権利関係の解答・解説(10問)
背信的悪意者からの転得者、相続と遺留分、制限行為能力者、抵当権、期間の計算、賃貸借と使用貸借、失踪宣告の取消し、地上権と賃借権、辞任、取得時効を扱います。条文と判例の組合せで正誤が決まる問が中心です。
対抗要件・背信的悪意者
問1 背信的悪意者からの転得者と登記
判決文は、二重譲渡の第二譲受人が背信的悪意者でも、そこから買い受けた転得者は、自身が第一譲受人との関係で背信的悪意者と評価されない限り、登記を備えれば所有権を対抗できるとしています(最判平成8年10月29日)。背信的悪意者かどうかは人ごとに判断します。
公式正解 3
正しいのは3です。転得者自身も第一譲受人との関係で背信的悪意者に当たるなら、登記を備えていても対抗できません。
肢1:誤り。背信的悪意者は民法177条の「第三者」に当たらないので、登記を備えていても、登記のない第一譲受人Bに所有権の取得を対抗できません。
肢2:誤り。不動産の物権変動は登記をしなければ第三者に対抗できません(177条)。Cが背信的悪意者でない以上、登記のないBはCに所有権の取得を主張できません。
肢3:正しい。判決文の考え方では、転得者Dの地位はD自身について判断します。DもBとの関係で背信的悪意者と評価されるなら、登記を備えていてもBに対抗できません。
肢4:誤り。Bへの売却を知っていただけ(単純悪意)のCは177条の第三者に当たり、先に登記を備えたCがBに優先します。自由競争の範囲内とされるためです。
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相続・遺留分
問2 遺留分の放棄と相続放棄の時期
相続開始前にできるのは、家庭裁判所の許可を得た遺留分の放棄だけです。相続放棄は相続開始後にしかできず、遺留分を放棄しても相続人であることは変わりません。
公式正解 3
誤っているのは3です。遺留分を放棄しても相続権は失わず、遺言がなければ相続人として遺産を承継します。
肢1:正しい。相続開始前の遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り効力を生じます(民法1049条1項)。
肢2:正しい。相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所に申述してします(915条1項・938条)。被相続人の生前には申述できません。
肢3:誤り。遺留分の放棄は、遺留分侵害額を請求する権利を手放すだけで、相続人の地位は残ります。被相続人が遺言を残さなければ、法定相続分に従って遺産を承継します。
肢4:正しい。遺留分を有するのは兄弟姉妹以外の相続人です(1042条1項)。
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制限行為能力者
問3 成年後見人の取消権・利益相反・保佐人の代理権・後見人の欠格事由
成年後見人の取消権、相続放棄と利益相反に関する判例、保佐人に代理権を与える審判、成年年齢引下げ後の後見人の欠格事由を順に確かめます。
公式正解 4
正しいのは4です。後見人になれない未成年者に、18歳の者は含まれません。
肢1:誤り。成年後見人は、成年被後見人の法律行為を単独で取り消せます(民法9条・120条1項)。後見監督人の同意が要るのは、後見人が被後見人に代わって営業や13条1項各号の重要な行為をする場合です(864条)。
肢2:誤り。判例は、共同相続人の一人である後見人が、他の共同相続人である被後見人を代理して相続放棄をする場合、利益相反行為に当たることがあるとしています(最判昭和53年2月24日)。相手方のない単独行為であることだけで、利益相反は否定されません。
肢3:誤り。家庭裁判所は、本人などの請求により、特定の法律行為について保佐人に代理権を付与する審判をすることができます(876条の4第1項)。本人以外の者の請求なら、本人の同意が必要です。
肢4:正しい。2022年4月1日から成年年齢は18歳になりました(4条)。後見人の欠格事由は未成年者などで(847条1号)、18歳の者は当たりません。
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抵当権
問4 代価弁済・建物明渡猶予・一括競売・抵当権消滅請求
抵当不動産の第三取得者を守る制度(代価弁済・抵当権消滅請求)と、抵当権に後れる利用者の扱い(明渡猶予・一括競売)は、対象の不動産と請求できる人で区別します。
公式正解 1
正しいのは1です。抵当権者の請求に応じて代価を弁済した買主のために、抵当権は消滅します。
肢1:正しい。抵当不動産の所有権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じて代価を弁済したときは、抵当権はその第三者のために消滅します(民法378条)。
肢2:誤り。競売の買受けから6か月間の明渡猶予は、抵当権者に対抗できない賃貸借で「建物」を使用する者のための制度です(395条1項)。甲は土地なので適用されません。
肢3:誤り。抵当権設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は土地とともに建物を競売することが「できる」だけです(389条1項)。一括競売は義務ではなく、優先弁済を受けられるのも土地の代価だけです。
肢4:誤り。主たる債務者、保証人とこれらの承継人は、抵当権消滅請求をすることができません(380条)。甲土地を買い受けた債務者Bは請求できません。
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期間の計算
問5 初日不算入の原則と月単位の期間の満了日
日・週・月・年で定めた期間は、午前0時から始まる場合を除いて初日を算入せず、暦に従って計算します。起算日が月の初日でなければ、最後の月の応当日の前日に満了します。
公式正解 2
正しいのは2です。8月31日午前10時の契約なら9月1日から起算し、9月30日の終了で1か月が満了します。
肢1:誤り。初日は算入しないので(民法140条)、令和4年10月18日から起算します。1年後の応当日(令和5年10月18日)の前日、令和5年10月17日が引渡日です(143条2項)。
肢2:正しい。9月1日から起算し、月の初日から数える期間は暦に従ってその月の末日に満了するので、9月30日の終了で弁済期限が到来します(143条1項)。
肢3:誤り。期間の末日が日曜日・祝日などに当たり、その日は取引をしない慣習があるときに限って、期間は「翌日」に満了します(142条)。前日ではありません。
肢4:誤り。5月31日から起算すると、翌月に応当日(6月31日)がないので、6月の末日である6月30日に満了します(143条2項ただし書)。7月1日ではありません。
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賃貸借・使用貸借
問6 賃貸借と使用貸借の解除・転貸・期間内の解約・損害賠償の期間
使用貸借は無償の契約なので、借主は期間内でもいつでも解除でき、貸主も書面によらない契約なら引渡し前に解除できます。賃貸借には、このような自由な解除の規定がありません。
公式正解 3
正しいのは3です。賃貸借は解約権を留保していれば期間内でも解約の申入れができ、使用貸借の借主はいつでも解除できます。
肢1:誤り。引渡し前に貸主が解除できるのは書面によらない使用貸借だけで(民法593条の2)、書面で契約した②は自由に解除できません。①の賃貸借には、口頭の契約でも貸主が自由に解除できる規定はありません。
肢2:誤り。使用貸借の借主も、貸主の承諾を得なければ第三者に借用物を使用・収益させることができません(594条2項)。賃貸借の無断転貸の禁止(612条1項)と同じです。
肢3:正しい。期間を定めた賃貸借でも、当事者が期間内に解約する権利を留保したときは解約の申入れができます(618条・617条)。使用貸借の借主は、期間の定めがあってもいつでも契約を解除できます(598条3項)。
肢4:誤り。契約の本旨に反する使用によって生じた損害の賠償は、賃貸借でも使用貸借でも、貸主が返還を受けた時から1年以内に請求しなければなりません(600条1項・622条)。
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失踪宣告の取消し
問7 失踪宣告の取消しと善意で行った売買
失踪宣告が取り消されても、取消し前に善意でした行為の効力は失われません(民法32条1項後段)。判例は、契約の場合には当事者の双方が善意であることを求めています。
公式正解 4
正解は4です。CがAに所有権を対抗できるのは、BとCがともに善意だった(ア)の場合だけです。
(ア):対抗できる。売主Bと買主Cがともに善意なので、売買は失踪宣告の取消しの影響を受けません。
(イ):対抗できない。Cが善意でも、Bが悪意なら双方善意の要件を欠きます(大判昭和13年2月7日)。
(ウ):対抗できない。Bが善意でも、Cが悪意であれば保護されません。
(エ):対抗できない。双方とも悪意なので、取消しによってBの権利取得はさかのぼって失われ、CはAに対抗できません。
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地上権と賃借権
問8 地上権と土地賃借権の修繕義務・譲渡・抵当権・妨害排除
地上権は物権なので、土地所有者の承諾なく譲渡でき、抵当権の目的にもなります。賃借権は債権ですが、対抗要件を備えれば妨害排除を請求できます。
公式正解 3
正しいのは3です。抵当権の目的にできるのは不動産、地上権、永小作権で、賃借権は含まれません。
肢1:誤り。賃貸人は使用・収益に必要な修繕をする義務を負いますが(民法606条1項)、地上権を設定した土地所有者には、特約がない限りこの義務はありません。
肢2:誤り。地上権は承諾なく譲渡できるので、①ではBはCに明渡しを請求できません。②の賃借権の無断譲渡なら、背信的行為と認めるに足りない特段の事情がない限り、Bは契約を解除してCに明渡しを請求できます(612条)。
肢3:正しい。地上権は抵当権の目的にできますが(369条2項)、賃借権を目的とする抵当権の設定は認められていません。
肢4:誤り。対抗要件を備えた不動産の賃借人は、占有を妨害する第三者に妨害の停止を請求できます(605条の4第1号)。②でもDの妨害の排除を求められます。
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辞任
問9 代理人・親権者・後見人・遺言執行者の辞任
辞任の手続は地位によって違います。委任による代理人はいつでも辞任できますが、親権者・後見人・遺言執行者が辞任するには、いずれも家庭裁判所の許可が必要です。
公式正解 1
正しいのはアの一つだけで、正解は1です。
ア:正しい。委任は各当事者がいつでも解除でき(民法651条1項)、報酬の約束があっても変わりません。委任が終了すれば代理権も消滅します(111条2項)。相手方に不利な時期の解除などは損害賠償の対象になります(651条2項)。
イ:誤り。親権者は、やむを得ない事由があるときに、家庭裁判所の許可を得て親権を辞することができます(837条1項)。法務局への届出ではありません。
ウ:誤り。後見人が辞任するには、正当な事由に加えて家庭裁判所の許可が必要です(844条)。後見監督人の許可ではありません。
エ:誤り。遺言執行者も、正当な事由があるときに家庭裁判所の許可を得て辞任します(1019条2項)。相続人の許可ではありません。
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取得時効
問10 二重譲渡の第一買主による時効取得
引渡しを受けた第一買主Bは、登記をしたCに所有権を対抗できなくても、占有を続ければ時効で所有権を取得できます。占有の継続、所有の意思、時効完成時の所有者との関係を確かめます。
公式正解 2
正しいのは2です。占有回収の訴えで占有を取り戻せば、奪われていた間も占有は続いていたものとして扱われます。
肢1:誤り。賃借人Dを通じた占有(代理占有)でも、Bの占有は続いています(民法181条)。時効取得は妨げられません。
肢2:正しい。占有を奪われても、占有回収の訴えを提起して占有を回復すれば占有権は消滅せず(203条ただし書)、判例は占有が継続していたものとみなしています。
肢3:誤り。所有の意思は占有を始めた原因(権原)の性質で客観的に決まり、後で二重譲渡と登記の移転を知っても失われません。善意・無過失も占有開始時で判断するので、その後に悪意になっても10年の時効(162条2項)の対象になります。
肢4:誤り。時効完成時の所有者Cは時効取得の当事者と同じ立場にあり、Bは登記がなくても時効による所有権の取得をCに対抗できます。登記が必要になるのは、時効完成後にCから譲り受けた第三者に対してです。
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借地借家・登記の解答・解説(4問)
借地上の建物の再築と特約、定期建物賃貸借、区分所有法の管理者と集会、不動産登記の登記識別情報を扱います。区分所有法の決議要件は2026年4月の改正で変わりました。
借地権
問11 借地上の建物の再築・転借地・再築の特約・建物買取請求
借地借家法は、借地上の建物が滅失しても借地権を消滅させず、借地権設定者の承諾があれば存続期間を延長します。期間などの規定に反する借地権者に不利な特約は無効です(9条)。
公式正解 3
正しいのは3です。残存期間を超えて存続する建物を建てないとする特約は、借地権者に不利なので無効です。
肢1:誤り。期間満了前に建物が滅失し、残存期間を超えて存続する建物を築造した場合、期間が延長されるのは借地権設定者の承諾があるときだけです(借地借家法7条1項)。
肢2:誤り。建物の滅失だけで借地権や転借地権が消滅することはありません。転借地権者がする建物の築造は、借地権者がする築造とみなして期間延長の規定が適用されます(7条3項)。
肢3:正しい。再築を承諾しながら、残存期間を超えて存続する建物を建てないとする特約は、期間延長の規定(7条)に反する借地権者に不利な特約なので無効です(9条)。
肢4:誤り。建物買取請求をした者は、代金の支払を受けるまで建物の引渡しを拒めますが、その間の敷地の占有については、賃料相当額を不当利得として返還しなければなりません(判例)。
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定期建物賃貸借
問12 定期建物賃貸借の事前説明書面・引渡しの対抗力・中途解約・敷金
定期建物賃貸借にするには、契約書とは別に、更新がなく期間満了で終了することを記載した書面を交付して、あらかじめ説明する必要があります。判例は、この書面が契約書と別個独立であることを求めています。
公式正解 1
誤っているのは1です。契約書を交付して説明しても、事前説明の書面を交付したことにはなりません。
肢1:誤り。賃貸人は契約の締結前に、契約書とは別個独立の書面を交付して説明しなければなりません(借地借家法38条、最判平成24年9月13日)。説明しなかったときは、更新がない旨の定めは無効になります。
肢2:正しい。建物の賃貸借は、登記がなくても建物の引渡しを受けていれば、その後に建物を取得した者に対抗できます(31条)。定期建物賃貸借でも普通の賃貸借でも同じです。
肢3:正しい。床面積200㎡未満の居住用建物の定期建物賃貸借では、転勤・療養・親族の介護などのやむを得ない事情で生活の本拠として使えなくなった賃借人は、解約の申入れができます。これに反する賃借人に不利な特約は無効です。
肢4:正しい。敷金の返還義務は、賃貸借が終了し、かつ賃貸物の返還を受けたときに生じます(民法622条の2第1項1号)。明渡しが先です。
令和8年度試験での注意 2022年5月18日施行の改正で、定期建物賃貸借の契約と事前説明の書面は、賃借人の承諾があれば電磁的方法でも行えるようになりました(借地借家法38条2項・4項)。事前説明が契約書とは別に必要である点は変わらず、肢1は今も誤りです。
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区分所有法
問13 管理者の訴訟と通知・集会の招集・管理者の選任・管理組合法人
管理者が規約によって原告・被告になったときは、遅滞なく区分所有者に通知しなければなりません。区分所有者の利益に関わる訴訟なので、通知は省略できません。
公式正解 1
誤っているのは1です。規約により原告・被告となった管理者は、その旨を区分所有者に通知する必要があります。
肢1:誤り。管理者は規約や集会の決議で区分所有者のために原告・被告になれますが、規約によって原告・被告となったときは、遅滞なく区分所有者に通知しなければなりません(区分所有法26条4項・5項)。
肢2:正しい。管理者がいない場合は、区分所有者の5分の1以上で、かつ議決権の5分の1以上を持つ者が集会を招集できます。この人数と割合は、規約で引き下げることができます(34条5項)。
肢3:正しい。管理者の選任・解任は、規約に別段の定めがない限り集会の普通決議で行います(25条1項)。出題時の普通決議は、区分所有者及び議決権の各過半数でした(39条1項)。
肢4:正しい。出題時の規定では、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で、法人となる旨・名称・事務所を定め、主たる事務所の所在地で登記をすると管理組合法人になります(47条1項)。
令和8年度試験での注意 2026年4月1日施行の改正区分所有法で、普通決議は「出席した区分所有者及びその議決権の各過半数」(39条1項)、管理組合法人の設立は区分所有者・議決権の各過半数が出席したうえで「出席者の各4分の3以上」(47条1項)に改められました。令和8年度試験では、肢3・肢4の数え方を改正後の条文で覚えます。誤りの肢1(26条5項の通知義務)は変わりません。
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不動産登記
問14 登記原因証明情報・登記識別情報・登記完了証
登記識別情報を提供できない正当な理由は、通知を受けていない、失効した、失念したなどの限られた場合です。資格者代理人が申請することは、提供を省ける理由になりません。
公式正解 2
誤っているのは2です。司法書士などの代理人による申請でも、登記義務者の登記識別情報は提供しなければなりません。
肢1:正しい。権利に関する登記の申請では、法令に別段の定めがある場合を除き、登記原因を証する情報を提供しなければなりません(不動産登記法61条)。
肢2:誤り。登記識別情報を提供できない正当な理由(22条ただし書)は、通知されていない、失効した、失念したなどの場合に限られます。登記の申請の代理を業とする者が申請することは、これに当たりません。
肢3:正しい。登記権利者が通知を希望しない旨の申出をしたときは、登記識別情報は通知されません(21条ただし書)。
肢4:正しい。登記完了証の交付を送付の方法で求めるときは、その旨と送付先の住所を申請情報の内容とします(不動産登記規則182条)。
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法令上の制限の解答・解説(8問)
都市計画の内容、開発許可、建築基準法、宅地造成等規制法、土地区画整理法、農地法、国土利用計画法を扱います。宅地造成等規制法は2023年に盛土規制法へ改められました。
都市計画の内容
問15 市街化区域の用途地域・準都市計画区域・高度地区・工業地域
高度地区は建築物の「高さ」、高度利用地区は「容積率・建蔽率・建築面積・壁面の位置」を定める地区です。名前の似た2つを取り違えないことが要点です。
公式正解 3
誤っているのは3です。高度地区で定めるのは、建築物の高さの最高限度又は最低限度です。
肢1:正しい。市街化区域については、少なくとも用途地域を定めます(都市計画法13条1項7号)。市街化調整区域には、原則として用途地域を定めません。
肢2:正しい。準都市計画区域に定められる地域地区は、用途地域、特別用途地区、特定用途制限地域、高度地区(最高限度に限る)、景観地区、風致地区などに限られ、特別用途地区は含まれます(8条2項)。
肢3:誤り。高度地区は、市街地の環境を維持し、又は土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度又は最低限度を定める地区です(9条18項)。容積率の最高限度・最低限度を定めるのは高度利用地区です(9条19項)。
肢4:正しい。工業地域の定義は「主として工業の利便を増進する」地域です(9条12項)。工業専用地域の定義には「主として」が付きません(9条13項)。
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開発許可
問16 開発許可が不要な開発行為と許可の基準
開発許可が要るかどうかは、区域と規模に加えて行為の目的で判断します。公益上必要な建築物のための開発行為や、市街地再開発事業の施行として行うものは、区域を問わず許可が要りません。
公式正解 2
正しいのは2です。博物館は公益上必要な建築物に当たり、その建築を目的とする開発行為は許可不要です。
肢1:誤り。市街地再開発事業の施行として行う開発行為は、規模にかかわらず開発許可が不要です(都市計画法29条1項6号)。
肢2:正しい。博物館法に規定する博物館は、駅舎・図書館・公民館などと並ぶ公益上必要な建築物で、その建築のための開発行為は許可を受けなくてよいとされています(29条1項3号)。
肢3:誤り。自己の居住用住宅以外の開発行為で開発区域に含めてはならないのは、災害危険区域、地すべり防止区域、土砂災害特別警戒区域、浸水被害防止区域などです(33条1項8号)。土砂災害警戒区域は含まれません。
肢4:誤り。開発審査会の議を経て許可できるのは、開発区域の周辺の市街化を促進するおそれがなく、かつ市街化区域内で行うことが困難又は著しく不適当と認める開発行為です(34条14号)。
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建築基準法総則
問17 既存不適格・大規模修繕の建築確認・条例による制限の附加・災害危険区域
法改正で基準に合わなくなった既存の建築物は「既存不適格建築物」として、そのまま使い続けられます。違反建築物とは扱いが違います。
公式正解 3
正しいのは3です。地方公共団体は、条例で建築物の敷地・構造・建築設備に、安全上・防火上・衛生上必要な制限を附加できます。
肢1:誤り。改正後の規定に適合しなくなった既存の建築物には改正後の規定が適用されず(建築基準法3条2項)、違反建築物にはなりません。増改築などをする時点で適合させればよいとされています。
肢2:誤り。延べ面積が500㎡を超える建築物などの大規模建築物は、都市計画区域の外でも、大規模の修繕をする前に建築確認を受けなければなりません(6条1項)。
肢3:正しい。地方公共団体は、その地方の気候・風土の特殊性や特殊建築物の用途・規模によって、条例で必要な制限を附加できます(40条)。
肢4:誤り。災害危険区域内での住居用建築物の建築の禁止その他の制限は、条例で定める内容によります(39条2項)。一律に禁止されるわけではありません。
令和8年度試験での注意 2025年4月施行の改正で、建築確認が必要な建築物の区分が見直され、階数2以上又は延べ面積200㎡超の建築物は区域を問わず大規模の修繕に確認が必要になりました(6条1項2号)。肢2は今も誤りです。
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建築基準法
問18 第一種低層住居専用地域の用途・総合設計制度・2項道路・絶対高さの制限
総合設計制度で緩和されるのは容積率と各部分の高さで、建蔽率は緩和されません。幅員1.8m未満の道を2項道路に指定するには、建築審査会の同意が必要です。
公式正解 3
正しいのは3です。幅員1.8m未満の道を2項道路に指定するときは、あらかじめ建築審査会の同意を得なければなりません。
肢1:誤り。神社、寺院、教会などは、第一種低層住居専用地域を含むすべての用途地域で建築できます(建築基準法48条、別表第二)。
肢2:誤り。敷地内に一定の空地を設けた建築物で特定行政庁が許可したもの(総合設計制度)は、容積率又は各部分の高さの限度を超えられますが、建蔽率は緩和の対象に含まれません(59条の2第1項)。
肢3:正しい。建築基準法第3章の規定が適用されるに至った際に建築物が立ち並んでいる幅員4m未満の道は、特定行政庁の指定で道路とみなされます(42条2項)。幅員1.8m未満の道を指定するときは、あらかじめ建築審査会の同意が必要です(42条6項)。
肢4:誤り。10m又は12mの絶対高さの制限があるのは、第一種・第二種低層住居専用地域と田園住居地域です(55条1項)。第一種住居地域にはありません。
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宅地造成等規制法
問19 除却工事の届出・切土の許可・宅地の保全義務・造成宅地防災区域
造成宅地防災区域は、宅地造成工事規制区域の外にある、災害のおそれが大きい一団の造成宅地を指定する区域です。盛土の高さが5m以上の場合のほか、面積などの別の基準でも指定できます。
公式正解 4
誤っているのは4です。盛土の高さが5m未満でも、盛土の面積が3,000㎡以上で地下水位が盛土内に入り込んでいるものなどは指定できます。
肢1:正しい。宅地造成工事規制区域内で、高さ2mを超える擁壁や排水施設などの全部又は一部を除却する工事は、許可が要らない場合でも、着手の14日前までに都道府県知事に届け出ます(旧宅地造成等規制法15条2項)。
肢2:正しい。森林を宅地にするための切土で高さ2mを超える崖を生ずるものは宅地造成に当たり、着手前に都道府県知事の許可を受けます(旧法8条1項)。都市計画法の開発許可を受け、その内容に適合して行う工事は除かれます。
肢3:正しい。規制区域内の宅地の所有者・管理者・占有者は、過去の造成工事によるものを含め、災害が生じないよう宅地を常時安全な状態に維持するよう努めなければなりません(旧法16条1項)。
肢4:誤り。造成宅地防災区域の指定基準には、盛土の高さが5m以上で盛土前の地盤面が20度以上傾いているもののほか、盛土の面積が3,000㎡以上で地下水位が盛土内に入り込んでいるものもあります(旧法施行令)。高さ5m未満だから指定できないとはいえません。
令和8年度試験での注意 令和4年度試験は宅地造成等規制法で出題されましたが、2023年5月26日から宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)に改められました。除却工事の14日前の届出(21条3項)、土地の保全義務(22条1項)、規制区域の外に造成宅地防災区域を指定する仕組み(45条1項)は改正後も同じ考え方です。許可が必要な工事の範囲は広がったので、令和8年度試験では盛土規制法の用語と基準で覚えます。
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土地区画整理法
問20 建築行為等の制限・換地処分の時期・従前の宅地の管理・清算金
施行地区内の建築行為などの制限で許可をするのは、都道府県知事(市の区域内では市長)です。施行者である組合が許可するのではありません。
公式正解 1
誤っているのは1です。組合が施行する事業でも、建築行為等の許可権者は都道府県知事等です。
肢1:誤り。組合の設立認可の公告の日から換地処分の公告の日まで、事業の施行の障害となるおそれがある建築物の新築などをするには、都道府県知事(市の区域内では市長)の許可が必要です(土地区画整理法76条1項)。
肢2:正しい。換地処分は、原則として換地計画に係る区域の全部の工事が完了した後に行いますが、定款などに別段の定めがあれば、全部の工事が完了する前でも行えます(103条2項)。
肢3:正しい。仮換地の指定によって使用・収益できる者のなくなった従前の宅地は、その時から換地処分の公告がある日まで施行者が管理します(100条の2)。
肢4:正しい。判例は、清算金の権利義務は換地処分の公告によって施行者と換地処分時点の所有者との間に確定し、その後に換地の所有権が移転しても、当然には移転しないとしています。
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農地法
問21 農地の賃貸借の対抗力・一般法人の借入れ・違反転用者等・面積の認定
農地法の手続で使う面積は、登記簿の地積を基本にします。地積が実際と大きく違うときや地積の記載がないときは、農業委員会が実測に基づいて認定します。
公式正解 4
肢1:誤り。引渡しで対抗力が認められるのは、農地・採草放牧地の「賃貸借」です(農地法16条1項)。使用貸借には適用されません。
肢2:誤り。農地所有適格法人でない株式会社でも、解除条件付きの賃貸借・使用貸借など一定の要件を満たせば、耕作目的で農地を借り入れられます(3条3項)。
肢3:誤り。原状回復などの命令の対象となる違反転用者等には、違反した者とその一般承継人のほか、違反に係る土地の工事を請け負った者やその下請人も含まれます(51条1項)。
肢4:正しい。農地法では土地の面積を登記簿の地積で判断するのが原則です。ただし、登記簿の地積が実際と大きく違う場合や地積の記載がない場合は、農業委員会が実測に基づいて認定した面積によります(56条)。
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国土利用計画法
問22 事後届出の要否・届出事項・一団の土地・勧告
事後届出が必要な面積は、市街化区域で2,000㎡以上、市街化区域以外の都市計画区域で5,000㎡以上、都市計画区域外で10,000㎡以上です。一団の土地かどうかは、権利を取得する側で判断します。
公式正解 3
正しいのは3です。買主Eが取得した一団の土地は合計6,000㎡で、5,000㎡以上なので届出が必要です。
肢1:誤り。当事者の一方又は双方が国・地方公共団体などである場合は、事後届出は不要です(国土利用計画法23条2項3号)。A市が売主なので、Bは届出をしなくてよいことになります。
肢2:誤り。土地に関する権利の移転又は設定の対価の額は、届出事項です(23条1項6号)。
肢3:正しい。市街化区域を除く都市計画区域では、5,000㎡以上の土地が届出の対象です。売主が別々でも、買主が一団の土地として取得すれば面積を合計するので、3,500㎡と2,500㎡で6,000㎡になります。
肢4:誤り。勧告に従わない者について、都道府県知事はその旨と勧告の内容を公表できますが(26条)、契約を取り消すことはできません。契約の効力は失われません。
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宅建業法の解答・解説(20問)
事務所、報酬、重要事項説明、宅建士、媒介契約、37条書面、広告、クーリング・オフ、保証協会、営業保証金、自ら売主制限、住宅瑕疵担保履行法を横断します。2022年5月の改正で書面への押印が不要になった点にも注意します。
事務所
問26 宅建業法上の事務所と事務所ごとの義務
宅建業法の事務所は、宅建業を営む本店・支店と、継続的に業務を行える施設で契約締結権限を持つ使用人を置く場所です。宅建業を営まない支店は事務所に当たりません。
公式正解 2
正しいのは2です。兼業の業務だけを営む支店は事務所ではありません。
肢1:誤り。商業登記簿に載っていない営業所でも、継続的に業務を行うことができる施設を有し、契約を締結する権限を持つ使用人を置く場所は、事務所に当たります(宅建業法施行令1条の2第2号)。
肢2:正しい。支店が事務所になるのは、宅建業を営む場合だけです。他の兼業業務だけを営む支店は事務所に当たりません。本店は、宅建業を営む支店があれば、本店で宅建業を営んでいなくても事務所になります。
肢3:誤り。事務所ごとに掲げるのは標識(50条1項)と報酬の額(46条4項)で、免許証の掲示義務はありません。従業者名簿(48条3項)と帳簿(49条)は備え付けます。
肢4:誤り。専任の宅建士の数が不足したときは、2週間以内に必要な措置をとらなければなりません(31条の3第3項)。30日ではありません。
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報酬
問27 特別の費用・使用貸借の媒介・居住用建物の貸借・低廉な空家等の特例
報酬の限度額は告示で決まります。それとは別に受け取れるのは、依頼者の特別の依頼による広告料金や遠隔地の現地調査など、依頼者が事前に承諾した特別の費用に限られます。
公式正解 1
正しいのは1です。依頼者の特別の依頼に基づく遠隔地の現地調査の費用で、事前に負担の承諾があるものは、報酬とは別に受領できます。
肢1:正しい。依頼者の特別の依頼によって支出を要する特別の費用で、事前に依頼者の承諾があるもの(遠隔地の現地調査など)は、報酬とは別に受け取れます(宅建業法の解釈・運用の考え方)。
肢2:誤り。使用貸借の媒介では、通常の借賃(その建物が賃貸借される場合に通常定められる適正な賃料)をもとに限度額を計算します。不動産鑑定業者の鑑定評価を求めるのは必要な場合に限られ、義務ではありません。
肢3:誤り。居住用建物の貸借の媒介で、依頼者の一方から受けられるのは承諾がない限り借賃の0.55か月分までです。承諾があっても、双方からの合計は借賃の1.1か月分を超えられません。
肢4:誤り。出題時の告示では、代金400万円以下の低廉な空家等の売買の媒介で現地調査等の費用を要するものは、売主から18万円の1.1倍(19万8,000円)まで受け取れました。本体価格280万円(土地80万円と建物の税抜200万円)の通常の報酬13万2,000円に費用5万円を加えた18万2,000円は18万円を超えるので、上限は19万8,000円です。
令和8年度試験での注意 2024年7月1日施行の報酬告示の改正で、低廉な空家等の特例の対象は代金800万円以下の宅地建物に広がり、受け取れる額の上限は30万円の1.1倍(33万円)になりました。肢4の計算は出題時の告示(400万円以下、18万円の1.1倍)によるものです。肢1〜3の考え方は変わっていません。
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重要事項の説明
問28 重要事項説明の義務者・相手方・書面の作成者
重要事項の説明は、宅建業者が、物件を取得し又は借りようとする相手方に、契約成立前に宅建士にさせるものです。宅建業者が自ら買主となる取引では、売主に説明する義務はありません。
公式正解 1
正しいのは1です。宅建業者が自ら買主として業者でない個人から買う場合、重要事項説明書を作る必要はありません。
肢1:正しい。重要事項説明は、取得しようとする者(買主)や借りようとする者に対して行います(宅建業法35条1項)。買主が宅建業者自身で、媒介業者もいなければ、説明すべき相手方がいないので、作成・交付の義務はありません。
肢2:誤り。重要事項説明書の内容が事実と異なれば、意図的でなくても35条の義務に違反します。調査不足は免責の理由になりません。
肢3:誤り。説明の相手方は買主であって、売主ではありません。
肢4:誤り。重要事項説明書に記名し、説明するのは宅建士ですが(35条1項・5項)、書面の作成自体は宅建士でなくてもかまいません。
令和8年度試験での注意 2022年5月18日施行の改正で、重要事項説明書への宅建士の押印は不要になり(記名のみ)、相手方の承諾があれば電磁的方法で提供できるようになりました。本問の4肢の正誤は変わりません。
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宅地建物取引士
問29 変更の届出・事務禁止処分と宅建士証の提出・更新の講習・信用失墜行為
宅建士証の交付や更新で受ける法定講習は、登録をしている都道府県知事が指定する講習です。国土交通大臣が指定するものではありません。
公式正解 3
肢1:正しい。宅建士が禁錮以上の刑に処せられたときは、本人がその日から30日以内に、登録をしている都道府県知事に届け出ます(宅建業法21条)。
肢2:正しい。事務禁止の処分を受けた宅建士は、宅建士証を交付した都道府県知事へ速やかに提出しなければならず(22条の2第7項)、怠ると10万円以下の過料に処せられることがあります(86条)。
肢3:誤り。宅建士証の交付・更新で受ける講習は、登録をしている都道府県知事が指定する講習で、交付の申請前6か月以内に行われるものです(22条の2第2項・22条の3)。有効期間が5年である点は正しい記述です。
肢4:正しい。宅建士は、宅建士の信用又は品位を害するような行為をしてはなりません(15条の2)。職務に直接関係しない行為や私的な行為でも、宅建士の信用を傷つけるものは含まれます。
令和8年度試験での注意 2025年6月1日の改正刑法の施行で、懲役と禁錮は拘禁刑に一本化されました。令和8年度試験では、肢1の届出は「拘禁刑以上の刑」に処せられた場合として覚えます。正誤は変わりません。
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割賦販売・犯罪収益移転防止法・従業者
問30 割賦販売の定義・特定取引・従業者の教育・秘密を守る義務
宅建業法の割賦販売は、引渡し後1年以上の期間にわたり、2回以上に分割して代金を受け取る販売です。期間を「6か月以上」とした記述が誤りです。
公式正解 3
正しいのはイ・ウ・エの三つで、正解は3です。
ア:誤り。割賦販売とは、代金の全部又は一部について、目的物の引渡し後1年以上の期間にわたり、かつ2回以上に分割して受領することを条件として販売することです(宅建業法35条2項)。
イ:正しい。犯罪による収益の移転防止に関する法律は、宅建業者が行う宅地・建物の売買契約の締結とその代理・媒介を特定取引とし、取引時確認などを義務付けています。
ウ:正しい。宅建業者には、従業者が業務を適正に行えるよう、必要な教育をする努力義務があります(31条の2)。
エ:正しい。宅建業者の従業者は、正当な理由なく、業務の補助を通じて知った秘密を漏らしてはならず、従業者でなくなった後も同様です(75条の3)。
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媒介契約
問31 価額査定の費用・媒介契約書面の記載事項・専任媒介契約の更新・買主との媒介契約
媒介契約書面(34条の2の書面)は、一般媒介でも専任媒介でも、売却・購入どちらの依頼でも交付します。価額について意見を述べるための査定の費用は、依頼者に請求できません。
公式正解 1
肢1:正しい。宅建業者が価額について意見を述べるときは根拠を明らかにしなければならず(宅建業法34条の2第2項)、そのための査定は媒介業務の一環なので、費用を依頼者に請求することはできません。
肢2:誤り。売買すべき価額又は評価額は、一般媒介契約でも書面に記載しなければなりません(34条の2第1項2号)。
肢3:誤り。専任媒介契約は依頼者の申出があれば更新できますが、更新後の有効期間も3か月を超えることはできません(34条の2第3項・4項)。
肢4:誤り。購入の媒介を依頼された場合も、媒介契約を締結したときは、遅滞なく34条の2の書面を作成して交付しなければなりません。
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37条書面
問32 37条書面の記名・宅建士証の提示・保全措置・契約不適合責任
37条書面は、売主・代理・媒介として関与した宅建業者のそれぞれに作成・交付の義務があり、各業者の宅建士が記名しなければなりません。
公式正解 1
誤っているのは1です。AとBが共同で作成した場合でも、Aの宅建士にも記名押印させる必要があります。
肢1:誤り。売主業者Aと媒介業者Bはどちらも37条書面の交付義務を負い、それぞれの宅建士に記名押印させなければなりません(出題時の宅建業法37条3項)。Bの宅建士の記名押印だけでは、Aの義務は果たされません。
肢2:正しい。宅建士は、取引の関係者から請求があったときは、宅建士証を提示しなければなりません(22条の4)。37条書面の交付時に買主から求められた場合も同じです。
肢3:正しい。手付金等の保全措置の概要は重要事項説明の事項ですが(35条1項10号)、37条書面の記載事項ではありません。
肢4:正しい。契約不適合を担保すべき責任や、その履行に関する保証保険契約などの措置について定めがあるときは、その内容を37条書面に記載します(37条1項11号)。
令和8年度試験での注意 2022年5月18日施行の改正で、37条書面への宅建士の押印は不要になり、記名だけでよくなりました(37条3項)。売主業者と媒介業者のそれぞれの宅建士が記名しなければならない点は変わらないので、肢1は今も誤りです。
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宅建士の登録
問33 未成年者の登録・登録の移転・事務禁止中の移転・移転後の宅建士証
登録の移転は、勤務先の事務所が登録地以外の都道府県にある場合に申請「できる」任意の手続です。事務禁止の処分を受けている間は申請できません。
公式正解 2
正しいのはウとエの二つで、正解は2です。
ア:誤り。未成年者でも、宅建業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有する者は、登録を受けられます(宅建業法18条1項1号)。
イ:誤り。登録の移転は、登録地以外の都道府県にある事務所の業務に従事し、又は従事しようとするときに申請できる手続です(19条の2)。乙県の業者の専任の宅建士になるために、移転が必要なわけではありません。
ウ:正しい。事務の禁止の処分を受け、その期間が満了していない間は、登録の移転を申請できません(19条の2ただし書)。
エ:正しい。登録の移転とともに交付される宅建士証の有効期間は、移転前の宅建士証の有効期間が経過するまでの期間です(22条の2第5項)。
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重要事項の説明(建物の売買)
問34 建物状況調査・造成宅地防災区域・石綿の調査・耐震診断
耐震診断は、昭和56年5月31日以前に着工した建物について、指定確認検査機関などの診断を受けている場合に「その内容」を説明します。受けた旨を伝えるだけでは足りません。
公式正解 4
肢1:正しい。既存の建物では、建物状況調査を実施しているかどうかと、実施している場合の結果の概要を説明します(宅建業法35条1項6号の2イ)。出題時の対象は実施後1年以内の調査でした。
肢2:正しい。宅地造成等規制法の造成宅地防災区域内にあるときは、その旨を説明します(施行規則16条の4の3第1号)。
肢3:正しい。石綿の使用の有無の調査の結果が記録されているときは、その内容を説明します(同条4号)。宅建業者が自ら調査をする義務まではありません。
肢4:誤り。昭和56年5月31日以前に着工した建物が、指定確認検査機関や建築士などの耐震診断を受けている場合に説明するのは、診断を受けた事実ではなく、その内容です(同条5号)。
令和8年度試験での注意 現行の施行規則では、説明の対象になる建物状況調査の期間は1年で、鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造の共同住宅等は2年です(施行規則16条の2の2)。造成宅地防災区域は、2023年5月から盛土規制法に基づく区域になりました。誤りの肢4の正誤は変わりません。
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従業者証明書・35条書面・37条書面
問35 従業者証明書の提示・業者間取引の重要事項説明・37条書面の交付
相手方が宅建業者のときは、35条書面の交付は必要ですが、説明は不要です。37条書面は、相手方が宅建業者でも交付しなければなりません。
公式正解 4
肢1:誤り。従業者は、取引の関係者から請求があったときは従業者証明書を提示しなければならず(宅建業法48条2項)、従業者名簿や宅建士証で代えることはできません。
肢2:誤り。相手方Bが宅建業者であれば、35条書面の交付だけでよく、宅建士による説明は不要です(35条6項)。
肢3:誤り。重要事項説明は、契約が成立するまでの間に行わなければなりません(35条1項)。成立した後では遅すぎます。
肢4:正しい。37条書面は、相手方が宅建業者であっても交付しなければなりません(37条1項)。宅建業者間の取引でも適用は除外されていません。
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重要事項の説明
問36 書類の保存状況・代金・水害ハザードマップ・引渡しの時期
代金の額や支払方法、引渡しの時期は37条書面の記載事項で、重要事項説明の事項ではありません。既存住宅の書類の保存状況や、水害ハザードマップ上の位置は説明が必要です。
公式正解 1
肢1:正しい。既存の住宅の売買では、検査済証などの建築・維持保全の状況に関する書類の保存の状況を説明し、存在しないときはその旨を説明します(宅建業法35条1項6号の2ロ、施行規則16条の2の3)。
肢2:誤り。売買代金の額と支払の時期・方法は37条書面の記載事項で、重要事項説明の事項ではありません。代金以外に授受される金銭の額と目的は説明事項です。
肢3:誤り。水防法の規定で市町村長が提供する図面(水害ハザードマップ)に物件の位置が表示されているときは、その図面における物件の所在地を示して説明します(施行規則16条の4の3第3号の2)。図面があることを伝えるだけでは足りません。
肢4:誤り。引渡しの時期は37条書面の記載事項で、重要事項説明の事項ではありません。
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広告
問37 変更の確認申請中の広告・誇大広告・取引態様の明示
誇大広告は表示した時点で違反になり、問合せや契約の有無は関係ありません。取引態様は、広告をするたびと注文を受けたときの両方で明示します。
公式正解 2
正しいのはアとウの二つで、正解は2です。
ア:正しい。建築確認を受けた後に変更の確認を申請している期間は、変更の確認を受ける予定であることと当初の確認の内容を併せて表示すれば、変更後の内容を広告できます(宅建業法の解釈・運用の考え方)。
イ:誤り。著しく事実に相違する表示や、実際のものより著しく優良・有利と誤認させる表示は、それだけで誇大広告等の禁止(32条)に違反します。問合せや申込みがなく実害が出ていなくても違反です。
ウ:正しい。数回に分けて広告するときは、そのたびごとに取引態様の別を明示し、注文を受けたときも改めて明示しなければなりません(34条1項・2項)。
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クーリング・オフ
問38 引渡し・業者間取引・契約の場所・手付金の返還
クーリング・オフができるかどうかは、買受けの申込みをした場所で判断します。喫茶店で申し込んだ場合は、後の契約をどこで結んでもクーリング・オフの対象です。
公式正解 4
肢1:誤り。クーリング・オフができなくなるのは、引渡しを受け、かつ代金の全部を支払ったときです(宅建業法37条の2第1項2号)。引渡しを受けただけなら解除できます。
肢2:誤り。宅建業者間の取引には、クーリング・オフの規定が適用されません(78条2項)。買主が宅建業者なら、申込みの撤回はできません。
肢3:誤り。申込みが喫茶店でされている以上、契約の締結場所にかかわらずクーリング・オフができます。勤務先が「事務所等」に当たるのは、買主が自ら申し出た場合に限られる点でも、記述は誤っています。
肢4:正しい。クーリング・オフによる解除があったときは、宅建業者は速やかに、受け取った手付金その他の金銭を返還しなければなりません(37条の2第3項)。
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保証協会
問39 認証の順序・弁済業務保証金の供託所・分担金の納付・弁済の対象
保証協会は、社員から納付を受けた分担金と同じ額の弁済業務保証金を供託します。供託先は法務大臣と国土交通大臣が定める供託所です。弁済を受けられる債権には、社員になる前の取引で生じたものも含まれます。
公式正解 4
肢1:誤り。認証に関する事務は、認証申出書の受理の順序に従って処理します(宅建業法施行規則)。取引が成立した時期の順ではありません。
肢2:誤り。弁済業務保証金は、分担金の納付を受けた日から1週間以内に、法務大臣及び国土交通大臣の定める供託所(東京法務局)に供託します(64条の7第1項・2項)。社員の主たる事務所の最寄りの供託所ではありません。
肢3:誤り。新たに事務所を設置したときは、その日から2週間以内に分担金を納付しなければなりませんが(64条の9第2項)、分担金は金銭で納付し、国債証券などの有価証券は使えません。
肢4:正しい。社員と宅建業に関し取引をした者は、社員となる前の取引によって生じた債権についても弁済を受ける権利を有します(64条の8第1項)。
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重要事項説明の方法
問40 電話での説明・貸主の代表者による説明・担当外の宅建士・テレビ会議
テレビ会議などITを使った重要事項説明では、宅建士と相手方が双方向で映像と音声をやり取りでき、宅建士証を画面で確認できることが必要です。電話だけの説明は認められません。
公式正解 2
違反しないのはウとエの二つで、正解は2です。
ア:違反する。音声だけの電話では、宅建士証を画面で示すことも、映像でやり取りすることもできず、ITを活用した重要事項説明の要件を満たしません。
イ:違反する。重要事項説明の義務を負うのは媒介業者で、その媒介業者が自らの宅建士に記名押印させて説明させる必要があります。貸主は自ら貸主となる立場で宅建業として関わっていないので、その代表者の説明では媒介業者の義務を果たしたことになりません。
ウ:違反しない。重要事項説明は、記名押印した宅建士が宅建士証を示して行えばよく、物件の担当者である必要はありません。同じ業者の別の宅建士が記名押印して説明することは認められます。
エ:違反しない。双方向で映像と音声をやり取りでき、宅建士証を画面上で確認してもらい、事前に送付した書面を手元に用意してもらったうえで説明を始めているので、ITを活用した重要事項説明の要件を満たします。
令和8年度試験での注意 2022年5月18日施行の改正で、重要事項説明書への押印は不要になり(記名のみ)、相手方の承諾があれば電磁的方法で提供できるようになりました。音声だけの説明が認められない点や、説明する宅建士の要件は変わらないので、違反しないものは今も二つです。
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営業保証金・保証協会
問41 営業保証金の取戻し・不足額の供託・苦情の解決・弁済を受けられる額
営業保証金は、免許を取り消された場合でも、公告などの手続を経れば取り戻せます。保証協会の社員と取引した者が弁済を受けられるのは、社員でなかったら供託すべき営業保証金の額の範囲内です。
公式正解 2
誤っているのはアとエの二つで、正解は2です。
ア:誤り。免許を取り消された場合でも、営業保証金は取り戻せます(宅建業法30条1項)。刑の執行を終わってから5年間は取り戻せないという規定はありません。取戻しには、原則として6か月以上の期間を定めた公告が必要です(30条2項)。
イ:正しい。還付によって営業保証金が不足し、免許権者から通知書の送付を受けたときは、送付を受けた日から2週間以内に不足額を供託しなければなりません(28条1項)。
ウ:正しい。保証協会が苦情の解決のために社員に資料の提出を求めたときは、社員は正当な理由がある場合でなければ拒めません(64条の5第3項)。
エ:誤り。弁済を受けられる額は、その社員が社員でないとしたならば供託すべき営業保証金の額に相当する額の範囲内です(64条の8第1項)。社員が納付した分担金や弁済業務保証金の額ではありません。
令和8年度試験での注意 2025年6月1日の改正刑法の施行で、懲役は拘禁刑に改められました。アの記述の刑の名称は変わりますが、本問の正誤は変わりません。
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専属専任媒介契約
問42 業務処理状況の報告・価額の根拠・有効期間・登録を証する書面
専属専任媒介契約では、業務の処理状況を1週間に1回以上報告し、指定流通機構には契約締結の日から5日以内に登録します。有効期間は、依頼者が望んでも3か月が上限です。
公式正解 2
肢1:誤り。専属専任媒介契約では、業務の処理状況を1週間に1回以上報告しなければなりません(宅建業法34条の2第9項)。2週間に1回以上は専任媒介契約の基準です。
肢2:正しい。価額又は評価額について意見を述べるときは根拠を明らかにしなければなりませんが(34条の2第2項)、根拠の示し方は口頭でも書面でもかまいません。
肢3:誤り。専任媒介契約・専属専任媒介契約の有効期間は3か月を超えることができず、これより長い期間を定めたときは3か月とされます(34条の2第3項)。依頼者の書面による申出があっても同じです。
肢4:誤り。指定流通機構に登録したときは、登録を証する書面を遅滞なく依頼者に引き渡さなければなりません(34条の2第6項)。依頼者から求められたかどうかは関係ありません。
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自ら売主制限
問43 手付・契約不適合責任の特約・損害賠償額の予定・割賦販売の所有権留保
宅建業者が自ら売主となる取引では、契約不適合責任の通知期間を「引渡しの日から2年以上」とする特約を除き、民法より買主に不利な特約は無効です。
公式正解 2
誤っているのは2です。引渡しの日から1年間に限るとする特約は無効で、設けることができません。
肢1:正しい。宅建業者が自ら売主として受け取った手付は、どのような性質のものでも解約手付とされ、相手方が契約の履行に着手するまでは、買主は手付を放棄して解除できます(宅建業法39条2項)。
肢2:誤り。通知期間を引渡しの日から2年以上とする特約は有効ですが、1年間とするのはこれより短く、民法の規定より買主に不利な特約として無効です(40条)。民法の原則どおり、買主が不適合を知った時から1年以内に通知すればよいことになります。
肢3:正しい。損害賠償額の予定と違約金の合計は、代金の10分の2を超えられません(38条1項)。2,500万円の10分の2は500万円なので、500万円と定めることはできます。
肢4:正しい。割賦販売で引渡しをした後、代金の10分の3を超える額の支払を受けたときは、担保の目的で建物を譲り受けてはなりません(43条2項)。
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37条書面
問44 代理業者への交付・宅建士以外による交付・借賃以外の金銭・業者間取引
37条書面は宅建士が記名すれば足り、交付は宅建士以外の従業者がしてもかまいません。宅建業者間の取引でも省略できません。
公式正解 4
違反するのは4です。
肢1:違反しない。37条書面は買主Bに交付すれば足りますが、代理として関与した業者Cにも交付することは禁じられていません。
肢2:違反しない。37条書面に記名するのは宅建士でなければなりませんが、書面の交付は宅建士以外の従業者が行ってもかまいません。
肢3:違反しない。借賃以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額、授受の時期と目的を記載します(宅建業法37条2項3号)。Aの対応は法の定めどおりです。
肢4:違反する。宅建業者間の取引でも37条書面の交付は必要で(78条2項の適用除外に含まれません)、内容を確認したうえで各自が保管するだけでは交付したことになりません。
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住宅瑕疵担保履行法
問45 資力確保措置の対象・保険期間・保証金の供託・超過額の取戻し
住宅瑕疵担保履行法の資力確保措置は、宅建業者が自ら売主となって、宅建業者でない買主に新築住宅を引き渡す場合に必要です。保険期間は引渡しから10年以上でなければなりません。
公式正解 3
肢1:誤り。資力確保措置(保証金の供託又は保険契約の締結)が義務付けられるのは、買主が宅建業者でない場合です。業者間の売買では義務を負いません。
肢2:誤り。住宅販売瑕疵担保責任保険契約は、新築住宅の引渡しから10年以上の期間にわたって有効でなければならず、買主の承諾があっても短縮できません。
肢3:正しい。保証金の供託は毎年の基準日ごとに確かめられます。宅建業者は、基準日から3週間を経過する日まで、基準日前10年間に業者でない買主へ引き渡した新築住宅(保険を付けたものを除く)の戸数に応じた額を供託していなければなりません(11条1項)。
肢4:誤り。基準日に保証金の額が基準額を超えることとなった場合でも、超過額を取り戻すには、免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事の承認が必要です。
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住宅・統計・土地建物の解答・解説(5問)
住宅金融支援機構、不動産の表示に関する公正競争規約、統計、土地、建物の構造を扱います。問48の統計は、公表データの改訂で正解肢がなくなりました。
住宅金融支援機構
問46 証券化支援事業の対象・団体信用生命保険・償還方法・MBS
機構が証券化支援事業で譲り受ける貸付債権には、住宅の建設・購入に付随する土地や借地権の取得資金も含まれます。
公式正解 1
肢1:誤り。機構が譲り受ける貸付債権には、住宅の建設・購入に付随する土地又は借地権の取得に必要な資金の貸付けに係るものも含まれます。
肢2:正しい。団体信用生命保険業務では、貸付けを受けた者が死亡した場合だけでなく、重度障害となった場合も、保険金を債務の弁済に充てられます。
肢3:正しい。証券化支援事業(買取型)の対象となる貸付債権の償還方法は、元利均等でも元金均等でもかまいません。
肢4:正しい。機構は、買い取った住宅ローン債権を担保にMBS(資産担保証券)を発行し、債券市場の投資家から資金を調達しています。
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不当景品類及び不当表示防止法
問47 徒歩所要時間・おとり広告・管理費・建築条件付土地
不動産の表示に関する公正競争規約では、徒歩所要時間は道路距離80mを1分とし、1分未満の端数は1分に切り上げます。管理費が住戸で違うときは、最低額と最高額で示せます。
公式正解 4
肢1:誤り。徒歩所要時間は道路距離80mを1分として計算し、1分に満たない端数は1分に切り上げて表示します(表示規約施行規則)。切り捨ててはいけません。
肢2:誤り。契約済みで取引できない物件の広告を掲載し続けることは、取引できない物件の表示(おとり広告)として不当表示に当たります。問合せに事情を説明しても、違反は解消されません。
肢3:誤り。住戸によって管理費が異なり、すべてを示すことが困難なときは、最低額と最高額で表示します。最高額だけでは足りません。
肢4:正しい。建築条件付土地の広告では、取引の対象が建築条件付土地であることと、条件の内容、条件が成就しなかったときの措置の内容を明示します。
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統計
問48 建築着工統計・地価公示・土地取引件数・不動産価格指数
この問は、公表後のデータ改訂によって肢4も正しくなくなり、正解肢のない問題になりました。試験実施機関は、全員を正解として扱っています。
公式正解 なし(全員正解)
正解肢はなく、全員正解です。肢1〜3は試験時点でも誤りで、肢4は2022年9月30日の改訂で誤りになりました。
肢1:誤り。令和3年の新設住宅着工戸数は、持家に加えて貸家も前年から増加しました。貸家と分譲住宅がともに減少したとする部分が公表値と合いません。
肢2:誤り。令和4年地価公示では、住宅地は三大都市圏平均でも地方圏平均でも上昇に転じました。三大都市圏平均が下落したとする部分が誤りです。
肢3:誤り。令和3年の土地取引件数(売買による土地の所有権移転登記の件数)は約133万件で、前年より増えました。減少が続いているとする部分が誤りです。
肢4:誤り。試験の時点では正しい記述でしたが、2022年9月30日の国土交通省のデータ改訂で、2021年第2四半期の商業用不動産総合の対前期比が+0.7%から▲0.0%に修正されました。第1〜第4四半期の連続増加にならず、正しい肢がなくなりました。
令和8年度試験での注意 統計は毎年差し替わります。令和8年度試験では、2026年の地価公示、2025年の建築着工統計など、試験の直前に公表された数値で確かめます。
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土地の形質
問49 台地上の浅い谷・低地・埋立地・ハザードマップポータルサイト
低地は、一般に洪水や地震(液状化や揺れの増幅)に弱く、防災上は住宅地として注意が必要な土地です。
公式正解 2
最も不適当なのは2です。
肢1:適当。台地は一般に水はけがよく安全な土地ですが、台地上の浅い谷は、豪雨のときに一時的に水がたまることがあり注意が必要です。
肢2:不適当。低地は一般に洪水や地震などに弱く、防災的見地からは住宅地として好ましいとはいえません。
肢3:適当。埋立地も、平均海面からの比高が4〜5mあって護岸が強固であれば、住宅地として利用できます。高潮や地盤沈下への備えは必要です。
肢4:適当。国土交通省のハザードマップポータルサイトでは、洪水・土砂災害・高潮・津波などのリスク情報を地図や写真に重ねて表示できます(重ねるハザードマップ)。
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建築物の構造
問50 木構造の主要構造・軸組・小屋組・壁の構造
真壁は柱を見せる和風の壁、大壁は柱を壁の中に隠す洋風の壁で、和洋を併用した住宅もあります。
公式正解 4
最も不適当なのは4です。
肢1:適当。在来軸組構法の主要構造は、一般に軸組・小屋組・床組からなります。
肢2:適当。軸組は、水平材の土台・桁・胴差と、垂直材の柱、筋かいなどを入れた耐力壁で構成されます。
肢3:適当。小屋組には、小屋梁・小屋束・母屋・垂木などで組む和小屋と、陸梁・束・方杖などで三角形を作るトラス構造の洋小屋があります。
肢4:不適当。柱を見せる真壁は和風の構造、柱を壁で覆う大壁は洋風の構造に用いられ、記述は組合せが逆です。また、真壁と大壁を併用する住宅もあります。
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