機械 全18問の解説
第1問・直流機
直流分巻電動機の速度・トルク特性
端子電圧と界磁抵抗が一定なら磁束はほぼ一定である。トルクは電機子電流に比例し、速度は電機子抵抗の電圧降下で緩やかに低下する。
公式正答(5) 図(5)
負荷電流が無負荷電流I₀を超えた分が主に電機子電流の増加となるため、トルクはI₀付近からほぼ直線的に増える。回転速度は負荷電流とともにわずかに下がる。
各選択肢の判断理由
図(1):誤り
負荷電流が増えるほどトルクが低下し、回転速度が上昇している。分巻機のトルク増加と速度低下の向きがともに逆である。
図(2):誤り
トルクの増加と速度の低下という向きは合うが、回転速度が大きく低下する。分巻機は磁束がほぼ一定のため、速度変動が小さい。
図(3):誤り
トルクが負荷電流に対して曲線的に急増し、回転速度も大きく低下する。磁束がほぼ一定の分巻機ではトルクはほぼ直線的に増加する。
図(4):誤り
負荷電流が増えるほど回転速度が上昇し、トルクが低下している。分巻機の速度低下とトルク増加の向きがともに逆である。
図(5):正しい
速度は緩やかに低下し、トルクはI₀付近から増加する。
第2問・直流機
永久磁石直流電動機の負荷時回転数
銅損から電機子抵抗を求める。磁束一定なので回転速度は逆起電力に比例する。
公式正答(4) 2,625 min⁻¹
Ra=223=0.75 Ω,E=12−2×0.75=10.5 V
n=3000×1210.5=2625 min−1
第3問・誘導機
誘導電動機の始動方式
巻線形、かご形、単相誘導電動機について、二次抵抗・一次電圧・補助巻線の役割を分ける。
公式正答(4) 1・スリップリング・始動補償器・インバータ・位相
巻線形はスリップリングから二次抵抗を追加して最大トルク点を滑り1付近へ移す。かご形は始動補償器やインバータで始動電流を抑える。単相機は主巻線と位相の異なる補助巻線電流で始動トルクを作る。
各選択肢の判断理由
(1):誤り
かご形の一次電圧低減機器と単相機の電流差が異なる。
(2):誤り
最大トルク点を滑り0へ置かず、巻線形には整流子を使わない。
(3):誤り
滑りと単相機の電流差が異なる。
(4):正しい
五つの語が三種類の始動原理に一致する。
(5):誤り
巻線形誘導機の二次回路は整流子ではなくスリップリングから引き出す。
第4問・誘導機
Y-Δ始動トルクから定格トルクを求める
Y始動時の相電圧はΔ全電圧時の1/√3で、トルクは電圧二乗に比例するため1/3になる。
公式正答(5) 70.0 N·m
TΔ,start=3×49.0=147 N⋅m
TN=2.10147=70.0 N⋅m
各選択肢の判断理由
(1)16.3:誤り
Y始動とΔ始動のトルク比をさらに小さく扱っている。
(2)23.3:誤り
49.0 N·mを2.10で割っただけで、Y始動の1/3を戻していない。
(3)28.3:誤り
電圧比とトルク比の扱いが一致しない。
(4)40.4:誤り
Δ全電圧始動トルク147 N·mとの比が2.10にならない。
(5)70.0:正しい
147 N·mを定格トルクの210%として換算した値である。
第5問・同期機
同期電動機の自己始動
制動巻線による誘導機始動と、同期速度付近での直流励磁による引込みを順に見る。
公式正答(3) 制動巻線・かご形誘導電動機・界磁巻線・直流
磁極面の制動巻線はかご形回転子と同様に誘導トルクを生じる。始動中は界磁巻線を抵抗で短絡して誘導高電圧を抑え、同期速度付近で直流励磁へ切り替える。
各選択肢の判断理由
(1):誤り
補償巻線ではなく制動巻線で、最終励磁は交流ではない。
(2):誤り
制動巻線の起動原理は巻線形ではなくかご形誘導電動機に対応する。
(3):正しい
制動巻線、かご形誘導機、界磁巻線、直流の対応が正しい。
(4):誤り
始動時に抵抗で短絡するのは固定子巻線ではない。
(5):誤り
巻線名称と短絡する巻線が異なる。
第6問・同期機
同期発電機の同期インピーダンス
短絡特性を界磁電流500 Aへ比例換算し、無負荷相電圧をその短絡電流で割る。
公式正答(4) 2.04 Ω
Is=860×100500=4300 A
各選択肢の判断理由
(1)10.2 Ω:誤り
短絡電流を界磁電流500 Aへ比例換算していない。
(2)6.86 Ω:誤り
線間値・相値または界磁電流比が一致しない。
(3)3.53 Ω:誤り
線間電圧15.2 kVを相電圧へ直さず4300 Aで割った値である。同期インピーダンスは相電圧15.2/√3 kVから求める。
(4)2.04 Ω:正しい
相電圧8.78 kVを短絡電流4.30 kAで割った値である。
(5)0.55 Ω:誤り
電圧と短絡電流の対応が一致しない。
第7問・特殊機
ステッピングモータのパルス応答
パルス数は位置、パルス周波数は速度を決める。永久磁石形は無通電でもディテントトルクを持つ。
公式正答(3) パルス数・回転角度・周波数・ステップ角・保持する力
入力パルス数に比例した回転角度だけ動き、周期パルスの周波数に比例した速度で回る。1パルスの移動量がステップ角で、永久磁石形には位置を保持する力が働く。
各選択肢の判断理由
(1):誤り
パルス数が直接決めるのは回転速度ではなく回転角度である。
(2):誤り
速度はパルス幅でなく周波数に比例し、名称と保持特性も異なる。
(3):正しい
五つの語がステッピングモータの位置・速度特性に一致する。
(4):誤り
入力の周波数は速度を決め、パルス幅が位置を決めるわけではない。
(5):誤り
位置制御、速度制御、1ステップの名称がすべて異なる。
第8問・電力用コンデンサ
誘電体特性と保守点検
小形で損失が少なく絶縁に強い誘電体の条件と、外観中心の日常点検・測定中心の特別点検を対応させる。
公式正答(2) 高く・小さく・高い・日常・特別
誘電率は高く、誘電正接は小さく、絶縁抵抗と絶縁耐力は高いことが望ましい。油漏れなどは日常点検、静電容量・損失・絶縁抵抗・耐電圧は特別点検で確認する。
第9問・変圧器
短絡試験から漏れリアクタンスを求める
短絡インピーダンスと等価抵抗を測定値から求め、直角三角形で漏れリアクタンスを分離する。
公式正答(3) 4.77 Ω
Z=30150=5.00 Ω,R=3021350=1.50 Ω
X=Z2−R2=5.002−1.502=4.77 Ω 第10問・パワーエレクトロニクス
パワー半導体の逆方向電流
各素子がゲートでターンオフできるか、逆方向電流を本体または並列・内蔵ダイオードが担うかを分ける。
公式正答(3) 誤っているのは(3)
サイリスタはゲート電流を除いても保持電流以上の順電流で導通を続けるが、続いて逆方向電流を流せるわけではない。逆電圧で消弧し、逆方向は阻止するため(3)が誤り。
各選択肢の判断理由
(1):正しい
IGBTの逆方向電流は逆並列ダイオードが担う。
(2):正しい
ダイオードは印加極性で導通状態が決まり、順方向回路条件に応じた電流が流れる。
(3):誤り
サイリスタ本体は順導通後に逆方向電流を継続して流す素子ではない。
(4):正しい
MOSFETのボディーダイオードはゲートオフでも逆方向電流経路になる。
(5):正しい
IGBTはゲート電圧で順方向のオン・オフを制御できる。
第11問・機械力学
減速機後の回転速度・トルク・動力
減速比で速度を下げ、トルクを増やす。効率は出力側トルクまたは動力へ掛ける。
公式正答(5) 200 min⁻¹・576 N·m・12.1 kW
nL=61200=200 min−1,TL=100×6×0.96=576 N⋅m
PL=602πnLTL×10−3=12.1 kW
第12問・電熱
炉壁の温度勾配と熱損失
一次元定常熱伝導として、熱伝導率へ温度差を距離差で割った温度勾配を掛ける。
公式正答(2) 329 W/m²
q=λΔxΔT=0.94×0.30−0.10142−72=329 W/m2
各選択肢の判断理由
(1)1,490:誤り
距離差0.20 mまたは熱伝導率の扱いが一致しない。
(2)329:正しい
温度勾配350 K/mへ0.94 W/(m·K)を掛けた値である。
(3)165:誤り
計算値をさらに2分している。
(4)14.9:誤り
温度差70 Kを距離差0.20 mで割った温度勾配350 K/mと、熱伝導率0.94 W/(m·K)の積329 W/m²に一致しない。
(5)3.29:誤り
距離の単位換算で100倍の誤差がある。
第13問・自動制御
複合フィードバック系の伝達関数
二つの前向きブロックと共通フィードバック経路について、加算点ごとに信号式を立てて消去する。
公式正答(3) 選択肢(3)
e=R−G3C,C=G1e−G2e=(G1−G2)e
R(jω)C(jω)=1+G1G3−G2G3G1−G2
各選択肢の判断理由
(1):誤り
前向き側の加算点でG₂経路を減算する関係が反映されていない。
(2):誤り
G₁とG₂は直列積ではなく、並列経路の差として働く。
(3):正しい
前向き経路G₁−G₂と、外側の負帰還G₃を正しく反映している。
(4):誤り
G₁・G₂の加算と積を混在させ、二つの加算点の符号に合わない。
(5):誤り
第二加算点の減算経路G₂が分子・分母へ反映されていない。
第14問・情報処理
フローチャートの反復計算
AへBを加え、Aが40以下の間だけB=2B+1としてループする。判定を外れた時点の値を出力する。
公式正答(3) A=51・B=23
値の推移は(A,B)=(12,5)→(17,11)→(28,23)→(51,23)である。A=51で条件A≦40が偽となり、そのまま印字する。
第15問・変圧器
最大効率条件から鉄損・全負荷銅損を求める
3/4負荷で鉄損と銅損が等しい。効率からその時点の総損失を求め、銅損の負荷率二乗比例で全負荷へ戻す。
公式正答(5・2) (a)344 W・(b)611 W
Po=50×43=37.5 kW,Ploss=37.5(0.9821−1)=0.687 kW
Pi=Pcu,0.75=20.687=0.344 kW
Pcu,1.0=343.686(0.751)2≃611 W
(a) 各選択肢の判断理由
(1)536 W:誤り
効率から得る総損失または二等分が一致しない。
(2)472 W:誤り
出力37.5 kWと効率98.2%から得る値ではない。
(3)425 W:誤り
3/4負荷時の鉄損・銅損等価条件を正しく使っていない。
(4)382 W:誤り
入力・出力差の扱いが一致しない。
(5)344 W:正しい
総損失687 Wを鉄損と銅損へ二等分した値である。
第16問・整流回路
三相ダイオード整流器の損失と出力電圧
一素子の通電率1/3で導通損失を出す。直流平均電圧から転流リアクタンス降下と直列2素子の順電圧降下を引く。
公式正答(5・4) (a)12 W・(b)262 V
PD=VFId×31=1.0×36×31=12 W
XL=2πfL=2π×50×5.56×10−4=0.1747 Ω
Vd=π32200−π3(0.1747)(36)−2=262.1 V 第17問・照明
無限長直線光源の光束発散度と直下照度
単位長さ当たり光束を円筒表面積で割って光束発散度を求める。完全拡散性の無限長円筒光源の直下照度式を使う。
公式正答(4・4) (a)26.5×10³ lm/m²・(b)159 lx
M=π×0.0363000=2.65×104 lm/m2
Eh=2hMd=2×3(2.65×104)×0.036=159 lx
第18問・自動制御
一次遅れ系の周波数伝達関数とボード線図
一次遅れ系の直流ゲインと時定数から、低周波ゲイン、折れ点角周波数、高周波側傾きを読む。
公式正答(2・2) (a)10/(1+j0.2ω)・(b)図(2)
W(jω)=1+jωTK=1+j0.2ω10
20log1010=20 dB,ωb=T1=5 rad/s
折れ点以後の折線近似は−20 dB/decで低下する。
(a) 各選択肢の判断理由
(1):誤り
分子が1で直流ゲイン10を反映していない。
(2):正しい
K=10、T=0.2 sを一次遅れ形へ代入した式である。
(3):誤り
時定数を5 sとしており折れ点が0.2 rad/sになる。
(4):誤り
分子に50ωがあり、ω=0でゲインが0になる。求める系の直流ゲイン10と時定数0.2 sを満たさない。
(5):誤り
分子が周波数依存となる微分要素で、一次遅れ系ではない。
(b) 各選択肢の判断理由
図(1):誤り
折れ点が0.2 rad/sで時定数0.2 sと逆になっている。
図(2):正しい
低周波20 dB、折れ点5 rad/s、その後−20 dB/decを示す。
図(3):誤り
低周波ゲインまたは傾きが一次遅れ系と一致しない。
図(4):誤り
折れ点5 rad/sと高周波側−20 dB/decは合っているが、低周波ゲインが0 dBである。K=10に対応する20 dBが必要になる。
図(5):誤り
折れ点0.5 rad/sは1/Tと一致しない。