権利関係の解答・解説(10問)
不法行為の判例、代理、親族、債務不履行、時効、転貸借、売買、相続分、地役権、共有を扱います。2020年4月施行の改正民法が適用された最初の試験の一つです。
不法行為
問1 建物の設計者・施工者の責任・被用者からの逆求償・認知症の人の監督義務者・人身損害の時効
不法行為は判例の判断を問う肢が中心です。同居する配偶者が当然に法定の監督義務者になるかどうかは、認知症の人の鉄道事故をめぐる最高裁判決(最判平成28年3月1日)が否定しています。
公式正解 3
肢1:正しい。建物の設計者や施工者は、建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵がある場合、契約関係のない居住者などに対しても不法行為責任を負うことがあります(最判平成19年7月6日)。
肢2:正しい。被用者が第三者に損害を賠償した場合、損害の公平な分担という見地から相当と認められる額を使用者に求償できます(最判令和2年2月28日)。
肢3:誤り。責任能力のない認知症の人と同居する配偶者だからといって、直ちに法定の監督義務者に当たるとはいえません(最判平成28年3月1日)。
肢4:正しい。生命・身体を害する不法行為では、損害と加害者を知った時から5年で損害賠償請求権が時効消滅します(724条の2)。一般の不法行為の3年より長くなっています。
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代理
問2 代理権の濫用・双方代理・代理権消滅後の表見代理・追認の効力
2020年4月施行の改正民法で、代理権の濫用(107条)が明文化され、双方代理・自己契約は無権代理とみなされることになりました(108条)。
公式正解 1
肢1:正しい。代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理行為をし、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、無権代理行為とみなされます(107条)。
肢2:誤り。双方代理は、債務の履行や本人があらかじめ許諾した行為を除き、無権代理行為とみなされます(108条1項)。本人に損害が生じたかどうかは関係ありません。
肢3:誤り。代理権消滅後の行為でも、相手方Eが代理権の消滅を過失なく知らなかったときは表見代理が成立し、Aは責任を負います(112条1項)。
肢4:誤り。追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼって効力を生じます(116条)。追認の時からではありません。
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親族
問3 姻族関係の終了・財産分与・未成年後見人の選任・夫婦の共有財産の推定
親族の問は、婚姻の解消(離婚と死亡)で扱いが分かれる点がよく問われます。姻族関係は離婚で当然に終わりますが、配偶者の死亡では生存配偶者の意思表示が必要です。
公式正解 4
肢1:誤り。姻族関係は離婚によって終了しますが、夫婦の一方が死亡した場合は、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したときに終了します(728条)。
肢2:誤り。離婚による財産分与の請求は、相手方に有責な行為があることを要件としていません(768条)。
肢3:誤り。未成年後見人は、未成年被後見人又はその親族その他の利害関係人の請求によって、家庭裁判所が選任します(840条1項)。検察官の請求で親族の中から選ぶという規定ではありません。
肢4:正しい。夫婦のどちらのものか分からない財産は、夫婦の共有と推定されます(762条2項)。
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債務不履行
問4 不確定期限の履行遅滞・受領遅滞と増加費用・履行遅滞中の履行不能・原始的不能
受領遅滞があったときの増加費用は、債権者がすべて負担します(民法413条2項)。半額ずつのような折半の規定はありません。
公式正解 2
肢1:正しい。不確定期限のある債務は、期限到来後に履行の請求を受けた時か、期限の到来を知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負います(412条2項)。
肢2:誤り。債権者が受領を拒んだことで履行の費用が増加したときは、その増加額は債権者の負担になります(413条2項)。
肢3:正しい。履行遅滞中に当事者双方の責めに帰することができない事由で履行不能になったときは、債務者の責めに帰すべき事由によるものとみなされます(413条の2第1項)。
肢4:正しい。契約成立時に履行が不能でも、債権者は415条により損害賠償を請求できます(412条の2第2項)。債務者に帰責事由がない場合は除かれます。
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時効
問5 援用権者の範囲・裁判上の請求の取下げ・承認と行為能力・夫婦間の権利
2020年改正で、時効の中断・停止は「完成猶予」と「更新」に整理されました。裁判上の請求が取下げで終わった場合は、更新されず、終了から6か月の完成猶予だけが残ります。
公式正解 2
肢1:正しい。消滅時効を援用できる当事者には、保証人、物上保証人、第三取得者など、権利の消滅について正当な利益を有する者が含まれます(145条)。
肢2:誤り。裁判上の請求が権利の確定なく取下げなどで終了した場合は、終了の時から6か月を経過するまで時効の完成が猶予されるだけで、新たに時効が進行を始めるわけではありません(147条1項)。
肢3:正しい。承認によって時効は更新されますが、承認には、相手方の権利について処分の行為能力や権限があることを要しません(152条2項)。
肢4:正しい。夫婦の一方が他方に対して有する権利は、婚姻の解消の時から6か月を経過するまで時効が完成しません(159条)。
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転貸借
問6 合意解除と転借人・用法違反の損害賠償の期間・建物の譲渡と賃貸人の地位・転借人の直接義務
賃貸人は、賃貸借を合意解除しても転借人に対抗できません。ただし、合意解除の当時に賃借人の債務不履行による解除権を持っていたときは対抗できます(民法613条3項)。
公式正解 1
肢1:誤り。合意解除の当時、AがBの債務不履行による解除権を有していたときは、合意解除をCに対抗できます(613条3項ただし書)。
肢2:正しい。用法違反による損害の賠償は、賃貸人が返還を受けた時から1年以内に請求しなければなりません(622条・600条1項)。
肢3:正しい。対抗要件を備えた建物の賃貸借で建物が譲渡されたときは、賃貸人の地位は、特段の合意がない限り譲受人Dに移転します(605条の2第1項)。
肢4:正しい。転借人は、賃借人の債務の範囲を限度として賃貸人に直接履行する義務を負い、賃借人への賃料の前払を賃貸人に対抗できません(613条1項)。
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売買契約
問7 数量不足と通知期間・引渡しの不履行と損害賠償・遅延損害金の利率・重過失の錯誤
改正民法では、契約不適合の通知期間(1年)は種類・品質の不適合に限られ、数量不足には適用されません。法定利率は年3%の変動制になり、錯誤は取消しの対象になりました。
公式正解 2
肢1:誤り。不適合を知った時から1年以内に通知しなければならないとする期間制限は、種類・品質の不適合が対象で(566条)、数量不足には適用されません。「2年以内」の通知という規定もありません。
肢2:正しい。売主が引渡しをしなかったときは、その不履行が売主の責めに帰することができない事由によるものでない限り、買主は損害賠償を請求できます(415条1項)。
肢3:誤り。遅延損害金は、特段の定めがなければ法定利率によります(419条1項)。2020年4月1日以降の法定利率は年3%で、年5%ではありません(404条)。
肢4:誤り。改正民法では、重要な錯誤による意思表示は取り消すことができるもので、無効ではありません(95条1項)。表意者に重大な過失があるときは、原則として取り消すこともできません(95条3項)。
令和8年度試験での注意 法定利率は3年ごとに見直される変動制です(404条)。令和8年度試験では、遅滞の責任を負った時点の法定利率を確かめます。肢3の年5%が誤りである点は変わりません。
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相続分
問8 代襲相続人の相続分・直系尊属の相続分
代襲相続人は、被代襲者が受けるはずだった相続分を頭数で分けます。直系尊属どうしは、父方・母方を問わず均等です。
公式正解 3
正しいものはイとウで、正解は3です。
ア:誤り。長男の相続分(2分の1)を長男の子B・Cが分けるので各4分の1(3,000万円)、次男の子Dは次男の相続分2分の1(6,000万円)を受けます(901条1項)。
イ:正しい。B・Cはそれぞれ3,000万円、Dは6,000万円です。
ウ:正しい。直系尊属が数人あるときは相続分は等しいので(900条4号)、祖父母E・Fと祖母Gは各3分の1、4,000万円ずつです。
エ:誤り。父方・母方で相続分を分けることはなく、E・F・Gは均等に4,000万円ずつです。
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地役権
問9 時効取得の要件・地役権の内容・承役地所有者の工作物義務・地役権の付従性と対抗
地役権の時効取得は、「継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるもの」に限られます(民法283条)。「又は」と入れ替えた肢が典型的な誤りです。
公式正解 1
肢1:誤り。時効取得できるのは、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができる地役権に限られます(283条)。どちらか一方を満たせばよいわけではありません。
肢2:正しい。地役権者は、設定行為で定めた目的のとおり、要役地の便益のために承役地を利用できます(280条)。
肢3:正しい。承役地の所有者が自己の費用で工作物の設置・修繕義務を負担したときは、その特定承継人もその義務を負担します(286条)。
肢4:正しい。地役権は要役地の所有権に従って移転するので、要役地の所有権の取得を対抗できれば、地役権の取得も承役地の所有者に対抗できます(281条、判例)。
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共有
問10 持分の推定・共有物の変更・保存行為・相続人のない共有者の持分
共有者の一人が死亡して相続人がないときの持分は、特別縁故者への分与がされなかった場合、他の共有者に帰属します(民法255条)。国庫に帰属するのは単独所有の相続財産です。
公式正解 4
肢1:正しい。各共有者の持分は、相等しいものと推定されます(250条)。
肢2:正しい。出題時の規定では、各共有者は他の共有者の同意を得なければ共有物に変更を加えることができませんでした(251条)。
肢3:正しい。保存行為は、各共有者が単独ですることができます(252条)。
肢4:誤り。相続人のいない共有者が死亡したときは、その持分は他の共有者に帰属します(255条)。国庫に帰属するわけではありません。
令和8年度試験での注意 2023年4月1日施行の改正で、形状又は効用の著しい変更を伴わない軽微な変更は、全員の同意ではなく持分の価格の過半数で決められるようになりました(251条1項・252条1項)。保存行為の規定は252条5項に移りました。問の正解(肢4)は変わりません。
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借地借家・登記の解答・解説(4問)
借地権の対抗力、建物賃貸借、区分所有法、不動産登記を扱います。表示の登記による借地権の対抗や、定期建物賃貸借の事前説明が問われました。
借地権の対抗力
問11 表示の登記と対抗力・建物滅失後の掲示・転借人の対抗・数棟の建物の一部の登記
借地上の建物の登記は、所有権保存登記に限らず表示の登記でも対抗力を持ちます。建物が滅失したときは、土地上の掲示によって2年間対抗力が保たれます(借地借家法10条2項)。
公式正解 4
肢1:誤り。借地上の建物について表示の登記(表題登記)をしていれば、借地権を第三者に対抗できます(判例)。
肢2:誤り。建物の滅失後も対抗力を保つには、建物を特定する事項、滅失の日、新たに築造する旨を土地の見やすい場所に掲示する必要があり、2年以内に建物を築造して登記しなければ対抗力は失われます(借地借家法10条2項)。
肢3:誤り。土地の賃借人が登記ある建物を所有している場合、その賃借人から土地と建物を賃借した転借人は、賃借人の借地権の対抗力を援用して転借権を第三者に対抗できます(判例)。
肢4:正しい。一筆の土地上に借地権者の数棟の建物があるときは、そのうち一棟に登記があれば、借地権の対抗力は土地全部に及びます(判例)。
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建物賃貸借
問12 賃借人による修繕・無断転貸と信頼関係・定期建物賃貸借の説明・内縁の配偶者の承継
定期建物賃貸借は、契約を書面でするだけでなく、事前に「更新がない」旨を記載した書面を交付して説明しなければ、更新がないこととする定めが無効になります(借地借家法38条)。
公式正解 3
肢1:正しい。賃借人が修繕の必要を通知したのに、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないときは、賃借人は自ら修繕できます(民法607条の2第1号)。
肢2:正しい。無断転貸でも、賃貸人に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるときは、賃貸人は契約を解除できません(判例)。
肢3:誤り。定期建物賃貸借とするには、あらかじめ、更新がなく期間満了で終了する旨を記載した書面を交付して説明しなければなりません。口頭で説明しただけでは足りません(借地借家法38条)。
肢4:正しい。居住用建物の賃借人が相続人なしに死亡したときは、事実上夫婦と同様の関係にあった同居者が、死亡を知った後1か月以内に反対の意思を表示しない限り、賃借人の権利義務を承継します(36条1項)。
令和8年度試験での注意 2022年5月18日施行の改正で、定期建物賃貸借の事前説明の書面は、賃借人の承諾を得て電磁的方法で提供できるようになりました(38条4項)。書面(又は電磁的方法)による事前説明が必要な点は変わらず、肢3は誤りのままです。
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区分所有法
問13 規約の保管場所の掲示・管理所有・規約の効力と特定承継人・管理者の解任
規約と集会の決議は、区分所有者の特定承継人(買主など)にも効力を生じます(区分所有法46条1項)。新しく区分所有者になった人が規約に縛られないとする肢が誤りです。
公式正解 3
肢1:正しい。規約をどこに保管しているかは、建物内の見やすい場所に掲示する必要があります(33条)。
肢2:正しい。規約に特別の定めがあれば、管理者が共用部分を所有すること(管理所有)ができます(27条1項)。
肢3:誤り。規約と集会の決議は、区分所有権を買った人などの特定承継人にも効力を生じます(46条1項)。
肢4:正しい。区分所有者は、規約に別段の定めがない限り、集会の決議によって管理者を選任し、又は解任できます(25条1項)。
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不動産登記法
問14 一般承継人による表示の登記・分筆の制限・区分建物の表題登記・附属書類の閲覧
所有権以外の権利の登記がある土地でも分筆はできます。登記できないのは、所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地の合筆などです。
公式正解 2
肢1:正しい。表題部所有者が表示に関する登記の申請人となれる場合に相続があったときは、相続人がその登記を申請できます(30条)。
肢2:誤り。所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地でも、分筆の登記はできます。制限されているのは合筆の登記です(41条6号)。
肢3:正しい。区分建物が属する一棟の建物を新築した場合、区分建物の表題登記は、その一棟の建物に属する他の区分建物の表題登記と併せて申請しなければなりません(48条1項)。
肢4:正しい。出題時の規定では、登記の申請書などの附属書類の閲覧は、請求人が利害関係を有する部分に限られていました(旧121条2項)。
令和8年度試験での注意 2023年4月1日施行の改正で、申請書などの附属書類(図面を除く)の閲覧は、正当な理由がある場合に、その理由があると認められる部分に限ってできることになり、登記を申請した者は自己の申請に係る附属書類を閲覧できるようになりました(121条3項・4項)。肢4は現行法の言い回しと異なりますが、問の正解(肢2)は変わりません。
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法令上の制限の解答・解説(8問)
都市計画、開発許可、建築基準法、宅地造成等規制法、土地区画整理法、農地法、国土利用計画法を扱います。宅地造成等規制法は2023年に盛土規制法へ改められました。
都市計画
問15 必ず定める都市施設・市街地開発事業の区域・都市計画区域の指定権者・準都市計画区域の高度地区
都市計画区域を指定するのは都道府県(2以上の都府県にわたる場合は国土交通大臣)です。市町村が指定するという肢は、決定権者の入れ替えです。
公式正解 2
肢1:誤り。市街化区域と非線引き都市計画区域に少なくとも定めるのは、道路、公園及び下水道です(13条1項11号)。病院は含まれません。
肢2:正しい。市街地開発事業は、市街化区域又は区域区分が定められていない都市計画区域内で定めるもので、市街化調整区域には定められません(13条1項13号)。
肢3:誤り。都市計画区域は都道府県が指定し、2以上の都府県にわたるときは国土交通大臣が指定します(5条1項・4項)。
肢4:誤り。準都市計画区域でも、高度地区(建築物の高さの最高限度を定めるもの)は定めることができます(8条2項)。
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開発許可
問16 非常災害の応急措置・公民館・非線引き区域の規模・市街化調整区域の自己居住用住宅
開発許可が不要になる例外は、区域と規模で決まるものと、目的(公益上必要な建築物、非常災害の応急措置など)で決まるものに分けて覚えます。
公式正解 2
肢1:誤り。非常災害のため必要な応急措置として行う開発行為は、区域や規模にかかわらず許可が不要です(29条1項10号)。
肢2:正しい。公民館のような公益上必要な建築物の建築のための開発行為は、許可が不要です(29条1項3号)。
肢3:誤り。区域区分が定められていない都市計画区域では、3,000㎡未満の開発行為は許可が不要です。2,000㎡なら許可は要りません。
肢4:誤り。市街化調整区域では規模による例外がなく、自己の居住用住宅のための開発行為も、農林漁業者の住宅などに当たらない限り許可が必要です。
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建築基準法
問17 防火地域と準防火地域にわたる建築物・倉庫の耐火建築物・避雷設備・階段の手すり
建築物が防火地域と準防火地域にわたるときは、原則として建築物の全部に、より厳しい防火地域の規定を適用します(建築基準法65条2項)。面積の大きい方の地域によるのは建蔽率・容積率の考え方とは別の話です。
公式正解 1
肢1:誤り。建築物が防火地域及び準防火地域にわたる場合は、原則としてその全部に防火地域内の建築物に関する規定を適用します(65条2項)。
肢2:正しい。倉庫の用途に供する3階以上の部分の床面積の合計が200㎡以上のものは、耐火建築物としなければなりません(27条2項1号)。500㎡はこれに当たります。
肢3:正しい。高さ20mを超える建築物には、周囲の状況によって安全上支障がない場合を除き、有効に避雷設備を設けなければなりません(33条)。
肢4:正しい。高さ1m以下の階段の部分には、手すりの設置の規定は適用されません(施行令25条4項)。
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建築基準法
問18 壁面線・特別用途地区の緩和・建蔽率の適用除外・田園住居地域の北側斜線
北側斜線制限は、低層住居専用地域、田園住居地域、中高層住居専用地域に適用されます(建築基準法56条1項3号)。日照を重視する住居系の地域と結び付けて覚えます。
公式正解 4
肢1:正しい。建築物の壁又はこれに代わる柱は、地盤面下の部分や、特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可した歩廊の柱などを除き、壁面線を越えて建築してはなりません(47条)。
肢2:正しい。特別用途地区内では、地方公共団体は、国土交通大臣の承認を得て、条例で用途地域による用途制限を緩和できます(49条2項)。
肢3:正しい。建蔽率の限度が10分の8とされている地域内で、かつ、防火地域内にある耐火建築物等には、建蔽率の制限は適用されません(53条6項1号)。
肢4:誤り。田園住居地域にも北側斜線制限は適用されます(56条1項3号)。
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宅地造成等規制法
問19 規制区域の指定権者・資格者の設計・立入りによる損失の補償・工事完了の検査
旧宅地造成等規制法の宅地造成工事規制区域を指定したのは都道府県知事です(旧法3条1項)。国土交通大臣とする肢は、指定権者の入れ替えです。
公式正解 1
肢1:誤り。宅地造成工事規制区域は、都道府県知事(指定都市などではその長)が指定するもので、国土交通大臣が指定するのではありませんでした(旧法3条1項)。
肢2:正しい。高さ5mを超える擁壁の設置に係る工事は、政令の資格を持つ者が設計しなければなりませんでした(旧法9条2項)。
肢3:正しい。規制区域の指定のための測量・調査で他人の土地に立ち入り、損失を与えた場合、都道府県などは通常生ずべき損失を補償しなければなりませんでした。
肢4:正しい。許可を受けた宅地造成に関する工事が完了したときは、造成主は都道府県知事の検査を受けなければなりませんでした(旧法13条1項)。
令和8年度試験での注意 2023年5月26日施行の宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)で、規制区域は宅地造成等工事規制区域に改められました。区域の指定は都道府県知事が行い(10条1項)、高さ5m超の擁壁の資格者設計(13条2項、施行令21条)や工事完了の検査(17条1項)の仕組みも残っています。
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土地区画整理法
問20 減価補償金の交付先・清算金の時期・換地照応の原則・過小宅地の特例
換地計画は、換地と従前の宅地の位置、地積、土質、水利、利用状況、環境等が照応するように定めます(換地照応の原則、土地区画整理法89条1項)。
公式正解 3
肢1:誤り。減価補償金は、従前の宅地の所有者と、その宅地について使用・収益の権利を有する者に交付します(109条1項)。宅地上の建築物の賃借人は含まれません。
肢2:誤り。清算金は、換地処分の公告があった日の翌日に確定し、その後に徴収・交付します。仮換地の指定の時ではありません。
肢3:正しい。換地は、従前の宅地の位置、地積、土質、水利、利用状況、環境等が照応するように定めます(89条1項)。
肢4:誤り。過小宅地とならないように換地を定める特例は、都道府県、市町村、国土交通大臣などが施行する事業の換地計画に限られ(91条1項)、組合施行の事業には使えません。
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農地法
問21 現況による判断・親子間の贈与・競売による取得・4haを超える転用
農地法の3条許可は、権利の移転の原因(売買、贈与、競売など)を問わず必要です。不要になる例外は、相続などの一般承継や遺産分割などに限られます。
公式正解 3
肢1:誤り。農地かどうかは現況で判断するので、登記簿の地目が山林でも、耕作している土地は農地です。
肢2:誤り。親から子への贈与も権利の移転に当たり、3条1項の許可が必要です。
肢3:正しい。競売による取得も3条1項の許可が必要です。
肢4:誤り。4haを超える農地の転用も、許可権者は都道府県知事等(指定市町村の長を含む)で、農林水産大臣との協議が必要になるにとどまります。
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国土利用計画法
問22 勧告の対象・届出をしない場合の罰則・国が当事者の取引・地上権の設定
事後届出の勧告は、土地の利用目的についてだけ行えます。対価の額は勧告の対象ではありません。
公式正解 4
肢1:誤り。事後届出で知事が勧告できるのは土地の利用目的についてで(24条1項)、対価の額については勧告できません。
肢2:誤り。事後届出をしなかった者は、6か月以下の懲役(出題時)又は100万円以下の罰金に処せられます(47条1号)。勧告で済むわけではありません。
肢3:誤り。当事者の一方又は双方が国・地方公共団体等である場合は、事後届出は不要です(23条2項3号)。
肢4:正しい。都市計画区域外では10,000㎡以上の土地が対象で、対価を支払う地上権設定契約も土地売買等の契約に当たるので、Cは事後届出が必要です(23条1項)。
令和8年度試験での注意 2025年6月1日施行の改正刑法で懲役は拘禁刑に一本化され、事後届出をしなかった場合の刑は「6か月以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金」になりました。肢2が誤りである点は変わりません。
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宅建業法の解答・解説(20問)
宅建業法の雑則、広告、媒介契約、免許換えと宅建士証、保証協会、免許、重要事項説明、営業保証金、報酬、37条書面、守秘義務、宅建士、クーリング・オフ、禁止事項、帳簿、住宅瑕疵担保履行法を横断します。
宅建業法の雑則
問26 代金の貸借のあっせん・役員である宅建士の登録消除・自ら借主・案内所の帳簿
宅建業法で禁止されているのは、手付の貸付けなど「信用の供与」で契約を誘引する行為です。代金の貸借のあっせん自体は禁止されていません。
公式正解 2
肢1:誤り。禁止されているのは、手付について貸付けその他の信用の供与をして契約の締結を誘引する行為です(47条3号)。売買代金の貸借のあっせんは禁止されていません。
肢2:正しい。情状が特に重い不正行為で免許を取り消された法人について、聴聞の公示の日前60日以内に役員だった者は登録欠格に当たり(18条1項3号)、その宅建士は登録を消除されます(68条の2第1項1号)。
肢3:誤り。自ら借主となる契約は宅建業に当たらないので、工事完了前の賃貸住宅を借りる契約を締結しても規制はありません。
肢4:誤り。帳簿は事務所ごとに備え付けるもので(49条)、案内所に備え付ける義務はありません。
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広告
問27 誇大広告と実害・建築確認申請中の広告・造成工事完了前の広告・媒体による違い
広告開始時期の制限は、工事に必要な許可や確認の「処分があった後」なら広告できるという規定です(33条)。申請中である旨を表示しても広告できません。
公式正解 3
肢1:誤り。著しく優良・有利と誤認させる広告をすれば、実際に損害が発生していなくても誇大広告等の禁止(32条)に違反し、監督処分の対象になります。
肢2:誤り。建築確認を受ける前は、申請中である旨を表示しても広告できません(33条)。
肢3:正しい。宅地の造成工事の完了前でも、工事に必要とされる許可等の処分があった後であれば、その宅地の販売の広告ができます(33条)。
肢4:誤り。テレビやインターネットの広告も、宅建業法の広告規制の対象です。
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媒介契約
問28 指定流通機構への登録・業務処理状況の報告・明示型の一般媒介・価額の意見の根拠
明示型の一般媒介契約では、依頼者が明示していない他の業者の媒介で契約が成立したときの措置も、媒介契約書の記載事項です(宅建業法施行規則15条の9)。
公式正解 1
正しいものはウの一つで、正解は1です。
ア:誤り。専任媒介契約では、指定流通機構への登録をしない旨の特約は無効で、契約締結日から7日以内(休業日を除く)に登録しなければなりません。
イ:誤り。専任媒介契約の業務処理状況の報告は2週間に1回以上です。1週間に1回以上は専属専任媒介契約の場合です。
ウ:正しい。明示義務のある一般媒介契約では、明示していない業者の媒介等で売買契約が成立したときの措置も、34条の2第1項の書面に記載しなければなりません。
エ:誤り。価額について意見を述べるときは根拠を明らかにしなければなりませんが、不動産鑑定士に評価を依頼する必要はありません。
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免許換えと宅建士証
問29 免許換え後の有効期間・登録の移転と宅建士証の有効期間・事務禁止処分と宅建士証の提出・案内所の設置
事務禁止処分を受けた宅建士は、宅建士証をその交付を受けた都道府県知事に提出します(22条の2第7項)。処分をした知事とは限りません。
公式正解 3
肢1:誤り。免許換えで受けた新しい免許の有効期間は、免許換えの時から5年です。従前の免許の残りの期間ではありません。
肢2:誤り。登録の移転とともに交付を受ける宅建士証の有効期間は、従前の宅建士証の有効期間が経過するまでの期間です(22条の2第5項)。新たに5年になるわけではありません。
肢3:正しい。事務禁止処分を受けたときは、宅建士証をその交付を受けた甲県知事に速やかに提出しなければなりません(22条の2第7項)。
肢4:誤り。他県に設置する案内所は事務所ではないので、免許換えの申請は不要です。
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保証協会
問30 弁済業務保証金分担金の額・還付充当金の納付期限・複数の協会への加入・還付の認証
保証協会の弁済業務保証金分担金は、主たる事務所60万円、従たる事務所1か所につき30万円です。営業保証金(1,000万円・500万円)と取り違えないようにします。
公式正解 2
肢1:誤り。本店と3つの支店がある場合の分担金は、60万円+30万円×3=150万円です。
肢2:正しい。還付充当金を納付すべき旨の通知を受けた社員又は社員であった者は、通知を受けた日から2週間以内に納付しなければなりません(64条の10第2項)。
肢3:誤り。一の保証協会の社員である者は、他の保証協会の社員となることができません(64条の4第1項)。
肢4:誤り。弁済業務保証金から弁済を受けるには、その額について保証協会の認証を受けなければなりません(64条の8第2項)。免許権者の認証ではありません。
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免許
問31 事業不開始による取消しと欠格・破産者の復権・免許の条件・役員の住所の変更
免許の欠格事由になる「免許取消し後5年」は、不正手段による取得、情状が特に重い不正行為、業務停止処分違反による取消しに限られます(5条1項2号)。
公式正解 3
肢1:誤り。免許を受けてから1年以内に事業を開始しないことによる取消しは、5年間の欠格事由に当たりません。直ちに免許を受けられます。
肢2:誤り。破産者でも復権を得れば、直ちに欠格事由に該当しなくなります。5年待つ必要はありません。
肢3:正しい。免許権者は免許に条件を付すことができ、免許の更新に当たっても条件を付すことができます(3条の2第1項)。
肢4:誤り。業者名簿の登載事項は役員の氏名で、役員の住所は変更の届出の対象ではありません(9条)。
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重要事項の説明
問32 急傾斜地崩壊危険区域・土砂災害警戒区域・重要文化財の譲渡制限・津波防護施設区域
法令上の制限の説明事項は、売買・交換と貸借で範囲が違います。土砂災害警戒区域や津波災害警戒区域は、貸借でも説明が必要です。
公式正解 4
正しいものはア〜エの四つで、正解は4です。
ア:正しい。宅地の売買では、急傾斜地崩壊危険区域内の行為制限(急傾斜地法7条1項)の概要を説明しなければなりません。
イ:正しい。土砂災害警戒区域内にあるときは、建物の貸借でもその旨を説明しなければなりません(宅建業法施行規則16条の4の3第2号)。
ウ:正しい。重要文化財の譲渡に関する制限は、宅地の貸借では説明事項に含まれていません。
エ:正しい。宅地の売買では、津波防護施設区域内の行為制限(津波防災地域づくり法23条1項)の概要を説明しなければなりません。
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営業保証金
問33 従たる事務所の供託場所・有価証券での供託と保管替え・取戻しの公告・供託の届出の催告
営業保証金は、主たる事務所の最寄りの供託所にまとめて供託します。保管替えを請求できるのは、金銭のみで供託している場合だけです。
公式正解 4
肢1:誤り。従たる事務所を新設したときの営業保証金も、主たる事務所の最寄りの供託所に供託します(26条1項・25条1項)。
肢2:誤り。保管替えを請求できるのは金銭のみで供託している場合です。国債証券を含むときは、移転後の主たる事務所の最寄りの供託所に新たに供託し、その後に従前の供託所の分を取り戻します(29条1項)。
肢3:誤り。免許の有効期間満了による取戻しは、還付請求権者に対して6か月以上の期間を定めて公告しなければなりません(30条2項)。
肢4:正しい。免許から3か月以内に供託の届出がないときは、免許権者は届出をすべき旨を催告しなければならず、催告の到達から1か月以内に届出がないときは免許を取り消すことができます(25条6項・7項)。
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報酬
問34 依頼者の承諾と上限・不当に高額な報酬の要求・事業用建物の貸借・依頼によらない広告料
報酬の上限は、依頼者が承諾していても超えられません。上限とは別に受け取れるのは、依頼者の依頼による特別な広告の料金などに限られます。
公式正解 4
肢1:正しい。報酬は国土交通大臣の定める額を超えてはならず、依頼者の承諾があっても同じです(46条2項)。
肢2:正しい。不当に高額の報酬を要求する行為は、実際に受領しなくても違反になります(47条2号)。
肢3:正しい。権利金の授受がない事業用建物の貸借では、依頼者双方からの報酬の合計は借賃1か月分の1.1倍(消費税込み)が上限で、負担の割合に定めはありません。
肢4:誤り。依頼者の依頼によらない広告の料金を報酬に上乗せして、限度額を超える報酬を受けることはできません。
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37条書面
問35 交付する者・貸借の記載事項・不可抗力の損害負担・業者間取引と宅建士の記名
37条書面の交付は宅建士でなくてもできますが、記名は宅建士がしなければなりません。業者間取引でも記名は省略できません。
公式正解 3
正しいものはア・ウ・エの三つで、正解は3です。
ア:正しい。37条書面の交付は、宅建士以外の従業者が行ってもかまいません。
イ:誤り。貸借の37条書面には引渡しの時期は記載しますが、移転登記の申請の時期は売買・交換の記載事項で、賃借権設定登記の申請の時期を記載する必要はありません。
ウ:正しい。天災などの不可抗力による損害の負担について定めがあれば、重要事項説明書に書いていても、37条書面にも記載します(37条1項10号)。
エ:正しい。公正証書で契約しても、別に作成する37条書面には、業者間の取引でも宅建士の記名(出題時は記名押印)が必要です(37条3項)。
令和8年度試験での注意 2022年5月18日施行の改正で、37条書面への宅建士の押印は不要になり、記名だけでよくなりました(37条3項)。業者間でも宅建士の記名が必要な点は同じで、正解は変わりません。
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守秘義務
問36 本人の承諾・廃業後の義務・裁判での証言・重要事項の説明との関係
宅建業者は、正当な理由がある場合でなければ、業務上知り得た秘密を漏らしてはなりません(45条)。本人の承諾や裁判での証言は正当な理由に当たります。
公式正解 3
肢1:誤り。依頼者本人の承諾があるときは正当な理由があるので、秘密を他に漏らしても違反になりません。
肢2:誤り。宅建業を営まなくなった後も、守秘義務は続きます(45条)。
肢3:正しい。裁判の証人として証言を求められた場合は正当な理由があるので、秘密に係る事項を証言できます。
肢4:誤り。35条1項各号の重要事項は、売主が秘密にするよう希望しても、買主に説明しなければなりません。
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37条書面
問37 建物の状況の確認事項・代金の貸借のあっせん・損害賠償額の予定・租税公課の負担
37条書面の任意的記載事項は、「定めがあるときに」記載します。ただし、既存建物の構造耐力上主要な部分等の確認事項は、確認したものがなければ「ない」旨を記載します。
公式正解 1
肢1:正しい。既存建物の構造耐力上主要な部分等について当事者双方が確認した事項がない場合は、その旨を記載します(37条1項2号の2)。
肢2:誤り。代金又は交換差金の金銭の貸借のあっせんは、定めがある場合の記載事項で、定めがない旨を記載する必要はありません。
肢3:誤り。損害賠償額の予定又は違約金も、定めがある場合の記載事項です。
肢4:誤り。租税その他の公課の負担も、定めがある場合の記載事項です。
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宅地建物取引士
問38 専任の宅建士の補充と届出・未成年者と専任・業者間の宅建士証の提示・成年被後見人の登録
専任の宅建士が欠けたときは2週間以内に補充し、変更の届出は30日以内です。補充と届出の期限を入れ替えた肢が誤りの型です。
公式正解 1
正しいものはウの一つで、正解は1です。
ア:誤り。専任の宅建士が欠けたときは2週間以内に必要な措置を執り(31条の3第3項)、変更の届出は30日以内に行います(9条)。期限が逆です。
イ:誤り。専任の宅建士は成年者でなければならず、法定代理人の同意があっても未成年者は専任の宅建士になれません。例外は、役員である宅建士が自ら主として業務に従事する事務所の場合です。
ウ:正しい。相手方が宅建業者のときは重要事項の説明が不要で、説明時の宅建士証の提示義務もありません。取引の関係者から請求があれば提示します(22条の4)。
エ:誤り。2019年12月施行の改正で成年被後見人・被保佐人の欠格条項は削除され、心身の故障で事務を適正に行えない者として省令で定める者に改められました(18条1項12号)。成年被後見人等というだけで登録を受けられないわけではありません。
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クーリング・オフ
問39 代金全額の支払と引渡し・喫茶店での申込み・期間を延ばす特約・他の業者の事務所
クーリング・オフができなくなるのは、宅地・建物の引渡しを受け、かつ、代金の全部を支払ったときです。どちらか一方だけでは解除できます。
公式正解 1
肢1:誤り。代金全額を支払っていても引渡しを受けていなければ、クーリング・オフはできます(37条の2第1項2号)。Aは解除を拒めません。
肢2:正しい。買主の希望でも喫茶店は事務所等に当たらないので、クーリング・オフの対象です。書面で告げられた日から8日以内なら、契約締結日から10日後でも解除できます。
肢3:正しい。解除できる期間を14日間とする特約は買主に有利なので有効で、契約締結日から10日後でも解除できます。
肢4:正しい。Aから代理・媒介の依頼を受けていない他の業者の事務所は、Aの事務所等に当たらないので、書面で告げられてから8日以内の解除をAは拒めません。
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業務に関する禁止事項
問40 購入しない意思の表示後の勧誘・手付の貸付け・判断に必要な時間・代金の値引き
手付の貸付けによる契約の誘引は、後で返済されても違反です。一方、売買代金を値引きして勧誘することは禁止されていません。
公式正解 4
肢1:誤り。相手方が契約を締結しない旨の意思を表示した後に勧誘を続けることは禁止されています(47条の2第3項、施行規則16条の11第1号ニ)。
肢2:誤り。手付を貸し付けて契約の締結を誘引する行為は、後で返済されても違反です(47条3号)。
肢3:誤り。禁止されているのは、正当な理由なく、契約するかどうかの判断に必要な時間を与えないことです。正当な理由がある場合まで禁じられているわけではありません。
肢4:正しい。売買代金の額を引き下げて勧誘することは、宅建業法に違反しません。
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帳簿
問41 備付けの場所・記載事項・保存期間・電子的な記録
帳簿の保存期間は、閉鎖後5年間が原則で、業者が自ら売主となる新築住宅に係るものだけが10年間です(宅建業法施行規則18条3項)。媒介は含まれません。
公式正解 2
肢1:誤り。帳簿は事務所ごとに備え付けなければなりません(49条)。本店にまとめることはできません。
肢2:正しい。取引のあったつど、その年月日、宅地・建物の所在及び面積その他省令で定める事項を帳簿に記載しなければなりません(49条)。
肢3:誤り。10年間の保存が必要なのは、業者が自ら売主となる新築住宅に係るものです。売買の媒介をした新築住宅は5年間です。
肢4:誤り。帳簿の記載事項をパソコンのハードディスクに記録し、必要に応じて紙面に表示できるときは、その記録をもって帳簿への記載に代えることができます(施行規則18条2項)。
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重要事項の説明
問42 歴史的風致形成建造物・建築確認済証の保存状況・維持修繕の記録・建物の設備
既存建物の書類の保存状況は、書類がなくなっているときはその旨を説明すれば足ります。歴史まちづくり法の増築等の届出も、説明すべき法令上の制限です。
公式正解 1
肢1:誤り。歴史的風致形成建造物の増築等には市町村長への届出が必要で(歴史まちづくり法15条1項)、建物の売買の媒介ではその概要を説明しなければなりません。
肢2:正しい。既存建物の建築確認済証などの保存状況は説明事項ですが、書類がなくなっているときはその旨を説明すれば足ります。
肢3:正しい。区分所有建物の売買では、一棟の建物の維持修繕の実施状況の記録があれば、その内容が説明事項です。
肢4:正しい。建物の貸借では、台所、浴室、便所その他の建物の設備の整備状況を説明しなければなりません。
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宅建士の登録
問43 心身の故障の届出・登録の移転と法定講習・宅建士証の提出義務違反・脅迫罪の罰金
宅建士の登録欠格になる罰金刑は、宅建業法違反のほか、傷害、暴行、脅迫、背任などの特定の罪によるものです(18条1項7号)。
公式正解 4
肢1:誤り。心身の故障により事務を適正に行えなくなったときは、本人、法定代理人又は同居の親族が届け出ます(21条3号)。本人も届け出ることができます。
肢2:誤り。登録の移転とともに宅建士証の交付を申請する場合は、法定講習を受ける必要はありません(22条の2第2項ただし書)。
肢3:誤り。事務禁止処分を受けて宅建士証を提出しなかった場合は、10万円以下の過料です(86条)。50万円以下の罰金ではありません。
肢4:正しい。脅迫罪で罰金刑に処せられた者は、刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過するまで登録を受けられません(18条1項7号)。
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宅地の定義
問44 将来の建物の敷地・用途地域内の農地・用途地域外の建物の敷地・用途地域内の公共施設
宅地は、①建物の敷地に供せられる土地(目的で取引されるものを含む)と、②用途地域内の土地(道路・公園・河川などの公共施設用地を除く)です。
公式正解 2
正しいものはアとウの二つで、正解は2です。
ア:正しい。宅地には、現に建物の敷地に供されている土地だけでなく、将来建物の敷地に供する目的で取引される土地も含まれます。
イ:誤り。用途地域内の土地は、道路・公園などの公共施設用地を除き宅地に当たるので、用途地域内の農地も宅地です。
ウ:正しい。建物の敷地に供せられる土地は、用途地域外にあっても宅地です。
エ:誤り。用途地域内でも、道路、公園、河川などの公共施設の用に供せられている土地は宅地に当たりません。
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住宅瑕疵担保履行法
問45 供託の戸数の算定・転売と保険契約・保険の対象部分・保険料の負担
住宅販売瑕疵担保責任保険契約は、新築住宅を引き渡す宅建業者が保険料を支払って保険法人と締結します。対象は構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分の瑕疵です。
公式正解 4
肢1:誤り。供託額の算定で2戸を1戸と数えるのは、床面積55㎡以下の新築住宅です。100㎡以下ではありません。
肢2:誤り。買主が引渡しから10年以内に転売しても、売主が保険契約を解除しなければならないという規定はありません。
肢3:誤り。保険の対象は、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分の瑕疵で、給水設備やガス設備は含まれません。
肢4:正しい。住宅販売瑕疵担保責任保険契約は、宅建業者が保険料を支払うことを約して保険法人と締結するもので(2条7項1号)、買主が保険料を支払うものではありません。
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住宅・統計・土地建物の解答・解説(5問)
住宅金融支援機構、不動産の表示に関する公正競争規約、統計、土地、建物の構造を扱います。
住宅金融支援機構
問46 耐震改修の貸付け・フラット35の金利・高齢者向け返済特例・買取型の対象
証券化支援事業(買取型)で機構が買い取る貸付債権には、住宅の建設・購入資金だけでなく、購入に付随する改良の資金も含まれます。
公式正解 4
肢1:正しい。耐震性を高めることを主な目的とする住宅改良の資金の貸付けは、機構の業務です。
肢2:正しい。買取型の住宅ローン(フラット35)の金利は、取り扱う金融機関ごとに異なることがあります。
肢3:正しい。高齢者が自ら居住する住宅のバリアフリー工事などに係る貸付けでは、元金を死亡時に一括して返済する制度があります。
肢4:誤り。買取型の対象となる貸付債権には、住宅の購入に付随する改良に必要な資金も含まれます。
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不動産の広告表示
問47 セットバック部分の表示・取引態様の用語・契約済み物件の掲載・予告広告
取引態様は「売主」「貸主」「代理」「媒介(仲介)」の用語で表示し、「直販」「委託」などの用語は取引態様の表示と認められません。
公式正解 2
肢1:誤り。セットバックを要する部分を含む土地はその旨を表示しますが、面積を明示しなければならないのは、セットバック部分がおおむね10%以上の場合です。
肢2:正しい。取引態様は「売主」「貸主」「代理」「媒介(仲介)」の別で表示し、「直販」「委託」などの用語による表示は取引態様の表示と認められません。
肢3:誤り。契約済みで取引できない物件の広告を掲載し続けると、問合せの有無や故意かどうかにかかわらず、おとり広告として不当表示に当たります。
肢4:誤り。価格が確定していない新築分譲住宅でも、一定の事項を示して取引開始時期をあらかじめ告知する予告広告はできます。
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統計
問48 新設住宅着工戸数・宅建業者数・土地白書の宅地面積・不動産業の利益率
令和2年1月公表の建築着工統計では、2019年の新設住宅着工戸数は約90.5万戸で、前年より減少しました。増加に転じたとする肢が誤りです。
公式正解 2
肢1:誤り。2019年の新設住宅着工戸数は約90.5万戸で、前年比で減少しています。3年ぶりの増加ではありません。
肢2:正しい。令和2年版国土交通白書によると、平成31年3月末の宅建業者数は12万4千業者を超えています。
肢3:誤り。令和2年版土地白書では、平成30年の宅地面積は約196万haで、前年からほぼ横ばいです。大きく減少したわけではありません。
肢4:誤り。平成30年度法人企業統計調査では、不動産業の売上高営業利益率・売上高経常利益率は10%を上回る水準でした。
令和8年度試験での注意 統計は毎年差し替わります。令和8年度試験では、2026年の地価公示、2025年の建築着工統計など、試験の直前に公表された数値で確かめます。
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土地の地形と災害
問49 山地・低地・埋立地と干拓地・台地
埋立地は海面に対して数mの比高があり、海面以下の場合もある干拓地より自然災害に対して安全です。危険度を逆にした肢が不適当です。
公式正解 3
最も不適当なのは3です。
肢1:適当。山地は地形がかなり急峻で、大部分が森林になっています。
肢2:適当。低地は一般に洪水や地震に弱く、防災の見地からは住宅地として好ましくありません。
肢3:不適当。埋立地は一般に海面に対して数mの比高があり、干拓地に比べると自然災害に対して安全度が高いとされます。危険度が高いわけではありません。
肢4:適当。台地は一般に地盤が安定しており、低地に比べて自然災害に対する安全度が高いといえます。
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建物の構造
問50 基礎と支持地盤・木造の形態・鉄骨造の防錆・鉄筋コンクリート造の超高層
鉄骨造は不燃構造ですが、鋼材は錆びやすく熱に弱いので、防錆処理や耐火被覆が必要です。
公式正解 3
最も不適当なのは3です。
肢1:適当。基礎は硬質の支持地盤に設置し、上部構造と堅固に緊結する必要があります。
肢2:適当。木造建物を耐震・耐風的にするには、建物の形態をできるだけ単純にすることが適切です。
肢3:不適当。鉄骨造は不燃構造で靱性も大きいですが、鋼材は錆びやすいので防錆処理が必要です。
肢4:適当。コンクリートと鉄筋の強度が向上し、鉄筋コンクリート造の超高層共同住宅もみられます。
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