2017年10月15日実施・全50問・公式正解照合

平成29年度 宅建試験 解答・解説

平成29年度宅建試験(2017年10月15日実施)の全50問について、公式正解と各肢の判断根拠をこのページに載せています。解説は試験の基準である2017年4月1日現在の法令で書き、令和8年度試験(2026年4月1日現在の法令)までに変わった点は各問の注意にまとめました。問題本文は転載していないため、公式PDFを開いて問題番号を合わせて読んでください。

平成29年度の結果は、受験者209,354人、合格者32,644人、合格率15.6%。合格基準点は50問中35点(登録講習修了者は45問中30点)でした(不動産適正取引推進機構「試験実施概況」)。2020年4月施行の改正民法より前の出題なので、権利関係の問は改正後の条文と照らして読む必要があります。

令和7年度(2025年)全50問の解答・解説 →

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平成30年度(2018年)全50問の解答・解説 →

平成28年度(2016年)全50問の解答・解説 →

令和8年度(2026年10月18日)の日程・正解の公表日・合格点の推移 →

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正答一覧(全50問)

権利関係

問題正答論点
問13取消しの意思表示の受領・任意代理人の復代理人・復代理人の受領物・日常家事
問24時効取得の時期・他人物売買・所有権移転時期の特約・強迫による取消し
問33協議によらない占有・第三者への明渡請求・第三者の占有権原・持分の放棄
問42協議の合意による時効の完成猶予・袋地の通行権・対抗要件を備えさせる義務・通常損耗
問54代金支払と引渡し・担保責任の相手方・手付解除の時期・他人物売買
問63法定相続分の比較・遺産分割前の相続人の死亡・遺産から生じた賃料・限定承認
問73請負人の責任による中途終了・注文者の責任による中途終了・報酬との同時履行・担保責任免除の特約
問82履行の請求・相殺・時効の完成・負担部分以下の弁済と求償
問93相続放棄と代襲・相続欠格と代襲
問101利息の扱い・存続期間・引渡しの要否・対抗要件

借地借家・登記

問題正答論点
問112二重の賃貸借の優劣・存続期間・賃料の増額特約・定期借地権の書面
問124更新拒絶の通知・解約申入れの期間・転借人への対抗・定期建物賃貸借の事前説明
問132集会の招集・招集請求の定数・通知の宛先・招集手続の省略
問143建物の名称・地上権の存続期間・賃借権の敷金・事業用定期借地権

法令上の制限

問題正答論点
問154市街化区域内の3条許可・4ヘクタール超の転用・抵当権の設定・相続の届出
問161都市計画施設の区域・地区計画・事業地内の形質変更・事業地内の土地の譲渡
問172準都市計画区域・市街化区域の農業者住宅・変電所・遊園地
問184検査済証前の仮使用・長屋の界壁・処理区域内の便所・用途変更の確認
問191用途地域の指定のない区域の建ぺい率・ホテル・既存道路・容積率の前面道路
問204擁壁等の設置命令・報告の徴取・技術的基準の強化・除却工事の届出
問214組合の解散・組合員の権利義務の承継・事業計画前の組合設立・借地権者
問221津波防護施設区域・贈与と事後届出・景観計画区域・道路予定区域

税・不動産鑑定

問題正答論点
問231別荘の災害損失・借地権設定の権利金・不動産業者の土地譲渡・相続財産の取得費
問243納税義務者・縦覧の期間・審査の申出・住宅用地の特例の判定時期
問253公示事項・鑑定評価の回数・標準地の選定・公示価格の効力

宅建業法

問題正答論点
問261店舗の権利金による計算・依頼による広告料金・重要事項説明の対価・居住用の保証金
問271引渡しから2年の特約・売主に帰責事由がある瑕疵に限る特約・解除を認めない特約
問284帳簿の保存・専任代理契約の登録・勧誘時の名称・売主の手付解除
問294他業法での処分・所在不明時の免許取消し・内閣総理大臣との協議・立入検査の拒否
問301登録の移転・案内所の届出・宅建士証の交付と講習・合併消滅の届出
問314買主が申し出た自宅での申込み・撤回の効力発生時期・違約金と予定額の合計
問321主たる事務所の移転と保管替え・新設事務所の届出・取戻しの公告・不足額の供託
問332説明の相手方・金銭の貸借のあっせん・貸借での私道負担・危険負担
問343手付金の減額・勧誘目的の秘匿・報酬の分割受領・手付の信用供与
問353自ら貸主の取引・帳簿の備付け場所・報酬の額の記載・一時的な補助者
問364更新申請中の有効期間満了・申請中の広告・兼業の開始・合併後の取引の結了
問373宅建士証の提示・登録の移転・登録の要件・従業者証明書
問382代理での交付先・手付金等の保全措置・契約の解除・業者間の担保責任特約
問392供託する供託所・宅建業者の還付請求・社員の地位喪失・還付充当金
問403支払時期と引渡時期の省略・宅建士の記名押印・宅建士証の提示・業者が買主の場合
問412管理の委託先・移転登記の申請時期・ガス配管の所有者・修繕積立金
問424将来の環境・利用の制限の範囲・おとり広告・注文時の取引態様の明示
問431申込みの報告・自動更新の特約・登録を証する書面・費用の請求
問444合併による承継・個人業者の法人化・死亡と失効の時期・解散の届出
問452供託所の説明の時期・55㎡以下の戸数計算・届出をしない場合の制限・保険の対象

住宅・統計・土地建物

問題正答論点
問463団体信用生命保険・高齢者向け一括償還・フラット35の金利・付随する改良資金
問474他社情報の転載・他の建物の写真・徒歩所要時間・専有面積の表示
問482地価公示・建築着工統計・土地白書・法人企業統計
問494扇状地・三角州・台地・埋立地と干拓地
問501木材の含水率と強度・鋼材の炭素量・熱膨張率・鉄筋コンクリート構造

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この年度の出題構成

全50問のうち20問、40%が宅建業法です。問題数の構成比であり、配点や合格基準の比率ではありません。

次に多いのが権利関係の10問で、上位2分野で60%を占めます。

当サイトの分類では論点名が50件あり、同名の論点は重複していません。名称が異なる問題でも、必要な知識や考え方が共通する場合があります。

読み取れた50問の正答番号は4の15件から2の11件までで、番号の偏りはほとんどありません。

分野出題数割合この年に問われた論点
宅建業法20問40%報酬(貸借)、担保責任の特約の制限、業務規制、監督処分と罰則、宅建士の登録と業者の届出、8種制限(クーリング・オフと損害賠償額の予定)、営業保証金、重要事項の説明
権利関係10問20%代理、所有権の移転、共有(判決文)、民法の条文の有無、売買と媒介、相続、請負、連帯債務
法令上の制限8問16%農地法、都市計画制限、開発許可、建築基準法(建築確認ほか)、建築基準法(集団規定)、宅地造成等規制法、土地区画整理法、その他の法令上の制限
住宅・統計・土地建物5問10%住宅金融支援機構、不当景品類及び不当表示防止法(表示規約)、統計、土地、建物の構造と材料
借地借家・登記4問8%借地権、借家、区分所有法、不動産登記法
税・不動産鑑定3問6%所得税(譲渡所得)、固定資産税、地価公示法
正答番号1234
件数11111315

集計は当サイトが公開している全50問・198件の解説から作成しました。問題と正答は試験実施団体の公表資料と照合しています。

全問に共通する注意

令和8年度試験での注意 2026年4月1日までの改正で用語・数値・正誤の扱いが変わった問(問2・問3・問4・問5・問7・問8・問11・問12・問13・問18・問20・問26・問27・問34・問38・問40・問45・問47・問48)には、各問に注意を付けました。それ以外の問は、2026年4月1日現在の法令で解いても正誤が変わりません。

権利関係の解答・解説(10問)

代理、所有権の移転、共有の判決文、民法の条文の有無、売買と媒介、相続、請負、連帯債務、法定相続分、不動産質権と抵当権を扱います。2020年4月施行の改正民法の前の出題なので、連帯債務・請負の担保責任・条文の有無などは各問の注意で改正後の扱いを示します。

代理

問1 取消しの意思表示の受領・任意代理人の復代理人・復代理人の受領物・日常家事

代理の判例知識をまとめて問う設問です。復代理人が受け取った物を代理人に渡したとき、本人との関係がどうなるかが分かれ目になります。

公式正解 3

肢1:正しい。売買契約の締結を任された代理人は、相手方が契約を取り消すときの意思表示を受け取る権限も持つとされています(判例)。

肢2:正しい。委任による代理人(任意代理人)は、本人の許諾を得たとき又はやむを得ない事由があるときに限り、復代理人を選任できます(104条)。

肢3:誤り。復代理人が受け取った金銭を代理人に引き渡したときは、代理人に対する引渡義務だけでなく、本人に対する引渡義務も消滅します(最判昭和51年4月9日)。

肢4:正しい。夫婦は、日常の家事に関する法律行為について、互いに相手を代理する権限を持つとされています(761条、判例)。

公式問題で問1を見る

所有権の移転

問2 時効取得の時期・他人物売買・所有権移転時期の特約・強迫による取消し

所有権が移る時期について、時効取得・他人物売買・特約・取消しの4つの場面で問う設問です。取り消された行為は初めから無効だったものとみなされます(民法121条)。

公式正解 4

肢1:誤り。時効の効力は起算日にさかのぼるため(144条)、Bは占有を始めた時から所有者だったことになります。時効完成時に取得するのではありません。

肢2:誤り。他人の物の売買も有効ですが、売主Aが所有者Cから権利を取得してBに移すまで、Bは所有権を取得しません。建物のような不動産には即時取得(192条)もありません。

肢3:誤り。所有権の移転時期は当事者の特約で決められるので、代金完済まで移転しないと定めれば、完済の時に移転します(判例)。

肢4:正しい。強迫を理由に取り消された契約は初めから無効とみなされ(121条)、丁土地の所有権は初めからBに移らなかったことになります。

令和8年度試験での注意 2020年4月施行の改正民法で、他人物売買の売主の義務は561条に置かれました。正解の4は変わりません。

公式問題で問2を見る

共有(判決文)

問3 協議によらない占有・第三者への明渡請求・第三者の占有権原・持分の放棄

判決文は、共有者の一部が協議によらず第三者に使用を認めた場合の明渡請求について述べたものです(最判昭和63年5月20日)。判決文が示す判断と、持分放棄の条文(民法255条)を組み合わせて正誤を決めます。

公式正解 3

肢1:正しい。判決文の前提どおり、共有者は、他の共有者との協議によらずに共有物全体を排他的に占有する権原を当然には持ちません。

肢2:正しい。Aから使用を認められたCは、Aの持分に基づく限度で占有権原を持つので、BはCに対して当然には明渡しを請求できません。

肢3:誤り。判決文によれば、使用を承認した共有者Dがいても、第三者Fは、承認しなかった共有者Eに対して建物全体を排他的に占有する権原を主張できません。

肢4:正しい。共有者の一人が持分を放棄したときは、その持分は他の共有者に帰属します(255条)。GとHの共有ならHに帰属します。

令和8年度試験での注意 2023年4月施行の改正民法で、共有物の使用・管理の規定(249条〜252条の2)が整備されましたが、この問の正誤は変わりません。

公式問題で問3を見る

民法の条文の有無

問4 協議の合意による時効の完成猶予・袋地の通行権・対抗要件を備えさせる義務・通常損耗

平成29年度は、出題時点(2017年4月1日)の民法に条文があるものを選ぶ問題が出ました。肢1・3・4は、2020年4月施行の改正民法で初めて条文になった内容です。

公式正解 2

条文に規定されていたのは2です。

肢1:規定なし。権利についての協議を行う旨の書面による合意で時効の完成を猶予する制度は、2020年施行の改正で新設されました(現行151条)。

肢2:規定あり。袋地の所有者が公道に出るために周囲の土地を通行できる権利(囲繞地通行権)は、当時から210条1項に定められていました。

肢3:規定なし。売主が買主に登記などの対抗要件を備えさせる義務は、改正前は解釈で認められていたもので、条文になったのは2020年施行の改正後です(現行560条)。

肢4:規定なし。原状回復義務から通常損耗と経年劣化を除く考え方は、改正前は判例(最判平成17年12月16日)で示されていたもので、条文化は2020年施行の改正後です(現行621条)。

令和8年度試験での注意 2020年4月施行の改正民法で、肢1(151条)、肢3(560条)、肢4(621条)も条文に置かれました。現在の民法では4つとも条文があり、この問は成り立ちません。

公式問題で問4を見る

売買と媒介

問5 代金支払と引渡し・担保責任の相手方・手付解除の時期・他人物売買

媒介業者Bは売買契約の当事者ではありません。代金支払と引渡しの関係や担保責任は、売主Aと買主Cの間で考えます。

公式正解 4

肢1:誤り。売買の代金支払と目的物の引渡しは同時履行の関係にあり(533条)、媒介報酬の有無によって先に代金を払う義務が生じることはありません。

肢2:誤り。隠れた瑕疵についての担保責任を負うのは売主Aです(旧570条)。媒介をしただけのBに担保責任を追及することはできません。

肢3:誤り。売主が手付の倍額を償還して解除できるのは、買主が契約の履行に着手するまでです(旧557条1項)。いつでも解除できるわけではありません。

肢4:正しい。他人の物を目的とする売買契約も有効に成立し、売主はその権利を取得して買主に移転する義務を負います(旧560条)。

令和8年度試験での注意 2020年4月施行の改正民法で、瑕疵担保責任は契約不適合責任(562条以下)に、売主の手付解除は倍額を「現実に提供」する方式(557条1項)に、他人物売買は561条に改められました。正解の4は変わりません。

公式問題で問5を見る

相続

問6 法定相続分の比較・遺産分割前の相続人の死亡・遺産から生じた賃料・限定承認

遺産分割前に生じた賃料債権の帰属は、最判平成17年9月8日の判断を知っているかで決まります。賃料債権は遺産とは別の財産として、相続分に応じて当然に分かれます。

公式正解 3

肢1:誤り。①の配偶者Bの相続分は2分の1、②の子Bの相続分も2分の1で(900条1号・4号)、大きさは同じです。

肢2:誤り。遺産分割前にBが死亡した場合は、Bの相続人である配偶者Dと子Eが、Bの相続人としての地位を引き継いで分割協議に加わります。代襲相続は、Aより先にBが死亡した場合などの制度です。

肢3:正しい。遺産である不動産から分割前に生じた賃料債権は、各共同相続人が相続分に応じて確定的に取得し、後の遺産分割の影響を受けません(最判平成17年9月8日)。

肢4:誤り。共同相続人がいるときの限定承認は、全員が共同してしなければなりません(923条)。Bだけの申述でCも申述したとみなされることはありません。

公式問題で問6を見る

請負

問7 請負人の責任による中途終了・注文者の責任による中途終了・報酬との同時履行・担保責任免除の特約

肢3は、注文者が損害賠償を受けるまで報酬の支払を拒める(同時履行)という判例の判断を逆にした記述です。

公式正解 3

肢1:正しい。請負人の責めに帰すべき事由で工事が中途で終わった場合、注文者が請求できる損害は、残工事に要した費用のうち未施工部分の請負代金額を超える部分に限られるとされています(判例)。

肢2:正しい。注文者の責めに帰すべき事由で仕事を完成できなくなったときは、請負人は残りの仕事を免れたうえで報酬全額を請求できますが、仕事を免れたことによる利益は注文者に償還します(536条2項)。

肢3:誤り。目的物に瑕疵がある場合、注文者は、修補に代わる損害賠償を受けるまで、報酬全額の支払を拒むことができます(旧634条2項・533条、最判平成9年2月14日)。

肢4:正しい。担保責任を負わない旨の特約をしても、請負人が知りながら告げなかった事実については責任を免れません(旧640条)。

令和8年度試験での注意 2020年4月施行の改正民法で請負の瑕疵担保の規定(旧634条〜640条)は削除され、売買の契約不適合責任の準用(559条)などに改められました。修補に代わる損害賠償と報酬の同時履行(533条)、知りながら告げなかった事実の免責否定(559条・572条)は維持されており、正解の3は変わりません。

公式問題で問7を見る

連帯債務

問8 履行の請求・相殺・時効の完成・負担部分以下の弁済と求償

出題時の民法では、連帯債務者の一人に対する履行の請求や時効の完成が、他の連帯債務者にも効力を及ぼしていました(絶対効)。2020年の改正で大きく変わった分野です。

公式正解 2

肢1:誤り。出題時の旧434条では、連帯債務者の一人に対する履行の請求は、他の連帯債務者にも効力を生じました。B・Cが知っていたかどうかは関係ありません。

肢2:正しい。連帯債務者の一人が債権者に対する債権で相殺したときは、その範囲で他の連帯債務者の債務も消滅します(旧436条1項)。

肢3:誤り。旧439条では、Bのために時効が完成すると、Bの負担部分(300万円)についてだけA・Cも債務を免れました。債務全部が消滅するわけではありません。

肢4:誤り。連帯債務者は、弁済額が自己の負担部分に満たなくても、他の連帯債務者に負担部分の割合に応じて求償できるとされていました(判例)。

令和8年度試験での注意 2020年4月施行の改正民法で、履行の請求と時効の完成は他の連帯債務者に効力を及ぼさないことになりました(441条)。現在の民法では肢1の記述も正しい内容になり、正しいものが二つになります。肢2の相殺(439条1項)と肢4の求償(442条1項)の扱いは変わりません。

公式問題で問8を見る

法定相続分の計算

問9 相続放棄と代襲・相続欠格と代襲

相続人を確定してから相続分を計算します。相続放棄は代襲原因になりませんが、相続欠格は代襲原因です(民法887条2項)。

公式正解 3

肢1:誤り。相続放棄をしたBは初めから相続人でなかったものとみなされ(939条)、Bの子Eは代襲相続人になりません。Eに相続分はありません。

肢2:誤り。Cは相続欠格(891条3号)で相続人になれませんが、欠格は代襲原因なので、Cの子Fが代襲相続人になります。Dが全部を相続するのではありません。

肢3:正しい。相続人はDと、Cを代襲するFの2人です。子の相続分は等しいので(900条4号)、各2分の1の6,000万円ずつになります。

肢4:誤り。Eは代襲相続人にならないので、Eに6,000万円が帰属することはありません。

公式問題で問9を見る

不動産質権と抵当権

問10 利息の扱い・存続期間・引渡しの要否・対抗要件

不動産質権は目的物を引き渡して使用・収益する担保物権で、その代わりに利息を請求できないのが原則です(民法358条)。抵当権の利息の範囲(375条)と取り違えやすい論点です。

公式正解 1

肢1:誤り。記述は①と②が逆です。不動産質権者は、設定行為に別段の定めがない限り利息を請求できず(358条)、抵当権は満期となった最後の2年分の利息について優先弁済を受けられます(375条1項)。

肢2:正しい。不動産質権の存続期間は10年を超えられず、超える期間を定めても10年に短縮されます(360条1項)。抵当権には存続期間の制限はありません。

肢3:正しい。質権の設定は目的物の引渡しで効力を生じますが(344条)、抵当権は引渡しを要しない担保物権です(369条1項)。

肢4:正しい。どちらも不動産に関する物権なので、登記がなければ第三者に対抗できません(177条)。

公式問題で問10を見る

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借地借家・登記の解答・解説(4問)

借地権の存続期間と賃料の増額特約、借家の更新拒絶と定期建物賃貸借、区分所有法の集会、不動産登記の登記事項を扱います。

借地権

問11 二重の賃貸借の優劣・存続期間・賃料の増額特約・定期借地権の書面

借地借家法の借地権は、建物の所有を目的とする地上権・土地賃借権に限られます(2条1号)。資材置場として更地で使う賃貸借には、民法の規定が適用されます。

公式正解 2

肢1:誤り。同じ土地の賃借権が二重に設定された場合、優劣は契約の先後ではなく、賃借権の登記や借地上の登記された建物などの対抗要件を先に備えたかで決まります。

肢2:正しい。建物所有目的の借地権は存続期間30年未満の定めができないため30年になります(借地借家法3条)。資材置場目的なら民法が適用され、10年の定めはそのまま有効です。

肢3:誤り。賃料を一定の割合で増額する特約があっても、社会情勢の変化で賃料が不相当になれば、地代等の増減額請求(借地借家法11条1項)はできるとされています(判例)。

肢4:誤り。定期借地権(22条)は公正証書などの書面で特約すれば足り、事前に書面を交付して説明する義務はありません。事前説明が必要なのは定期建物賃貸借(38条)です。

令和8年度試験での注意 2020年4月施行の改正民法で、建物所有を目的としない土地賃貸借の存続期間の上限は50年になりました(604条)。2022年5月18日からは、定期借地権の特約を電磁的記録でもできます(借地借家法22条2項)。正解の2は変わりません。

公式問題で問11を見る

借家

問12 更新拒絶の通知・解約申入れの期間・転借人への対抗・定期建物賃貸借の事前説明

借家の更新拒絶・解約申入れ・転借人への対抗・定期建物賃貸借を一通り確かめる設問です。借家人に不利な特約は無効になる(借地借家法30条)点が共通の物差しです。

公式正解 4

肢1:誤り。期間満了の1年前から6か月前までに更新しない旨を通知しても、正当事由が必要です(26条1項・28条)。期間満了後にBが使用を続け、Aが遅滞なく異議を述べなければ、更新したものとみなされます(26条2項)。

肢2:誤り。賃貸人の解約申入れによる終了は申入れから6か月後です(27条1項)。3か月とする特約は賃借人に不利なので、同意があっても無効です(30条)。

肢3:誤り。期間満了で賃貸借が終わることを転借人Cに対抗するには、AがCにその旨を通知しなければなりません(34条1項)。CがBから聞いていても、通知の代わりにはなりません。

肢4:正しい。定期建物賃貸借では、契約前に、更新がなく期間満了で終了することを書面を交付して説明しなければならず、説明しなければ更新がない旨の定めは無効になります(38条2項・3項)。

令和8年度試験での注意 2022年5月18日施行の改正で、定期建物賃貸借の契約と事前説明は電磁的記録・電磁的方法でもできるようになり、条番号は38条3項(説明)・5項(無効)に移りました。正解の4は変わりません。

公式問題で問12を見る

区分所有法

問13 集会の招集・招集請求の定数・通知の宛先・招集手続の省略

区分所有法には、規約で「減ずる」ことができる定数と、規約で「伸長」できる期間があります。集会の招集請求の定数(5分の1)は減らせる側です。

公式正解 2

肢1:正しい。管理者は、少なくとも年1回は集会を招集する義務を負います(34条2項)。

肢2:誤り。招集請求に必要な定数(区分所有者と議決権の各5分の1以上)は、規約で減ずることができます(34条3項ただし書)。

肢3:正しい。区分所有者が通知を受ける場所を管理者に通知していれば、招集通知はその場所にあてて発すれば足ります(35条3項)。

肢4:正しい。区分所有者全員の同意があれば、招集の手続を経ずに集会を開けます(36条)。

令和8年度試験での注意 2026年4月施行の改正で、招集請求の定数などは議決権を有しない区分所有者を除いて数えることになりました(34条3項など)。規約で定数を減らせる点を含め、この問の正誤は変わりません。

公式問題で問13を見る

不動産登記法

問14 建物の名称・地上権の存続期間・賃借権の敷金・事業用定期借地権

権利部の登記事項は、権利の種類ごとに不動産登記法78条以下に並んでいます。賃借権の登記事項(81条)には敷金も入っています。

公式正解 3

肢1:正しい。建物の名称があるときは、その名称も建物の表示に関する登記の登記事項です(44条1項4号)。

肢2:正しい。地上権の存続期間の定めがあるときは、その定めが登記事項になります(78条3号)。

肢3:誤り。賃借権の設定の登記では、敷金があるときはその旨が登記事項になります(81条4号)。

肢4:正しい。事業用定期借地権(借地借家法23条1項)の定めがあるときは、その定めも登記事項です(81条8号)。

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法令上の制限の解答・解説(8問)

農地法、都市計画制限、開発許可、建築基準法、宅地造成等規制法、土地区画整理法、津波防災地域づくり法などを扱います。宅地造成等規制法は2023年に盛土規制法へ改められました。

農地法

問15 市街化区域内の3条許可・4ヘクタール超の転用・抵当権の設定・相続の届出

市街化区域内の届出の特例は、転用(4条・5条)にだけある制度です。耕作目的の権利移動(3条)には、区域による例外はありません。

公式正解 4

肢1:誤り。耕作目的で農地を借りる場合は、市街化区域内でも3条1項の許可が必要です。届出で足りる特例は、4条・5条の転用に限られます。

肢2:誤り。2016年4月施行の改正で、4ヘクタールを超える農地転用の許可権者も都道府県知事等(農林水産大臣との協議が必要)になりました(5条1項)。農林水産大臣の許可ではありません。

肢3:誤り。抵当権の設定は使用収益権の設定・移転ではないため、3条の許可も5条の許可も不要です。

肢4:正しい。相続など許可を要しない事由で農地の権利を取得した者は、遅滞なく農業委員会に届け出なければなりません(3条の3)。

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都市計画制限

問16 都市計画施設の区域・地区計画・事業地内の形質変更・事業地内の土地の譲渡

都市計画法の行為制限は、許可が必要なもの(53条・65条)と、届出で足りるもの(58条の2・67条)に分かれます。地区計画と事業地内の土地の有償譲渡は届出の側です。

公式正解 1

正しいのはアとウで、正解は1です。

ア:正しい。都市計画施設の区域や市街地開発事業の施行区域内で建築物を建築する場合は、一定の場合を除き都道府県知事等の許可が必要です(53条1項)。

イ:誤り。地区整備計画が定められた地区計画の区域内での建築などは、着手の30日前までに市町村長に届け出るもので、許可制ではありません(58条の2第1項)。

ウ:正しい。事業認可の告示後、事業地内で事業の妨げとなるおそれのある土地の形質の変更などをするには、都道府県知事等の許可が必要です(65条1項)。

エ:誤り。事業地内の土地建物等を有償で譲り渡そうとする者は、施行者に届け出ます(67条1項)。施行者の許可ではありません。

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開発許可

問17 準都市計画区域・市街化区域の農業者住宅・変電所・遊園地

開発許可は、区域ごとの面積基準(市街化区域1,000㎡、区域区分のない都市計画区域・準都市計画区域3,000㎡、それ以外は1ha)と、目的による適用除外の二段階で判断します。

公式正解 2

肢1:誤り。準都市計画区域では、3,000㎡未満の開発行為に許可は不要です(29条1項1号、施行令19条1項)。1,000㎡なら許可は要りません。

肢2:正しい。農業を営む者の居住用建築物の例外(29条1項2号)は、市街化区域外にだけ適用されます。市街化区域内で1,000㎡なら許可が必要です。

肢3:誤り。変電所は公益上必要な建築物(29条1項3号、施行令21条)に当たり、どの区域でも開発許可は不要です。

肢4:誤り。遊園地は1ha以上のものだけが第二種特定工作物です(施行令1条2項1号)。3,000㎡の遊園地の建設は開発行為に当たりません。

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建築基準法(建築確認ほか)

問18 検査済証前の仮使用・長屋の界壁・処理区域内の便所・用途変更の確認

仮使用、界壁、便所、用途変更と、建築基準法の幅広い規定から1問にまとめた出題です。用途変更で確認が必要になる規模は、その後の改正で変わっています。

公式正解 4

肢1:正しい。完了検査の対象となる建築物でも、特定行政庁が安全上・防火上・避難上支障がないと認めたときは、検査済証の交付前に仮使用できます(7条の6第1項)。

肢2:正しい。長屋や共同住宅の各戸の界壁は、小屋裏又は天井裏に達するものとしなければなりませんでした(施行令114条1項)。

肢3:正しい。下水道法の処理区域内では、便所は、汚水管が公共下水道に連結された水洗便所としなければなりません(31条1項)。

肢4:誤り。ホテルから共同住宅への用途変更は類似の用途相互間の変更ではありません。出題時の基準(特殊建築物で100㎡超)では、300㎡の共同住宅にする場合に建築確認が必要です(87条1項)。

令和8年度試験での注意 2019年6月25日施行の改正で、用途変更で確認が必要な特殊建築物の規模は200㎡超になりました。300㎡なら現在も確認が必要です。界壁の規定は法30条に移り、天井の構造が一定の基準を満たす場合は小屋裏・天井裏まで達しなくてよくなっています。正解の4は変わりません。

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建築基準法(集団規定)

問19 用途地域の指定のない区域の建ぺい率・ホテル・既存道路・容積率の前面道路

容積率の前面道路幅員による制限では、前面道路が2以上あるときは最も広い道路の幅員を使います(建築基準法52条2項)。肢4は「最小」と入れ替えた記述です。

公式正解 1

肢1:正しい。用途地域の指定のない区域の建ぺい率の上限は、法定の数値のうち、特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て定めるものです(53条1項6号)。

肢2:誤り。第二種中高層住居専用地域では、ホテル・旅館は建築できません(別表第二(に))。

肢3:誤り。法の施行時や都市計画区域等への編入時に現に存在した幅員4m以上の道は、特定行政庁の指定がなくても道路になります(42条1項3号)。

肢4:誤り。前面道路が2以上あるときは、その幅員の最大のもの(12m未満の場合)で前面道路幅員による容積率を算定します(52条2項)。

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宅地造成等規制法

問20 擁壁等の設置命令・報告の徴取・技術的基準の強化・除却工事の届出

宅地造成工事規制区域内の監督の仕組み(改善命令・報告の徴取・技術的基準の強化・除却工事の届出)を問う設問です。届出が必要な除却工事は、政令で種類ごとに決まっていました。

公式正解 4

肢1:正しい。必要な擁壁等が設置されておらず、放置すると災害のおそれが大きい宅地について、知事は、相当と認める限度で所有者・管理者・占有者に擁壁等の設置などを命じられました(旧17条1項)。

肢2:正しい。知事は、規制区域内の宅地の所有者・管理者・占有者に、宅地や宅地で行われている工事の状況について報告を求めることができました(旧19条)。

肢3:正しい。技術的基準は政令で定められ、政令の委任により都道府県等の規則で強化できる仕組みでした(旧9条1項)。

肢4:誤り。届出が必要な除却工事は、高さ2mを超える擁壁、地表水等を排除するための排水施設、地滑り抑止ぐい等の除却工事です(旧15条2項・政令)。排水施設は、技術的基準を満たすものかどうかで区別されていません。

令和8年度試験での注意 2023年5月26日施行の改正で、宅地造成等規制法は宅地造成及び特定盛土等規制法になり、規制区域は宅地造成等工事規制区域になりました。改善命令(23条)、報告の徴取(25条)、除却工事の届出(21条3項、施行令26条)など同じ仕組みが置かれており、正解の4は変わりません。

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土地区画整理法

問21 組合の解散・組合員の権利義務の承継・事業計画前の組合設立・借地権者

組合施行の土地区画整理事業では、施行地区内の宅地の所有者だけでなく借地権者も全員が組合員になります(土地区画整理法25条1項)。

公式正解 4

肢1:正しい。組合が事業の完成により解散しようとするときは、都道府県知事の認可を受けなければなりません(45条1項4号・2項)。

肢2:正しい。組合員から施行地区内の宅地の所有権を承継した者は、その組合員が組合に対して持っていた権利義務も承継します(26条1項)。

肢3:正しい。事業計画を定める前に組合を設立する必要があるときは、7人以上が共同して定款と事業基本方針を定め、知事の認可を受けて設立できます(14条2項)。

肢4:誤り。施行地区内の宅地について所有権又は借地権を有する者は、すべて組合員になります(25条1項)。借地権のみを持つ者も組合員です。

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その他の法令上の制限

問22 津波防護施設区域・贈与と事後届出・景観計画区域・道路予定区域

津波防災地域づくり法・国土利用計画法・景観法・道路法の4つから、許可と届出の区別や届出の時期を問う設問です。

公式正解 1

肢1:正しい。津波防護施設区域内で土地の掘削などをするには、原則として津波防護施設管理者の許可が必要です(津波防災地域づくり法23条1項)。

肢2:誤り。事後届出の対象は対価を伴う土地売買等の契約です(国土利用計画法23条1項・14条1項)。贈与は対価がないので、届出は不要です。

肢3:誤り。景観計画区域内の建築物の新築等は、あらかじめ景観行政団体の長に届け出ます(景観法16条1項)。工事着手後の届出ではありません。

肢4:誤り。道路の区域が決定された後、供用開始前の土地では、道路管理者が権原を取得する前でも、工作物の新築などに道路管理者の許可が必要です(道路法91条1項)。

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税・不動産鑑定の解答・解説(3問)

所得税の譲渡所得、固定資産税、地価公示法を扱います。

所得税(譲渡所得)

問23 別荘の災害損失・借地権設定の権利金・不動産業者の土地譲渡・相続財産の取得費

譲渡所得になる取引(借地権設定の権利金の一部など)と、ならない取引(棚卸資産の譲渡)を区別し、相続で取得した資産の取得費は被相続人から引き継ぐ点を押さえます。

公式正解 1

肢1:正しい。別荘のように生活に通常必要でない資産について災害等で受けた損失は、その年分又は翌年分の譲渡所得の金額の計算上控除されます(所得税法62条1項)。

肢2:誤り。建物等の所有を目的とする借地権の設定の対価が土地の価額の2分の1を超えるときは、不動産所得ではなく譲渡所得として課税されます(33条1項、施行令79条)。

肢3:誤り。営利を目的として継続的に行う資産の譲渡や棚卸資産の譲渡による所得は譲渡所得に含まれず(33条2項1号)、不動産業者の土地の譲渡は事業所得になります。

肢4:誤り。相続(限定承認を除く)で取得した資産は、被相続人の取得価額と取得時期を引き継いで譲渡所得を計算します(60条1項)。相続時の価額で取得したものとはされません。

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固定資産税

問24 納税義務者・縦覧の期間・審査の申出・住宅用地の特例の判定時期

固定資産税は、賦課期日(1月1日)の所有者に、その時点の現況で課税します。肢4は、賦課期日後の事情で住宅用地の特例が付くとした誤りです。

公式正解 3

肢1:誤り。固定資産税の納税義務者は所有者で、賃借人ではありません(地方税法343条1項)。

肢2:誤り。家屋価格等縦覧帳簿は、毎年4月1日から一定の期間に限って縦覧できるもので、いつでも縦覧できるわけではありません(416条1項)。

肢3:正しい。固定資産課税台帳に登録された価格に不服がある納税者は、一定の期間内に、文書で固定資産評価審査委員会に審査の申出ができます(432条1項)。

肢4:誤り。住宅用地の特例は、賦課期日である1月1日の現況で判断します。1月1日に更地なら、その後に住宅の敷地になっても平成29年度分には適用されません(349条の3の2)。

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地価公示法

問25 公示事項・鑑定評価の回数・標準地の選定・公示価格の効力

地価公示法は、標準地の選定(3条)、鑑定評価と価格の判定(2条)、公示事項(6条)、公示価格の効力(1条の2)の順に問われます。

公式正解 3

肢1:誤り。公示事項は、標準地の所在、単位面積当たりの価格と価格判定の基準日、地積・形状、周辺の土地の利用の現況などです(6条)。前回の公示価格からの変化率は、公示事項に入っていません。

肢2:誤り。土地鑑定委員会が2人以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求めるのは毎年1回です(2条1項)。

肢3:正しい。標準地は、自然的・社会的条件からみて類似の利用価値を持つ地域で、利用状況や環境等が通常と認められる一団の土地から選定します(3条)。

肢4:誤り。土地の取引を行う者は、公示価格を指標として取引を行うよう努めなければならないとされているだけで(1条の2)、公示価格で取引する義務はありません。

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宅建業法の解答・解説(20問)

報酬、担保責任の特約、業務規制、監督処分、宅建士の登録、クーリング・オフ、営業保証金と保証協会、重要事項説明、37条書面、広告、専任媒介契約、免許、住宅瑕疵担保履行法を横断します。報酬は消費税8%の時期の出題で、2017年4月施行の改正(宅建業者の還付請求の除外、購入申込みの報告義務)を問う肢もあります。

報酬(貸借)

問26 店舗の権利金による計算・依頼による広告料金・重要事項説明の対価・居住用の保証金

居住用以外の建物の貸借では、返還されない権利金を売買代金とみなして報酬を計算できます。借賃1か月分の基準と権利金による計算の、大きい方が限度額です。

公式正解 1

肢1:正しい。店舗の貸借で返還されない権利金200万円があるときは、これを売買代金とみなし、200万円×5%=10万円に消費税8%を加えた108,000円が一方の依頼者から受け取れる限度です。A・Cの合計は216,000円で、借賃による限度(97,200円)より大きくなります。

肢2:誤り。依頼者の依頼によって行った特別の広告の料金は、報酬とは別に受け取れます。A・Cの報酬がそれぞれ借賃の半月分(48,600円)でも、広告料金を受領できなくなるわけではありません。

肢3:誤り。重要事項の説明は宅建業者の義務で、その対価として報酬の限度額とは別に報酬を受け取ることはできません(46条2項)。

肢4:誤り。権利金を売買代金とみなす計算は居住用建物以外の貸借に限られ、退去時に全額返還される保証金は権利金にも当たりません。居住用建物では借賃1か月分(97,200円)が合計の限度です。

令和8年度試験での注意 2019年10月からは消費税率10%で計算するため、肢1の合計限度額は220,000円、肢2の各報酬は49,500円に当たります。正解の1は変わりません。

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担保責任の特約の制限

問27 引渡しから2年の特約・売主に帰責事由がある瑕疵に限る特約・解除を認めない特約

宅建業者が自ら売主となる場合、担保責任の特約は「引渡しの日から2年以上」の期間を定めるもの以外、民法より買主に不利なら無効です(宅建業法40条)。

公式正解 1

正しいものはイの一つで、正解は1です。

ア:誤り。担保責任を負う期間を引渡しの日から2年以上とする特約は、例外として有効です(40条1項)。2年間とする特約は無効になりません。

イ:正しい。売主の責めに帰すべき事由による瑕疵に限って責任を負う特約は、売主の過失を問わない民法の規定より買主に不利なので、無効です(40条2項)。

ウ:誤り。契約の解除をできないとする特約も買主に不利なので、無効です(40条2項)。

令和8年度試験での注意 2020年4月施行の改正で、瑕疵担保責任は契約不適合責任に改められ、40条の期間も不適合を売主に通知すべき期間として定められています。正解の1は変わりません。

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業務規制

問28 帳簿の保存・専任代理契約の登録・勧誘時の名称・売主の手付解除

帳簿の保存、指定流通機構への登録、勧誘の方法、手付解除の方法と、宅建業者の業務規制を4つまとめて問う個数問題です。4つとも違反に当たります。

公式正解 4

違反しないものはなく、正解は4です。

ア:違反する。帳簿は閉鎖後5年間(自ら売主となる新築住宅の取引は10年間)保存しなければならず(49条、施行規則18条3項)、閉鎖後すぐに廃棄することはできません。

イ:違反する。専任代理契約にも専任媒介契約と同じ指定流通機構への登録義務があり(34条の3・34条の2第5項)、登録しない旨の特約は無効です。

ウ:違反する。勧誘に先立って、宅建業者の商号又は名称、勧誘する者の氏名、契約締結の勧誘をする目的であることを告げなければなりません(47条の2第3項、施行規則16条の12第1号ハ)。Aの名称を告げていない点で違反です。

エ:違反する。売主である宅建業者が手付解除をするには、手付の倍額を現実に提供しなければなりません(39条2項)。手付の返還だけでは解除できません。

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監督処分と罰則

問29 他業法での処分・所在不明時の免許取消し・内閣総理大臣との協議・立入検査の拒否

免許の取消しなどの監督処分は免許権者が行い、国土交通大臣は内閣総理大臣と事前に協議する場面があります。処分の主体と手続の時期に注意します。

公式正解 4

肢1:誤り。指示処分の対象になるのは、宅建業の業務に関する法令違反などです(65条1項)。マンション管理業に関する処分を理由に、宅建業法の指示処分を受けることはありません。

肢2:誤り。事務所の所在地を確知できない場合の公告による免許の取消しは、免許権者が行います(67条1項)。乙県知事免許のBを国土交通大臣が取り消すことはできません。

肢3:誤り。国土交通大臣が35条違反などを理由に大臣免許の業者を処分しようとするときは、あらかじめ内閣総理大臣に協議しなければなりません(71条の2第1項)。処分後に通知するのではありません。

肢4:正しい。72条1項の立入検査を拒んだ者は、50万円以下の罰金に処せられることがあります(83条1項5号)。

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宅建士の登録と業者の届出

問30 登録の移転・案内所の届出・宅建士証の交付と講習・合併消滅の届出

宅建士の登録の移転は、登録先以外の都道府県にある事務所で業務に従事する場合の制度です。住所を移しただけでは申請できません。

公式正解 1

肢1:誤り。登録の移転を申請できるのは、登録先以外の都道府県に所在する事務所の業務に従事し、又は従事しようとするときです(19条の2)。住所の変更だけでは申請できません。

肢2:正しい。契約の申込みを受ける案内所を設置するときは、業務開始日の10日前までに、免許権者(甲県知事)と案内所の所在地の知事(乙県知事)の両方に届け出ます(50条2項)。

肢3:正しい。試験合格から1年を経過した者が宅建士証の交付を受けるには、交付の申請前6か月以内に行われる、登録先の知事が指定する講習を受講しなければなりません(22条の2第2項)。

肢4:正しい。法人である宅建業者が合併で消滅したときは、消滅した法人を代表する役員であった者が、その日から30日以内に免許権者に届け出ます(11条1項2号)。

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8種制限(クーリング・オフと損害賠償額の予定)

問31 買主が申し出た自宅での申込み・撤回の効力発生時期・違約金と予定額の合計

クーリング・オフの適用除外(買主が申し出た自宅・勤務先)、撤回の効力発生時期(発信時)、損害賠償額の予定等の上限(代金の10分の2)を順に当てはめます。

公式正解 4

正しいものはなく、正解は4です。

ア:誤り。買主が自ら申し出て自宅で買受けの申込みをした場合は、クーリング・オフの対象外です(37条の2第1項、施行規則16条の5第2号)。

イ:誤り。クーリング・オフによる申込みの撤回は、書面を発した時に効力を生じます(37条の2第2項)。

ウ:誤り。損害賠償額の予定と違約金の合計は、代金の10分の2(600万円)を超えられません(38条1項)。違約金300万円と予定額600万円で合計900万円になるので、そのような特約は定められません。

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営業保証金

問32 主たる事務所の移転と保管替え・新設事務所の届出・取戻しの公告・不足額の供託

主たる事務所の移転で最寄りの供託所が変わったとき、金銭だけで供託していれば保管替えを請求します(宅建業法29条1項)。取り戻してから供託し直す手順は、有価証券を含む場合のものです。

公式正解 1

肢1:誤り。金銭のみで営業保証金を供託している場合は、従前の供託所に対し、移転後の主たる事務所の最寄りの供託所への保管替えを請求しなければなりません(29条1項)。

肢2:正しい。事業開始後に事務所を新設して営業保証金を供託したときは、供託物受入れの記載のある供託書の写しを添付して、免許権者に届け出ます(26条2項・25条4項)。

肢3:正しい。一部の事務所の廃止で営業保証金を取り戻すときは、還付請求権者に対し、6か月以上の期間を定めて申し出るべき旨を公告しなければなりません(30条2項)。

肢4:正しい。還付で営業保証金が不足したときは、免許権者から通知書の送付を受けた日から2週間以内に不足額を供託します(28条1項)。

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重要事項の説明

問33 説明の相手方・金銭の貸借のあっせん・貸借での私道負担・危険負担

35条の重要事項説明は、物件を取得し又は借りようとする者に、契約成立前に行うものです。37条書面の記載事項(危険負担など)との区別が繰り返し問われます。

公式正解 2

肢1:誤り。重要事項の説明は、宅地を買おうとする買主に対して行うもので、売主に対する説明義務はありません(35条1項)。

肢2:正しい。代金に関する金銭の貸借のあっせんの内容と、あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置は、説明事項です(35条1項12号)。

肢3:誤り。私道に関する負担は、建物の貸借の契約以外の契約で説明する事項です(35条1項3号)。建物の貸借の媒介では説明不要です。

肢4:誤り。天災その他の不可抗力による損害の負担(危険負担)の定めは37条書面の記載事項で(37条1項10号)、重要事項説明の対象ではありません。

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業務に関する禁止事項

問34 手付金の減額・勧誘目的の秘匿・報酬の分割受領・手付の信用供与

手付についての「信用の供与」(貸付けや分割払い・後払い)は禁止されていますが、手付金の減額や媒介報酬の分割受領は信用の供与に当たりません。

公式正解 3

肢1:正しい。手付金の額を減額して契約締結を誘引することは、手付の貸付けなどの信用の供与には当たらず、47条3号に違反しません。

肢2:正しい。アンケートを装って電話し、勧誘目的であることを告げずに勧誘することは、勧誘に先立って告げるべき事項を告げない行為として違反です(47条の2第3項、施行規則16条の12第1号ハ)。

肢3:誤り。媒介報酬の分割受領に応じることは、手付についての信用の供与ではないため、47条3号の禁止に当たらず、法に違反しません。

肢4:正しい。手付について信用を供与して契約の締結を誘引する行為は禁止されており(47条3号)、監督処分の対象となるほか罰則もあります(81条2号)。

令和8年度試験での注意 2025年6月1日の改正刑法の施行で、懲役と禁錮は拘禁刑に一本化されました。令和8年度試験では刑の名称を拘禁刑で覚えます。この問の正誤は変わりません。

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帳簿と従業者名簿

問35 自ら貸主の取引・帳簿の備付け場所・報酬の額の記載・一時的な補助者

帳簿(49条)と従業者名簿(48条3項)の備付けを比べる設問です。どちらも事務所ごとに備え、自ら貸主となる取引は宅建業ではない点も押さえます。

公式正解 3

肢1:誤り。自ら貸主として行う建物の賃貸は宅地建物取引業に当たらないため、帳簿への記載義務はありません。

肢2:誤り。帳簿は事務所ごとに備えなければなりません(49条)。主たる事務所に一括して備えることはできません。

肢3:正しい。報酬の額は帳簿の記載事項で(施行規則18条1項)、帳簿の記載義務に違反すれば指示処分の対象になります(65条1項)。

肢4:誤り。従業者名簿には、一時的に事務の補助をする者も含め、業務に従事する者を記載します(48条3項)。

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免許

問36 更新申請中の有効期間満了・申請中の広告・兼業の開始・合併後の取引の結了

免許の更新申請中に有効期間が満了しても、処分があるまで従前の免許は効力を持ちます(宅建業法3条4項)。兼業の開始は届出事項ではありません。

公式正解 4

肢1:誤り。有効期間満了までに更新の処分がされないときは、処分がされるまで従前の免許が効力を持つので(3条4項)、Aは宅建業を続けられます。

肢2:誤り。免許を受けていない者は、宅建業を営む旨の表示や、宅建業を営む目的での広告をしてはなりません(12条2項)。申請中でも同じです。

肢3:誤り。新たに兼業を始めても、免許権者への届出は不要です。変更の届出(9条)の対象は、商号、役員、事務所の名称・所在地などです。

肢4:正しい。宅建業者が合併で消滅した場合、一般承継人は、消滅した業者が締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内で宅建業者とみなされます(76条)。

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宅地建物取引士

問37 宅建士証の提示・登録の移転・登録の要件・従業者証明書

宅建士証の提示(22条の4・35条4項)と従業者証明書の提示(48条2項)は別の義務です。一方の提示で他方に代えることはできません。

公式正解 3

肢1:誤り。重要事項の説明をするときは、請求の有無や過去の提示にかかわらず、宅建士証を提示しなければなりません(35条4項)。

肢2:誤り。他の都道府県の事務所で業務に従事する場合の登録の移転は、申請することが「できる」制度で(19条の2)、義務ではありません。

肢3:正しい。登録を受けるには、試験に合格し、2年以上の実務経験を持つか国土交通大臣がこれと同等以上の能力を有すると認めた者であることが必要で、欠格事由に当たらないことも求められます(18条1項)。

肢4:誤り。従業者証明書は、取引の関係者から請求があれば提示しなければならず(48条2項)、宅建士証の提示で代えることはできません。

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37条書面の記載事項

問38 代理での交付先・手付金等の保全措置・契約の解除・業者間の担保責任特約

手付金等の保全措置は35条の重要事項説明の項目で、37条書面の記載事項ではありません。37条書面の記載事項と35条の説明事項の線引きを問う設問です。

公式正解 2

違反しないのは2です。

肢1:違反する。代理により契約を締結したときは、相手方の買主だけでなく、代理を依頼した売主にも37条書面を交付しなければなりません(37条1項)。

肢2:違反しない。手付金等の保全措置の内容は重要事項の説明事項で(35条1項10号)、37条書面の記載事項ではありません。

肢3:違反する。契約の解除に関する定めがあるときは、その内容を37条書面に記載しなければなりません(37条1項7号)。

肢4:違反する。瑕疵担保責任に関する定めがあるときは、その内容を記載しなければなりません(37条1項11号)。買主が宅建業者でも、37条書面の交付義務は除かれていません。

令和8年度試験での注意 2020年4月施行の改正で、37条1項11号の記載事項は契約不適合責任についての定めに改められました。2022年5月18日からは37条書面への押印が不要になり、相手方の承諾を得て電磁的方法で提供することもできます。正解の2は変わりません。

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営業保証金と弁済業務保証金

問39 供託する供託所・宅建業者の還付請求・社員の地位喪失・還付充当金

2017年4月施行の改正で、宅建業者は営業保証金や弁済業務保証金から還付を受けられる者から除かれました。平成29年度は、この改正を問う肢が出ています。

公式正解 2

正しいものはウとエの二つで、正解は2です。

ア:誤り。営業保証金は、従たる事務所の分も含めて、主たる事務所の最寄りの供託所に供託します(25条1項・26条1項)。

イ:誤り。2017年4月1日施行の改正で、宅建業者は弁済業務保証金から還付を受けられる者から除かれました(64条の8第1項)。宅建業者Aは還付を受けられません。

ウ:正しい。保証協会の社員の地位を失ったときは、その日から1週間以内に営業保証金を供託しなければなりません(64条の15)。

エ:正しい。還付があったときは、保証協会から還付充当金を納付するよう通知を受けた日から2週間以内に、保証協会に納付しなければなりません(64条の10第2項)。

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37条書面の交付

問40 支払時期と引渡時期の省略・宅建士の記名押印・宅建士証の提示・業者が買主の場合

37条書面は、契約の当事者(媒介・代理の依頼者を含む)に、宅建士が記名押印したものを交付します。37条書面を交付するときに宅建士証を提示する義務はありません。

公式正解 3

違反しないのは3です。

肢1:違反する。代金の支払時期と引渡しの時期は37条書面の必要的記載事項です(37条1項3号・4号)。重要事項説明書に書いて説明しても、省略できません。

肢2:違反する。売主Bと媒介業者Cの双方に37条書面の交付義務があり、それぞれの宅建士が記名押印しなければなりません(37条3項)。

肢3:違反しない。37条書面の交付時に宅建士証を提示する義務はありません。提示が必要なのは、重要事項の説明時(35条4項)と取引の関係者から請求があったとき(22条の4)です。

肢4:違反する。宅建業者が自ら買主となる場合も、相手方である売主Iに37条書面を交付しなければなりません(37条1項)。

令和8年度試験での注意 2022年5月18日施行の改正で、37条書面は宅建士の記名で足り、押印は不要になりました(37条3項)。正解の3は変わりません。

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重要事項の説明(区分所有建物ほか)

問41 管理の委託先・移転登記の申請時期・ガス配管の所有者・修繕積立金

移転登記の申請の時期は37条書面の記載事項で、35条の説明事項ではありません。肢2は37条の項目を重要事項説明に持ち込んだ記述です。

公式正解 2

肢1:正しい。区分所有建物の売買では、一棟の建物と敷地の管理を委託しているときは、委託先の氏名(商号・名称)と住所(主たる事務所の所在地)を説明します(施行規則16条の2第8号)。

肢2:誤り。移転登記の申請の時期は37条書面の記載事項(37条1項5号)で、重要事項として説明する義務はありません。

肢3:正しい。宅地内のガス配管設備等について、売買後も所有権が家庭用プロパンガス販売業者に残る場合は、その旨を説明する必要があるとされています(国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」)。

肢4:正しい。計画的な維持修繕のための費用の積立てを行う旨の規約の定めがあるときは、その内容と既に積み立てられている額を説明します(施行規則16条の2第6号)。

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広告

問42 将来の環境・利用の制限の範囲・おとり広告・注文時の取引態様の明示

誇大広告等の禁止(32条)の対象と効果、取引態様の明示(34条)の時期を4つの記述で確かめる個数問題です。4つとも正しい記述です。

公式正解 4

正しいものは四つで、正解は4です。

ア:正しい。宅地の将来の環境について、著しく事実に相違する表示をすることは禁止されています(32条)。

イ:正しい。広告で問題となる現在又は将来の利用の制限には、都市計画法などの公法上の制限だけでなく、借地権の有無などの私法上の制限も含まれると解されています。

ウ:正しい。売る意思のない物件で客を集めるおとり広告は32条違反で、相手方が実際に誤認したか、損害を受けたかにかかわらず、監督処分の対象になります。

エ:正しい。広告で取引態様を明示していても、注文を受けたときは、遅滞なく改めて取引態様を明示しなければなりません(34条2項)。

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専任媒介契約

問43 申込みの報告・自動更新の特約・登録を証する書面・費用の請求

専任媒介契約の規制(有効期間3か月、自動更新の禁止、7日以内の登録、2週間に1回以上の報告)は、依頼者が宅建業者でも適用されます。業者間取引で外れるのは8種制限だけです(78条2項)。

公式正解 1

正しいものはアの一つで、正解は1です。

ア:正しい。専任媒介契約では、2週間に1回以上業務の処理状況を報告するほか、購入の申込みがあったときは遅滞なく依頼者に報告しなければなりません(34条の2第8項・9項)。

イ:誤り。有効期間は3か月を超えられず、更新は依頼者の申出によるものに限られます(34条の2第3項・4項)。依頼者が宅建業者でも、自動更新の特約は無効です(同条10項)。

ウ:誤り。休業日を除く7日以内の登録は正しいですが、登録を証する書面は遅滞なく依頼者に「引き渡す」必要があります(34条の2第6項)。提示では足りません。

エ:誤り。依頼者が特別に依頼した広告の実費は報酬と別に受け取れますが、指定流通機構への情報登録の費用を依頼者に請求することはできません。

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免許の承継と廃業等の届出

問44 合併による承継・個人業者の法人化・死亡と失効の時期・解散の届出

宅建業の免許は一身専属で、合併や法人化で他の会社に引き継ぐことはできません。廃業等の届出(11条)は、事由ごとに届出者と失効の時期が異なります。

公式正解 4

肢1:誤り。合併で消滅した宅建業者の免許は、存続会社に承継されません。存続会社Bが宅建業を営むには、自ら免許を受けなければなりません。

肢2:誤り。新たに設立した株式会社Dが、個人業者Cの免許を承継することはできません。D社は新たに免許を受ける必要があります。

肢3:誤り。個人業者が死亡した場合、相続人は死亡を知った日から30日以内に届け出ますが(11条1項1号)、免許は死亡の時に効力を失います。届出の日に失効するのではありません。

肢4:正しい。法人が合併・破産手続開始の決定以外の理由で解散したときは、清算人が、その日から30日以内に免許権者に届け出ます(11条1項4号)。

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住宅瑕疵担保履行法

問45 供託所の説明の時期・55㎡以下の戸数計算・届出をしない場合の制限・保険の対象

資力確保措置は、説明の時期(契約締結まで)、戸数の数え方(55㎡以下は2戸で1戸)、届出をしない場合の契約締結の制限(基準日の翌日から50日経過後)と、数字で問われます。

公式正解 2

肢1:誤り。供託所の所在地などを記載した書面の交付と説明は、売買契約を締結するまでに行います(15条1項)。引渡しまでではありません。

肢2:正しい。保証金の額を算定する戸数の計算では、床面積55㎡以下の住宅は2戸をもって1戸と数えます(11条3項、施行令6条)。

肢3:誤り。供託と届出をしない場合に新たな売買契約の締結が禁止されるのは、基準日の翌日から起算して50日を経過した日以後です(13条)。

肢4:誤り。保険の対象は、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分の瑕疵による損害です(2条、住宅品質確保法95条1項)。給水設備やガス設備の瑕疵は対象外です。

令和8年度試験での注意 基準日は現在、毎年3月31日の年1回です(11条1項・3条1項)。説明の時期や50日の制限は変わらず、正解の2は変わりません。

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住宅・統計・土地建物の解答・解説(5問)

住宅金融支援機構、不動産の表示に関する公正競争規約、統計、土地、建物の構造を扱います。統計は平成28年・平成29年の公表値で判定します。

住宅金融支援機構

問46 団体信用生命保険・高齢者向け一括償還・フラット35の金利・付随する改良資金

証券化支援業務(フラット35の買取型)の金利は、取扱金融機関がそれぞれ決めるため、金融機関によって異なります。

公式正解 3

肢1:正しい。機構の団体信用生命保険業務では、貸付けを受けた者が死亡した場合だけでなく、重度障害となった場合も、保険金を債務の弁済に充てられます(機構法13条1項)。

肢2:正しい。高齢者向けに死亡時に一括償還する方法で貸し付ける場合は、抵当権の効力が及ぶ範囲を超えて弁済を請求しないことができます(機構の業務方法書)。

肢3:誤り。買取型の証券化支援業務に係る貸付金の利率は、各金融機関が定めるので、金融機関によって異なります。

肢4:正しい。機構が買い取る貸付債権には、住宅の購入に付随する改良に必要な資金の貸付債権も含まれます。

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不当景品類及び不当表示防止法(表示規約)

問47 他社情報の転載・他の建物の写真・徒歩所要時間・専有面積の表示

徒歩所要時間は道路距離80mにつき1分で、1分未満の端数は1分に切り上げます。5.25分なら6分と表示します。

公式正解 4

肢1:誤り。他の宅建業者から得た情報でも、広告をした事業者は表示内容について責任を負います。情報が誤っていれば、不当表示に問われることがあります。

肢2:誤り。出題時の規約では、建築工事の完了前の物件に他の建物の外観写真を使えるのは、取引する建物と規模・形質・外観が同一のものに限られていました。外観が異なる施工例の写真は不当表示に問われます。

肢3:誤り。道路距離80mにつき1分として計算し、1分未満の端数は1分として計算するので、5.25分は「6分」と表示します。

肢4:正しい。新築分譲マンションのインターネット広告では、専有面積を最小面積と最大面積だけで表示できます。全戸の専有面積の表示は求められていません。

令和8年度試験での注意 2022年9月1日施行の規約改正で、施工者が過去に施工した建物のうち、構造・階数・仕様が同一で規模・形状・色等が類似するものは、他の建物である旨と異なる部位を明示すれば外観写真に使えるようになりました(規約施行規則9条(22))。本問の写真は外観が異なるもので、正解の4は変わりません。

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統計

問48 地価公示・建築着工統計・土地白書・法人企業統計

統計問題は、出題年に公表された地価公示、建築着工統計、土地白書、法人企業統計の数値で判断します。増減の向きと連続年数が入れ替えのポイントです。

公式正解 2

肢1:誤り。平成29年地価公示では、住宅地の全国平均は0.0%で、9年ぶりに下落を脱して横ばいとなりました(前年は0.2%の下落)。

肢2:正しい。建築着工統計によれば、平成28年の持家の新設着工は約29.2万戸で、3年ぶりの増加でした。

肢3:誤り。平成28年の売買による土地取引件数は約129万件で、前年の約128.7万件からわずかに増えています。2年連続の減少ではありません。

肢4:誤り。平成27年度の不動産業の経常利益は約4兆3,000億円で、前年度より7.5%減少しました。増加ではありません。

令和8年度試験での注意 統計は毎年更新されます。令和8年度試験では、2026年に公表された地価公示・建築着工統計・土地白書・法人企業統計の数値で判断します。

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土地

問49 扇状地・三角州・台地・埋立地と干拓地

地形ごとの災害リスクを比べる設問です。埋立地は一般に海面より高く造られるため、海面下のことが多い干拓地より水害に強いとされます。

公式正解 4

最も不適当なのは4です。

肢1:適当。扇状地は、山地から河川が運んだ砂礫などが谷の出口に堆積してできた地形です。

肢2:適当。三角州は河口付近に細かい土砂が堆積してできた低地で、地盤は軟弱です。

肢3:適当。台地は一般に地盤が安定しており、低地に比べて自然災害に対する安全度が高いとされます。

肢4:不適当。埋立地は一般に海面に対して比高を持つので、干拓地に比べると水害に対して安全です。危険とするのは逆です。

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建物の構造と材料

問50 木材の含水率と強度・鋼材の炭素量・熱膨張率・鉄筋コンクリート構造

木材は乾燥しているほど強度が高くなります。肢1は、含水率と強度の関係を逆にした記述です。

公式正解 1

最も不適当なのは1です。

肢1:不適当。木材の強度は、含水率が小さい(乾燥している)状態の方が高くなります。

肢2:適当。鋼材は、炭素含有量が多いほど引張強度が大きくなる傾向があります(その分、粘り強さは低下します)。

肢3:適当。常温・常圧では、鉄筋と普通コンクリートの熱膨張率はほぼ等しく、これが鉄筋コンクリート構造が成り立つ理由の一つです。

肢4:適当。鉄筋コンクリート構造は、耐火性・耐久性に優れ、耐震性・耐風性にも優れた構造です。

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出典と照合

出典は一般財団法人不動産適正取引推進機構「平成29年度宅地建物取引士資格試験 問題・正解」です。問題本文と選択肢は転載していません。各問の「公式問題で問◯を見る」から公式PDFの該当ページを開けます。

正解は公式発表と1問ずつ照合しています。解説は資格Hubが法令・告示・公的資料で確かめて作成したもので、試験実施団体とは関係ありません。

平成29年度の正解番号表(公式PDF)→

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