2025年8月31日実施・全17問

令和7年度上期 電験三種
電力の解答・解説

発電、変電、送配電、電気材料を扱います。 公式問題を開きながら、全問の考え方と途中式を無料で確認できます。

公式問題・正答

問題本文と公式図は転載していません。次の公式PDFを開き、問番号を合わせて解説を読んでください。本文中の説明図は資格Hubが独自に作成したものです。

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電力 全17問の解説

第1問・水力発電

理論水力の単位

密度、重力加速度、流量、有効落差の単位を順に掛け、力、仕事、仕事率へ読み替える。

公式正答(2) kg·m/s²・N・J・W・kW

水の密度1000 kg/m³と重力加速度9.8 m/s²を代入するとP=9.8QH kWとなる。

各選択肢の判断理由

  • (1):誤り

    kg·mは力にならず、Pa、W、Jの対応も逆である。

  • (2):正しい

    力N、仕事J、仕事率Wの単位変換と、最終単位kWがすべて一致する。

  • (3):誤り

    kg·m/s²はNでありPaではない。

  • (4):誤り

    最初の単位に毎秒二乗がなく、力の次元にならない。

  • (5):誤り

    WとJを入れ替えており、最終単位もkJではない。

第2問・火力発電

蒸気タービンの使用蒸気量

タービン出力を効率考慮後の単位質量当たり有効熱落差で割る。最後にkg/sからt/hへ換算する。

公式正答(5) 403 t/h

各選択肢の判断理由

  • (1) 86 t/h:誤り

    効率または時間換算を誤った小さすぎる値である。

  • (2) 112 t/h:誤り

    kg/sで得た111.9をt/hへ換算していない。

  • (3) 248 t/h:誤り

    有効熱落差と出力の対応が一致しない。

  • (4) 341 t/h:誤り

    タービン効率の扱いが逆である。

  • (5) 403 t/h:正しい

    111.9 kg/sをt/hへ直した402.8 t/hの近似値である。

第3問・火力発電

汽力発電設備を流れる媒体の順序

水・蒸気系統と燃焼ガス系統を分け、各熱交換器が高温側から並ぶ順序を確認する。

公式正答(5) 誤っているのは(5)

燃焼ガスは火炉、過熱器、節炭器、空気予熱器を通り、その後に電気集じん装置へ向かうのが一般的である。(5)は空気予熱器と集じん装置の順序が逆になる。

各選択肢の判断理由

  • (1):正しい

    給水はポンプで加圧され、節炭器で予熱された後に蒸気ドラムへ入る。

  • (2):正しい

    ドラムからの飽和蒸気は過熱器を経て高圧タービンへ向かう。

  • (3):正しい

    再熱蒸気は低圧タービンで膨張し、復水器へ入る。

  • (4):正しい

    高温の燃焼ガスは火炉から過熱器、節炭器の順に熱を渡す。

  • (5):誤り

    一般的には節炭器、空気予熱器、電気集じん装置の順である。

第4問・原子力発電

原子燃料サイクルとプルサーマル

軽水炉用濃縮ウラン、使用済燃料の処理、プルサーマル燃料、増殖炉の四語を対応させる。

公式正答(1) 3〜5%・再処理・MOX燃料・高速増殖炉

軽水炉用燃料のウラン235濃度はおよそ3〜5%である。使用済燃料は再処理し、回収したウランとプルトニウムからMOX燃料を作る。高速増殖炉はウラン238から得る核分裂性物質を消費量以上に増殖できる。

各選択肢の判断理由

  • (1):正しい

    四つの語が原子燃料サイクルの工程と用途に一致する。

  • (2):誤り

    イエローケーキは製錬工程のウラン精鉱で、プルサーマル燃料ではない。

  • (3):誤り

    分離抽出は再処理であり、燃料はMOX燃料である。

  • (4):誤り

    軽水炉用濃縮度は通常10〜20%ではなく3〜5%程度である。

  • (5):誤り

    濃縮度、処理工程、増殖炉のすべてが一致しない。

第5問・再生可能エネルギー

バイオマス発電の燃料と炭素循環

バイオマスは生物由来の有機物であり、炭素循環と原料分布から設備の特徴を判断する。

公式正答(5) 有機・固形化燃料・二酸化炭素・小規模分散型

木質ペレットなどの固形化燃料は木くずから作られる。生育時の二酸化炭素吸収量と燃焼時の排出量を対応させる考え方がカーボンニュートラルであり、燃料が各地に分散するため小規模分散型設備が多い。

各選択肢の判断理由

  • (1):誤り

    植物由来資源は無機物ではなく有機物である。

  • (2):誤り

    有機物、二酸化炭素という主要語が一致しない。

  • (3):誤り

    炭素循環の対象は窒素化合物ではなく二酸化炭素である。

  • (4):誤り

    木くずの代表燃料と設備規模が一致しない。

  • (5):正しい

    有機物、固形化燃料、二酸化炭素、小規模分散型の組合せが適切である。

第6問・変電設備

ガス絶縁開閉装置の絶縁構造

GISは高い絶縁耐力を得るため、金属容器内へSF6ガスを大気圧より高い圧力で封入する。

公式正答(3) 誤っているのは(3)

SF6ガスを加圧して用いることで装置を小形化できる。大気圧以下とする(3)が誤り。異物管理、ガス回収、樹脂スペーサはいずれもGISの重要な管理事項である。

各選択肢の判断理由

  • (1):正しい

    高い絶縁性能により相間距離を縮め、変電所を小形化できる。

  • (2):正しい

    温室効果の大きいSF6は保守・廃棄時に回収する。

  • (3):誤り

    絶縁ガスは通常、大気圧より高い圧力で封入される。

  • (4):正しい

    金属異物は局部電界を高め、絶縁性能を低下させる。

  • (5):正しい

    充電部の支持にはエポキシ樹脂などの絶縁スペーサを用いる。

第7問・配電系統

分散型電源の逆潮流と電圧上昇

逆潮流時の電圧上昇は、インバータが無効電力を吸収する遅れ力率運転などで抑える。

公式正答(3) 誤っているのは(3)

系統側から見て進み力率にすると無効電力を系統へ供給し、電圧上昇を強める方向になる。(3)は対策の向きが逆である。

各選択肢の判断理由

  • (1):正しい

    逆潮流の増加で配電線末端側の電圧が上昇する場合がある。

  • (2):正しい

    電力変換装置のスイッチングに伴う高調波へフィルタ対策を行う場合がある。

  • (3):誤り

    電圧上昇抑制には一般に系統から見て遅れ力率、すなわち無効電力吸収側が有効である。

  • (4):正しい

    大容量連系では専用線や系統増強が必要になることがある。

  • (5):正しい

    SVRなどの電圧調整設備は適正電圧維持の対策となる。

第8問・架空送電

架空送電線路の構成部品

がいしの絶縁協調では、内部貫通破壊ではなく外部フラッシオーバを先に起こす設計とする。

公式正答(2) 誤っているのは(2)

がいし内部の絶縁破壊は永久損傷につながる。異常電圧時には表面または周囲空気中で放電させるため、内部破壊を想定する(2)が誤り。

各選択肢の判断理由

  • (1):正しい

    ACSRはアルミの軽さと導電性、鋼心の機械強度を組み合わせる。

  • (2):誤り

    絶縁破壊をがいし内部で起こす設計にはしない。

  • (3):正しい

    ねん架は各相の線路定数を平均化し、不平衡を抑える。

  • (4):正しい

    ダンパは微風振動などの振動エネルギーを吸収する。

  • (5):正しい

    OPGWは遮へいと通信の機能を併せ持つ架空地線である。

第9問・送電障害

通信線への静電誘導と電磁誘導

電圧による静電誘導と、電流が相互インダクタンスを介して生じさせる電磁誘導を区別する。

公式正答(3) 静電誘導・相互インダクタンス・電磁誘導・ベクトルの和・1線地絡

十分にねん架された平衡三相では各相の誘導電圧のベクトル和がほぼ0になる。1線地絡では電圧・電流が不平衡となり、通信線へ誘導電圧が現れる。

各選択肢の判断理由

  • (1):誤り

    電圧による障害は磁気誘導ではなく静電誘導である。

  • (2):誤り

    線路間の結合は自己インダクタンスではなく相互インダクタンスで表す。

  • (3):正しい

    五つの語が誘導障害の機構と平衡三相の性質に一致する。

  • (4):誤り

    静電誘導、電磁誘導、1線地絡の対応が崩れている。

  • (5):誤り

    誘導リアクタンスやファラデーという語では二種類の障害を正しく分類できない。

第10問・地中送電

OF・CV・CVTケーブルの特徴

架橋ポリエチレンは架橋によって耐熱性を高めた熱硬化性材料であり、熱可塑性が向上したとは表現しない。

公式正答(2) 誤っているのは(2)

CVケーブルの架橋ポリエチレンは加熱しても容易に軟化・流動しない。熱可塑性が大幅に向上したとする(2)が誤り。

各選択肢の判断理由

  • (1):正しい

    OFケーブルは加圧絶縁油でボイドを抑えるため給油設備を要する。

  • (2):誤り

    架橋で高まるのは耐熱性であり、材料は熱硬化性を示す。

  • (3):正しい

    CVは給油不要だが、水トリー対策として遮水構造を採る場合がある。

  • (4):正しい

    CVTは単心3条のより合わせで放熱性と接続作業性に優れる。

  • (5):正しい

    OFは油圧監視により漏油や絶縁異常の兆候を検知できる。

第11問・配電方式

単相3線式のバランサ設置位置

バランサは不平衡負荷による中性点電位の変動を抑えるため、負荷に近い場所へ設置する方が効果的である。

公式正答(3) 誤っているのは(3)

電源近くに置くほど効果が大きいとする(3)が誤り。単相3線式は200 V負荷を使え、銅量を節約できる一方、中性線断線時の異常電圧に注意する。

各選択肢の判断理由

  • (1):正しい

    外線間から単相200 Vを得られる。

  • (2):正しい

    同じ配電容量の100 V単相2線式より電線銅量を減らせる。

  • (3):誤り

    バランサは負荷側に近いほど負荷電圧の不平衡抑制に有効である。

  • (4):正しい

    両側100 V負荷が不均等だと電圧不平衡が生じる。

  • (5):正しい

    中性線断線時は二群の負荷が直列となり、軽負荷側へ過電圧が生じ得る。

第12問・架空送電

径間変更後のたるみと電線実長

単位長さ重量と水平張力が同じなら、たるみは径間長の二乗に比例する。放物線近似で実長を求める。

公式正答(4) 240.21 m

各選択肢の判断理由

  • (1) 240.04 m:誤り

    径間変更後のたるみを過小に扱った値である。

  • (2) 240.05 m:誤り

    元のたるみ3.0 mをそのまま使っても一致しない。

  • (3) 240.14 m:誤り

    たるみの径間二乗比例を十分に反映していない。

  • (4) 240.21 m:正しい

    放物線近似による240.207 mを丸めた値である。

  • (5) 240.25 m:誤り

    計算値より約0.04 m長い。

第13問・配電計算

線路損失一定時の力率と有効電力

線路損失が同じなら電流の大きさも同じである。端子電圧も一定なので、有効電力は力率に比例する。

公式正答(2) 1.3倍

各選択肢の判断理由

  • (1) 0.77倍:誤り

    力率比を逆にした0.70/0.91である。

  • (2) 1.3倍:正しい

    電流一定で力率が0.70から0.91へ上がるため有効電力は1.30倍となる。

  • (3) 2.3倍:誤り

    同一電圧・同一電流での電力比は0.91÷0.70=1.30であり、2.3倍にはならない。

  • (4) 1.1倍:誤り

    力率の差0.21を比率へ正しく換算していない。

  • (5) 1.7倍:誤り

    同一電流・同一電圧の条件から得られる比ではない。

第14問・変電設備

SF6ガスの性質

SF6は高い絶縁耐力と消弧性能を持つ、無色・無臭・不燃性の安定したガスである。

公式正答(2) 誤っているのは(2)

SF6に特有の臭いがあるとする(2)が誤り。オゾン層破壊への寄与は小さい一方、地球温暖化係数が大きいため回収管理が必要となる。

各選択肢の判断理由

  • (1):正しい

    電子付着性が強く、空気より優れた消弧能力を持つ。

  • (2):誤り

    純粋なSF6は無色・無臭である。

  • (3):正しい

    オゾン層への影響は小さいが、温室効果は非常に大きい。

  • (4):正しい

    遮断器やガス絶縁変圧器の絶縁媒体に用いられる。

  • (5):正しい

    同圧の空気より絶縁破壊電圧が高い。

第15問・水力発電

調整池式発電所の最大流量と貯水容量

一日の流入水量と発電使用水量を一致させる。必要貯水量は停止時間の流入量、または運転時間中の不足流量から求める。

公式正答(5・5) (a)32.0 m³/s・518,400 m³ (b)520,000 m³

小問(b)は518,400 m³以上となる最小の選択肢520,000 m³を選ぶ。

(a) 各選択肢の判断理由

  • (1) 22.8・410,400:誤り

    24時間の流入水量と6時間の使用水量が一致しない。

  • (2) 28.8・518,400:誤り

    貯水量は合うが最大使用流量が32.0 m³/sになっていない。

  • (3) 34.8・518,400:誤り

    渇水量8 m³/sで一日の水量を超えて使用する。

  • (4) 28.8・410,400:誤り

    最大使用流量と停止中の貯水量がともに不足する。

  • (5) 32.0・518,400:正しい

    一日の流入水量8×24×3600=691,200 m³を6時間で使うと32.0 m³/sとなり、残り18時間で518,400 m³を貯水する。

(b) 各選択肢の判断理由

  • (1) 420,000 m³:誤り

    必要量518,400 m³を下回る。

  • (2) 500,000 m³:誤り

    必要量より18,400 m³不足する。

  • (3) 440,000 m³:誤り

    流量差18 m³/sを8時間補えない。

  • (4) 460,000 m³:誤り

    必要量518,400 m³に届かない。

  • (5) 520,000 m³:正しい

    計算値518,400 m³以上となる最小の選択肢である。

第16問・短絡計算

変圧器二次線路の三相短絡

一次側換算の変圧器インピーダンスを二次側へ換算し、故障点までの線路インピーダンスと直列合成する。

公式正答(3・3) (a)12.6 kA・(b)5.37 kV

(a) 各選択肢の判断理由

  • (1) 21.8 kA:誤り

    変圧器リアクタンスまたは線路インピーダンスを過小に扱っている。

  • (2) 10.5 kA:誤り

    一次・二次の換算比が一致しない。

  • (3) 12.6 kA:正しい

    二次側合成インピーダンス約1.008 Ωから得る短絡電流である。

  • (4) 6.5 kA:誤り

    線間電圧と相電圧の扱いが不適切である。

  • (5) 17.3 kA:誤り

    線路インピーダンスを十分に反映していない。

(b) 各選択肢の判断理由

  • (1) 8.70 kV:誤り

    変圧器側と線路側の電圧分担が一致しない。

  • (2) 2.72 kV:誤り

    相電圧と線間電圧を混同している。

  • (3) 5.37 kV:正しい

    短絡電流と故障点までの線路インピーダンスによる線間電圧である。

  • (4) 1.34 kV:誤り

    線路リアクタンスの寄与を過小に扱っている。

  • (5) 4.71 kV:誤り

    線路インピーダンスの絶対値または三相係数が一致しない。

第17問・力率改善

変圧器過負荷を避けるコンデンサ容量

各負荷の無効電力を加え、変圧器定格と合計有効電力から許される無効電力を求める。差分が必要コンデンサ容量となる。

公式正答(4・4) (a)392 kvar・(b)123 kvar

(a) 各選択肢の判断理由

  • (1) 472 kvar:誤り

    力率角または正接の扱いが一致しない。

  • (2) 525 kvar:誤り

    既設負荷の242.2 kvarと追加負荷の150 kvarを加えると392.2 kvarであり、525 kvarにはならない。

  • (3) 339 kvar:誤り

    追加負荷の無効電力150 kvarを正しく加えていない。

  • (4) 392 kvar:正しい

    既設242.2 kvarと追加150 kvarの合計である。

  • (5) 610 kvar:誤り

    有効電力と無効電力を混同した過大値である。

(b) 各選択肢の判断理由

  • (1) 70 kvar:誤り

    補償後も皮相電力が750 kV·Aを超える。

  • (2) 256 kvar:誤り

    必要量の約2倍で、最小容量ではない。

  • (3) 203 kvar:誤り

    定格内に入るが必要最小値ではない。

  • (4) 123 kvar:正しい

    計算値122.9 kvarを満たす最小の選択肢である。

  • (5) 50 kvar:誤り

    補償量が不足し、変圧器過負荷を解消できない。

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出典は一般財団法人電気技術者試験センター「第三種電気主任技術者試験の問題と解答」です。問題本文・図・選択肢は転載せず、解説は資格Hubが独自に作成しました。全17問の正答番号を公式正答と照合しています。

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