権利関係の解答・解説(10問)
物権変動と登記、詐欺・錯誤、瑕疵担保責任、不法行為、無権代理と相続、遺産分割、弁済、請負、時効の中断、抵当権の順位の譲渡を扱います。2020年4月施行の改正民法の前の出題なので、錯誤・瑕疵担保・時効の中断などは改正後の仕組みと分けて読みます。
物権変動と登記
問1 不法占有者・借地上に登記ある建物を持つ者・転得者と前主・登記後の時効取得
不動産の物権変動を登記なしに対抗できない「第三者」は、登記がないことを主張する正当な利益を持つ者に限られます。何の権原もない不法占有者はこれに当たりません。
公式正解 1
肢1:誤り。不法占有者は177条の第三者に当たらないので、Bは登記がなくても所有権を主張して明渡しを請求できます(判例)。
肢2:正しい。甲土地を借りて登記のある建物を持つDは、借地権を対抗できる第三者です(借地借家法10条1項)。Bは登記を備えなければ、Dに所有者であることを主張できません。
肢3:正しい。AはBに売った売主で、Eから見れば前々主にすぎず、177条の第三者に当たりません。Eは登記がなくてもAに所有権を主張できます。
肢4:正しい。登記を備えたBの所有中に時効が完成した場合、Bは時効完成時の所有者で、Fとは当事者の関係に立ちます。Fは登記がなくてもBに所有権を主張できます(判例)。
公式問題で問1を見る
詐欺・錯誤と第三者
問2 取消し後の第三者・取消し前の悪意の第三者・錯誤無効と第三者・表意者の重過失
出題時の民法では、要素の錯誤による意思表示は無効で、表意者に重大な過失があるときは自ら無効を主張できないとされていました(旧95条)。
公式正解 4
肢1:正しい。詐欺による取消し後に登場した第三者との関係は対抗問題となり、Aは登記がなければ背信的悪意者でないCに返還を請求できません(判例)。
肢2:正しい。詐欺による取消しは善意の第三者に対抗できないとされていましたが(旧96条3項)、Cは詐欺について悪意なので、AはCに返還を請求できます。
肢3:正しい。出題時の民法では、錯誤による無効は第三者にも主張できたので、重大な過失のないAは、Bからの転得者Cにも無効を主張して返還を請求できました。
肢4:誤り。表意者に重大な過失があったときは、表意者自ら錯誤による無効を主張できません(旧95条ただし書)。
令和8年度試験での注意 2020年4月1日施行の改正民法で、錯誤の効果は無効から取消しに変わり、錯誤による取消しは善意無過失の第三者に対抗できなくなりました(95条4項)。詐欺による取消しで保護される第三者も、善意無過失の者になりました(96条3項)。改正後は、Cが善意無過失であれば肢3のようにはならないので注意します。肢4が誤りである点は変わりません。
公式問題で問2を見る
売主の瑕疵担保責任
問3 知りながら告げなかった瑕疵と期間制限の特約・解除の要件・損害賠償・媒介業者
売主は、担保責任を負わない旨の特約をしても、知りながら告げなかった事実については責任を免れません(民法572条)。期間を短くする特約も同じで、買主は瑕疵を知った時から1年以内であれば責任を追及できました(旧566条3項)。
公式正解 1
肢1:正しい。Aは瑕疵を知りながら告げなかったので、引渡しから3か月とする特約はその瑕疵には効力がありません(572条)。Bは瑕疵を知った時から1年以内であれば責任を追及できます。
肢2:誤り。出題時の民法では、隠れた瑕疵によって契約をした目的を達することができないときに限り、買主は解除できました(旧570条・旧566条1項)。
肢3:誤り。損害賠償の請求は、解除できない場合に限られません。目的を達することができず解除する場合も、損害賠償を請求できます。
肢4:誤り。瑕疵担保責任を負うのは売主です。媒介をした宅建業者Cに対して瑕疵担保責任を追及することはできません。
令和8年度試験での注意 2020年4月1日施行の改正民法で、瑕疵担保責任は契約不適合責任に改められました。買主は追完、代金減額、損害賠償、解除を求めることができ、解除は不適合が軽微でなければ催告によってできます(541条・564条)。売主が引渡し時に不適合を知っていたときは、1年以内の通知という期間制限も適用されません(566条ただし書)。改正後の基準では肢2の解除の要件も変わるので、新しい条文で整理し直します。
公式問題で問3を見る
不法行為
問4 火災保険金と損益相殺・同質の利益の控除・第三者による債権侵害・名誉権に基づく差止め
名誉を違法に侵害された者は、損害賠償や名誉回復の処分のほか、人格権としての名誉権に基づいて、侵害行為の差止めを求めることができます(北方ジャーナル事件、最大判昭和61年6月11日)。
公式正解 4
肢1:誤り。火災保険金は保険料の対価として支払われるもので、損益相殺の対象になりません。損害賠償額から控除されないとされています(最判昭和50年1月31日)。
肢2:誤り。被害者が同一の原因によって損害と同質性のある利益を受けたときは、損益相殺としてその額が賠償額から控除されます。
肢3:誤り。第三者が債務者をそそのかして債務の履行を不能にさせたときは、債権侵害として、債権者に対し不法行為責任を負うことがあります(判例)。
肢4:正しい。名誉を侵害された者は、人格権としての名誉権に基づき、加害者に対して現に行われている侵害行為の排除や将来の侵害の予防のための差止めを求めることができます。
公式問題で問4を見る
無権代理と相続
問5 追認拒絶の効果・追認拒絶後の相続・追認の遡及効・本人による無権代理人の相続
判決文は、追認を拒絶した時点で無権代理行為の効果が本人に帰属しないことが確定するので、その後に無権代理人が本人を相続しても有効にはならないとしています(最判平成10年7月17日)。
公式正解 2
肢1:正しい。追認を拒絶すると無権代理行為の効果が本人に帰属しないことが確定するので、その後は本人であっても追認によって有効にすることはできません。
肢2:誤り。本人が追認を拒絶する前に無権代理人が本人を単独で相続した場合は、無権代理行為は当然に有効になるとされています(判例)。追認拒絶後の相続とは効果が異なります。
肢3:正しい。追認は、別段の意思表示がないときは契約の時にさかのぼって効力を生じますが、第三者の権利を害することはできません(116条)。
肢4:正しい。本人が無権代理人を相続した場合、本人は追認を拒絶しても信義則に反しないので、無権代理行為は相続によって当然には有効になりません(判例)。
公式問題で問5を見る
遺産分割
問6 遺言による分割の禁止・遺産分割協議の合意解除・預貯金債権・遺産分割の効力
共同相続人は、成立した遺産分割協議を全員の合意で解除し、改めて分割協議をすることができます(最判平成2年9月27日)。
公式正解 2
肢1:誤り。被相続人は、遺言で、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて遺産の分割を禁止できます(908条)。
肢2:正しい。共同相続人全員の合意があれば、成立した遺産分割協議の全部又は一部を解除し、改めて協議を成立させることができます。
肢3:誤り。預貯金債権は相続開始と同時に当然に分割されるものではなく、遺産分割の対象になります(最大決平成28年12月19日)。
肢4:誤り。遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼって効力を生じます(909条本文)。第三者の権利を害することはできません(同条ただし書)。
令和8年度試験での注意 2019年7月1日から、遺産分割の前でも各相続人が預貯金の一定額を単独で払い戻せる制度ができました(909条の2)。預貯金債権が遺産分割の対象であることは変わらず、この問の正誤は変わりません。
公式問題で問6を見る
弁済
問7 受領権限のない者への弁済と債権者の利益・詐称代理人・表見相続人・同時履行の抗弁
受領権限のない者への弁済でも、債権者がこれによって利益を受けた限度では効力があります(民法479条)。弁済者の過失の有無は関係ありません。
公式正解 1
肢1:誤り。Cが受け取った代金をAに引き渡したなら、債権者Aはその限度で利益を受けているので、Bの弁済はその限度で有効になります(479条)。
肢2:正しい。代理人と称する者に対する弁済も、弁済者が善意無過失であれば、債権の準占有者に対する弁済として有効とされていました(旧478条、判例)。
肢3:正しい。相続人と称する者への弁済も、弁済者が善意無過失であれば有効です(旧478条)。
肢4:正しい。売買の代金債務と引渡債務は同時履行の関係にあるので、Bは引渡しの提供を受けるまで代金の支払を拒めます(533条)。
令和8年度試験での注意 2020年4月1日施行の改正民法で、478条は「受領権者以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するもの」への弁済と書き改められましたが、肢2・3の正誤は変わりません。
公式問題で問7を見る
請負
問8 建替え費用の損害賠償・担保責任の存続期間・注文者の失火による履行不能・注文者の解除
出題時の民法では、建物などの請負人の担保責任の存続期間は引渡しから5年(コンクリート造などは10年)で、特約で伸ばせるのは普通の消滅時効の期間(10年)までとされていました(旧638条・旧639条)。
公式正解 2
肢1:正しい。建物に重大な瑕疵があり建て替えるほかない場合、注文者は建替え費用相当額の損害賠償を請求できます(最判平成14年9月24日)。
肢2:誤り。コンクリート造の建物の担保責任の存続期間は10年で、特約で伸ばしても10年を超えることはできませんでした(旧639条)。20年とは定められません。
肢3:正しい。建物が焼失して増築が不可能になれば、請負人は未履行部分の仕事を完成させる債務を免れます。注文者の失火によるので、請負人は報酬を請求できます。
肢4:正しい。請負人が仕事を完成しない間は、注文者はいつでも損害を賠償して契約を解除できます(641条)。
令和8年度試験での注意 2020年4月1日施行の改正民法で、請負人の担保責任の存続期間の規定(旧638条・旧639条)は削除され、注文者は契約不適合を知った時から1年以内に請負人に通知すればよいことになりました(637条)。肢2の前提となった仕組みは、令和8年度試験の基準では使いません。
公式問題で問8を見る
時効の中断
問9 訴えの取下げ・却下・請求棄却・裁判上の和解
出題時の民法では、裁判上の請求は時効の中断事由でしたが、訴えの却下又は取下げの場合は中断の効力を生じないとされていました(旧149条)。裁判上の和解が成立すれば、時効は中断します。
公式正解 4
肢1:正しい。訴えが取り下げられた場合、時効中断の効力は生じません(旧149条)。
肢2:正しい。訴えを却下する判決が確定した場合も、時効中断の効力は生じません(旧149条)。
肢3:正しい。請求棄却の判決が確定すれば、権利の存在が認められなかったので、時効中断の効力は生じません。
肢4:誤り。裁判上の和解は確定判決と同一の効力を持つので、訴えの提起による時効中断の効力は失われません。
令和8年度試験での注意 2020年4月1日施行の改正民法で、時効の「中断」は「完成猶予」と「更新」に再構成されました。裁判上の請求をすると手続の間は時効の完成が猶予され、確定判決や裁判上の和解で権利が確定すると時効が更新されます(147条)。取下げや却下で終わったときも、その時から6か月間は完成が猶予されます。肢4が誤りである点は変わりません。
公式問題で問9を見る
抵当権の順位の譲渡
問10 順位の譲渡と配当額の計算
抵当権の順位の譲渡では、譲渡人と譲受人が本来受けられる配当の合計額から、まず譲受人が優先して弁済を受け、残りを譲渡人が受けます(民法376条1項)。
公式正解 1
Bの配当額は600万円で、正解は1です。
本来の配当:売却代金6,000万円から、B(一番)2,000万円、C(二番)2,400万円、D(三番)1,600万円が配当されます。
順位の譲渡:BからDへの順位の譲渡では、BとDの本来の配当の合計3,600万円から、譲受人Dが先に弁済を受けます。
計算:Dは債権額3,000万円の全額を受け、残りの600万円をBが受けます。Cの配当2,400万円は影響を受けません。
確認:選択肢のうち600万円は1です。
公式問題で問10を見る
正答一覧へ戻る ↑
借地借家・登記の解答・解説(4問)
借地と賃貸借の存続期間、定期借地権、定期建物賃貸借と転貸借、区分所有法の集会、不動産登記を扱います。
借地と賃貸借の期間
問11 資材置場の賃貸借・建物所有目的の存続期間・一般定期借地権・事業用定期借地権
居住用の建物を所有する目的では事業用定期借地権は使えないので、期間15年の借地で更新しない特約を定めても無効で、存続期間は30年になります(借地借家法3条・9条)。
公式正解 3
肢1:誤り。建物所有目的でない土地の賃貸借には民法が適用され、出題時の民法では存続期間の上限は20年でした(旧604条)。ケース①は20年に短縮され、期間の定めのない契約にはなりません。
肢2:誤り。建物所有目的の借地権の存続期間は30年以上で、公正証書は要りません。ケース①は50年、ケース②は30年になります(3条)。
肢3:正しい。ケース①は期間50年以上なので、書面で更新しない旨などを定めれば一般定期借地権として有効です(22条)。ケース②は居住用で事業用定期借地権が使えないため、更新しない特約は無効で期間は30年になります。
肢4:誤り。工場用でも期間50年なら一般定期借地権として書面で定めれば足り、公正証書に限られません。期間15年なら、公正証書で事業用定期借地権(23条2項)として更新しない旨を定められます。
令和8年度試験での注意 2020年4月1日施行の改正民法で、賃貸借の存続期間の上限は20年から50年に延びました(604条)。改正後はケース①の資材置場の賃貸借も50年で有効ですが、肢1が誤りである点は変わりません。また2022年5月から、一般定期借地権の特約は電磁的記録でもできるようになりました(借地借家法22条2項)。
公式問題で問11を見る
建物賃貸借
問12 定期建物賃貸借の方式・居住用の定期建物賃貸借・更新拒絶の通知期間・転借人への通知
建物の転貸借がされている場合、賃貸借が期間満了や解約の申入れで終了するときは、賃貸人は転借人にその旨を通知しなければ終了を対抗できません(借地借家法34条1項)。
公式正解 4
肢1:誤り。定期建物賃貸借は、公正証書などの書面で契約するだけでなく、あらかじめ更新がなく期間満了で終了することを書面を交付して説明しなければなりません(38条)。
肢2:誤り。居住用の建物でも定期建物賃貸借にすることができます。
肢3:誤り。期間の定めのある建物賃貸借で更新しないためには、期間満了の1年前から6か月前までの間に通知しなければなりません(26条1項)。3か月前ではありません。
肢4:正しい。適法な転貸借がある場合、賃貸借が解約の申入れで終了するときも、Cに通知しなければ終了を対抗できません(34条1項)。
令和8年度試験での注意 2022年5月18日から、定期建物賃貸借の契約は電磁的記録でもでき、事前説明の書面も借主の承諾を得れば電磁的方法で提供できるようになりました(38条2項・4項)。書面による説明が必要な点は同じで、この問の正誤は変わりません。
公式問題で問12を見る
区分所有法の集会
問13 共有者の議決権・占有者の権利・集会の議長・普通決議の要件
集会の議長は、規約に別段の定めがある場合や別段の決議をした場合を除き、管理者又は集会を招集した区分所有者の一人が務めます(区分所有法41条)。
公式正解 3
肢1:誤り。専有部分が共有のときは、共有者は議決権を行使すべき者一人を定めなければなりません(40条)。それぞれが議決権を行使するのではありません。
肢2:誤り。区分所有者の承諾を得た占有者は、利害関係があれば集会に出席して意見を述べることができますが、議決権はありません(44条1項)。
肢3:正しい。議長は、規約や決議で別に定めない限り、管理者又は集会を招集した区分所有者の一人です(41条)。
肢4:誤り。出題時の規定では、集会の普通決議は区分所有者及び議決権の各過半数で決しました(39条1項)。各4分の3以上ではありません。
令和8年度試験での注意 2026年4月1日施行の改正区分所有法で、集会の普通決議は「出席した」区分所有者とその議決権の各過半数で決するようになりました(39条1項)。肢4は今も誤りで、正解の3は変わりません。
公式問題で問13を見る
不動産登記
問14 管轄外の申請・合筆の制限・職権による分筆・代理権の存続
一筆の土地の一部が別の地目になったときは、登記官は職権で分筆の登記をしなければなりません(不動産登記法39条2項)。
公式正解 3
肢1:正しい。申請に係る不動産の所在地が申請を受けた登記所の管轄に属しないときは、登記官は理由を付した決定で申請を却下します(25条1号)。
肢2:正しい。所有権の登記名義人が相互に異なる土地の合筆の登記はできません(41条3号)。
肢3:誤り。一筆の土地の一部が別の地目となったときなどは、登記官は申請がなくても職権で分筆の登記をしなければなりません(39条2項)。
肢4:正しい。委任による代理人の権限は、本人の死亡によっては消滅しません(17条1号)。
公式問題で問14を見る
正答一覧へ戻る ↑
法令上の制限の解答・解説(8問)
都市計画の内容、開発許可、建築基準法、宅地造成等規制法、土地区画整理法、農地法、国土利用計画法の事後届出を扱います。宅地造成等規制法は2023年に盛土規制法へ改められました。
都市計画の内容
問15 高度地区・特定街区・準住居地域・特別用途地区
特別用途地区は用途地域内で用途地域の指定を補完して定める地区です。用途地域が定められていない区域で特定の建築物の用途を制限するのは、特定用途制限地域です(都市計画法9条14項・15項)。
公式正解 4
肢1:正しい。高度地区は、用途地域内で市街地の環境の維持や土地利用の増進のため、建築物の高さの最高限度又は最低限度を定める地区です(9条18項)。
肢2:正しい。特定街区の都市計画には、建築物の容積率、高さの最高限度、壁面の位置の制限を定めます(8条3項2号リ)。
肢3:正しい。準住居地域は、道路の沿道として業務の利便を高めながら、それと調和する住居の環境を守るための地域です(9条7項)。
肢4:誤り。記述は特定用途制限地域の定義です(9条15項)。特別用途地区は、用途地域内の一定の地区で特別の目的のために用途の制限を補完するものです(9条14項)。
公式問題で問15を見る
開発許可
問16 準都市計画区域の面積要件・市街化区域の農家住宅・野球場の規模・市街化調整区域の病院
市街化区域では、農林漁業者の住宅のための開発行為でも、1,000㎡以上なら許可が必要です。農林漁業用建築物の例外は市街化区域以外の区域に限られます(都市計画法29条1項2号)。
公式正解 1
肢1:正しい。準都市計画区域では3,000㎡以上の開発行為に許可が必要で、4,000㎡の店舗用の造成は許可を受けなければなりません。
肢2:誤り。農業を営む者の住宅のための開発行為を許可不要とする例外は、市街化区域には適用されません。1,500㎡なので許可が必要です。
肢3:誤り。野球場は1ha(10,000㎡)以上のものが第二種特定工作物に当たります。8,000㎡の野球場の建設は開発行為に当たらず、許可は要りません。
肢4:誤り。病院は公益上必要な建築物から除かれているので、市街化調整区域で病院を建てるための開発行為には許可が必要です。
公式問題で問16を見る
建築基準法
問17 違反建築物の仮の使用禁止命令・災害危険区域・防火地域の屋上看板・非常用の照明装置
非常用の照明装置が必要な建築物でも、共同住宅の住戸には設置が求められていません(建築基準法施行令126条の4)。
公式正解 4
肢1:正しい。特定行政庁は、緊急の必要がある場合は、違反建築物の所有者などに対し、仮に使用禁止又は使用制限の命令をすることができます(9条7項)。
肢2:正しい。地方公共団体は条例で災害危険区域を指定し、住居用の建築物の建築の禁止など必要な制限を定めることができます(39条)。
肢3:正しい。防火地域内の看板などで建築物の屋上に設けるものは、主要な部分を不燃材料で造り、又は覆わなければなりません(64条)。
肢4:誤り。共同住宅の住戸には、非常用の照明装置の設置は義務付けられていません(施行令126条の4第1号)。
公式問題で問17を見る
建築基準法
問18 第一種低層住居専用地域の兼用住宅・工業地域の認定こども園・防火地域の建蔽率緩和・袋路状道路の条例
幼保連携型認定こども園は、すべての用途地域で建築できます。工業地域でも建築可能です。
公式正解 2
肢1:誤り。第一種低層住居専用地域では、延べ面積の2分の1以上を居住用とし、店舗部分が50㎡以下の兼用住宅でクリーニング取次店などであれば建築できます(施行令130条の3)。この兼用住宅は建築できます。
肢2:正しい。幼保連携型認定こども園は、工業地域を含むすべての用途地域で建築できます。
肢3:誤り。出題時の規定では、建蔽率が10分の1加算されるのは、防火地域内の耐火建築物でした(旧53条3項1号)。準耐火建築物は対象ではありません。
肢4:誤り。袋路状道路にのみ接する建築物について条例で制限を付加できるのは、延べ面積が150㎡を超える建築物で、一戸建ての住宅は除かれます(43条3項5号)。
令和8年度試験での注意 2019年6月の改正で、防火地域内で建蔽率が10分の1加算されるのは「耐火建築物等」(耐火建築物と同等以上の延焼防止性能を持つ建築物を含む)になりました(53条3項1号イ)。防火地域では準耐火建築物が対象にならない点は同じで、肢3は誤りのままです。
公式問題で問18を見る
宅地造成等規制法
問19 規制区域外の工事・計画の変更・指定時に工事中の者・造成宅地防災区域
宅地造成工事規制区域の指定の際に既に行われている工事は許可の対象ではなく、造成主は指定の日から21日以内に届け出れば足ります(旧法15条1項)。
公式正解 3
肢1:誤り。宅地造成工事規制区域外で行われる宅地造成工事について、届出を義務付ける規定はありませんでした。
肢2:誤り。許可を受けた工事の計画を変更するときは、軽微な変更を除き、改めて知事の許可を受けなければなりません(旧法12条1項)。軽微な変更は届出で足ります。
肢3:正しい。規制区域の指定の際に既に行われている工事は許可の対象外で、指定があった日から21日以内に知事に届け出ます(旧法15条1項)。
肢4:誤り。記述は宅地造成工事規制区域の定義です(旧法3条1項)。造成宅地防災区域は、規制区域の外にある造成済みの宅地のうち、災害の危険が大きい区域について指定するものです。
令和8年度試験での注意 2023年5月26日から宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)が施行されています。規制区域の指定時に工事中の者が21日以内に届け出れば足りる点は同じで(21条1項)、肢3は正しいままです。規制区域外でも特定盛土等規制区域では工事の届出(着手の30日前まで)が必要になりましたが(27条)、14日前とする肢1は誤りのままです。
公式問題で問19を見る
土地区画整理法
問20 換地処分後の登記の制限・換地計画の認可・換地計画の縦覧・換地処分の効果
換地処分の公告があった後は、区画整理の登記がされるまで、施行地区内の土地建物について原則として他の登記ができません(土地区画整理法107条3項)。仮換地の指定の時点からではありません。
公式正解 1
肢1:誤り。他の登記が制限されるのは、換地処分の公告があった日後、区画整理による登記がされるまでの間です(107条3項)。仮換地の指定があった日後ではありません。
肢2:正しい。個人施行者、組合、区画整理会社、市町村、都市再生機構、地方住宅供給公社が施行者のときは、換地計画について都道府県知事の認可を受けなければなりません(86条1項)。
肢3:正しい。個人施行者以外の施行者は、換地計画を定めようとするときは、2週間公衆の縦覧に供しなければなりません(88条2項)。
肢4:正しい。換地処分の公告があると、換地は公告の日の翌日から従前の宅地とみなされ、換地を定めなかった従前の宅地の権利は公告の日の終了時に消滅します(104条1項)。
公式問題で問20を見る
農地法
問21 原野の農地化・抵当権の設定・市街化区域内の転用・砂利採取のための一時貸付け
農地法4条の転用許可は、農地を農地以外のものにする場合に必要です。原野を耕して農地にするのは転用に当たらず、許可は要りません。
公式正解 1
肢1:正しい。原野を農地にするのは、農地を農地以外のものにする転用ではないので、4条1項の許可は要りません。
肢2:誤り。3条の許可が必要なのは、所有権の移転や使用収益を目的とする権利の設定・移転です。抵当権の設定には許可は要りません。
肢3:誤り。市街化区域内の農地の転用は、あらかじめ農業委員会に届け出れば4条1項の許可は要りません。
肢4:誤り。砂利採取法の認可を受けた計画に従う場合でも、砂利採取のために農地を一時的に貸し付けるときは5条1項の許可が必要です。
公式問題で問21を見る
国土利用計画法の事後届出
問22 分割売却と面積要件・相続・一団の土地の購入・地方公共団体との取引
事後届出が必要かどうかは、権利取得者が取得する土地の面積(一団の土地として取得する合計)で判断します。市街化調整区域は5,000㎡以上が対象です。
公式正解 3
肢1:誤り。市街化区域の届出対象は2,000㎡以上で、B・Cはそれぞれ1,000㎡しか取得していないので、届出は不要です。
肢2:誤り。相続による取得は契約による取得ではないので、事後届出は要りません。
肢3:正しい。Gは一定の計画に従って市街化調整区域内の一団の土地6,000㎡を取得しているので、5,000㎡以上として届出が必要です。
肢4:誤り。当事者の一方が地方公共団体である取引は、事後届出の対象から除かれています(23条2項3号)。
公式問題で問22を見る
正答一覧へ戻る ↑
宅建業法の解答・解説(20問)
免許、業務上の規制、重要事項説明、監督処分、広告、媒介契約、報酬、保証協会、37条書面、手付金等の保全措置、クーリング・オフ、宅地の定義、宅建士の登録、住宅瑕疵担保履行法を横断します。報酬は消費税8%で計算する出題でした。
宅建業の免許
問26 名義貸しと広告・建物の一部の売買の代理・無免許業者の取引への関与・従業者の無免許営業
宅建業者の従業者であっても、勤務先とは別に自分のために宅建業を営めば、無免許事業に当たります。
公式正解 4
肢1:誤り。宅建業者は、自己の名義で他人に宅建業を営む旨の表示をさせることも、宅建業を営む目的で広告をさせることも禁止されています(13条2項)。
肢2:誤り。建物の一部の売買の代理を業として行うことも、宅建業に当たります。
肢3:誤り。免許を受けていない者が宅建業を営めば、宅建業者が代理や媒介で関与していても無免許事業に当たります。
肢4:正しい。従業者が勤務先とは別に自己のために免許なく宅建業を営むことは、無免許事業に当たります(12条1項)。
公式問題で問26を見る
業務上の規制
問27 他人物売買の予約・担保責任の期間の特約・秘密を守る義務・断定的判断の提供
宅建業者は、自己の所有に属しない宅地建物について、自ら売主として売買契約(予約を含む)を締結できないのが原則です(33条の2)。
公式正解 1
正しいのはエの一つだけで、正解は1です。
ア:誤り。自己の所有に属しない宅地建物の売買は、契約だけでなく予約も禁止されています(33条の2)。
イ:誤り。自ら売主となる場合、担保責任の期間を引渡しの日から2年以上とする特約を除き、民法より買主に不利な特約は無効です(40条)。1年とする特約は、相手方が同意しても無効です。
ウ:誤り。秘密を守る義務には「正当な理由がある場合」という例外があります(45条)。いかなる理由があっても漏らしてはならないわけではありません。
エ:正しい。勧誘の際に、確実に利益が出ると誤解させるような断定的判断を示すことは禁止されています(47条の2第1項)。
令和8年度試験での注意 2020年4月の改正民法の施行に合わせ、40条は「契約不適合責任」の通知期間を引渡しの日から2年以上とする特約を除いて、買主に不利な特約を無効とする規定になりました。イが誤りである点は変わりません。
公式問題で問27を見る
重要事項の説明(建物の貸借)
問28 住宅性能評価・建設住宅性能評価書の保存状況・石綿調査・専有部分の利用制限
区分所有建物の貸借の媒介でも、ペット飼育の禁止など専有部分の使い方を制限する規約があれば、その内容を説明します。
公式正解 4
肢1:誤り。住宅性能評価を受けた新築住宅である旨は、建物の売買・交換の場合の説明事項で、貸借では説明不要です。
肢2:誤り。建物の建築・維持保全の状況に関する書類の保存状況は、既存建物の売買・交換の場合の説明事項で、貸借では説明不要です。
肢3:誤り。石綿の使用の有無は調査結果の記録があるときに説明するもので、業者自ら調査する義務はありません。
肢4:正しい。区分所有建物の専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めは、貸借の場合も説明事項です。
公式問題で問28を見る
監督処分と罰則
問29 内閣総理大臣との協議・指示処分と聴聞・事業を開始しない場合の免許取消し・報告義務違反の罰則
国土交通大臣が消費者保護に関わる規定の違反を理由に処分をするときは内閣総理大臣と協議しますが、都道府県知事が処分をするときは協議は要りません(71条の2)。
公式正解 3
正しいのはイ・ウ・エの三つで、正解は3です。
ア:誤り。内閣総理大臣への協議が必要なのは、国土交通大臣が処分をしようとする場合です。甲県知事が業務停止処分をするときは協議は要りません。
イ:正しい。指示処分をするときは聴聞を行わなければならず、聴聞の期日における審理は公開で行います(69条)。
ウ:正しい。免許を受けて1年以内に事業を始めない業者の免許は、必ず取り消されます(66条1項6号)。
エ:正しい。知事から求められた報告をしなかった者は、50万円以下の罰金に処せられることがあります(83条1項5号)。
公式問題で問29を見る
広告の規制
問30 建築確認前の貸借の広告・分割広告と取引態様・依頼によらない広告の料金・建築確認前の分譲住宅の広告
建築確認などの処分を受ける前の建物は、売買だけでなく貸借の媒介の広告もできません(33条)。
公式正解 4
違反するものはア〜エの四つで、正解は4です。
ア:違反する。工事完了前の建物は建築確認を受けた後でなければ広告できず、貸借の媒介の広告も同じです(33条)。
イ:違反する。数回に分けて広告するときは、そのたびに取引態様の別を明示しなければなりません(34条1項)。
ウ:違反する。報酬とは別に広告料金を受け取れるのは、依頼者の依頼による広告に限られます。
エ:違反する。建築確認を受ける前の分譲住宅の広告は、取引態様を明示していても禁止されています(33条)。
公式問題で問30を見る
専任媒介契約
問31 指定流通機構への登録期間・有効期間を超える定め・業者間の報告義務・建物状況調査を実施する者
建物状況調査を実施できるのは、建築士で、国土交通大臣が定める講習を修了した者(既存住宅状況調査技術者)です。
公式正解 1
正しいのはエの一つだけで、正解は1です。
ア:誤り。専任媒介契約では、締結の日から7日以内(休業日を除く)に指定流通機構に登録します(施行規則15条の10)。休業日は算入しません。
イ:誤り。専任媒介契約の有効期間は3か月を超えることができず、これより長い期間を定めたときは3か月に短縮されます(34条の2第3項)。契約が無効になるわけではありません。
ウ:誤り。依頼者が宅建業者であっても、専任媒介契約では業務の処理状況を2週間に1回以上報告しなければなりません。
エ:正しい。建物状況調査を行えるのは、国土交通大臣が定めた講習を修了した建築士(既存住宅状況調査技術者)に限られます。
公式問題で問31を見る
報酬
問32 低廉な空家等の代理・事務所の貸借・建物状況調査のあっせん料・現地調査費用を要しない場合
出題時の告示では、代金400万円以下の低廉な空家等で、通常より現地調査等の費用を要する場合に限り、売主から18万円(税別)まで受け取れました。費用を要しない場合は通常の計算です。
公式正解 4
肢1:正しい。代理の場合、特例による媒介の上限194,400円(18万円×1.08)に、通常の媒介報酬108,000円(200万円×5%×1.08)を加えた302,400円が上限です。
肢2:正しい。居住用以外の建物の貸借の媒介では、依頼者双方から合計で借賃1か月分(税込108万円)まで受け取れます。
肢3:正しい。建物状況調査を実施する者のあっせんは媒介業務の一環で、報酬とは別にあっせん料を受け取ることはできません。
肢4:誤り。現地調査等の費用を通常より要しない場合は特例が適用されず、売主から受け取れるのは200万円×5%×1.08=108,000円が上限です。
令和8年度試験での注意 2019年10月に消費税率は10%になり、報酬の上限も1.1倍で計算します。2024年7月の報酬告示の改正で、低廉な空家等の特例は代金800万円以下の物件に広がり、上限も30万円(税別)に引き上げられました。令和8年度試験では改正後の告示で計算します。
公式問題で問32を見る
宅建業保証協会
問33 分担金の納付時期・営業保証金の取戻しの公告・事務所の増設と分担金・地位を失った後の営業保証金
保証協会の社員が新たに事務所を設置したときは、その日から2週間以内に分担金を納付しなければ、社員の地位を失います(64条の9第2項・3項)。
公式正解 3
肢1:誤り。弁済業務保証金分担金は、保証協会に加入しようとする日までに納付しなければなりません(64条の9第1項)。
肢2:誤り。保証協会の社員になったことで営業保証金を取り戻す場合は、還付請求権者への公告は要りません(64条の14第1項)。
肢3:正しい。新たに事務所を設置した日から2週間以内に分担金を納付しないと、社員の地位を失います。
肢4:誤り。社員の地位を失った業者は、地位を失った日から1週間以内に営業保証金を供託しなければなりません(64条の15)。弁済業務保証金を供託しても社員の地位は回復しません。
公式問題で問33を見る
37条書面
問34 損害賠償額の予定・建物の状況の確認事項・租税公課の負担・記名押印する宅建士
既存住宅の売買では、構造耐力上主要な部分などの状況を売主・買主の双方が確認した事項も、37条書面に記載します(37条1項2号の2)。
公式正解 2
肢1:誤り。損害賠償額の予定や違約金に関する定めがあれば、金額にかかわらず37条書面に記載しなければなりません。
肢2:正しい。既存の建物の売買では、構造耐力上主要な部分などについて当事者双方が確認した事項を記載します。
肢3:誤り。租税その他の公課の負担に関する定めがあるときは、その内容を37条書面に記載しなければなりません。
肢4:誤り。37条書面に記名押印する宅建士は、35条書面に記名押印した宅建士と同じ者である必要はありません。
令和8年度試験での注意 2022年5月18日施行の改正で、37条書面への宅建士の押印は不要になり、記名だけでよくなりました(37条3項)。肢4が誤りである点は変わりません。
公式問題で問34を見る
業務上の規制
問35 停止条件付きの取得契約と転売・専任の宅建士の補充期限・業者間の取引態様の明示・貸借と契約締結時期の制限
開発許可や建築確認の前に契約を結べない制限(36条)は売買・交換の契約に関するもので、貸借の代理・媒介には適用されません。
公式正解 4
違反しないのは4です。
肢1:違反する。他人物を自ら売主として売るには、その物件を取得する契約を締結している必要がありますが、停止条件付きの契約は除かれています(33条の2第1号)。
肢2:違反する。専任の宅建士が不足したときは、2週間以内に必要な措置をとらなければなりません(31条の3第3項)。5月15日の退職に対して6月10日の補充は遅すぎます。
肢3:違反する。注文を受けたときの取引態様の明示は、相手方が宅建業者でも省略できません(34条2項)。
肢4:違反しない。契約締結時期の制限は売買・交換に関するもので、宅地の貸借の媒介には適用されません。
公式問題で問35を見る
37条書面
問36 工事完了前の建物の表示・自ら貸主・ローン特約・解除に関する定め
契約の解除に関する定めがあるときは、売買でも貸借でも、その内容を37条書面に記載します。
公式正解 2
正しいのはアとエの二つで、正解は2です。
ア:正しい。工事完了前の建物は、重要事項説明で使った図書を交付することで、建物を特定するために必要な表示を行うことができます。
イ:誤り。自ら貸主となる賃貸借は宅建業に当たらないので、37条書面を交付する義務はありません。
ウ:誤り。ローンが承認されなければ契約を解除できるという定めは、契約の解除に関する定めに当たるので、37条書面に記載しなければなりません。
エ:正しい。契約の解除に関する定めは、売買・貸借のいずれでも37条書面の記載事項です。
公式問題で問36を見る
手付金等の保全措置
問37 保全措置を講じない旨の告知・売主からの手付解除・中間金と保全措置・保全措置の上限
工事完了前の物件では、手付金等が代金の5%を超えるか1,000万円を超えるときに保全措置が必要で、措置は受領する手付金等の全額について講じます(41条1項)。
公式正解 3
肢1:誤り。代金3,000万円の5%は150万円なので、200万円の手付金には保全措置が必要です。講じない旨を告げても義務は免れません。
肢2:誤り。売主である宅建業者は、相手方が履行に着手するまでは、手付金の倍額を現実に提供して解除できます(39条2項)。正当な理由は要りません。
肢3:正しい。手付金150万円に中間金50万円を加えると200万円で5%を超えるので、合計200万円について保全措置を講じれば中間金を受領できます。
肢4:誤り。合計650万円について保全措置を講じれば、中間金を受領できます。受領できる額に上限が設けられているわけではありません。
公式問題で問37を見る
クーリング・オフ
問38 違約金の請求・申込みの日から起算する特約・媒介業者の事務所での申込み
クーリング・オフについての特約は、買主に不利なものは無効です(37条の2第4項)。媒介を依頼された他の宅建業者の事務所で申し込んだ場合は、クーリング・オフはできません。
公式正解 2
誤っているのはアとウの二つで、正解は2です。
ア:誤り。クーリング・オフによる解除があったときは、宅建業者は損害賠償や違約金の支払を請求できません(37条の2第1項)。
イ:正しい。法定の期間は告げられた日から8日間で、申込みの3日後に告げたなら申込日から数えて11日目まで解除できます。申込日から10日間とする特約は買主に不利なので無効です。
ウ:誤り。媒介を依頼した宅建業者の事務所は事務所等に当たるので、そこで申し込んだ場合はクーリング・オフはできません。告げられていなくても同じです。
公式問題で問38を見る
重要事項の説明
問39 書類の保存状況と貸借・抹消予定の抵当権・建物の取壊しに関する事項・津波災害警戒区域
宅地の貸借で、契約が終わったときの建物の取壊しについて定めを置く場合は、その内容を説明します(施行規則16条の4の3第13号)。
公式正解 3
肢1:誤り。建物の建築・維持保全の状況に関する書類の保存状況は、既存建物の売買・交換の場合の説明事項です。貸借では説明不要です。
肢2:誤り。登記された抵当権は、引渡しまでに抹消される予定であっても説明しなければなりません。
肢3:正しい。借地の契約終了時に建物を取り壊すことについて定めようとするときは、その内容も説明事項です。
肢4:誤り。津波災害警戒区域内にある旨は、売買だけでなく貸借の場合も説明しなければなりません。
公式問題で問39を見る
業務上の義務
問40 従業者証明書と宅建士証の提示・帳簿の保存期間・テント張りの案内所の標識・案内所の専任の宅建士
帳簿は各事業年度の末日に閉鎖し、閉鎖後5年間(自ら売主となる新築住宅に係るものは10年間)保存します(施行規則18条3項)。
公式正解 2
肢1:正しい。従業者証明書は取引の関係者の請求があったときに提示し(48条2項)、宅建士証は重要事項の説明をするときは請求がなくても提示します(35条4項)。
肢2:誤り。帳簿の保存期間は、各取引の終了後ではなく、各事業年度の末日の閉鎖後5年間(自ら売主の新築住宅は10年間)です。
肢3:正しい。一時的で移動が容易な施設の案内所には、クーリング・オフ制度の適用がある旨などを表示した標識を掲げなければなりません。
肢4:正しい。契約を締結し、又は申込みを受ける案内所には、専任の宅建士を1人以上置かなければなりません(31条の3第1項)。
公式問題で問40を見る
重要事項の説明
問41 管理の委託先・売主業者の説明義務・建物の貸借と建蔽率・代金以外の金銭
建物の貸借で建物の管理が委託されているときは、区分所有建物かどうかにかかわらず、委託先の商号と主たる事務所の所在地を説明します。
公式正解 1
肢1:正しい。管理の委託先の氏名(商号)と住所(主たる事務所の所在地)は、区分所有建物でもそれ以外の建物でも、貸借の説明事項です。
肢2:誤り。売主である宅建業者は、媒介業者に依頼していても重要事項の説明義務を負います。
肢3:誤り。建物の貸借では、建蔽率・容積率の制限は説明事項ではありません。
肢4:誤り。代金・交換差金・借賃の額自体は説明事項ではなく、それ以外に授受される金銭の額と目的を説明しなければなりません(35条1項7号)。
公式問題で問41を見る
宅地の定義
問42 用途地域内の公共施設用地・取引の目的で判断する宅地・市街化調整区域・準工業地域の資材置場
宅地とは、建物の敷地に供せられる土地と、用途地域内の土地で道路・公園・河川などの公共施設用地以外のものをいいます(宅建業法2条1号)。
公式正解 1
肢1:誤り。用途地域内でも、道路・公園・河川などの公共施設の用に供せられている土地は宅地から除かれます。
肢2:正しい。宅地かどうかは、建物の敷地に供する目的で取引の対象とされたかで判断し、登記の地目や現況は問いません。
肢3:正しい。市街化調整区域内でも、建物の敷地に供せられる土地は宅地です。
肢4:正しい。準工業地域は用途地域なので、公共施設用地以外の土地は、建築資材置場であっても宅地です。
公式問題で問42を見る
免許の基準
問43 非常勤役員の懲役刑・政令で定める使用人の執行猶予満了・専任の宅建士の罰金刑・代表取締役の拘留
免許の欠格事由になるのは、役員や政令で定める使用人の刑で、拘禁刑(出題時は懲役・禁錮)以上の刑や一定の犯罪による罰金刑です。拘留や科料は対象外です。
公式正解 2
肢1:誤り。非常勤の役員も役員に当たるので、懲役刑の執行を終えて5年を経過していなければ、法人は免許を受けられません(5条1項5号・12号)。
肢2:正しい。執行猶予の期間を満了すれば刑の言渡しは効力を失うので(刑法27条)、5年を待たずに法人は免許を受けられます。
肢3:誤り。専任の宅建士は役員でも政令で定める使用人でもないので、その者の刑は法人の免許の欠格事由になりません。
肢4:誤り。拘留は禁錮以上の刑でも罰金刑でもないので、免許の欠格事由に当たりません。
令和8年度試験での注意 2025年6月1日の改正刑法の施行で、懲役と禁錮は拘禁刑に一本化されました。令和8年度試験では刑の名称を拘禁刑で覚えます。この問の正誤は変わりません。
公式問題で問43を見る
宅建士の登録
問44 免許取消法人の政令で定める使用人・勤務先の変更・住所の変更・登録実務講習
登録を受けている者は、宅建士証の交付を受けていなくても、住所などの登録事項に変更があれば遅滞なく変更の登録を申請します(20条)。
公式正解 3
肢1:誤り。登録の欠格事由になるのは、不正手段などで免許を取り消された法人の聴聞の公示日前60日以内に役員であった者です。政令で定める使用人であった者は含まれません。
肢2:誤り。変更の登録は、登録をしている甲県知事に申請します。勤務先の業者の免許権者である乙県知事ではありません。
肢3:正しい。住所は登録事項なので、宅建士証の交付を受けていなくても、登録している甲県知事に変更の登録を申請しなければなりません。
肢4:誤り。実務経験が2年未満の者が登録を受けるには、登録実務講習の修了が必要です。合格後1年以内かどうかは関係ありません。
公式問題で問44を見る
住宅瑕疵担保履行法
問45 媒介業者の義務・供託所の説明・基準日の届出・保険金の請求
資力確保措置の義務を負うのは、自ら売主として新築住宅を引き渡す宅建業者です。媒介をするだけの宅建業者は義務を負いません。
公式正解 1
肢1:誤り。新築住宅の売買の媒介をするだけの宅建業者は、保証金の供託や保険契約の締結の義務を負いません。
肢2:正しい。保証金を供託している売主業者は、売買契約を締結するまでに、買主に供託所の所在地などを書面を交付して説明しなければなりません(15条)。
肢3:正しい。新築住宅を引き渡した売主業者は、基準日ごとに、基準日から3週間以内に保証金の供託と保険契約の締結の状況を免許権者に届け出ます(12条1項)。
肢4:正しい。保険契約を締結した宅建業者は、構造耐力上主要な部分などの瑕疵について担保責任を履行したときに、生じた損害について保険金を請求できます。
令和8年度試験での注意 2021年9月30日以後、基準日は年2回から毎年3月31日の年1回になりました。また2020年4月の改正で、担保責任の対象は「隠れた瑕疵」から「瑕疵」に改められています。この問の正誤は変わりません。
公式問題で問45を見る
正答一覧へ戻る ↑
住宅・統計・土地建物の解答・解説(5問)
住宅金融支援機構、不動産の表示に関する公正競争規約、統計、土地、建物の構造を扱います。統計は平成30年・平成31年の公表値で判定します。
住宅金融支援機構
問46 中古住宅の貸付債権・優良住宅の金利引下げ・マンション共用部分の改良資金・災害復興建築物
証券化支援事業(買取型)は、新築住宅だけでなく中古住宅の購入資金の貸付債権も買取りの対象にしています。
公式正解 1
肢1:誤り。買取型の対象には、中古住宅を購入するための貸付債権も含まれます。
肢2:正しい。バリアフリー性、省エネルギー性、耐震性、耐久性・可変性に優れた住宅を取得する場合に、一定期間金利を引き下げる制度(フラット35S)を実施しています。
肢3:正しい。マンション管理組合や区分所有者に対し、共用部分の改良に必要な資金の貸付けを行っています。
肢4:正しい。災害で滅失した住宅に代わる建築物の建設・購入資金の貸付けを業務として行っています。
公式問題で問46を見る
不当景品類及び不当表示防止法
問47 建築条件付土地・新築賃貸マンションの賃料・リフォーム済みの表示・買取再販と新築
「新築」と表示できるのは、建築後1年未満で居住の用に供されたことがないものです。いったん購入者から買い取って再販売する住宅でも、この要件を満たせば新築と表示できます。
公式正解 4
肢1:誤り。表示規約の建築条件付土地には、建築請負契約の相手方を制限しない場合も含まれます。一定期間内に建物を建築することが条件なら、建築条件付土地である旨と条件の内容を表示しなければなりません。
肢2:誤り。すべての住戸の賃料を示すことが困難なときは、1住戸当たりの最低賃料と最高賃料を表示します。標準的な賃料だけでは足りません。
肢3:誤り。リフォームしたことを表示する場合はその内容と時期を明示しますが、リフォーム済みである旨を必ず表示する義務まではありません。
肢4:正しい。建築後1年未満で居住の用に供されたことがない住宅なら、買取再販であっても「新築」と表示できます。
公式問題で問47を見る
統計
問48 法人企業統計・地価公示・宅建業者数・建築着工統計
平成31年地価公示では、全国平均の地価変動率は住宅地・商業地・工業地のいずれも上昇でした。
公式正解 2
肢1:誤り。平成29年度の法人企業統計年報では、不動産業の経常利益も前年度より増加しています。減少ではありません。
肢2:正しい。平成31年地価公示では、全国平均で住宅地・商業地・工業地のいずれも上昇しました。
肢3:誤り。平成30年3月末の宅建業者数は約12万業者で、約20万ではありません。
肢4:誤り。平成30年の貸家の新設着工戸数は約39.6万戸で、前年より減少しました。7年連続の増加ではありません。
令和8年度試験での注意 統計は毎年差し替わります。令和8年度試験では、2026年の地価公示、2025年の建築着工統計など、試験の直前に公表された数値で確かめます。
公式問題で問48を見る
土地の形質
問49 台地・段丘の利用・台地上の埋立地の液状化・台地・段丘の安全性・低地の液状化対策
台地や段丘は、水はけがよく地盤も安定しているので、宅地に適し、自然災害に対しても比較的安全な土地です。ただし、台地を刻む谷や池沼の埋立地は例外です。
公式正解 3
最も不適当なのは3です。
肢1:適当。台地・段丘は農地としても都市的な土地利用にも使われ、地盤も安定しています。
肢2:適当。台地の中の谷や、池や沼を埋めた土地は地盤が軟らかく、液状化が起こることがあります。
肢3:不適当。台地・段丘は水はけがよく宅地に適しており、自然災害に対する安全度は高い土地です。
肢4:適当。旧河道、低湿地、海浜の埋立地は、地震による液状化の対策が必要です。
公式問題で問49を見る
建築物の構造
問50 耐震・制震・免震の考え方と既存建物の補強
耐震は建物の強度や粘り強さで地震に耐える考え方で、既存不適格建築物の耐震補強にも広く使われています。
公式正解 4
最も不適当なのは4です。
肢1:適当。建物の地震対策には、耐震、制震、免震という考え方があります。
肢2:適当。制震は、制振ダンパーなどを設置して、地震などによる建物の共振で生じる大きな揺れを制御する技術です。
肢3:適当。免震は、ゴムなどの免震装置を設置して、上部構造の揺れを減らす技術です。
肢4:不適当。耐震の考え方による補強は、既存不適格建築物の耐震補強にも利用されています。
公式問題で問50を見る
正答一覧へ戻る ↑