電力 全17問の解説
第1問・水力発電
水力発電所の分類
設備構造による分類と水の利用方法による分類を分ける。水路式は落差を得る構造で、流込み式は河川流量の利用方法を示す。
公式正答(3) 落差・流量・流込み式・高落差を得にくい・調整池式
水力発電所は落差を得る方法で水路式・ダム式・ダム水路式に分かれ、流量の利用方法で流込み式・調整池式・貯水池式・揚水式に分かれる。
水路式は長い水路で落差を得るため地形の制約を受け、高落差を得にくい。短期間の流量調整ができる池を持つ方式は調整池式である。よって正答は(3)。
各選択肢の判断理由
(1):誤り
流速で分類せず、自然放流式やダム式という組合せも分類軸と一致しない。
(2):誤り
落差を得る方法の空欄へ流速を入れている。
(3):正しい
五つの空欄が水力発電所の二つの分類軸と調整池式の定義に一致する。
(4):誤り
分類軸が逆で、水路式が高落差を得やすいとも限らない。
(5):誤り
短期間の流量調整を行うのは貯水池式ではなく調整池式である。
第2問・水力発電
水の運動エネルギー密度
質量mの運動エネルギーを体積Vで割り、m/Vを密度ρへ置き換える。
公式正答(1) 1/2 ρv² J/m³
VEk=V1⋅21mv2=21ρv2
単位は kg/m³×m²/s²=J/m³となるため、正答は(1)。
各選択肢の判断理由
(1) 1/2 ρv²:正しい
運動エネルギーを単位体積へ換算した式で、単位もJ/m³になる。
(2) 1/2 ρ²v:誤り
密度と速度の次数が異なり、J/m³の次元にならない。
(3) 2ρv:誤り
速度は二乗でなければならない。
(4) √(2ρv):誤り
平方根を取る根拠がなく、エネルギー密度の次元にもならない。
(5) 1/2 ρ²v²:誤り
密度を二乗すると単位体積当たりのエネルギーではなくなる。
第3問・火力発電
汽力発電所の保護装置
異常の種類と、実際に事故を止める装置を対応させる。圧力上昇時に蒸気を放出するのは安全弁である。
公式正答(4) a・b・d・eが適切、cが不適切
過速度には非常調速機、水循環不良には燃料遮断、軸受油圧低下にはタービントリップ、固定子巻線内部短絡には比率差動継電器を用いる。
cだけが不適切である。ボイラ圧力が限度を超えたときに蒸気を放出する装置は安全弁であり、蒸気加減弁ではない。よって正答は(4)。
第4問・原子力発電
高速増殖炉と核融合炉
高速増殖炉では高速中性子を利用し、ウラン238からプルトニウム239を生成する。熱中性子による核分裂という説明を混ぜない。
公式正答(1) 誤っているのは(1)
ウラン238は中性子を吸収した後、β崩壊を経てプルトニウム239になる。高速増殖炉は高速中性子を利用するため、(1)の『速度の遅い熱中性子を吸収して核分裂』が誤りである。
第5問・発電機
誘導発電機の系統並列特性
誘導発電機は構造と運転操作が簡単だが、系統から励磁無効電力を受ける。並列投入時の電流は小さいとは限らない。
公式正答(5) 誤っているのは(5)
誘導機は回転磁界より回転子を速く回す負の滑りで発電する。一般的なかご形誘導発電機は系統から励磁を受け、直接並列では突入電流が大きくなり得る。したがって(5)が誤り。
各選択肢の判断理由
(1):正しい
かご形誘導機は構造が簡単で、同期機のような直流励磁装置を要しない。
(2):正しい
同期投入の位相合わせを必要とせず、運転操作が比較的簡単である。
(3):正しい
発電時も回転磁界と回転子速度の間に滑りがある。
(4):正しい
通常は系統から励磁無効電力を受けるため、単独運転には別の励磁条件が必要となる。
(5):誤り
直接並列時には大きな突入電流が流れ得る。
第6問・変電設備
酸化亜鉛形ギャップレス避雷器
酸化亜鉛素子は通常電圧では高抵抗、過電圧では低抵抗になる強い非線形特性を持つ。
公式正答(1) 波高値・ZnO・非線形・続流・ギャップレス
避雷器は過電圧の波高値が動作レベルを超えると放電し、ZnO素子の非線形抵抗特性でサージ電流を大地へ流す。放電後は続流を遮断でき、発変電所ではギャップレス形が用いられる。
各選択肢の判断理由
(1):正しい
五つの空欄が現在主流のZnOギャップレス避雷器の動作に一致する。
(2):誤り
動作基準は波頭長ではなく波高値で、遮断対象も制限電圧ではなく続流である。
(3):誤り
特性要素はSF6ではなくZnOで、抵抗特性も線形ではない。
(4):誤り
ZnO素子の抵抗特性を線形としている。
(5):誤り
波頭長とSF6の組合せが避雷器の動作原理に合わない。
第7問・配電保護
非接地配電線の地絡保護
外部地絡時の不要動作は、構内高圧ケーブルが長く対地静電容量が大きい場合に問題となる。
公式正答(3) 誤っているのは(3)
地絡過電流継電器は零相電流の方向を判別しない。構内ケーブルが長いと対地充電電流が増え、外部地絡でも零相電流が大きくなって不要動作しやすい。『こう長が短い場合』とする(3)が誤り。
各選択肢の判断理由
(1):正しい
ZCTによる零相電流検出と、零相電圧を併用する方向保護の説明である。
(2):正しい
時限順送式は健全区間を順次再送電して停電範囲を限定する。
(3):誤り
不要動作が問題になるのは一般にケーブルが長く、対地静電容量と零相充電電流が大きい場合である。
(4):正しい
配電用変電所では零相電圧と零相電流の方向関係を用いて地絡線を選別する。
(5):正しい
短絡や過負荷の保護には過電流継電器を用いる。
第8問・送電線
架空送電線の振動対策
微風でカルマン渦により生じる高周波・小振幅の振動は微風振動である。サブスパン振動は多導体の素導体間で生じる。
公式正答(4) 誤っているのは(4)
(4)は現象名を取り違えている。一様な微風による渦励振は微風振動で、ストックブリッジダンパなどで抑制する。サブスパン振動はスペーサ間の素導体に生じる振動である。
各選択肢の判断理由
(1):正しい
アークホーンは放電経路を形成し、がいし表面の損傷を抑える。
(2):正しい
遮へい角が小さいほど電力線を架空地線の保護範囲へ入れやすい。
(3):正しい
多導体化は表面電界を下げ、スペーサは素導体間隔を保持して振動抑制にも役立つ。
(4):誤り
記述された発生機構はサブスパン振動ではなく微風振動である。
(5):正しい
塔脚接地抵抗を下げると雷撃時の鉄塔電位上昇を抑え、逆フラッシオーバを減らせる。
第9問・雷害対策
逆フラッシオーバの発生条件
逆フラッシオーバは鉄塔や架空地線への雷撃で鉄塔電位が上昇し、鉄塔側から電力線側へ放電する現象である。
公式正答(3) 誤っているのは(3)
塔脚接地抵抗の低減が効くのは鉄塔・架空地線への雷撃で生じる逆フラッシオーバである。(3)は電力線への雷撃と結び付けているため誤り。
各選択肢の判断理由
(1):正しい
回線間で絶縁強度に差を設け、同時事故を避ける方法が不平衡絶縁である。
(2):正しい
架空地線の多条化は結合率を高め、がいし間電圧を抑える。
(3):誤り
塔脚接地抵抗低減は主に鉄塔・架空地線への雷撃で生じる逆フラッシオーバ対策である。
(4):正しい
送電用避雷装置はがいし間電圧を制限して事故を抑える。
(5):正しい
遮へい角を小さくすると架空地線による直撃雷遮へい効果が高まる。
第10問・地中送電
地中ケーブルの布設方式
熱放散、増設性、復旧性、外傷リスクを別々に比較する。管路へ多条布設すると熱がこもりやすい。
公式正答(5) 誤っているのは(5)
管路式はケーブル周囲の熱抵抗と多条布設による相互加熱の影響を受ける。直接埋設や暗きょより熱放散が良いとはいえず、送電容量の制約も受けるため(5)が誤り。
各選択肢の判断理由
(1):正しい
一般に構造物が少ない直接埋設式が最も安く短工期で、暗きょ式が最も高価になる。
(2):正しい
直接埋設式は事故点の掘削が必要で復旧に時間を要しやすい。
(3):正しい
直接埋設式は掘削工事などによる外傷リスクが比較的大きい。
(4):正しい
空き管路や暗きょ空間を用意できれば増設しやすい。
(5):誤り
管路式は熱放散が特に良い方式ではなく、多条布設では許容電流を低減する必要がある。
第11問・直流送電
直流送電の絶縁と系統連系
同じ実効値なら交流の波高値は実効値の√2倍で、一定値の直流より高い。
公式正答(4) 誤っているのは(4)
同じ実効値で直流の最大値が交流より高いという(4)は逆である。
各選択肢の判断理由
(1):正しい
交直変換を介するため非同期系統や異周波数系統を連系できる。
(2):正しい
直流線路は交流安定度の制約を受けず、長距離大電力送電に適する。
(3):正しい
自然な電流零点がないため直流故障電流の遮断は技術的に難しい。
(4):誤り
同じ実効値では交流の波高値が√2倍になり、直流値より高い。
(5):正しい
変換所が必要で、他励式変換器では高調波と無効電力への対策を要する。
第12問・短絡計算
変圧器二次側遮断器の定格遮断電流
電源と変圧器の百分率インピーダンスを同一基準容量で直列加算し、短絡電流を求めた後に標準定格へ切り上げる。
公式正答(3) 20.0 kA
Z%=1.1+10.6=11.7 %
In=3×6.6×10320×106=1.75 kA Is=In11.7100=14.95 kA
遮断器の定格遮断電流は想定短絡電流以上が必要なので、選択肢中の上位標準値20.0 kAを選ぶ。
各選択肢の判断理由
(1) 260.0 kA:誤り
合成百分率インピーダンス11.7%から求める短絡電流は14.95 kAであり、260.0 kAはこの値から大きく離れる。
(2) 6.0 kA:誤り
計算短絡電流14.95 kAを遮断できない。
(3) 20.0 kA:正しい
14.95 kA以上となる選択肢中の適切な定格値である。
(4) 2.6 kA:誤り
定格電流と短絡電流を混同している。
(5) 1.5 kA:誤り
定格負荷電流に近い値で、短絡遮断能力として不足する。
第13問・力率改善
変圧器容量内で増設できる負荷
力率改善後の変圧器皮相電力を定格200 kV·Aへ合わせる。増設負荷の有効電力は皮相電力の0.6倍である。
公式正答(3) 66.7 kV·A
0.8120+0.6S=200
S=0.6160−120=66.7 kV⋅A
したがって正答は(3)。
各選択肢の判断理由
(1) 93.3:誤り
改善後の力率0.8を増設負荷だけへ適用した値である。
(2) 120:誤り
有効電力と皮相電力の区別ができていない。
(3) 66.7:正しい
合計有効電力160 kWとなり、力率0.8で定格200 kV·Aを使い切る。
(4) 160:誤り
これは改善後に許される合計有効電力で、増設負荷の皮相電力ではない。
(5) 40:誤り
増加できる有効電力40 kWをそのまま皮相電力としている。
第14問・磁性材料
ヒステリシス損と渦電流損
磁束変化で誘導起電力と循環電流が生じる損失は渦電流損である。ヒステリシス損は磁区反転に伴う。
公式正答(3) 誤っているのは(3)
(3)は渦電流損の発生機構をヒステリシス損と呼んでいるため誤り。ヒステリシス損はB-Hループ面積と周波数に比例する。
各選択肢の判断理由
(1):正しい
鉄・ニッケル・コバルトと多くの合金は代表的な強磁性体である。
(2):正しい
交流磁界ではヒステリシス損と渦電流損を合わせた鉄損が生じる。
(3):誤り
磁束変化による起電力と電流で生じるのは渦電流損である。
(4):正しい
1周期の損失はB-Hループ面積に対応し、単位時間の損失は周波数にも比例する。
(5):正しい
薄い絶縁鋼板を磁束方向へ平行に積層し、渦電流経路を細分化する。
第15問・火力発電
重油火力の発電端効率とCO₂排出量
発電量をkJへそろえて熱効率を求める。CO₂量は燃料消費量、炭素質量、分子量比44/12の順で計算する。
公式正答(4・3) (a)40.5%・(b)8.16×10³ t
η=9.1×106×4400045000×3.6×106×100=40.46 %
mf=0.45×44000600×24×3.6×106=2.618×106 kg
mCO2=2618×0.85×1244=8.16×103 t
第16問・配電計算
電圧降下と力率変化後の供給電力
三相線路の電圧降下から電流を求める。線路損失が同じなら電流の大きさも同じである。
公式正答(4・2) (a)213 kW・(b)243 kW
R=0.5×5=2.5 Ω,X=0.4×5=2.0 Ω
150=3I(2.5×0.7+2.01−0.72) I=27.25 A,W1=10003×6450×27.25×0.7≃213 kW V2≃6600−3×27.25(2.5×0.8+2.0×0.6)=6449 V W2≃10003×6449×27.25×0.8=243.5 kW 線路損失一定から電流の大きさは変わらない。力率が変わると受電端電圧もわずかに変わるため、送り出し電圧6600 Vから電圧降下を引き直す。最も近い選択肢は243 kWである。
(a) 各選択肢の判断理由
(1)369:誤り
線間電圧と相電圧または力率の扱いが不適切。
(2)180:誤り
抵抗分とリアクタンス分を含む電圧降下式で電流27.25 Aを求めると、供給電力は213 kWとなり180 kWにはならない。
(3)123:誤り
三相係数と力率の扱いが不足する。
(4)213:正しい
電圧降下式からI=27.25 Aを得て三相有効電力を計算した値。
(5)240:誤り
力率0.8の後段値に近く、初期力率0.7と一致しない。
第17問・配電計算
分岐負荷の電流成分と末端電圧
各負荷電流を有効成分と無効成分へ分解し、区間ごとに流れる成分を使って電圧降下を積み上げる。
公式正答(3・1) (a)220 A・(b)6,020 V
Ip,SA=200×0.8+100×0.6=220 A
Iq,SA=200×0.6+100×0.8=200 A
ΔVSA=3(0.6×220+0.6×200)=436.5 V ΔVAB=3(0.6×60+0.6×80)=145.5 V VB=6600−436.5−145.5=6018 V≈6020 V