転磁界が得られ三相誘導電動機に便利:正しい

    正しい。

  • (4) 平衡三相の瞬時電力は一定で脈動しない:正しい

    正しい。

  • (5) 同じ出力の発電機を小形にでき効率がよい:正しい

    正しい。

第12問・送電

たるみを10 %小さくするときの水平張力

たるみはD=WS²/(8T)で、径間Sと荷重Wが同じなら水平張力Tに反比例する。

公式正答(4) T/0.9

各選択肢の判断理由

  • (1) 0.9²T:誤り

    張力を減らしている。たるみを小さくするには張力を増やす。

  • (2) 0.9T:誤り

    比例と反比例を取り違えている。

  • (3) T/√0.9:誤り

    たるみは張力の1乗に反比例する。

  • (4) T/0.9:正しい

    たるみに反比例して張力を約1.11倍にする。

  • (5) T/0.9²:誤り

    たるみは張力の2乗には反比例しない。

第13問・送電

送電損失5 %以下にする電線の最小断面積

2回線で送るので、1回線の電流は全電流の半分になる。送電損失は2回線×3線分の抵抗損で、受電電力の5 %(330 kW)以下にする。

公式正答(4) 42.8 mm²

各選択肢の判断理由

  • (1) 14.3:誤り

    電線1本の抵抗が約40 Ωになり、損失が約15 %で5 %を超える。

  • (2) 23.4:誤り

    損失が約9 %となり、5 %を超える。

  • (3) 24.7:誤り

    損失が約9 %となり、5 %を超える。

  • (4) 42.8:正しい

    損失がちょうど5 %になる断面積。

  • (5) 171:誤り

    損失は約1.3 %で、最小の断面積ではない。

第14問・電気材料

電気絶縁材料の記述の誤り

気体は液体や固体に比べて誘電率が低いので、固体中のボイド(空隙)には電界が集中しやすい。ただし気体の電気抵抗率は低くない。

公式正答(1) (1)が誤り

各選択肢の判断理由

  • (1) 気体は電気抵抗率と誘電率が低いのでボイドの電界が高まる:誤り

    誘電率が低いのは正しいが、電気抵抗率が低いという点が誤り。

  • (2) 気体は加圧か真空で絶縁破壊強度を高められる:正しい

    正しい。

  • (3) ボイド内の気体の絶縁破壊で部分放電が起きる:正しい

    正しい。

  • (4) 熱・電界・機械的応力でボイドが形成される:正しい

    正しい。

  • (5) 部分放電が続くと絶縁破壊に至ることがある:正しい

    正しい。

第15問・水力発電

比速度から求める回転速度と発電機の極数

比速度はN_s=N√P/H^{5/4}。有効落差200 mで比速度100 m·kWは、フランシス水車の範囲にある。

公式正答(4・5) (a)フランシス水車・258 min⁻¹ (b)24極・97 m·kW

(b) 50 Hzの同期速度は6000/p。24極で250 min⁻¹が258 min⁻¹に最も近い。

(a) 各選択肢の判断理由

  • (1) フランシス・217:誤り

    この回転速度では比速度が約84 m·kWになり、100と合わない。

  • (2) カプラン・217:誤り

    カプラン水車は低落差用で、回転速度も合わない。

  • (3) カプラン・258:誤り

    回転速度は合うが、落差200 mではカプラン水車は使わない。

  • (4) フランシス・258:正しい

    比速度100 m·kW・落差200 mに適した水車と回転速度。

  • (5) ペルトン・258:誤り

    ペルトン水車の比速度は小さく、100 m·kWには合わない。

(b) 各選択肢の判断理由

  • (1) 28・83:誤り

    28極は214 min⁻¹で、258 min⁻¹に最も近い24極より遠い。

  • (2) 28・97:誤り

    28極では比速度は約83 m·kWになる。

  • (3) 26・89:誤り

    26極は約231 min⁻¹で、24極の250 min⁻¹の方が近い。

  • (4) 24・83:誤り

    24極の250 min⁻¹では比速度は約97 m·kWになる。

  • (5) 24・97:正しい

    250 min⁻¹で比速度約97 m·kW。

第16問・変電

変圧器二次側の遮断電流と並行運転の負荷分担

電源と変圧器の百分率インピーダンスは同じ80 MV·Aベースなので、そのまま足して短絡電流を求める。遮断器の定格遮断電流は、短絡電流以上で最も小さいものを選ぶ。

公式正答(5・3) (a)25 kA (b)20.5 MW

(b) T_Bの百分率インピーダンスを80 MV·Aベースに直すと12.0×80/50=19.2 %。並行運転では百分率インピーダンスに反比例して負荷を分担する。

(a) 各選択肢の判断理由

  • (1) 5:誤り

    短絡電流21.2 kAを遮断できない。

  • (2) 8:誤り

    短絡電流21.2 kAを遮断できない。

  • (3) 12.5:誤り

    短絡電流21.2 kAを遮断できない。

  • (4) 20:誤り

    短絡電流21.2 kAに届かない。

  • (5) 25:正しい

    21.2 kA以上で最も小さい定格。

(b) 各選択肢の判断理由

  • (1) 15.8:誤り

    T_Bの12.0 %を容量換算せずに使ったT_Aの分担。

  • (2) 19.5:誤り

    T_Bの分担(40−20.5)。

  • (3) 20.5:正しい

    同じ容量ベースの百分率インピーダンスに反比例した分担。

  • (4) 24.2:誤り

    容量換算しない百分率インピーダンスで計算したT_Bの分担。

  • (5) 24.6:誤り

    変圧器の定格容量の比80:50で分けた値。

第17問・配電

開閉器を含む三相配電線路の電圧降下とループ電流

力率100 %の三相3線式では、線間電圧の降下はΔV=√3IRで求める。開閉器Sが開いているとき、C点へはA-D-Cの経路だけで送られる。

公式正答(4・2) (a)77.9 V (b)25.4 A

(b) Sを閉じるとA-B-C-D-Aのループになる。S(B→C)の電流をiとすると、A-B間はi+40、C-D間はi−30、D-A間はi−90(D→A向き)。ループ1周の電圧降下の和は0になる。

(a) 各選択肢の判断理由

  • (1) 41.6:誤り

    A-D-Cの電流と抵抗から求める√3×45 Vと合わない。

  • (2) 45.0:誤り

    √3を掛けていない値。

  • (3) 57.2:誤り

    √3×45≒77.9 Vと合わない。

  • (4) 77.9:正しい

    √3×(36+9)≒77.9 V。

  • (5) 90.0:誤り

    2線分(単相2線式の往復)として計算した値。

(b) 各選択肢の判断理由

  • (1) 20.0:誤り

    ループ1周の電圧降下の和が約−7 Vとなり、0にならない。

  • (2) 25.4:正しい

    33÷1.3≒25.4 A。

  • (3) 27.5:誤り

    ループ1周の電圧降下の和が約2.8 Vとなり、0にならない。

  • (4) 43.8:誤り

    ループ1周の電圧降下の和が約24 Vとなり、0にならない。

  • (5) 65.4:誤り

    A-B間の電流(i+40)。

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出典と照合

出典は一般財団法人電気技術者試験センター「第三種電気主任技術者試験の問題と解答」です。問題本文・図・選択肢は転載せず、解説は資格Hubが独自に作成しました。全17問の正答番号を公式正答と照合しています。

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