法規 全13問の解説
第1問・電気事業法
電気の使用制限を命じる要件
需給ひっ迫時に制限されるのは需要家側の使用量・最大電力・日時と、小売電気事業者等から受ける電力である。
公式正答(5) 経済産業大臣・使用電力量・使用最大電力・日時・受電
電気事業法に基づき経済産業大臣が必要な限度で命令または勧告する。供給側の量や送電ではなく、需要家の使用と受電を制限する規定である。
第2問・事故報告
感電死傷事故の速報と詳報
事故報告義務者、速報期限、速報事項、詳報期限を一組で覚える。
公式正答(3) 設置・24時間・概要・30日
自家用電気工作物を設置する者は、事故を知ってから24時間以内可能な限り速やかに概要を速報し、知った日から30日以内に様式第13の詳報を提出する。
第3問・保安原則
異常時の電位上昇と接地
接地は異常時の電位上昇や高電圧侵入による危害を防ぎ、電流を安全確実に大地へ流す措置である。
公式正答(4) 電位上昇・接地・大地に通ずる
省令の文脈は過電流遮断や絶縁ではなく、電位上昇に対する接地の役割を述べている。
第4問・接地工事
機械器具の鉄台と接地省略条件
交流の対地電圧と設置場所を組み合わせて接地省略を判断する。漏電遮断器だけで一律に省略しない。
公式正答(4) 不適切なのは(4)
乾燥した場所で使う交流対地電圧150 V以下の機器は、鉄台等の接地を省略できる。100 Vの選択肢(2)はこの条件を満たす。一方、水気のある場所で使う100 V機器は、0.1秒動作の漏電遮断器があるという(4)の条件だけでは接地を省略できない。接地抵抗値の緩和と接地工事そのものの省略は別の規定である。
各選択肢の判断理由
(1):適切
300 V以下のD種接地工事は接地抵抗100 Ω以下が原則で、90 Ωは満たす。
(2):適切
本問の100 V機器は交流対地電圧150 V以下であり、屋内の乾燥した場所に施設するため接地を省略できる。
(3):適切
低圧300 V超の440 V機器はC種接地が原則である。地絡時に0.5秒以内で自動遮断する装置がある場合は接地抵抗500 Ω以下にでき、0.1秒・300 Ωの記述はこの条件を満たす。
(4):不適切
水気のある場所では当該理由だけで鉄台の接地を省略できない。
(5):適切
高圧機器のA種接地線として直径2.6 mm軟銅線は所要太さを満たす。
第5問・絶縁性能
低圧配電線の許容漏えい電流
最大供給電流を変圧器容量と二次電圧から求め、その2,000分の1を1線当たりの上限とする。
公式正答(4) 2,000分の1・0.357 A
本問は二次105 Vの単相2線式1回線である。最大供給電流は75 kV·A÷105 Vで求める。流れる電流を往復2本の電線で2分することはなく、この電流の2,000分の1が各電線1線当たりの漏えい電流上限となる。
Imax=10575000=714.3 A
Ileak=2000714.3=0.357 A
各選択肢の判断理由
(1):誤り
規定の比率が2,000分の1ではなく1,000分の1になっている。
(2):誤り
比率と数値の双方が過大である。
(3):誤り
1,500分の1という規定ではない。
(4):正しい
714.3 Aの2,000分の1は0.357 Aとなる。
(5):誤り
0.179 Aは0.357 Aをさらに2分した値である。単相2線式でも負荷電流は両線に同じ大きさで流れ、1線当たりの上限を2分しない。
第6問・高圧電線路
高圧屋側電線路の施設条件
高圧屋側電線路は展開した場所へケーブルで施設し、支持点間隔は側面・下面2 m、垂直6 m以下とする。
公式正答(2) 展開した場所・ケーブル・2 m・6 m
接触防護措置はケーブルに施す。絶縁電線を使う組合せや、点検できる隠蔽場所とする組合せは規定と一致しない。
各選択肢の判断理由
(1):誤り
施設場所と垂直支持点間隔が異なる。
(2):正しい
展開した場所、ケーブル、2 m、6 mが規定どおりである。
(3):誤り
高圧屋側電線には絶縁電線ではなくケーブルを用いる。
(4):誤り
施設場所、電線種別、支持点間隔が一致しない。
(5):誤り
垂直取付け時の支持点間隔は10 mではなく6 m以下である。
第7問・国際規格
IEC 60364方式と従来方式の混用条件
供給設備との整合対象は接地工事である。設問の例外①では、変圧器を非接地式高圧電路に接続し、低圧回路の接地抵抗値を2 Ω以下とする。
公式正答(5) 接地工事・非接地式・2 Ω
IEC関連規定と従来方式は同一の電気使用場所で原則として混用しない。本問が示す例外は二つあり、①非接地式高圧電路に接続された変圧器の低圧回路の接地抵抗値が2 Ω以下の場合と、②第18条第1項に従い工作物の金属体を利用して両方式の設備の接地工事を施す場合である。空欄(イ)(ウ)は①の条件を問う。例外により両方式の設備を同じ場所へ施設する場合も、表示等で識別できるようにする。
第8問・感電・火災防止
架空電線・移動電線・非常用予備電源
各設備で防ぐ危険と、表示・電源分離が必要となる対象を条文どおりに対応させる。
公式正答(1) 感電・感電又は火災・一般用電気工作物・需要場所以外の場所
架空電線では感電、移動電線の接続不良では感電または火災を防ぐ。一般用電気工作物の燃料電池は運転表示が必要で、非常用予備電源は需要場所以外の常用電路とも接続しない。
各選択肢の判断理由
(1):正しい
四つの語が省令の感電・火災防止規定に一致する。
(2):誤り
架空電線、燃料電池、電源分離の語が一致しない。
(3):誤り
移動電線では火災だけでなく感電も防止対象となる。
(4):誤り
架空電線と燃料電池の対象が異なる。
(5):誤り
移動電線と非常用予備電源の条件が異なる。
第9問・電気自動車
V2H設備の直流電路保護
対地電圧150 Vを超える例外では、直流450 V以下、非接地、交流側の絶縁変圧器、地絡時遮断を組み合わせる。
公式正答(2) 450 V・非接地・絶縁変圧器・地絡
原則の対地電圧上限150 Vを超えるための、本問の例外条件を確認する。直流の対地電圧を450 V以下とし、供給設備を低圧配線へ直接接続する。直流電路は非接地とし、電力変換装置の交流側に絶縁変圧器を置く。車両と供給設備間の電路には、地絡時の自動遮断と、電線切断時に電気の供給を自動的に遮断する装置を設ける。
第10問・高圧受電設備
単線結線図の継電器と計器
零相検出系、CT二次の電流保護系、電力・電圧・電流と組み合わせる計器系を図上で分ける。
公式正答(5) 地絡継電器・過電流継電器・力率計
図は左右にスクロールできます。 資格Hub作成。入力信号から機器を識別する簡略図です。正式な単線結線図の接続位置は公式問題PDFで確認してください。(ア)は受電点の零相変流器(ZCT)や零相電圧検出部に接続される地絡検出系にあり、地絡継電器となる。(イ)は電流を取り出す変流器(CT)二次側に接続され、遮断器の開放へ働くので過電流継電器である。(ウ)には計器用変圧器(PT)側の電圧とCT側の電流の両方が入力されるため、電圧と電流の位相関係を測る力率計が入る。
第11問・接地測定
棒状接地極の長さと補助極配置
棒状接地極の抵抗式へ候補長さを代入する。補助極配置では被測定極E、電圧用S、電流用Hの順序と間隔を確認する。
公式正答(4・4) (a)1.5 m・(b)E-S-Hを10 m間隔で直線配置
R=2πLρlnd4L,ρ=150 Ω⋅m, d=0.014 m
候補長さを代入すると1.2 mでは約116 Ω、1.5 mでは約96 Ωとなるため最小候補は1.5 mである。
補助極配置は選択肢(4)のE—10 m—S—10 m—Hが最も適切である。電圧用SをEと電流用Hの間へ置き、各極を十分離す。ここで各10 mとするのは本問の選択肢に示された配置であり、あらゆる接地測定で必ず10 mとする意味ではない。
(a) 各選択肢の判断理由
(1)0.7 m:誤り
接地極が短く100 Ω以下にならない。
(2)1.0 m:誤り
必要抵抗値を満たさない。
(3)1.2 m:誤り
計算値は約116 Ωで100 Ωを上回る。
(4)1.5 m:正しい
約96 Ωとなる最小の選択肢である。
(5)2.0 m:誤り
100 Ω以下にはなるが最小長さではない。
第12問・絶縁耐力試験
高圧CVケーブルの充電電流と補償
交流試験電圧、全長の対地静電容量、充電電流を順に求める。変圧器が負担できない電流分をリアクトルで補償する。
公式正答(2・3) (a)1.17 A・(b)3台
最大使用電圧6.9 kVのケーブルには、その1.5倍の交流試験電圧を印加する。補償リアクトルはケーブルの対地容量と並列で、誘導性電流が容量性の充電電流を打ち消す。必要台数は、両電流の差が試験用変圧器の容量から求める許容電流以内になるように選ぶ。
Vt=1.5×6.9=10.35 kV,C=0.45×0.8=0.36 μF
IC=2πfCVt=2π×50×0.36×10−6×10350=1.17 A
IT=10.355≈0.483 A,N≥0.2701.17056−0.48309≈2.55
第13問・支持物
併架電線路の支線張力と素線径
電線張力による地際モーメントを支線取付け高さへ換算し、支線角度から張力を出す。安全率を掛けた必要破断荷重から素線径を選ぶ。
公式正答(4・3) (a)25.4 kN・(b)2.6 mm
図は左右にスクロールできます。 資格Hub作成。9 kNと4 kNの地際モーメントを支線の水平分力で支え、6–8–10 mの比から斜めの張力を求めます。高圧電線の9 kNは地上10 m、低圧電線の4 kNは地上8 mに作用し、支線も地上8 mに取り付ける。支線の地表水平距離は6 m、長さは10 mなので、張力の水平成分は6/10=0.6倍となる。地際まわりのモーメントのつり合いから支線取付点の水平力Hを求める。
H=89×10+4×8=15.25 kN
T=0.615.25=25.4 kN
A1=1.23×71.5×25.4167≈4.43 mm2,d=π4A1≈2.37 mm (a) 各選択肢の判断理由
(1)13.0 kN:誤り
高圧・低圧電線のモーメントを支えられない。
(2)15.3 kN:誤り
取付点の水平合力であり、支線の斜め張力へ換算していない。
(3)19.1 kN:誤り
支線角度の水平成分が一致しない。
(4)25.4 kN:正しい
水平合力15.25 kNを支線の水平成分0.6で割った値である。
(5)38.1 kN:誤り
安全率1.5を掛けた必要破断荷重で、実際の支線張力ではない。
(b) 各選択肢の判断理由
(1)2.0 mm:誤り
7本の総破断荷重が安全率込みの必要値に届かない。
(2)2.3 mm:誤り
計算で必要となる直径約2.37 mmを下回る。
(3)2.6 mm:正しい
計算径以上となる最小の選択肢である。
(4)2.9 mm:誤り
強度は満たすが最小径ではない。
(5)3.5 mm:誤り
必要強度に対して過大である。