憲法の解答・解説(6問)
人権、統治、国会、内閣、法令形式を最高裁判例と憲法条文から整理します。判例の判断を一般化し過ぎず、事案と審査基準を対応させる必要があります。
議員の地位
問3 比例代表の繰上補充・不逮捕特権・議院の懲罰・地方議会の懲罰・免責特権
国会議員には憲法上の不逮捕特権と免責特権がありますが、地方議会の議員には認められていません。議院の懲罰と地方議会の懲罰で、司法審査の扱いも違います。
公式正解 1
肢1:妥当。比例代表選出議員の欠員は名簿の当選順位で繰上補充しますが、除名・離党などで名簿届出政党等に所属しなくなった旨の届出がされている者は対象外です(公職選挙法112条、98条3項)。
肢2:妥当でない。不逮捕特権には法律の定める例外があり、院外における現行犯の場合や、議院の許諾がある場合は会期中でも逮捕されます(憲法50条、国会法33条)。
肢3:妥当でない。議院の懲罰は議院の自律権に属し(憲法58条2項)、除名を含めて司法審査は及ばないと解されています。
肢4:妥当でない。出題時の判例は、地方議会の懲罰のうち除名は司法審査の対象とする一方、出席停止など内部規律の問題にとどまるものは審査の対象外としていました(最大判昭和35年10月19日)。
肢5:妥当でない。地方議会の議員には、国会議員のような免責特権は憲法上保障されていません(最大判昭和42年5月24日)。
令和8年度試験での注意 2020年11月25日の最高裁大法廷判決は、地方議会の議員に対する出席停止の懲罰も司法審査の対象になるとして、昭和35年の判例を変更しました。同判決も地方議会が地方自治の本旨に基づく自律的な権能を持つことを前提にしており、自律権を法律上のものにすぎないとする肢4は現在も妥当とはいえません。この問の正解は変わりません。
公式問題で問3を見る
家族・婚姻と平等原則
問4 非嫡出子の相続分・国籍法・出生届の記載・再婚禁止期間・夫婦同氏
家族に関する主要な違憲判断と合憲判断について、判決の理由づけまで区別します。違憲とされたのは、非嫡出子の相続分、国籍取得の要件、再婚禁止期間の100日超過部分です。
公式正解 4
肢1:妥当でない。非嫡出子の相続分の規定は違憲とされましたが、理由は、家族形態の多様化などで区別の合理的根拠が失われたことです(最大決平成25年9月4日)。法律婚の保護という目的に照らして著しく不合理としたわけではありません。
肢2:妥当でない。国籍法の旧規定について最高裁は、日本との密接な結びつきを求める立法目的には合理的根拠があるとしたうえで、父母の婚姻を要件とする手段が合理性を失ったとして違憲としました(最大判平成20年6月4日)。
肢3:妥当でない。出生届に嫡出子か否かを記載させる戸籍法の規定は、憲法14条1項に違反しないとされました(最判平成25年9月26日)。
肢4:妥当。女性の再婚禁止期間のうち100日を超える部分は、合理的な立法裁量の範囲を超え、憲法に違反するに至ったとされました(最大判平成27年12月16日)。
肢5:妥当でない。夫婦同氏の規定は、夫婦がいずれの氏を称するかを協議に委ねており、文言上性別に基づく取扱いの差を設けていないとして合憲とされました(最大判平成27年12月16日)。
令和8年度試験での注意 2024年4月1日施行の民法改正で、女性の再婚禁止期間は廃止されました(旧733条の削除)。判決の内容は肢4のとおりで、この問の正解は変わりません。
公式問題で問4を見る
選挙権・選挙制度
問5 在外国民の選挙権・立候補の自由・政党本位の選挙運動・小選挙区制・拘束名簿式
選挙権そのものの制限には、やむを得ない事由が必要です。一方、選挙制度の仕組みについては国会の裁量が広く認められます。
公式正解 1
肢1:妥当でない。選挙権またはその行使を制限するには、そうした制限をすることがやむを得ないと認められる事由が必要で、選挙権の行使の制約についても国会の広い裁量は認められません(在外国民選挙権訴訟、最大判平成17年9月14日)。
肢2:妥当。立候補の自由は選挙権の自由な行使と表裏の関係にあり、これに対する制約は特に慎重でなければならないとされました(最大判昭和43年12月4日)。
肢3:妥当。政党に所属する候補者とそれ以外の候補者の選挙運動上の差異は、一般的に合理性を有するとは到底考えられない程度に達したときに、はじめて国会の裁量を逸脱するとされました(最大判平成11年11月10日)。
肢4:妥当。小選挙区制は死票を生みやすいものの、特定の政党だけを優遇する制度ではなく、国民の総意を議席に反映させる合理的方法の一つとされました(最大判平成11年11月10日)。
肢5:妥当。政党名簿の順位で当選人を決める比例代表選挙も、投票の結果によって当選人が決まるので直接選挙に当たるとされました(最大判平成11年11月10日)。
公式問題で問5を見る
教科書検定の合憲性
問6 国の教育内容決定権能・検閲と事前抑制・表現の自由・学問の自由・適正手続
第一次家永教科書訴訟の判決は、教科書検定は検閲に当たらず、表現の自由や学問の自由の制限としても許されるとしました。理由の一つは、不合格になっても一般図書としては発行できる点です。
公式正解 2
肢1:妥当。国は、必要かつ相当と認められる範囲で、教育内容についても決定する権能を有するとされています(最判平成5年3月16日、旭川学テ事件判決を引用)。
肢2:妥当でない。検定で不合格になっても一般図書としての発行は妨げられず、発表禁止目的や発表前の審査といった特質もないので、検閲に当たらず、事前抑制にも当たらないとされました。一般図書としての発行を制限するという前提が誤りです。
肢3:妥当。教育の中立・公正、一定水準の確保の必要性と、教科書の形態での発行を禁じるにすぎない制限の程度から、合理的で必要やむを得ない限度の制限とされました。
肢4:妥当。教科書は研究成果を発表するためのものではなく、検定が制限するのも教科書という形での発表にとどまるため、学問の自由(憲法23条)を侵害しないとされました。
肢5:妥当。行政手続は多種多様なので、常に告知・弁解・防御の機会を与える必要はなく、検定の手続は憲法31条に違反しないとされました。
公式問題で問6を見る
裁判官の懲戒
問7 罷免と懲戒の手続・懲戒の種類・政治運動の禁止・審査基準・品位を辱める行状
裁判官の罷免は弾劾裁判所が、懲戒は裁判所が裁判で決めます。寺西判事補事件と、裁判官の品位を辱める行状の意味を示した決定を区別します。
公式正解 3
肢1:妥当でない。罷免は国会に設けられた弾劾裁判所が行いますが、懲戒は独立の懲戒委員会ではなく、裁判所が裁判によって行います(裁判所法49条、裁判官分限法)。
肢2:妥当でない。裁判官の懲戒は戒告または1万円以下の過料に限られます(裁判官分限法2条)。職務停止や減給はありません。
肢3:妥当。司法権を担う裁判官には、一般職の国家公務員よりも強く政治運動を控えることが求められるとされました(寺西判事補事件、最大決平成10年12月1日)。
肢4:妥当でない。同決定は、禁止の目的が正当で、目的と禁止との間に合理的関連性があり、禁止で得られる利益と失われる利益が均衡するかという観点から判断しました。目的・効果・関わり合いの程度の3点ではありません。
肢5:妥当でない。品位を辱める行状とは、職務上の行為か私的な行為かを問わず、裁判官に対する国民の信頼を損ね、または裁判の公正を疑わせるような言動をいうとされ(最大決平成30年10月17日)、著しく品位に反する場合に限られません。
公式問題で問7を見る
放送と受信料制度
問41 NHK受信料訴訟(最大判平成29年12月6日)
最高裁は、放送法が公共放送と民間放送の二本立て体制を採り、公共放送を民主的かつ多元的な基盤に基づき自律的に運営される事業体と位置付けたことから、受信料の支払義務を定める仕組みを合憲としました。
公式正解 ア9・イ10・ウ11・エ20
空欄は「自律」「二本立て体制」「多元」「営利」で、公式正解はア9・イ10・ウ11・エ20です。
ア(9 自律):放送法1条は、放送の不偏不党、真実及び自律を保障して表現の自由を確保することを原則に掲げています。原告は自律的に運営される事業体とされました。
イ(10 二本立て体制):公共放送事業者と民間放送事業者が長所を発揮し、互いに啓もうし合うよう、二本立て体制が採られました。
ウ(11 多元):原告は、民主的かつ多元的な基盤に基づきつつ、自律的に運営される事業体と性格付けられています。
エ(20 営利):原告が営利を目的として業務を行うことや他人の営業に関する広告の放送を禁じ、財源を受信料で賄うことが、公共的性格を財源の面から特徴付けるとされました。
公式問題で問41を見る
正答一覧へ戻る ↑
行政法の解答・解説(21問)
行政手続、不服申立て、行政訴訟、国家賠償、地方自治、情報公開を一続きの手続として解きます。処分性、原告適格、出訴期間、執行停止など隣接概念の取り違えが主な失点源です。
行政上の義務履行確保
問8 即時強制・直接強制・代執行の対象と条例・秩序罰・反則金
行政上の義務の履行を確保する手段(代執行、直接強制、執行罰)と、義務を前提としない即時強制、制裁としての行政罰を区別します。
公式正解 4
肢1:誤り。即時強制は、義務を命じる余裕がない場合などに、相手方に義務を課さずに直接実力を行使し、行政上必要な状態をつくり出すものです。義務の履行を確保する手段ではありません。
肢2:誤り。直接強制の一般的な手続を定めた法律はなく、行政代執行法にも規定はありません。個別の法律に定めがある場合に限って行えます。
肢3:誤り。行政代執行法2条の「法律」には、法律の委任に基づく命令、規則及び条例が含まれると明記されています。条例に基づく義務も同法で代執行できます。
肢4:正しい。国の法律違反に対する過料(秩序罰)は、刑罰ではないので刑事訴訟法ではなく、非訟事件手続法の定めにより裁判所が科します。
肢5:誤り。反則金の納付通知は抗告訴訟の対象とならず、不服があれば反則金を納付せずに刑事手続で争うことになります(最判昭和57年7月15日)。
公式問題で問8を見る
内閣法と国家行政組織法
問9 各省大臣の任命・告示と訓令・閣議を求める権限・省令・内閣総理大臣の指揮監督
国家行政組織法と内閣法の条文で、各省大臣の権限と、内閣総理大臣による行政各部の指揮監督の関係を確かめます。
公式正解 3
肢1:誤り。各省大臣は国務大臣のうちから内閣総理大臣が命じますが、内閣総理大臣が自ら各省大臣に当たることもできます(国家行政組織法5条3項ただし書)。
肢2:誤り。所管の諸機関・職員に命令や示達をするために発するのは訓令または通達です(14条2項)。告示は、所掌事務について公示を必要とする場合に発します(同条1項)。
肢3:正しい。各省大臣は、主任の行政事務について法律・政令の制定、改正、廃止を必要と認めるときは、案をそなえて内閣総理大臣に提出し、閣議を求めなければなりません(11条)。
肢4:誤り。各省大臣が発するのは省令です(12条1項)。規則その他の特別の命令を発するのは、委員会や庁の長官です(13条1項)。
肢5:誤り。内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基づいて行政各部を指揮監督します(内閣法6条)。
公式問題で問9を見る
公有水面埋立地と取得時効
問10 竣功未認可埋立地の所有権の客体性と公用廃止(最判平成17年12月16日)
海面下の地盤に置かれた土砂は原状回復義務の対象である限り土地とはいえず、公共用財産としての形態・機能を完全に失って維持する理由もなくなったとき、黙示的に公用が廃止されたものとして取得時効の対象になる、というのが判決の流れです。
公式正解 5
誤っているのはエとオで、正解は5です。
ア(所有権):正しい。海水に覆われたままの海面や、原状回復義務の対象となり得る段階の埋立地は、私法上所有権の客体となる土地に当たりません。
イ(公共用):正しい。判決は、公共用財産としての形態・機能を完全に喪失し、公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合を挙げています。
ウ(占有):正しい。その上で他人の平穏かつ公然の占有が継続したことも、公用廃止を認める事情として挙げられています。
エ(明示):誤り。判決は、明示ではなく黙示的に公用が廃止されたものとしています。
オ(消滅時効):誤り。公用が廃止されたものとして対象になるのは、消滅時効ではなく取得時効です。
公式問題で問10を見る
行政指導と行政手続法
問11 行政指導の中止の求め・行政指導の定義・地方公共団体の適用除外・書面の交付・行政指導指針
行政指導の中止等を求められるのは行政指導の相手方で、処分等の求めは何人もできます。地方公共団体の機関の行政指導は、根拠法にかかわらず行政手続法の適用が除外されます。
公式正解 4
肢1:誤り。法律に根拠がある是正の行政指導の中止等を求められるのは、その行政指導の相手方です(36条の2第1項)。何人も申し出られるのは、処分や行政指導をすることを求める場合です(36条の3)。
肢2:誤り。行政指導は、特定の者に一定の作為または不作為を求める指導、勧告、助言などをいいます(2条6号)。相手方が特定されている必要があります。
肢3:誤り。地方公共団体の機関がする行政指導は、根拠が国の法律であっても、行政手続法の行政指導の規定の適用が除外されます(3条3項)。
肢4:正しい。口頭の行政指導について、相手方から趣旨・内容・責任者を記載した書面を求められたときは、行政上特別の支障がない限り交付しなければなりません(35条3項)。
肢5:誤り。行政指導指針は、法令に根拠のある行政指導に限らず、複数の者に対する行政指導に共通する内容として定めるものは意見公募手続の対象です(2条8号ニ、39条1項)。
公式問題で問11を見る
聴聞の手続
問12 主宰者の除斥・報告書提出後の期間・不出頭による終結・公聴会・文書等の閲覧
聴聞の主宰者になれない者、当事者が出頭しない場合の扱い、文書等の閲覧の拒否事由を確かめます。申請に対する処分で第三者の意見を聴く公聴会は努力義務です。
公式正解 5
正しいのはウとオで、正解は5です。
ア:誤り。主宰者になれないのは当事者・参加人やその親族、代理人などです(19条2項)。事案の処理に直接関与した行政庁の職員を除外する規定はありません。
イ:誤り。報告書の提出を受けてから処分を決定するまでの標準的な期間を定めて通知する努力義務の規定はありません。
ウ:正しい。当事者が正当な理由なく出頭せず、陳述書や証拠書類等も提出しないときは、改めて意見を述べる機会を与えることなく聴聞を終結できます(23条1項)。
エ:誤り。申請者以外の者の利害を考慮すべき申請に対する処分では、公聴会の開催などで申請者以外の者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければなりませんが(10条)、聴聞の義務はありません。
オ:正しい。当事者が資料の閲覧を求めたとき、行政庁が拒めるのは、第三者の利益を害するおそれがある場合など正当な理由があるときに限られます(18条1項)。
公式問題で問12を見る
行政手続法の規定
問13 行政指導指針の公表・標準処理期間・処分基準・一部拒否の理由提示・意見公募手続
審査基準は公にしておく義務、処分基準は公にしておく努力義務です。行政指導指針は公表しなければなりません。標準処理期間の経過だけで不作為が違法になるわけではありません。
公式正解 2
正しいのはアとオで、正解は2です。
ア:正しい。行政指導指針は、行政上特別の支障がない限り公表しなければなりません(36条)。
イ:誤り。標準処理期間は目安で、期間を過ぎたことだけで直ちに不作為の違法確認の請求が認容されるわけではありません。相当の期間を経過したかで判断されます。
ウ:誤り。処分基準は、定めて公にしておくよう努めなければならないとされる努力義務です(12条1項)。公にしておく義務があるのは審査基準です(5条3項)。
エ:誤り。申請により求められた許認可等を拒否する処分では、全部拒否でも一部拒否でも理由の提示が必要です(8条1項)。
オ:正しい。法律に基づく命令、審査基準、処分基準、行政指導指針(命令等)を定めるときは、例外に当たる場合を除き意見公募手続をとります(39条1項・4項)。
公式問題で問13を見る
裁決と決定
問14 みなし棄却・裁決の拘束力・決定の類型・事情裁決・事実上の行為の撤廃
審査請求、再審査請求、再調査の請求で準用される規定の違いを確かめます。再調査の請求には請求期間があり、却下の決定もありますが、事情決定の制度はありません。
公式正解 4
正しいのはイとオで、正解は4です。
ア:誤り。行政不服審査法には、一定期間内に裁決がないときに棄却されたものとみなす規定はありません。
イ:正しい。裁決は関係行政庁を拘束し(52条1項)、この規定は再審査請求の裁決に準用されますが(66条1項)、再調査の請求の決定には準用されていません。
ウ:誤り。再調査の請求にも請求期間があり(54条)、期間経過後などで不適法なときは決定で却下します(58条1項)。決定は認容と棄却の2類型だけではありません。
エ:誤り。事情裁決(45条3項)に類似する制度は、再調査の請求の決定には規定されていません。
オ:正しい。処分庁である審査庁は、事実上の行為についての審査請求に理由があるときは、事情裁決の場合を除き、違法または不当である旨を宣言し、その全部または一部を撤廃し、または変更します(47条)。
公式問題で問14を見る
審査請求の手続
問15 処分庁経由の審査請求・審理手続を経ない却下・書類の写しの交付・口頭意見陳述・一般概括主義
審理員による審理手続のうち、口頭意見陳述は審査請求人だけでなく参加人も申し立てられます。審査請求ができる処分の範囲は一般概括主義です。
公式正解 4
肢1:正しい。審査請求は処分庁を経由してすることもでき、その場合、処分庁は受け取った審査請求書をすぐに審査庁となる行政庁へ送ります(21条1項・2項)。
肢2:正しい。不適法で補正の余地がないことが明らかな審査請求は、審理員の審理を経ずに裁決で却下できます(24条2項)。
肢3:正しい。審査請求人と参加人は、提出書類等の閲覧のほか、写しの交付も求められます(38条1項)。
肢4:誤り。口頭意見陳述の機会は、審査請求人または参加人の申立てがあったときに与えなければなりません(31条1項)。参加人も申し立てられます。
肢5:正しい。適用除外とされていない処分であれば、根拠法に審査請求できる旨の定めがなくても審査請求できます(2条)。
公式問題で問15を見る
地方公共団体と行政不服審査法
問16 地方公共団体の努力義務・審理員名簿・行政不服審査会への諮問・議会の議決による処分・条例
地方公共団体の審査請求では、国の行政不服審査会ではなく、地方公共団体に置く機関に諮問します。その機関の組織と運営は条例で定めます。
公式正解 5
肢1:誤り。行政不服審査法に、地方公共団体に不服申立てのための措置を講じる努力義務を定めた規定はありません。同じような努力義務は行政手続法46条にあります。
肢2:誤り。審理員となるべき者の名簿は、作成するよう努め、作成したときは公にしておかなければなりませんが(17条)、議会の議決は要りません。
肢3:誤り。地方公共団体に機関を常設することが不適当または困難なときは、条例で定めるところにより、事件ごとに執行機関の附属機関として機関を置くことができます(81条2項)。国の行政不服審査会への諮問はできません。
肢4:誤り。議会の議決によってされる処分の審査請求は、処分庁等に上級行政庁がない場合として処分庁等にします(4条1号)。議長が審査庁になるという規定はありません。
肢5:正しい。地方公共団体に置かれる行政不服審査機関の組織と運営に必要な事項は、その地方公共団体の条例で定めます(81条4項)。
公式問題で問16を見る
執行停止
問17 口頭弁論の要否・申立て・重大な損害・本案の見込み・効力の停止の補充性
執行停止は申立てにより、口頭弁論を経ずに決定でできます。要件は「重大な損害を避けるため緊急の必要」で、本案について理由がないとみえるときはできません。
公式正解 5
肢1:誤り。執行停止の決定は疎明に基づいて行い、口頭弁論を経ないですることができます(行政事件訴訟法25条5項・6項)。
肢2:誤り。執行停止は申立てにより行い、裁判所が職権で行うことはできません(25条2項)。
肢3:誤り。要件は、重大な損害を避けるため緊急の必要があることです(25条2項)。「償うことのできない損害」は2004年の改正前の要件です。
肢4:誤り。本案について理由がないとみえるときは執行停止できない、という消極要件です(25条4項)。理由があるとみえることまでは求められません。
肢5:正しい。処分の効力の停止は、処分の執行や手続の続行の停止で目的を達せられる場合にはできません(25条2項ただし書)。
公式問題で問17を見る
行政庁の訴訟上の地位
問18 所属しない行政庁の被告適格・処分庁の訴訟権限・裁決の取消訴訟の被告・義務付け判決・争点訴訟
取消訴訟の被告は、処分や裁決をした行政庁が所属する国または公共団体です。行政庁が被告になるのは、国や公共団体に所属しない場合に限られます。
公式正解 3
肢1:正しい。国や公共団体に属さない行政庁が処分をしたときは、その行政庁自身が被告になります(行政事件訴訟法11条2項)。
肢2:正しい。処分をした行政庁は、その処分の取消訴訟について裁判上の一切の行為をする権限を有します(11条6項)。
肢3:誤り。裁決をした行政庁が国または公共団体に所属するときは、裁決の取消訴訟の被告はその国または公共団体です(11条1項2号)。
肢4:正しい。義務付けの訴えに理由があると認めるときは、裁判所は行政庁がその処分をすべき旨を命ずる判決をします(37条の2第5項、37条の3第5項)。
肢5:正しい。私法上の法律関係の訴訟で処分の効力の有無が争われている場合(争点訴訟)、裁判所は決定で関係行政庁を訴訟に参加させられます(45条1項)。
公式問題で問18を見る
抗告訴訟の審理
問19 行政庁の訴訟参加・職権証拠調べの範囲・主張制限・事情判決・申請型義務付け訴訟
取消訴訟では、自己の法律上の利益に関係のない違法は主張できず、事情判決は請求を棄却する判決です。申請型の義務付け訴訟は取消訴訟などと併合して提起します。
公式正解 1
肢1:正しい。処分や裁決をした行政庁以外の行政庁を参加させる必要があるときは、当事者や当該行政庁の申立てのほか、職権でも参加させられます(行政事件訴訟法23条1項)。
肢2:誤り。職権証拠調べ(24条)の対象は訴訟要件に限られず、本案に関する事項にも及びます。
肢3:誤り。取消訴訟では、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることはできません(10条1項)。
肢4:誤り。事情判決は、処分が違法であることを主文で宣言したうえで請求を棄却する判決です(31条1項)。訴えを却下するのではありません。
肢5:誤り。申請を拒否された者が義務付けの訴えを提起するときは、拒否処分の取消訴訟または無効等確認訴訟を併合して提起しなければなりません(37条の3第3項)。重大な損害の要件は非申請型の義務付け訴訟のものです。
公式問題で問19を見る
国家賠償法2条1項
問21 高知落石事件(最判昭和45年8月20日)
営造物の設置・管理の瑕疵とは通常有すべき安全性を欠いていることで、国や公共団体の責任に過失は要りません。予算の制約だけでは責任を免れず、不可抗力や回避可能性がない場合に限って免責されます。
公式正解 5
アは「通常有すべき安全性」、イは「過失」、ウは「予算措置」、エは「回避可能性」で、正解は5です。
ア(通常有すべき安全性):営造物の設置・管理の瑕疵とは、営造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいいます。
イ(過失):国家賠償法2条1項の責任は、過失の存在を必要としない無過失責任とされています。
ウ(予算措置):防護柵の設置費用が多額で予算措置に困っても、それだけで賠償責任を免れることはできないとされました。
エ(回避可能性):事故が不可抗力や回避可能性のない場合であれば責任を免れますが、本件ではそうした事情は認められませんでした。
公式問題で問21を見る
普通地方公共団体の議会
問22 臨時会の招集・議員の招集請求・定例会と臨時会・議案の提出・会議の運営
議会を招集するのは原則として長で、議長や議員は臨時会の招集を請求できます。長が20日以内に招集しないときに限り、議長が招集できます。
公式正解 3
肢1:誤り。議長は、議会運営委員会の議決を経て、長に臨時会の招集を請求できます(地方自治法101条2項)。議長が自ら招集できるのは、請求から20日以内に長が招集しない場合です(同条5項)。
肢2:誤り。議員定数の4分の1以上の者から請求があったときは、長は請求のあった日から20日以内に臨時会を招集しなければなりません(101条3項・4項)。
肢3:正しい。議会は定例会と臨時会で構成され、臨時会は必要がある場合に、長があらかじめ告示した付議事件に限って招集されます(102条1項・3項・4項)。
肢4:誤り。議員が議案を提出するには、議員定数の12分の1以上の者の賛成が必要です(112条2項)。条例で1人でも提出できるとする規定はありません。
肢5:誤り。議員の請求による会議の開催(114条)や会議の公開(115条)は、地方自治法に定められています。
公式問題で問22を見る
公の施設
問23 公の施設の定義・設置管理条例・指定管理者・議会の議決・利用料金制
公の施設の設置と管理に関する事項は条例で定め、指定管理者に管理を行わせるときも条例の定めによります。指定には議会の議決が必要です。
公式正解 3
肢1:正しい。公の施設とは、住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設です(地方自治法244条1項)。
肢2:正しい。公の施設の設置と管理に関する事項は、法律やこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除き、条例で定めなければなりません(244条の2第1項)。
肢3:誤り。指定管理者に公の施設の管理を行わせるのは、条例の定めるところによります(244条の2第3項)。長の定める規則によるのではありません。
肢4:正しい。指定管理者の指定をしようとするときは、あらかじめ議会の議決を経なければなりません(244条の2第6項)。
肢5:正しい。適当と認めるときは、指定管理者に公の施設の利用料金をその収入として収受させられます(244条の2第8項)。
公式問題で問23を見る
監査委員
問24 常勤職員との兼職禁止・議員の選任・選任の手続・定数・常勤の監査委員
監査委員は、長が議会の同意を得て、識見を有する者と議員のうちから選任します。都道府県と政令で定める市では、識見を有する者のうち少なくとも1人を常勤とします。
公式正解 1
肢1:正しい。監査委員は、地方公共団体の常勤の職員や短時間勤務職員と兼ねることができません(地方自治法196条3項)。
肢2:誤り。監査委員は議員のうちからも選任するのが原則で、条例で議員から選任しないこともできます(196条1項)。原則と例外が逆です。
肢3:誤り。監査委員は、長が議会の同意を得て選任します(196条1項)。
肢4:誤り。定数は都道府県と政令で定める市は4人、その他の市町村は2人ですが、条例でその定数を増加できます(195条2項)。
肢5:誤り。都道府県と政令で定める市では、識見を有する者から選任される監査委員のうち少なくとも1人以上は常勤としなければなりません(196条5項)。
公式問題で問24を見る
水道事業と給水拒否
問25 需要抑制のための給水拒否・教育施設負担金・指導要綱と給水拒否・申込書の返戻
水道法15条1項の「正当の理由」の有無と、行政指導の限界を示した判例を区別します。行政指導に従わせるために給水を拒むことは違法とされました。
公式正解 1
正しいのはアとイで、正解は1です。
ア:正しい。取水源が乏しく水不足が生じるおそれがある場合に、水道水の需要の著しい増加を抑制する施策として給水契約の締結を拒むことは、やむを得ない措置として許されるとされました(最判平成11年1月21日)。
イ:正しい。教育施設負担金の寄付を求める行政指導自体は任意性を損なわない限り違法ではありませんが、給水契約の締結拒否などを背景に従わせるのは違法とされました(最判平成5年2月18日)。
ウ:誤り。指導要綱を守らせるために行政指導を継続する必要があるという事情だけでは、給水契約を拒む正当の理由には当たりません(最決平成元年11月8日)。
エ:誤り。申込書の返戻が受理を最終的に拒否するものではなく、建築確認を受けたうえで申し込むよう一応の勧告をしたにすぎないなら、違法な拒否には当たらないとされました(最判昭和56年7月16日)。
公式問題で問25を見る
国公立学校をめぐる判例
問26 退学処分の審査方法・転任処分の訴えの利益・職務命令の処分性・専攻科修了の認定
教育的裁量に基づく処分の審査では、裁判所は校長と同じ立場で判断し直すのではなく、裁量権の逸脱・濫用の有無を審査します。富山大学事件は、単位認定と専攻科修了の認定を区別しました。
公式正解 5
妥当なのはウとエで、正解は5です。
ア:妥当でない。原級留置や退学の処分の審査では、校長と同一の立場に立って判断し結果を比較するのではなく、校長の裁量権の範囲を超え、または濫用したと認められる場合に限り違法とされます(剣道実技拒否事件、最判平成8年3月8日)。
イ:妥当でない。法律上の地位に不利益な変更を及ぼさない同一市内の転任処分は、名誉が害されるおそれがあっても、取消しを求める訴えの利益は認められないとされました(最判昭和61年10月23日)。
ウ:妥当。式典で国歌斉唱などを求める校長の職務命令は、教職員一人ひとりの身分や勤務条件上の権利義務を直接左右するものではないため、抗告訴訟の対象となる処分ではないとされました(最判平成24年2月9日)。
エ:妥当。専攻科修了の認定をしないことは、一般市民としての学生の公の施設を利用する権利を侵害するので、司法審査の対象になるとされました(富山大学事件、最判昭和52年3月15日)。
公式問題で問26を見る
処分基準と訴えの利益
問42 処分基準に加重規定がある場合の訴えの利益(最判平成27年3月3日)
公にされた処分基準に、先行処分を受けたことを理由に後行処分を加重する定めがあるとき、先行処分の効果が期間経過でなくなった後も、加重を受ける期間内は取消しを求める法律上の利益があるとされました。
公式正解 ア6・イ12・ウ1・エ19
空欄は「公正」「不利益」「処分基準」「裁量権」で、公式正解はア6・イ12・ウ1・エ19です。
ア(6 公正):行政手続法は、行政運営における公正の確保と透明性の向上を目的としています(1条1項)。
イ(12 不利益):処分基準は、不利益処分をするかどうか、どのような不利益処分とするかを判断するための基準です。
ウ(1 処分基準):処分基準は2条8号ハに定義され、行政庁は定めて公にしておくよう努めます(12条1項)。
エ(19 裁量権):処分基準と異なる取扱いは、特段の事情がない限り裁量権の範囲の逸脱または濫用に当たるとされ、後行処分の裁量権は処分基準に従って行使されるべく羈束されると判断されました。
公式問題で問42を見る
行政事件訴訟の類型
問43 当事者訴訟・給付訴訟・争点訴訟・住民訴訟
行政事件訴訟法は、抗告訴訟、当事者訴訟、民衆訴訟、機関訴訟の4類型を定めています。私法上の法律関係の訴えで処分の効力が争点となるものは争点訴訟と呼ばれ、行政事件訴訟ではありません。
公式正解 ア14・イ4・ウ12・エ18
空欄は「当事者」「給付」「争点」「住民」で、公式正解はア14・イ4・ウ12・エ18です。
ア(14 当事者):当事者訴訟には、形式的当事者訴訟と、公法上の法律関係に関する実質的当事者訴訟があります(4条)。
イ(4 給付):公法上の法律関係に基づく金銭の支払を求める訴えは、給付訴訟の例です。土地の明渡しを求めるのも給付を求める訴えです。
ウ(12 争点):私法上の法律関係に関する訴えで、処分・裁決の効力の有無が争点となっているものが争点訴訟です(45条)。
エ(18 住民):違法な公金の支出について住民監査請求をした住民が、監査結果などに不服があるときに提起する住民訴訟は、民衆訴訟の一種です(地方自治法242条の2)。
公式問題で問43を見る
処分等の求め
問44 法令違反の是正のための処分の求めと行政庁の対応(行政手続法36条の3)
法令違反の事実があるのに是正のための処分がされていないと思うときは、誰でも、権限を持つ行政庁に処分をするよう求められます。申出を受けた行政庁は、必要な調査をし、必要があると認めるときは処分をしなければなりません。
公式正解例あり
公式正解例は「何人も命令を求めることができ、Yは必要な調査を行い必要と認めたときは命令をすべきである。」です。
申出できる者:処分等の求めは、利害関係の有無を問わず何人もできます(36条の3第1項)。
求める内容:消防法5条1項の命令がされていないので、Yに対してその命令をするよう求めます。
Yの対応:申出があったときは、必要な調査を行い、その結果に基づき必要があると認めるときは、その処分をしなければなりません(36条の3第3項)。
書き方:40字程度で、「何人も」「命令を求めることができる」「必要な調査」「必要と認めたときは命令をすべき」の4点を入れます。
公式問題で問44を見る
正答一覧へ戻る ↑
民法の解答・解説(11問)
代理、物権、債権、家族法を、当事者関係と時間の順序から解きほぐします。原則と例外、対抗要件、第三者保護を一つのルールとして扱うと誤ります。
時効の援用
問27 援用の効果・援用の時期・共同相続人の援用・物上保証人と第三取得者・免責された主債務
時効の効果は援用で確定的に生じ、援用できるのは権利の消滅について正当な利益を有する者です。破産で免責された債務は、時効による消滅を観念できません。
公式正解 5
妥当でないのはエとオで、正解は5です。
ア:妥当。時効による債権消滅の効果は、時効期間の経過だけで確定的に生じるのではなく、援用されたときに確定的に生じます(最判昭和61年3月17日)。
イ:妥当。裁判上で時効を援用するには、事実審の口頭弁論終結時までにする必要があります。
ウ:妥当。被相続人の占有で取得時効が完成していた場合、共同相続人の一人は自己の相続分の限度でのみ取得時効を援用できます(最判平成13年7月10日)。
エ:妥当でない。物上保証人(最判昭和43年9月26日)や抵当不動産の第三取得者(最判昭和48年12月14日)も、被担保債権の消滅時効を援用できます。
オ:妥当でない。免責許可決定の効力を受ける債務は消滅時効の進行を観念できず、保証人はその主たる債務の消滅時効を援用することができません(最判平成11年11月9日)。
令和8年度試験での注意 2020年4月施行の改正民法で、援用できる当事者に保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者が含まれることが明記されました(145条)。この問の正解は変わりません。
公式問題で問27を見る
代理
問28 代理人の詐欺・無権代理の催告・本人へのなりすまし・復代理人の受領物・相手方の取消権
代理人が本人になりすました場合の表見代理の類推と、復代理人が受領した物の引渡先についての判例が問われました。判例に照らすと肢3と肢4がともに妥当でなく、一つに決まりません。
公式正解 全員正解
公式発表では全員正解です。判例に照らすと肢3と肢4がどちらも妥当でなく、妥当でないものが一つに絞れません。
肢1:妥当。代理人が相手方をだました場合、本人がその事実を知らなくても、相手方は詐欺を理由に代理行為を取り消せます(96条1項)。
肢2:妥当。相手方が相当の期間を定めて追認するか確答するよう催告し、本人がその期間内に確答しないときは、追認を拒絶したものとみなされます(114条)。
肢3:妥当でない。代理人が本人になりすまして権限外の行為をした場合でも、相手方が本人自身の行為と信じ、そう信じたことに正当な理由があるときは、110条が類推適用されます(最判昭和44年12月19日)。
肢4:妥当でない。復代理人は本人に対して受領物を引き渡す義務を負うほか、代理人に対しても引き渡す義務を負い、代理人に引き渡せば本人に対する義務も消滅します(最判昭和51年4月9日)。代理人に対してではないとする点が誤りです。
肢5:妥当。無権代理の相手方は、本人が追認しない間に限り契約を取り消せます(115条)。ただし、契約の時に代理権がないことを知っていた相手方は取り消せません。
令和8年度試験での注意 2020年4月施行の改正民法でも、肢1〜5の規律と判例の考え方は変わっていません。試験研究センターはこの問を全員正解としています。
公式問題で問28を見る
動産物権変動
問29 差押債権者・動産の賃借人・一時保管する受寄者・譲渡担保と占有改定・集合動産譲渡担保
動産の譲渡は引渡しが対抗要件で(178条)、対抗要件がなければ対抗できない「第三者」に当たるかが問われます。一時的に保管するだけの受寄者は第三者に当たりません。
公式正解 2
肢1:妥当。引渡しを受けていないBは、Aの差押債権者Cに所有権の取得を対抗できず、強制執行の不許を求めることはできません。
肢2:妥当でない。動産の賃借人は178条の第三者に当たるため、Fが指図による占有移転などで対抗要件を備えていなければ、EはFの引渡請求を拒めます。
肢3:妥当。寄託者に代わって一時保管するにすぎない受寄者は、譲渡を否認する正当な利益を持たず、178条の第三者に当たりません(最判昭和29年8月31日)。
肢4:妥当。動産の譲渡担保の対抗要件は占有改定による引渡しで足り、設定後も設定者が直接占有を続けている事実から占有改定が認められます(最判昭和30年6月2日)。
肢5:妥当。種類、量的範囲、場所で特定された集合物の譲渡担保で占有改定がされたときは、後から構成部分になった動産にも対抗要件の効力が及びます(最判昭和62年11月10日)。
公式問題で問29を見る
地役権・囲繞地通行権・法定地上権
問30 排水地役権・眺望地役権・地上権者の通行・法定地上権の要件・地上権消滅時の買取り
地役権は承役地を占有する権利ではないので、妨害排除の範囲は地役権の行使に必要な限度です。囲繞地通行権は地上権者にも認められます。
公式正解 4
妥当なのはイとオで、正解は4です。
ア:妥当でない。地役権は承役地の占有を内容としないので、地役権に基づいて甲土地の明渡しまでは求められず、妨害排除も排水を阻害する限度にとどまります。
イ:妥当。工作物を築造しない眺望地役権が登記されていれば、承役地の賃借人が建てた建物についても、地役権に基づいて収去を求められます。
ウ:妥当でない。袋地の地上権者にも囲繞地通行権が認められるので(267条で210条を準用)、Cは乙土地を通行でき、賃貸借契約を結ぶ必要はありません。
エ:妥当でない。法定地上権は、抵当権設定時に土地と建物が同一の所有者に属していることが要件です(388条)。設定後にAが建物を買っても成立しません。
オ:妥当。地上権が消滅したとき、土地所有者が時価で工作物を買い取る旨を通知すれば、地上権者は正当な理由がない限り拒めません(269条1項ただし書)。
公式問題で問30を見る
質権
問31 動産質の対抗要件と占有回収・不動産質の対抗要件・質権の即時取得・不動産質権者の使用収益・権利質
質権は目的物の引渡しで効力を生じます。不動産質権者は、設定者の承諾がなくても目的不動産を使用・収益できる点が抵当権と違います。
公式正解 4
肢1:妥当。動産質権者は継続して占有しなければ第三者に対抗できず(352条)、占有を奪われたときは占有回収の訴えによってのみ回復できます(353条)。
肢2:妥当。質権は目的物の引渡しで効力を生じ(344条)、不動産質権は登記がなければ第三者に対抗できません(177条)。
肢3:妥当。債務者の所有物と過失なく信じて質権の設定を受けた債権者は、質権を即時取得できます(192条)。
肢4:妥当でない。不動産質権者は、設定者の承諾がなくても、目的不動産の用法に従って使用・収益できます(356条)。
肢5:妥当。質権は債権などの財産権の上にも設定できます(362条1項)。
公式問題で問31を見る
建物の転貸借
問32 賃貸人と転借人の地位の同一化・賃料不払と催告・直接請求・無断転貸と明渡し・転貸料の支払拒絶
承諾ある転貸では、転借人は賃貸人に直接義務を負い、賃借人の債務不履行による解除に転借人への催告は要りません。無断転貸の転借人は、賃貸人に対抗できません。
公式正解 2
妥当なのはアとオで、正解は2です。
ア:妥当。賃貸人の地位と転借人の地位が同一人に帰属しても、特別の合意がない限り転貸借は当然には消滅しません(最判昭和35年6月23日)。
イ:妥当でない。賃借人の賃料不払を理由に原賃貸借を解除するのに、転借人に催告して支払の機会を与える必要はありません(最判昭和37年3月29日)。
ウ:妥当でない。承諾ある転貸では、転借人は賃貸人に対して直接義務を負うので(613条1項)、賃貸人は転借人に直接賃料を請求できます。
エ:妥当でない。無断転貸の転借人は賃貸人に対抗できないので、賃貸人は原賃貸借を解除しなくても、所有権に基づいて転借人に明渡しを請求できます。
オ:妥当。賃貸人から明渡しを求められた転借人は、使用収益できなくなるおそれがあるので、賃借人が相当の担保を提供しない限り転貸料の支払を拒めます(576条の類推、最判昭和50年4月25日)。
令和8年度試験での注意 2020年4月施行の改正民法で、転借人の直接の義務は賃借人の債務の範囲を限度とすることと(613条1項)、賃貸人は適法な転貸借があるとき合意解除を転借人に対抗できないこと(同条3項)が明記されました。この問の正解は変わりません。
公式問題で問32を見る
委任と事務管理
問33 委任の報酬・事務管理の費用償還・代弁済請求・本人名義の契約・費用の前払
頼まれて窓ガラスを取り換えたなら委任、頼まれずに取り換えたなら事務管理です。委任には費用の前払請求がありますが、事務管理にはありません。
公式正解 5
肢1:妥当。委任は無償が原則で、特約がなければ受任者は報酬を請求できません(648条1項)。
肢2:妥当。事務管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、その償還を請求できます(702条1項)。
肢3:妥当。事務管理者が本人のために有益な債務を負担したときは、本人に自己に代わって弁済するよう請求できます(702条2項で650条2項を準用)。
肢4:妥当。事務管理者が本人の名で契約しても、事務管理の効果として本人に契約の効果が帰属するわけではなく、本人の追認がなければDは代金を請求できません(最判昭和36年11月30日)。
肢5:妥当でない。委任事務の処理に費用が必要なときは、受任者は委任者に費用の前払を請求できます(649条)。特約は要りません。
公式問題で問33を見る
不法行為
問34 監督義務者に準ずべき者・一時的な使用関係・工作物責任・動物占有者の責任・共同不法行為
責任無能力者の監督者責任、使用者責任、工作物責任、動物占有者の責任、共同不法行為の判例を確かめます。占有補助者は動物の占有者に当たりません。
公式正解 4
肢1:妥当。同居の配偶者というだけでは法定の監督義務者に当たりませんが、監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情があれば、法定の監督義務者に準ずべき者として責任を負います(最判平成28年3月1日)。
肢2:妥当。兄が弟に運転させ、助手席で運転に気を配り指示していた事情から、一時的にせよ使用関係が肯定され、兄は使用者責任を負うとされました(最判昭和56年11月27日)。
肢3:妥当。工作物の所有者の責任は無過失責任で(717条1項ただし書)、瑕疵が前所有者の時に生じたものでも、瑕疵がないと過失なく信じていても、現所有者は責任を負います。
肢4:妥当でない。飼主の指示で散歩させていた雇人が占有補助者にすぎないなら、雇人は動物の占有者に当たらず、718条の責任を負いません。
肢5:妥当。交通事故と医療事故がともに死亡という不可分の一個の結果を招き、それぞれ相当因果関係があるときは共同不法行為となり、各行為者は損害の全額について責任を負います(最判平成13年3月13日)。
公式問題で問34を見る
氏
問35 婚姻後の氏の定め・婚氏続称・生存配偶者の復氏・子の氏の変更・婚姻で改氏した者の養子縁組
夫婦は婚姻の際に夫または妻の氏を称すると定めなければならず、離婚では婚姻前の氏に戻るのが原則です。子が父母と氏を異にするとき、氏を変えるには家庭裁判所の許可が必要です。
公式正解 2
妥当なのはアとウで、正解は2です。
ア:妥当。夫婦は婚姻の際に定めるところに従い夫または妻の氏を称するので(750条)、婚姻後の氏を定めない婚姻届は受理されません(戸籍法74条1号)。
イ:妥当でない。離婚で復氏した者も、離婚の日から3か月以内に届け出れば、離婚の際に称していた氏を称することができます(767条2項)。
ウ:妥当。夫婦の一方が死亡したとき、生存配偶者は戸籍法の定めにより届け出て婚姻前の氏に復することができます(751条1項、戸籍法95条)。
エ:妥当でない。子が父または母と氏を異にする場合、母の氏を称するには家庭裁判所の許可を得て届け出る必要があります(791条1項)。届出だけではできません。
オ:妥当でない。婚姻で氏を改めた者は、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は養親の氏を称しません(810条ただし書)。太郎と花子は甲山のままです。
公式問題で問35を見る
共有物の変更と管理
問45 建替えには共有者全員の同意、修繕等には持分の価格の過半数(民法251条・252条)
共有物に変更を加えるには他の共有者全員の同意が必要で、変更や保存に当たらない管理行為は各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決めます。建物の建替えは変更に当たります。
公式正解例あり
公式正解例は「共有者全員の合意が必要で、修繕等には各共有者の持分の価格の過半数での決定が必要である。」です。
建替え:建物の建替えは共有物の変更に当たり、共有者全員の同意が必要です(251条)。
修繕等:問題文では変更にも保存行為にも当たらないとされているので、管理行為として持分の価格に従い過半数で決めます(252条)。
人数との違い:過半数は共有者の頭数ではなく、各共有者の持分の価格を基準に数えます。
書き方:「建替えには、」に続けて、全員の同意(合意)と、修繕等は持分の価格の過半数で決することを40字程度でまとめます。
令和8年度試験での注意 2023年4月1日施行の改正民法で、形状または効用の著しい変更を伴わない変更は持分の価格の過半数で決められるようになりました(251条1項括弧書き、252条1項)。建替えは著しい変更に当たり全員の同意が必要なので、この問の解答は変わりません。
公式問題で問45を見る
第三者のためにする契約
問46 受益の意思表示による第三者の権利の発生(民法537条)
A・B間で、BがAに代わってCに代金を支払うと約束する契約は、第三者のためにする契約です。第三者Cの権利は、Cが債務者Bに対して契約の利益を享受する意思を表示した時に発生します。
公式正解例あり
公式正解例は「第三者のためにする契約といい、CがBに契約の利益を享受する意思を表示することが必要。」です。
契約の名称:契約の一方当事者(B)が第三者(C)に給付をすることを約する契約は、第三者のためにする契約です(537条1項)。
権利の発生要件:第三者の権利は、第三者が債務者に対して契約の利益を享受する意思を表示した時に発生します。
誰が誰に:意思表示をするのは第三者C、相手方は債務者Bです。要約者Aに対してするのではありません。
書き方:40字程度で、「第三者のためにする契約」「CがBに」「利益を享受する意思を表示」の3点を入れます。
令和8年度試験での注意 2020年4月施行の改正民法で、受益の意思表示の規定は537条3項に移り、契約の成立時に第三者が現存しない場合でも契約が有効であることが明記されました(同条2項)。この問の解答は変わりません。
公式問題で問46を見る
正答一覧へ戻る ↑
商法・会社法の解答・解説(5問)
交互計算、会社設立、株主総会、監査役、株券制度の機関と手続を確認します。株主総会・取締役会・監査役会の権限主体を入れ替えた肢に注意が必要です。
商行為の代理
問36 非顕名の商行為と相手方の選択(商法504条)
商行為の代理では、代理人が本人のためにすることを示さなくても行為は本人に効力を生じます。相手方が過失なくこれを知らなかったときは、本人との関係か代理人との関係かを選んで主張できます。
公式正解 5
肢1:妥当でない。本人と代理人の双方との法律関係が同時に成立し、両者が連帯して責任を負うわけではありません。
肢2:妥当でない。商行為の代理では、顕名がなくても本人に効果が及ぶのが原則です(商法504条本文)。
肢3:妥当でない。相手方は、履行の請求に限らず、代理人との法律関係そのものを主張できます。
肢4:妥当でない。原則として法律関係が生じるのは本人との間で、相手方は代理人との関係を選択して主張することもできます。
肢5:妥当。相手方が代理人が本人のためにすることを過失なく知らなかったときは、その選択により、本人との法律関係か代理人との法律関係のいずれかを主張できます(最大判昭和43年4月24日)。
公式問題で問36を見る
設立時の出資の履行
問37 定款の記載事項・対抗要件具備行為・権利株の譲渡・募集株式の引受人の失権・現物出資
発起人が出資を履行しないときは期日を定めた通知が必要ですが、設立時募集株式の引受人が払込みをしないときは当然に権利を失います。現物出資ができるのは発起人だけです。
公式正解 5
誤っているのはエとオで、正解は5です。
ア:正しい。設立時に出資される財産の価額か、その最低額は、定款の必要的記載事項です(会社法27条4号)。
イ:正しい。発起人全員の同意があれば、登記・登録など第三者に対抗するために必要な行為は会社の成立後にできます(34条1項ただし書)。
ウ:正しい。出資の履行により設立時発行株式の株主となる権利(権利株)の譲渡は、成立後の株式会社に対抗できません(35条)。
エ:誤り。設立時募集株式の引受人が払込みをしないときは、通知を要せず当然に株主となる権利を失います(63条3項)。期日を定めた通知(36条)が必要なのは発起人の場合です。
オ:誤り。設立時募集株式の引受人は金銭の払込みでしか出資できず(63条1項)、現物出資ができるのは発起人に限られます(28条1号)。
公式問題で問37を見る
6か月の株式保有要件
問38 公開会社で継続保有が必要な株主の権利
公開会社では、株主代表訴訟(責任追及等の訴え)を提起できるのは6か月前から引き続き株式を有する株主に限られます。議決権や各種の会社の組織に関する訴えには保有期間の要件がありません。
公式正解 5
会社法が定めているのは5です。
肢1:該当しない。株主総会の議決権の行使に保有期間の要件はありません。
肢2:該当しない。会計帳簿の閲覧請求には議決権または株式の3%以上という要件はありますが(433条1項)、保有期間の要件はありません。
肢3:該当しない。新株発行無効の訴えは株主などが提起でき(828条2項2号)、保有期間の要件はありません。
肢4:該当しない。株主総会決議の取消しの訴えも、株主であれば提起でき(831条1項)、保有期間の要件はありません。
肢5:該当する。取締役の責任を追及する訴えは、公開会社では6か月前から引き続き株式を有する株主が提起できます(847条1項)。
公式問題で問38を見る
取締役会の運営
問39 招集権者・招集通知・決議要件・特別利害関係人・議事録の異議
取締役会は各取締役が招集でき、招集通知に議題や議案を示す必要はありません。株主総会の招集手続との違いが問われます。
公式正解 1
誤っているのはアとイで、正解は1です。
ア:誤り。取締役会は各取締役が招集します(会社法366条1項本文)。定款や取締役会で招集する取締役を定めることもできますが、代表取締役が招集しなければならないわけではありません。
イ:誤り。招集通知は取締役会の日の1週間前までに発しますが(368条1項)、取締役会の目的である事項や議案を示す必要はありません。
ウ:正しい。取締役会の決議は、議決に加われる取締役の過半数の出席と、出席者の過半数の賛成で成立します(369条1項)。
エ:正しい。特別の利害関係を持つ取締役は、その決議の議決に参加できません(369条2項)。
オ:正しい。決議に参加して議事録に異議を残さなかった取締役は、決議に賛成したと推定されます(369条5項)。
公式問題で問39を見る
非公開・取締役会非設置会社
問40 株主総会の権限・議題提案権・取締役の員数・取締役の資格・競業取引の承認
取締役会を置かない会社では、株主総会が一切の事項について決議でき、取締役は1人以上で足ります。公開会社でない会社は、取締役を株主に限る定款を定められます。
公式正解 3
肢1:正しい。取締役会設置会社でない会社の株主総会は、会社法に規定する事項と株式会社に関する一切の事項について決議できます(295条1項)。
肢2:正しい。取締役会設置会社でない会社の株主は、持株数にかかわらず、議決権を行使できる事項を株主総会の目的とするよう請求できます(303条1項)。
肢3:誤り。取締役会を置かない会社の取締役は1人以上で足ります(326条1項)。2人以上を置く義務はありません。
肢4:正しい。公開会社でない会社は、取締役が株主でなければならない旨を定款で定められます(331条2項ただし書)。
肢5:正しい。取締役会を置かない会社の取締役が競業取引をするときは、株主総会で重要な事実を開示し、承認を受けなければなりません(356条1項1号)。
公式問題で問40を見る
正答一覧へ戻る ↑
基礎知識の解答・解説(11問)
政治・経済・社会、情報通信、個人情報保護を制度の目的と最新用語から判断します。印象で選ばず、制度主体、年代、定義を一つずつ照合することが得点につながります。
近代の日中関係
問47 日清戦争の講和・第一次世界大戦と二十一カ条要求・張作霖爆殺事件・盧溝橋事件・日中国交正常化
各事件の年と、そのときの内閣・条約名の組合せを確かめます。張作霖爆殺事件は田中義一内閣、盧溝橋事件は近衛文麿内閣、日中共同声明は田中角栄内閣の時期です。
公式正解 3
肢1:妥当でない。日清戦争の講和条約は1895年の下関条約です。清は朝鮮の独立を認め、遼東半島・台湾・澎湖諸島の割譲と賠償金2億両の支払を約しました。ポーツマス条約は日露戦争の講和条約です。
肢2:妥当でない。第一次世界大戦で日本が占領したのは、ドイツの根拠地であった山東半島の青島などです。ハルビンではありません。
肢3:妥当。1928年、関東軍の一部が張作霖を爆殺した事件は真相が国民に知らされず「満州某重大事件」と呼ばれ、田中義一内閣は関係者を軽い処分で済ませようとしました。
肢4:妥当でない。1937年の盧溝橋事件のときの首相は近衛文麿で、日中戦争は宣戦布告のないまま全面化しました。東条英機内閣の成立は1941年です。
肢5:妥当でない。1972年に訪中して日中共同声明を発表したのは田中角栄首相で、1978年の日中平和友好条約は福田赳夫内閣が締結しました。
公式問題で問47を見る
女性の政治参加
問48 女性参政権の実現・衆議院の女性比率・女性の首脳・候補者男女均等法
日本の女性参政権は第二次世界大戦後に実現し、1946年の総選挙で39人の女性議員が誕生しました。2018年には、政治分野における男女共同参画の推進に関する法律が施行されています。
公式正解 2
アは「第二次世界大戦後」、イは「約1割」、ウは「タイ」、エは「男女共同参画」、オは「地方公共団体」で、正解は2です。
ア(第二次世界大戦後):女性の国政参加は、1945年の衆議院議員選挙法改正で認められ、1946年4月の総選挙で39人の女性議員が誕生しました。
イ(約1割):2017年末の衆議院の女性議員比率は約1割(10.1%)でした。
ウ(タイ):タイではインラック氏が女性の首相を務めました。アメリカ、ロシア、中国、北朝鮮では女性の行政府の長は誕生していません。
エ(男女共同参画):2018年に公布・施行されたのは「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」です。
オ(地方公共団体):同法は、衆議院、参議院と地方公共団体の議会の選挙で、男女の候補者の数ができる限り均等になることを目指すとしています。
令和8年度試験での注意 2025年10月、高市早苗氏が日本で初めての女性の首相に就任しました。2024年10月の総選挙後の衆議院の女性議員比率は約16%です。問題文の「女性の首相は誕生していない」という記述は現在では当てはまりませんが、空欄の正解は変わりません。
公式問題で問48を見る
国の行政改革
問49 総定員法・第2次臨調・第3次行革審と行政手続法・中央省庁等改革基本法・行政改革推進法
行政改革の主な節目について、成立年と内容の組合せを確かめます。1993年制定の行政手続法の対象は、処分・行政指導・届出で、強制執行や計画策定は含まれていません。
公式正解 3
肢1:妥当。1969年の総定員法(行政機関の職員の定員に関する法律)は、内閣の機関や各省の常勤職員の定員の総数の上限を定めました。
肢2:妥当。1981年発足の第2次臨時行政調査会(土光臨調)を受け、増税なき財政再建の下で国鉄・電電公社・専売公社の民営化などが進められました。
肢3:妥当でない。第3次行革審の答申を受けて1993年に制定された行政手続法は、処分、行政指導、届出の手続を対象としました。行政上の強制執行や計画策定は対象外で、命令等の制定手続(意見公募手続)が加わったのは2005年の改正です。
肢4:妥当。1998年の中央省庁等改革基本法は、内閣の機能を強め、省庁を再編し、独立行政法人の制度を設けることなどを定めました。
肢5:妥当。2006年の行政改革推進法は、政策金融や特別会計の改革、独立行政法人の見直し、国家公務員の人件費の削減などを定めました。
公式問題で問49を見る
日本の雇用・労働
問50 日本型雇用慣行・非正規雇用の割合・兼業副業・高度プロフェッショナル制度・年休の取得義務
日本型雇用慣行の三つの柱、非正規雇用の割合、働き方改革関連法の内容を確かめます。高度プロフェッショナル制度の対象業務に医師は含まれません。
公式正解 4
妥当なのはイとオで、正解は4です。
ア:妥当でない。日本型雇用慣行の柱は、終身雇用、年功序列、企業別労働組合です。職能別労働組合ではありません。
イ:妥当。非正規雇用労働者は増加傾向にあり、役員を除く雇用者のおおよそ4割程度を占めていました。
ウ:妥当でない。民間企業の労働者の兼業・副業を一般的に禁じる法律の規定はありません。許可制などは各企業の就業規則で定められてきました。
エ:妥当でない。高度プロフェッショナル制度の対象は、金融商品の開発、ディーリング、アナリスト、コンサルタント、研究開発などの業務で、医師は対象外です。
オ:妥当。年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に、年5日を取得させることが使用者に義務付けられました(労働基準法39条7項、2019年4月施行)。
公式問題で問50を見る
経済用語
問51 信用乗数・消費者物価指数・完全失業率・労働分配率・国内総支出
経済指標の定義と、計算に使う分母・構成要素を確かめます。国内総支出では輸入を差し引き、完全失業率の分母は労働力人口です。
公式正解 2
肢1:妥当でない。信用乗数はマネーストックがベースマネーの何倍かを示しますが、預金準備率が上昇すると小さくなります。
肢2:妥当。消費者物価指数は、全国の世帯が購入する財・サービスの価格の平均的な変動を測定し、基準年を100とする指数で表します。
肢3:妥当でない。完全失業率は、完全失業者数を労働力人口で割って求めます。総人口ではありません。
肢4:妥当でない。労働分配率は、企業が生み出した付加価値のうち人件費に分配された割合です。労働者間の所得格差を示す指標ではありません。
肢5:妥当でない。国内総支出は、民間最終消費支出、政府最終消費支出、国内総資本形成に、輸出から輸入を差し引いた純輸出を加えたものです。輸入は足すのではなく差し引きます。
公式問題で問51を見る
元号の制定手続
問52 元号法と政令
元号は、1979年に制定された元号法に基づき、内閣が政令で定めます。令和への改元も「元号を改める政令」によって行われました。
公式正解 3
肢1:妥当でない。元号の根拠は憲法ではなく元号法で、告示ではなく政令で定めます。
肢2:妥当でない。現在の皇室典範に元号の規定はなく、天皇の布告で定めるものでもありません。
肢3:妥当。元号は政令で定め、皇位の継承があった場合に限り改めます(元号法1項・2項)。
肢4:妥当でない。勅令は日本国憲法の下では存在しません。
肢5:妥当でない。元号を定めるのは皇室会議ではなく、内閣の政令です。
公式問題で問52を見る
日本の廃棄物処理
問53 廃棄物の区分・一般廃棄物の有料化・産業廃棄物の処理責任・最終処分場の残余年数・バーゼル条約
一般廃棄物は市町村、産業廃棄物は排出した事業者が処理の責任を負います。最終処分場の残余年数は、急減しているわけではありません。
公式正解 4
妥当でないのはウとエで、正解は4です。
ア:妥当。廃棄物処理法は、廃棄物を産業廃棄物とそれ以外の一般廃棄物に区分しています(2条)。
イ:妥当。家庭から出る一般廃棄物の処理は市町村の責務で、排出抑制のためにごみ処理を有料化している市区町村があります。
ウ:妥当でない。産業廃棄物は、排出した事業者が自らの責任で処理しなければなりません(11条1項)。産業廃棄物税を課している都道府県はあります。
エ:妥当でない。産業廃棄物の最終処分場の残余年数は、再生利用や減量化の進展で、急減するのではなく横ばいから改善の傾向にありました。
オ:妥当。有害廃棄物の国境を越える移動と処分を規制するバーゼル条約に、日本は1993年に加入しています。
公式問題で問53を見る
情報通信の用語
問54 VR・AI・5G・IoT・SNS
情報通信の略語と、その技術やサービスの説明を対応させます。
公式正解 5
アはVR、イはAI、ウは5G、エはIoT、オはSNSで、正解は5です。
ア(VR):感覚器官への刺激などで、現実ではないが実質的に同じように感じられる環境を作り出す技術は、仮想現実(Virtual Reality)です。
イ(AI):大量のデータの学習やパターン認識により、推論や言語理解などの知的行動をコンピュータが行う技術は、人工知能(Artificial Intelligence)です。
ウ(5G):ミリ波など高い周波数帯も使い、高速大容量、低遅延、多数同時接続を可能にする通信方式は、第5世代移動通信システムです。
エ(IoT):多数のモノがインターネットに接続し、人を介さず情報交換や制御を行う仕組みは、モノのインターネット(Internet of Things)です。
オ(SNS):会員同士の情報交換で社会的なつながりを維持・促進するサービスは、ソーシャル・ネットワーキング・サービスです。
公式問題で問54を見る
通信の秘密
問55 電気通信事業者の範囲・処罰の対象・通信傍受と令状・受刑者の信書・保護の範囲
電気通信事業法の通信の秘密の保護は、回線設備を持たない事業者にも及びます。通信傍受は、令状によらなければ行えません。
公式正解 2
妥当でないのはアとウで、正解は2です。
ア:妥当でない。通信の秘密を守る義務は、回線設備を保有する事業者に限らず、他社の回線設備を借りてサービスを提供するプロバイダなどの電気通信事業者にも及びます(電気通信事業法4条)。
イ:妥当。電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密を侵した者は、事業者でなくても処罰の対象になります(179条1項)。
ウ:妥当でない。通信傍受法に基づく傍受は、対象犯罪が限定されているうえ、裁判官が発する傍受令状によらなければ行えません。
エ:妥当。刑事施設の長は、受刑者が発受する信書を検査し、内容によっては差し止めることができます(刑事収容施設法127条、129条)。
オ:妥当。通信の秘密には、通信の内容だけでなく、通信当事者の氏名・住所、通信日時、通信回数なども含まれると解されています。
公式問題で問55を見る
アナログ方式の放送・通信
問56 AMラジオ・公衆交換電話網・ISDN・無線LAN・イーサネット
出題当時、主としてアナログ方式で送られていたのは、AMラジオ放送と、加入電話の公衆交換電話網です。ISDN、無線LAN、イーサネットはデジタル方式です。
公式正解 1
アナログ方式はアとイで、正解は1です。
ア:アナログ。AMラジオ放送は、音声で搬送波の振幅を変化させるアナログ方式です。
イ:アナログ。一般の加入電話の公衆交換電話網は、主として音声をアナログ信号のまま送る方式でした。
ウ:デジタル。ISDN(総合デジタル通信網)は、音声やデータをデジタル信号で送ります。
エ:デジタル。無線LANは、データをデジタル信号で無線伝送します。
オ:デジタル。イーサネットは、コンピュータネットワークでデータをデジタル信号で伝送する規格です。
令和8年度試験での注意 NTT東日本・西日本の加入電話の公衆交換電話網は、2024年1月からIP網への移行が進められました。現在の状況で同じ問いを考えると、イの扱いは出題当時と異なります。
公式問題で問56を見る
個人情報保護委員会
問57 委員会の所轄・報告徴収・政治活動の禁止・認定個人情報保護団体の取消し・守秘義務
個人情報保護委員会は、内閣府設置法に基づく独立性の高い行政委員会で、内閣総理大臣の所轄に属します。特定の大臣の共管ではありません。
公式正解 1
肢1:妥当でない。個人情報保護委員会は内閣総理大臣の所轄に属する委員会で、総務・経済産業・厚生労働の各大臣の共管ではありません(現行130条)。
肢2:妥当。委員会は、法律の施行に必要な限度で、個人情報取扱事業者などに報告や資料の提出を求められます(現行146条1項)。
肢3:妥当。委員長と委員は、在任中に政党などの政治団体の役員に就くことや、積極的な政治運動が禁じられています。
肢4:妥当。委員会は、認定個人情報保護団体が取消要件に該当するときは、その認定を取り消せます(現行155条1項)。
肢5:妥当。委員長、委員、専門委員、事務局の職員は、職務上知った秘密を漏らし、または盗用してはならず、退職後も同様です(現行143条)。
令和8年度試験での注意 2022年4月施行の改正で、個人情報保護法の条番号が大きく変わりました。委員会の所轄や権限の内容は同じで、この問の正解は変わりません。
公式問題で問57を見る
正答一覧へ戻る ↑