権利関係の解答・解説(10問)
囲繞地通行権、保証、付随的義務と解除、原状回復と敷金、委任の報酬、錯誤、相続人、負担付贈与、取得時効を扱います。2020年4月施行の改正民法が初めて適用された年度で、保証・解除・敷金・錯誤の改正点が多く問われました。
囲繞地通行権
問1 共有物分割による袋地・自動車による通行・通路の賃借権・囲繞地の時効取得
公道に通じない土地(袋地)の所有者は、周囲の土地を通行できます。共有物の分割で袋地が生じたときは、他の分割者の土地だけを無償で通行できます(民法213条1項)。
公式正解 1
肢1:正しい。分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は他の分割者の所有地のみを通行でき、償金を支払う必要はありません(213条1項)。
肢2:誤り。判例は、自動車による通行を前提とする通行権も、自動車通行の必要性、周辺の土地の状況、通行によって囲繞地の所有者が受ける損害などを総合考慮して認められる場合があるとしています(最判平成18年3月16日)。
肢3:誤り。囲繞地の一部を通路として借りた賃借権は、乙土地の所有者との契約に基づく債権で、甲土地の所有権に従たる権利として当然に移転するわけではありません。Bが通路を使い続けるには、賃貸人の承諾を得た賃借権の譲渡などが必要です。
肢4:誤り。囲繞地通行権は、袋地の所有権に基づいて法律上当然に認められる権利です。囲繞地を時効で取得したのがCであっても、Aは引き続き公道に出るために通行できます。
公式問題で問1を見る
保証契約
問2 事業資金の保証と賃貸借の根保証・書面・極度額・催告の抗弁・公正証書
2020年4月施行の改正民法で、個人が根保証をするときは極度額を定めることが必要になり、事業用の貸金債務を個人が保証するときは、原則として事前に公正証書で保証意思を示すことが必要になりました。
公式正解 4
肢1:誤り。保証契約は、書面(又は電磁的記録)でしなければ効力を生じません(446条2項・3項)。ケース①も口頭の合意では無効です。
肢2:誤り。極度額の定めが必要なのは、保証人が個人である根保証契約です(465条の2)。ケース①は特定の借入金の保証なので極度額は不要ですが、ケース②も保証人Eが法人なら極度額がなくても有効です。
肢3:誤り。連帯保証人には催告の抗弁権も検索の抗弁権もありません(454条)。ケース①のCもケース②のEも、催告の抗弁を主張できません。
肢4:正しい。事業のために負担した貸金等債務を個人が保証するときは、契約前1か月以内に公正証書で保証意思を表示しなければ効力を生じません(465条の6)。事業に関与しないCは、公正証書が不要になる経営者等の例外(465条の9)に当たりません。居住用の賃貸借の保証であるケース②には、この公正証書の要件はありません。
公式問題で問2を見る
債務不履行による解除
問3 付随的義務の不履行・帰責事由・軽微な不履行・履行拒絶
判決文は、契約の主たる目的の達成に必須でない付随的義務の不履行だけでは、特段の事情がない限り契約を解除できないとしています(最判昭和36年11月21日)。2020年施行の改正民法では、解除に債務者の帰責事由は必要ありません。
公式正解 2
肢1:正しい。売主が負担した土地の税金相当額を買主が償還する義務は付随的義務に当たり、代金が支払われている以上、特段の事情がない限りその不履行を理由に解除できません。判決文の事案と同じ構図です。
肢2:誤り。付随的義務かどうかは、その義務が契約の目的達成に必須かどうかで決まり、債務者の帰責事由の有無とは関係ありません。改正民法では、債務者に帰責事由がなくても解除できます(541条・542条)。
肢3:正しい。催告期間が過ぎた時点の不履行が、契約と取引上の社会通念からみて軽微なときは、催告による解除はできません(541条ただし書)。
肢4:正しい。債務者が債務全部の履行を拒絶する意思を明確に示したときは、催告をせずに直ちに解除できます(542条1項2号)。
公式問題で問3を見る
賃貸借の終了
問4 原状回復義務の範囲・敷金の返還時期・敷金の充当請求
2020年施行の改正民法は、通常損耗と経年変化、賃借人に帰責事由のない損傷を原状回復の対象から外し(621条)、敷金の返還時期と充当のルールも条文にしました(622条の2)。
公式正解 3
肢1:誤り。賃借人が原状回復義務を負う損傷から、通常の使用・収益によって生じた損耗と経年変化は除かれます(621条)。
肢2:誤り。損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、原状回復義務を負いません(621条ただし書)。
肢3:正しい。敷金の返還債務は、賃貸借が終了し、かつ賃貸物の返還を受けたときに生じます(622条の2第1項1号)。明渡しが先で、賃貸人はそれまで返還を拒めます。
肢4:誤り。賃貸人は敷金を未払賃料に充当できますが、賃借人の側から敷金を充当するよう請求することはできません(622条の2第2項)。
公式問題で問4を見る
委任
問5 委任者の帰責事由による終了・善管注意義務・受任者の帰責事由による終了・受任者の死亡
委任者の責めに帰すべき事由で委任事務を履行できなくなったときは、受任者は報酬全額を請求できます(536条2項)。それ以外の事由で途中で終わったときは、履行した割合に応じて報酬を請求できます(648条3項)。
公式正解 1
肢1:正しい。債権者である委任者Aの責めに帰すべき事由で履行できなくなったときは、受任者Bは報酬全額を請求でき、自己の債務を免れたことで得た利益はAに返さなければなりません(536条2項)。
肢2:誤り。受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって委任事務を処理しなければなりません(644条)。自己の財産に対するのと同一の注意では足りません。
肢3:誤り。委任が履行の途中で終了したときは、受任者の責めに帰すべき事由による場合でも、既にした履行の割合に応じて報酬を請求できます(648条3項)。
肢4:誤り。委任は受任者の死亡で終了し、相続人は受任者の地位を承継しません(653条1号)。急迫の事情があるときに限り、相続人は必要な処分をしなければなりません(654条)。
公式問題で問5を見る
錯誤
問6 表示の錯誤と重過失・基礎事情の錯誤の表示・共通錯誤・為替レートの計算違い
錯誤で取り消すには、錯誤が重要であることが必要です。基礎事情の錯誤は、その事情が契約の基礎とされていることが表示されていたときに限り取り消せます。表意者に重大な過失があるときは、相手方が悪意・重過失の場合か、相手方も同じ錯誤に陥っていた場合を除いて取り消せません(95条)。
公式正解 3
取消しができるのは3です。
肢1:取消し不可。100万円のつもりで10万円と表示した表示の錯誤ですが、Aに重大な過失があり、Bは善意無過失なので、Aは取り消せません(95条3項)。
肢2:取消し不可。壺の時価を10万円程度と思い込んだのは基礎事情の錯誤です。Aが伝えたのは手元にお金がないという事情だけで、壺の価値についての認識を契約の基礎として表示していないので、取り消せません(95条2項)。
肢3:取消し可。Aは絵画が贋作であることを売却の前提としてBに示しており、基礎事情は表示されています(95条2項)。Bも同じ錯誤に陥っていたので、Aに重大な過失があっても取り消せます(95条3項2号)。
肢4:取消し不可。為替レートの計算違いによる表示の錯誤ですが、Aに重大な過失があり、Bは錯誤を過失なく知らなかったので、取り消せません(95条3項)。
公式問題で問6を見る
保証債務
問7 解除による代金返還の保証・主たる債務の加重と時効利益の放棄・期限前弁済の求償・事前の通知
保証人の負担は、保証契約の締結後に主たる債務が加重されても重くなりません(448条2項)。主たる債務者が時効の利益を放棄しても、その効果は保証人に及びません。
公式正解 2
肢1:正しい。判例は、特定物の売主の保証人は、特に反対の意思表示がない限り、契約が解除された場合の代金返還義務についても責任を負うとしています(最大判昭和40年6月30日)。
肢2:誤り。保証契約の締結後に主たる債務の目的や態様が加重されても、保証人の負担は加重されません(448条2項)。時効の利益の放棄も相対的な効力しかなく、連帯保証人には及びません。
肢3:正しい。委託を受けた保証人が弁済期前に弁済した場合、主たる債務者が弁済の日以前に相殺の原因を持っていたと主張したときは、保証人は、その相殺で消滅するはずだった債務の履行を債権者に請求できます(459条の2第1項)。
肢4:正しい。委託を受けた保証人が主たる債務者に事前に通知しないで弁済などをしたときは、主たる債務者は債権者に対抗できた事由を保証人に対抗できます(463条1項)。2020年の改正で、履行の請求を受けたかどうかは要件から外れました。
公式問題で問7を見る
相続人
問8 相続回復請求権・再代襲・直系尊属と兄弟姉妹・兄弟姉妹の代襲
子の代襲は孫、ひ孫と続きます(再代襲)が、兄弟姉妹の代襲はその子(甥・姪)までです。
公式正解 2
肢1:正しい。相続回復請求権は、相続権を侵害された事実を相続人(又はその法定代理人)が知った時から5年、相続開始の時から20年で消滅します(884条)。
肢2:誤り。代襲者も相続開始以前に死亡していたときは、代襲者の子がさらに代襲して相続人になります(887条3項、再代襲)。
肢3:正しい。兄弟姉妹が相続人になるのは、子とその代襲者も直系尊属もいない場合です(889条1項)。直系尊属が相続人になる場合、兄弟姉妹は相続人になりません。
肢4:正しい。兄弟姉妹の代襲は、その子までです(889条2項は887条3項を準用していません)。兄弟姉妹の孫は相続人になりません。
公式問題で問8を見る
売買と負担付贈与
問9 手付解除と履行の着手・書面によらない贈与の解除・負担付贈与の担保責任・負担の不履行と解除
負担付贈与には、その性質に反しない限り双務契約の規定が準用され(553条)、贈与者は負担の限度で売主と同じ担保責任を負います(551条2項)。
公式正解 3
肢1:誤り。手付による解除は、相手方が契約の履行に着手した後はできません(557条1項ただし書)。履行期の到来後に買主が代金支払の準備をして履行を催告したことは、履行の着手に当たります。
肢2:誤り。書面によらない贈与でも、履行の終わった部分は解除できません(550条)。不動産の贈与では、引渡しか所有権移転登記のどちらかがあれば履行が終わったとされます。
肢3:正しい。負担付贈与の贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負います(551条2項)。
肢4:誤り。負担付贈与には双務契約に関する規定が準用されるので(553条)、受贈者Bが負担を履行しないときは、贈与者Aは契約を解除できます。
公式問題で問9を見る
取得時効
問10 相続人による占有の承継・占有開始後の悪意・悪意の承継人・所有権と消滅時効
10年の取得時効では、善意無過失は占有を始めた時点で判断します。前の占有者の占有を併せて主張する場合は、その占有の開始時の善意無過失で判断します(162条2項・187条)。
公式正解 2
肢1:正しい。相続人は被相続人の占有を承継し、自己の占有に前の占有を併せて主張できます(187条1項)。Bの17年とCの3年で20年になり、Cは時効取得できます(162条1項)。
肢2:誤り。善意無過失は占有開始の時に判断するので、途中でA所有と気付いても、Dは占有開始から10年で時効取得できます(162条2項)。
肢3:正しい。Fが前主Dの占有を併せて主張するときは、Dの占有開始時の善意無過失が基準になります。悪意のFでも、Dの3年と自己の7年で計10年となり、時効取得できます(187条、判例)。
肢4:正しい。所有権は消滅時効にかかりません(166条2項)。使わずに放置しても所有権は消えません。
公式問題で問10を見る
正答一覧へ戻る ↑
借地借家・登記の解答・解説(4問)
借地権の対抗要件と存続期間、定期建物賃貸借、区分所有法、不動産登記を扱います。区分所有法の共用部分の変更の決議要件は2026年4月の改正で変わりました。
借地権
問11 借地権の対抗要件・地代を増減しない特約・建物買取請求権・更新後の期間
借地権の対抗要件は、借地権の登記か、借地上に借地権者名義で登記した建物を所有していることです(借地借家法10条1項)。最初の更新後の存続期間は20年以上で、これより短い定めは20年になります(4条)。
公式正解 4
肢1:誤り。借地権は、借地権の登記か借地上の建物の登記がなければ第三者に対抗できません(10条1項)。土地の引渡しを受けただけでは、Cに借地権を主張できません。
肢2:誤り。一定期間地代を増額しない特約は有効ですが(11条1項ただし書)、減額しない特約は効力がありません。借賃が不相当になれば、Bは減額を請求できます。
肢3:誤り。建物買取請求権は、借地権の存続期間が満了して契約が更新されない場合に認められる権利です(13条1項)。債務不履行で解除された場合はもともと認められないので、行使できないとする合意も有効です。
肢4:正しい。借地権設定後の最初の更新では存続期間は20年以上でなければならず、15年と定めても20年になります(4条・9条)。
公式問題で問11を見る
建物賃貸借
問12 賃料の前払いと新所有者・定期建物の賃料増額請求・賃貸人からの中途解約・造作買取請求
定期建物賃貸借の中途解約の特例は、床面積200㎡未満の居住用建物で、転勤や療養などのやむを得ない事情があるときに、賃借人から解約を申し入れるためのものです(借地借家法38条)。
公式正解 3
肢1:正しい。引渡しを受けたBの賃借権は新所有者Cに対抗でき、賃貸人の地位はCに移ります。Bが旧賃貸人Aに前払いした賃料も、Cに対抗できるとされています(判例)。
肢2:正しい。定期建物賃貸借でも、賃料の改定に関する特約がなければ、借賃増減請求の規定が適用されます(32条・38条)。経済事情の変動で賃料が不相当になれば、Aは増額を請求できます。
肢3:誤り。やむを得ない事情による中途解約ができるのは賃借人Bで、賃貸人Aではありません。Bが解約を申し入れた場合も、契約は申入れの日から1か月を経過して終了します(38条)。
肢4:正しい。定期建物賃貸借でも、造作買取請求権を排除する特約がなければ、Bは賃貸人の同意を得て付加した造作の買取りを請求できます(33条)。
公式問題で問12を見る
区分所有法
問13 共用部分の重大変更・管理費用の負担・保存行為・一部共用部分の帰属
一部の区分所有者だけが使う一部共用部分は、その区分所有者たちの共有が原則ですが、規約で全員の共有にすることもできます(区分所有法11条)。
公式正解 4
肢1:誤り。出題時の規定では、共用部分の重大変更は区分所有者及び議決権の各4分の3以上で決し、区分所有者の定数だけを規約で過半数まで減らせました(17条1項)。2分の1ちょうどは過半数ではないので、「2分の1以上」は誤りです。
肢2:誤り。共用部分の負担は、規約に別段の定めがない限り、各共有者の持分に応じます(19条)。等分ではありません。
肢3:誤り。共用部分の保存行為は、各共有者が単独ですることができます(18条1項ただし書)。
肢4:正しい。一部共用部分を区分所有者全員の共有とすることも、規約で定められます(11条2項)。
令和8年度試験での注意 2026年4月1日施行の改正区分所有法で、共用部分の重大変更は、区分所有者・議決権の各過半数が出席したうえで出席者の各4分の3以上の決議になり、規約で2分の1を超える割合まで引き下げられるようになりました(17条1項)。2分の1ちょうどまでは減らせないので、肢1は今も誤りです。肢2〜4の正誤も変わりません。
公式問題で問13を見る
不動産登記
問14 敷地権付き区分建物の保存登記・仮登記に基づく本登記・代位登記と登記識別情報・配偶者居住権
敷地権付き区分建物について、表題部所有者から所有権を取得した者が保存登記を申請するときは、敷地権の登記名義人の承諾が必要です(不動産登記法74条2項)。
公式正解 1
肢1:正しい。区分建物の保存登記は、表題部所有者から所有権を取得した者も申請できますが、敷地権付きの場合は敷地権の登記名義人の承諾を得なければなりません(74条2項)。
肢2:誤り。所有権の仮登記を本登記にするときは、登記上の利害関係人がいれば、その者の承諾がなければ申請できません(109条1項)。
肢3:誤り。登記識別情報は、申請人自らが登記名義人となる場合に、その申請人に通知されます(21条)。代位で申請した債権者Aには通知されません。
肢4:誤り。配偶者居住権は登記できる権利です(3条9号)。2020年4月の改正民法の施行に合わせて加えられました。
公式問題で問14を見る
正答一覧へ戻る ↑
法令上の制限の解答・解説(8問)
都市計画の内容、開発許可、建築基準法、宅地造成等規制法、土地区画整理組合、農地法、国土利用計画法の事後届出を扱います。宅地造成等規制法は2023年に盛土規制法へ改められ、問19は現在の法令では誤りの肢が二つになります。
都市計画の内容
問15 地区計画の地区整備計画・事業地内の土地の譲渡・第二種住居地域・市街化調整区域の地区計画
市街化調整区域で定める地区計画は、周辺の市街化を促進しないなど、計画的な市街化を図るうえで支障がないように定めます(都市計画法13条1項15号イ)。
公式正解 4
肢1:誤り。地区計画の都市計画には、地区施設と地区整備計画を定めるものとされています(12条の5第2項1号)。努力義務とされているのは、地区計画の目標と整備・開発・保全の方針です。
肢2:誤り。都市計画事業の認可の告示後に事業地内の土地建物等を有償で譲渡するときは、施行者への届出が必要です(67条1項)。許可ではなく届出で、施行者には先買いの機会が与えられます。
肢3:誤り。第二種住居地域は、主として住居の環境を保護するため定める地域です(9条6項)。中高層住宅の良好な住居環境の保護を目的とするのは、中高層住居専用地域です。
肢4:正しい。市街化調整区域の地区計画は、市街化区域の市街化の状況などを勘案し、区域の周辺の市街化を促進しないように定めます(13条1項15号イ)。
公式問題で問15を見る
開発許可
問16 公共施設管理者との協議・都市計画事業による新築・公共施設の帰属・地位の承継
市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外では、建築物の新築に許可が要りますが、都市計画事業の施行として行うものは除かれます(都市計画法43条1項1号)。
公式正解 2
肢1:正しい。開発行為やその工事で新たに公共施設ができる場合、申請者はあらかじめ、その施設の管理者となる者と協議します(32条2項)。
肢2:誤り。都市計画事業の施行として行う建築物の新築は、市街化調整区域の開発区域以外の区域でも、許可を受ける必要がありません(43条1項1号)。
肢3:正しい。開発許可を受けた開発行為で設置された公共施設は、工事完了公告の日の翌日に、原則としてその施設のある市町村の管理に属します(39条)。
肢4:正しい。開発許可を受けた者から区域内の土地の所有権を取得した者は、知事の承認があれば、開発許可に基づく地位を承継できます(45条)。
公式問題で問16を見る
建築確認・居室・防火壁・昇降機
問17 大規模の修繕と建築確認・天井の高さ・防火壁・非常用の昇降機
木造以外で階数2以上の建築物は、大規模の修繕でも建築確認が必要です。2025年4月の改正後も、階数2以上又は延べ面積200㎡超の建築物は確認の対象です(建築基準法6条1項)。
公式正解 1
肢1:正しい。出題時の規定では、木造以外で階数2以上の建築物は6条1項3号の建築物に当たり、大規模の修繕をするときは工事着手前に確認済証の交付を受けなければなりませんでした。
肢2:誤り。一室で天井の高さが異なる場合は、平均の高さで2.1m以上あればよいとされています(施行令21条2項)。最も低い部分の高さではありません。
肢3:誤り。延べ面積1,000㎡超の建築物を防火壁などで区画する規定は、耐火建築物と準耐火建築物には適用されません(26条1項1号)。
肢4:誤り。非常用の昇降機が必要なのは、高さ31mを超える建築物です(34条2項)。高さ30mでは設置義務はありません。
令和8年度試験での注意 2025年4月1日施行の改正建築基準法で、確認が必要な建築物の区分が見直され、木造かどうかを問わず、階数2以上又は延べ面積200㎡超の建築物は大規模の修繕でも確認が必要になりました(6条1項2号)。肢1の建築物も確認の対象で、正誤は変わりません。
公式問題で問17を見る
道路・用途制限・容積率・日影規制
問18 道路内の建築・近隣商業地域の映画館・老人ホームの共用廊下・日影の測定日
共同住宅や老人ホーム等の共用の廊下・階段の床面積は、容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入しません(建築基準法52条6項)。
公式正解 3
肢1:誤り。公衆便所や巡査派出所は、特定行政庁が通行上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可した場合に限り、道路内に建築できます(44条1項2号)。
肢2:誤り。近隣商業地域では、客席の床面積が200㎡以上の映画館も建築できます(48条9項・別表第二)。
肢3:正しい。老人ホーム等の共用の廊下や階段の床面積は、容積率を計算するときの延べ面積から除かれます(52条6項)。
肢4:誤り。日影時間は、冬至日の真太陽時による午前8時から午後4時まで(北海道は午前9時から午後3時まで)の間で測定します(56条の2第1項)。夏至日ではありません。
公式問題で問18を見る
宅地造成等規制法
問19 土地の立入り・宅地造成の定義・宅地への転用・工事施行者の変更
宅地造成等規制法では、規制区域内で宅地以外の土地を宅地に転用したときは14日以内の届出で足り、工事を伴わない転用に許可は要りませんでした。
公式正解 3
肢1:正しい。規制区域の指定のための測量・調査で知事などが土地に立ち入る場合、土地の占有者は正当な理由がない限り拒んだり妨げたりできません(旧法4条)。
肢2:正しい。宅地造成は、宅地以外の土地を宅地にするため、又は宅地で行う一定の土地の形質の変更で、宅地を宅地以外の土地にするために行うものは除かれていました(旧法2条2号)。
肢3:誤り。規制区域内で宅地以外の土地を宅地に転用した者は、転用した日から14日以内に知事に届け出ればよく、許可は要りませんでした(旧法15条3項)。
肢4:正しい。出題時の施行規則では、工事施行者の変更は軽微な変更とされ、遅滞なく届け出れば足りました(旧法12条2項)。
令和8年度試験での注意 2023年5月26日から宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)が施行されています。宅地造成の定義(2条2号)と立入りを拒めない規定(5条5項)は同じ内容で残り、肢1・2は正しいままです。転用の届出は公共施設用地を宅地などに転用した場合に限られましたが、許可が要らない点は同じで、肢3は誤りです。一方、届出で足りる軽微な変更は、工事主・設計者・工事施行者の氏名や住所の変更などに絞られました(施行規則38条)。工事施行者そのものを替えるときは変更の許可が必要なので(16条1項)、令和8年度試験の基準では肢4も誤りになります。
公式問題で問19を見る
土地区画整理組合
問20 設立の同意と未登記借地権・総会の定足数・賦課金・参加組合員
組合の総会は、定款に特別の定めがなければ組合員の半数以上の出席で開き、議事は出席組合員の過半数で決します(土地区画整理法34条1項)。
公式正解 2
肢1:誤り。設立認可の申請には、宅地の所有者と借地権者のそれぞれ3分の2以上の同意が必要です(18条)。未登記の借地権も、市町村長に申告されたものは同意の対象になります(19条3項・4項)。
肢2:正しい。総会の会議は、定款に特別の定めがある場合を除き、組合員の半数以上の出席がなければ開けません(34条1項)。
肢3:誤り。賦課金の額は、組合員が施行地区内に持つ宅地や借地の位置・地積などを考慮して、公平に定めなければなりません(40条2項)。一律ではありません。
肢4:誤り。参加組合員になれるのは、独立行政法人都市再生機構や地方住宅供給公社など政令で定める者で、定款で定められたものです(25条の2)。資力と信用があれば誰でもなれるわけではありません。
公式問題で問20を見る
農地法
問21 無許可の売買・市街化区域内の転用・相続・抵当権の設定
市街化区域内の農地の転用は、あらかじめ農業委員会に届け出れば許可が要りません。相続による取得も3条の許可は不要ですが、農業委員会への届出が必要です。
公式正解 1
肢1:正しい。3条1項の許可を受けないでした売買は、所有権移転の効力を生じません(3条6項)。
肢2:誤り。市街化区域内の農地を転用するときは、転用の前に農業委員会に届け出なければなりません(4条1項7号)。転用後の届出では足りません。
肢3:誤り。相続による農地の取得には3条1項の許可は要りません。取得したことを農業委員会に届け出ます(3条の3)。
肢4:誤り。3条の許可が必要なのは、所有権の移転や、地上権・賃借権など使用収益を目的とする権利の設定・移転です。使用収益を伴わない抵当権の設定には許可は要りません。
公式問題で問21を見る
国土利用計画法の事後届出
問22 面積要件と予約・届出の期限・贈与・交換
事後届出の対象面積は、市街化区域2,000㎡以上、それ以外の都市計画区域5,000㎡以上、都市計画区域外10,000㎡以上です。予約や交換も対象に含まれ、贈与のように対価のない取引は含まれません。
公式正解 1
肢1:正しい。市街化区域の1,500㎡は2,000㎡未満なので届出は不要です。市街化調整区域の6,000㎡は5,000㎡以上で、売買の予約も土地売買等の契約に当たるので、権利取得者Dは届出が必要です(23条)。
肢2:誤り。事後届出の期限は、契約を締結した日から起算して2週間以内です(23条1項)。登記の完了日ではありません。
肢3:誤り。贈与は対価の授受がないので、土地売買等の契約に当たらず、届出は不要です。
肢4:誤り。交換も対価のある契約なので土地売買等の契約に当たります。Iが取得する市街化調整区域の10,000㎡も、Jが取得する都市計画区域外の10,000㎡も面積要件を満たすので、I・Jの双方が届出をしなければなりません。
公式問題で問22を見る
正答一覧へ戻る ↑
宅建業法の解答・解説(20問)
免許、広告、宅建士、媒介契約、報酬、重要事項説明、自ら売主制限、37条書面、営業保証金、保証協会、従業者名簿、クーリング・オフ、住宅瑕疵担保履行法を横断します。問42は1と4のどちらも正解として扱われました。
宅建業の免許
問26 合併と免許の承継・信託会社・競売で取得した宅地の分譲・事務所の増設
自ら売主として不特定多数に宅地を反復継続して分譲するのは宅建業に当たり、販売を宅建業者に代理させても、売主自身に免許が必要です。
公式正解 3
肢1:誤り。宅建業の免許は合併で承継されません。合併で消滅したA社については、A社を代表する役員であった者が30日以内に甲県知事に届け出ます(11条1項2号)。B社が宅建業を営むには、自ら免許を受ける必要があります。
肢2:誤り。信託業法の免許を受けた信託会社には宅建業の免許の規定が適用されず、国土交通大臣に届け出れば宅建業を営めます(77条)。
肢3:正しい。競売で取得した宅地を区画割りして不特定多数に分譲するのは、自ら売主として宅地の売買を業として行うことに当たります。販売代理を宅建業者Dに依頼しても、Cは免許を受けなければなりません。
肢4:誤り。国土交通大臣の免許が必要になるのは、二つ以上の都道府県に事務所を設ける場合です(3条1項)。乙県内に2以上の事務所を設けるだけなら、乙県知事の免許のままで免許換えは要りません。
公式問題で問26を見る
広告の規制
問27 注文時の取引態様の明示・誇大広告・分割広告・工事完了前の広告開始時期
取引態様は、広告をするときと注文を受けたときのそれぞれで明示が必要です(34条)。工事完了前の広告は、開発許可や建築確認などの処分があった後でなければできません(33条)。
公式正解 2
正しいのはイとウの二つで、正解は2です。
ア:誤り。注文を受けたときは、広告の時点と取引態様が変わっていなくても、遅滞なく注文者に取引態様の別を明らかにしなければなりません(34条2項)。
イ:正しい。誇大広告の禁止は、表示の方法を問わず、宅地建物の利用制限の一部を表示しないことで誤認させることも含みます(32条)。
ウ:正しい。数回に分けて広告するときは、そのたびに取引態様の別を明示しなければなりません(34条1項)。
エ:誤り。工事完了前の広告は、開発許可や建築確認などの処分があった後でなければできません(33条)。申請しただけでは広告できません。
公式問題で問27を見る
宅建士
問28 合格の有効期間・宅建士証の更新・宅建士証の提示・登録の移転と講習
宅建士は、重要事項の説明をするときは請求がなくても宅建士証を示し(35条4項)、取引の関係者から請求があったときも示さなければなりません(22条の4)。
公式正解 3
肢1:誤り。試験の合格に有効期限はありません。何年後でも登録を申請できます。
肢2:誤り。有効期間満了の90日前から30日前までに申請するのは、宅建業の免許の更新です。宅建士証の更新では、申請前6か月以内に行われる都道府県知事指定の講習を受けます(22条の3・22条の2第2項)。
肢3:正しい。重要事項の説明では相手方の請求の有無にかかわらず宅建士証を提示し(35条4項)、取引の関係者から請求があったときにも提示しなければなりません(22条の4)。
肢4:誤り。登録の移転を申請するときに講習を受ける必要はありません。移転と同時に宅建士証の交付を申請すると、従前の宅建士証の残りの期間を有効期間とする宅建士証が交付されます(22条の2第5項)。
公式問題で問28を見る
媒介契約
問29 登録を証する書面・標準媒介契約約款の別・自動更新特約・専属専任媒介の報告
専任媒介契約の有効期間は3か月以内で、更新は依頼者の申出がある場合に限られます(34条の2第3項・4項)。自動更新の特約は、依頼者が望んでも定められません。
公式正解 3
正しいのはア・イ・エの三つで、正解は3です。
ア:正しい。専任媒介契約で指定流通機構に登録したときは、登録を証する書面を遅滞なく依頼者に引き渡さなければなりません(34条の2第6項)。
イ:正しい。媒介契約書には、国土交通大臣が定めた標準媒介契約約款に沿った契約かどうかを記載しなければなりません(施行規則15条の9)。
ウ:誤り。専任媒介契約の更新は依頼者の申出によるもので(34条の2第4項)、依頼者の要望があっても自動更新の特約は定められません。
エ:正しい。専属専任媒介契約では、1週間に1回以上、業務の処理状況を依頼者に報告しなければなりません(34条の2第9項)。
公式問題で問29を見る
報酬
問30 代理と媒介の合計額・居住用建物の承諾の時期・店舗の権利金・事務所の報酬の配分
居住用以外の建物の貸借の媒介では、報酬の合計が借賃1か月分の1.1倍以内であれば、依頼者双方からの配分は自由です。居住用建物では、依頼者の一方から受けられるのは原則として0.55か月分までです。
公式正解 4
肢1:誤り。代金5,000万円の媒介報酬の上限は171万6,000円で、一つの取引で複数の業者が受ける報酬の合計は、その2倍の343万2,000円以内でなければなりません。AとBの合計514万8,000円は上限を超えます。
肢2:誤り。居住用建物の貸借で依頼者の一方から借賃1.1か月分まで受けるには、媒介の依頼を受ける時点で承諾を得ていなければなりません。報酬請求時までの承諾では足りません。
肢3:誤り。権利金330万円(税抜き300万円)を売買代金とみなすと、一方から受けられる上限は(300万円×4%+2万円)×1.1=15万4,000円です。30万8,000円は双方からの合計額です。借賃を基準にしても、一方から受けられるのは27万5,000円までです。
肢4:正しい。居住用以外の建物の貸借の媒介では、合計が借賃1か月分の1.1倍以内であれば、依頼者双方からの割合は自由で、一方だけから受けることもできます。
公式問題で問30を見る
重要事項の説明
問31 損害賠償額の予定・石綿調査・建物状況調査・専有部分の利用制限
損害賠償額の予定と違約金に関する事項は、売買でも貸借でも説明が必要です(35条1項9号)。
公式正解 1
肢1:正しい。損害賠償額の予定又は違約金に関する事項は、取引の種類を問わず説明事項です(35条1項9号)。
肢2:誤り。石綿の使用の有無は、調査結果の記録があるときにその内容を説明すれば足ります。記録の有無を照会しても分からないときに、業者自らが調査する義務はありません。
肢3:誤り。既存住宅では、建物状況調査を実施しているかどうかと、実施している場合はその結果の概要を説明しなければなりません(35条1項6号の2イ)。
肢4:誤り。区分所有建物の専有部分の用途その他の利用制限に関する規約の定めは、売買だけでなく貸借の媒介でも説明事項です(施行規則16条の2第3号)。
公式問題で問31を見る
自ら売主制限
問32 手付解除と履行の着手・クーリング・オフの特約・割賦販売の解除・保全措置
宅建業者が自ら売主となる場合、手付は解約手付とされ、買主が履行に着手するまでは売主も手付の倍額を現実に提供して解除できます(39条2項)。
公式正解 1
肢1:正しい。手付による解除は相手方が履行に着手するまでに限られ、Bが履行に着手した後は、Aが倍額を現実に提供しても解除できません(39条2項)。
肢2:誤り。クーリング・オフによる解除があったときは、業者は受け取った手付金などを速やかに返還しなければならず、これに反する買主に不利な特約は無効です(37条の2第3項・4項)。
肢3:誤り。割賦販売の賦払金が遅れたときは、30日以上の相当の期間を定めて書面で催告し、その期間内に支払われない場合でなければ解除できません(42条1項)。
肢4:誤り。工事完了前の物件の保全措置が不要なのは、手付金等が代金の5%以下かつ1,000万円以下の場合です(41条1項)。5,000万円の5%は250万円なので、200万円の手付金は保全措置なしで受領できます。
公式問題で問32を見る
37条書面
問33 貸借の借賃・引渡しの時期・業者間の記名押印・融資のあっせん
37条書面は、貸借の媒介でも契約の各当事者に交付し、借賃の額と支払の時期・方法を記載します。相手方が宅建業者でも省略できません。
公式正解 1
肢1:正しい。貸借の契約を成立させたときは、借賃の額と支払の時期・方法を37条書面に記載し、契約の各当事者に交付しなければなりません(37条2項)。
肢2:誤り。宅地・建物の引渡しの時期は37条書面の必要的記載事項で、重要事項説明で説明していても省略できません。
肢3:誤り。37条書面への宅建士の記名押印は、相手方が宅建業者でも必要でした(37条3項)。
肢4:誤り。代金に関する融資のあっせんを定めた場合、その融資が成立しないときの措置は37条書面に記載しなければなりません(37条1項9号)。
令和8年度試験での注意 2022年5月18日施行の改正で、37条書面への宅建士の押印は不要になり、記名だけでよくなりました(37条3項)。相手方が宅建業者でも宅建士の記名が必要な点は同じで、肢3は誤りのままです。
公式問題で問33を見る
宅建士の登録と宅建士証
問34 登録先・住所の変更・勤務先の所在地・登録の移転と宅建士証
登録の移転とあわせて宅建士証の交付を申請すると、移転先の知事から、従前の宅建士証の有効期間の残りを有効期間とする宅建士証が交付されます(22条の2第5項)。
公式正解 4
肢1:誤り。登録は、試験を行った都道府県知事に申請します(18条1項)。乙県知事免許の業者に勤務する場合でも、甲県知事に申請します。
肢2:誤り。住所は登録事項なので、変更したときは遅滞なく変更の登録を申請しなければなりません(20条)。
肢3:誤り。登録事項は勤務先の業者の商号又は名称と免許証番号で、事務所の所在地は含まれません。所在地が変わっても変更の登録は不要です。
肢4:正しい。登録の移転の申請とともに宅建士証の交付を申請したときは、移転前の宅建士証の有効期間が経過するまでを有効期間とする宅建士証が交付されます(22条の2第5項)。
公式問題で問34を見る
営業保証金
問35 還付を受けられる債権・支店の増設・不足額の供託・供託額
営業保証金は主たる事務所1,000万円、従たる事務所1か所ごとに500万円です。還付で不足したときは、免許権者から通知を受けた日から2週間以内に不足額を供託します(28条1項)。
公式正解 3
肢1:誤り。営業保証金から還付を受けられるのは、宅建業に関する取引から生じた債権を持つ者です(27条1項)。建設工事の請負代金債権は対象外です。
肢2:誤り。支店を増設したときは、本店の最寄りの供託所に供託し、その旨を免許権者に届け出た後でなければ、支店で事業を始められません(26条・25条5項)。
肢3:正しい。還付で営業保証金が不足したときは、免許権者から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた日から2週間以内に供託しなければなりません(28条1項)。
肢4:誤り。本店1,000万円と支店2か所の各500万円で、合計2,000万円です(施行令2条の4)。
公式問題で問35を見る
宅建業保証協会
問36 還付の限度額・認証と還付請求・還付充当金の納付先・弁済業務保証金の供託
保証協会の社員と取引した者は、その社員が社員でなかったなら供託すべき営業保証金の額の範囲内で還付を受けられます(64条の8第1項)。還付があれば、保証協会は同額の弁済業務保証金を供託します。
公式正解 4
肢1:誤り。還付の限度は、社員が納付した分担金の額ではなく、社員でなかったとしたら供託すべき営業保証金の額です(64条の8第1項)。
肢2:誤り。還付を受けようとする者は保証協会の認証を受けますが、還付の請求は弁済業務保証金を供託している供託所に対して行います。
肢3:誤り。保証協会は、社員などに対し、還付額に相当する還付充当金を保証協会に納付するよう通知します(64条の10第1項)。供託所に供託するのではありません。
肢4:正しい。弁済業務保証金の還付があったときは、保証協会は、所定の日から2週間以内に、還付された額と同じ額の弁済業務保証金を供託しなければなりません(64条の8第3項)。
公式問題で問36を見る
37条書面
問37 37条書面の説明・供託所等・業者間の交付・引渡しと登記の時期
37条書面は宅建士が記名すれば足り、内容を説明する義務はありません。相手方が宅建業者でも交付は省略できず、記載事項も減りません。
公式正解 1
正しいのはウの一つだけで、正解は1です。
ア:誤り。37条書面には宅建士の記名が必要ですが、宅建士に内容を説明させる義務はありません。専任の宅建士である必要もありません。
イ:誤り。供託所等に関する事項は、契約が成立するまでに説明する事項で(35条の2)、37条書面の記載事項ではありません。
ウ:正しい。買主が宅建業者であっても、37条書面は遅滞なく交付しなければなりません。
エ:誤り。宅地の引渡しの時期と移転登記の申請の時期は、相手方が宅建業者でも37条書面に記載しなければなりません。
公式問題で問37を見る
媒介契約
問38 媒介契約書の記名押印・価額の意見の根拠・指定流通機構・有効期間と解除
媒介契約書は一般媒介でも作成・交付が必要で、有効期間や解除に関する事項を記載します(34条の2第1項)。指定流通機構への登録義務は専任媒介に限られます。
公式正解 4
肢1:誤り。媒介契約書に記名押印するのは宅建業者で、宅建士にさせる必要はありません(34条の2第1項)。
肢2:誤り。価額について意見を述べるときは根拠を明らかにしなければなりませんが(34条の2第2項)、方法は書面に限られず、口頭でもかまいません。
肢3:誤り。指定流通機構への登録義務があるのは専任媒介契約と専属専任媒介契約です(34条の2第5項)。一般媒介契約では登録は任意です。
肢4:正しい。媒介契約の有効期間と解除に関する事項は、一般媒介契約でも媒介契約書の記載事項です(34条の2第1項)。
公式問題で問38を見る
従業者証明書と従業者名簿
問39 名簿の閲覧・宅建士証と従業者証明書・退職者の記載・非常勤役員
従業者証明書は、宅建士証を持つ宅建士や、非常勤の役員、一時的に事務を補助する者にも携帯させなければなりません(48条1項)。
公式正解 2
肢1:誤り。従業者名簿を閲覧させなければならないのは、取引の関係者から請求があったときです(48条4項)。
肢2:正しい。宅建士証は従業者証明書の代わりにならないので、宅建士にも従業者証明書を携帯させなければなりません(48条1項)。
肢3:誤り。従業者名簿には退職した者も退職年月日とともに記載し、最終の記載をした日から10年間保存します(施行規則17条の2)。消去してはなりません。
肢4:誤り。非常勤の役員や一時的に事務の補助をする者も、業務に従事する者として従業者証明書を携帯させる対象です。
公式問題で問39を見る
クーリング・オフ
問40 告知から8日の数え方・売主の履行の着手・解除しない旨の合意・専任の宅建士を置く場所
クーリング・オフは、書面で告げられた日を含めて8日以内に解除の書面を発すれば効力を生じます。買受けの申込みをした場所で可否を判断し、事務所等での申込みなら解除できません。
公式正解 2
解除できるのはイとウの二つで、正解は2です。
ア:解除できない。期間は告げられた日から起算して8日で、告げられた日も1日目に数えます。告げられた日の翌日から数えて8日目は9日目に当たり、期間を過ぎています。
イ:解除できる。売主Aが履行に着手しても、クーリング・オフは妨げられません。解除できなくなるのは、買主が引渡しを受け、かつ代金の全部を支払ったときです。
ウ:解除できる。クーリング・オフをしない旨の合意は買主に不利な特約なので無効です(37条の2第4項)。
エ:解除できない。専任の宅建士を置くべき場所で買受けの申込みをしているので、その後に喫茶店で契約しても、クーリング・オフはできません。
公式問題で問40を見る
重要事項の説明
問41 重要事項説明書の記名押印・説明する宅建士・宅建士証の亡失・説明の場所
重要事項の説明では宅建士証の提示が必要なので、宅建士証をなくした宅建士は、再交付を受けるまで説明ができません。
公式正解 3
肢1:誤り。重要事項説明書には、宅建士の記名押印が必要でした(35条5項)。代表者の記名押印で代えることはできません。
肢2:誤り。重要事項説明書に記名押印する宅建士も、説明する宅建士も、専任である必要はありません。
肢3:正しい。重要事項の説明をするときは、相手方に宅建士証を提示しなければなりません(35条4項)。亡失した宅建士は、再交付を受けるまで説明できません。
肢4:誤り。重要事項の説明をする場所に制限はなく、事務所以外でも説明できます。
令和8年度試験での注意 2022年5月18日施行の改正で、重要事項説明書への宅建士の押印は不要になり、記名だけでよくなりました(35条5項)。宅建士の記名が必要で、専任でなくてよい点は変わらないので、肢1・2は誤りのままです。
公式問題で問41を見る
自ら売主制限と契約不適合責任
問42 担保責任の期間の特約・未完成物件の保全措置・業者間取引・担保責任を負わない特約
自ら売主となる宅建業者は、契約不適合責任について民法の規定より買主に不利な特約をすることができません。ただし、通知期間を引渡しの日から2年以上とする特約は有効です(40条)。
公式正解 1又は4(複数正解)
公式発表では、問42は1と4のどちらも正解として扱われました。4は明らかな誤りで、1も特約の読み方によっては誤りと評価できます。
肢1:問題あり。民法では、買主は不適合を知った時から1年以内に通知すれば、その後は消滅時効にかかるまで権利を行使できます(566条・166条)。「責任を負う期間を知った時から2年」とする特約は、通知の期間を延ばす有利なものとも、権利を行使できる期間を2年に縮める不利なものとも読めるため、公式発表では1も正解とされました。
肢2:正しい。工事完了前の物件で手付金等が代金の5%(250万円)を超えると保全措置が必要です(41条1項)。手付金200万円に中間金300万円を加えると500万円になるので、中間金を受け取る前に保全措置を講じなければなりません。
肢3:正しい。買主が宅建業者の場合、手付金等の保全措置の規定は適用されません(78条2項)。代金の10%を超える手付金800万円でも、保全措置なしで受領できます。
肢4:誤り。担保責任を一切負わない特約は無効ですが(40条2項)、その場合は民法の原則に戻り、買主は不適合を知った時から1年以内に通知すれば責任を追及できます。「引渡しの日から2年」になるわけではありません。
公式問題で問42を見る
免許の基準と取引の結了
問43 執行猶予期間の満了・相続人による取引の結了・破産と廃業の届出・破産者の復権
刑の執行猶予の期間を無事に終えると刑の言渡しは効力を失い、その時点から免許の欠格事由に当たらなくなります(刑法27条)。
公式正解 2
肢1:誤り。執行猶予の言渡しを取り消されずに猶予期間を満了すれば、刑の言渡しは効力を失うので(刑法27条)、5年を待たずにA社は免許を受けられます。
肢2:正しい。個人の宅建業者が死亡したときは、相続人は、被相続人が締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内で宅建業者とみなされます(76条)。売買の目的物の引渡しもできます。
肢3:誤り。法人が破産手続開始の決定を受けたときは、破産管財人が30日以内に届け出ます(11条1項3号)。免許が効力を失うのは届出の時で、破産手続開始の決定の日ではありません(11条2項)。
肢4:誤り。破産手続開始の決定を受けた者も、復権を得れば直ちに欠格事由に当たらなくなります(5条1項1号)。5年の経過は不要です。
令和8年度試験での注意 2025年6月1日の改正刑法の施行で、懲役と禁錮は拘禁刑に一本化されました。令和8年度試験では刑の名称を拘禁刑で覚えます。この問の正誤は変わりません。
公式問題で問43を見る
重要事項の説明
問44 耐震診断・敷金の精算・信託受益権の売買・修繕積立金
区分所有建物の売買では、計画修繕積立金に関する規約の定めがあるときは、その内容と既に積み立てられている額を説明します(施行規則16条の2第6号)。
公式正解 4
肢1:正しい。1981年5月31日以前に新築の工事に着手した建物が、地方公共団体などによる耐震診断を受けているときは、その内容を説明しなければなりません(施行規則16条の4の3第5号)。
肢2:正しい。貸借では、敷金など契約終了時に精算することとされている金銭の精算に関する事項が説明事項です(施行規則16条の4の3第11号)。
肢3:正しい。自らを委託者とする信託の受益権を売る場合の説明(35条3項)には、相手方が宅建業者のときに説明を省略できる規定がありません。重要事項説明書を交付して説明する必要があります。
肢4:誤り。修繕積立金の規約の定めがあるときは、その内容に加えて、既に積み立てられている額も説明しなければなりません(施行規則16条の2第6号)。
公式問題で問44を見る
住宅瑕疵担保履行法
問45 資力確保の義務者・保証金の取戻し・基準日の届出・買主が業者の場合
資力確保措置の義務を負うのは、自ら売主として新築住宅を宅建業者以外の買主に引き渡した宅建業者です。保証金が基準額を超えたときは、免許権者の承認を受けて超過額を取り戻せます。
公式正解 2
肢1:誤り。資力確保措置の義務を負うのは売主である宅建業者Aです。媒介業者や買主Bが保険契約を結んでも、Aの義務はなくなりません。
肢2:正しい。保証金の額が基準日において基準額を超えることとなったときは、免許権者である甲県知事の承認を受けて、超過額を取り戻せます(16条・9条)。
肢3:誤り。基準日ごとの供託と保険契約の状況の届出は、基準日から3週間以内に免許権者に行います(12条1項)。50日以内ではありません。
肢4:誤り。買主が宅建業者の場合は、資力確保措置の対象になりません(2条7項2号ロの買主の定義)。
公式問題で問45を見る
正答一覧へ戻る ↑
住宅・統計・土地建物の解答・解説(5問)
住宅金融支援機構、不動産の表示に関する公正競争規約、統計、土地、建物の構造を扱います。統計は令和2年当時の公表値で判定します。
住宅金融支援機構
問46 MBSの発行・災害復興住宅融資の据置期間・賃貸住宅の債権・団体信用生命保険
機構は、災害で滅失した住宅に代わる住宅の建設・購入資金を直接融資しており、元金の据置期間を設けることができます。
公式正解 2
肢1:正しい。証券化支援事業(買取型)では、買い取った住宅ローン債権を裏付けにMBS(資産担保証券)を発行し、市場から資金を調達しています。
肢2:誤り。災害復興住宅融資では、返済の負担を軽くするために元金の据置期間を設けることができます。
肢3:正しい。証券化支援事業(買取型)の対象は、自ら居住する住宅などの建設・購入資金の貸付債権で、賃貸住宅の建設・購入資金の債権は対象外です。
肢4:正しい。機構は、債務者が死亡した場合などに保険金を債務の弁済に充てる団体信用生命保険の業務を行っています。
公式問題で問46を見る
不当景品類及び不当表示防止法
問47 路地状部分のある土地・徒歩の所要時間・予告広告の時期・管理費の表示
路地状部分だけで道路に接する土地で、路地状部分の面積がおおむね30%以上を占めるときは、路地状部分を含む旨とその割合又は面積を明示します(表示規約施行規則7条(8))。
公式正解 1
肢1:正しい。路地状部分の面積が土地面積のおおむね30%以上の場合は、路地状部分を含む旨と、その割合又は面積を明示しなければなりません。
肢2:誤り。徒歩による所要時間は、道路距離80mにつき1分として算出した数値で表示します(表示規約施行規則9条(9))。実際に歩いた時間で表示することはできません。
肢3:誤り。予告広告も広告表示の開始時期の制限を受けるので、建築確認を受ける前の建物については行えません。
肢4:誤り。住戸によって管理費が異なり全戸の額を示すのが難しいときは、最低額と最高額のみで表示できます(表示規約施行規則9条(41))。平均額で表示することはできません。
公式問題で問47を見る
統計
問48 地価公示・土地取引件数・建築着工統計・法人企業統計
令和2年1月公表の建築着工統計では、2019年の新設住宅着工戸数のうち、持家と分譲住宅は前年より増え、貸家は減りました。
公式正解 3
肢1:誤り。令和2年地価公示では、全国平均で住宅地も商業地も上昇しました。住宅地が下落したわけではありません。
肢2:誤り。令和2年版土地白書では、令和元年の土地取引件数は約131万件で、ほぼ横ばいとされています。大きく増加したわけではありません。
肢3:正しい。2019年の新設住宅着工戸数は、持家と分譲住宅が前年より増加し、貸家は減少しました。
肢4:誤り。平成30年度法人企業統計調査では、不動産業の売上高経常利益率は平成26年度から平成30年度まで、いずれも5%を大きく上回る水準でした。
令和8年度試験での注意 統計は毎年差し替わります。令和8年度試験では、2026年の地価公示、2025年の建築着工統計など、試験の直前に公表された数値で確かめます。
公式問題で問48を見る
土地の災害リスク
問49 都市の中小河川の氾濫・周辺の地形・液状化と古地図・周辺住民の意見
宅地の安全性は、その地点だけでなく周辺の地形や防災施設、過去の地形からも判断します。地元の住民が知っている浸水や地盤の情報も有力な手がかりです。
公式正解 4
最も不適当なのは4です。
肢1:適当。急速な都市化で地表が舗装されると、降雨時に雨水が短時間に大量に河川へ流れ込み、都市の中小河川が氾濫しやすくなります。
肢2:適当。中小河川の防災の観点では、宅地を選ぶときにその地点だけでなく周辺の地形と防災施設にも注意します。
肢3:適当。液状化のおそれは、現在の地表の状態に加え、かつて池や沼、河川だった場所かどうかを古地図などで確認して判断します。
肢4:不適当。地形や地質が宅地に適しているかを調べるときは、過去の災害や地盤の状況を知る周辺住民の意見も参考にします。聴かなくてよいとはいえません。
公式問題で問49を見る
建築物の構造
問50 基礎構造と上部構造・直接基礎と杭基礎・直接基礎の種類
直接基礎には、柱の下に設ける独立基礎、壁の下に連続して設ける布基礎(連続基礎)、建物の底部全体に設けるべた基礎があります。
公式正解 3
最も不適当なのは3です。
肢1:適当。建物は基礎構造と上部構造からなり、基礎構造は地業と基礎盤で構成されます。
肢2:適当。基礎には、基礎の底面が建物を支える地盤に直接接する直接基礎と、支持地盤が深い場合に用いる杭基礎(杭地業)があります。
肢3:不適当。壁体などの下に設けるのは布基礎(連続基礎)で、建物の底部全体に設けるのがべた基礎です。この記述は二つを入れ替えています。
肢4:適当。上部構造は、重力・風力・地震力などの荷重に耐える主要構造と、屋根・壁・床などの仕上げ部分で構成されます。
公式問題で問50を見る
正答一覧へ戻る ↑